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石田一松君 まず第一に、総理
大臣並びに
人事院総裁に御
質問を申し上げるのでありますが、およそ
国家公務員、あるいはまた
公共企業体の
職員、あるいは
公務員諸君の
給與の支給であるとか、あるいは変更、
手当の支給等の審議にあたりまして、その重要なる基礎となりますものは、
給與の総額、
給與の時期並びに
給與を受ける人員でございます。この点につきまして、総理
大臣並びに
人事院総裁に対して、
裁定との関俵も深うございますので、お尋ねをしたいと思いますが、
昭和二十四年十二月一日現在、
国家公務員の総数、すなわち実在の
公務員数は幾人であるかということでございます。もちろん、十二月一日現在が調査の結果不可能であるということは想像できますので、可及的に最近御調査なさいしました資料によ
つてでけつこうでございますが、はたして
政府は、
国家公務員あるいは
公共企業体の
従業員は幾人であると把握して
給與の問題を考究していらつしやるか、この点をお尋ねするのであります。
また
人事院総裁におかれましては、おそらく
賃金ベースの勧告などをなさいますについて、
人事院の権威のためにも、
政府とは別に、
人事院独自の観点においての調査による史料によ
つて公務員の数を把握していらつしやることと思います。そこで、この際特に
人事院の特別調査によるところの
国家公務員の総数、実際数をお数え願いたいと思います。この点につきましては、後日
委員会におきまして御
答弁のあ
つたあかつき、
委員長を通じて、
政府にその資料の
提出を
要求するつもりでおりますので、確実なる数字を御
説明、御報告願いたいと思います。
次に、これに関連いたしまして、
大蔵大臣にちよつとお尋ねをいたしますが、
国家公務員に支給すべき人件費といたしまして二十四年度の
予算に計上してある総額と、実在の
公務員に支給されておる実際の支給額の総額とが一致するかどうか。すなわち、
予算定員というものがあ
つて、実際においては人件費が余るのではないか。もし余るとすれば、今年度どのくらい余る
予算でこれをまかな
つておるか。このことについて、
はつきりした御
説明を願いたいと思うのであります。
いま
一つ大蔵大臣にお尋ねしたいことは、ドツジ・ラインによるところの今年度の総
予算は絶対的のものであるというような
説明をわれわれはしばしば承
つておるのでありますが、聞くところによると、今回のこの
裁定案については、
国鉄における車輛の修理費とか、あるいは石炭の値下りによるその浮いた金によ
つてこれをまかなおうとする
予算的措置がなされておるというのでありますが、そうすると、最初に二十四年度の
予算を
提出なさいましたときには、節約すれば節約可能、繰延べすれば繰延べ可能の車輛の修理費などが、ドツジ・ラインの絶対的の線であるとい
つて予算の中に組まれていたのであるかどうか。このことを、私は特にこの際
大蔵大臣にお尋ねしておきたいを思うのであります。
この点については、各省
大臣、特に本多
国務大臣の
関係、あるいは
労働大臣の
関係においてお尋ねしたいと思うのでありますが、先般定員法によるところの
行政整理がなされまして、
相当の首切りがありましたが、この首切りの結果、各省、各官庁の
公務員の数は、定員法に明示したところの数と同じであるか。聞くところによれば、ある省においては、数千人という人数を、定員から食い込んで首をき
つておる事実があるということを聞くのでありますが、この点に関しまして、
責任の地位にあられた本多
国務大臣、並びにできるならば小澤郵政
大臣あたりから、特に丁寧なる御
説明を求めたいと思うのであります。
以下、法務
総裁並びにこの
公労法が審議されました当時の
労働大臣であり、現在
官房長官をや
つていらつしやいます増田さんに、特にお尋ねいたしたいと思います。
公共企業体労働関係法は、その立法にあたりまして、労働
委員会で、昨年の十一月二十日ごろ審議の当時、
労働大臣であ
つた増田さんの
答弁にかわりまして、労働省の事務官の、今ここにいらつしやいます賀來さんが出席なさいまして、こういう
説明をなさ
つておるのであります。すなわち、この
法律の第三十
五條の
仲裁委員会の
裁定は、
当事者を拘束する最終的なものである、
当事者はこの
裁定服従しなければならないことはももちろんであ
つて、この
裁定をくづがえし得るものは裁判所の権限である、こういう
意味のことをおつしやいまして、この
裁定こそは行政官庁における最終の
決定であるということを言明なさ
つておるのであります。すなわち、この
裁定は、
国会が立法した
法律の
規定に基いて組織された
仲裁委員会という公の機関によ
つてなされた
裁定でありまして、言葉をかえて言うならば、
国会は
法律によ
つて、この
仲裁委員会を、
公共企業体の当局並びに
職員の間における
紛争の最終
決定機関として認めた、私はこう評すべきであると思うのでありますが、
政府の見解はどうであるか。
その結果といたしまして、この
裁定が
当事者によ
つてもし守られない場合におきまして、ただいま申しました賀來
政府委員が
説明をした、裁判所に
当事者の一方が訴える、その訴えによ
つて裁判所が裁判をした結果、あるいはまたこの
裁定の
効力より違
つた判決がなし得ることはあり得ると
考えるのが正しい
解釈である、こういうふうに私は
考えるのでありますが、その点について、殖田法務
総裁はどうお
考えになるのか。私は、その結論といたしましては、それらの手続き以外には、
公共企業体仲裁委員会の
決定を変更し、あるいは否認し、拒否するという機関は
国家にあり得ないと思うのでありますが、この点に関してのお
考えを承りたいと思います。
少くとも本法は、三十
五條の但書に
規定がある事項の
