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1950-02-10 第7回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十日(金曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員   委員長 花村 四郎君    理事 角田 幸吉君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君 理事 加藤  充君    理事 大西 正男君       佐瀬 昌三君    松木  弘君       武藤 嘉一君    山口 好一君       猪俣 浩三君    田万 廣文君       世耕 弘一君   出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         刑 政 長 官 佐藤 藤佐君         (検務局長)         検     事 高橋 一郎君         (国有鉄道部         長)         運輸事務官   石井 昭正君         海上保安庁次長 稻垣 次郎君  委員外出席者         最高裁判所事務         次長      五鬼上堅磐君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君 二月八日  委員吉田安君辞任につき、その補欠として椎熊  三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月九日  小山町に簡易裁判所並びに検察庁設置促進の請  願(小平久雄君外二名紹介)(第五九二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  派遣委員調査報告に関する件  鉄道犯罪に関する件     —————————————
  2. 花村四郎

    花村委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は派遣委員より報告聽取の件であります。まず派遣委員より裏日本における福井武生米子各市及び福井今立署等裁判所または検察庁怪火事件調査報告を願います。田嶋好文君。
  3. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは私より、ただいま委員長からお話がありましたように、金沢刑務所福井刑務支所集団逃走事件並びに福井今立国家警察署放火事件並びに福井地方裁判所、同地方検察庁武生支部放火事件鳥取地方裁判所、同地方検察庁米子支部怪火事件等につきまして、先般法務委員会より田嶋好文武藤嘉一猪俣浩三大西正男の四委員調査のために派遣せられたのであります。この調査の結果をここに報告申し上げます。  まず調査団は一月の二十八日から翌月の二月の四日の間にわたりまして、今御報告を申し上げましたような地区事件についてそれぞれ取調べをいたしました。福井県におきましては、証人といたしまして検事正以下十五名、その他実地検証等をいたしたのであります。米子におきましても検事正裁判所長市長等十七名の証人を調べますと同時に、これも同様に現地につきまして実地検証をいたしました。  まずその結果現われました事実については、鳥取米子支部の件から御報告を申し上げます。この米子支部事件と申しますのは、いまだ捜査の継続中の事件でありまして、放火といたしましても犯人の検挙を見ておりませんし、検察当局におきましても、まだはつきりした結論を生み出し得ていないのであります。この事件昭和二十四年の九月十三日午前三時、鳥取検察庁米子支部検事事務官室付近より出火いたしまして、裁判所検察庁が全燒をいたした事件であります。当時出火現場状況といたしましては、出火付近には検察庁証拠品倉庫がありまして、その証拠品倉庫の中には、密輸入によりましてあがりました生ゴムが六、七百貫と、その他の押收品、現金二十万円が入つてつたそうであります。ちようど米子方面におきましては、夏期の終りでありました関係上、水道が渇水のために夜間は断水をしておつた。こういう状況なつております。その後これを中心といたしまして捜査が進められているのでありますが、捜査方針は、検察庁自治警察国家警察合議の上で、もつぱら検察庁に起つた火事であるからというので、米子自治警察中心なつてやることに合議がまとまつておるそうであります。この合議のもとに警察捜査方針を立てて今進めておるのでありますが、この捜査につきましては、当時から現在まで失火説放火説が相わかれておるようであります。失火説を唱えておつたものは、自治警察の三分の一のものであり、放火説を唱えておつたものは、自治警察の三分の二のものだそうであります。特に失火説を唱えましたのは、後に報告いたすのでありますが、不正事件であげられました永富部長というのが中心となりまして、盛んに失火説を唱え、部下を指揮して失火材料拾集に当つてつたということであります。まず失火説根拠となる点は、当時現場検証をいたしましたところが、出火の地点と思われる場所から、電気こんろと鉄の鍋が出た。この電気こんろと鉄のなべは、当時吉岡という雇が御飯を炊いておつたという事実がありますので、その電気こんろ鉄なべをかけ、御飯を炊いておつたとき、漏電のために出火を来たしたのだという意味にこれが解釈されて、失火説が立てられまして捜査が始まつたようであります。しかしその後の出火捜査に対しましては、当時い合せました検察事務官証言、その他電気こんろ実地検証鉄なべ実地検証等によりまして、そこにおいて飯を炊いておつた事実がないということが、ほぼ明確になつて参りまして、失火としてもこの器具によつて出火したものではないということが確実視せられて来たようでありまして、漸次失火説は下火になつたばかりでなく、ほとんど失火説がなしになつておるというのが、現在の状況ではないかと報告できると思うのであります。  次に放火説でありますが、この放火説に対しましては相当根拠があるようでありまして、放火説を立てるにつきましての資料を調べましたところが、こうした資料がわれわれの手元に集められたのであります。  先ほど申し上げましたように、火事が起りましたのは昭和二十四年九月十三日でありますが、九月八日に、当時日本で騒がれましたあの朝鮮連盟解散が行われております。その解散が行われるについて、この地区におきましては、相当に混乱が巻き起りまして、朝鮮連盟解散に対しては、警察県庁検察庁、協力いたしましたが、解決に苦慮いたしておつたようであります。特に、苦慮したばかりでなく、警察並びに県庁検察庁梶川検事応援を求められまして、当時検察庁米子支部支部長でありますところの梶川検事が、応援のために解散現場に乗りつけております。ところがこの梶川検事に対しましては、日ごろ非常にこの人がやり手だというようなことで、朝鮮連盟相当に反感を持つてつたらしく、梶川検事の顔を見るやいなや、朝鮮連盟の事実上の支配者であるところの某氏梶川検事をにらみつけまして、いろいろと放言しておつた。こういう事実があがつているばかりでなく、委員長や副委員長は、必ずこのかたきはとつてやる、いまにこのかたきはとつてやると盛んにそこで豪語しておつたという事実があがつております。またこれがために裁判所検察庁焼打ちがあるといううわさが、米子にはもつぱら流布されまして、米子検察庁裁判所はこの焼打ちに対処するために留守番を増しまして、これが監督を嚴重にするというような手段もとつたようであります。この手段がとられまして、もうこれでいいだろうということになりまして、解除いたしましたのが九月十二日でありますが、監視の解除をいたしましたあくる日の十三日にこの怪火が発生をいたしているわけであります。また朝鮮連盟解散とこの放火とにらみ合せて、こういう事実が言われているのでありますが、またその前後に、日本共産党米子支部朝鮮連盟との会合市内の各所で頻々と行われております。特に先ほど申しましたところの朝鮮連盟の事実上の支配者であるところの某氏が、常にこの会合に顔を出しまして、いろいろとこの会合のあつせんをしているという事実がわかつております。なお、当時は共産党事件がこの裁判所に二件繋属しておりまして、いずれもこの事件相当もめて難航を来しておつた事実もわかつております。また先ほど申しました朝鮮連盟の事実上の支配者であるところの某氏と最も懇意な間柄にありますところの朝鮮連盟某氏は、梶川検事のために前後四回暴力行為であげられまして、この人の事件相当むずかしい事件として、裁判所が手を焼いておつたようでありますが、遂に事実審理を終了いたしまして、放火のその日、十三日に判決の言渡しがきまつてつたよう事情も現われております。そうしてまたこの某氏公判の日には、その某氏朝鮮連盟の事実上の支配者であるところの某氏と連れだつて参りまして、公判に出席いたしまして、廊下におきまして梶川検事をにらみつけ、このうらみははらしてやるから覚えておれというような暴言を吐いたという事実も現われております。なお、この朝鮮連盟の事実上の支配者であるところの某氏火災当日の行動として、捜査当局の言うところを聞きますと、相当に疑わしい、事件関連があるとにらまれるところの行動が二、三あがつているのでありまして、これ等も放火の非常に重要な資料として捜査当局が握つているようであります。     —————————————
  4. 花村四郎

