○並木芳雄君 私は、ただいま上程になりました
一般職の
職員の
給與に関する
法律案につきまして、民主党を代表して絶対反対の意を表明するものでございます。(
拍手)
私たちは、
国家公務員の
給與に関しましては非常に厳重なる態度を持して
審議を重ねて来たのでありますが、
人事院の
勧告案というものは、
審議の結果、これを
支持すべきものであるという結論に達したのございます。従いまして、
予算の
審議にあたりましても、
人事院の
勧告を
支持する線に沿
つて、今日までわれわれの真檢なる態度というものを堅持して参
つたのでございますけれども、まことに残念ながら、
衆議院の
議決におきましては、私たちの数が少いために、多数に押されまして、その意を途げなか
つたのでございます。以来、私たちとしては悲償やる方なか
つたのでありますけれども、今般
参議院に送付されました
公務員に対する
給與法、これが昨日修正案とな
つて衆議院に回付されるように
なつた。このときに、私たちは心から喜びを表明したものでございます。
なるほど
衆議院におきましては、われわれの意のあるところは通りませんでしたけれども、
参議院において、その数のバランスのとれてお
つたために、七月の末日まで延長を認めて、それ以後はこれを認めないという修正案が出されて通
つた。これは何を意味するかといいますならば、さしあたり七月の末まではやむを得ないけれども、八月一日から先は、当然
政府としては
国家公務員に対する
給與というものを考慮すべきである、
給與ベースの改訂を考慮すべきであるということを含めての修正案であるから、われわれは再びの意を表したのであります。従いまして、昨日、本
会議場において見られました通り、私たちの態度というものはこの修正案に同意した。さらに
衆議院の原案というものを通すかについては、絶対にこれに対して反対の
意思を表明したのでございます。その結果、かの
法案は
廃案とな
つたのでありまして、いわば
政府の原案は、試験に失敗をした落第生と
まつたわけであります。試験に落ちた人が、試験の発表のあ
つた翌日すぐ願書を出すような
法案の
提出というもりが今回の出し方でありまして、
法案が
提出される前に、何ゆえに
政府としては
廃案のうき自を見るに至
つたかということを、もう少し良心的に、愼重に考慮しなか
つたかということを、われわれは非難するものであります。
事柄はすこぶる簡単であります。
衆議院と
参議院とを通して、
国会の総合した
意思というものは、結局
政府を相手とするところの六千三百七円
ベース、これの維持に反対であると言うことなんです。しかも反対であるのみならず、七月来日以後においては当然これを改訂せよという意味を含めておるところにおいて、
政府は本日ただちに
参議院の
意思に基いたところの
提案をすれば何でもないのである。もし
参議院の出したところの、七月三十一日までの修正案に調子を合したところの
法案さえ出せば、何を苦しんでわれわれはこんな討論をしたり
質問をしたりする必要があるか。五分か十分の間に両院を通過してしまうのである。にもかかわらず、頑迷固陋なるところの
政府は、ワン・マン・パーテイのその名に恥じず、健やかなる、まことに穏健なるところの飼犬にひとしい——私をして言わしむれば、ワン・マン・パーテイであるから、飼犬にひとしいところのおとなしい與常の
議員というものを飼
つて、そうして通謀の上に、今回
かくのごとき形をかえて、
内容の同じ
法案を出さしたという
責任は、まことに重大であると言わざるを得ないのであります。(
拍手)
昨日の閣議で、
政府と
自由党とはどういう協議をしたか。
参議院の七月三十一日までの延長案というものが強硬に主張されるようであるから、これは万やむを得ない、七月の末まででは困るから六箇月として、つまり四、五、六、七、入、九——九月の末日までとして、そうして臨時
国会を召集して、その間に何とか場面を糊塗しようとする
意思をも
つて六箇月の延長案というものを
考えたのではないか。
政府は、すでに昨日のその代案を持
つたその気持があるならば、なぜ本日のこの
法案に、
内容の同じであるこの欺瞞的な
