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1950-03-22 第7回国会 衆議院 法務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十二日(水曜日)     午後二時三十九分開議  出席委員    委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 高橋 英吉君 理事 猪俣 浩三君       佐瀬 昌三君    松木  弘君       眞鍋  勝君    武藤 嘉一君       吉田 省三君    加藤  充君       三木 武夫君    世耕 弘一君  出席政府委員         法務政務次官  牧野 寛索君         検     事         (法制意見第四         局長)     野木 新一君         法務事務官         (矯正保護局         長)      古橋浦四郎君  委員外出席者         検     事         (検務局刑事課         長)      宮下 明義君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  裁判所職員定員に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第七六号)  裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出  第七七号)  少年院法の一部を改正する法律案内閣提出第  七八号)(参議院送付)  少年法の一部を改正する法律案内閣提出第七  九号)(参議院送付)  矯正保護作業の運営及び利用に関する法律案(  内閣提出第八八号)     ―――――――――――――
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日はまず裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判所法等の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑の後討論採決に入ります。両案について御質疑はありませんか。
  3. 加藤充

    加藤(充)委員 これに関連いたした質問を、前会も引続いてやつておりますが、問題になりまする渉外関係裁判権について、最高裁判所側見解は一応明確にされたのでありますが、裁判権の有無にかかわりませず、しからば日本検察関係は、それを取調べ、あるいは調査にあたる、そうした権限はどうなつておるのかということに、ついては、まだ検察庁方面並びにそれに対する政府側見解が明確にされておりませんので、前会に引続きその点の答弁を承りたいと思います。
  4. 宮下明義

    宮下説明員 御承知のように、連合国人の犯しました犯罪に対して、昭和二十一年の連合国最高司令官覚書七五六号、「刑事裁判権行使に関する件」によりまして、日本裁判所刑事裁判権行使制限されておることについては、すでに御承知のことと考えるのでありますが、この刑事裁判権行使に関する件によつて制限をされておりまするのは、あくまで刑事裁判権行使、言いかえますれば、有罪無罪の決定をいたしまする審判手続に関して制限を受けておるわけでありまして、その前段階でありまする捜査段階においては、それよりもかなりゆるやかになつておりまして、どうしても必要がある場合には、事情によりまして、日本捜査権が働き得る余地のある解釈になり、そのような運用をいたしておるわけであります。さらにまた敷衍いたしますると、事情によりましては、現行犯の場合とか、あるいは非常に特殊な重大な事件でございまして、その地に連合国官憲が駐在いたしておりませんような場合には、日本捜査官憲連合国人を逮捕することも認められておるのであります。また連合国人の所有いたしまする店舖等につきましても、犯罪捜査対象連合国人でない場合、言いかえますれば、ただ連合国人の名義を借りておるけれども、実際には日本人の営業である、あるいは日本人犯罪捜査するというような場合には、その店舖あるいは住居等について、押收捜索等強制捜査をすることも許されておるわけであります。従いまして有罪無罪審判手続に関する制限よりも、捜査段階の方がよりゆるやかな解釈運用になつておるわけでございます。
  5. 加藤充

    加藤(充)委員 関連してお尋ねいたしますが、本年の三月五日の毎日新聞には、台湾募兵問題について、募兵問題の真相本社調査による募兵真相はこうだといつて大分責任の持てるような記事が載つておるのでありますが、李鉎源が、元北支派遣軍司令官根本中将、そのほか吉川源三元中佐ら六名の日本人伴つて、二十四年の六月、宮崎県延岡港から出港した。二十四年の五月五日には、南多摩郡鶴川村熊ヶ谷千四十五番地の根本中将の屋敷で、根本が「日本独立保全のためには、中国中共を押えなくてはならぬ」「今こそ国民党危機を救うべき義務がある」というようなことを言つておるのが載つておるのですが、こういうような記事が、新聞記者責任の持てる記事として報道されましたときに、処罰はできなくても、少くともこれに対して日本政府は、取調べなり逮捕なりできる権限をお持ちだと思いますが、その点はいかがですか。
  6. 宮下明義

    宮下説明員 台湾人おしなべまして中国人に対して、犯罪捜査権あるいは刑事裁判権がどうなつているかという点につきましては、昭和二十二年二月二十五日に、中国人の登録に関する覚書と申しまする連合国最高司令官覚書が発せられ、それによつて取扱いをいたしておるのであります。
  7. 加藤充

    加藤(充)委員 いや、私は根本中将のことを聞いておるのであつて中国人のことをここで聞いておるのではない。
  8. 宮下明義

    宮下説明員 第三国人連合国人に関する御質問趣旨ではないのでございますか。
  9. 加藤充

    加藤(充)委員 それに関連して、それではこういう渉外関係があるけれども根本中将らは押えられるはずだというのが私ども見解なのでありますが、これについての御意見を承りたい。
  10. 宮下明義

    宮下説明員 犯罪捜査対象日本人でありまする限りは、何ら犯罪捜査あるいは刑事裁判権について制限は受けておりません。従いまして犯罪捜査をしようとすれば、何ら制限はないはずでございます。
  11. 加藤充

