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1950-04-20 第7回国会 衆議院 農林委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十日(木曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 山村新治郎君 理事 小林 運美君       青木  正君    足立 篤郎君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       河野 謙三君    中垣 國男君       原田 雪松君    平澤 長吉君       渕  通義君    村上 清治君       守島 伍郎君    山本 久雄君       石井 繁丸君    上林與市郎君       高田 富之君    横田甚太郎君       小平  忠君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  山添 利作君  委員外出席者         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 四月十九日  山家村地内国有林拂下げに関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第二六四七号)  肥料値上げ反対に関する請願岡村利右衞門君  紹介)(第二六四八号)  食糧事務所職員定員増加に関する請願(竹尾  弌君紹介)(第二六四九号)  作物報告事務所職員定員増加に関する請願(  岡村利右衞門紹介)(第二六七四号)  油糧配給公団廃止に伴う北海道産大豆取扱に関  する請願伊藤郷一君紹介)(第二六七五号)  パンの品質改善並びに配給機構改革に関する請  願(田中啓一紹介)(第二七二六号)  長篠村地内国有林拂下げに関する請願)(八木  一郎君外一名紹介)(第二七二七号)  豊橋市に繭糸取引所設置請願八木一郎君外  一名紹介)(第二七二八号)  農家報奨物資価格引下げ等に関する請願(並  木芳雄紹介)(第二七二九号)  昭和二十五年度供出割当雑穀類全量政府買上げ  に関する請願小川原政信紹介)(第二七三  〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法  律案内閣提出第一四五号)     —————————————
  2. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 それではこれより会議を開きます。  前会に引続き自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案議題上し、質疑を継続いたします。
  3. 河野謙三

    河野(謙)委員 大臣出席機会に一、二お尋ねしておきたいことがあります。第一点は、過日来新聞紙上に、食糧事務所不正事件と大きく見出しをいたしまして、新聞に報道しておる事件であります。最近非常に綱紀の問題がやかましくなつておりますが、また一面われわれから見ますると、司直の手必ずしも公正ではない面があります。行き過ぎの点があります。そこでこの食糧事務所の問題でありますが、新聞の報ずるところによりますと、から出張その他のいろいろ帳簿上のやりくりは、事前了解事項として成立しておることである。これを單なる法文の解釈のみによつて遂行されることは話が違う。なおそれにつけ加えまして、食管の長官の談も出ております。また農林大臣のそれらしき話を報道しておる新聞もあるのでありますが、これらは各地方における食糧事務所の威信の問題にも関係があります。また食糧事務所事務遂行の上にも、非常に大きな波紋を投げかけておるようでおりますから、この機会大臣から、はたして食糧事務所のから出張、その他については、事前了解事項として成立しておつたものであるかどうか。またはそういうことではなくて、かりに食糧事務所にそういう事件があつた場合には、不正事件としてどこまでも追及をされても、甘んじて受くべきものであるか。これに対して、当時の約束事項があるならば、いきさつを御説明願いたいと思うのであります。
  4. 森幸太郎

