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1950-04-20 第7回国会 衆議院 内閣委員会大蔵委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十日(木曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 奈良 治二君 理事 船田 享二君       飯塚 定輔君    井上 知治君       首藤 新八君    田中 萬逸君       山口六郎次君    松岡 駒吉君   大蔵委員会    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 川島 金次君       大内 一郎君    佐久間 徹君       田島 ひで君    三宅 則義君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      吉田 信邦君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房文書         課長)     村上  一君         大蔵事務官         (大臣官房地方         課長)     久米 武文君         内閣委員会專門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会專門         員       小關 紹夫君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七六号)     —————————————
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより内閣委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  内閣委員長であります私が委員長職務を行います。  本日は大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題といたし、まず政府提案理由説明を求めます。大蔵政務次官水田三喜男君。     —————————————     —————————————
  3. 水田三喜男

    水田政府委員 ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  昨年六月一日に、国家行政組織法が施行されたのに伴いまして、大蔵省組織とその所掌事務範囲及び権限を定める大蔵省設置法制定、施行されたのでありますが、その後諸情勢の推移に伴いまして、大蔵省機構等につきまして若干の改正を加える必要がありますので、本法律案提案いたした次第であります。  本法案の内容でありますが、まず本省関係から主要な改正点を申し上げますと、その第一は、外国為替及び外国貿易管理法並びに株式名義書換に関する法律等制定に伴いまして、所掌事務に関する関係條項について整理行つたことであります。  その第二といたしましては、終戰処理費及び賠償施設処理費等の経理に関する事務特別調達庁または賠償庁への移管並びに土地台帳及び家屋台帳に関する事務法務府への移管のため、理財局主税局等所掌事務からこれらの事務関係條項を削除いたしましたことであります。  その第三は、地方における財務行政の円滑な遂行をはかるため、財務部財務局と改称することに伴う改正等がその主要なものであります。  次に外局関係について申し上げますと、まず国税庁関係でありますが、その主要なものは、今回の税法改正に伴いまして、内国税に関する審査の請求についての協議機関といたしまして、国税庁及び国税局協議団を設置いたしましたこと、並びに国税庁監察官に、国税庁に所属いたします職員の職務関係のある犯罪を捜査させるため必要な規定を設け、職務の嚴正を期することとしたこと等であります。  次に公認会計士法改正等に即応いたしまして、新たに外局として公認会計士管理委員会を設置いたしましたこと、並びに証券取引委員会所掌事務株式名義書換代理人登録事務を加えましたこと等がその主要なものであります。  なお、大蔵省付属機関であります各種の審議会につきましては、昨年末から整理方針を立てまして、着々その準備をいたして参つたのでありますが、そのうち特に存置する必要があるものを除き、本省及び外局を通じまして十四の審議会を廃止することといたしました。  また酒類配給公団につきましては、その清算事務も結了いたしましたので、同公団関係條項を削除することといたしたのであります。  以上本法律案についてその概要を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて政府提案理由説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑通告がありますからこれを許します。三宅則義君。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題になつております大蔵省設置法の一部を改正する法律案に対しまして質疑を行いたいと思います。本日は高橋政府委員おいでになりまするが、ほかの政府委員ももしおいででございましたならば、ぜひこの際出席を願いたいと思います。  まず第一にお伺いいたします点は、今まで財務部と言つておりましたものを、財務局に改称することに相なつたのでありますが、今度財務局に直した理由をもう少しはつきりと御説明を願いたい。
  6. 水田三喜男

    水田政府委員 これは御承知通り、今まで財務局二つにわれておりまして、国税局と一方を財務部ということにして出発したのでございますが、その民間に対するいろいろな事務で、非常に間違えられまして、しよつちゆう財務部への書類が、国税局の中の財務部と間違えられたり、いろいろな事務の円滑を欠く問題がございましたことと、もう一つ各省地方出先機関を見ますと、その財務部よりはるかに人数の少い、また機能も小さいようなところが、各省は全部何々局ということになつておるのに、出先機関として最も大きい陣容を持つておる財務部が一部であつて地方行政について独立した一つ権限を持つているような印象を與えないというような、いろいろな問題が最近出て参りましたので、これをやはり財務局として、はつきりした官庁とした方がいいということになりましたので、部を局にしたいというのであります。但しこれにつきましては、人員をふやしたり、機構を拡大するということを一切やめまして、従来のままで名称たけをかえて、事務の円滑をはかりたいということで、改正を加えたいというわけであります。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 今水田政務次官の御説明でわかつたのでありますが、従来各地には財務局と申しまして、実際は国税局の出張所があつたわけです。これをこの前の国会国税局と直したわけでありまして、その辺に非常にいきさつがあるわけでありまするが、私はむしろ国税局財務局と並立することは、けつこうな案であると思つておるのでございまするが、従来は財務局の中において、国税局のやります事柄と、また財務部のやる事柄二つつておるわけです。そういたしますると、それが二つにわかれたという意味合いにおきまして、地方民はまた元に復したように考える人があるかと思いますが、この辺に対しまして、政府はどう考えておられますか、承りたいと思います。
  8. 水田三喜男