裁定でない場合、すなわち第十六條に
規定する、
公共企業体の
予算上または
資金上不可能な
資金の
支出を
内容としない
裁定は、第三十
五條の前段にありますように、当時者
双方を拘束し、
裁定の示すところに
従つて、
当事者はそれぞれ
債権債務の権利または義務を負うものであることだけは当然であります。そういたしますと、三十三條の但書によりまして、第十六條によるというのは、十六條の第一項のみをさすのであ
つて、第二項はささないと解するのが正しいと思うのでありますが、この点についての御
説明を願います。それは、
予算上または
資金上不可能な
資金の
支出——国会が
所定の
行為、すなわち
政府を通じて
提出された新たなる、いわゆる追加
予算を是認するという手続が済むまでは、国民の負担になる
支出、支拂いという
行為を禁止したものでありまして、この
裁定そのものの
効力を云々する
規定ではないと私は解すべきであると思うのでありますが、この点についての法務
総裁の御見解を承りたいと思います。
すなわち、
裁定の
効力は、
政府の国民に対する
提案または
予算的措置の
提出、このことによ
つて、
裁定された
裁定そのものの
効力には、何ら本質上変更がないということであります。あくまでも、この
裁定の
効力は、
効力のあるままの状態に置かれ、しかも、一方
当事者は、三十三條の前段によ
つてこの
裁定に拘束され、これに服従し、しかも必要なる手続をと
つて、
当事者はこの
裁定に盛
つた内容の
協定をなすべきであると私は解します。この
裁定を締結し、
裁定が
協定とな
つても、十六條の第一項で、
協定だけでは
予算上または
資金上不可能の
支出を支拂
つてはならんないという、この際にも支拂いの事実を停止したままでありまして、この際の
仲裁委員会の
裁定そのものの
効力は決して消滅しておらないと私は
考えるのでございますが、殖田法務
総裁の見解を私は承りたいと思うのであります。
ただいま申し上げました、支拂いの停止を命ぜられておる間に
国会が審議をする、しかもまたこの際
協定が結ばれる、結ばれたときに第二項等が適用される、こういうふうに解して、初めて私は、本法がいわゆる
公共企業体の爭議権、憲法に認められた爭議権を剥奪された特殊の地位にある方々の保護のために立法された
法律の
精神にかなうものであると理解するのであります。もし三十
五條の但書が十六條の二項にまで及ぶといたしますと、一番
最後に、この
協定は、それに記載された日付にさかのぼ
つて効力を発生するものとする、という
規定がございますが、もし三十
五條の但書によ
つて第十六條の第二項が適用されると
解釈いたしましたならば、もしこの
裁定そのものが、今回のように、不法にも
政府によ
つて国会に
提出されようとしておるが、その
効力というものは、
国会で認められたときには、
裁定をした日にさかのぼ
つてこの
効力が及ぶのか、それとも実際に
当事者同士が
協定を結んだときにこの
効力が発生するのかという、まことに
法律上問題になる疑義を生ずるのであります。この際私は、この第十六條の二項というものは、第三十
五條の但書によるところの第十六條のうちには含まない、すなわち、第一一項によ
つて協定がなされたあかつきに初めて第二項の
協定のいわゆる
規定が生きる、こう
解釈するのが私は正しいと
考えるのでありますが、この点に関する
政府の見解を、
はつきりと承りたいと思うのであります。
公共企業体の
予算上あるいは
資金上不可能な支拂いを
内容としているという
委員会の
裁定または
当事者間の
協定というその事案を、この
法律そのものは、すでに認めておるのであります。
公共企業体が
予算上、
資金上
支出不可能な
協定をなす、あるいはまた、そういう
裁定が
仲裁委員会でなされることがあるということを予測し、それを認めての立法が十六條、三十
五條であると解したのであります。ゆえに、先ほど来
官房長官が、
国家の
財政上、
予算上また
国鉄の
予算上不可能でありますので、とい言葉をお使いになりましたが、予参上あるいは
資金上、この
裁定そのものが、支拂いをするのに不可能であるという
理由でも
つて、この
裁定の無効あるいは一部の改廃というようなことを許すということは、
法律には一切書いてないのであります。
予算上不可能だということは、現在日本が置かれている特殊事情によ
つて、
関係当局の一応の了承を得なければならないという特殊事情があるから、
予算上不可能であるから、この
裁定には同意できないということを、
政府が
言つておるのであります。私は、その
意味がわからないのではございません。その
意味は十分に了承するのでありますが、もしそういうことで、この
法律の
解釈を曲げてや
つたとして、第一回の
裁定に対して、こうした判断を下すとするならば、後日日本が独立
国家となり、しかも占領国軍の占領という
わくから離れたときからでも、はたしてそういう
解釈ができるかどうか。おそらくそのときには、この先例を破
つて、再び正しい
解釈に返る。すなわち、
法律はあくまでも嚴正なものであり、しかも
公共企業体労働関係法は、その
理由に示されている
通りに、
昭和二十三年七月二十二日付内閣総理
大臣あての連合国最高司令官の書簡に基いて、これが
提出されているのであります。すなわち、最高司令官の書簡に基いてなされたものであります。であるとするならば、たとい占領治下におけるといえども、この法の
解釈は絶対に嚴正になされなければならぬ、私はこういうふうに
考えておるのであります。
さて、今回の
政府並びに
国鉄当局がつく
つていらつしやいます
予算的措置あるいは
資金的な措置というものは、第十六條第一項に
規定された、いわゆる
公共企業体の
予算的あるいは
資金的に不可能なる支拂いでは……。
〔「浅草でやれ」と呼び、その他発言する者多し〕