    加藤(充)委員 根本中将はその後日本へ帰つて来ていないようですから、調べたくてもつかまえる方法がなさそうに思いますが、同紙の記事はさらに次のごとく続いている。「六月二十六日長崎針尾收容所にいて送還される中国人不法入国者九名と、李鉎源氏根本氏、吉川氏ほか五名の日本人長崎延岡港から第一捷進丸で出航したものである。」これは募兵に応じて台湾に渡り、そして帰つて来た吉川中佐がこう言つているのですが、こういう者かどうしてしやあしあと出航できて行けるのか。また吉川中佐が帰つて来たのに、政府はこれを逮捕しようとなさらない。権限内ならなぜ逮捕なさらないのか、そういうこともおわかりだつたらお聞きしたい。
  12. 宮下明義

    宮下説明員 日本に居留しておりまする者が、連合国最高司令官許可を得ませんで、日本からみだりに出港いたしましたり、あるいは許可を得ないで日本に帰来いたしますれば、最高司令官覚書違反でありまして、勅令三一一号違反を構成するものと考える次第であります。御質問の点につきましては、前にこの委員会法務総裁が御答弁申し上げましたように、政令違反ではあるが、その関係については、関係方面との折衝段階であるから一応御了承を願いたいという答弁を、法務総裁からいたしてございまするので、たしか加藤委員もその答弁をお聞きになつたのではないかと承知しておりますが、それで御了承願いたいと思います。
  13. 加藤充

    加藤(充)委員 渉外関係になる前に逮捕しなかつたことについて、私ども殖田さんがきよう来ないから、殖田さんに話をするわけに行きませんですが、渉外関係なつたからどうにもならないというのは逃げ口上で、私ども政府責任の懈怠、あるいは故意に渉外関係だというようなことでぼやかしておつて、こういうものを奨励しておるのではないか、こういうふうなことを疑うに十分な根拠があるから、こういうことを聞いておる。この三月五日の毎日新聞記事を、あなたも読んでおると思うけれども、今しばらく念のために続けて紹介したいと思うのですが、吉川中佐の談話は続いて、吉川照尾と中尾は厦門から中国塩船に便乗して、九月二十一日門司に入港帰国した。根本中将ほか三名は現地に残つて、後に台湾渡つたらしい。帰国にあたつては、これは吉川ですが、湯将軍から百万円をもらつて来た、こういうふうなことも言つておるのです。こんなものが渉外関係になる前に、長い間こういうことをやつて来ておることは、この前の質問でもわかつておるように、スパイを放つて培養してやつておる特審局、あるいは法務府、日本政府には、こんないけしやあしあと長崎針尾收容所に收容した中国人不法入国者九名と一緒に渡つておることが知れないわけはない。また門司に堂々と入国して来るようなものは、渉外関係になる前に、日本政府はみずから自主的にこれを逮捕し、あるいは取調べはできないわけはないと思う。こういうふうなことが公然と行われておることは、日本政府責任は私は重大なものがあると思うから聞いておるのです。渉外関係に渡つてまつたから責任解除だというのではなしに、こういうふうなものをどういうふうに取締るのか、どういうふうにやつておるのか。やつていないではないか。こういうことを私は聞きたいので、もしおやりになつておるならば、どういうふうな捜査機関を持つて、こういうことについてはここまでタツチしたけれども逃げられた、あるいは帰つて来た者をつかまえようと思つて、こうこう配置したけれども、遂に逮捕に至らなかつた。その間に渉外関係になつてまつたんだということを、責任ある御回答を願いたいと思うのであります。
  14. 宮下明義

    宮下説明員 吉川中佐特審局取調べをしたことは承知いたしております。私の所管外でありますから、最前の答弁以上申し上げることはできません。
  15. 加藤充

    加藤(充)委員 それではこういうことはどうです。去る二月に吉川中佐が百万円をもらつて来たと言い、湯恩伯命令で、台湾から三人の中国人日本に密航して来て、日本海岸で逮捕された。密輸の目的だと言うけれども、その中には台湾に行く飛行機乗りだとか何とかいう募兵の意図が隱されていたということがいわれておるのですが、そういう事実は、政府としては御存じですか。
  16. 宮下明義

    宮下説明員 所管外でありまして、存じておりません。
  17. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは政府委員牧野君にひとつ御答弁を願いたい。
  18. 牧野寛索

    牧野政府委員 ただいまの問題でありますが、御承知通り刑事訴訟法は、現行犯以外において逮捕する場合は相当のやはり証拠がなければならぬので、そういう新聞記事が出たからといいまして、ただちにそれによつて逮捕するというようなことはでき得ない立場になつておるのであります。それで特審局におきましても、その関係につきましては、鋭意調査いたしておることは宮下説明員の言われた通りでありまして、その結果の処分につきまして、私はいまだ聞いておりませんので、ここに申し上げることはできませんが、加藤委員の申されるように、それがかえつて奨励しておるのではないかというような事実はさらにないのであります。やはり処罰すべきものは処罰いたしております。しこうしてこの事件渉外関係にまわる前になぜやらぬかというようなお話でありますが、根本的にこの問題は、やはり渉外関係に最初から関連のあるものでありまして、やはり向うと折衝をいたして処罰等につきましてもいたさなければならぬ問題であろうと思うのであります。 詳しいことは私どもも現在報告を受けておりませんので、これ以上申し上げることができませんが、大体御質問の問題につきまして、さよう御承知を願いたいと思います。
  19. 加藤充

