○並木芳雄君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、ただいま上程されました二つの
決議案のうち、與党側より出されました
決議案に対して反対、野党側より出されました
決議案に対して賛成の意を表するものであります。(
拍手)
先ほど来、
趣旨弁明、質問、答弁その他によりまして、
法律上の問題その他いろいろ明らかにされました。私は、ここにそれを重ねて申し上げることを避けます。そうして、側面からこれを見ますときに、ただいま一見いたしまして、同じような表札を持
つていると見える二つの
決議案が出ておる。この
決議案に対して、どうして同じ
国会の中で、志を同じゆうする者が反対をし賛成をするかということは、おそらく
国民の皆さんの間においては、奇異の感に打たれるであろうと思います。そこにおきまして、私は、その誤解を一掃するために、表面は同じように見えますところのこの二つの
決議案の中に一足を踏み込んでみますと、実は片方にはあたたかみがあるに反して、片方には冷たい風が吹いている、こういうことを明らかにしておきたい思うのであります。(
拍手)
歳末に至
つて、いかにわれわれの
生活が苦しいか、これは
国家公務員にと
つても、
国鉄の
従業員にと
つても、またわれわれにと
つても同じであります。
従つて、今日あるをすでにわれわれは予期いたしまして、か
つて国鉄調停委員会の公聽会におきましては、わが党の中曽根議員が出席して、特にこの点に触れておるのでございます。
およそ政治の要諦というものは、声なき声に聞けということを言われております。ことに、最近のごとく
労働組合の健全なる発展が遂げられております際におきましては、政治の要諦に立ちます者は、特に声なき声に対して耳をかすという善政をしくにあらずんば、しばしばその道を誤ることを憂うるものであります。しかるに、この問題に関しましては、すでに各方面から、こういう声も出ておりますし、いろいろ警告も発せられにておつたにもかかわらず、
政府においては、池田大蔵大臣を初めとして、この声に耳をかさなかつたために、今日に至
つて非常に窮地に追い込まれたということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。(
拍手)
まことに残念ながら両者の協定ならず、
裁定案の上程されるに至つたということは、われわれとしては、とうていこれを受諾することができない、そういう見地から、先日来、
国会において、これを不
承認、拒否すべきだとい
態度をわれわれはと
つてお
つたのでございます。與党においても、おそらくこの窮状を見るに忍びず、真に
国鉄従業員の方々に対するこの問題を、真劍に、かつ誠意をも
つて取扱われんとする気持があるならば、今度の
裁定案上程に際しても、われわれと行をともにして、あくまでこれ拒否すべきであつたと思うのでありますけれ
ども、與党において、これをとらなかつた点は、われわれは、はなはだ不可解かつ遺憾に存ずるものであります。(
拍手)
與党は絶対多数をと
つておるのでありますから、私が申し上げるまでもなく、何でもできないものはない、こう断言してもよいのでありますが、先日来の
態度をも
つて、われわれがながめますときに、あるときには、いかにも野党の声にも同調するように見える。たとえば、われわれがこの
裁定案を拒否するときに、これに同調して、二日ないし三日というものを受付けないでおいた。こういうときには與党の
諸君も話がわかるのだな、こういう感じをわれわれは抱いた。しかるにもかかわらず、二、三日た
つて、いよいよこれを、抜打ち的に多数をも
つて押し切
つて受諾した。のみならず、われわれが今出そうか、きよう出そうかと、がまんにがまんを重ねて胸に秘めておつたところの緊急質問や
決議案というものを出させずにおいて、いよいよどん詰まりに来て、われわれが、きのうから今日にかけて、こうや
つて声をしぼ
つておるそのすきに乗じて、與党は
決議案を出して、抜打ち的な追打ちを食らわせようとした、こういう不信な
態度に対しては、われわれは、やはりこの壇上において明らかにしておく必要があるのであります。(
拍手)
特に今回の問題において、声を大にして申し上げなければならないのは、
政府はこの
裁定と
ベースの問題とを混同しておる。
裁定というものは、
法律によ
つて債権
債務の関係が生じたのであ
つて、そこにおいて、これに対する検討の余地とか努力の余地というものは、問題にならないりでありますけれ