    花村委員長 運輸大臣が見えられておりますので、田嶋委員報告は一時中止をいたしまして、鉄道公安官に関する問題につき、田嶋君より発言を求められておりますので、これを許します。田嶋好文君。
  5. 田嶋好文

    田嶋委員 それでは私から運輸大臣に御質問申し上げたいと思います。  日本敗戰になりまして以来、私たちはその当時の鉄道運輸の、特に旅客運輸状態治安状態考えまして、まことに憂慮にたえなかつたのでございますが、最近は経済事情が安定の線に向いますと同時に、そうした面も徐々に正常に回復いたしつつありまして、まことに喜ばしく考えておるのでありますが、しかしこれも決して完全なる状態に復帰したものとは考えられないのでありまして、鉄道公安問題に対しましては、国民ひとしく関心を持ちますと同時に、当委員会におきましても、この点に対して重大なる関心を持つております。つきましては、それらの点について運輸大臣に逐次質問をいたして行きたいと思います。  まず第一にお尋ねをいたしたいと思いますことは、最近は鉄道犯罪状況というものも、われわれの考えといたしましては、相当かわつて来たように考えられるのであります。たとえば鉄道荷物窃盗も、單なる箱乗りによるところの荷物窃盗というものではなくして、集団的なる、強盗を超越したところの集団的なる暴行行為による事件、また鉄道のものに対する犯罪ばかりでなく、鉄道の周囲を中心といたしまして、三鷹事件のごとく、松川事件のごとく、日本有史以来未曽有の大事件が続出いたしておるのでありますが、こうした事柄を照し合せまして、鉄道犯罪の最近の動向並びにこれに伴うところの鉄道損害状況等はどういうようになつておりますか、運輸大臣に、なるたけ詳細にわたりまして、この点お聞かせ願いたいと思います。
  6. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの田嶋君の御質問でありますが、終戰当時は、御承知のように非常に秩序が国内的に全般的に紊乱しておりました。従いまして、鉄道事故等も非常に惡質のものが頻々と続出いたしたのでありますが、逐次その凶惡事犯件数は減少して参つておるのであります。しかしだんだんやり方、手口といいますか、それも惡質巧妙になつて参る傾向がございます点は、まことに寒心にたえない次第であります。従いまして、この鉄道保護公安、保安、司法警察強化という点に関しましては、私といたしましては鉄道公安制度を十分に活用するという点と、さらに検察並びに警察当局と緊密な連絡をとりまして、事犯の防止に尽力をいたしておる次第であります。  なおここ両三年のいろいろな件数につきましては、政府委員から答弁いたさせます。
  7. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 何だか抽象的な御答弁を承りまして、わかつたような、わからぬような気がいたしますが、実はもつと具体的に私の質問を押し進めますと、今例の中に引きました三鷹事件松川事件というものは、私たち考えでは、一般犯罪というよりもむしろこれは鉄道犯罪として、鉄道治安立場から、鉄道公安立場から考えるべきもの、こういうように考えるのでありますが、この点に対しまして、運輸大臣はいかようなお考えをお持ちでありましようか。
  8. 大屋晋三

    大屋国務大臣 現在の鉄道公安制度におきましては、強制捜査権というものはないのでありまして、ああいう種類の惡質事件に対しましては、現在の制度では十分というわけには行かないのであります。現在の制度は、司法警察といいますか、現行犯をつかまえてこれを処置するという以外、そのらち外に出ませんので、強制捜査権というようなものが鉄道公安官職員に付與されておりますならば、ああいうような問題に対しましても、現在よりも安全な治安維持、あるいは治安の予防というようなことが十分できるかと思うのですが、現在は現行犯だけの程度で、今田嶋委員の仰せられるような事犯に対しましては、どうも十分でないと考えております。
  9. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 私の申し上げました例に対しましては、鉄道公安立場から十分な取締りができないという事情は了解いたしましたが、この三鷹事件松川事件等一般犯罪としてのみ取扱うべきものであるか、それとも鉄道公安に重要な影響を持つこうした問題に対しましては、鉄道安公制度を拡充するとともに、これに対して対処すべき何らかの処置を考えなければならないと運輸大臣はお考えにならないか、この点お尋ねいたします。
  10. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまも申し上げました通り、現在の制度では非常に薄弱でありまして、あの種の性質の件のものまでは及びかねるものでありますので、運輸大臣といたしましても、現在の公安制度強化をはかりたいという考えは十分持つている次第であります。
  11. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは松川事件三鷹事件等に対しましては、現在の制度では不満足であるから、運輸大臣としてはこれらの問題に対処すべく何らかの措置を講じなければならない、こうお考えなつているとお聞きしてよろしゆうございますか。
  12. 大屋晋三

