○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました
外国為替及び
外国貿易管理法の一部を改正する
法律案について、大蔵
委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。
この法案は、昨年十二月一日公布されました
外国為替及び
外国貿易管理法の施工期日が各規定につき政令で定められることにな
つておりまして、その期間は本年三月三十一日までとな
つておりますのを、本年六月三十日までに改めようとするものであります。
このように施行期日を延期しなければならなくなりましたのは、
外国人の本邦内
事業活動等に関しましてなお愼重考究を要する点がありまして、
外国為替の集中、渉外債権債務の統制等に関する政令を制定するに至
つておらないためであります。
以上が、この法案の内容並びに
提出になりました
趣旨でありますが、本法案は、三月二十八日、本
委員会に付託されまして、翌二十九日、
政府委員より提案
理由の説明を聽取し、各委員より、円建取引の構想、
外国人の本邦内
事業活動等の具体的内容等について質疑が行われ、
政府委員よりそれぞれ
答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。
次いで討論を省略し採決いたしました
ところ、起立多数をも
つて本案は原案の
通り可決いたしました。
次に
災害被害者に対する
租税の
減免、
徴收猶予等に関する
法律の一部を改正する
法律案外三
租税関係法律案につきまして、大蔵
委員会の審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
まず
災害被害者に対する
租税の
減免、
徴收猶予等に関する
法律の一部を改正する
法律案についてその
趣旨と内容を御説明申し上げます。本
法律案は、今回の税制改正に関連して所得税、相続税、富裕税法等の災害
減免に関する規定を整備しようというのであります。すなわち所得税改正法案におきましては、震災、風水害、火災その他これらに類する災害等により流動資産以外の資産について損失を受けまして、その損失額が納税義務者の所得金額の十分の一を超過する場合、その超過額を所得金額から控除することとし、また流動資産については、災害等よる損失を
事業所得の経費と見る建前ををと
つていたのであります。しかるに、比較的に所得金額の少額な者が住宅または家財について甚大な被害を受けた場合には、従来と同様、本
法律による簡易な災害
減免の方途を認めることを適当と
考え、納税者が所得税法の規定による災害等の控除の規定と本
法律による災害
減免に関する規定とのいずれかを選択できることとするのが、本
法律案の
趣旨であります。しかして、この
法律による軽減または免除に際しては、所得税の軽減または免除を受ける者の範囲を従来の所得金額十五万円より三十万円に引上げることとし、所得金額が十五万円以下のときは所得税額の全額を免除し、所得金額が十五万円を越えるときは所得税額の半額を軽減するのであります。
次に富裕税に関しましても災害
減免に関する規定を設け、課税時期後、申告書の
提出期限前に甚大な被害を受けた場合、納付すべきその年分の富裕税は、征来の相続税の場合に準じ、被害を受けた部分の価額を控除した金額によりこれを計算することとし、また災害を受けた場合における相続税の
減免につきましても、今回の相続税法の全面的改正に伴いまして必要な整備を行おうとするものであります。
なお今回所得税及び法人税につき繰越控除の制度が創設ないし拡張されること等を考慮いたしまして、
昭和二十三年及び
昭和二十四年中に生じた災害たより
事業の用に供する資産等につき甚大な被害を受けた者につきましては、個人及び法人を通じて、その年において控除できなか
つた損失額を、被害を受けた年の翌年から三年間、必要な経費または損金として認める
特例を設け、災害発生の時期の差異による被害の負担の著しい不均衡を是正しようとするのであります
次に
国税犯則取締法の一部を改正する
法律案について御説明いたします。
国税に関する犯則者の取締りの強化に伴い、一層その執行の適正を期するとともに、納税者の正当な権利利益を保護することを必要と認め、その適用の実情にかんがみ若干の改正を加えようというのが本
法律案の
趣旨であります。
まず改正り第一点は通告処分の履行期限の延長でありまして、間接税に関する犯則につき、従来は通告後七日を経過してなお履行されないときは告発することとな
つてるのを、この期間を二十日に延長しようというのであります。その他刑事訴訟法の改正に対応し、收税官吏が物件を領置した場合の処理手続及びその
効果を差押えの場合と同様とし、また助女子の身体を捜索する場合には成年の女子の立会人を要することとする等が改正の
要点であります
次に
国税徴收法の一部を改正する
法律案について御説明いたします。
現下の困難な経済緒情勢のため、最近におきまして
国税の滯納は著しく
増加し、
国税徴收法による滯納処分を要する場合も
