○
加藤(充)
委員 私はその点についての
質問は終りますが、いろいろな
意味で、私は
保護観察という
言葉自体がどうもきらいなんです。私もずいぶん痛い目を受け、被害を受けた一人であると思
つておりますが、こういうような
意味で私はお聞きしたのですが、
認定が先に
なつちやつて、
申出があるとかないとかいうようなことはもうほんのつけ足しにな
つて、この六箇月の
期間が
実質上延長される。しかも官憲のか
つてな独断で、
刑務所の中でどうもがらが悪いやつと
認定された者が、出て来てからも六箇月
お礼奉公をしなければならぬという
立場を非常にとりやすいと思います。これは
人権の
保護だとか、
更生だとか非常にお題目は
りつぱですが、
実質は恐るべきところの
人権の不当な蹂躙なり
拘束をやられるのが、今のお
役人の
やり方だ
つたら、いろいろ
考えさせられるから、そのことをあえて聞いたのです。そういうことの重々ないように私は注意をしたいのです。しかし
条文の
建前上、今申し上げたような簡単な一、二の
条文を拾
つて見ただけでも徹底しないところがある。その徹底しないところが
運用されて来る、こういうふうなおそれがある。しかも十三条にありますように、
扶養義務者が全然ない。あるいは
扶養義務者があ
つても客観的にその
負担能力を全然持たない、
資的能力を全然持たないという場合は、私はこれは
一般的に言えばごく少数じやないかと思います。弁護士のところに
弁護料を持
つて来ないという者は往々にあ
つても、ここに言われる
扶養義務者、そして
負担能力というような問題をお
役人が法文上
考える場合におきましては、ほとんど
扶養義務者というものは
一般的にあり、しかも多少幾ばくかの
負担能力は持
つているという者に
犯罪者が多いと思う。しかもその連中は、その
扶養義務者にたよ
つて行くことができないいろいろな
事情があ
つて、やむを得ず
犯罪者の中に落ちて
行つた人々が非常に多いと思うのです。
従つて四条で
認定して入れるのだ
つたら十三条はいらないし、十三条というものを持つ以上は、これは非常に恩恵的なものだということを
言つておりまするけれども、恩恵を施される者は一人もない。しかもいろいろな形で今まで親不孝、身内不孝をや
つた上に、出て来た者がまたやつかいをかけてしま
つて、そしてさらに
犯罪の
条件を強めて行くというようなことにな
つてしまうと思う。ここいらあたりにもこの
法案の所期することの不徹底さがある。不徹底なものであることは、そこにお
役人が中心にな
つて、幾ばくかの
国家予算をも
つて、それでポストについて仕事をすればいいというような
考え方が見られる。しかもそれがだんだんやみ行為に入りますから、六箇月の不当
人権蹂躪ということが諸所に行われる。私は思想犯についての今までの経験を言
つたのですけれども、やはり
人権と言う以上は、
一般の刑事
犯罪も同じようなんです。そういうふうな
意味で、
刑務所の中で務めて、そして仮
釈放にもならないで刑期
満期で出て来た者は、どうせ
刑務所の覚えもめでたくないやつですから、それが
検事局と連絡をとり、
保護観察所長とまた連繋のもとに、六箇月の
お礼奉公を務めさせられる。今日の
刑務所の形態について、
刑務所における囚人の自由なと
言つては語弊がありましようが、民主的にな
つて来た
条文がいろいろ出て来ております。前よりははるかに明るくなりかけて来ておりますけれども、
刑務所内の服役者に対するこれが見えざる圧迫とな
つて、昔の
刑務所制度の再現になる。こういうふうなことに
運用されて来ることを、非常に強くこの
法案の中から看取し得られる。この法文の中には得心の行きかねる点があるからお尋ねしたわけなんですが、その点はひとつ重々ないようにや
つてもらいたいと思う。それで十三条の適用の仕方から言いますると、何か
国家予算を官僚や
——どうせこんな者になるやつは古手の官僚で、使い道のないやつがこういう者になりやすいでしようが、そういうような予算を組んでとんでもないことをやらかす。こういうことのないように、
——犯罪というものの原因なり
責任というものは
社会的なものなんで、そういうごく例外な、
刑務所から出て来たからまた頼みますというようなものは、これはよくよくの食いつめ者ですから、数にしても大したものでもないと思うのです。だからそれはおおらかに
国家がその
責任の所在を明確にして、そしてこんなちつぽけなことを
保護者の
負担だというようなことにせずに、全部拾い上げてやるべきじやないか、こう思うのです。そうしないと、繰返し言うのですが、やらずぶ
つたくりで、六箇月の
お礼奉公だけが非常な
拘束にな
つて来やしないかと思う。
それからそれに関連しますが、十
四条以下に寄付金の募集の
条文があるのですが、これは赤い羽、青い羽、白い羽のいろいろな
社会厚生
事業団体、昔の
社会事業団体、あるいはそれらとぐるにな
つた官僚等のつながり合いで、そこにもうさたにたえたる腐敗や不正が出て来ております。私はこういうふうな寄付金の募集、さらにこの十三条との関連において、
保護者
負担というようなことにしておきながら、なお寄付金もやる。また
国家の予算をそのほかにつぐというようなことでは、これはまた免囚
保護を今までの官僚がや
つたと同じことになると思う。こういうようなことで赤い羽の良心的な、あたたかい
民間の志が、か
つてに流用されたら、とんでもない酒池肉林の金になる
危険性があると思うのであります。こういうことについて、赤い羽の募集
手続なんかの今までの経験なんかで、十
四条以下のこの寄付金募集について、あなた方で感ずるところがあ
つたらこれの対策、腐敗や不正のないような対策も念のために伺
つておきたいと思います。