    大屋国務大臣 お説の通りでございます。
  13. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 次に小さくなりますが、最近の鉄道内における荷物事故並びに鉄道財産が侵害されている場合の保護の方法とか、鉄道一般犯罪に対して、鉄道当局としていかに対処されているか、これらの点をお答え願いたいと思います。
  14. 大屋晋三

    大屋国務大臣 その点は政府委員から答弁いたさせます。
  15. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 最近の荷物事故につきましては、荷物事故で最も惡質盗難事故について申し上げますと、大体昭和十年を基準といたしまして考えますと、昭和二十一年度におきましては百六十四倍、二十二年度は百六十倍、二十三年度におきましては百四十九倍となつております。また二十四年度は上半期までの成績は八十七倍という成績でございます。従いまして終戰後非常に多かつた盜難事故が、最近やや減少を示しておるということは申し上げられるのでございますが、それは件数でございまして、最近におきましては、特に手口惡質なものがふえて参つて、單にこそどろというような程度ではなくして、集団的な計画に基く窃盜、あるいは鉄道事情を知悉いたしまして、貨車を一車全部車票をすりかえて、これを持つてつてしまうというような、まことに計画的な惡質犯罪がふえて参つておるのが最近の状況でございます。これに対しまして鉄道といたしましては、三千三百人の專門公安官を設置いたしまして、従来駅長、あるいは助役、あるいは車掌等がやつておりました警備の責任を、特別の職責を持つた公安職員に行わせることにいたしまして、そのために立案いたしました公安職員の組織も考えております。逐次実行に移して行きたいと考えておりますが、何分にもただいま申し上げましたように、非常に内部的の事情に詳しい、率直に申しますれば、元職員、あるいは現職員というようなものも相当そういう方面に対しまして犯行がある場合もあるのでございまするので、十分な警戒をいたしておりまするが、ただいまのところ、件数的には比較的減少して参つておるのであります。しかしそういう計画的なものに対しましては、まだまだ十分に防止できるという結果を見ていないことを、たいへん遺憾に思つておる次第でございます。
  16. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 そういたしますと、結局鉄道事故だとか、財産保護だとか、一般犯罪につきましては、鉄道公安官三千三百人をもつて対処しておるだけである。しかもこの鉄道公安官捜査権を持つて警察官の実際上の運用であるところの拘束権というようなものは持つてない警察でおると、今のお答えで解釈してよろしうございますか。
  17. 石井昭正

    石井(昭)政府委員 御質問通りでございます。
  18. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 これにつきましてわれわれ法務委員会といたしましては、先般来科学的捜査の建前から、鉄道公安に対しても、そうした現在の鉄道公安官のみをもつてしては治安維持は不十分である。少くとも現在の鉄道警察強化して、そうして鉄道公安に対しては、一般犯罪捜査と同レベル、ないしそれ以上に強化の必要があるという結論に到達をいたしておるのでありますが、この点に対しまして、運輸大臣はいかようにお考えになりましようか。
  19. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいま御質問の趣旨が実現できれば、たいへんにけつこうだと私は考えております。
  20. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それではこの制度設定に対しまして、もし国会がイニシアチーブをとると仮定いたしますときは、政府当局はこれに対して同様な立場で臨まれるお覚悟があると聞いてよろしうございますか。
  21. 大屋晋三

    大屋国務大臣 御意見の通りで、まつたく同感であります。
  22. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは私の質問はこれで打切ります。
  23. 加藤充

    加藤(充)委員 田嶋委員質問関連して一、二点お尋ねしたいのですが、それは田嶋委員が口を大きくして言つた下山三鷹松川のいわゆる鉄道事犯という問題なんですが松川事件なり三鷹事件なりが起きましたときに、今のような見地に立たれる運輸大臣並びに政府といたしましては、相当権威ある技術的な調査をおやりになつて、その事故の原因というものは何だかということを、やはりそれなりに権威ある技術的な調査をお進めになつたものだと思いますが、そういうふうな事実があつたかどうかをまず運輸大臣に確かめたいと思います。
  24. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの御質問の点でありまするが、ああいう事件に関しまして、調査関連をいたしまして、技術的な点から、鉄道といたしましてもこれに関與いたしております。
  25. 加藤充

    加藤(充)委員 その詳細がお聞きしたいのです。たとえば調査の日時、それから調査行つた人間はどういう人間であつたか、おわかりになつたらひとつお答えを願いたい。
  26. 大屋晋三

    大屋国務大臣 今はその資料がございませんから、次の機会に申し上げます。
  27. 加藤充

    加藤(充)委員 私ども三鷹にはまだ弁護人として出廷はいたしておりませんが、いわゆる松川事件については、弁護人として参加した経験を持つ一人でありまするが、私どもがあそこで、進行の過程において、そういうふうな権威のある技術的調査というようなものが、検事側から、あるいは弁護人側から提出がされておらない。また非常にされにくいということが双方の——特に私ども弁護人立場から見て問題になつていたのですが、そういうふうな技術的調査の結果を検察官側に提供されておるかどうか、あるいは検察官側がそういうふうなものを調べた事実があるかどうか、その点が一つ。それからもう一つ弁護人側がそういうふうなものを法廷に提出を求めるような手続がとられた場合には、いつでも出してさしつかえないような状態なつておるかどうか、それを確かめたい。
  28. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの御質問の点は、今私ここで政府委員とも相談しましたが、資料がないので即答はできませんから、次の機会に申し上げます。
  29. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは検察官側からその技術的調査の結果を照会されたり、あるいはそういうところに提出したりした事実はどうですか。内容は私は今ここで聞きません。
  30. 大屋晋三

    大屋国務大臣 その方の專門委員をつれて来ておりませんから、答弁ができませんから後日にしてください。
  31. 加藤充

    加藤(充)委員 田嶋委員発言に歩調を合せたように、非常に重大だというようなことで、鉄道公安官やなんかの増強考えておるというのですが、あれほど天下の耳目を聳動した事件でありながら、それだけ責任のある技術的な調査をやつておりながら、それが真相の糾明に大いに役立ち得るだけの一応権威を持つたものであり、意気込みをもつてそういう調査をやつたものだと思うのですが、そういう事実を調べられたことがあつたかどうか、あるいは検察庁に提供したことがあるかどうか、運輸大臣として、公安官増強は何だかんだとこまかいことまで対策を信念的に吐露されておる人が、そういうような事実だけでも今日ここで確定的返答ができないのですか、そんなことは忘れておるのですか。
  32. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸大臣といたしましても、自分の所管の事項を隅から隅まで即答のできるという状態ではないのですから、今日は率直にあなたに資料なり、あるいは專門委員なりを帯同していないのだから、次にまわしていただきたいと申し上げたのですが、御了承を願いたいと思います。
  33. 花村四郎