    水田政府委員 そういうような御要望も確かに地方でございますので、行政審議会において、その大蔵省機構の問題について、審議が先般行われましたが、そのときの答申案には、この二つをまた統合してもらいたいというような意見委員会で非常に強くて、その意見が採択されたという話を聞いておりますが、政府としましては、この審議会答申をもとに、この点については、これから検討したいと思つております。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の水田政務次官お話によりまして、答申案では、国税局財務部と合せたものであつていいというようなお話でありますが、国税局というものは、御承知通り税金をとる役所でございますが、われわれ国民からいたしますると、税務署は確かに税金をとり上げるのでありまするが、一方反対給付と申しまするか、ある施設をやつてやるとか、あるいは預金部資金等を、公共団体その他私経済等にも融通してやるというような、温情的事柄と相並立した方が、むしろ国民は納得するのじやないかと思うのでありまして、ぜひ財務局というものは、いわゆるとる方もとり、また與える方も與える。こういう機構になさつた方が、国民は納得するのじやないか、かように強く主張するのでありまするが、幸い国税庁長官がおられまするから、国税庁長官はどう考えておられますか、承りたいと思います。
  10. 高橋衛

    高橋(衛)政府委員 税を徴收する仕事と、従来財務局にありましたところの財務部、すなわち預金部資金融資をいたしましたり、あるいは金融面のいろいろな調査管理をいたします仕事、並びに国有財産仕事を同時に持つておることにつきましても、非常な長所もあり得ると思うのであります。しかしながら、一方においていわゆる温情面を持ち、一方において徴收をするということも、一つの理論ではあろうと思いますが、政府として国民に対するいろいろな施設をいたしますることは、單にそういうような狭い部面に限られておる問題ではないのでありまして、どこまでも通産省の関係、農林省の関係、その他各省関係において、いろいろな施設が行われておるのでありまして、従つてそれあるゆえに財務局としてまとめて行くということも、いかがかと考えられるのであります。ことに税の関係につきましては、税自体が非常に繁忙をきわめる。また非常に困難な仕事である現状におきましては、やはり先般改正されましたように、国税事務国税事務として、独立してやつて、しかもその徴税面におきましては、どこまでも十分に納税者の苦しいところもお察しをし、実情に適合したところの徴税をして行くということによつて、初めて目的を達成し得られるのではないかと思う次第でございます。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 今高橋国税庁長官お話になりましたが、これはちよつと余談になりまするが、かつて私は大蔵委員会において、常に国民に対しまする負担の公平、もしくは穏健なる徴税面ということについて、発言を求めておつたものであります。幸いにいたしまして、第五国会、第六国会、第七国会の三国会を通じまして、ことに地方等におきましては、物の値が下つた場合においては、昭和二十四年一月一日現在と、二十四年十二月三十一日現在とは、たなおろし商品等におきましては、ほとんど二分の一もしくは三分の一に減ずるのであつて、こういうものに対しましては、穏健なる処置をなしてもらいたいということをかねて要望いたしておきました。その当時大蔵大臣並びに高橋国税庁長官も、法人はそういうふうに時価主義でありまするが、個人はそうした穏健なる措置をすることができなかつたと言つておられましたが、このごろ高橋長官英断によりまして、われわれ個人に対しても、法人同様に、たなおろし商品等についての値下つたものに対しては、年末の現在高の価格によつて算定する。こういう英断を下されたことは、まことにけつこうであると思います。この際一つ国税庁長官に申し上げておきたいと思いますが、今度財務局を設定せられる場合におきまして、やはり国税庁と同じような名前を配するという意味合いでありましようか、少くとも東京におきましては関東と名をかえ、大阪においては近畿と名をかえ、名古屋においては東海とかえられたのでありますが、いささかこれに類するようなものでございますが、その名前を元に復した方がいいと思いますが、どうしてこういうふうに今度新規にかえられたのでしようか。この辺をひとつ伺いたいと思います。
  12. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 国税庁設置の当時は、元の各地名をもつて国税局名前といたしたのでありましたが、その当時財務部という、局じやないところの当初の名称より異なつ名前を持ちましたので、混同を避け得たと思うのでありますが、今度財務局というふうに従来の名称を用いるということに相なりますと、その後一箇年近くの時間は経過しておりますけれども、なお多少混同を来すおそれがありはしないかという懸念からいたしまして、名称変更が妥当ではないかと考えております。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 この名称変更につきましては、私も了承いたします。決してしつこく質問するものではなく、むしろ地方国税局地方財務局とは、結局名前は別であるが、置く場所は同じである、こういうふうに確信いたすものでありまするが、さようであると政府も御答弁なさることであろうと信じております。ことに地方におきましては混同せられておりまするところの、何と申しますか官界の地位と申しまするか、あるいは待遇と申しまするか、それらについては、国税局局長も、地方財務局局長も、同じような地位でありましようか。それとも何かかわつておりましようか、承りたいと思います。
  14. 水田三喜男

    水田政府委員 同じであります。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 今さような意味合いにおいて、同じであるということを聞きまして安心をいたしました。私はこの際ひとつ関連いたしまして、地方財務局に関する方に対してお答えを賜わりたいと思うのです。その事柄は、むしろ私がたびたび国会において発言を求めておるところでありまするが、ややもいたしますると、地方財務局——昔の財務部、今度の財務局ですが、われわれとしては、地方公共団体もしくは私企業にも、ある程度まで融資をしてもらいたいと思つておりますが、今までは中心といたしまして公共団体であつたと思いますが、将来は政府の了解を得て、もしくは地方団体要望によりまして、多少私経済にまでも発展せらるる勇気と努力がありましようか、これを承りたい。
  16. 久米武文