法案に、せめてもの慰めとして、九月一ぱいまでは延長するということを盛るておらないのであるか。私は、この点を声を大にして主張せざるを得ないのであります。私たちは、先刻からの
質問及び討論においてしばしば述べられております、本
法案の
提出によ
つて国会の権威というものは
まつたく地に落ちたということを、はなはだ悲しむものであります。(
拍手)三権分立の
原則に置いて、たとい議院
内閣制度はと
つておりますけれども、あくまでもやはり
国会と行
政府は分離したいというのが、われわれの崇高なる民主主義への熱望であります。私は、今日
かくのごとき、数だけはそろえておるけれどもあたかもワン・マン・パーテイのもとにおける飼い犬のような
與党議員を擁しだ
国会におきましては、とうてい民主主議の徹底は行えないと思う。(
拍手〕
さらにわれわれが冷静に考慮するときに、一体議院
内閣制度、現在
日本の
憲法がと
つておるところの議院
内閣制度というものは、はたして是であるかということを疑わざるを得ないのである。これは
憲法の改正にまで持
つて行かなければならない重大な問題ではないかということを痛感するのであります。
與党の
皆さん、私は決して單に攻撃せんがための討論をや
つておるのではありません。ほんとうに
日本の民主主義というものを徹底するためには、行
政府の
責任を明らかに行
政府の
責任にとどめ、
国会の
責任でないところのものは、いかに
與党なりといえども、これを断固として拒否するところに、初めて
国民八千万の信頼をかち得るゆえんがあるのではないかと思うのであります。(
拍手)しかるに、昨日来
政府及び
與党筋のと
つた態度というものは、まことに不明朗きわまるものであります。おるときには、そでの下からちらちらちらつかせたところの例のポツダム政令、これであります。この
機会に、
政府は絶対に将来にわた
つてポツダム政令というものの発動をしないということを言うべきであるにかかわらず、昨日は、再び食確法に競続いて、のポツダム政令の発動をちらつかせたということは、いかに重大なる体格を擁したものが、総身に知恵のまわりかねた、何とかの
一つ覚えを繰り返しておるということについて、つくづく、あいそを盡かさざるを得なか
つたのであります。(
拍手)
一事不
再議の
原則も、先ほど来、口がすつぱくなるほど言われております。私は、もう繰返す労を省きたいのでありますけれども、先ほどの
答弁において、
一事不
再議の
原則は、か
つて憲法において認められたものであ
つて、現在の
法律にはない、ゆえにこれは是認せらるべきものであるというがごとき、まるで幼稚園の一年生のごとき
答弁を聞いたのでは、黙
つてはひつ込めないのであります。
皆さん、
国会は八千万
国民の
意思を代表して、そして
一つの事柄を
審議する、そして昨日のごとく、結果が
廃案と
なつた。
廃案と
なつたということは、
とりもなおさず、その背後にあるところの
国民の
意思は、六千三百円ペ
ースによるところの
法案というものを来年の三月三十一日まで延ばしてはいけないのだということなのであります。その
意思がはつきりしたにもかかわらず、再び攻守所をかえて、
政府のあごで使われるところの
與党の
議員が、おためごかしに出して来るということは、
国民の
意思というものを
まつたく蹂躙した、つまり民主主義というものを蹂躙したものであ
つて、
一事不
再議は民主府議
国会の鉄則であるにかかわらず、その鉄のとびらを破
つたという、その点だけは、まことに名誉ある、心臓の強い
與党であると私はいわざるを得ないのであります。(
拍手)
この
法案は、まことに
與党の
皆さんの御熱望にもかかわらず——一般
公務員の生活のめどを絞めようという御熱望、御希望にもかかわらず、お気の毒ではございますけれども、同じ運命をたど
つて葬り去られることは火を見るよりも明らかであります。この火を見るよりも明らかであるところの、やがて数刻の後に葬り去られるところの
法案というものをむりに出した
皆さんの
責任というものは、まことにわれわれは糾弾せざるを得ないのでありまして、むしろ私は、討論をするよりも、
国会からこれだけの
不信任を突きつけられたところの現
内閣は当然責を負うて総辞職すべきであるということを絶叫して、討論を終る次第であります。(
拍手)