    花村委員長 他に御質疑はありませんか——なければ運輸大臣に対する質疑はこれをもつて打切ります。
  34. 花村四郎

    花村委員長 次に先ほど田嶋委員報告を続いてお願いいたします。
  35. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 それでは先ほどの続きを申し上げます。先ほど火災当日の行動は、非常にその放火関係があるような事実があがつておるというところで打切つておきましたが、これに関連いたしまして、まことにいまわしいことでありますが、米子警察におけるところの捜査の第一線に立つておりました刑事部長に、先ほどもちよつと名前を申し上げました永富というのがおりますが、この永富というのは、実に腐敗した警察官でありまして、常に市内暴力団窃盗団、博徒、朝鮮連盟方々等と内通をいたして、検察庁なり警察犯罪検挙しようとした場合、この検挙に妨害を與えておつたという事実が現われておるのであります。この永富は遂にこうした事実が判明いたしまして、捜査の途中でありますところの十月の十四日には人権蹂躙の容疑で検挙せられまして、現在人権蹂躙事件といたしまして、裁判に係属をいたしておるのであります。こういうようなことがありましたために、先ほどから申し上げましたところの事実がありながら、なかなか検挙するに困難を来し、捜査上も捜査の線が非常にむずかしかつたということがわかるのであります。  次にこの永富検挙いたしました結果、暴力団や窃盜団や博徒、朝鮮連盟等活動状況が、妨害者がいなくなつたのでわかりやすくなりまして、市の警察検察当局では、協力の上、遂にこれらの分子に対する一齊検挙を行使いたしたのでありますが、その中に元市の刑事をしておりました某というのがおりまして、これが窃盜の親分格なつて、臓物の一手引受けをやつてつたという行動があがつたのでありますが、この某が、先ほどから申し上げおりますところの朝鮮連盟の実質上の支配者である某氏が、自分の知る範囲においては火をつけたのであるという証言を、はつきりいたしておるのでありますが、それ以上追究いたしますと、どうも自分の生命があぶなくなるから、これ以上は追究してもらつては困るということで、ただつけたという事実だけを証言いたしまして、こまかい事実は証言を拒んでおるそうであります。これらも、この事件放火とする上において非常に有力な資料なつておるものと考えます。また米子地区には、御存じのように朝鮮人がたくさん居住いたしまして、鳥取県下には朝鮮人が三千名いるのでありますが、この三千名のうち三分の二が米子中心として生活しておる。しかも米子市にはそのうちの六百名が居住しておるというような分布状況になり、またこの米子地区中心といたしまして、ほとんど手放しといつてもよいくらいの状況におきまして、朝鮮と日本との間に密貿易、密入国が行われておるという事実も現われております。  次にこの米子地方におきましては、裁判所検察庁火災ということばかりではなく、本年一月八日に米子の保健所が全焼いたしておりますし、またわれわれの調査に向いましたところの前の日、本年一月三十日には、食糧公団の米子支所から出火いたしまして全焼いたし、これもまだ犯人がわからない。こういうふうに公共建物の火災という、ものが継続的に起つておりまして、この公共建物の火災というのは、失火と見るよりも、継続的に起つておる関係放火ということを裏づける証拠になるものと存ずるのであります。右の事実のほかに、たまたま鳥取の検察庁米子支部の庶務課長に正木というのがおるのでありますが、これは昭和二十三年十二月二十六日に、公金二十数万円を窃盜して、現金公金一万円を横領したというかどで裁判になりまして、この裁判が火災当時の裁判所に係属いたしております。またこの正木庶務課長と先ほどから申しておりますところの朝鮮連盟の実質上の支配者であるところの某氏とは、日ごろから非常に懇意につき合つてつたのであります。このように放火と認めるところの資料につきましては、事実があがつておりまして、われわれといたしましても、この事実等を総合いたしますと、この事件失火でなくして、どうしても放火と見なければならないような気がいたすのであります。  それではこの事件が多数の日月を費しながら、なぜ検挙されないかと申しますと、まことに遺憾なのでありますが、米子地方におきますところの警察検察庁の問題、保安庁の問題等も一応調査団といたしましては報告する義務があるかのように考えられます。米子自治警察は、先ほども少し触れたのでありますが、刑事部長永富という男がありまして、これが地方の窃盜団、暴力団、博徒、朝鮮連盟等々と内通しておりました事実をもつてもわかりますように、まことに一部の人間には腐敗があるのでありまして、遺憾ながら放火当時には、この腐敗が是正されてなかつた。だからして公安委員会の威令等も必然的に行われず、公安委員自治警察を通じまして、まことに遺憾な状態が見受けられるのであります。しからば国家警察はどうであるかと申しますと、国家警察は内部的には腐敗の事実はなかつたようでありますが、国家警察自治警察がわかれました当初から、どうも人員の配置問題、設備の利用問題等から感情に齟齬を来しまして、以後自治警察国家警察との間に協力態勢というものが確立されていなかつたという事実が認められるのであります。検察庁はどうであつたかと申しますと、検察庁は前支部長でありますところの角田検事当時には、とかくその個人的行動に対しまして市民の批評があり、芳ばしからざるうわさも立つたようでありますが、新しく赴任されました梶川検事は非常に明朗にして手腕家で、事務をよく遂行する方とだれにも言われておりまして、私どもお会いいたしましたが、その点が認められるのであります。梶川検事の赴任以来相当検挙件数もあり、相当に事務的な方面も整理されたようでありますが、やはりこれにも遺憾ながら自治警察等の内部と同じように、事務官の一部に、先ほど申し上げましたように不正が現われておりまして、いまだその関係が全面的に是正されたかどうかということに対しましては、一応の疑問がなければならないのであります。そういうような関係からいたしまして、事件当時におきましては、検察庁自治警察国家警察の密接なる協力態勢というものが確立をされていなかつた、これも欠いていると認めざるを得ません。