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石井繁丸君 ただいま
委員長の
報告になりました
農業協同組合法の一部を
改正する
法律案に対し、
日本社会党を代表し、以下諸点につき
政府に対し嚴重なる
注意を喚起し、
賛成の
討論をいたすものであります。
御
承知の
通り、
日本農村の
民主化は、
農地改革の徹底と
農業協同組合の健全なる
民主的運営並びにこれが充実と相まちまして初めて達成せられるということは、マツカーサー元帥の屡次の指令を持つまでもなく、一般国民のよく了知いたしておるところであります。従
つて農協が、
農業協同組合法実施以来二箇月を経過したる今日、いかなる道をたどりつつあるかということは、とりもなおさず、
日本の農村
民主化の道がいかに進められ、そうして
日本の農村の
経済がいかなる実態にあるかということり指標であります。
今日、農協は
経済的破綻に潤し、崩壊の一歩手前にあることは、各地の農協の理事長の責任自殺や、あるいは預金市拂い停止等に徴し明らかであります。われわれは、
吉田内閣の失政が農協を破壊せりと断言するにやぶさかではないのであります。
元来、農協は
農業会より改組せられたものでありまして、
農民の民主的組織に切りかえられまましたが、その改組の過程において十分なる指導と啓蒙が徹底せず、旧
農業会の持つところの欠陷がそのまま持ち越されたのであります。幸いに、農村
経済がインフレ
経済の状態にありましたので若干の彈力性を持
つたのでありまして、昨年の上半期は、どうにかその
関係で持ちこたえたのであるが、ドツジ政策の強圧は、一切の犠牲と、しわよせが農村に持ち込まれまして、昨今のごとき農村の窮状となり、そうして
農業協同組合の破綻と
なつたりでありまして、この点、
農業協同組合対策並びに農村
経済対策に対し誠意を示さず、逆に農村
経済崩壊に拍車をかけて来ましたところの森農政並びに
自由党農政に対しまして、全国民が大きなる反撃を加えて立
つておるということは当然の
道理であります。
昨今、農協の根本的の
行き詰まりは、次のような諸点から発生をいたしておるのであります。
第一、米価のすえ置きの問題、早場米奨励金の実質的打切りの問題であります。去年におけるところの米穀
検査の嚴守がいかに早場米の奨励金を
農民から打切つたか。これらの点が新潟県あるいは東北米作地帶等におきまして重大なる
影響を與えておるということは、みな御
承知のところであろうと考えるのであります、そのほかに、今まで
農民が非常にたよりにいたしておつたところの超過供出三倍買上げの打切りであります。これらが非常に大きな農村の収入を減退せしめた原因であります。
第二点は、農村に対する重税の負担であります。
政府は、予算面は農村所得税をまけた、こう申すのであります。しかるに、突然は中小企業が崩壊し、倒産した
関係上、それらから予定したところ税金を全部農村に対してしわよせをいたしておるであります。各地方において発生した農村の減税運動、これを
政府においては、一部のものが煽動するから起
つておるとい
つて、その責任をのがれんといたしておりまするが、実際農村に税金の横すべりをさしたということが農村の憤激の的でありまして、これらの是正が強く要求せられておるのは当然であります。この点について、農林
委員会としては、再三にわたり
政府に対して、
農民に実際どれだけ税金をかけ、また
農民からどれだけ税金をとつたか、これらを他の
事業との
関係においてはつきりさせろというように、農林
委員長の名をもちまして、これが要求をいたしたのでありまするが、大蔵当局は、その点何ら明答をしておらない。その点から見ましても、税金を
農民に横すべりさしたということは明らかであります。かような重税が
農民を今日の窮境に陷れ、また農協の破綻の原因等をかもしておるのであります。
次に、米価はそのままにしておきながら、農村における購入物資は引上げておることであります。
肥料の七月までにおける七割の値上げ等が示すように、
農民は、ここおきましても二重、三重の負担に苦しんでおるのであります。これらの点に対し、
政府は適正なる
措置を講じ、農村
経済の再起の道をはからなければ農村の
民主化は永久に葬られる、そうして
農業協同組合は再起の道を失うのであります。われわれは、まずこの点につきまして
政府に重大なる反省を促さなければならないのであります。