    加藤(充)委員 湯恩伯命令で、日本海岸に漂着した者が逮捕されたという事実は、おわかりにならないのですか。
  20. 牧野寛索

    牧野政府委員 それも私はまだ報告を受けておりません。
  21. 加藤充

    加藤(充)委員 それではもう一つ、これは確めてもらいたいのでお聞きしますが、これも元軍人櫻井徳太郎の手によつて台湾あるいは国民党中国戰争の中へ入つて行く者が、鹿児島で五百人待機しているとか、あるいはすでに出発したというようなことがいわれておりますが、そういうふうなことは、政府として関知いたしておりませんか。
  22. 牧野寛索

    牧野政府委員 どういうところからそういうふうなことをお聞きになつたか知りませんが、私らとしては存じておりません。
  23. 加藤充

    加藤(充)委員 それはここに三月十七日の日本新聞の夕刊に出ておりまして、これほど仰々しい写真入りの問題であるのに政府が関知しないということになりますと、それだけでもたいへんな失態だと思うのですが、それはさておきまして、三月十六日の天声人語欄にはこういうことが言われております。日本戰争を放棄したのは、まず自分では絶対に戰争をしないという建前であることもちろんだが、といつて外国幾ら戰争があつてもよいということではないはずだ。国際的平和なくして、どうして日本のみ平和国家たり得ようか。これは自明の理である輸出の振興なしに国民生活が成り立たぬことは言うまでもないが、それは何を輸出してもよいということではなくして、やはり国際平和の中に寄與するような、それに危險を與えるような軍需資材等輸出というものは考慮しなければならない。こういうことを新聞人が正しく天声人語欄で指摘しておるのであります。また中国新聞の新華社は、三月二日に、中国に対する空爆が、日本人を含めて国民党外国人との共同計画によつてなされていることを非難して「中国爆撃の典型は、飛行機アメリカ製、爆彈はアメリカ製飛行士爆撃手アメリカ人、一部日本人である。」云々、こういうことを言つております。また本日、各法務委員の手に配付されたのだと思いますが、留日華僑総会会長林炳松氏から、台湾募兵問題に関連して要求書が届けられております。その一部の趣旨は、旧日本軍人等一部の日本人中国に密航し、中国国内戰争に参加している事実のあることが、昨年来内外の通信社新聞社によつて報ぜられております。私ども見解によれば、これら一部日本人の行為は、人類の叡智と長期にわたる努力の結果打ち建てられた民族自決の偉大な原則をふみにじるものであるとともに、民主的平和国家の再建に努力しつつある大多数日本国民の善意を無にするものであります。だからこういうふうな台湾募兵に応じたり、民族独立の問題に武力で干渉して行くというものについては、この日本政府も一応の職責を十分に果すべきであるということ、それで裁判権がないからしかたがないというのでありましようけれども日本政府に対する要求書として、吉川中佐のことを嚴重に処罰するなり、あるいは逮捕して取調べよというようなことが要求されておるようであります。私どもは何も事を構えるためにこういうこと言うのではなくして、天声人語にもまさしくありましたように、今講和の問題だとか、日本を民主的に再建するとか、そういうことよりも何よりも、まず最近の不景気の問題で、やはり全面講和を要望し、中共との貿易なんかを切望している中小企業者は多いのですが、政府の至らざる処置、あるいは一部外人記者の報道しているところによりますと、日本政府がこういうような取締りをサボタージユし、むしろ逆にそういうようなことを保護、奬励しておると解されてもいたし方がないことばかりやつているということは、日本人としてひとしく真剣に憂えてみなければならない問題であると思う。こういうふうなことをいやしくも簡單渉外関係一般の中に埋沒させてしまつて、この取調べ、あるいは責任世界に対して明確にしないと、日本はどうなつて行くのか、私どもは真剣にこれを憂えるから、あえてこの質問をくどくするのですが、どうも関知してないとか、いまだ調べてないとか、あいまい模糊とした御答弁しかいただけないのはまことに残念ですけれども、私はこの次にはつきりした答弁責任の所在のことを、共産党の一加藤答弁するのではなく、あなた方のこの委員会における答弁は全世界の、ましてこういうような要求書を出している隣邦の中国華僑諸君に対する答弁だというふうに心得て、ひとつ責任のある明確な回答を與えてほしいことを強く要望いたしまして、きようは、私これ以上知らないという者とのれんの腕押し質疑を重ねたところでしかたがありませんから、これでやめます。
  24. 牧野寛索

    牧野政府委員 加藤委員からただいま言われました天声人語におけるところの戰争放棄世界平和に対するところのお話は、われわれといたしましても同感であります。なぜ密航した人間を処罰しないかというようなお話でありますが、密航者というような法令に違反した者に対しては、過般法務総裁が言われました通りに、断固として処罰する方針をもつてつております。吉川中佐の問題ですが、これは特審局においても相当調べておることでありまして、それらの結果のいかがであるかということは渉外関係にもわたることでありまして、われわれとしましては関知することはでき得ないのであります。
  25. 花村四郎

    花村委員長 両案について御質疑はありませんか。ほかに御質疑がなければ、まず裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。討論通告がありますからこれを許します。加藤充君。
  26. 加藤充