    久米説明員 ただいまの御質疑に対してお答えいたします。今のお話預金部資金運用に関する問題だと思いますが、新しく財務局となりましたあかつきにおきましても、現在と同様預金部資金は必要な方面にできるだけ広く運用したいという気持を持つておることは、従来と何らかわりはないと思います。ただ運用につきましてはいろいろ関係方面指示等もございますので、ある程度の制約はございます。意図におきましては必要な面にはできるだけ円滑に資金を供給したい。こう考えておるものと思います。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の説明員の方のお話は、まことに当りさわりのないことでありまして、私どもはもつとつつ込んだことを聞きたいのです。政務次官から承れれば仕合せであると思いますが、私といたしましては、この預金部資金につきましては、地方公共団体に限つて貸しておるのでありますが、地方産業もしくは地方開発事業等もあることでありますから、英断をもつて公共団体ばかりでなく、事業団体においても、さしつかえない範囲まで広げてもよろしいと思いますが、現段階においては、政務次官はどう考えておられますか。この辺を承りたいと思います。
  18. 水田三喜男

    水田政府委員 預金部資金運用の問題であろうと思いますが、預金部資金はどういう方向運用するかということにつきまして、大体政府としての方針が立つております。従来のように、ただ公共団体ということだけではなくて、今度の金融債引受けをやるとか、あるいは社債の引受けをやるとか、いろいろな預金部資金運営計画は、現在考えておりますが、今のところ一般の私企業にこの預金部資金を使うというところまではまだ至りません。但し公共団体につきましても、この解釈をもつと広げまして、水利組合とか、耕地整理組合とか、そういうような組合への金融というところまでは、これを拡張したいと思つて、現在努力しておる最中でございまして、今の運用範囲よりはもつと広げたい。こういう考えを持つております。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政務次官お話はたいへん私は良好に向つたということを確信するのであります。従来は各公共団体地方財務部、今度の財務局をでありますが、それに向つて申請を出し、さらに大蔵省参つてこれが可決するものと思つておりますが、どうか地方財務局としては、今までの観念をもう少し広げていただいて、今政務次官の仰せになりましたように、積極的に地方産業もしくは公共団体等につきましても、日本の再建に必要であるというようなものにつきましては、勇敢に出すようにしていただきたい。かように考えておるのであります。  この際、ひとつ関連をいたしましてお伺いいたしたいと思いますが、大蔵省官吏の方は、地方もそうでありますが、割合優秀な官吏がおると思つております。しかし第一線に至りますと、本省官吏の方や、あるいは国税庁官吏の方と違いまして、ややもすると越権がありましたり、濫用がありましたり、また民意に沿わないような点がありますが、これに対しまして、本省としては相当監督をしておりますかどうかということを承つて、あとの質問に移りたい、かように考えます。
  20. 久米武文

    久米説明員 お答えいたします。ただいま御指摘になりました通り本省といたしましては、従来もそうでありますが、今後もその監督の面にはなお一層力を注ぎまして、御意見に沿いたいと考えております。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 説明員お話でありまして、私ども本省であるとか、各国税局もしくは財務局につきましては、相当権威あるものと思つておりますが、そのまた第一線の前線、いわゆる最末端に参りますと、場合によりますと地方におきましては、相当饗応をしたり、あるいはコネクションがないとなかなかやらぬというようなことも聞いております。これは風評でありたいと私は存じておるのでありますが、ややもすると権力の濫用ということが起りがちの点があるのでありまして、今説明員の方から御説明なつたわけでありますが、もう少し上の方の、政務次官なり、国税庁長官なり、理財局長から力ある態度でよく訓令してもらいたい。同時に考えますことは、うわべはそう指示しておるようでありますが、末端に参りますと、地方有力者、ボスに濫用されるおそれがあるから、これがないようにやつてもらわなければならぬ。というのは各末端役人本省役人意見は、うわべとは相異る場合がありますから、この辺についてよく意見の滲透いたしますように、訓令なり通告なりをしてもらいたいと思うがこれはひとつ国税庁長官なりその他の方からお伺いしたいと思います。
  22. 水田三喜男