    森国務大臣 この御質問の問題につきましては、今検察庁の方で何と申しますか、検察の過程に入つておりますので、かれこれ批判は私といたしまして避けたいと考えております。しかしこの問題は、農林省の各局に普遍的に行われておる問題ではないようであります。私はこの問題が勃発いたしまして、その内容のまことに怪奇なるのに驚いたのであります。それは現在の公務員に対する待遇が、理論上非常に薄い。ことに農林省関係といたしましては、夜晝をわけずに活動しなければならぬ立場におります。作報にいたしましても、食糧事務所におきましても、時間外の勤務ということは否定することができない。ぜひともそうしなければ、国民ために迷惑であるという立場で、りくつなしに働かねばならないというような境遇に置かれておることは、ほかの役所事情が違つておる分であります。そういうものに対して、画一的に、公務員待遇の一律をもつて制することはでき得ないのでありまして、作報の統計の末端におる人とか、あるいは食糧事務所末端で活動しておるというような人は、りくつ抜きに、何とかしてその待遇を見てやらなければならないということは、当然常識的に考えられるのであります。しかし一応の公務員に対する支給規定がありますので、そういうこともでもないのであります。労働基準法によりまして、八時間労働だの何のということをやりますれば、その職責を全うすることができない。そこに特別な考慮を要するということは、常識的に考えられることであります。そういう事情からいたしまして、食糧庁におきましては、国民の重大なる食糧配給責任を持つ関係上、特別なる仕事をしなければならない。その特別なる仕事をする上において、法規に規定されておるような範囲においては、その目的を達することはでき得ない。そういう立場からいろいろの工作が行われたと考えられるのでありますが、しかし、このことは決して妥当なるやり方とは全然考えられません。現在御承知通り、それぞれの府県に対して検察庁調査を進めておりますので、その結論に対しましては、どういうような判断が下されるかわかりませんけれども、私といたしましては、食糧事務所、その立場として国民の食生活に責任を持つ役所といたしまして、あらゆる努力を拂う。それに対しては、一面公務員法規定もあり、特別な支給ができないのに特別の支給をいたしたという関係から、いろいろ疑惑の問題が起こつておるとは思いますが、詳しいことにつきましては、まだ私といたしまして承知もいたしておりませんし、目下内容調査を続けておるわけであります。また今申し上げました通り検察庁内容調査に従事をいたしておりますので、かれこれ批判は私としてさし控えたいと存じます。しかしながら、この問題は事は單純でありますから、早く問題の切上げをいたしまして、そしてこういうような状態がさらに継続しますれば、主要食糧配給事務支障を来すということを心配いたしておるのでありましてなるべく早く問題の解決を希望しておるような次第であります。
  5. 河野謙三

    河野(謙)委員 大臣から今お話しのように、末端事務を担当しておる食糧事務所並びに、さらにその下の段階におきましては、給與規定がどうありましようと、今大臣がお話のようなお気持仕事をさせてやらなければ、仕事遂行ができない。そこで私は、かようなことは大臣がかりに御存じなくても、食糧管理局長官あたりが、末端に対して、十分かような処置をしてさしつかえないというような了解事項を與えておると思う。また與うべきであつたと私は思う。それをたまたま検察庁の方で現に問題になつておるという段階に来ておる以上は、進んで大臣は親心をもつて、この事件については検察庁の方と大きく話をつけべきである、かように思う。その金がかりに飲食その他の不正行為に使われておるなら別でありますけれども、そうでなく、過重労働等の手当等やむを得ざる方面に使われておる金であるならば、法の建前がどうであろうと、これは進んで、大臣はこの事件については話をつけべきである、かように思うのであります。実際末端におきましては、食糧事務所等戰々兢々としております。ほとんど朝から晩までいつ検察庁がやつて来るかというようなことで、その方に戰々兢々として、仕事に手がつかないというような実情であります。不正事件があれば別でありますけれども、今言われておる超過勤務手当その他の流用するための金をしから出張その他で出しておるということであるならば、これは当然大臣において法務総裁十分話のつくことではないか、かように私は思うのであります。單に大臣は、検察庁の方の調査の結果を待つてということでなしに、進んでこの事件を片づけべきである、かように思うのであります。  それから次に大臣に伺いたいのは、肥料輸出の問題であります。御承知のように、肥料は今の段階においては余つて来ております。順次本年の十二月までは月々に五万トン、十万トンのものが、過剩の状態になつて行くことは事実であります。