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宮幡政府委員 中小企業の
対策の時期的に遅れております問題をいろいろ御批判を受けておりますが、当面や
つております面から見ますと、さようにも
考えられないこともたくさんあります。しかしながらこれは
現実の問題として大体言い訳になるようなことを申し上げてもいたし方がありますんので、御
指摘の点を具体的にお答えいたしますと、この
中小企業等協同組合に対しましては、
指導の徹底をはかります。もちろんこれは下から盛り上る
組合組織でありますので、こちらから命令したりすることはできないわけで、でき上つたものに対しまして、あるいは御相談がありましたものに適当な御
指導を申し上げるというのが法の
建前であります。しかしながらどうもその間御
指摘のように、
大蔵省との関連もよくなければ、各
方面との
連絡がまことにスムースでない、こういうことでありますので、案といたしましては
協同組合課というようなものを一分課設けまして、これに専任の
職員を置きまして、この
部局をやらすべく考案いたしました。これは
行政制度審議会あたりでは、非常な反対だというような声も聞きまして、未だこれが取入れられて皆さんの御
審議を仰ぐ
段階にな
つておりません。しかしながら
中小企業対策の上から
考えますと、これはぜひ必要なことでありますので、近い時期におきまして、
統制経済の撤廃とともに、さらに
機構の
整備を要する点がありますので、その
機会において、一方では
廃止になりますものにかわ
つて、
中小企業は一段とその
機構の拡充をいたして参りたいというのが現在
考えておることであります。
それから
金融制度につきましても、先般来か
つて戰時中から戰後のこの
インフレ経済の中で、
銀行との
取引の
実績がない、いわゆる
銀行との
取引、
領金を領け入れたり、引き出したり、あるいは貸付を受けたり、手形の割引を受けたり、さような連繋のない
中小企業が
相当数あります。あるいは
中小企業の大部分がこれであるかもしれない。かようなことで現在ありますあつせんだけの
金融措置では困難であります。そこでどうしても
損失補償制度を設けなければならぬと
考えましたのが昨年のことでありまして、昨年の十月にはすでにしばしば申し上げましたように、
損失補償制度を
実施し、これを立法化しまして、十五億の
予算をも
つて運営いたすことにいたしまして、本
会議の御
審議に備えようといたしましたが、
客観情勢がこれを許さずいたしまして、遂に中止とな
つておりました。その後引続きといたしまして、
見返り資金の
運用によります御
承知の
協調融資がようやくにしてでき上りました。現
段階においては、今度は
信用保証制度ということで、
信用供與の形におきまして大体御了解ができそうな
段階にな
つておりますが、完全にまだできたとは申せません。これは
立法措置でなくしても
実施ができる。一応
見返り資金から、大体か
つて補正予算に計上いたしました十五億の投資を得て、これの
運用によりまして
設備資金として
年間五十億、
運転資金として
年間百億の
運用をいたしたいと思います。この
保証供與の方法としては
金融機関との間の包括的の
信用供與の
契約を
政府にかわ
つて日銀にや
つていただきまして、
市中銀行が貸しました
債権で、
中小企業に貸せるのだということで
包括契約の中に入
つておるものについて、もし
市中銀行が
債権取立てに困りました場合におきましては、九〇%ないし八〇%の未
回收債権額をもちまして、これを
日本銀行が買取ることにいたしまして、
取立ては
日本銀行が
特殊機関をもちまして直接やる場合と、もしくは
基本的に貸しました
市中銀行が
日銀にかわしまして
取立てを代行する。いずれにいたしましても未回收額の九割ないし八割の保証を
国家がいたします。
信用供與の形においていたしますことをどうやら九分
通りまで成功いたしました。これは
立法措置がいりませんで、国内手続ができればこれをいたしたい。かように
考えております。
それから
中小企業において一番大きな悩みでありますところの税金の
対策であります。これは簡易簿記制度をしきまして、全国にわたりまして、その
指導普及をはかり、あるいは青色申告もなかなか
中小企業は帳面をつけるということをいといます。しかしいと
つていては税の重圧からなかなか脱却することはできませんので、この
指導にも、青色申告とも合せまして、国税庁と
連絡いたし全国的に
指導講習会を開催いたしました。これを一月、二月にわたりまして盛んにや
つて参りまして、相当成果を收めております。しかしながらこれだけではいけませんので、
中小企業に対する租税の特例を定めたい、かようなことから、これは国内
関係でも摩擦のある面もございます
関係上、最近
連絡をとりまして、
国会の議員提出でおとりはからい願いたいと思
つて、
法案をものしております。たとえて申せば、従業者を持
つていない零細
企業に対するものは、その所得の算定上、一般の扶養控除をして、あるいはその、扶養控除のほかに特別控除として、やはり勤労所得と同じ百分の十五を、最高限度三万円程度の特別控除をなすのが妥当であろうと
考えております。さようなことをいたします。法人税につきましても、また協同組合法によります組合についても、今度法人税は三十五の一律であります。か
つては組合は特別法人税の取扱いを受けておりましたが、今回はかえ
つて増税の形になりました。かような面を除くために、商法人、すなわち資本金三百万円未満、従業員百人未満、これは工業でありますが、商業については従業員二十人未満のものを。
中小企業といたしまして、これに対しましては税率三五%から二〇%に軽減いたします。また個人所得につきましても、所得
段階のそれぞれにつきまして、二割ないし三割の減税をする。附加価値税についても、これが一番痛い税のように思いますので、これについて土地建物、さようなものを除きます。償却可能の資産が三万円程度のもの、三万円を越えない
企業に対しましては、農業、林業と同様に、第二種の事業といたしまして課税を軽減するという方途を講じたいと思いまして、これも一文を草しまして
連絡をお願いいたしておりますので、いずれかの
方面からもし議員提出等の案とな
つて現われて参りますれば、ぜひとも御協力をお願いいたしたいと思う次第であります。
なお輸出
振興の一面といたしましては、本年三月三十一日に公布せられましたいわゆる輸出信用保險法によりまして、輸出
契約締結後の
金融は今度できましたが、輸出
契約締結前の、いわゆる輸出見込みの長期にわたる
生産に対しましては、初めて輸出品の完成しまするもの等に対しましての
資金供給については、また別途考慮いたしておりまして、この要綱もすでにでき上
つておりますが、これは残念ながらただいま折衝中であります。この席でもし記録にとどまる等の場合におきますと、あるいは惡い結果になろうと思いますので、これだけはしばらく数日間の御猶予を願いまして、また適当の
機会に申し上げることにいたします。かような面におきましてたいへん無策のように御非難を受けておりまするが、あらゆる面におきましてひ
とつ対策を講ずべく、せつかく
努力いたしておる次第でございます。