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高橋(衞)
政府委員 お話の
通り、現在
経済情勢が非常に困難な状態にありますのと、今年の二月ごろまでの税收入の状況は二十三年度に比較いたしまして相当順調でありました
関係からいたしまして、できるだけむりを避けるという
方針をと
つて参
つたのでありますが、その後の税收入の状況を見てみますと、むしろ今年の予算だけの收入が非常に困難にな
つて来たということが一方に考えられますし、また一方におきまして、先ほ
ども他の
委員の方の御
質問にお答えいたしたのでありますが、申告所得税が千七百億円の予算に対して、四月十日現在の收入額は、千三百億円でございまして、なおかつ四百億円の不足と相な
つておるのであります。このことは一方におきまして、源泉によ
つて徴收されるところの俸給生活者等におきましては、予算を百億円すでにオーバーしておるというものと比較いたしまして、はなはだしく不公平に相な
つておる。言いかえますならば、月給から差引かれる方々は、残
つた月給でも
つて非常に切り詰めたところの苦しい生活をしておられる。一方申告によ
つて、その年度の過ぎました後において納税をするという建前にな
つております。申告所得税の方々におきましては、すでに使
つてしま
つたからとか何とかいうことで、もしも納税を回避するということになりますれば、その間に非常に不公平が生じるのみならず、先般も御
説明いたしましたが、昨年末の通貨の滯留状況を日本銀行の
調査によ
つて見ますと、農漁村等におきましてはむしろ非常に減少しておる。ところが商業門部のみにおいて非常に大きな増加を示しておるという事実があるのであります。これらの点から考えますと、現在の納税が非常に困難にな
つて来ておるという事情の原因は大体三つあるかと思うのであります。
その
一つはただいま
お話のように
経済情勢の変化等に伴いまして、非常に困難な業者の方が相当数おありになるという事実であります。いま
一つはやはり
納税者の方々で、どうも十分に納税義務を果しておられぬ、能力があるにかかわらずその納税の義務を履行しておられぬという方々が相当あるということを考えざるを得ないのであります。
いま
一つは税務
行政自体におきましては、なおかつ改善を要する点があるというふうに考えているのであります。従いましてわれわれといたしましては、税務
行政自体の面における問題は、でき得る限り今までもこれが改善に努力して参
つたわけでありますが、先般も閣議決定をもちまして、たとえば監察官制度の強化でありますとか、または税務職員の教育、訓練を徹底いたすことでありますとか、または今まで
国税庁で任意的につく
つておりました、苦情相談所の制度を制度として新しく拡充して行くというような問題でありますとか、そういうふうな
事柄を相当急速に進めますとともに、
協議団の制度等においても
法律上の建前は七月に開設ということにな
つておりますが、できるだけこれを早めてつく
つて行くというようなことも、一方において措置しようとただいま努力しておる次第であります。しかして先ほどの
お話によりますと、今年度の收入は、過年度分の滯納
整理によるものも含めて十分予算をまかない得るのではないかという御見解のようでありますが、四月十日現在におけるところの二十四年分の收入済額というものは、租税及び印紙税收入総計いたしまして五千七億円であります。予算が五千百五十九億円でありますから、約百五十億円程度なお不足しております。御
承知の
通り三月末までに決定されましたいわゆる納税義務の確定されたものにつきましては、四月中に納入になれば二十四年度の歳入になるわけであります。
従つてこの百五十余億円が收入とならなければ本年度の歳入予算は確保できないという状況に相なるわけであります。従いましてどういたしましても、納税能力のあるにもかかわらず納税をしない惡質な滯納者等については、この際相当手きびしい手段をも
つて臨まなければ、この收入の確保もできかねますし、また税の生命であるところの公平も失われるということに相なりますので、これらの毎月の收入状況等の観点からいたしまして、この際相当強硬な措置をとることがぜひとも必要であるというふうなことを考えまして、ああいうふうな新聞記者に対する談話も発表いたしますし、また実際上税務
官吏に対して、そういうふうな指示をいたしておる次第であります。しかしながら同時に一方におきまして、非常に困難な事態におられる
納税者の方々が相当数あるということも十分
承知しておりますので、たとえば先ほど
説明申し上げました
通り、
昭和二十五年度所得税の第一回の納税の時期は六月末に相な
つておるのでありますが、これを今回
提案申し上げましたように、一箇月間だけ納税時期を延期いたしまして、七月末までといたしますこと、並びに従来これは
法律上の建前から申しまして、
個人所得税におきましては、たとえば期末において手持商品の
値下り等がありました場合には、その
値下りによる損は所得
税法上損金に見ないということにな
つておりますが、その
法律上の建前そのものは
変更いたしませんけれ
ども、実際上その所得が損金と見られたと同じように、実害のないような方法を先般決定いたしまして、それを各
税務署に通達いたして
参つておるのであります。すなわちその仕入れ商品の仕入れの時期におけるところの価格と十二月末におけるところのたなおろしの価格の差が二割以上であり、しかもその価格が所得総額に対して二割以上を占める場合におきましては、それに対するところの追
徴税をまず第一に免除する。なおもちろんこれは
納税者の方々の申請によ
つていたすのでありますから、
調査の上決定するのでありますけれ
ども、追
徴税を免除し、かつ加算税、延滯利子税等につきましても、その部分に関しては免除するという措置をとりまして、当面の救済もいたしておるのであります。言いかえますと、こんな方々に対してはどこまでも十分にこれを見て差上げ、非常な苛酷にわたるようなことがないような措置をいたしますと同時に、半面において困難ではない方、たとえば四銭の加算税よりも他にまわした方がより多くの金利を得られるというような観点から、そうしたことをや
つておられる方もあるように見受けるのでありますが、そういう方々に対してはどこまでも徹底的に追究をするということが、税の公平を保つ上において絶対に必要であるということを考えまして、そういうふうな措置をと
つておる次第であります。