さればといつて、決してこれが今後向う一箇年間年間を通じては余る肥料ではないのであります。時期的に余る肥料でありまして、年間を通じては余る肥料ではないのであります。ところが、ただいま目先の現象にとらわれてこれを輸出しようとしておる。またその記事新聞に出ております。しかもけた違いに五十万トンの肥料輸出という話が出ております。これは單なる新聞の報道では済まないのであります。末端におきましては、農家はせつかく肥料が少したくさん配給になつて来た、だんだんそのうちに安くなつて来るだろうというような期待をかけていたときに、また五十万トンの輸出だということになりまして、肥料はまた上るのではないか、従つてやみ肥料買付は一時手控えいたしましたが、またやみ肥料を買わなければいかぬじやないかということになつております。これは政府配給肥料を促進するためにはきわめていい新聞記事であります。肥料配給を便ならしめるため輸出記事でありますならば、非常にいいのでありますけれども、この肥料輸出の問題については、私は少しく真劍に考え、真劍に取扱つていただきたいと思う。御承知のように、輸出貿易管理令によりまして、事前承認品目というのがありまして、その中には米や肥料が入つております。従いまして、農林大臣がイエスと言わなければ、一トンの肥料輸出することはできないはずであります。今までも、わずかではありましたが、沖繩その他に輸出しております。沖繩その他に輸出いたしましても、わずかでありましたから、国内肥料市場に影響するものではありませんでした。その輸出にしても、私は必ずしも農林省としてはとるべき策ではなかつたと思うのです。動機がきわめて不純であります。一部の輸出業者通産省に行きまして大いに働きかけて輸出の話をでつち上げて、農林省にむりやりに乗らしたというのが、今までの輸出の傾向であります。今後におきましてかようなことが繰返されまして、十一万トン、二十万トン、五十万トンというようなものが輸出されるということになつたら、たいへんなことであります。私はこの機会に、この輸出問題の、私の承知しておる範囲の出どころを申し上げますと、これは内地肥料メーカーから出ておる。肥料メーカーは、肥料が過剩になつて来た。肥料市価が順次下落するであろう。それに備えまして、内地肥料需給関係は常に逼迫の状態において、内地肥料配給は今の公団の方式をそのまま置くことによつて、まず肥料メーカーは非常に助かる。ところが現実に肥料が余つて来る。肥料が余つて来たものは輸出によりまして片づけようとする。輸出によつて内地肥料市場を常に逼迫した状態において、肥料市価を安定させて行こう、そして肥料配給統制を続けさせようという、悪辣なるメーカー考え方、策略が通産省に流れ、通産省から他の関係者に流れて、かような輸出問題が起つておることは事実であります。この根源は内地肥料メ—カーから出ております。ただこの陰謀を破り、この陰謀に対して抵抗してもらうのは農林大臣だけであります。幸いにいたしまして、法の上におきまして、輸出貿易管理令に、事前承認品目として肥料はたしか入つております。農林大臣が、がんとしてこの肥料輸出問題に対して抵抗してもらうことによつて、初めて肥料を使う農民は救われるのであります。この意味合いにおきまして、私は輸出の問題についての今までの経過をお話いただくと同時に、農林大臣の今後の輸出問題に対するお考え方を、この機会にはつきりと承つておきたいと、かように思うのであります。
  6. 森幸太郎

    森国務大臣 第一段の食糧事務所の問題についてはつきり申し上げておきます。それは事実はこうなのであります。一日の出張をいたしますのに、十円の外勤手当を出しておつたわけであります。ところが税務署の関係から一日に十円では安い。これは労働組合等も働きかけたわけでありますが、日額七十円としたのであります。その日額七十円という支給が、末端の人の勤務の実際と支給の実際と合うか合わないかということが、問題になつておるのであります。  それからもう一つ食糧県内移動でありますが、これは食糧事務所長権限をゆだねておりまして、県と県と、いわゆる県外移動に対しましては、食糧公団プール計算によつてつておるのでありますが、県内移動はそこまでこまかく入れませんから、県の食糧事務所長権限をゆだねておるのであります。ところがこの問題について徳島県において不正が発見せられまして県内移動のその取扱いに対して不正事項があるということが、明らかになつたのであります。