○加藤(充)
委員 角田君も、
田嶋君も
反対の
理由がないと私どもは思う。いろいろな点については、それに対して反駁の
意見を申し立てた
人たちがおりますから重ねては申し上げません。
田嶋君も弁護士をや
つておられればわかると思うのですが、やはり
捜査機関に問題を持ち出せという
意見ですが、
捜査機関そのものに
疑惑を持たれておる場合に、
捜査機関に持ち出す方法がないじやないか。無実の罪で、
警察並びに
検察庁の圧制のために泣かされておる
人たちがたくさんあることは、
田嶋君の職業的な経験から見ても明らかなところであります。この
佐藤昇事件については、そういう
疑いがきわめて濃厚であるといういろいろな事実があげられておるわけであります。しかももう
一つ特捜部の岡崎
検事の二月の二日かに釈放したという問題につきまして、民主党の方がおつしやいましたように、今までは全部
詐欺事件で
取調べてお
つて、その詐欺の
取調ベの最中に突然一月三十日に
なつて
裁判所側から保釈が出てしまつた。詐欺の調べの中に
佐藤が各方面に——
政界、
官界その他にばらまかれた金額というものが
相当具体的に
なつて来て保釈に
なつてしま
つたので、
涜職の問題を調べ中に釈放されたのでは困るということで、一月の三十日に
なつて急遽その逮捕状が出たわけなのでありますが、その逮捕状が出た
理由というのは、
涜職の問題であります。しかも
佐藤の自白の中には、先ほど申し上げたようにいろいろあつたにもかかわりませず、
警察側から出された、送局された
事件の立て方というものは、
岡田の分だけだつたということなのであります。しかしここに私は問題があると思う。その点は
検事局側、
検察庁側にもやはり問題が移
つて行くと思うのでありまするが、やはり
岡田の分だけを証拠不十分でやつたというのは、
岡田の分は証拠不十分だから不起訴にしたのかどうかわからないのであります。証拠不十分だと言うが、
岡田の分だけでなしに、たくさんの問題が一件記録の中に
相当明らかなのであります。世の常の場合であるならば、
検察庁は
相当の勾留状を出して、
疑いのある
事件については積極的に
取調べ、そのことについては、職権だと言いながら、ずいぶんひどい人権蹂躙の事実さえ各地に起されておるのですが、この
事件に限りそういう事実なしに逮捕して、二日間だけで釈放してしまつた。しかも
岡田事件だけのことにしてしまつた。こういう事柄なのでありまして、その点についても、私は
検察庁の特捜
部長の釈放は大いに問題があるところだと思うのであります。なぜほかの
事件を調べなか
つたのか、他の
事件について、
佐藤の報告書によれば三十万円を
岡田に渡したというようなことまで、
涜職の分について言われておる。メモがあげられたということも聞いておりますが、そのもらつた方の者を調べずに、証拠不十分というようなことで釈放するということは、何かそこに陰の暗いものをわれわれは感ぜざるを得ない。しかもそういうことについて世間の
疑惑が巻き起
つて来るのは当然だと思うのであります。そういう点がまだ明確に
なつておらない。しかも
田嶋君はみなわか
つておると言いながら、先ほども明らかにされたように事が全部済んでしまつたというようなことを言
つておりますが、済んでおらぬで、
調査中である、起訴処分の留保のまま一応の釈放に
なつたにすぎないということは、
田嶋君自身が全部知
つておる。あるいは確信しておるというようなことで、みずから
反対の
理由を裏切
つて否認しておる問題だと思うのであります。そういう点からも、
田嶋君の
意見はりくつが成立たないと思うのであります。
もう
一つは松本
捜査第二課長の問題ですが、これなども全然一発のもとに却下されて、不起訴、あるいは起訴等々のことが右から左に折れるような
事件を、何で五十日も
佐藤昇君を勾留して調べてお
つたのか、私はこの点でいわれなく松本が
佐藤事件をでつち上げて、
涜職にまで波及させて行
つたのであるならば、その結果が一発のもとに
検察庁の特捜部から帰れと言われるほど簡單なものを、それほどひまをかけ手間をかけやつたおつたとするならば、松本
捜査課長のこのやり方というものはまさしく私は人権蹂躙であり職権