相当増加しているのでありますが、その施行の実情にかんがみまして、延滯金制度の合理化及び差押え禁止物件の範囲の拡張をはかるとともに、地方税の重要性の増大に基づき
国税と地方税の徴收上の順位を改正する等、同法に所要の改正を加えようというのが、本
法律案の
趣旨であります。
すなわち、まず
国税徴收の順位につきましては、従来
国税は他のすべての公課及び債権に優先して徴收することとな
つていたのでありますが、今回の税制改正に伴い地方税の重要性が著しく増大いたしましたので、
国税と地方税とは原則として同順位で徴收することとし、ただ
国税または地方税の滯納のため財産の差押えをしたときは、差押え財産の価額の限度において当該差押えをした方の
租税が優先することとし、また納税者が強制執行、破産の宣告あるいは競売を受けた場合においては
国税を地方税に優先して徴收しようというのであります。
次は延滯金制度の改正であります。従来日歩二十銭の割合で徴收することとな
つていた延滯金を延滯加算税額に改めるとともに、その額を日歩四銭の割合に軽減するこことし、なお
その最高限を滯納税額の五%
相当額に制限せんとするのであります。
次は差押禁止物件の追加であります。すなわち俸給、給料、
賃金等のいわゆる
給與所得につきその金額を差押えることは苛酷となる実情を考慮し、滯納者の受ける
給與所得のうち七五%
相当額の部分はこれを差押えることができないものといたします。
次に過誤納となりました
国税等を還付する場合に付加する還付加算税につきましても、右に対応し、現行の日歩十銭も、利子税額の日歩と同様四銭に改めようというのであります。
その他差押え財産を随意契約によ
つて売却することができる場合を若干拡張する等所要の改正を行うとともに、
租税の賦課徴收に関する処分または滯納処分に関する再調査、審査及び訴訟の制度及び手続き等につき、おおむね所得税法その他におけると同様な改正を行おうというのであります。
次に
国税の延滯金等の
特例に関する
法律案について御説明いたします。
今回所得税法の一部を改正する
法律案外各
国税に関する
法律案におきまして、本年四月からは、従来の
国税に対する延滯金及び加算税に関する制度を合理化いたしまして、その日歩を軽減いたすことにな
つているのであります。本
法律案は、さらに最近の経済情勢にかんがみ、本年一月一日さかのぼ
つてその日歩を軽減しようというのであります。すなわち、本年一月一日から三月三十一日までの期間に対する延滯金は、従来の日歩二十銭を八選に改め、また所得税、法人税、相続税及び通行税の同期間に対する加算税は、日歩十銭を四銭に改めることとし、なお本年四月以降利子税の制度に改められない非戰災者特別税、有価証券移転税及び取引高税の加算税についても、本年丹一月一日以降のものは日歩四銭に改めようというのであります。しかして、すでに延滯金または加算税を従来
通りの日歩で納付しまたは徴收いたしておりますときは、その過納となる分を未納の
国税等に充当するか、または
請求に基いて還付することにしようというのであります。
なお以上の諸
法律案は、いずれも四月一日より
実施せんとするのであります。
次に審議の経過について申し上げます。この四
法律案につきまして、二十四日及び二十五日、まず
政府委員より提案
理由の説明を聽取し、次いで質疑に入り、各委員より熱心なる質疑がありました。それらの質疑応答の内容に関しましては速記録を参照願うこととして、ここでは御報告を省略いたしたいと存じます。次いで二十九日、質疑を打切り、ただちに討論採決に入りました。まず川島委員は
日本社会党を代表して、
災害被害者に対する
減免法案に関しては、その方向においては賛意を表するも、今日
国民経済の実情から見て、この
減免の基準は妥当なものとは認めがたい、また延滯金等の
特例法についてはその根本において皮対であるから、改正法についても賛意を表し得ない、犯則取締法の改正については、きわめて不徹底であるから、これまた賛成しがたい等により四
法律案に反対する旨討論せられ、次に三宅委員は自由党を代表し、いずれも時宜に適した改正であり、いずれも賛成する旨述べられ、次に河田委員は
日本共産党を代表し、災害者に対する
減免に関しては、なさざるにひとしいものであり、延滯金等の
特例法については、本来延滯金等に同意しがたく、またこの程度ではなお過酷に過ぎる、また徴收法の改正は徴税官僚機構の強化である等の
理由により、いずれも反対する旨討論せられ、次に宮腰委員は民主党を代表し、災害者に対する
減免に関しては不十分で、もつと基準を改めるべきであり、延滯金等に関する
特例及び他の二法案についても、改正の方向は了とするも根本法に反対するがゆえに本
法律案に対しても反対である旨討論せられました。
かくて討議を終局し、四
法律案一括採決に入りました
ところ、起立多数をも
つて、いずすれも原案の
通り可決いたしました。
以上御報告申し上げます。(
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