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1950-04-24 第7回国会 衆議院 文部委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十四日(月曜日)     午後二時十六分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 水谷  昇君 理事 若林 義孝君    理事 小林 信一君       淺香 忠雄君    柏原 義則君       木村 公平君    佐藤 重遠君       松本 七郎君  出席政府委員         文部政務次官  平島 良一君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     稻田 清助君         文部事務官         (大学学術局         長)      剱木 亨弘君         文部事務官         (調査普及局         長)      辻田  力君  委員外出席者        專  門  員 横田重左衞門君     ————————————— 四月二十四日  委員千賀康治君辞任につき、その補欠として野  村專太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  教職員免許法の一部を改正する法律案内閣提  出第三八号)(参議院送付)  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)(参議院送付)   請 願  一 小学校における家庭科存置に関する請願(    若林義孝君外十八名紹介)(第一二〇一    号)  二 教職員給與改訂に関する請願米原昶君    外一名紹介)(第一二五一号)  三 同外一件(谷口善太郎君外一名紹介)(第    二一五二号)  四 大学院学生研究並びに生活條件改善に関    する請願若林義孝君外一名紹介)(第一    二八一号)  五 東京都立園芸高等学校八丈分校敷地決定に    関する請願石田一松紹介)(第一三〇    九号)  六 小学校及び中学校における家庭科存置に関    する請願田島ひで紹介)(第一三二〇    号)  七 青山小学校増築費国庫補助請願鈴木善    幸君紹介)(第一三五四号)  八 小学校における家庭科存置に関する請願(    小金義照紹介)(第一三八三号)  九 同(高木章紹介)(第一三八四号) 一〇 同(大澤嘉平治君外一名紹介)(第一四一    一号) 一一 宮城県第三女子高等学校東北大学教育学    部附属高等学校に移管の請願庄司一郎君    紹介)(第一四一二号) 一二 山形県下教員定員増加に関する請願(志    田義信紹介)(第一四一八号) 一三 新日本精神教育実施促進に関する請願(内    海安吉君外四名紹介)(第一四四三号) 一四 国庫負担による專任社会教育主事設置の請    願(浦口鉄男紹介)(第一四六四号) 一五 教職員給與改訂に関する請願圖司安正    君外一名紹介)(第一四八〇号) 一六 同外一件(米原昶紹介)(第一五二五    号) 一七 教育職員免許法及び同法施行法の一部改正    に関する請願上林與市郎君外三名紹介)    (第一四八四号) 一八 教育委員会法の一部改正に関する請願(上    林與市郎君外三名紹介)(第一四八五号) 一九 標準教育費法制定に関する請願上林與市    郎君外三名紹介)(第一四八六号) 二〇 教職員教育費増額に関する請願松本七    郎君紹介)(第一四八九号)     —————————————
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  これより請願日程の審査に入ります。  日程第一、小学校における家庭科存置に関する請願文書表第一二〇一号、紹介議員若林義孝君。日程第八、小学校における家庭科存置に関する請願文書表第一三八三号、紹介議員小金義照君。日程第九、小学校における家庭科存置に関する請願文書表第一三八四号、紹介議員高木章君。日程第一〇、小学校における家庭科存置に関する請願文書表第一四一一号、紹介議員大澤嘉平治君は、いずれも小学校における家庭科存置に関する請願でありますので一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。若林君。
  3. 若林義孝

    若林委員 ただいま議題となりました小学校における家庭科存置に関する請願について、その趣旨説明をいたしたいと思います。  本請願は全国にわたります小学校家庭科存置を熱望する方々のものであり、同時に列挙されておりませんけれども、これに関心を持つPTAの役員その他から提出されておるところのものであります。その趣旨は、学校教育法第十八條に、小学校における教育の目標は「日常生活に必要な衣、食、住、産業等について、基礎的な理解と技能を養うこと。」とあるのでありますが、家庭科を除いた他の教科においては、この方面の教育目的を十分に達することができない。またわが国民主化は、家庭民主化をその基盤に置かなければならぬが、民主的家庭生活のあり方を体得させるために、小学校においては家庭科は最も重要なる役割を果す教科であるから、近く決定されるであろう学校教育基準法制定に際して、小学校教育において家庭科存置されたというのであります。  この問題に関しましては、前回委員会圓谷委員並びに私から稻田局長説明を承つたのでありまして、大体団長の御説明は、この趣旨を失わないような方針で行くという漠然たる御答弁であつたのでありますが、その後審議会においてこれが審議されるということもその中にありましたので、その審議会方針がどういう行き方をするのかということを、私たち仄聞するところによると、文部省はその廃止方向に向つて進んでいるといううわさがあつたのであります。局長はそうでないという弁明があつたのでありますが、過般の二十一日に行われました審議会をのぞていて見たのでありますが、うわさに聞く通り、きわめて非民主的な行き方であつたようであります。そうして木宮という事務官に、どういう方針で進んでおるかと言えば、今日もこの廃止決定してもらいたいとう方向にこの会議を進めておりますということを、私に言明したのであります。ところが賢明な審議会決定は、存置決定されたのであります。文部省が企図せられた方向違つた存置決定がなされたのでありまして、この請願趣旨には、審議会決定沿つておると思うのであります。しかしああいう行き方で行きますと、国会で言明せられておる行き方と、文部省当局としての進み方とが相反するのであつてほかの点においては私さほど感じませんが、この件に関しては文部省のとられた態度——私は與党立場からというのではなしに、文部省のことについては常に好意的に協力するという立場をとつて来たのでありますが、この件に関しては国会を無視したきらいがあると私は考えるのでありまして、この請願紹介をいたしました私の責任からも、この点を強く説明の中に加えて、この請願趣旨が十分達成し得られますように、委員各位の御協力を願う次第であります。
  4. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を伺います。
  5. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 御請願趣旨にありますように、小学校課程におきまして、家庭科が非常に重要な意義を持つておるということは、私もまつたく御同感であります。文部省では小学校中学校等教育課程につきましては、審議会を設けまして、その審議をいたしておるわけでありますが、審議会に関しまする、ただいま申されました文部省態度がきわめて非民主的なところがあつたという点につきましては、不幸にして私まだ詳しく存じませんが、しかし文部省としましては、その審議会の当然の線に沿うと同時に、国会におきましての趣旨といたしますることにつきましては、十分考慮いたして決定すべきだと考るのでありまして、その点は一事務官等関係でございませず、文部省全体といたしましては、できるだけそういう趣旨沿つて参りますようにいたしたいと考えております。
  6. 若林義孝