    水田政府委員 これはお説の通り、今後もつと徹底してやつて行きたいと思います。従来もこれには気をつけておりまして、たとえば国有財産売拂いについても、今三宅委員から言われましたように、本省としてはこういう方針で売りたいということをやつても、省の末端に行くとそうは行かないので、饗応の問題とかいろいろな問題がなければ片づかぬという不平を、ずいぶんわれわれは聞いておりますので、そういうことのないように国有財産処置については、こういう点はここまでは便宜をはかつていいのだというようなことを、最近は非常に末端まで徹底いたしまして、各地の処分が順調に進んでおりますし、預金部資金の問題も、やありそういう陳情をわれわれは受けております。政府短期資金国民に積極的に貸し出すというので、地方財務部局に金を渡しておるのに、地方末端が、なかかな一回や二回足を運ぶ程度では応じてくれないという問題もあります。これについては相当嚴重に監督しまして、本省意見末端まで行くようにということで、最近は各公共団体短期資金の貸出しもきわめて敏速に行つておりますし、今回もまた地方税法が少し遅れておりますので、地方の財政に一箇月のずれが来ておるというような問題がありますので、こう場合に対処するために、とりあえず平衡資金の前渡金を出すというようなことも、すでに政府は手配して、末端までこれは連絡がついておりますから、そういういろいろな不便は急速になくなるのじやないかと思つております。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政務次官の御答弁は非常に満足に思うのでございます。どうか今おつしやつた事柄を十分に滲透するように、今速記録に載つたようなことを十分国税局、あるいは財務局、あるいは末端税務署等にも申達してもらいたいと思う。私はかつてこの国会におきまして、この席上において昭和二十四年十二月下旬地方に関しますところの税金取立て等につきまして、ある程度まで穏健にして妥当なる愛情ある課税、もしくは差押え、その他の操作をしなければならぬということを申請いたしておいた。たまたまここにおられます高橋長官はその言をいれられ、その約束を履行せられまして、各税務署までそれらに対する年末年始の差押え等はやらぬようにという電報を打たれたということであります。私は第一線国政調査に参りました際、税務署長を集めまして、議会ではこう言つたが、末端税務署の方はどうだろうかということを聞きました。幸いにそのことにつきましては、電報長官から参りました、こういう答弁を得ましたが、こういうように滲透することを私期待するのでありまして、今日政務次官が堂々と発表せられたような事柄は、どうぞ末端まで滲透するようにやつていただきたい。かようにお願いをいたすものであります。  次に御質問申し上げたい事柄は、今度の改正によりまして、土地その他に対するものが、法務府の方へ行つたということになつておりますが、在来は税務署、もしくは国税局、あるいは財務局等において監督したと思いますが、これはどういうふうに移管したのでありましようか。その理由を承りたい。
  24. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御承知通り現在は地租も家屋税も、すべて地方税と相なつております。従いまして国税としてこれらの資料を利用する場面がほとんどないのでございます。依然これらの整理、その他について、今後いやしくもいろいろな遅滯があつては、この制度がくずれるおそれもございますし、また今回提案になつております地方税関係におきましても、これが非常に重要な基礎になつておるという面から申しましても、これに国税関係の官署に置くことが妥当でないという結論に達しまして、こういうふうな提案をいたした次第であります。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 さらにひとつ今度は方向をかえまして申し上げたいと思うのですが、今回公認会計士法の一部を改正する法律案というのが、今国会において幸いに通過いたしました。ところがまた一つここに公認会計士改正法案がこの中に入つておるわけでありまして、これをなぜ單行法で出されなかつたのか。大蔵省設置法の中にこれを入れられておるということに多少不安があるのですが、何か便法があつたのですか、その辺をひとつ承りたい。
  26. 吉田信邦

    吉田(信)政府委員 お答え申し上げます。公認会計士法におきましては、当初この公認会計士の試験に関する諸規定は、政令あるいは公認会計士委員会規則で定めるつもりでおりましたところ、諸般の事情から、ただいまの事項はなるべく法律に書く方がいいだろうということになりまして、今回公認会計士委員会の問題をこの設置法規定することになりました。それと関連いたしまして、法律で明記するという形にいたした次第であります。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はしつこく質問をいたして政府をいやがらせようというのではありません。了解するのに敏なるものでありますが、私どもといたしましては、こういうような事柄になりますと、むしろこの公認会計士改正法案は別になさつた方がほんとうによくわかりやすいと思いますが、そういたしますと何か技術的に非常に迷惑がございましようか。これをもう一ぺんひとつ承りたいと思うのであります。
  28. 吉田信邦

    吉田(信)政府委員 ただいまの御質問の御趣旨、私どもよくわかるのでございますが、別にもう一度公認会計士法改正案提案するということよりも、この設置法改正自体が直接公認会計士法改正案として提案いたしたことと関連いたしまして、そうして公認会計士委員会内部組織ということに関連いたしておりますので、あわせて御一緒に御審議願えればいいんじやないかというふうに考えた次第であります。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの際、政府にひとつ要望しておきたいと思うのであります。決して反対せんがために反対するというのではありません。いやしくも法律というものは国民にわかりやすくいたしましてこそ、ほんとうに法律の値打があると私は思う。ややともすると今までの政府の慣例といたしまして、重要な事柄を何々等というような意味合いにおいてぶつかけておる。でありますからそんなことがないだろうと思つておりますと、その方にちよつと入つておる。このようなことがあるのです。官吏の方じやたいへん御都合がいいのでしようが、議員としてはたいへんぐあいが惡い。法律が深く、長くなりましてもけつうこでありますから、徹底せしめるようにし、議員も了解し得るようにいたしまして、かりに二つで済むものが三つになつてけつこうでありますから、何々等の中に合算してちよつぴり置いて、あとは知らぬ顔をして通すというような考え方は、非常に官吏の惡い考え方であると思います。私は別に大したものじやありませんが、国民の代表の一人といたしまして、そういうふうに国民に了解しやすいようにしてお出しになりますように、政府当局に要望しておきたいと思います。これに対して政務次官の御答弁を承りたい。
  30. 水田三喜男

    水田政府委員 なるたけそのようにいたします。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではあまりしつこくつつ込みませんが、ちよつと專門的になつて恐縮でありますが、会計士管理委員会法律の中につくつたことはけつこうでありまして、私どもはこれと関係をしてかつてから申していることでありますが、今日の段階におきましては、公認会計士というものはわずかに百数十名しかありません。むしろ今後公認会計士といたしまして日本の産業界、経済界の復興に貢献いたしたいと念願いたしております者は、少くとも三千名内外はあるかと考えているのであります。こういう方々が必ずしもみな一様に公認会計士になり得るとは考えておりませんが、そのうちの大部分はこういうような職業に邁進いたして、たとえば弁護士が法曹界において活躍しておりますごとくに、経済界におきましてはむしろ公認会計士の今後の発展にまたなければならぬと思つておりますが、これに対しまして管理委員会等におきましても、まだ公認会計士になつていないものの中から、もしくは学識経験者、あるいはこれらに対して同情あり、理解ある者をもつて会計士管理委員にすることが必要であると思つておりますが、政府はどういうお考えか、承りたいと思います。
  32. 吉田信邦