濫用であり、そのこと自体が大いに問題になる余地があると思うのであります。また逆に松本といえども、かりに
相当な者であるとするならば、長い間かか
つてやつたこと、しかも幾多の被疑事実を調べ上げてや
つて来ておるのに、
検察庁がわずかに逮捕状の期間の二日間で釈放してしまつたということになれば、これは
考え方からするならば、
検察庁側がえらい圧力をこうむ
つたのじやないかという
疑いが反面から深く成立つと私は思うのであります。こういう点で
予算委員会などの問題に
なつたようでありますけれども、われわれはまた得心しきれないところがある。私個人だけでなく、当
法務委員会はその
疑いを強く持
つたのでありましよう。また
国政調査の
要求は、その気持を正直に強く表白したものであると思うのでありまして、しかもまた
法務委員会でこの問題を問題にするというのは、やはり一番いいところで一番いい調ベをでき得るものであるという性格を
法務委員会が持
つていることを、私は
法務委員会の一人として肩身広く思うし、また
責任も重大であることを感ずるのであります。
田嶋君は問題が大きいというようなことを言
つておる。問題の小さいことは、今まで
法務委員会は
與党野党なしにや
つて来たと言うが、問題が大きいというのであるならば、大きい問題こそ
法務委員会が、
国会が御
調査に当らなければならないのであ
つて、今までは小さいことはみな一緒にや
つて来たけれども、問題が大きいからやれないということは、その点からも成立たないと私は思うのであります。ここで私は
田嶋君にもう一点重ねて
お尋ねしたいのですが、何か
自由党側の
委員の
発言の中に、
考査委員会で取上げるのが至当だということ。それでは
考査委員会で取上げるについては、
自由党側ではこの問題について
意見はないのか、私はその点を確かにしなければ、
考査委員会に持
つて行
つて、また
考査委員会でも
異議があるというようなことでは、どこでこの問題を処理していいのか、
調査をなすべき機関というものが明確にされて来ない。また
予算委員会ですでにやつたんだから一事不再議である、
法務委員会でやる必要はない、あるいは
考査委員会でもやる必要がないというのであるならば、これはまつたく
田嶋君の
反対意見は、ただ
反対するための
意見であ
つてまつたくのこじつけだと思う。私は
反対意見を持たれている方にお訴えしたいのですが、ここにあげられました
調査要求申立ての中にあります本
事件の
概要というこの事実、これについてはこういう
概要を持つものを
国政調査の結果明らかにすべきであるという
一つの事例にすぎないのでありますけれども、ここに問題に
なつている事柄を見て、だれもそれでは
国政調査の必要を感じないというのか、いろいろ新聞その他を通じて、国民の大部分がこの問題について強い深い
疑惑を持
つていると私は思うのであります。新聞紙があれほど問題にしているというのは、やはり国民の輿論の一部のりつぱな表白だと思うのでありなたことを
反対の人が
考えておるとするならば、その
人たちの頭というものは、こういうような犯罪的な
事件にあまりに麻痺し過ぎていると思うのであります。私はこれだけの
事件を見て、国民の一人であり
国会議員の一人であるならば、ぜひ調べてみなければならないという
意見が当然出て来べきものだと信じます。しかるにそれが出て来ないというのは、まさしく耳をふさいで鈴を盗むのたぐいで、手前さえ聞えなければ何でもや
つてもかまわない、何もがんがん鳴らすやつだけは押えておけというようなやり方であ
つて、私は私どもの
国政調査要求に
反対する人々こそが、惡く言うならば、春秋の筆法をも
つてするならば、何らかの関連があるから、手前の痛いところに探られるのはかなわぬからというようなことを世の常の人が思つたとしても、何としてそのことわりを明らかにするか、こう私は思うのであります。こういうようなことで、
調査の方法についても
疑惑があり、しかもいろいろな
委員の方が述べられた通りの問題がありますので、ぜひひとつ
法務委員会で取上げることを、切に私どもは正当なものとして主張するわけであります。