    若林委員 ちよつとこの点だけはつきりいたしておきたいと思いますから、時間を拜借いたしたいと思うのであります。稻田局長が見えておりませんので、はなはだ残念でございますが、政務次官も見えましたからお伺いいたします。前回におけるこれに関する質疑を行いましたときには、私たち国会においても、それに関連を持つ人たち参考意見を徴するというので、公聴会を開かれ、われわれこういう陳情を受けておりますものとしても、そういう意見をひとつ聞いていただく機会を得るならば、われわれもその審議会に臨んで参考意見を述べさせていただくとまで言うておいたわけなんです。幸いにして審議会存置決定されたわけであります。これを今までの行き方からいつて、とうに決定が出ておるはずであるのに、何とかして白紙に持つて行きたいという行き方で進んでおつたことだけは、いかに弁明せられましても、はつきりいたしております。これはあくまでも民主的にやつていただきたいのであります。この間事務官には、もしもそういうことかあれば国会審議会とが正面衝突するようなおそれがあるということまで言うておいたのでありますが、この件に関してひとつお願いしておきたいのは、この審議会の経過の速記録があると思うのでありますから、お取り寄せになつておいていただきたい。そうしてだれからも非民主的だと思われるようなきめ方をしておいて——文部省が持つておる考え違つた意見を持つておる人たちをその会から脱落させて、聞くところによると座長になつた人、も非民主的な賛成意見——存置論を押えつけようとするような座長ぶりを発揮したというようなことまでわれわれの耳に入つております。これがほんとうであるかどうか知りません、とにかく存置に一生懸命になられる方たちの見る見方であるから、あるいは誤つた見方をしておるのかも知れませんが、われわれの耳に入つておるのはそういう状態なんでありまして、審議会意見を尊重するならば、ありのままの状態において愼重審議されることがよろしいけれども、すでにその方向に持つて行くという向け方審議の仕方というものは、私は避けていただかなければならないと考えるのであります。それから圓谷委員の言明に対して、早急にこれはきめないようにしてもらいたいというように言明せられたのに対して、愼重にやると答えられて、その数日の後の会議において一係官が白紙方向に向つてこの会議をきようにもきめてもらいたいと言つておるのです。私にはつきり廊下で言われたのでありますから、そういうように一局内においても局長意思事務官意思が相反しておる。局長としては、ここで言明しておる以上は絶対に早くきめるべきでないという慎重な態度をおとりになつておるのでありますが、その下におられる事務官がそういう行き方で進んでおるというようなことは、まことに残念なことだと私たち考えますので、一つこの点は愼重にやつていただきたいと思うのであります。この点政務次官もよく御承知のことだと思うのでありますが、政務次官としてのお考えを承つておきたいと思います。
  7. 平島良一

    平島政府委員 ごもつともな御意見でありまして、この前の委員会にも、圓谷委員なり、若林委員から御意見が出ましたのでありますが、その御意見に沿うて稻田局長から愼重審議いたしますということを約束いたしましたようなわけでありまして、事務の者がどういうふうに言うておるかしりませんが、局長の答弁いたしました趣旨通りにわれわれも現にやつておるのであります。日本の生れかわらんとする陣痛の悩みの過程においては、いろんな派生的なものが出て来るのでありますが、そういうことはよくわれわれは愼重考えて、真に日本の国情に沿うべきものにしなければならないと私ども痛切に考えておりますので、国会における意見はどこまでも尊重いたしましてその線に沿つてわれわれは善処いたしたいと考えております。     —————————————
  8. 長野長廣

    長野委員長 日程第二、第三、第十五及び第十六は、いずれも教職員給與改正に関する請願でありますので一括議題といたします。  本請願前回すでに審査した請願同一趣旨でありますので、紹介説明及び政府意見聽取を省略いたします。     —————————————
  9. 長野長廣

    長野委員長 日程第四、大学院学生研究並びに生活條件改善に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  10. 若林義孝

    若林委員 若林圓谷委員紹介なつでおる関係上、私から御説明をさせていただきます。  この請願東京大学の農学部大学院学生御園喜博外五十九名からの請願でございます。大学院に籍を置きます者の全部の希望を、これに盛つておる請願であると思うのであります。  その要旨経済生活の窮迫に際して、大学院学生生活状態はきわめて苦しく、大半はアルバイトをしなければならぬ、また現在していなくても、アルバイトを希望する者が多いのであります。将来研究者としてわが国学術の振興に寄與し、日本再建の礎ともなるべき大学院学生が、このような劣惡なる條件にさいなまれつつ、その使命とする研究が圧迫されているということは、国家のためにも憂慮さるべき問題であります。ついては、大学院学生に対する育英資金を増額し、採用人員を増加し、授業料を免除されたい。また大学院学生及び特研生に対して、学生定期券学割適用を中止しようとするがごとき動きがあると聞くのでありますが、上記にかんがみ、固定期券及び学割適用を確保されたいというのであります。本委員会におきましても特定な大学院学生というばかりではなしに、全般学生のこれに関しまする論議が各委員からるる懇切に述べられ、また文部当局もきわめてこれに協力的な推進をせられておるのでありまして、敬意を表しておる次第でありますが、ただいまこの請願に対しまするものをもととして、文部当局参考資料になるものを提出していただき、委員各位の御協賛を御推進を得まして、この請願趣旨に沿うべく盡したいとお願いをする次第でございます。
  11. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取します。
  12. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 ただいま御請願にございましたのは、本大学院特別研究生給與改善に関する事項だと思います。大学院特別研究生は、これを設置いたしましたのは、日本の科学の水準を維持いたしますために、大学院におきまして、何ら生活上の憂いなくして專心学問研究に従事するというために、特に優秀な者を選んで大学院特別研究生という制度を置いたのでございます。当初におきましては、その趣旨によりまして実施いたして参つたのでございますが、終戦後経済情勢の激変とともに、大学院特別研究生に対しまする学資なり研究費なりが、一般給與と並行いたしませんで、ややもすれば遅れがちになつて参つたのであります。もちろん設置当初におきましては、一般給與よりもむしろ上まわつた学資を出す趣旨におきまして出しておつたのでございますが、それが一般給與よりも下になつたということが、特別研究生の非常に困つて参りました大きな原因でございます。文部省といたしましては、これらの障害を除去するために、給與が改訂されると同時に、できるだけの学資を確保するように努めて現在に至つておりますが、なお現在でも不十分であることはやむを得ないのでありまして、これに対しまして、できるだけの改善に努力いたしておるのでございます。ただ二十五年度の予算におきましては、これは新規の募集につきましては、全部育英会会費に切りかえられたのでありますが、ただ今後の問題といたしまして、これを育英会会費をもつて支弁すべきか、あるいはまた従来通り学資を相当出しまして、研究費も十分出して、そうして特別研究生については学問研究に專心させるという制度を存続する必要があるのではないかというような問題につきまして、十分今後研究して参りたいと思います。なお学割とか定期券等の問題につきましては、十分そういうことのないように努力して参りたいと考えます。     —————————————
  13. 長野長廣

    長野委員長 日程第五、東京都立園芸高等学校八丈分校敷地決定に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  14. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員にかわりまして、私より説明いたします。  本請願要旨は、東京都立園芸高等学校八丈分校敷地決定のため、かねて同島内の、大賀郷村と三根村の両村で紛争していたが、東京教育委員会では、実地を調査して、声明書を発表し、同分校は、従来通り大賀郷村有の公会堂を継続使用することを宣言した。しかるに、本年一月二十六日、突如として、声明書を全く無規して、一方的に大賀郷無線局跡敷地に採用した。これは、同島民大多数の意思を蹂躙したものであるから、同島民の投票により、融和的に、敷地決定を変更されたいというのであります。
  15. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取します。
  16. 稻田清助