    吉田(信)政府委員 ただいまおつしやつたことは私どもも同様に考えております。今回の改正におきまして、原則として公認会計士管理委員会委員は、すべて公認会計士でなければならぬということにはいたしておりますが、最初の任命そのものにつきましては、その拘束を拔きにいたしております。従いまして、今回公認会計士の中から二名、その他の学識経験者で学者あるいはその他公認会計士仕事に十分の御理解のある方が三名任命されている次第であります。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 今吉田さんから説明がありまして大体了承いたしました。私はこの際政府意見の開陳をお許し願いたいと思います。およそ公認会計士法制定せられましてわずかに三年、実施に相なりません前から改正がありまして、すでに七回もしくは八回になんなんとしておる。かように改正が多いということは、日本の経済の混乱を意味すると同時に、いかにむりがあつたかということを証するに足るべきものであると思うのです。はなはだおもしろいことじやないのでありますが、事実はそうであります。私は近き将来においてなお不十分な点が二、三残つておると思いますから、将来は議員提出なり政府提出なりとして、もう一、二度改正してもらいたいと思いますが、この機会に政府の御要求もしくはお気持を承つておけば幸いであると思います。
  34. 吉田信邦

    吉田(信)政府委員 公認会計士の問題については、まつたくわが国としては新しい制度でございまして、こういつた制度になれておりませんので、あるいは他国の模倣をするというようなことによつて出発いたした点が多々あるかと思います。そういつた意味におきまして、実情に照してみると、いろいろ不便が起り、また疑問が起るということで、すでに八回の改正をいたしましたことは、それに関係いたします私どもとして、見識の足らなかつたことについて非常に恥じておる次第であります。しかしながら今回かなり大幅な改正をいたしまして、大体の大きな見通しは立つに至つたのではなかろうかと考えております。しかし今後におきましても、まだ改正の余地はあるかとも存じます。前よりもむしろもつと広い範囲において、公認会計士仕事が現実に経済界にお役立ちできるようにという点については、われわれとしてできるだけの努力をいたして参りたいと存じます。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 今吉田政府委員の御答弁によつて大体了承いたしましたが、私はさらにもう一つつつ込んだことを申し上げて恐縮でありますが、この試験に関する問題、たとえて申しますと、特別試験というような問題については、かつて二十年も三十年も計理士としてわが国に盡瘁いたしておつた者が、この試験を受けなければならぬ。こういうものについては相当しんしやくをして、あるいは経験年数とか、あるいは人格とか、過去の経歴とかいうものを尊重しなければならぬと思いますが、こういうような事柄を、こういうような法律の中に織り込んでいたすことも一つの方法であると思いますが、政府としてはどういうように考えておりますか。
  36. 吉田信邦