海上保安に至りましては、まつたく手放しで密貿易を許しておるような状態でありまして、協力しなければならない海上保安と自治警察国家警察との間の協力も全然できておりません。こういうような協力態勢を欠いておるという大きな事実があるために、前述いたしました放火と認められるところの証拠がありながら、いまだ検挙に至らないという遺憾な状態があるものとわれわれは考えなければならないのであります。以上が米子地方を調査いたしましたところの調査団報告の事実であります。  次に金沢刑務所福井刑務所の集団逃走事件につきまして、御報告を申し上げます。この集団逃走事件は、当時福井市におきましては、相当やかましく言われまして、人心を撹乱したところの事件でありますが、その事件の内容として当時言われた事柄はこういうようなことであります。福井の刑務所に收容せられております男に窪田暹というのがおりますが、この窪田暹という男は前科数犯、しかもこの前科は傷害、恐喝というような前科が数犯あるのでありまして、現在も恐喝のために一年半の懲役刑を受けまして服罪いたしております。この男の身分関係はと申しますと、今福井県下で一番大きな暴力団の親分として言われておる団体に津一家というのがありまして、これは津原某が主宰しておるようでありますが、窪田はその津原の兄弟分に当つております。この窪田が主謀者となりまして、当時福井刑務所に收容をせられておりました、既決囚ではございません被告を中心といたしまして、集団逃走の計画が樹立されたということであります。集団逃走の計画をいたしました連中は、常に刑務所内の休憩遊戯場を利用し、また書信場を利用いたしまして、放火につきましての打合せを行つてつたようであります。この放火についての打合せが一応完了いたしますや、彼らは昨年の十月十六日を期しまして、窪田が外部の団体と連絡をいたし、外部からはピストルをもつてこれが応援に当つた。内部の者はこれに呼応して房を破壊いたしまして、集団行動をもつて、監視等に暴力を加えてその抵抗をはばみ、刑務所に放火をいたしますと同時に、全員が火の中をくぐつて逃走するという計画があるものといわれておつたのであります。この事実を確めるがために、私たちは窪田を中心にいたしましていろいろと調査いたしましたが、その調査の結果こういうような事実が判明いたしました。窪田は刑務所に入つております共産党員であるところの千震昊、新田某という連中と、運動場におきましてしばしば面接をして、何か話をしていたばかりでなく、窪田は共産党入党を勧められたような事実もあるばかりでなく、共産党入党の決意をいたしまして、これが手続をする必要も考えられるのでありますが、共産党福井地区委員でありますところの小林義親という者に刑務所から書面を出しまして、小林義親を呼びまして、九月の十二日に小林と窪田が面接をいたしておるのであります。面接の問答はあとで御報告申し上げます。なお窪田は先ほど申し上げましたように、津一家の兄弟分であります関係上、その十六日を中心といたしまして、津一家の連中とひんぴんとして面接が行われております。まず津の親分でありますところの津原が窪田のところに今まで来ていなかつたのに、その日を中心といたしまして二回面会をいたしております。津原の妻も面会をいたしております。また先ほど法務総裁から団体等規正令に触れるものとして解散を受けた和田組というのが武生にあるのでありますが、この和田組の主宰者和田が同様窪田に面会をいたしまして、いろいろと話をいたしておる事実も上つております。和田ばかりでなく、津の一家に伊加賀その他暴力団の一方の親分があるのでありますが、これらも放火の日を中心にして窪田に面接しておる。今まで面接の少かつた窪田が、その日を中心にして津一家の暴力団とひんぴんとして連絡がとられておつた。どういう話が行われたかわかりませんが、連絡話合いが行われておつた。こういう事実が現われておるのであります。また窪田は朝鮮連盟に属しておりますところの共産党員である千震昊、それからこれは共産党員でないのでありますが、洪成杓、それから林銀洙というような人間とは、この刑務所の中においてしばしば交渉が行われ、連絡がとられておつた事実が調査の結果わかりました。この事実のみによりましては、やはり先ほど言われましたところの集団放火逃走というような、まだ裁判となるべき資料は現われておりませんので、検察当局といたしましても、放火等の嫌疑に対する起訴はできなかつたものと見えまして、一応はつきりした事実のもとに、これらの事件福井刑務所の集団逃走未遂事件といたしまして起訴をされておるようであります。その人たちは窪田の指図に従つたというところの茂住金太郎、森川國夫、朝鮮人の林銀洙、岩本政一、橋本稔、正木安夫、藤井澄太というような人間にたつております。起訴状の事実は、その被告人等はいずれも福井刑務所に勾留中の未決または既決の囚人であるが、共謀の上昭和二十四年十月十四日夜十二時を期し、同所から逃走することを企て、被告人茂住金太郎が竹製のはし、または帯皮の金具、金属破片等を使用して、第一舎未決房第十四房の表壁の一部を破損したのが発覚し、その目的を遂げなかつたものであるという事実になつております。こういうようなはつきりした事実で現在裁判が係属いたしておりますが、その他の事実につきましては、いまだ捜査当局において捜査中とわれわれは報告を受けました。以上が福井刑務所の集団逃走事件報告すべき事実であります。次に福井県の今立国家警察署放火事件でありますが、これは先般武生裁判所検察庁放火事件検挙せられまして、唯一の自白者であり、有力なる放火の被告人の一人に林好視というのがおりましたことは、この前報告した通りであります。この林好視が武生同様に今立国家警察署にも放火をしたという自白をいたしておりまして、これ一人が放火犯人として現在裁判になつております。だが今立国家警察署放火は、事務室の廊下に火をつけておりまして、この廊下の火つけは一箇所でなく、二箇所に同時に火をつけております。しかもこの火つけはまきを持つて参りまして、そのまきにガソリン様の液体をぶつかけてそうして火をつけておりまして、しかもこの事務所は一階でなく、二階の事務所に火をつけておるのでありますから、これを運搬するためには、はたして一人で可能なりやいなやという疑問が起つて参ります。また二階でございますから、どうしても上つて行くためにははしごをかけなければなりません。