    ○稻田政府委員 本件は東京教育委員会の所管に属することでありますが、一応事情を照会いたしました結果を申し上げたいと存じます。  八丈島にこの分校がございましたが、固有の教室を持ちませんので、村の公会堂使つてつたのであります。そこで村におきましては、各部落で金を持ち寄つて一つ校舎を建てようという話がありましたが、位置について見解一致しなつたのであります。そのうちにこの大賀郷村と三根村ではそれぞれ建築にとりかかつてしまつたのであります。東京都では後にその事情を知りましたので、急いで両方の工事中止を命じまして都庁から学校委員が行きまして、双方の校舎その他を調査いたしたのであります。その結果三根村の方は土地が火山灰地であり、農業実習ができないのみならず、将来水産科設置するといたしましても、海から非常に遠い、大賀郷村の方は畑地で実習も可能であり、今学校の存在する部落である、交通も便利であるというような諸種の事情から、東京教育委員会としては大賀郷村の方の敷地決定いたしまして、寄付を正式に採納いたしたわけでございます。  そういうようなわけであつたのでありますが、その後において三根村において非常に反対の意向を表明いたしまして、今日に至つているわけでありますが、東京教育委員会としても、さらに二月九日再確任いたしまして、大賀郷村の校舎を依然として存続せしめるという決定をいたしましたような次第でございます。この関係三根村の方では現在小学校を一部こわして持つてつたために、小学校においては講堂を間仕切りをして教室に使わなければならぬというような状態であります。両村ともおおむね三百五十万円の経費を使つているというような実情を聞いております。     —————————————
  17. 長野長廣

    長野委員長 日程第六、小学校及び中学校における家庭科存置に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます
  18. 松本七郎

    松本(七)委員 本請願は、先ほど若林委員から御説明になりました請願と、ほとんど同一趣旨のものでありますが、ただ小学校ばかりでなしに、中学校にも家庭科存置しようというのであります。すでに若林委員から詳細な御説明がございましたから、ごく簡単に要旨を御説明申し上げますと、戰後の新しい教育は、家庭民主化を目ざして、家庭科単独教科として取上げ、着々その効果をあげて来た。しかるに今回中学校では、同科を職業科と統合いたしまして、職業家庭科となし、小学校ではこれを社会科の中に統合しようとしている。重大な使命を持つ家庭科をこのように統合することは、両科ともその目的とする意義を失い、徹底しないことになりますから、現在通り小学校にも、中学校にも、家庭科を單独科として存続せしめられたいというのであります。何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  19. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取します。
  20. 稻田清助

    ○稻田政府委員 この件につきましては、他の政府委員から政府見解を申し述べたということでありますが、重ねて簡単に申し上げますれば、小学校教育におきまして、家庭生活に必要な知識、経験、技能生活習慣というものを養いますことは、もとより非常に重要な問題でございます。小学校の児童の生活といたしましては、ほとんど家庭生活が中心であります関係上、小学校の各教科学習がすべて家庭生活関係を持つて参るのであります。従いまして、教科を立てます場合に、重複なく、また脱落なく、専門的、教育的見地をもつて考えます場合に、独立した家庭科を立てた方がよろしいか、あるいは他の教科の中に包含せしめたらよいかということは、まつたく専門技術的な問題であると考えられるのでございます。そういうような次第で、文部省にも教育課程審議会があり、各種の学習指導要領委員会もございますので、それらの専門家、実際家たち意見を聞きまして、今後ともその目的達成のために遺憾なきを期して参りたいと考えております。  ただ中学校におきましては、六・三・三の新制度出発以来、家庭科という独立した教科はないのでありまして、職業科という教科の中に、職業に関する学習と、家庭に関する学習をあわせ行うことになつておるのであります。ただその後におきまして、いろいろ学習の方法を改善して参つては来ております。以上お答えといたします。
  21. 若林義孝

    若林委員 ちよつとそれに関連して、ちようど局長がお見えになりましたからお聞きしたいと思います。先ほどのことは繰返しませんが、この審議会にかけて愼重審議をし、それによつて決定を見るという局長のただいまの御言葉だつたのでありますが、去る二十一日の審議会における模様をひと一つお聞かせ願いたいと思います。
  22. 稻田清助

    ○稻田政府委員 二十一日に審議会小学校分科委員会がありまして、小学校教科について審議をしておつたという報告は承つております。ただ私といたしましては、審議会にも列席いたしませんし、また同小委員会も結論に到達しておりませんので、小委員長からの御報告に接するに至つていないのでございます。ただ昨年の十一月以来、小学校教科につきまして、おおよそ毎週くらい回を重ねて、ずつと研究して来られておることは承知いたしております。單に家庭科ばかりではなくて、いろいろな教科につきまして、従来の重複を避けたり、あるいはまた従来の脱落を補充しようという意図のもとに、審議会で継続して熱心に御審議つておるという実情は私承知いたしておるのでございます。
  23. 若林義孝

    若林委員 私どもの聞きましたところでは、あの日は家庭科存置することに決定したということであつたのであります。これほど重要な案件として、前の委員会において圓谷君からも私からも質問並びにお願いをいたしておいた事柄であります。それが二十一日であり、今日はすでに二十四日でありますが、文部省事務がいかに紆余曲折をしていて、局長にまで行くのに日にちがかかるかということに驚くのであります。  こういうことに関して私は、今日存置にきまりましたからということの報告を、それに列席しておつた人から聞いておるのでございます。なお局長お願いいたしておきたいことは、たといそれがきまつても、また文部省で、この前も申しましたような行き方で、かわつた決議をさすというようなことのないように明朗にやつていただきたいと思います。先ほど政務次官に御質疑をしたときにもお願いをしておいたのですが、この審議会会議模様が、初めからどういう推移をして来たかということをお聞きした。これは君谷という事務官にも、これだけは議会で要求をするから、ひとつ記録を発表してもらいたいと言つておいたのですが、だれが賛成で、だれが反対でということはどちらでもよい、議長審議ぶりがとういうようなものであつたかということを知りたいと思いますから、その点局長にもお願いしておきたいと思います。
  24. 稻田清助

    ○稻田政府委員 文部省のほかの諮問委員会も、多分同じような行き方をしておると思いますけれども、私どもといたしましては、審議会に御相談いたしまして、御答申を得ますれば、文部省といたしましての一また見解もございますけれども、一応御相談いたしました以上は、でき得る限り審議会独自の御見解、御態度をもつて審議を終了していただき、その終了を待つてその結果を承ります。われわれといたしまして、われわれ事務官がいろいろ審議会審議に必要な事務をいたすことはありますけれども審議決定の御意見は、まつた審議会におまかせするというような態度をとつておるようなわけでございます。先ほど申し上げましたように、この問題も審議会の小委員会の手元にまだございまして、いずれ審議会の総会に報告せられて、総会において何回となく会議を開かれて御決定になり、それから文部省がそれを重要な参考資料といたしまして、関係方面と折衝をする、こういう段階になつておりますので、小委員会における個個の段階の討議等につきましては、あまり私ども関與することは避けておるような次第でございます。  なおまた、こうした專門技術的な審議会でありますし、十分御討議等を願うというような意味からいたしまして、審議会の経過における委員の御意見等は、従来は外に公開しない慣例になつておりますが、国会からの御要求かありますれば、それはまた別でございますけれども、そうした意味において自由に発言させるというような次第でございます。こういう速記等もとつておりませんで個々の場合の個々の委員の御発言につきましては、記録はないのでございます。
  25. 若林義孝