そして一面においては日額出張旅費の十円を七十円に上げましたことについては異議はないのでありますが、ただ出勤の時日支給時日と合うか合わないかということが一つの問題となつて取上げられておるのであります、たまたま徳島県においてそういう事実がありましたので、ほかの事務所にそういうふうな事実がないかというので、全国的に調査をされておりまして、調査されることは検察庁のかつてでありますから、自由におやりになるのはいいのであります。またやつてもさしつかえないのでありますが、もしその調査ために、食糧配給の本来の目的をじやまするようなことがあつてはいけない、こういうことを心配いたしまして、農林大臣としては、不正があつたことをうやむやに葬れということは、断じて考えておりません。ただすべきものはただしていただかなければならぬが、しかし、それがために角をためて牛を殺すようなことがあつてはならぬ、国民諸君食糧配給事務にさしつかえがあつてはならないから、法務庁に対しましても、決していいかげんに事をごまかしてくれということは要求いたしません。不正なことはあくまでもただしていただきたい。しかしながら、それがためかんじん食糧配給事務支障があつては困るから、その辺の事情をよく考えられまして、検察庁としては適当な処置をとるべきであるということは、政府といたしまして、また農林大臣といたしまして、法務総裁にも申入れまして、決していいかげんに、臭いものにふたをせよということは言わない。悪いものはあくまでも悪いとして摘発してください。しかしそれがためかんじん食糧事務所仕事の停滯するようなことは、もちろんあつてはならないから、この点はあくまで政府責任において明らかに処置すべきものであるということを、要求いたしているわけであります。  第二点の肥料の問題でありますが、これは河野委員もその内容をよく御承知と存じますが、政府におきましては、七月において肥料公団組織を全廃いたしまして、まつたく自由の立場に置きたいという考えをもつて、今末端組織等についての、組織がえに着手いたしているのであります。ところが今日の日本輸出入貿易状態は、日本の自主的な考え方でのみ行けないような状態でありますので、日本が将来化学肥料生産の増進に伴つて海外に得意を持ち、他に販路を持つことが必要である。だからこの際においてできるだけ早く、南方諸国日本肥料のお客をつかまえることが必要ではないかということは、司令部としても考えられているのであります。ところが二百二十万トンの窒素肥料生産ができまして、やや自給自足の道が立つて、ここで日本は七月に肥料配給公団全面的統制を撤廃する、こういう段階に入る。このことを司令部といたしましては考えまして、しからば日本はもう肥料が自給自足できるのだ、しかも農家肥料需要は季節的なものであつて生産者といたしましては、需要期でない、いらざるときに同じく生産している以上、肥料滯貨がそこに出て来る。そういう滯貨日本としては消化する力はあるけれども、金融等関係もあり、また将来南方諸国における、日本肥料消費地を獲得する意味において、この際輸出したらどうか、さしあたり窒素肥料において約五十万トンの肥料輸出しろ、こういう慫慂を受けたわけであります。しかしながらこの五十万トンが、今余つているからといつて海外に出してしまう、日本肥料が必要なときに足らない、それでは困る、そういうときには硝安を輸入してやる、こうアメリカとしては考えるでありましようが、日本としては硝安の輸入はお断りいたしたい立場にありますので、なるべくならば日本生産した硫安を、必要な時期まで保留しておきたい。ところがメーカーといたしましては、五箇月以後六箇月以後に売れるかもしれぬが、その間この肥料を手持ちしているより、海外輸出した方がいい。こういう態度に出ることは、統制を撤廃すると当然であります。メーカー立場としては、海外に売りようがないということは、そんなことは考えてないのであります。売れさえすればそれでいいわけでありまして、日本農民が使おうが、ビルマの百姓が使おうが、生産したものがどんそれ片つぱしから売れて行つて、資金が回收できればいいわけであります。こういうことについては、今日統制をはずすという日本態度になればメーカー諸君としては当然の考えだと思います。ただ日本が、今まで肥料統制しておつて需要のないときにも確保しておつた、そして必要なときにぱつと出す、そこで農家に二百二十万トンの肥料配給しておつたが、もうここで肥料公団廃止し、自由な立場になれば、メーカーといたしましては、売れるところは中国であろうが、朝鮮であろうが、ビルマであろうが、どこでも売る。これがまた自由主義的な立場として当然考えられるごとと思うのであります。これをいかにして日本食糧増産ために保留するかということが、一つの問題となつて来ておるのであります。肥料公団廃止して、自由にいたした場合において、日本国内生産肥料海外輸出することを、許さないということはでき得ないのではないか。