はしごをかけて行くとすれば、はしごを上つて行くのに、火つけのまきの束を持つて、ガソリンを入れた一升ビンを下げて、はたして二箇所に放火ができるかどうかという、常識では判断することのできない事実がありますので、この事実と、林一人でやつたという林の言い分とはくつつかない点が多分に出て参りまして、林一人というので現在林一人が裁判になつておりますが、これも捜査当局におきましては、林一人じやないのじやないかというような疑いを持ちまして、いまだ捜査は継続中であると承つております。これが今立国家警察署における放火事件の簡單な報告でございます。  最後に武生の問題でありますが、これは先般詳しく御報告申し上げましたので、詳しい報告は今回は一応省略させていただきますが、われわれ調査団武生に乘り込みました当時、武生においては青年団、婦人会が中心になりまして、市長、市会議員に対するリコール問題が持ち上つておりました。私たちはこれを非常に興味深く眺めますと同時に、その真相をただしたのでありますが、このリコールは非常にまじめな分子がまじめに行われたということを確認するに至りました。しかもこのリコールは、われわれ国会の調査員が武生に参りまして、その調査をいたしました結果がこの国会で報告されると同時に、新聞社の御協力を得まして武生市民、日本全国に伝えられ、ためにここに籍を持つところの青年男女はこのボス政治を退治いたしますと同時に、武生から暴力団的勢力を駆逐して、明朗な民主政治を確立するために蹶起したという事実も現われて参りました。調査団調査結論がここまで生れましたことを、われわれは喜んだ次第であります。これもひとえに調査団のみでなく、新しい国をつくるがために、日本全国に盛り上つております民主政治実現のための国民の熱意の現われとして、われわれは日本が徐々ながら明るい面に向いつつあることを感じまして、この国民の傾向に対して敬意を表しますと同時に、こうした国政調査に国会が乗り出して、検察当局警察の手の届かない点に対して、乱れたるところの治安を回復する意味において、大いに努めなければならぬという確信を深めた次第でございます。  以上が調査をいたしました事実の内容でございます。調査団としてはこれを要するに今の報告で皆さんにも御了解を得たかと思いますが、この四つの事件は切り離して考えられる点もあるが——地域的には切り離されておるにかかわらず、内容的には切り離して考えられないところの相関性があるという点を重視する者であります。その相関性と申しますのは、まことに遺憾なことで言いにくいことでありますが、こうした事件捜査にあたりましては、事件関係があるかないかは別問題として、いつも捜査線上に某政党と某解散団体が浮んで参るということであります。またこれは相当重大視されなければならぬことでありますが、この事件を追究して参りますと、副産物として、第二にはその地区自治警察の腐敗ということが正面に出て参る。また私たち相接関係のある官庁でありまして、非常に言いにくいことであり、まことに遺憾なことでありますが、それに付随して、その地区に駐在するところの検察事務官の腐敗ということが、その前後に現われて来る。また自治警察暴力団のつながり、自治警察と不良分子のつながりといういうことがどの事件にも現われて来る。こうしたことは地域的に離れておりながら、この事件全体を通じて類似的なものとして見なければならないところの一つの関連性を持つ事件であるということであります。こういうような調査団結論的なものからいたしまして、私はここにまた政府の方も御出席でございますから、政府に一言を申し上げたいのでありますが、どうしてもこうした事件を断たなければ、日本の民主化ははかれないのでありまして、こうした事件を断つための方法を真剣に検討しなければならないのであります。  その検討をするにつきまして、第一に考えていただかなければならないことは、検察庁国家警察自治警察の三者の協力関係というものができてない。従つてこれらの事件をなくするためには、検察庁国家警察自治警察の三者の協力態勢を強化しなければならぬ。もし必要があるなれば、この協力態勢に対する立法的な処置も考慮する必要があるんじやないかということが考えられます。  第二は小都市におきますところの自治警察というものは、いまだ民主的な態勢がととのえられておらないきらいがあるのでありまして、常にボスや暴力団との惡因縁が断ち切られておりません。常に惡因縁がありまして、いまだこの関係が断ち切られておりませんので、どうしても検察力、警察強化のためには、特に小都市における自治警察のボスと暴力団との惡因縁を断つという何らか強い方途を講じなければならないということが考えられます。  第三は、どこにもあることでありますが、警察国家警察自治警察に分離いたしまして、そのときの人員の配置とか、設備の利用問題で両者の感情の行き違いが生れておつたのでありますが、この感情の行き違いというものはいまだ直りきれない。いまだ国家警察自治警察との間には感情の行き違いが介在をいたしまして、これがために非常に治安の確保に憂慮すべき点がありますので、この感情の行き違いを一日も早く是正すると同時に、装備におきましても、厚生施設におきましても、待遇の問題にいたしましても、人事の交流にいたしましても、私は双方を平等の立場に立たして、不均衡を是正するという方面に、国家としては思い切つた態度をとらなければならぬじやないか、こういうように第三の点として言つてみたいのであります。  第四は、裏日本の問題でありますが、裏日本におきましては、こうした調査で事実がわかりましたように、常に事件の主謀者というものに、遺憾でありますが朝鮮人が含まれております。事件の主謀者に朝鮮人が含まれるということは、朝鮮人問題に対する対策というものが、治安にとりまして大事であるということが言われると思うのであります。つきましては、この問題を解決するためには、日本国家として不法入国、密貿易の取締りを今よりもつと強化する必要がある。今のままの手放し的な不法入国に対する方途、密貿易に対する方途では、とうてい裏日本治安は確保されない。裏日本治安を確保するためには、ぜひともこの点を強く政府がお取上げになられまして、これに対する十分なる対策を必要とする、こう考えるのであります。   以上が調査団調査いたしました結論から生れまするところの、政府当局に対する私たちの主張であります。以上をもちまして今回の調査報告といたします。
  36. 花村四郎