    若林委員 この点はきわめて重大でありますから、もう一度発言を許していただきたいと思います。まことにそれたけを承るとよいのでありますが、二十一日における私と事務官との話合いでは、今日廃止決定に向うような行き方でやつておりますということを、はつきり言明しておつたのであります。前回にも私は好意をもつて、速記があるから言えなければ速記をやめて、いろいろ向うとの交渉もあるでしようから、そういうふうに進められてはいかがですかとまで申し上げたのでありますが、そうでないとするならば、文部省の一事務官がそういう意図で会議を進めるということは、局長がここで言明せられますことと相反することだと思います。これはさつそく局長におかれて究明をせられまして、国会で言明せられるのと反しないように、もしそれが反するようなことがあれば、局長自身国会を無視せられることになると私は考えますから、重ねて念を押してお願いをいたしておきたいと思います。
  26. 稻田清助

    ○稻田政府委員 事務官がお目にかかりましたその事実は、私今伺つたのでありますが、お答え申し上げたと申しますのは、委員会文部省の性質が、先ほど申し上げたような性質でありますから、おそらくは委員会審議の動向として、結論に到達するであろうという観測を申し述べたのであろうと考えております。結論に到達しなかつたことは事実でありまして、私といたしましては、結論に到達したという小委員長からの御連絡も、委員長からの御連絡もまだ伺つてないのであります。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 先ほどの稻田局長の御説、御意見によりますと、小学校の方につきましては、審議会意見を聞いて今度きめて行きたい。しかし中学校の方は六・三制の発足以来職業科に統合してあつて、それは変更する意思のないように伺つているのですが、その点いかがでしようか。
  28. 稻田清助

    ○稻田政府委員 中学校におきましては、職業家庭科学習指導要領委員会一つ改善案を昨年決定せられまして、その改善案をさらに職業教育委員会にかけられまして、委員会として可決いたしました。それをただいま若林委員からお話のありました職業課程審議会にかけ、職業課程審議会の答申があつたわけであります。それらの答申を重要な参考といたしまして、昨年十一月以来今日いたしておりますような職業家庭科教育方針を実施している次第であります。     —————————————
  29. 長野長廣

    長野委員長 日程第七、青山小学校増築国庫補助の請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  30. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 本請願は。請願者が盛岡市青山町青山小学校増築促進委員会新田秀一郎君であります。紹介議員鈴木善幸君でありますが、本日出席がありませんから、私かわつて説明いたします。  本請願要旨は、盛岡市にある青山小学校は、昭和二十三年四月開設されましたが、兒童数の激増がはなはだしく、開校当初より二部授業を施し、厨川中学校の一部校舎、市所有建物等を仮教室として使用するなど、三箇所に分散して、ようやく授業をして来たのであります。この対策として、昭和二十四年度において八教室の増築を決定され、目下工事中であるが、これが完成しても、とうてい全兒童を收容することができず、教育上大きい支障を来しております。ついては昭和二十五年度において六教室及び雨天体操場を増築するために、国庫補助をせられたいというのであります。よろしく御審議を願います。
  31. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  32. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 御請願ございました盛岡市青山町の青山小学校は、樺太引揚げ無縁故者の收容学校でございまして、最近設置されたものでございますが、これに対しては昭和二十四年度におきまして二百九坪分以上を補助いたしたのであります。二十五年度におきましても、なお不足教室につきまして、できるだけ国庫補助をいたしますように、目下考慮中でございまして、できるだけ実現いたしますように努力をいたしてみたいと思います。     —————————————
  33. 長野長廣

    長野委員長 日程第一一、宮城県第三女子高等学校東北大学教育学部附属高等学校に移管の請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  34. 若林義孝

    若林委員 紹介議員にかわつて説明をいたしたいと思います。  本請願は、仙台市中島町宮城県第三女子高等学校内の東北大学教育学部附属高等学校転換期成会の七十二名の連署による請願であります。その要旨は、宮城県第三女子高等学校は、創立当初より宮城県女子師範学校と、校地、校舎等、全般にわたりその施設を共用し、教員も兼任する等、密接不離の関係にあつたのであります。しかるに昭和二十四年、同師範学校が新制東北大学の教育学部に包括せられ、その附属諸学校も官立に転換されたのに、同第三女子高等学校は元のまま県立として残されたため、学校運営上多大の支障を来しておるのであります。ついては同第三女子高等学校を、東北大学教育学部附属高等学校に移管せられたいというのであります。
  35. 長野長廣

    長野委員長 政府の所見を求めます。
  36. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 宮城県の県立第三女子高等学校は、旧宮城県女子師範学校の中にあつたのであります。同様な状態にある、いわゆる高等女学校で師範学校の女子部にありますのは、まだ全国に相当数あるのであります。そこで新制大学の教育学部におきまして、高等学校教員を養成する実習学校として、附属なり、もしくは実習のための高等学校を必要とするのは、実際上は必要でございますけれども、ただいまのところにおきましては、まず義務教育の対象であります小学校及び中学校の附属学校の整備をいたしますことが、非常に緊急な問題でございまして、これをまずいたしました上で、将来教育学部に附属の高等学校設置するやいなやといういとを決定いたしたいと考えております。ただ一つのものだけにつきまして、この際考慮いたすということは非常に困難でございまして、全般の問題として考慮したいと思つている次第であります。     —————————————
  37. 長野長廣

    長野委員長 日程第一二、山形県下教員定員増加に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  38. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 本請願請願者は山形市立第三小学校内、山形県PTA連合会長松澤太治郎君であります。紹介議員は志田義信君でありますが、御出席ありませんから、私がかわつて説明申し上げます。  本請願要旨は、教員定員定額制によれば、児童数五十名をもつて一学級としているが、山間僻地の多い山形県の場合は、一学級平均二十八名という少数に教員一名を配当せねばならないから、教員の不足に悩んでいるのであります。ついては、同県の特殊事情を考慮して県下教員の定員を増加されたいというのであります。よろしく御審議を願います。
  39. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  40. 稻田清助

    ○稻田政府委員 昨年度の定員定額制による義務教育費国庫補助金が、国家予算縮減のために、地方に対して非常にきゆうくつでありました点は、まことに遺憾に考えた次第でございますが、特にその配分にあたりましては、この請願にありますような土地の事情等は十分考慮して、予算の許す範囲において交付いたしました。ことに補正予算を中心といたしまして、そうした特殊の地域に対しましては、極力補整いたした次第でございます。さような状況でありますので、山形県のこの請願に対しましても、決して十分と申す程度には参らなかつたかもしれませんけれども、私どもといたしましては、極力こうした特殊事情は考慮いたしたつもりでございます。     —————————————
  41. 長野長廣

    長野委員長 日程一三、新日本精神教育実施促進に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  42. 佐藤重遠