    吉田(信)政府委員 現在この試験の内容について、一部は法律で書かれてございますし、またかなり多くのものが政令等に委任されております現在といたしましては、この管理委員会規則にまかされております分は、試験の技術的な面というところに限られておるわけでございますが、また御要望がいろいろでございますれば、できるだけ実情に沿うように、試験内容等も検討いたしたいと思つております。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 今吉田政府委員の御説明によりまして了承いたしました。どうか民論に沿うように、国民大衆諸君の希望する線に政府はなるべく持つて行くように、こういうところが大雅量をもつて今後の法案の作成、もしくは法律案の出ましたときには十分に説明していただきたいと思います。  次に今度は高橋さんの方にお尋ねいたしたいと思いますが、私の構想としては、各国税局協議団というものができて参りまして、われわれの審査請求いたしましたものに対しまして、これをなさるわけでありますが、むしろ国税局一本では少し少な過ぎる。私のそろばんによりますと、大体各税務署を視察いたしまして、審査の請求がありました九〇%、たとえば五千件ありますと四千件、もしくは四千五百件以内は、各税務署において解決しているのであります。地方国税局にまわり、最後に国税庁にまわつて来るものは、わずか一%か二%しかない。こういうふうに考えておるのであります。私は、税務署ごとに苦情処理を解決するために、協議団に類するようなものを設けてもらつた方が便利であると考えておりますが、長官は一体どうお考えでありますか。
  38. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 今回の所得税法その他の税法改正によりまして、国税の決定について不満のおありの方は、税務署長に対して再調査の請求をするということに法律では相なつております。しかして税務署長の決定に対してさらに異議のおありの方は、国税庁に対して審査の請求をする。その審査の請求をなさる場合において、協議団の議を経るという建前になつておるのであります。従つてその協議団仕事は、国税局に所属するという観点からいたしまして、国税局の担当といたしておるのであります。しかしながらただいま三宅さんの御指摘の通り、事件の数は相当多数にありますし、また納税者の便宜等から考えましても、各地においてこの種の仕事をすることが妥当であろうと考えておるのであります。従つて国税局に設置いたしましたところの協議機関を随時各地に駐在せしめるなり、派遣せしめるなりいたしまして、機動的にそれぞれその土地におけるところの必要に応じて、この協議機関を最も能率的に活用して行きたい、こう考えておる次第であります。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 この事柄地方納税者としてはたいへんに重大な問題です。今の長官の御構想によりますと、協議団地方国税局に置く。しかしこれを機動してまわす。こういうわけでありますが、大体において各税務署ごとにほしいというのが私の主たる議論であります。これができないといたしますならば、府県に一つ、たとえば群馬県に一つ、埼玉県に一つ、こういうふうな所に支庁を置いて、そうした審査の請求があつた場合等においては、いつでも行つてやれる。こういう制度を設けたいと思いますが、今のところは地方の局だけでしようか、それとも各府県に一つくらい分店をお設けになる御意思がありましようか、承りたい。
  40. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 制度としては局に対する協議機関でありますが、しかしながら各税務署におけるところの審査の請求の件数等を調査いたしまして、必要に応じて各府県ごと、または各県に数箇所になる場合もあるかと存じますが、必要な土地に派遣をして、そこにおいて協議団仕事をする。そういうふうにいたしたいと考えます。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 これはわが党の意見と申しますか、私の意見に類するかもしれませんが、ひとつ御参考に申し上げますから、国税庁長官も聞いていただきたい。審査の請求を受けました事柄は、おそらく今の段階といたしますと、再調査ということによつて税務署長に対する再調査が行われるわけであります。それに異議のあつたものに対して国税局審査請求をする。こういう線でありますが、私はむしろ再調査のときに必要である、こういう観点です。国税庁長官は長く官吏をしておられましたから、官吏の威嚴は徹底するというふうにお考えになつていらつしやるかもしれませんが、実際末端に参りますと、ここで言うてははなはだ失礼ではありますが、民間から見ますと、非常に不平がある。なぜかと申しますと、今までの経験をここで申して恐縮でありますが、私の見るところによると、異議申請いたしましても、お前のところは帳面もないだろう、それじやわからぬから取下げろ、こういうことで簡單に片づけて行く。上の方から見ますと、法律はつくつてあるから、意見のあつた場合にはいつでも税務署長へ、さらに国税庁に対して審査の請求ができることになつておりますが、なかなかやれぬ。もしそういうふうなことをやつた場合には、来年はひどいことをするぞ、こういう暗示を與えられますために、善良な無辜の農民は、これにおびえて、審査の請求も取下げるというのが、過去の例である。私は民主納税になりましたから、審査請求、再調査を濫発しろとは申しません。しかしほんとうにかわいそうな者に対しては、そうした権力の濫用でなく、むしろ温情的に政府の方で進んで再調査をなし、審査の請求をやらせるようにしたらよろしいと思いますが、これに対して国税庁長官の心理を聞きたいと思います。
  42. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまの御質問は、税法自体に対するところの御質問だと思いますが、この問題については、実は先般来委員会においても、相当論議されましたし、三宅さんも委員として協賛をせられまして、すでに成立した問題であります。従つてこれに対する私個人の批判は差控えたいと思います。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは個人意見は聞きません。さらに私が申し上げたいと思いますのは、この設置法に対しまして国税局協議団ができるわけでありますが、私は協議団の補助員と申しますか、あるいはこれに協力すると申しますか、そういうものを相当数各国税局税務署等に配置し、もしくは顧問として採用する必要があると思いますが、政府としてはそれは何とお考えになつておりますか、承りたい。
  44. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 協議団の職員が実際に審査の請求になりました事件を調査いたしましたり、またはいろいろ協議団としての議をまとめます際においては、必要な場合には、もちろんいろいろな方から御意見も承り、また直接調査をする必要のあることが相当あるかと思いますが、常時的に顧問を置いたり、または補助者を置くということは、ただいまのところ考えておらないのであります。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はつつ込みまして、はなはだ恐縮でありますが、協議団というものは人数が少いと思つております。少い者がたくさんの事件を解決することには、はなはだ困難を感ずる次第であると思いますが、今の政府当局としては、割合に少い事件しか参らぬから、協議団は少くてもよろしい、そういう御観点でありましようか、その点を承りたい。
  46. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 審査請求になりました事件を早急に処理するということは、これは非常に必要なことであると考えますが、何分にも総体の職員の数がきわめて限られております関係もございますし、また今年がこの制度の第一年目でありまして、どの程度能率を上げて、どの程度早急になし得るかということについて、必ずしも確実な見通しもございませんので、さしあたりの状態としては、この程度で大体円滑に処理し得るのじやないかと考えております。なお協議団の構成員となります者については、民間から相当数試験をもつて採用する考えでおるのでありますが、何分にも税法自体が非常にむずかしいので、この問題について十分に習熟をして、ほんとうに適正な決定をして行くためには、一時に多数の人を入れましても、必ずしもその仕事は円滑に行かないのではないかという点も懸念しておりまして、第一年目としてはこの程度が適当であろうと考えておる次第であります。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は国民にかわつてひとつ申し上げたい点があるのです。今も国民にかわつて申し上げているわけでありますが、さらにつつ込んで申し上げたい。審査の請求あるいは異議の申請があつた場合に、協議団が関與するというのはけつこうでありますが、私の構想では、同じ国税局の局員がきめるということはどうも行過ぎである。第三者もしくは別個の資格を有するところの者がこれに関與いたしましてきめるということが穏当であろうと思うのでありまして、たびたび大臣初め政府委員の方に御質問いたしたわけであります。それでは今国会を通過いたしましたこの法律によりまして、どの人間をどのくらいどういうふうに配置するという構想を持つておられますか。もしお持ちでありましたならば、こういう人間を東京の国税局に置くとか、あるいは大阪に置くとかいうことがおわかりでありましようか。おわかりであつたら参考に伺いたいのであります。
  48. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 協議団の職員には、大体今年度は八百名程度を予定しております。これは專任者であります。従つてこれに対してさらに兼務者を相当に加えます。兼務者の数につきましては、実際に審査の請求の数等を勘案いたしまして将来決定したいと思いますが、相当数の兼務者をこれに加えまして、処理の迅速をはかりたいと考えるのであります。しかして平年度において大体一千五百名程度をこれに充てたいと考えております。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは今度ちよつと方向をかえまして、資産再評価に対しましての調査会が全国の各国税局にできるわけでありますが、これに対しましてどういうような人間を採用しようという御意思があるか。なければないでよろしいが、あればそれを承りたい。
  50. 吉田信邦

