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森國務大臣 どうも私の聞きそこたいか、話が幾つにもわかれておりますので、どこからお答えしてよいかわ九らないのですが、農協がりつぱに
なつただけでは、必ずしも農村は救えない。もとよりそうであります。私は農協がりつぱになれば、それで農業政策終れりとは毛頭
考えておりません。農業政策を遂行する上においては、相手方は農業協同組合が中心である。だから一日も早く農業協同組合を
りつばなものにいたしたい。これは先ほど申し上げた
通りであります。それに関連して、裏づけ物資であるとか、貯金の問題であるとかいうような
お話か出ました。裏づけ物資に対しましては、ここで
お話いたしました
通り、大体打つべき手は打ちました。と申しますのは、農協があの物資の配給の責任を持
つて、それか売れなか
つた。そうしてその代金は手形を発行しておる。売れないからその手形の期限が来ても金が払えない。そして協同組合も困るし、問屋も困る。ますさしあたり打つべき手は、との手形をどう決済せしむべきかという問題であります。それでありますから、一応在庫のものは問屋が全部引受けたという形でとりまして、これに対して十八億の金を
融通して、不渡り手形の出ない一石を打
つたわけであります。それからの問題は、この報奨物資の性質に立ちかえ
つて、この報奥物資が市価より高いようなもので配給されては、農
業者に対して申しわけないから、何とかしてこれを市価よりもいくらかでも安いというこの
考え方に沿うような価格で、一応元
通りの配船ができないか、そこに今手を打たんといたしておるのであります。これは農業協同組合の発達でなしに、当面のいわゆる
臨時的な問題に対する
処置の
方法であります。なおもう一つお述べになりました
融資の問題でありますが、農業会の財産引受けについて、金が少くとも五十億余万円なければ引受けができない。何とかしてこの金を
融通せよという話が、連合会からあ
つたのであります。
井上委員も御承知の
通り、金は目当なしに貸せるものではないのであります。それで五十億という要求の
内容を、大蔵省の銀行局長によく相談して、これこれのものが必要であるという
内容を
お話しなさい。また金としましては、信用と担保の二つの道で行くのでありますが、今日は担保ということを第一に
考えなければならない。農業協同組合にどれだけの担保
物件があるか、それを提示しなければ金がまわらない、また農機具等の非常な手持ちがある。そういうものはどういう価値のあるものか、現在の価格を帳簿価格でなしに、現在どのくらい価値があるかということをはつきりしなければ、
金融の道が立たない。それをはつきりして、大蔵省銀行局とよく御相談になれば、
政府といたしましては、決してこの問題について救護の手を延べることにやぶさかではないのであるから、そういう方面に
処置をしてもらいたい。こういうことで今協議が進められておる
段階にあります。そうして、もうひとつの協同組合の信用問題でありますが、これは私はなるべくは世間に発表したくない。いわゆる臭いものにふたをするわけではありませんけれ
ども、銀行でもあの銀行が取付けた、この銀行が取付けたとなると、取付けなくてもいい銀行も取付けに会うのでありますが、協同組合が
金融面に非常に悪い、預金の支払いのできぬものがこれこれある。これの会計年度の行詰まりがこれだけあるということは、これを羅列いたしますことは、協同組合自体の信用を落してしまいます。これはこの間発表していいかどうか、悪いかと思いましたが、すでに発表されておりますが、七十億の金をまわしておかなければならぬ、もう十億の八十億の金をまわして来なければ困るということを要求されて来たのでありますが、しかし表へ出てしま
つた以上は仕方がないけれ
ども、決してやまでも何でもない事実であります。できるだけ早く救護の手を差延べなければなりませんが、八十億という金が、そう無
條件で
融資されるものではないのであります。それで今この
改正法案を出しておりまするが、監査制度を設けて、組合の
内容をよく調査して、この協同組合のやり方ならばこうすれば立ち上
つて行くという目途のついた場合には、その協同組合のつぶれないように、
資金を何十億でも持
つて行く、こういう
処置をと
つて行きたい、かように今
考えておるのであります。その協同組合連合会と協力いたしまして、その
内容の立て直し、
内容の粛正等をや
つて、一日も早く、協同組合が維持でき、発達して行くような姿にもどしたいと
考えておるわけであります。なお
お話が、協同組合だけや
つてはいかぬ、農産物の価格をどういうようにして維持するかという問題でありますが、この問題につきましても、か
つて幾たびもお答えいたしました。現在はいろいろ御議論もありますけれ
ども、農産物の
生産の過程において必要なる購入資材というものと
考え合して、農産物の価格が決定されておるわけであります。これは消費というものと
生産というものを、統制の上において責任を持つ今日の
段階においてはやむを得ないのでありますが、今後自由な貿易になりまして、外国からどんどんと安い農産物が入
つて来るということになれば、
たちまち日本の農村は脅威を受けることば申し上げるまでもないのでありますから、そういう場合においては、適当な
処置をとることは当然であります。しかも今日までは、従来の
内閣がや
つて来ました
通りに、食糧
生産のために農業
経営を犠牲にして参
つたのであります。農業
経営の立場から
考えて、こういうふうな
経営をいたした方が
経営の上において合理的であるということでありましても、食糧増産のためにその犠牲を没却せしめて、食糧増産に努力させて来たという事実、これは御次知の
通りであります。しかし今日は、その当時のごとき食糧が、国内の食糧
生産がふえたというわけではありませんけれ
ども、食糧確保り獲得の道がよほど楽になりましたために、ここにおいて私は農業
経営本位にもどすべきである、かように
考えて、養蚕の有利である
地方には養蚕を復興いたします。また花卉園芸を農業
経営に取入れた方がいいといろ
地方においては、花卉園芸なり、いろいろな特殊作物の栽培に
経営の面をかえて行くということにつきまして、農業自体の
経営を主眼として、
合理化に持
つて行くということでなければならぬと存じておるようなわけであります。
〔松浦
委員長代理退席、
委員長着席〕
五年
計画、十年
計画という
計画を持
つて進んでおるわけではありませんが、決して場当りでその日暮しの農業政策を持
つておるというわけでないことは、どうぞひとつ御了承を願いたいと存じます。