    ○佐藤(重)委員 本請願請願者は、宮城県登米郡石森町長片倉正顯という人であります。紹介議員は内海安吉君、瀬戸山三男君、宮原幸三郎君、笹森順造君、田中角榮君でありますが、紹介議員が御出席になりませんから、便宜本員がかわつて紹介いたします。  本請願要旨は、わが国が平和民主国家として立つためには、国民の精神的教養の充実完成が必要であるが、現在精神教育が軽視されている結果、国民の道義心は低下し、思想は混乱して憂慮すべき事態にある。ついては、新日本精神を確立して全国に普及し、各地に国民精神教育機関を設け、その委員には宗教的信念の強い人格者を選任する等の方法を講じて、新日本精神教育を実施されたい、こういうのであります。  そこで、はなはだ恐れ入りますが、ついでに本員の意見をつけ加えることをお許し願いたい。戰争後現在までの国内の実情は、皆さん御承知の通りまことに憂うべき現象の連続であります。このため新聞記事等に現われます社会現象を見ましても、国内でほんとうに日本の将来を思う者は、これはどうしても何とかせねばならぬと憂慮しておるところであります。こういうような種類の請願は、全国津々浦々から当然起るべきものだ、こう私は考えております。ただたくさん出ておる請願のどれを見ましても、ほとんど物質的な方面にのみ偏しておるのであります。本日本委員会に載つておりますたくさんの請願も、ほとんど大部分はそういうような物質面のことばかりであります。私はこれははなはだ物足らぬ、何とかしてもつと精神的な、根本的な方面に大革新政策を施すのでなければだめだ、こう考えるのであります。近ごろ民主主義、自由主義という旗じるしのもとに、妙なことになつておりますが、民主主義は、決して秩序を無規したり、手前がつてなことを容認するものではありません。日本の政治は一時間違つた方向に向いましたけれども、本来は民主主義であることは識者の認めるところであります。また日本国民は、りつぱな自由主義の国民であると是認するもであります。しかるにこの変革期において民主主義、自由主義というものが惡用され、その美名のもとに、まことに無秩序放縦な現在であります。これはだれを責めるとか、だれの責任とかいうことを今言つたところで追いつきませんが、何とかしてこれをひとつたたき直してみたい。これはおそらく皆さんも同感だろうと思います。この種の請願がたくさん出ることを、本員は考えているのであります。  そこでしからば、端的にどういう方法がよいだろう、あとは手段方法の問題でありますが、この請願には、各地に国民精神教育機関を設けて云々とあります。ところがたままた前の国会で社会教育法が通過して実施されておるのでありますが、それなしといえども、すでにりつばな学校組織が完備しておるのでありますから、そういつたような、すでにできているものを内容的に精神的に十分充実して行けば、相当成績があがると思うのであります。この点について文部当局はどういうような御成案をお持ちになつているか。幸い政務次官もお見えになつておりますので、よい機会だと思いますが、私の考えるところによりますとたとえば明治天皇がお下しになりました教育勅語、ああいつたような具体的にはつきりした一つ教育憲章といつたようなものが必要ではなかろうか。私は長い間教育事業に関係を持つており、現在も関係しておりますが、どうも教職員初め父兄の方もそうでありますが、よりどころを失つているらしいのであります。仏教にしましても、神道にしましても、キリスト教にしましても、それぞれりつぱな精神があるのでありますが、それを打つて一丸とした、だれにも共通する教育憲章式なもの、明治天皇の教育勅語、ああいつたものがけつこうではないか。ただ軍閥官僚が惡用したために、たいへん誤解されておりますけれども、その精神とするところはまことにりつぱなものである。縦から見ても横から見ても、これは古今を貫く大文章であり、民主主義、自由主義であつたと思うのであります。これは一例でありますが、そういつたような——何も急に連合軍におもねたり阿談迎合するがごとき態度でなしに、せつかく日本に三千年来伝わつている精神もあるし、ことに日本民族勃興の明治時代にああいうりつぱな大憲章ができているのでありますから、こういう点で、国の文教の根本方針を再建して、これをただちに実施したらどうか、こういうことを考えているのであります。それから前の国会でも社会教育法案のときに述べたのでありますが、最近青少年たちがだらしなくなつている。ひとり青少年のみならず、私どももやむを得ず軟化するおそれがあるのであります。非常に弱くなつてしまう。あまりに人を頼るような依頼心が多い。政府を頼り、父兄を頼り、友人を頼り、すべて依頼心が強くなつております。こういうのが最近の日本人の大部分である。これを外に求めず、内に求める、物に求めず、精神に求める、こういつた行き方が必要ではないか。ことに貧乏しておる現在においては、禁欲方面の指導教育が最も大切ではないかと考えます。たとえば前回も三S対策ということについて質問したのでありますが、最近はスポーツが非常に盛んであります。しかし私の見るところによると、少し行き過ぎたところもあるようであります。日本古来のスポーツである武道の方は、近ごろはみな禁止されて、学校などでは剣道など許されておりませんが、ああいうことは盛んにやつたらどうか。日本人の武道的鍛錬はいいのじやないかということを要望したのでありますが、その後どうなつておりますか、この機会に御説明願いたいと思います。それからスクリーンあるいはステージ、これも非常に盛んであります。けつこうなことかもしれませんけれども見方によつてはやはり人間が堕落いたします。ろくな映画、ろくな芝居しかないようであります。私も非常にすきでありますから、ときどき見るのでありますが、どうもよくないのが多い。もう一つセックスの面でありますが、日本においてはいろいろ避姙法などの惡用があり濫用があり、性道徳はほとんど地を拂うおそれがある。こういうことは指導よろしきを得れば、日本人のよさを発揚して行くのではないかと思う。すなわち青年子女の純潔指導、こういうことにうんと力を入れたらどうかということを考えます。そういう具体的なことを一々述べれば限りがありませんけれども、要は教育の根本方針をもつと簡單明瞭に明示する明治の教育勅語式なものをつくつて、機会あるごとにこれを宣伝し、宣揚するということをやつたらどうか。私は單に批評的なことを申すばかりではなしに、はなはだ浅学菲才ではありますけれども、具体的に建設的の一つ意見として述べるのでありますが、こういう点についてこの機会にひとつ政府当局の御説明お願いし、この請願のごときはすみやかに御採択あらんことをお願いいたします。こういうような風潮が全国から起きて請願目的を達し、また私ども国民としての愛国の至情のモットーといたしたいと思います。長々と申し上げましたが、要はこの請願の御採択を願いたいということと、この機会において政府当局の御意見も承りたいと思います。
  43. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  44. 平島良一