もう自由にした以上は、海外に出そうが、国内で消費しようが、そんなことはかつて気ままである、いわゆる生産者の自由意思によつてどこへ行こうとここへ行こうと自由そのままである。また今日連合国として日本輸出入を扱つておる以上、南方諸国農業生産事情から見て、肥料が欠乏しておる。だから日本で何もためている必要がないから、どんどん海外に出せ、五十万トンばかりでなく、もつともつと彼らは考えているようでありますが、さしあたり五十万トンの硫安輸出を慫慂いたしておるわけであります。しかし農林省といたしましては、七月に肥料公団廃止しますが、廃止した後においても、なんとか肥料需給関係を全うするような組織をつくりたいという気持を持つております。また農林委員会におきましても、それに対していろいろのお考えがありまして、その実現にお骨折りになつておるのでありまして、政府といたしましても、そのお気持もよくわかりますので、そのお気持に協力するについてはやぶさかでない。一生懸命やつておるのでありますが、もしこれが実現せなければ、司令部において考えております通り、自由の立場において必要なものは必要なときにやる、余つているときはどんそれ海外に出す、こういうような態度に出るのは当然だと思うのであります。決してこれは肥料生産業者の悪辣なる活動であるということではなしに、これは経済の自然の姿として当然のことと思うのであります。     〔委員長退席山村委員長代理着席〕  政府といたしましては、皆さんに申し上げております通り肥料配給公団というものはなるべく早くやめて、自由な立場に置きたいという気持は持つております。しかしその廃止後の混乱をどうして防ぐかということについていろいろるく苦慮をいたしておるわけであります。委員会におきましても、この問題につきましては、十分の御検討をお願いいたしまして、皆さんと力をあわせて、この問題の解決をいたしたいと考えております。
  7. 河野謙三

    河野(謙)委員 肥料の今の輸出の問題でありますけれども、私の伺つておるのは、公団の問題とは別の関係の問題であります。公団需給関係見合つてから廃止する、かりに廃止されましても、公団とは別個の根據法規があるのであります。輸出入については、輸出入をコントロールする根據法規があるわけでありますが、その根據法規の中に、先ほど申し上げましたように、輸出の場合には農林大臣承認を得なければ、米でも麦でも、一トンも輸出できないということがあるわけであります。そこで私は、輸出するもしないも農林大臣腹一つ決心一つである。そこでこの機会農林大臣の決心なり、お考え方を伺いたいと思います。私がつけ加えるまでもなく、肥料は時期的に余りましても、年間を通じては余らないのです。来年相当増産されますけれども、高い外国の肥料を、一トンも輸入しない、硝安なり硫安を輸入しないという前提に立ちまして、肥料需給関係を立てました場合には、来年の春までは少くとも一トンの肥料も出せない、出すことは危險であります。出すことによつて内地肥料はどうかすると足りなくなる。またそのため肥料価格が上る。自由販売にする以上は、内地肥料価格というものを、いかなるところでおちつけるかという見合いを、十分立てなければならない。その肥料価格をいかなるところでおちつけるかということにつきましては、大臣輸出権限を持つている以上、その輸出の問題についてコントロールするよりいたし方ないのであります。そこで私は、もう一度繰返して申し上げますが、大臣輸出の上につきましては、権限をお持ちになつ(いらつしやるのでありますから、大臣はこの機会に—遠い将来はわかりませんが、向う一箇年の間において、肥料輸出すべき状況にはない。従つて自分輸出には反対である。輸出には同意できないというお考えであろうか、それとも肥料を十万トンなり二十万トン輸出いたしましても、向う一箇年の間には、内地肥料十分消費者農民を滿足させるだけの量もあろし、また価格も自由にしましても上る危險はないということで、輸出に同意される考えであるか、その点を私はお聞きしたい、こういうことなのであります。  それから時間もありませんから、続いてもう一点、私は大臣に久しぶりでお目にかかりましたから、お尋ねいたしますが、みそしようゆの問題であります。われわれは、みそ、しよゆうは統制を撤廃して、すべてフリーにすべきである、こういうことをかねがね主張しておつたのであります。今クーポン制がしかてれておりますけれども、たちまちにしてクーポン制ために非常な弊害が起つております。と申しますのは、クーポン制犠牲になつておるのは消費者であります。