    吉田(信)政府委員 資産再評価に関しましては、大蔵大臣の諮問機関といたしまして、資産再評価審議会ができます。これは資産再評価法に規定されました事項のうち、重要な問題で委員会にかけてきめる問題が幾つかございます。いわばそういう基本方針だけきめる委員会が当初できます。それから国税庁長官の諮問機関といたしまして、全国資産再評価調査会というのができますと同時に、国税局長の諮問機関といたしまして、地方資産再評価調査会ができまして、全部で三つの委員会ができることになつております。この国税庁長官国税局長の諮問機関としてできる調査会は、国税局または税務署におきまして、資産再価税に関する更正決定が行われた場合に、異議申立がありましたものについての審査の処理をいたす機関でございます。その国税庁長官または国税局長が審査の処理をなさるにあたりまして、これの諮問機関として設置されるものでございます。これらの委員会につきましては、中央の大臣の諮問委員会国税庁長官の諮問委員会は、それぞれ四十名をもつて構成することになつておりますが、地方の分は三十名であります。そこでこれらの委員会の構成は、まず産業関係の代表者、それから実識経験者、関係官庁の者ということになつております。そうしてその際産業関係の代表者は半分以下でなければならないということが、資産再評価法にそれぞれ規定されておる次第でございます。従いまして、大体中央におきましては四十名のうち十八、九名程度は各産業関係の代表者、あるいは経済団体等の代表者からなることになりますが、あとの二十名あまりは関係各庁の次官、または学識経験者というものをもつて組織することにいたしております。これと国税庁長官に付せられます委員会も大体構成は同じであると思います。地方につきましても、同じように産業関係の代表者は半数以下でありますが、さらに府県庁あるいは地方商工局とか、そういう各官庁の関係者、及び学識経験者をもつて充てる予定になつております。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員 幸いに国税庁長官並びに理財局吉田さんがおいでになりますから、私はお二人にあわせて質問いたしたいと思います。今実は各税務署に協力会というのがあるそうです。これは官選であると聞いておりますが、実際それを利用しておる程度はどのくらいでありましようか。昔は所得税調査員というものが各税務署ごとにあつたのでありますが、これに類するようなものをやつてもらつた方が、かえつて民権を尊重するのに私は十分であると思いますが、今度の法律にはそれがない。しかし運用の上におきましては、各国税局税務署においては、これらの所得の決定もしくは資産の再評価には、相当の有力な顧問を置いて——顧問でなくてもよいが、それに諮問することができる、こういうふうに了解しておりますが、諮問することができるのであるから、諮問しなくてもよいのだが、諮問するつもりなのか。諮問しないつもりなのか。承りたい。
  52. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまお尋ねの協力会と申しますのは、これは正規の機関ではございません。むしろ納税者の方々が自主的におつくりになつておるところの一つの団体で、その団体に対して諮問をするということも、実はおそらく多くはいたしていないと存ずるのであります。もつぱら自主的に税務署仕事をお助けくださるという趣旨をもつておつくりになつた団体だと了解しております。しかして所得税調査委員会のような制度の問題につきましては、先般の所得税法等の改正の際においてお答えいたしましたように、税の決定につきましては、どこまでも具体的に各納税者の所得額を確実に適正に把握するというところに公平が期せられるのでありまして、政治的な妥協によつて決定すべきものではないという理論からいたしまして、シヤウプ勧告にもありました通り、今回の所得税法においては、これを採用していない次第であります。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は国税庁長官にこのことを伺おうと今まで思つてつたのでありますが、きようお聞きします。その事柄は、あなたは協力会というものは利用していないとおつしやつておりますが、実は私は東京国税局の何々に関する協力会の委員を嘱託されております。そういうわけで官憲と結託して権利の濫用と申しますか、そういうようなことをやつている人があるように聞いておるのですが、そういう者があつた場合には取締るという意思を持つておるか。それともこれらの者を使おうという意思であるか。承りたい。
  54. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 協力会は先ほどお話しいたしました通り、これはもつぱら自主的な機関でございますので、その人の御意見が非常に妥当であればもちろん十分尊重いたします。また実際上税の調査の上にりつぱな資料になることも相当あろうかと存ずるのでありますが、そういうような機関を積極的に利用するとか、またはそういうような制度をつくり上げて行こうというような考えは毛頭持つておりません。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 もうちよつとつつ込んで御答弁願いたいと考えます。今日は各税務署ごとに法人会というものができている。日本橋のごときは二十五も三十もできている。これは各地に一町内あるいは二町内が一緒になつてできておるとか、できることを奨励しているとか聞いている。これも一つの協力会であると思います。さらに紙なら紙、文房具なら文房具、化粧品なら化粧品、各業種に対して協力会協力員を嘱託するといつております。辞令はもらつたかもらわないか知りませんが、名刺にはそう書いてある。何々国税局に対する協力員と名前を書いてありまして、ややもすると民間人は官吏であるというふうに誤認するおそれがある。こういうものはもしいけないというならば、ひとつ削つてもらいたい。さもなければ、何か官吏でないような方法を講じてもらいたいと思いますが、これに対する御用意がありますか、承りたい。