次に農協自体に対する対策としましては、まず農協の自己資金の充実の問題、あるいは役
職員の
経営指導力の充実の問題、
組合員の教育の問題、あるいは余裕金の管理、運用に対するところの
政府の適切なる指導の問題、あるいは講買
事業等に対しまして、
経済転換期において
農業協同組合に過誤を起さしめないところの温情のあるやり方、あるいは加工設備のやり方等に対しまして
政府がいろいろと支持あるいは援助する等の問題、あるいは農協の水ぶくれ状態に対する人件費等をいかにするか、かような問題が、将来農協の問題といたしまして要求せられておるので上あります。
しかしながら、これは恒久対策でありまして、当面の問題として要求せられる問題は次の二点であります。
まず第一に、農協に対する急速なる金融
措置の問題であります。現在農協におきましては、税金を納めるため
農民が非常に預金をおろすので、各地におきまして取付あるいは支拂い停止の状態があり、群馬県等におきましても幾つかその事例がある。これが蔓延いたしますれば、ただちに
農業協同組合の全面的
信用崩壊、
信用失墜となりまして、ここに全金融場面におけるところの大きな問題が発生いたす危険があります。これに対しまして
森農林大臣は、各個の
協同組合をしさいに調査して、貸せるものには貸す、貸せないものには貸さない、かようなことを申しておるのであります。大きな政治の手としまして、いかにしてこの金融崩壊の遂にある農協を救済すべきや、金融
措置を構ずべきかということは重大なる問題でありまして
政府としましては、拙速でありましても応急
措置を急いでいたさなければならないということは、全農協の
関係者、全
農民の叫びであるのであります。この点につきましては、野原君よりも詳しく
報告がありましたので、
自由党の各位もみな御了承のところでありますから、われわれは重ねて強く要求をいたすものであります。
次に報奨物資の問題であります。報奨物資が一般の
販売物資よりも高く
農民に配給せられるという、このような政治はあり得ないことはもちろんであります。
農民に供出を要請し、これに対する報奨物資が一般の市販の品物よりも品物が悪く、かつ値が高いというようなことは、これは
吉田内閣において初めて発生いたした現象であります。
農民を愚弄する、これ以上のものはないといわざるを得ないのであります。われわれは、これらに対しまして、ただちに
政府は緊急
措置を講じまして、そうして
農業協同組合の振り出したる手形の完全なる解決、並びに
農民に対してさような不明な、不見識なる行為をいたしたるについて、全面的なるところの解決を急いでやらなければならないと考えるのであります。
次に地方税の問題でありまするが、破綻に潤した
協同組合に、附加価値税あるいは固定資産税等についていろいろと重圧を加えようといたしております。農協が人件費等において苦しいとき、なお附加価値税において苦しめる場合、どういうような状態になるかということは明らかであります。この点につきまして、地方税その他が農協の負担にならないように、あるいは所得税においても嚴重なる御考慮を加えまして、その面よりする農協の救済の道を講じなければならないと思うのであります。
森農林大臣は、大体農協の
行き詰まりを、これは
農業協同組合の責任なりと、一切の責任を
農業協同組合に転嫁いたしておるのであります。そうして、応急
措置を講ずるのではなく、
農業協同組合の
経営者が
精神を入れかえ、形を改めたときは応援してやる、かようなことを言
つておるのであります。農協は過去においていろいろな間違いを起しておりまするが、先ほど述べた
通り、
農業協同総合の健全なる
発達と、これの
育成が
日本の農村
民主化の大きなる一つの足であることは、論議の余地のない問題であります。かような点から考えまして、農薬
協同組合の責任、あるいは
農業協同組合の立て直りを待ち、
精神の入れかえを待つ、かような点は、一面としましては要求せらるべき問題でありますが、さきに述べましたところの金融
措置の問題、あるいは報奨物資の問題、あるいは税金等につきまして適切なる
措置を講じまして、農村
民主化の一本の大きな足として健全なる
発達に役立つように、
政府といたしまして万全の
措置を講ぜられんことを心から希望いたし、また嚴重なる
注意を喚起いたしまして、本
法案に
賛成の
討論をいたすのであります。(
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