なぜかと申しますと、みそしようゆを扱つておるところの小売商卸商というものは、クーポンを集めまして、このクーポンを集めた小売商組合または卸商が、製造会社に向いまして、最もたくさんリベートを出す製造会社へ注文するわけです。製造会社は、たくさんのリベートを出さなければクーポンがもらえない。従つて悪質のみそなりしようゆをつくつておる。みそなりしようゆ質そのものよりも、クーポンをとるためには、手数料をよけいやればよけいに注文がとれるという結果になりまして今のクーポン制を続けて行く限りは、消費者がまずいしようゆ、まずいみそを、小売商犠牲になつて飲んだり食つたりしなければならぬということに、現になつておるわけであります。こういう悪いクーポン制、この制度を今後いつまでもこのまま続けて行かれることは、消費者として非常に迷惑であります。従つて現在のみそしようゆクーポン制による制度を、一体いつまでお続けになるお考えか、またこれを改めんとするならば、この弊害をいかなる方法によつて除去されるか、少し事務的の問題になりますけれども、今のクーポン制というものは、大体いつごろおやめになるつもりか、單にできるだけ早くやめるということでなしに、少し具体的に、私は日常の消費者の生活の問題でありますからお伺いしたい、かように思うのであります。  それから第一点にもどりますけれども、私は繰返し申し上げますが、大臣の親心はよくわかつております。事務を途行ずる食糧事務所長といたしましてから出張その他の苦しいやり繰りをして、下の者が働けるようにしてやるということ、こういう善意で出ておるところの形式上のあやまち、どこまでも善意で行つているものにつきましては、私は大臣は進んで、そういうものを検察庁の方で単なる一片の法的解釈によつて縛り上げるというようなことはないということだけは、この機会にはつきりさせてやつていただきたい。そうでない悪質のものについては、先ほど大臣がおつしやいましたように、われわれといたしましても、食糧事務所その他は、今いろいろな問題があるときでありますから、進んで調査さしていただくことはけつこうでありますけれども、ただ善意で、しかも上長との間に了解事項で済んでおることを、上長が知らぬ顔をして、そうしてただ下の者が了解事項でやつたことを、いまさらのように検察庁から縛り上げられるというようなことでは、私は末端の人は仕事ができない、かように考えますので、私はこの点をくどく重ねてお伺いするわけであります。
  8. 森幸太郎

    森国務大臣 みそしようゆの問題でありますが、これはもう全部自由にいたしたい考えを持つているのであります。今十五万トンの大豆が輸入されておりまして、これがみそしようゆの原料になつておるためにただちにこれを自由になし得ないというような立場にありまして、非常に政府としては迷惑をいたしているのであります。もう今日みそしようゆなんというものは自由にした方が妥当であるということは、政府としては十分考えておるのでありますが、何分原料をアメリカからもらつております以上、アメリカのおつしやることをむげにするわけに行きませんので、ごこしばらくは、みそしようゆの自由なる措置に出得ないということになつておるわけであります。  それから最後にお話になりました問題につきましては、決して上司も知らぬ顔はしておらぬのであります。知らぬ顔はしておらぬのでありますが、できるだけこういう実情であるということを、検察庁にはよく了解させまして、悪いことをした者は、あくまでも悪いことをしたとして追及すべきでありますが、しかしながらそれがため食糧配給の問題においてさしつかえがあるということがあつてはならぬから、できるだけ早く問題の中心をつかまえて、解決を急ぐということに努力をいたしており、また法務総裁に対しましても、進言をいたしておるわけであります。  なお肥料の問題につきましては、農林大臣において輸出入権限がもちろんあります。ありますが、その輸入状態におきましても、こつちが欲しなくとも、日本輸出入関係として、今日は自由的な措置を許さない場合においては、硫安なり硝安なんかの輸入を計画されるのであります。できるだけ日本硫安なんかいらぬから、お断りいたしたいと思つておりましても、今年の食糧生産計画と、肥料生産計画とを科学的ににらみ合せて、日本肥料が二十万トン足らぬ、それだから硫安を輸入してやる、こういうので硫安の二十万トン輸入が計画されておる。今回日本肥料公団廃止して、自由な立場に置く、こういうことになつたら、そんなら自由になるなら、余つたときに南方諸国輸出しろ、こういう考え向うは持つておるわけであります。河野委員もかつて委員会におきましては、今の日本肥料は余つてつてつておる。