    花村委員長 この問題に対して何か御発言がありませんか。——なければ武生等の派遣委員報告はこれをもつて打切ります。     —————————————
  37. 花村四郎

    花村委員長 この際お諮りいたします。最高裁判所より過般の北川委員質疑に対し発言の申出がありますので、国会法第七十二條により、これを承認するのに御異議ありませんか——御異議なければ最高裁判所事務次長五鬼上堅磐君。あるならあとで……。五鬼上堅磐君。
  38. 五鬼上堅磐

    ○五鬼上説明員 前の国会におきまして北川委員から御質問がありましたが、お尋ねの趣旨は、昨年の八月二十二日から二十四日まで、当委員会において鹿児島の滿尾君亮氏の選挙違反事件調査された際に、当該事件の担当裁判官である鹿島裁判長が、民自党だけで調査に来たのはどういうわけか、調査をやめさせることはできないのか、また審理中に調査があつたことは遺憾であるというような発言があり、これは調書にも載つておるし、新聞にも報道されておる、かようなことは国政調査権を否定するような言葉ではないかというような御趣旨であつたと承ります。最高裁判所の方におきましても、かような事実があつたということについては非常に関心を持ちまして、ただちに係官を現地鹿児島市に派遣いたしまして、当事者たる鹿島判事、そのほか主任裁判官、あるいは鹿児島地方裁判所岩野稔氏、その他関係部長あるいは関係官等の間に愼重に調査いたしましたのですが、その調査の結果をここでお答えいたします。  まず調書にさような発言の趣旨が載つておるということでございまして、調書を取寄せまして取調べましたところが、御質問の趣旨のようなことは調書にはございません。もつとも国会の調査に関しまして、八月二十九日の公判廷において、こういう調査があつたかという事実と、取調べを受けたかどうかということについて、裁判長から被告本人に尋ねたことはありますが、その際に調査団の派遣、あるいはその調査活動を非難するような意思でもなく、さような言葉でもなく、いわんや国会の国政調査権を否定するようなことは全然なかつたことが判然いたしました。  この際申し添えますが、滿尾君亮氏の事件昭和二十四年の四月二十五日に鹿児島地方裁判所で受理されたものでありまして、第一回の公判期日は五月二十四日でありましたのを、弁護人の御都合で変更され、六月四日以降八回の公判を開いて鹿児島で終結されております。目下この事件は控訴中でありまして、福岡高等裁判所宮崎支部で係属しております。  大体北川委員の御発言に対しての調査の結果は以上の通りであります。
  39. 北川定務

    ○北川委員 最高裁判所の御調査の結果を伺つたのでありまするが、私が質問いたしましたのは、何らの根拠がなかつたのではないのであります。滿尾君亮君の直接のお言葉と、あるいは各新聞紙が報道しております事実に基いて質問をいたしたのであります。ことに新聞紙の記載によりますると、裁判の言渡しと同時に、被告が当裁判の係属中に法務委員会を呼んだということについては、まことに遺憾であるということを述べたというような趣旨が報道されておつたのであります。おそらく裁判所の御調査でありまするから、間違いはないとは思いまするが、いまだに私としては、裁判官のなしました言動につきまして、はたして御調査の結果の通りであるかどうか、いささか疑いを持たざるを得ぬのであります。さようなことがないといたしましたならば、まことにけつこうであると思いますが、ただいま申し上げました通り、私はまだ一部の疑いを持つものであります。     —————————————
  40. 北川定務

    ○北川委員長代理 山口委員より発言の申出がありますので、この際これを許します。山口好一君。
  41. 山口好一

    ○山口(好)委員 実は本日の日程にはございませんが、ここで最後にお願いいたしたいことがあります。これは栃木県の喜連川町の人権蹂躙事件に関する問題であります。大体の要点は、この喜連川町に蟠踞いたしまするボスが、今日この自治警察署を大体自分の権力のもとに置きまして、自分の息のかかつた者については、相当犯罪がありましてももみ消されてしまうのに反して、このボスに従わざる者については、詰まらぬことにも厳重にこれをとらえまして、人権蹂躙的な問題がしばしば起るのであります。そこでこの町民はこれに多大の不安を感じまして、今や戰々兢々としておるような状態にあります。その町の熱心な青年あるいは婦人団体などの愛町同志会という会でありますが、この愛町同志会の人々からの陳情によりますれば、過般新聞紙にもしばしば発表せられましたように、このボスの意に従わざる公安委員が最近二人まで罷免されておるのであります。人格高潔にして、この町を守るべき最も適任な署長を選ばんとする公安委員に対しまして、これを二人まで罷免しておるというような事件が起つておることは、委員諸君も御承知かと思うのであります。さらにこのボスの一家の一人が最近大きな肥料のやみをやつたのでありますが、これなども警察がその息のかけられておりますもとにありますもので、取調べをすることができない。検察庁の方でも熱心にこれを調査いたそうといたしまするが、町の警察署の人々は、家宅捜索に参るその前に、すでに被疑者の方に通報をいたしておる。また警察官のある者は、そのボスの宅にも常に出入りしておるのみならず、その家を借りてそこに住まつておるというような者もありまして、町の大部分の心ある人々は、これに対して非常な顰蹙の目を向けておるわけでありますが、いかんともしがたい状態にあります。県の警察部も、また宇都宮の検察庁ども、これに対しましては熱心な監視の目を向けておりますが、十分に捜査が行き届かないとうような状態にあります。これは喜連川という小さな町の問題ではありますが、やはり全国的にこうした問題は多々あることと信じますので、そうした大きな見地から、この自治警察をめぐるところの不正、それにつれてまた検察当局の十分なる活動ができないというような点は、ぜひともわが委員会において調査をいたさなければならないと考えるものであります。どうぞこの栃木県の喜連川町にわが法務委員会から調査委員を派遣せられまして、これらの不正を十分御検討くださつて、そうしてただいま田嶋君からも御報告がありましたが、これと関連しまして、やはり各所に起りまするこういう問題の徹底的なる是正をされるという意味において、調査委員の御派遣を願いたいと思います。委員諸君にお諮りいただきたいと思いますので、委員長からお諮りをくださいまして、すみやかに調査委員の派遣を御実行願いたいと思います。
  42. 北川定務

    ○北川委員長代理 ただいまの栃木県喜連川町における人権蹂躙問題調査のため、委員派遣の申請書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。
  43. 北川定務

    ○北川委員長代理 御異議がなければさようとりはからいます。派遣委員氏名、期間、地名等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。
  44. 北川定務