    加藤(充)委員 簡單に申し上げます。裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案提案理由書を拜見させていただきますと、聞捨てならないことが改正理由になつていると思うのであります。前文を省略いたしますが、現下の社会的経済的事情を反映して、これらの事件予想外増加を示し、昨年中における全国家庭裁判所云々とこういうようなことを言つておりますが、私はなぜ聞捨てならないかと申し上げるかといえば、予想外増加を示しということであります。犯罪あるいはその他不良少年、こういうようなものがたくさんふえるということは、これは当然に予想しなければならない問題であると思う。こういうような問題は、あの一家心中予想外であり、一家心中などするものは、ただあわててじたばたするごく少数の者にしかすぎないということを、池田蔵相の失言ということよりも、その本質を発揮させたじたばた放言の中に現われておると思いますが、安定した、安定したというようなこの時局の見方、あるいは人民生活見方、あるいは日本経済のあり方の認識、こういろようなものの中から、予想外増加したなどということはとんでもない無責任な、これは政治家としては致命的欠格を暴露したというようなことになつて参る言葉が出ておるのだと思うのであります。大体においてこれほど苛烈な不景気政策中小業者の破壊や、あるいは労働者諸君に対する首切りや、低賃金、あるいは農民の天くだり的割当押しつけ、べらぼうな低い値段の供出強行、またこの売つて損、買うて損の、いわゆる最近では滞貨で有名になつて来てしまつ根本原因になつておるあの強行輸入飢餓輸出のこの売国的な貿易、あるいは外資導入政策、こういうようなものが来れば、今の程度の行き詰まりは予想外増加でなくして、今ぐらいの治安のこの問題は当然なものであつて、まだ内輪であります。これをもし予想外増加だといつていはしやあしあと手を上げておるということは、もつてのほかだと思うのでもります。しかもこのことを正しくはつきりと言わなくても、大方のことを予言したいわゆる三月危機蜷川長官を首にしてしまつた。こういうことが職員定員を増員するというような根本理由になつておる。こういうことについては、私は断固としてその無責任とその策の当を得ていないということから反対せざるを得ない。こういうふうに彈圧機関を拡充し、しかもその内容たるや、高級高額の特権官僚をふやして行く、こういうことばかりで、いわゆる防犯の根本的対策というようなことを考えぬのはもつてのほかのさか立ち政策であると思う。なるほどこの中には少年保護司制度を改めて、少年調査官にするとか、あるいは少年調査官を置くとかいうようなことを言つておつたり、いろいろなことを言つておりますけれども、これは根本対策を誤つたものであり、しかも基本的な政策政治が間違つておるためにこういうふうになつて来たものに対して、その根本を改めることなしに、無批判にいけしやあしあとしてそれに便乗して、彈圧機関を増強して行く、まさにフアシヨヘの政治官僚独善政治へのこのやり方を逆手にこれを利用して彈圧機関の増強のために使うというようなことについては、わが党としては、これはたれしも同じだと思いますが、まつ先に反対しなければならないものであると確信いたします。そういう意味合いにおきまして、私どもはただいま問題になりましたこの裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案に反対を表明するものであります。
  27. 花村四郎

  28. 北川定務

    北川委員 私は自由党を代表いたしまして、裁判所職員定員に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、賛意を表したいと思います。  申すまでもなく、民刑事を通じまして事件増加の一途をたどつておるのであります。ことに裁判所書記官研修所を新設せられまして、公判中心主義を貫かんとしておる現制度のためにも、職員の増員を必要とすることは当然であります。また家庭裁判所におきましては、少年犯の激増の現状にかんがみまして、少年保護司少年調査官としてその完璧を期することも、もとより当然であると思うのであります。かような見地からいたしまして、本法の改正につきまして賛意を表するものであります。
  29. 花村四郎

    花村委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案賛成の方の御起立を願います。
  30. 花村四郎

    花村委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に裁判所法等の一部を改正する法律案について討論に入ります。討論通告がありますからこれを許します。北川定務君。
  31. 北川定務

    北川委員 自由党を代表いたしまして、本案に対しまして賛意を表するものであります。問題となりまするは、第七十一條の二の警察官等派出要求に関する規定でありますが、この規定をもつて裁判所権限を著しく拡大し、ひいては裁判尊嚴を冒涜し、裁判独立を害するという説をなしておられるのでありますが、およそ裁判は秩序ある裁判でなければならないのであります。そうして現状から見まして、訴訟法の定むるところの法廷警察権法廷指揮権のみをもつてしては不十分の場合が多々あるのでありまして、本案規定しておるがごとく、特殊の場合には裁判長及び裁判官警察官派出を要求して、法廷の秩序を維持することが必要であると思うのであります。この規定につきましては、弁護士会におきましても異論があるようでありますし、この規定実施につきましては、十分なる考慮が拂われることが必要と存ずるのであります。さような意味におきまして、本案に対しまして賛意を表するものであります。
  32. 花村四郎

