○
井上(良)
委員 大臣の
考え方は一応ごもつともなところもあると思いますがしかし問題は、
わが国の
農業経営の実態が、
農家みずからの努力によ
つて農業経営の合理性というものが確立されないと、私は考えているのです。今日
農家の全体的な行き詰まりの原因は、例の九原則による、いわゆるドツジ・ラインの強行が
農村恐慌への前夜をもたらしておるのでありましてもこのことから考えますと、今日
農村の行き詰まりというものは、主として
農家自体の
経営の不手ぎわということではなしに、外的な大きな原因が、
農家の行き詰まりを来しておりはせぬかと私らは考えておる。そういたしますならば、これは外的な力によ
つて対策を講じてやらなければならぬじやないかということであろうと、私は思うのであります。これ以上いろいろ議論をしておるとかんじんの問題から離れて参りますから、申しませんが、問題は今日いかに
農地改革の合理的な遂行をはかりましても、自分の
所有地に
なつたその
耕地で、
農業経営自体が成り立たないという
ようなことであ
つたのでは、農業政策としては実に行き詰まりの
状態にあると私は思うのであります。そういう面から、何としましても今日
農家の
経営の合理性を確立することができ得るという、いろいろな政治的な力を
農村に加える必要が今日あるではないかという
考え方を、私は強く持
つております。そのことはたとえて申しますならば、酸性土壌の
改良でありますとか、あるいは水利、
土地の交換分合、いろいろな問題がそこにあろうし、また一方
農業経営の必要なる資金資材のあつせんをいたし、あるいは
公租公課をできるだけ引下げる、もろもろの政治的な、また予算的な
措置が今日必要ではないか。もちろんこれらのことに関しましても、
政府はいろいろな点から、できるだけの努力は拂
つておると思いますけれども、今日
農村の立
つております
苦境から考えますならば、その政策は非常に力が弱いという点から、私はそうは言えないのじやないかと考えます。
次に伺
つておきたいのは、昨年十月二十一日付でマックアーサー元帥の
農地改革に関する書簡が発せられたのであしますが、当時のいろいろな動きで、この
農地改革の打切りをするのじやたいかというところから、この書簡が発せられたのじやないかと考えておる。この書簡によりますと、
農地改革の成果を永久に保持することを要求しておる。しかるに
政府は、この書簡の趣旨を具体化することにま
つたく熱意を欠いておる。それは今度の
農地改革の
法案として現われております
自作農創設特別措置法の一部を
改正する
法律案で、これが明らかにな
つて来ておるのであります。たとえば
農地、牧野、宅地、建物等の
政府による強制買收を打切る、あるいはまた未墾地の買收あるいは
土地の移動、あるいは
農地委員会の改組、
農地改革の
基本的な
立場というものを放棄して、
政府としては
責任を全然とらない。こういう
立場に立
つたのじやないか。こう私は考えますが、そうではないのでございますか、その点を明らかにしてもらいたい。