    平島政府委員 現在の日本の道義の頽廃しておりますことは、皆さん御承知の通りでありまして、これは憂慮にたえないところであります。この道義の頽廃を建て直しますには、どうしても精神教育によらなければならぬことは当然であろうと思いますので、御請願の御趣旨は大いにけつこうであろうと思うのであります。しかしながらその請願の中に書かれておりますような設備をただちにするということは、またどうかと考えるのでありますが、その御趣意に沿いましてわれわれは大いに努力いたしたいと考えておるのであります。  それから今佐藤委員の御意見といたしまして、教育勅語にかわるような憲章をつくうたらどうかというようなお話がありました。これはいつでしたか、吉田総理もそういうことをおつしやつたように聞いておりますが、はたしてそういうものをつくつても、あの勅語のように、国民が言うだけで拳々服膺でするであろうかというようなことも考えてみたこともあります。そしてそれを吉田内閣でつくつたら、次の内閣がこれをどうするかというようなことも考えてみますと、どうもほんとうに百年の大計、千年の大計としてそういうものをどうすればいいかというところに突き当つて、実はその解答を得ることができなかつたような状態で、そのままになつておるのであります。実際はそういうものができ得ますれば、まことにけつこうかと思うのでありますが、あのときもまた吉田勅語でもつくるのかなどとひやかされたような状態もあつたのであります。御趣意はけつこうでありますが、そういうふうにすることは、いろいろな事情から、今の際実現はなかなか困難でありまして、どういうふうにすれば国民の精神を高揚することができるかということは、大いに研究いたしたいと考えております。  それから武道のことでありますが、これは今のところ禁止されておりますので、どうするということの答弁はいたしかねます。
  45. 佐藤重遠

    ○佐藤(重)委員 前半の御説明よくわかりました。最後の武道の点でありますが、外来のいろいろな武技でも、現に御承知の通りフエンシングとかレスリング、あるいはボクシングというような、かなり残酷な、むしろ私どもから見ると、はなはだ感心しないが、非常に盛んです。ところが日本の劍道のごときは、一面から言うと非常に進歩した一つの芸術的なスポーツだと思うのであります。前にも政府委員にそのことをお尋ねしたのでありましたが、だんだん占領軍の方でも日本の武術を了解されて、近ごろはたいへんよくなつて来つつある。学校では柔道はすでに許しておる、しかし劍道は許していない。どうも私は矛盾があるように考えるのですが、その後文部省では、あるいは政府では、努力をしてその解除を受げるというお話だつたが、一体どういう努力をされたか。ただそのときだけの答弁をしてもらつては困る。私どもは任期が短かいのでありますから、その任におる間に言いたいことはうんと言つて、やることはやつてもらわなければ困るのでありますから、ひとつ政府にその経過報告を求めたいと思います。
  46. 長野長廣

    長野委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕     —————————————
  47. 長野長廣

    長野委員長 日程第一四、国庫負担による專任社会教育主事設置請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  48. 松本七郎

    松本(七)委員 本請願は、北海道の社会教育大会代表者多田了介君より請願になつております。紹介議員浦口鉄男君にかわつてその要旨を申し上げます。  本請願要旨は、社会教育法の施行に伴い、市町村はその責任においてこれを行う義務を課せられたのであるが、現在の貧弱な地方財政では、とうていその負担に耐えられない。ついては、社会教育の活発な発展のために、学校教育給與についての国庫負担趣旨に基き、すみやかに国庫負担による專任社会教育主事職員を設置し、諸種の社会教育施設の拡充強化のために、強力な助成の方途を講ぜられたいというのであります。何とぞ御審議の上御採択をお願いいたします。
  49. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取いたします。
  50. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 社会教育法の公布とともに、なおまた社会教育の振興の上から、専任の社会教育主事を置くことは、きわめて重要な問題でございますが、これを国庫負担をもつて置くということは、現在の国庫の状況では非常に困難な状態でありまして、将来の問題といたしましては平衡交付金を計算いたします場合に、その標準経費の中にこれらの社会教育に要します事業並びに人の経費といたしまして計算をいたして、それを平衡交付金の中に織り込んで行くということよりほかにないかと思います。その面に向つて努力して参りたいと思います。     —————————————
  51. 長野長廣

    長野委員長 日程第一七、教育職員免許法及び同施行法の一部改正に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  52. 淺香忠雄

    ○淺香委員 教育職員免許法並びに同施行法の一部改正に関する請願請願者は山形市香澄町木の実小路山形県教員組合田中新治君。紹介議員上林與市郎君、圖司安正君、池田正之輔君、志田義信君でありますが、紹介議員にかわり請願要旨説明いたします。  本請願要旨は、教育職員免許法及び同施行法中、左記の項目につき一部改正されたというのである。A、教育職員免許法(一)学校種別各級免許状にわたり、第四表単位数を軽減すること、(二)施行法第一條及び第二條で切りかえた者の本法適用については、勤務年数を基礎資格獲得の際にさかのぼつて、通算し得るようにすること(三)第五條中、第一項第四号、第十六條全文及び第十一條中の一部削除、(四)第九條中、第三項の臨時免許状の期限一年間を三年間に改正。B、教育職員免許法施行法(一)第一條中、国民学校專科教員免許状を、幼稚園仮免許状、中学校の二級普通免許状にする、と、(二)第一條中、国民学校初等科教員免許状を、幼稚園及び小学校の二級普通免許状にすること。(三)第二條中、二箇所修正、(四)第八條中、昭和二十六年三月三十一日を両三十年三月三十一日に修正、(五)第七條は、将来存置すること。以上であります。
  53. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  54. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 ただいま議題になりました教育職員免許法並びに同施行法の一部改正に関する請願でございますが、これはただいま文部省といたしまして、その一部改正法案を当国会に提出いたしておるのでございます。その内容につきましては、この請願の御趣旨に沿いまして改正をいたしておる点もあるのでございますが、なお改正案には盛られていない点もあるのでございます。全体といたしまして、教員免許法そできるだけ暫定的には教員に有利になるように、文部省といたしましても考をいたして参りたいと考えるのでありますが、一面また教育者たる立場におきまして、できるだけ教員の素質なり、資格を向上して行くという面から申しますれば、必ずしも條件を緩和するということだけが正しいのではないと考えられる面もありますので、いわゆる教育上の必要からと、現に教育に従事されております者の立場からと両方から考えまして、これを合理的に解決して参りたいと考えまして、ただいま免許法につきましては当国会に上程されておりますが、なお将来におきましては、そういうような観点からなお十分検討いたしまして、改正すべき必要がある点につきましては、できるだけ改善いたして参りますように努めて参りたいと考えます。     —————————————
  55. 長野長廣

    長野委員長 日程第一八、教育委員会法の一部改正に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  56. 高木章

    高木(章)委員 請願者は山形市香澄町木の実小路山形県教員組合田中新治君、紹介議員上林與市郎君、圖司安正君、池田正之輔君、志田義信君でありますが、紹介議員がおりませんから、私がかわつて説明申し上げます。  本請願要旨は、教育委員会法は、日本教育行政機構民主化の第一歩として、教育行政の地方分権化並びに一般行政からの独立という精神によつて制定されたのであるが、この一箇年の教育委員会の実績を省るとき、その運営の中に、地方の実情に即さない、中央集権的な官僚行政が強行されたことは事実である。教育が、不当な支配に服することなく、本来の目的を達成するため、教育委員会設置の範囲は、都道府県五大都市にとどめ、教育長の権限を、現行通りとするよう改正されたいというのであります。よろしく御審議お願いいたします。
  57. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  58. 辻田力