  33. 猪俣浩三

    猪俣委員 社会党を代表いたしまして意見を申し述べます。本案につきましては賛成をいたします。但しそこには條件があるのであります。それはこの本案につきましてのいろいろの疑惑、心配があることは、本委員会におきまする質疑応答によつてもわかるのであります。法廷警察官によつて包囲されて、審理を受くる者に何らかの威圧を加えるような空気に相なりますと、公正嚴正になすべき裁判がその威圧空気の中に審理が進められるということで、真実発見の妨げになるようなことも考え得られるのであります。裁判所威信を保つその道はあくまで公正、あくまで嚴粛に、しかもそこには自由なる立場におきましての審理が完成されるということが重大な問題でありますから、さような裁判の本旨にそむかざることにつきましては、この実施に当らるる方は千慮万慮していただきたいと思うのでありまして、最高裁判所におきまして何らかのルールをおつくりいただいて、今われわれが危惧いたしますことが発生しないようにお願いいたしたい。ことに地方あたり裁判官の中には、警察官をして護衛させることをもつて、かえつて自分威信を示す手段なりと誤解をせぬとも限らぬ憂いがあるのでありますがゆえに、さような点につきましては、十二分なる御配慮を願いたいと思うのであります。さような御配慮を願うことを條件といたしまして、私は本法案に賛成をいたすものであります。  なお一言付言いたしたいことは、この裁判所法等の一部を改正する法律案の中に、弁護士法「第五條第二号中の司法研修所」の下に、「裁判所書記官研修所」を加える。」すなわち裁判所法等の一部を改正する法律案の中に、弁護士法の改正が含まれておるのであります。この弁護士法の改正それ自体は意見がありません。大したことではないのでありますし、賛成はいたしますけれども、これは御承知通り、本法務委員会において主として立案に当り、国会の議員提出立法として通過しておる法律であります。かような趣旨法律につきまして、これが改正政府が企てらるる際には、常識といたしまして弁護士会なり、あるいはことに本委員会にあらかじめお打合せなさつて提案することが当然だろうと思うのであります。何らさような相談なしに、議員立法をいたずらに政府がかつて改正案を突如として出すというようなそのやり方につきましては、不満を表明いたします。これはこんな簡單なことであるからいいようなものの、もしかような慣習ができますと、ここにおもしろからざる傾向が生じて来ると思うのでありまして、かような点につきましては十二分なる御注意を願いたい。これは提案者の反省を促します。以上私は本案趣旨それ自体には賛成を表明いたします。
  34. 花村四郎

  35. 加藤充

    加藤(充)委員 日本共産党の意見を申し上げます。裁判所法等の一部を改正する法律案は、第一は裁判所書記官研修所を置くというようなこと、第二には少年保護司制度を改めて少年調査官少年調査官補を置くというようなこと、そのほかに第三の法廷の秩序維持に関して裁判長裁判官警察官派遣要求権を認めるという三つの点についてですが、第一、第二の点については、さきにも別の法案に対する意見のときに申し上げましたように、研修所を置いたり、あるいは保護司の名前をかえてみたりするようなことでは根本的な対策になつておらぬ。根本的な対策をやることを怠り、そういつたことはたなに上げておいて、こういうふうなことばかりやつてつても、これはだめだということで、私は反対いたしますが、第三の問題については少し述べてみたいと思うのであります。  それで大体現行法において七十一條、七十二條、七十三條のほかに、法廷秩序の維持のために七十一條の二をあらためて附加し、七十三條を強化改正するということがあると思います。この点については日本弁護士連合会からも意見がありましたから、この法案の設置に反対する理由についてはここで申し上げませんが、大体民主的な裁判をやつて行く、そうしてその裁判によつて人権が保障されなければならないという見地からいえば、こういう規定改正はやらなくてもいい、やる必要がないばかしじやなしに、こういうことを強化してはならぬ。この改正案のような改正をやつてはならないのだという要請が、われわれはあることをわきまえなければならないと思うのであります。しかるにもかかわりませずこういう改正案を出して来ますほんとうの意図というものは、いわゆる法廷公開の原則、憲法八十二條とか、それから法廷における各人の自由の陳述とか、これは憲法三十八條、刑訴法三百十一條、三百一條、三百十九條等々に出ておりますが、こういうものを制限し、私はさらに進んでこういうものを無視して押し殺してしまう、こういう意図が含まれておるということを見届けないわけにはいかないのであります。法廷の秩序が一、二の例で多少ノルマルな状態であり得なかつたことは、不幸な事実があるようでありますけれども、それからまた私どももそういう場面の経験を多少持ちますけれども、こういうふうな秩序のノルマルさが多少好ましくない程度にゆがめられたというような事柄の根本原因を探りますれば、何といつてもあの有名な、裁判所は化石じやないかと言われた警句なり言葉がありますが、何度制度が新しくなりましても、依然としてその席にすわつてその職を補充しておりますものは、依然として化石的な考え方を持つた判事であり人間であります。