○砂間一良君(続) 国議間におきましても、いろいろはげしい論議がなされておるのでありますが、最近のロンドン・エコノミスト誌によりますと、日本に軍事基地を設ける米国の
政策は、日本人民の間に公然かつはげしい抗議を呼び起こしつつある、一方米国は、一切の意図を隠そうともせず、日本における陸、海、空軍基地を保持しようとしている、米国は横須賀軍地、重要の飛行場四箇所及び少くとも四角師団を宿営させるに足る兵営を拡張すべきだと考えている、ということが報ぜられております。現に横須賀市におきましては、旧
軍港用の土地二百六十一万坪のうち、その五七%に当る百五十万坪が接収されておるのでありまして、また旧軍用施設建物の、総延べ面積六十八万坪のうち三十八万坪、五六%が接収されて、現に軍用の目的に使用されておるのであります。そして、横須賀の
軍港地設は以前よりもはるかに増強されていると伝えられておるのであります。(
拍手)こういう現状のもとにおきまして、またかかる客観情勢のもとにおきまして、横須賀だけ切り放して、また横須賀の残された
部分だけをもちまして平和
産業港湾都市を建設しようと言いましても、そういうことが不可能であることは常識で判断しても明らかであります。(
拍手)
横須賀を平和
産業都市に転換するという名目のもとに都市計画法や特別都市計画法を適用するということにな
つておるのでありますが、こり都市計画法や特別都市計画法は、か
つて軍用都市を建設するためにつくられた
法律であります。こういう
法律を適用いたしまして、道路を拡張いたしましたり、あるいはいろいろな都市計画を実行いたしまして、そうして実は新しい
軍港都市を整備拡充して行こうというのがこの
法律のねらいであります。
またこの旧軍用財産の譲渡に関しまして、その相方だとか、財産の範囲、譲渡価値、延納期限等を審議するために旧
軍港市国有財産処理審議会というのが設けられることにな
つておりますが、この
委員会の横取を見ますと、
委員二十人からな
つておるのでありますが、これは徹頭徹尾天くだりの機構でありまして、何ら地元民の要望が反映されるような仕組にな
つておらない。こういう審議会は、結局地方ボスと官僚に悪用されるだけであります。もし軍用財産を
拂い下げまして、これを医療施設とか社会
事業施設、引揚者の寮とか学校、そういう公共施設に利用する、その場合におきましては五割以内で十年以内の延納を認めるということにな
つておりますが、しかし真にこういう平和の目的に利用するために
拂い下げるのであるならば、何も五割とか四割とかの代償をとる必要はない、よろしく無償で
拂い下げてしかるべきだと思うのであります。
こういう要望が旧
軍港市の市民
諸君の中から盛り上
つて参りましたそのの
原因を探求いたしてみますると、結局は市財政の窮迫ということ、それから失
業者が非常に多いということ、それから
税金が非常に過重であると、あるいは
中小企業がま
つたく商売がや
つて行けないという、こういう大衆の生活の窮迫というところから、これではとてもや
つて行かないので何かとか生きる道はないかという点からこういう要望輿論が起
つて来たと思うのでありますが、しかしこの要望を満たすためには、單に横須賀だけ、あるいは舞鶴だけ、県や佐世保だけよくして行こうといいましても、それはむりであります。そもそも地方財政の切迫ということは、今日の
自由党吉田内閣が中央へ全部の
財源を吸い上げまして、地方財政をま
つたくや
つて行けないようにしておる、この一段的な
政策の特に顯著に現われたのがこういう旧
軍港市に出ておるのであります。あるいは失業問題にいたしましても、重税の問題にいたしましても、こういう一般的な問題を解決することなくして、單に横須賀や呉、佐世促、舞鶴だけよくして行こうといいましても、それはできない相談であります。
そういう
理由からいたしままして、私
どもは、旧
軍港市の地元民
諸君が真の平和
産業都市を建設して行きたいというその要望に対しましては双手をあげて
賛成するのでありますが、しかし、その根本をたたさずして、たたこういう
法律だけをつく
つてみましても、それは何にもならない。今日の客観情勢のもとにおいて、また
自由党吉田内閣のもとにおきましては、これは結局日本の軍事基地の強化、新しい
軍港の整備拡充に利用されることになるおそれが多分にあ
るりでありますから、さような意味におきまして、
日本共産党は本
法案に絶体
反対するものであります。(
拍手)