    ○辻田政府委員 過去一箇年間余りの教育委員会の実績を見ますと、教育委員会が、財政上その他の事情によりまして、十分自主的な活動ができなかつたうらみのあつたことは認めるのでございますが、この間にありましても、行政運営上いわゆる中央集権的な官僚行政が強化されたという事実は、見受けられなかつた考えておるのでございます。  次に教育委員会制度のねらいであります教育民主化教育行政の地方分権化を徹底するためには、少しでも地方住民に接近した地域に教育委員会を設けられることが、望ましいと考えております。従つて今回両院を通過しまして成立しました教育委員会法の一部改正におきましては、本年は市のみに設けられることといたしまして、町村には二十七年度まで設置を延期いたしました。その合理的な範囲とか、単位については、愼重な調査研究をいたす考えでおるのでございます。  最後に教育長の職務権限につきましては、現行法上教育長の職務権限につきましては、明確を欠いておりますので、過去の実績の経験にかんがみまして、今回の法律改正におきましては、教育長の職務権限の明確化をはかり、教育委員会教育長の関係の合理化を企図しておる次第でございます。     —————————————
  59. 長野長廣

    長野委員長 日程第一九、標準教育費法制定に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  60. 坂田道太

    ○坂田委員 請願者は山形市香澄町木の実小路山形県教員組合田中新治君。紹介議員上林與市郎君、圖司安正君、池田正之輔君、志田義信君に交わりまして、請願要旨説明いたします。  本請願要旨は、シヤウプ勧告に基く平衡交付金制度は、地方自治の精神から見て正しいことであるが、そのためには、地方自治の機構と機能が相当の程度進歩していることを前提とする。日本の現状は、平衡交付金制度を、完全な姿で実施するには危惧があるから、教育費の地方町村負担当時の、苦い経験を想起し、次の諸点の実現をはかられたいというのである。(一)標準教育費法の制定、(二)標準教育費支出の義務規定を明記すること、(三)適用範囲を、義務教育のみならず、高校までにすること、(四)兒童生徒一人当りの単価を十分にすること、(五)この法律に定める標準は、最低を意味することを明記すること。以上であります。
  61. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  62. 平島良一

    平島政府委員 請願の御趣旨にはわれわれ全然同感でございまして、かねて皆様に御了解を得ておりましたように、その請願に関するような法律案をこの国会に提出いたすべく準備をいたしておつとのでありまするが、実は本日そのことにつきまして、皆様に御報告を申し上げて、御了解を得たいと存じておつたのでありまして、この機会にそのことを申し述べたいと思うのであります。  実は現在もいろいろ御注意を受けまして、交渉を重ねておるのでありますが、本国会に提出することができなくなるようではと心を痛めております。今後とも委員諸君にも御協力を得ましてこの法案の成立をこいねがう次第であります。
  63. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの政務次官のお話によると、はなはだ憂慮すべき事態が予想されますが、ここで一点伺つておきたいのは、政府としては、もつと強硬な態度で交渉をあくまで続けられる御方針でしようか。
  64. 平島良一

    平島政府委員 この件については、幾たびかこれを実現せしめるよう交渉を重ねているのであります。もしこの国会に間に合わないとすれば、次の国会にはぜひとも実現するよう努力したいと思つております。     —————————————
  65. 長野長廣

    長野委員長 日程第二〇、教職員教育費増額に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  66. 松本七郎

    松本(七)委員 本請願は荒木正三郎氏外五十一名から出ております。  その要旨教職員免許法実施に伴い、現職教員は施行法によつて、上級免許状を取得しなければならぬが、その基礎資格を有する者は、教員総数の九〇%、約四十七万人を数えるのに、昭和二十五年度現職教育予算は、非常に削減されたため、該当者の約五三%しか再教育を受けられない。このようなことは、教育公務員特例法に示す教職員研修の義務を怠り、教職員教育に対する希望と熱意を失わしめるものである。ついては、本年度十八万一千人の講習実施のために、四億九千三百三十万五千円の教育費予算を計上されたい。また上級免許状取得のための通信教育費予算二千万円を、受講者五万人から十五万人に殖やし、一億七千六百万円の予算に増額されたいというのであります。何とぞ御審議の上、御採択をお願いしたいと思います。
  67. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  68. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 御請願の御趣旨にありますように、教員免許法の制定に伴いまして、教員の上級免許状の切りかえに対しまする再教育の予算を増額するということにつきましては、もつともな御請願であると思いますが、本年度は不幸にして請願にもありましたように、ぎわめて少額でございました。なおこの増額につきましては、将来に向つて文部省としても努力して参りたいと存じます。なおこれに加えましで、教員研修の直接の責任は、地方教育委員会にございますので、地方教育委員会におきましては、ただいま相当の金額を各予算で計上してもらつておるのでありまして、なお少額で実施困難と思われる地方に対しましては、文部省としてできるだけ今後増加して参りますように努力をいたしておるのであります。地方中央を通じましても請願の中にありましたような数字には、とうてい及ばないかと思いますが、今後はできるだけの努力をいたしまして、国家財政の許す限りに、おきまして増額に努力して参りたいと存じます。     —————————————
  69. 長野長廣

    長野委員長 本日の日程はこの辺で切り上げます。先般来本委員会において予備審査中の教育職員免許法の一部を改正する法律案並びに教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案は、一昨々日二十一日に参議院より本院に送付せられました。ただいまより参議院送付の両案を一括して議題といたします。送付案における政府原案の修正箇所はすでに配付済みであります。
  70. 長野長廣

    長野委員長 これより質疑に入ります。
  71. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 「文部省告示第七号、大正七年文部省令第三号第二條第二号により左記の者は昭和二十三年十二月二十八日付で高等学校高等科卒業者若しくは大学予科修了者と同等以上と指定された。昭和二十四年一月二十一日文部大臣下條康麿」左記というのは、「但し、昭和二十四年三月以後の卒業者で、中等学校卒業程度をもつて学資格とし修業年限三年以上の者に限る。」こういう指令をいただいておる学校があるのでありまして、この卒業生が現在新制中学校の教員をしておりまするが、ただいま上程になりまし教育職員免許法施行法の一部改正法律案では、これに教員の資格を與える規定がないのであります。こういうような卒業者に対して、現に教職についてある者に対して、その資格を與えるような方途を講じてもらいたいという切実な希望がありまするが、この点に対して当局の御意見を伺います。
  72. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 御質問にございました学校は、実は終戰後学校教育法成立後におきまして、專門学校になりたいこいう御希望があつたのでありますが、すでに軍門学校令が廃止されまして、学校教育法第九十八條によつて、従来の学校のみが残つてつたのでございますので、これを專門学校として認可する運びに至るわけに参りませんでしたので、その卒業生を專門学校の卒業者と同等以上ということに認定いたしたのであります。これらの学校につきましては、その例が非常にまれでございますので、教員免許法を制定いたします場合におきまして、それらの各種学校については考慮いたしていないのでございまして、御質問の通り小学校中学校、高等学校の教員の免許状を得る方法は現在ではないのでございます。しかし現実にそういう卒業者がありまして、その免許状を受ける機会がないのは非常に気の毒に考えるのでございまして、文部省といたしましては、できるだけ早い機会にそういう規定を設けて、少くとも小学校中学校、高等学校の免許状を得るように教員免許法施行法の第二條の第六項につきまして、できましたらすみやかに改正いたしたいと考えております。
  73. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 ただいま御意見を伺いましたが、私の知つておる範囲では三重県に元海星学園という学校がありまして、今日はそれが名古屋の南山大学に合併いたしまして、ただいまは南山大学の第二高等学校にかわつておるのでありますが、その卒業生で現在教職員になつておる者が二十五名ないし三十名あるのであります。当局の御意見では、近い将来においてこれに免許状を與えるような方途を講じたいという御意見でありますが、委員の各位におかせられましても、この点については、後ほど私は希望條件といたしまして付したいと思いますから、ぜひ御賛成を願いたいと思います。
  74. 長野長廣