従つてやはり警察政治と結びついた、あの菊の御紋章をいだだいて、天皇の名において裁判したあの昔の夢がさも理想的でありなつかしく感じた連中が、天皇制制度裁判というものを今の世にも強化して行こうとする、こういうようなやり方に対して、それじや言うべきことも言えないじやないか、それじやおれが警察でいじめられた通りで、何も公判廷に来たかいがないじやないかというような問題が出て参ります。こういうふうなことが多少混乱を惹起した根本の原因であるということはあまりにも明確な事柄であります。こういう状態にありますときに、それに籍口しまして七十一條の二を加え、七十三條の罰則を改正しようとすることは、昔の通り菊の御紋章をいただき、天皇の名において裁判するあのやり方を摩擦的に、今度はたれが何といつて法律がそういうふうにできたということで、法制的に合理化し、せめて新しくでき上つた裁判制度を、司法権による人権の保障制度と逆行させ、旧憲法のところに持つて来る重大なる意図であり、そういうふうなことを意図するといなとにかかわらず、そういう重大な結果をこの改正によつてもたらすということをここで指摘しなければならないと思うのであります。しかも改正理由の中には、従来明治十四年の大政官達第八十六号が存したのでありますがということが言われております。言葉の上ではなるほど存したというのでありまして、前のことであります。存するのでありますということは書かれていない。私は言葉のあげつらいをいたすわけではありませんけれども、ここらあたりに明治十四年かの太政官達八十六号を持つて来て、この制度の合理化をやろうとした根本の意図があると思う。この大政官達なるものは、すでに資料として配付を受けました書類の中でも明らかでありますように、旧裁判所構成法廃止の今日においては、はなはだ穏当ならざる議と存ぜられ候的なしろものであると思うのであります。どういうふうな大政官達とかいうようなかびの生えたちよんまげは、憲法が制定され、それに基いて裁判所法が制定実施されたときに、もうすでに意識されて排除されたものだと解さなければならないと思うのであります。私は改正理由がこの法例の復活の必要を強調するに至つておるところに、この改正の意図を率直に正直に暴露しておるものであり、まことにひどすぎると思うのであります。私は実際問題といたしまして、裁判所の武装された警官の配置が、事前的に一般的に常置的に、しかも多数の武装警官を配置した狭い法廷の内外、傍聽人も公開の法廷に入ることをやむを得ず制限せられざるを得なくなり、あるいはまたそれに意識的に多少の逡巡を感ずるようになり、こうして隔離された、警察官裁判官、検察庁、そういうものに包囲された狭い法廷の中に、現在の裁判所法廷の構造がそうでありますが、その中にぽつんと隔離されて置かれた被告人、あるいはまたその事件に関連する証人その他のものがどういう情景にあり、どういう心境にあるか、ちよつとそれだけの情景をしのぶだけで私は結果はまことに明瞭だと思うのであります。こうなればもう昔のお白州とまつたく同じであります。お白州の再現であります。検察庁の方針通りの判決をつくり出すこと、またつくり出さなければならない、そういう結論になつて来るようなところにすべての状態を追い込んで行く、これほど新しい憲法のもとでひどい人権蹂躙があるか、私はまことに残忍なものがあると思うのであります。しかもそういうことは被告人の立場に立てばもちろんそうであります。事件関係人の立場に立てばそうでありますけれどもまた大きく見れば検察庁の行政権がこしらえた、要望するところの出した結論を、裁判所に強行的にこれを押し込み、結局においては独立すべき司法権を行政権の制圧のもとにこれを置かんとする、置いてしまう結果になるのでありまして、こういうふうな三権の分立が乱れてしまつた、また乱すような制度あるいは法律案改正というものは、まことに反動的なものがあることを恐れなければならないと思うのであります。それで私の反対の理由は以上で盡きますが、これは一部面であり、一半にすぎないのでありまして、先ほど法務委員会を通過いたしましたこの法案にいたしましても、彈圧機構を強化拡充する。こういうようなことによつて差迫つた生活の逼迫や、社会不安の中から出て来るやむを得ない社会惡としての犯罪的ないろいろな現象、あるいはさらに進んでは、その社会惡を政治的な、社会的な運動によつてこれを除去して行こうという民主的な、人民的な国民運動すらも、これを彈圧機構の拡充によつて押えつけてしまつて責任をたな上げして行こうという意図は、一方的にきわめて露骨でありまして、本法案はその全体的なものの一つの現われにしかすぎないのであります。でありますから、私どもはそういう意味から、この法案に反対をしなければならないものであります。
  36. 花村四郎