もうどうもこうもしようがない。余つておるのだから、これを自由にしてもいいのだ、こういう御議論もあつたわけでありますがその余つたものを海外輸出しろ—これは委員会の速記はすぐ司令部行つておりまするから、そこまで委員会において言われたときに、肥料が余つておるならば、この際日本南方諸国肥料の販路を拡張したがいいじやないか。その措置をとつておいた方がいいじやないか。こういうことが司令部として考えられるのであります。私は日本肥料は、二百二十万トンの窒素質肥料生産がありましても、決して完全無欠に行つていると思いません。ただ化学肥料のみに依存することはいけませんから、今後有機質肥料によつて行きたい、土質の改良に行きたいということを考えますけれども、それのできない以上は、化学肥料の二百万トンの生産は必要だと、かように考えておるのでありますが、この国会の委員会等の動きが司令部に反映いたしまして—肥料が余つておる、余つておるからもうすでに公団廃止して自由にした方がいい。もう百姓は肥料の高いことについては、買う力もないし、もうどんどんつてつてしまう。だからこんな高い肥料配給する必要がなくなるというような、この国会の意見も、相当司令部に反映しておると私は聞いておるのであります。しかしながら私といたしましては、さような事実があるといたしましても、今日日本肥料海外どんどん輸出いたしまして—それはメーカーとしては利益がありましよう、利益がありましようけれども、日本食糧増産に対して肥料が欠乏するというようなことがあつてはたいへんだという気持で、できるだけこの海外輸出に対しては防遏の態度をもつております。農林大臣は、お話の通り肥料輸出入に対しての権限は持つておりますが、今日の日本事情といたしましては、輸出入の貿易の事情といたしまして、連合軍がかくあるべしだという断定を下した上におきましては、総理大臣権限もある意味において抑制されるような状態でありますので、私はこの肥料の問題について、非常な痛心をいたしておるわけであります。しかしながら硫安輸出いたしまして硝安を輸入するというようなことは、日本の国土に合いませんので、できるだけごの硫安輸出に対しましては慎重な態度をもつてお断りをいたしたい、かような考え方を持つておるのであります。しからば国家が肥料に対して統制を持続するか、七月で打切つてしまうではないか、七月で打切つてしまえばもう自由ではないか。自由な立場にあれば、どこへ出せと連合軍が命令したつて日本はそれを拒む理由がないではないか、こういうのが今日の段階になつておりますので、政府といたしましては、非常に苦慮いたしておるわけであります。しかしながら七月において皆さんの御希望のごとき、またお考えのごとき相当の施設ができますならば、特別会計を設けまして、肥料の需給調整のこともできますので、それさえできますれば、やはり相当日本の必要な肥料だけは確保し得られると思うのでありますが、今日の段階といたしましては、さような事情のもとに今政府は置かれておりますので、この肥料の問題は非常な苦慮をいたしておるわけでありますから、この点は十分御了承を得まして、委員会といたしましても、先ほど御決定になりましたあの問題の実現に対して、政府も非常に協力いたしておるわけでありますが、皆さんの御希望の達成せられるよう、一段の御配慮をお願いしたいと存ずるわけであります。
  9. 山村新治郎

    山村委員長代理 河野君、大臣に時間の都合がありますから、急いでお願いします。
  10. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は肥料輸出の問題について、大臣として輸出反対であるか賛成であるかということを伺いたいというだけなのです。大臣反対されました結果、それが最終決定としてどこまでも輸出が不可能であるということになるかならぬかは、関係方面のこともありますから、私はそこまで大臣責任を持つていただこうとは思わない。ただ輸出管理令によりまして、肥料は米と同じように事前承認物資として、農林大臣承認を得なければいかぬという物資になつておりますから、そこで大臣自身としてはどういうお考えであるかということを伺つておる。でありますから、大臣輸出は今すべき段階ではない、自分はとにかく同意できないということであれば、さらにその後問題が発展して、司令部との関係でそれがどうなるかということまで、私は大臣にいろいろ追究しようと思つてはいない。