○横田
委員 大臣にお伺いいたします。大体供出の割当は公平に行
つておらない、私はこう思うのであります。それで供出の公平に行
つておらないところに、強権をも
つて取上げられる
ようなことはやめていただきたい。同時にまた強権をも
つて取上げられたところえは、適当なる調査をや
つていただいて、返していただきたい。その例として、午前中に申しました三島郡三箇牧村三島江における合同検見の結果は、このときに地方事務所の吏員も立ち会
つておるのであります。そこで昨年の秋九畝二十九歩の全刈りの調整をやつだのであります。そして小米も全部入れまして十四貫三百匁しかなか
つたということは、地方事務所の吏員も皆認めておるのであります。西面におきましてはどうしても供出米が出なか
つた。最後においてどんな悪い米が出ておるかということは、本年一月三十一日の供米の結果は、五百五十俵の米が出まして、これで九四%出たのであります。あとに二百五十俵の米が残
つてお
つて、まだ六%未納にな
つておるのであります。それで五百五十俵の、当時出ました米の検査の結果は、五等が五百三俵であります。四等はわずかに二十四俵で、三等が二十二俵、二等が一俵であります。このうちどうしても検査できないと言
つたのが二百俵あ
つたのであります。その二百俵は検査ができないのだけれども、いいのとチヤンポンすることによ
つて、やつと五等にな
つたというのが現状であります。また前の検査の例をとりましても、四百七十俵のうち五等米が四百俵あ
つたのであります。そうすると、二百五十俵から三百俵ぐらいは、よそから買われております。だからここの町におきましては、米の品質も非常に悪いし、とれておらないということは、数字においても、また官庁の調査においてもわか
つておるのであります。ところがこの
農村においてなぜ米を出したかと言えば、去年つく
つた麦をわずかに持
つている。これをとられる
ように解釈され、おどかされたので出したのであります。どういう
言葉でおどかされたかと申しますと、これは本年二月二十二日に三島江へ来た人たちによ
つて、こういうことが言われております。「き
よう中に完納しなさい。供出が完納できないとすればブラックリストに載ります。奈良県畝傍町、桜井町を見て来ればわかります。そんな危険なことをするより、完納した方がいいでし
よう。」部落代表の鈴木という人は、「足らない米を買
つて来る金もありません。」そうしますとその方は、「お正月用に金を使い過ぎたんでし
よう。
日本の歴史において、
日本の農民が今ほど社会的に恵まれたことがない。徳川時代には、生まれた子供を小さいうちに死なさねぱならなか
つた。江戸時代にも鎌倉時代、軍時代にも、ただ生きて行ける
ような
状態に置かれた。過去を顧みて、今日ほどよくなられたことはない。毎日々々駅で何トンという米があげられている。ほかの村が完納できるのに、この村だげできないはずがない。できなければ今後調査のリストに載るだけです。このうちの多少のどなたかが違反であげられて、罰金なり体刑になるかもしれない。それはあなたかもしれない。」と言
つて鈴木を指し、「次はあなたかもしれない。」と言
つて村長を指しております。そういたしまして、その人が「供出が公平に行
つていないのは農調
委員が悪いのだ。」と申しますと、村長が見かねて、「私が府の、郡の、村の
農業調整委員です。」と申しますと、「あなたは出してくれということ以外には、何も言わなくてよろしい。」こういうことを言うております。そうしてごたごたやられて、その晩に農民は米をとられたのであります。ここにおきまして農民は非常に困りまして、共産党が煽動しなくても、非常な思想の悪化と申しますか、民自党の好まれない
状態が起りまして、共産党のすばらしい発展力がここにおいて立証されたわけであります。(笑声)そこにおいて農民は、こういうことを書いている。これは笑いごとではないのであります。ここに童話がありますが、これは共産党員でない人がつく
つたのでし
よう。それは、孫子末代まで伝えまし
よう。霜柱をふんで神様の家来が、うさぎのところにや
つて来た。命令だ、毛を差出せ。うさぎはびつくりして、それだけは許してください、子供もいますから。毛をとられてしまうと寒くて死ぬばかりです。家来は力の強いことで知れ渡
つていました。命令だ、とどなりました。そうしてとうとううさぎは裸になりました。とうとう裸にしてや
つた。家来はほくほくし帰
つて行きあました。神様も喜びました。神様はうさぎがどんなに困るか知らなか
つたのです。知
つていて、そんなむちやを命令するはずはありません。ああ、何とかして毛を返してほしいものだ。裸にな
つたうさぎは思うのでした。お母さん、お腹がぺこぺこだよ。子うさぎにせがまれて食べ物を探しに出かけました。けれども裸ですから草や木にひつかかれて血が流れました。こんなことでは、食べ物を得
ようとするたびに血を流してやせてしまろばかりだ。神様にお願いし
ようとうさぎは思いました。北風がぴゆうぴゆう吹きました。裸のうさぎはとうとう凍え死にました。足跡には血がぽたぽた落ちていました。死んだうさぎはいつの間にか、お月様に運ばれていました。しかしうさぎは死んでも死に切れなが
つたのでし
よう。子うさぎが気になるのです。死んでも神様に訴え続け
ようと
考えたのでし
よう。月の出る前にきつと夕焼がします。それは裸のうさぎが血を空一面にふりまいて、苦しみを神様に訴えているのだと言われています。こういう
ような
状態のもとで共産党の人気がすばらしくあるのであります。そうして
政府の
食糧政策を非常にうらんでいるのであります。
〔
委員長退席、山村
委員長代理着席〕
そうして農民は、こういう
ような形において、米がないにかかわらずとられた。今年や
つて行けない。こういうところに対しまして、
政府といたしましては適当に調査してもらう。同時にこれは法規上から行きましても、先ほど
農林大臣が言われた食確法の規定におきましても、この
会議は公開され、
会議録は残
つているはずですから、この
会議録を至急にお取寄せ願いまして、もしこれが事実であ
つたなれば、ここにおいて不当な供出量をと
つたものに対して、われわれは返してもらいたいということをお願いしたいのであります。あなたはそれを聞いてくれますか、聞いてくれないか、これに対する
処置を承りたいのであります。