    花村委員長 討論はこれにて終局いたしました。これより採決に入ります。本案賛成の方の起立を願います。     〔賛成起立
  37. 花村四郎

    花村委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。両案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  38. 花村四郎

    花村委員長 御異議なければさようにとりはからいます。     ―――――――――――――
  39. 花村四郎

    花村委員長 次に、矯正保護作業の運営及び利用に関する法律案について質疑に入ります。質疑通告がありますから、これを許します。猪俣浩三君。
  40. 猪俣浩三

    猪俣委員 本案に関する直接の質疑ではありませんが、古橋局長がおいでになつておりますから、きよう私のところに陳情書が法務委員長あてに参つておりまして、委員長には先刻提出したのであります。  それは横浜市保土ケ谷の岩井町に少年保護鑑別所を設置する計画がおありである。これにつきまして保土ケ谷区民大会が開かれまして、反対の決議をして陳情に参つておるのであります。  その陳情の理由は、この法務府で設置しようとしますところの少年保護鑑別所は、東海道線保土ヶ谷駅の真向いにある敷地である。ところが昭和二十五年度においては、市電の保土ケ谷駅の終点と弘明寺をつなぐ市電軌道敷設の計画があつて、保土ヶ谷駅前の発展が必然に予想せられ、そうして将来同所の街路は、都市計画によつて幅員が拡張せられる結果、人家の立退き先として該敷地が最も間近にある関係上、移転を予想される土地である。人家が移転しないとしても、交通機関の輻湊する駅前における避難場町としての小公園として必要である等によつて、少年保護鑑別所を設置したとすると、将来駅前の発展の非常に障害に相なる。なおまた少年の保護鑑別には不適当な土地であつて、東海道線、市電、市バス等の交通機関の輻湊する喧騒な場所であるから、少年に安靜な精神的な影響を與える場所じやないということが理由になつておるのであります。そこで法務府がこういう駅前というようなところを選定なさつた何かの根拠があるか。及びこの区民の人たちは、他に適当な候補地も選定して法務府に提供するという決意さえも持つておるのであるが、他に移転するところの意思があるかないか。なおこの敷地の買收問題その他については、まつたく区民は寝耳に水であつて、全然関知しない。刑務所の囚人らしい人たちが来て地ならしをしているので、何をつくるのかということから、これがわかつた。事前に自治難関にも、また住民にも何らの話がなく、突然ここに地ならしを始めた。そういうことは、どうも民主的なやり方じやないという非難もあるのでもります。そこでこれらの事情につきましての御説明を願いたいと思うのであります。
  41. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 横浜少年観護所の設置につきまして、保土ヶ谷の地元の住民の方々から反対の声が起きましたことにつきましては、当局としてまことに遺憾に思つておるのでございます。実はこの少年観護所ができましてから、保土ヶ谷のあの土地を決定いたしまするまでには、現地の非常な努力あつたのでございます。ただいま猪俣委員からいろいろ御質問がございましたので、その事情を加えて一応御説明もいたしたいと思います。昨年一月から施行せられました新少年法、新少年院法によりまして、全国四十九箇所にこの種の施設が設置せられることになつたのであります。横浜におきましては、横浜の観護所長、鑑別所長が責任をもちまして、その土地の選定並びに建設に盡力して参つたのでございます。実は昨年一月ごろから引続き、この土地の選定に奔走いたしまして、前後九箇所を候補地としていろいろ交渉をしたのでございまするが、そのいずれもが地主の不承諾であるとか、あるいは整地が不十分であるとか、土地か狭い、あるいは非常に不便なところであるというような、いろいろな事情がございまして、結局問題の保土ヶ谷のこの土地に決定いたしましたのが、本年の一月ごろでございます。もつとも昨年ごろから、これも候補地としてその選に出て参りましたので、地元関係者が地主との交渉あるいはその一部の方々との話合い等を進めて参つたのでございます。さような次第でございまして、実はこの獲得いたしました土地も、現在におきましてはほかに適当なる土地がない。ただいま御指摘になりましたような点におきまして、多少不十分な点もございまするけれども、ほかに土地がないというぎりぎりのところになつておるのであります。今年の二、三月ごろになりまして、地元の住民の方々から反対の声が起きました。そのことを現地から報告がありまして、私どもの局から二回にわたりまして、所管課長が参り、現地の方々にもいろいろお話を申し上げ、交渉をいたして参つたのでございます。しかしほかに解決の方法がなくて、結局その土地に建築するほかないというようにただいま考えて、その方針で進んでおるのでございます。この土地は、ただいま御質問にございましたように、保土ケ谷の駅の前のところに当つておるのでございまするけれども、しかしその土地はさほど繁華なところではありませんし、付近の人家も非常に稠密という土地ではございません。路面から引込んでおりまするし、そうしてまた都市計画の話もございましたが、これは都市計画の線から離れておりまするから、将来において引越しというようなことを考慮する必要はないというように承知いたしております。またこの土地は後は断崖でございまして、民家の隣接ということになりますれば前面だけで、右側の方は道をへだてて墓地になつておるのでございます。そうしてこの土地は長く利用せずに放置せられたところでございまして、私どもがこの土地を選定いたしましたことによりまして、付近の皆様方に御迷惑をかける、あるいは御不便をかけるというような地形ではないように私ども承知いたしておるのでございます。なお少年観護所鑑別所としましては、どうしても家庭裁判所と近接していなければ、少年の保護の上において非常な不便がございます。同時に警察署とかあるいは弁護士の方、あるいは少年保護司の方、少年調査官、あるいは少年の保護に当る父兄の方、雇い主の方、そういうような方々との連絡が十分にできるような所でなければ、この少年観護所鑑別所としての機能が非常に阻害されることになるのでありまして、あまりに不便な所に参るわけには行かないのでございます。さような点で選定いたしましたこの土地は、私ども他に適当な土地のない今日、これが一番適当なところで、さらに他に行くべきところがないという状況であるのでございます。なお住民の方々に御了解を得ずにやつたのは民主主義的なやり方ではない、こういう御批判でございますが、この点につきましては、現地の当局としましても相当の苦心のあつたことと思うのでございます。実は少観護所につきましては、その性質につきまして、世間の多大な誤解から、非常にいやなもので、困つたものができるという印象が深いために、この設置につきましては、なかなか各地とも喜んで土地を貸してくださるというようなところは少いわけでございます。従いまして当局としましては、ある程度の要路の方、あるいはその他の方に御相談はいたしましても、一般住民の方々のすべての御了解を得てやるということもできなかつたということも了解できるわけでございます。しかしそういうことのないようにやることが最もよろしいことでございまするが、本件につきまして、現地がその手段に出なかつたということは事実でございます。もつとそれを選定いたしまする中途におきまして、その土地の、たしか前の区長さんでございましたか、あるいはその後の区長さんと聞いておりますが、一応の御相談は申し上げてあつたのでございます。  なおこの土地をどこかにかわる用意があるかという点でございまするが、御承知のように、これは昨年の予算できまりまして、どうしても早急に仕上げなければなりません。それが遅れ遅れまして今日の次第になつておるのでございまするから、当局といたしまして、これを中止して他にさらに探すということはとうてい今日では私どもできない状況になつております。但し実は先般私どもの所管課長が現地へ参りましたときに、他に適当な土地でも探してくれたらということを申し上げたところが、そういうものを探すことは自分たちではできないというお話もあつたそうでございます。また現地側としても他に求めるということが困難な状況であるということでございましたので、今日におきましてはこの土地を続けて行く予定になつておるのでございます。もつともその工事と申しましても、来月ごろから大体建築の方にとりかかりますので、適当な土地が今ただちに見つかるということになりますれば、その点について可能かと思いますが、新しい土地を探したならば移る意思があるかないかということにつきましては、今日突然の御質問でございましたので、まことにあやふやなことを申し上げて失礼でございまするが、状況がさような段階になつておりまするので、御了承願いたいと存じます。
  42. 猪俣浩三