それから先ほど自由になれば輸出国内事情も全部自由である、こういうようなお考えですが、これは私は違うので、重要物資なるがゆえに、特に米とか肥料とか、その他の重要物資につきましては、輸出貿易の管理令がありますし、輸入につきましては輸入の管理令がありますし、そういう特別な根拠法規がありまして、国が管理しておるのでありまして、米、肥料等はその中に入つておるのであります。でありますから国内需給関係のバランスがとれたから、統制は撤廃して自由にする、であるから国内事情が自由になつたから、外国との輸出入は自由であるということには私はならぬと思う。少くとも重要物資についてはならぬと思うのであります。その必要性があるから特別の根拠法規があるわけであります。それから私はもう一つ弁明しておきますが、私がこの委員会肥料が余つてつてしかたがないということはたびたび言つております。それはどこまでも時期的の問題であつて、来年度輸出しないで、今後一箇年間一トンの肥料も輸入しないでいたならば、今ここで、本年の夏から秋にかけて余つた肥料によつて、来年の春の肥料国内のものでまかなえる、従つて少くとも向う一箇年間は、今ここで余つた肥料によつて来年の春もまかなえるということを申し上げて、しかも私は今年一箇年間につきましては、私としての需給推算を出しているわけであります。余つたことは時期的に余ることでありまして、年間を通じまして肥料が余るということは一切言つたことはありません。文書も私は出しておりません。もし私がこの委員会で言つたことが司令部に反映しまして、衆議院においては肥料が余つているというから、輸出しろということがかりにあるならば、私は進んで司令部の方へ行つて、従来の主張なり、自分が出している文書なりを説明いたします。私はさようなことは決して申し上げていない。私がさようなことを申し上げたということによつて、しかもそれが肥料が余る、従つて輸出するのだという結果になれば、日本の全国の農民に影響する大事な問題でありますから、私は進んでその責任を明らかにいたします。私はどこまでも繰返して申しますが、大臣にめんどうなことを聞いているのではない。大臣自身のお考えが、肥料輸出はこの際反対であるか、それともこの間新聞に誤り伝えられている、大臣があたかも同意したかのような記事さえもあつたので、その点を私は伺つております。簡単なことであります。それだけ私は伺いたいのであります。
  11. 森幸太郎

    森国務大臣 私は肥料生産事情から実は反対であります。ことに硝安の輸入には反対であります。しかし反対でそういう立場をとりましても、今日の日本政府立場といたしまして、輸出入関係肥料統制を撤廃した以上、ぜひともこれだけのものを出せ、こういうことを指令されれば、日本政府としては出さざるを得ない立場にあることを、御了承願いたいと存じます。
  12. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま肥料輸出問題で論議があつたわけでありますが、私は先般の新聞を見まして肥料輸出するという情報が伝えられましたので、実はそれを見て愕然としたのであります。御承知のように、日本肥料は今まで非常に足りなくて、それから来る当然の結果として、肥料価格の高騰のために、非常に苦心惨胆をして来たのであります。ようやくにして最近需給事情が大体バランスをとつて参りました。時期的には二十万トンないし三十万トン余つて来る。その余つた数量によつて肥料価格の低下を促進をいたしまして、その余つた数量によつて、その圧力によつて肥料工業生産費の抑制をはかつて行く、コストの低下をはかる非常にいいチヤンスが来たということを思いまして、全国の農民とともに喜んでおつたのであります。ところがもしこの際、ようやく二、三十万トン余る程度のものを輸出することになりますと、やはり国内肥料事情というものは非常に窮迫をして参ります。従つてせつかくわれわれが期待をしておつた肥料価格を下げるという問題がまつたく水泡に帰してしまう結果になります。御承知のように、今肥料の値段が高く、しかも農産物の価格はだんだん下落をして来る、その結果として農村の窮迫は日を追うてはげしくなつて参ります。私はこの際どういう理由があろうとも、肥料輸出することに対しては絶対反対であります。これは全国の五百六十万の農家が、ひとしく希望しているところであると私は固く信ずるのでありまして、農林大臣の御意見もよくわかりましたが、この際大臣としては、敢然として肥料輸出に対して反対していただきたい。そのことを強く希望申し上げて私の意見を終る次第であります。
  13. 山村新治郎

    山村委員長代理 それでは本日はこの程度にとどめまして、これをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時一分散会