    ○北川委員長代理 加藤君から発言の申出がありますから、これを許します。加藤充君。
  45. 加藤充

    加藤(充)委員 時間がおそくなりましたので簡單にいたしますが、今の田嶋好文君を団長とする調査団の派遣については、私ども異議はないのでありまするが、その報告などについては、とりわけてこの調査団は二回派遣されたのですが、結果として問題となつて参りました共産党のことやら、朝連の連中のことが出ておりますが、共産党委員が、いろいろ八方努力をいたしたのですが、遂にこの委員の中に加えられなかつたということ、従つてこの報告概略というプリントの中に表われた文字自体についても、多くの質疑がありまするし、また私どもが聞き知つておりまする範囲についても、いろいろ意見を述べてみたいと思う点もあるのですが、先ほど申し上げたように、その点はひとつ留保いたしまして、きようはその点についてはこれで打切りたいと思うのです。ただもう一つ、今栃木県下の喜連川町の問題が出まして、調査団派遣のことが採決になりましたけれども、それにあわせまして、実は御近所の大森におけるピストル事件——これは私どもつてにつけた名前なんですが、それをまず皆さんに御相談をお願いしたいと思うのであります。  問題は去年の正月に発端した事件ですが、警察その他の調査が終つたのは去年の六月九日ごろの問題なのであります。それは大田区大森九丁目に住んでいる鈴木康之という男が、大森一丁目の田代七藏——槍七という、報告によりますと「ひもんや」一家に属する男からピストルの修繕を頼まれた。それをやはりことわつたことに発端して、そのことを警察に言つてつたところが、逆手に田代のために鈴木がとんでもない被害を受けて、しかもそのことを敢然と申し出たにもかかわりませず、——それでいろいろな証拠によりますれば、十四年式ピストル四十挺の隠匿所持問題に関連しておるのですが、結局不問に付されてしまつた。しかもその間に現在大崎警察署鑑識部長の星野刑事、それから警視庁捜査第三課の千田警部補、警視庁の小松明警部補、東京地検の中込検事、坂本事務官というような人々が、これに介在しておるのでありまして、近所の話によりますと、所持者と言われております田代なる者については、前科数犯の者であり、「ひもんや」一家に属する博徒で、品行が悪く、ゆすり、たかり、どろぼう等平気で行つて、近隣からきらわれていたが、だれも手出しができないという状態があり、それを取上げた鈴木が、事件がうやむやになつて帰つて来てしまつた後には、いわゆる田代のために鈴木の家財道具はぶちこわされたり、それからなわ張りには五年間一歩も入れないと言つて、実際逆手にえらい恫や恐喝を受けておる。近所の者も、この問題で警察や何かが動き出したということに対して、たいへん期待を持つてつたが、それがうやむやになつて、出て来た後はかえつてそれを取上げた鈴木が被害を受けておるということで、まつたく失望、落胆して戰々兢々としている事実なのであります。  そのいろいろないきさつは、あとから私の方で委員の方にお渡し願うような便宜をお許し願いたいと思いますが、近所のことでもあり、ピストル四十挺のことに関連して警察が入つておりますのと、博徒警察の連関なども非常に不明朗なものが多々見えますので、これもあわせてひとつ調査の件を御採択になつて、しかるべく手続をお願いしたいと思います。
  46. 北川定務

    ○北川委員長代理 ただいま加藤君の述べられました事件につきましては、いずれ理事会を開き、その取扱いについて協議をいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。
  47. 北川定務

    ○北川委員長代理 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  48. 北川定務

    ○北川委員長代理 この際先ほど裏日本における武生米子各地及び福井今立署等裁判所または検察庁怪火事件調査に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
  49. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほど私は発言を留保しておきましたが、実は調査報告書というようなものは、当委員会権威の上からいつてなるべく早くまとめらるべきものであることはよく了承しておりましたけれども、第一回の派遣の問題についても、まだ正式な報告は私ども見ておりませんが、先ほど申し上げたような事情でありますから、私の委員としての質疑を、重ねて後にそういう手続をおとりはからい願いたいと思います。
  50. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 第一回のは行つております。
  51. 加藤充

    加藤(充)委員 それじやその点は何ですが、田嶋君の報告では、一例ですが、たとえば福井刑務所集団逃走事件の中の(ニ)の(ヘ)の表現ですが「窪田は、共産党員で元朝連員である洪成杓、林銀洙等と盛に接触していた」ということがある。こういう文言の文書になつておるようですが、田嶋君の御説明によりますと、これは共産党員ではなかつたというような御説明があつたと思う。
  52. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 洪成杓は共産党員じやないのです。
  53. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、窪田は元朝連員である林銀洙と盛んに接触したということになる。私どもの方はもう一回ひとつ確めたい。ほかにもいろいろあるのです。だからこの次の会議にでもそういうふうな議決をしていただくということにして……。
  54. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 加藤君にちよつと関連してお答えしますが、趣旨でなしに、言葉の点について間違いの点がございましたら、是正する用意があります。
  55. 加藤充

    加藤(充)委員 開き直つて言う必要はないのですが、今のは言葉じやないと思うのです。今まで共産党ないし朝連という団体が問題になつておるわけです。しかも今の点は共産党員であるかないかというような問題なのであつて、これは結局本質の問題で、言葉のミス・プリントだとかいうことでは断じてない。こう思いますので、字句の修正とかいう形式的な点じやなしに、ひとつ確かめてみたい点があるのです。それで今私が発言したから、そういう形式的な点が問題になつたと思うのですが、そういう発言なしに今のような御採決をしてやつた場合には——委員会はこのプリント通りにやるというようなことになりますと、その不明をわれわれは恥じなけばならないような結果に相なる。これは非常にこまかいことで恐れ入りますけれども、そういう点でひとつ御配慮をぜひ願いたいと思う。
  56. 田嶋好文

    田嶋(好)委員 加藤君にお答えいたしますが、そのプリントは参考までに差上げましたので、私がきよう報告いたしました速記録の範囲において責任を持ちたいと思います。
  57. 北川定務

    ○北川委員長代理 報告書作成に関する件につきましては、後日に延期することにいたしますか、いかがとりはからいましようか。
  58. 猪俣浩三

    猪俣委員 加藤君にお尋ねいたしますが、この事実について加藤君の方でお調べなさつたことはありますか。
  59. 加藤充

    加藤(充)委員 あります。
  60. 猪俣浩三

    猪俣委員 それじや加藤君も起草委員に入つてもらうか、起草委員にならなくても、加藤君の意見を少数意見としてつけて、あとで委員会にはかつたらどうですか。
  61. 北川定務

    ○北川委員長代理 加藤君に申し上げますが、少数意見をお出しになりますか。
  62. 加藤充

    加藤(充)委員 出します。今のようなはからいで私それ以上にこだわりません。
  63. 北川定務

    ○北川委員長代理 それでは猪俣君の御意見の通りに、次会に決定いたしたいと存じます。  本日はこれで散会いたします。     午後一時十分散会