    猪俣委員 法務府におきましてもいろいろの事情があると思うのでありますが、地元の人たちの不満は、まつたく自分たちが知らざる間に着手せられておる。それから了解に来られた方々も、君たちのやるような反対はいつも起るのであるけれども、一つも成就したことがない、どういう反対があろうとも断行してしまうのだというような説明があつたということで、はなはだ不満であるということを本委員にも訴えておるのであります。どうかこの少年観護所の精神をよく懇切丁寧に説明していただいて、そうして納得の上に事を進めるように御努力願いたいと思うのであります。御承知のように地元の者が反感を持つておるというような場合には、どうしてもこういう運営が円満に行かぬことは申すまでもないことでありますゆえに、どうかそういう場合におきましては、その説明に当らるる諸氏は、何も知らない人たちにこの立法の精神を吹き込む――これはむずかしいことでありましても、その煩をいとわずに懇々として御説明を願いたい。そうしていやしくも高圧的な態度をもつて臨まぬように御注意願いたいということを、局長に申し上げておき收益ます。なおまた今局長の答弁において、他にかえ地が早急にあるならば相談に乗つてもいいというような趣旨に承つたのでありますが、さようなことにつきましては、ここに陳情団も参つておりますし、次官もおいでになるのでありますから、また陳情団とよく御協議をしていただきたい。そうして円満に事を解決するように御努力願いたいということだけを申し上げておきます。
  43. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  44. 松木弘

    ○松木委員 他の委員から質問があつたとすれば、私の質問は重複するのでありますが、かんべんしていただきたいと思います。この矯正保護作業の法案のねらいは、政府の提案の理由の説明によつてよくわかるのでありますが、何か感じの上と言つた方がいいかしれませんが、いかにも利潤追求が多分に含まれておるように感じさせられるのであります。なるほど民間事業の仕事をするよりも、国家もしくは公共事業の仕事をすることは、国家に奉仕するという心理的関係においても、これは適切でありましようし、また国の收益、国庫に利益をもたらすということもまた必要なことであろうと思いますけれども、しかしこれが独占的な意味で、官公署や地方公共団体の仕事全部を法律でもつてしばつて、それを矯正保護作業にする。矯正保護作業という面はきわめてりつぱなものであるけれども、こういう一種の法律によつて独占的な規定をすることは、何となく利潤追求が多分にそれに含まれておるように感じさせられるのであります。こういうことは、こういう強制的でなくても、国の仕事をし地方公共団体の仕事をするのにも、他にもつと緩和した方法がないわけではないと思うのであります。刑務所と国もしくは公共団体との関係でありますから、その矯正保護作業であるという面からして、なるべく仕事を與えてもらうということもでき得るのではないかと思うのであります。こういう点について、政府の御意を承りたいと思います。
  45. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 この法律のねらつておりまする重要な点は、一つは受刑者を個人として尊重して、その受刑者にふさわしい環境のもとに作業を與える。そしてもう一つの点は、その作業を最も矯正にふさわしい種類のものを與えるという点にあるのでございまして、言いかえれば、刑務所の作業を一定の種類のものの中にくぎづけするという趣旨になつておるのでございます。矯正作業を大いに発展させまして、そうして国家の收入をはかるというような点は、まつたくこの法案は考えておらぬ点でございまして、ただ囚人に対して最も矯正に適した仕事を與えるようにしなければならないというので、刑務所がやつておりまする刑務作業を制限する趣旨のものでございます。それからそのことは、ただいま御質問の独占的なことになるという御質問にも関連するわけでございますが、刑務所の作業というものは、ただここに出ますれば非常に大きい企業体のように見えますけれども、全体といたしますればきわめて微々たるものでございまして、その全仕事のなし得る量は各官庁の仕事の量の一%か一・五にしかならぬものでございます。そうしてそのものに対して、ただ公共に奉仕するような仕事を與えるという点にあるだけでございまして、その作業を保護するというような趣旨ではないわけでございます。
  46. 松木弘

    ○松木委員 もう一つお問いしますが、現在の設備はほとんど官署、公共団体等の仕事の一割も占めないというような今の答弁ですが、そうすると、将来拡張をするというような計画は持つておられないのですか。どういうことになつておりますか。
  47. 古橋浦四郎

    ○古橋政府委員 刑務所は戰争の災害によりまして非常な打撃を受けまして、戰前有しておりました施設の約三分の一の施設を失つたのでございます。そうしてその後刑務所が漸次復興いたすにつれまして、逐次今まで失いました作業の用具なども補充しておるのでございまして、そういうような意味におきまして、今日においても多少の復旧はいたすわけでございます。
  48. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。     ―――――――――――――
  49. 花村四郎

    花村委員長 ほかに御質疑がなければ、次に少年法の一部を改正する法律案及び少年院法の一部を改正する法律案、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題といたします。  御質疑はありませんか。――ほかに御質疑がなければ、次会において三案につき討論採決に入りたいと存じますから、さよう御了承を願います。  本日はこの程度といたし、次会は二十五日土曜日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十五分散会      ――――◇―――――