ども、それをあたかも
賃金ベース改訂の問題と同じようにひつくるめて、苦しい財政のもと、健全財政の堅持のために、なかなか御期待に沿わないのであるというようなことを、
国民の前に示さんとするそのカモフラージの点については、われわれとしては、あくまでも承服できないということを指摘しておくのであります。(
拍手)それも、與党の皆さんは、
政府の手先とな
つて弁護しておる。これは、われわれ
国会議員として、まことに残念であると思うのであります。
さらに
公労法の第十六條、問題の「不可能な
資金」(発言する者多し)「不可能な
資金」という、あの「不可能」という言葉を、
政府も與党も、あまりに軽く解釈しておると思う。この「不可能な
資金」の「不可能」という文字を、いわば不可抗力的な、人為をも
つてしてはいかんともなしがたいような不可能という意味に、ごく狭く解釈して、どうしてこういう
公共企業体の
従業員の地位を保つことができるか。そういう点については、ぜひとも再考を煩わしたいのでございます。(
拍手)
さらに、この不可能ということを裏づけんがために、先ほど
吉武提案者の説明にも九
原則というものをひつぱり出し、また今根本討論者の言葉の中にも、盛んに九
原則というものをひつぱり出して、あたかもこれが絶対不可能のような印象を與えんとしております。私は、九
原則というものが、われわれが守らなければならない線であることは十分認識しております。しかしながら、ここに私は
政府並びに與党に借問したい。
皆さん、この間、日曜日の
国会放送討論会をお聞きに
なつたと思います。あのうちにおきまして、たまたま
増田官房長官は、米の超過供出を法制化することについて発言して、これは実は昨年の十二月二十四日に嚴命を受けておつたということを発表しております。これに対して、わが党の北村最高顧問から、ただちに発言を求めて、かくのごどきことを、うちにひそめて、しかもあの選挙に臨んで、主食供出後の自由販売を主張した
民主自由党の
責任というものは断じて許せない、こういう点に触れているのでありますが、私は、そういう点と今回の場合とを考えますときに、この九
原則に基くドツジ・ライン、健全財政、こういうようなものも、
民主自由党が、それだけの嚴命を受けておきながら、しかも選挙のときの公約とは反対の線を持
つて来た。それだけの心臓と傲慢さがあるならば、今度のこういう大事な場合において、皆さんの誠意をも
つてするならば、逆に
政府を鞭韃して、苦しいだろうけれ
ども、いかに困難が伴うとも、断固としてそれを突破すべきである、こういうことが言えるわけである。それを私は指摘したい。(
拍手)その誠意が、われわれにはうかがえない。もし誠意があるならば、なぜこの
裁定案を皆さんはけらなかつたか、受付けたが、こういうことが重大な論点にな
つて来るのでございます。(発言する者多し)
また
民主自由党の根本君は、盛んにだれがや
つても苦しいという言葉をここで使
つておつた(「その通り」)その通りとおつしやいますけれ
ども、皆さんの間に、過ぐる選挙において、だれがや
つても苦しいというようなことを言つた人がありますか。だれがや
つても苦しいということは、われわれ健全な野党でおる民主党のスローガンである。與党である
民主自由党のスローガンではなかつたはずだ。しかもそれを、その場において
態度を豹変して、逆に利用して、
国民の目をおおわんとする
態度は、われわれは断固として糾弾せざるを得ないのであります。(
拍手)この、だれがや
つても苦しい中ではありますれ
ども、本件に関する限りは、われわれは、力を盡し、誠意を披瀝して、あくまでも突破せざるを得ない。それなるがゆえに、今回の
決議案とな
つて現われて参
つたのであります。
與常である皆さん、アメリカでは、たとい與党であ
つても、必ずしもいつも足並をそろえて投票するとばかりは限らない。皆さんが
国会職員として、ほんとうに良心にそむく、真心に反する、そういう投票においては、反対の立場をと
つてもよいのであります。今からでも遅くはない。われわれのこの誠意を込めたる、真心を込めたるところの
決議案に皆さんに同調して、皆さんのこの偽善を秘めた、冷い風の吹いているところの
決議案は、ただちに撤回して、幸いわれわれは、挙党一致、本件の目的完遂のために足並をそろえたいと思うのであります。
以上、民主党野党派を代表いたしまして、私の討論を終る次第であります、(
拍手)