    長野委員長 ほかに御質疑はございませんか。——質疑がなければ質疑はこれにて終了いたすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。質疑はこれにて終了いたしました。  これより討論に入ります。自由党水谷昇君。
  76. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 ただいま上程になりました教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、この二案に対しまして、自由党を代表いたしまして賛成意見を表明したいと思います。  賛成の理由といたしましては、第一点、教育職員免許法第一号及び第二條は旧令による教員免許状所有者または旧制学校卒業者に対して、それぞれ相当の免許状を有するものとみなし、また授與するものと定めた切りかえ措置であります。その相互の関係には不均衡な点があつたのでありまするが、これを部分的に是正し、かつ統一をはかつた点。第二点といたしましては、教育職員免許法施行法第七條の規定の有効期間を明確にした点、すなわち同法の第一條と第二條の規定によつて新免許状を有する者とみなされ、またはその授與を受けた者が、上級の免許状を得ようとする場合、現職者については免許法による原則を緩和し、従来の経験年数を計算に入れ、より容易に上級免許状が得られるように措置したこと、さらに昭和二十八年三月三十一日までこの有効期間を限定し、上級の免許状を得る時間的目標を明かにし、促進したこと。第三点、右のように有効期間を限定したために、第七條の適用を受ける者と、受けられなくなつて免許法の規定によつてのみ上級免許状を得ねばならぬ者との問の不均衡をなくした点。以上三点はいずれも適切安当であると思いまするが、なお不備な点がありますから、この点修正いたしたいのでありまするが、会期が切迫しておる際でありまして、時間的に間に合いかねますから、次のごとき條件を付して近い臨時国会において、ぜひ実現を期したいと存ずるものであります。かくして私は本案に賛成をいたします。  付滯條件はすなわち、教育職員免許法施行法第二條第一項の表中第六項の上欄を改正して、旧大学令による大学の入学資格に関し、その卒業者が高等学校高等科卒業者と同等以上と認められた学校の卒業者に教員の免許状を授與し得る方途を講ずることであります。委員各位の御賛成を切望してやみません。  以上をもつて自由党を代表して本案に賛成の意を表する次第であります。
  77. 長野長廣

    長野委員長 社会党、松本七郎君。
  78. 松本七郎

    松本(七)委員 私は社会党を代表いたしまして、教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案賛成意見を述べるものであります。  この両法案については、政府説明にもございましたように、上級の免許状を得やすくするということと、もう一つは、教員の質の向上ということをねらつておるわけで、その趣旨に何も異存はないのでありますが、ただわれわれとして希望いたしたいのは、今の日本実情からいつて、あまりに質の向上を急にするために、上級免許状がそれだけとりにくくなる面も考えられるのであります。これはやはり根本的には、教員の待遇をずつとよくいたしまして、教育に専心したいという希望者が多くなるということが、最も大切なことであろうと思う。そしてその教育に対する熱意が高くなれば、必然的に上級免許状を、少々困難な條件も克服してこれをとろうということになつて来るのであります。そういう根本的な点が放置されて、ただ質の向上をばかりはかろうとしても、これはできない相談である。そのために現状ではもう少しこの法律案においても、貿の向上と、上級免許状の取得ということの調和をはかる必要のある点を多くわれわれは見出しておるのであります。  そういう観点から、修正したい点がたくさんあるのでありますが、先ほど水谷委員の御指摘になりましたように、その余裕と條件が整つておりませんので、同施行法の旧大学令による大学に関する條件を付しまして賛成するものであります。
  79. 長野長廣

    長野委員長 新政治協議会、小林信一君。
  80. 小林信一

    ○小林(信)委員 両法案に対しまして、新政治協議会を代表しまして賛成意見を述べるものであります。ただ提案理由の説明の中にも述べてありますように、両法案とも、各方面からいろいろな要望があり、政府としても一応その不備を認められて、今回最少限度の改正を行うということが意図されておるのでありますが、私たちもこの点を十分に認めるものでありまして、なるべく早い機会に、政府考えておる不備と認める点、十分でない点を是正されて完全なものにしていただきたい、これが私たちの要望しておるところであります。  先ほど社会党の方から要望された、質をいたずらに強要して現状に即しないものがあるといつたような御意見があつたのでありますが、私も同感でありまして、現在の教職員実情というものを相当考慮されて、もつと実情に沿つたところの法の整備をはかる必要があるここを痛感するものであります。たとえば、現在の教職員の中には、戰時中、戰後にかけまして、非常に教員の少なかつたときがありますが、その際むりに校長等が依頼して教職につかせたような人たちがたくさんあります。そういう人たちが、また戰後の経済情情勢からして、思いとどまつて、職にあるわけでありますが、この人たちが今度の法の適用を受けますと、非常に不遇な立場に立たされるのであります。こういう点を考慮してみますと、法が教員の質を向上させるということで、今まで教育のために犠牲になつてつた人たちのためには、非常に冷酷なような感じを持つものであります。そういう点を私たちは相当考慮していただきたかつたのでありますが、今回の修正にはこれができておらぬのを非常に遺憾に思つている次第であります。要するに、この法案に対しましては、これに該当する教職員は非常に不安を持つておりますが、不安を與えるようなことは決して教育の能率を上げるものではない。やはりこれに携わる人たちに安心を持たせることが法の最も重大な使命だと考えておりますが、こういうところに十分考慮すべきであると考えるのであります。  それから第二の不安は、この法を利用しまして、教員の解職というようなことがいろいろな面で利用されるような形があるのでありますが、この点をその施行にあたつては相当考慮して行かなければならぬということを申し添えたいと思います。  それから、この法が最も悪い影響を與えている点は、教職員のおのおのが上級の免許状をとろうというために——これがこの法の内容からして一般教職員に與えている大きな問題でありますが、そのために、実際の仕事の方はどうでもいい、勉強して上級免許状をとればいいというような形が往々にしてとられまして、その教育的な能率というものが阻害され、また校長等は学校運営にあたりまして非常に不安を持つているのでありますが、こういう点が十分考慮されなければならないと思うのでありまして、そのためにも教員の講習というようなもので、この再教育というようなものに、もつともつと政府としましても予算革を計上して、十分便宜をはからなければいけないと思います。  以上の点をつけ加えまして本案に対しまして賛成意見を申し述べるものであります
  81. 長野長廣

    長野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより両案を一括して採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   [総員起立〕
  82. 長野長廣

    長野委員長 起立総員。よつて原案の通り可決せられました。  なお報告書の提出につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 長野長廣

    長野委員長 それではさよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十八分散会