  56. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまの法人会のお話は私も承つておりますが、これももつぱら法人の方々が最近の税法が非常にむずかしいものでありますから、ぜひ一つの団体をつくつていろいろ税務署から説明を聞いたり、またはそれぞれの手続について相互に協力しお合うという趣旨をもつておつくりになつたように伺つております。従いましてそういうふうな会ができまして、ぜひ来て説明をしてくれということであれば、これは非常にけつこうな機会でございますので税務署としてはできるだけ参上いたしまして、十分に税法の趣旨を御説明申し上げることにいたしたいと考えております。また協力員とか協力会というようなものは、制度としては全然存在していないのでございます。従いましてまた今後これをつくるという意思もございません。積極的に税務署なり税の問題について御協力くださることは非常にありがたいのでありますが、今後そういうふうな制度をつくり上げるという考えは持つておりませんことをこの際申し上げておきます。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 政府としてはそういう御答弁かもしれませんが、私はこういうことをひとつ御参考に申しますから、あなたの御私見でもいいから承りたい。ここで言うとはなはだ恐縮でありますが、今までは封建主義でありまして、どちらかというと官尊民卑のはなはだしいものがあつた国会は最高の権威になりましてややかわつて来たのでありますが、地方に参りますと、相当官尊民卑の弊は多いのです。こういう場合になりまして、私はこれは枝葉に属することかもしれませんが、何何国税局の協力員というふうにいたしますと非常に迷惑いたしますから、もし機会があつたならば、国税庁長官から各税務署長なりあるいは末端に対しまして、そういうものはなるべく使わぬような御指示を賜わつたらいいかと思いますが、一般の納税者国税庁の言うことなら無理無体に聞かなければならぬというふうに誤認するおそれがある。あなたの方ではないかもしれませんが一般にはある。それと関連いたしましてそういうふうな手続をとつていただけましようか。もし御答弁を賜われば仕合せだと思います。
  58. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 実は協力員につきまして、そういうふうな事柄があるという事実についてあまり私承知いたしておりません。従つて全国的にそういうふうに指令を出すとか、または宣伝をするとかいう必要があるかどうかという点についても、必ずしも十分に私の意見をまとめる段階に至つていない次第でございますが、なお具体的な事例、または特にはなはだしい地方等がございましたならば、それらの点について御注意を申し上げるということにいたしたいと考えます。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではさらにお伺いいたしたいわけでありまするが、国税庁の監察官というのがありまして、これは各国税局をまわつておられるものと思いますが、なお末端にも行つておられましようか、その辺の状況をちよつと承りたい。
  60. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 監察官は昨年の六月国税庁設置の際に、新しく設けられた制度でございまして、国税庁長官に直属いたしまして、定員は六十名と相なつております。仕事はもつぱら税務官吏の身分上の監督を所管しておる次第でございます。従つて全国各国税局、各税務署を巡回いたしまして、それぞれその本来の仕事でありますところの身分上の監督をやつて参つておる次第でございます。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員 この監察官というものは、もちろん税務署職員を監督なさることでありましよう。税務署がなまけておるわけでありませんでしようが、事務の進行しなかつた場合であるとか、あるいは非常に異議の申請の多かつた場合であるとか、あるいは事件を起したというような場合におきましては、相当機動的にまわつていただきたいと思います。たとえば私はかつて群馬県地方——前橋、桐生、高崎三税務署をまわつたことがありまするが、各税務署も先ほど私が申しました通り機業地でありまして、昭和二十四年の一月一日現在と、昭和二十四年の年末、すなわち十二月三十一日現在とは、相当数量の品物が値下りであります。こういうために問題が起りましたり、また一部分速記録——調査書も最近に完成いたしまするが、私はもちろんその速記録のことを申し上げるわけでありません。こういうように各税務署ごとにおいて、相当もんちやくの起つたこと、それからむしろ旗を立てたとか、あるいは税務署長がつるし上げにあつたというようなことが、間々あるわけでありまするが、そういうようなときに、もちろん国税庁も監察官と申しますか、あるいは調査官といいますか、こういうものをときどき派遣してもらつて、ことに官吏のみの一方的弁護にならぬように、民間人の意見もよく尊重していただいて、なるべく円満に解決をするように努力してもらいたいと思いますが、その方に監察官をお使いになる用意はありますか、承りたい。
  62. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御指摘のような場合におきましては、同時に昨年の六月に設置いたしました監督官という制度をつくつておりまするので、税務署仕事のやり方が適当であるかどうかという面につきましては、監督官がもつぱら監督いたしておるわけであります。しかしてただいま御指摘のような場合におきましては、本庁といたしましては必ず監督官を派遣いたしまして、それらの事実を各方面にわたつて調査をし、その税務署仕事のやり方がはたして妥当であるかどうであるかという面について十分な検討を加え、さらにその仕事のやり方等について指導をして参るのが、監督官の本来の仕事と相なつておる次第であります。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 今度はちよつと方向をかえますが、国の予算、決算及び会計の制度に関する重要な事項を調査審議せしむるため云々というふうにいつて、財政制度審議会というものがあるようでありまするが、これはどういう人を任命するかという点も、ここには多少書いてあるわけでありますが、政府のお心持を承りたい。
  64. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。この制度の目的といたしますところは、いろいろ国庫の財政制度に関しまして、たとえば国庫金の制度でございますとか、あるいは企業体の経理の方法でございますとか、そういうようないろいろな相当大きな問題が今後に残されておるのでございます。そこで将来なるべく早い機会にこういつた制度につきまして研究を加えまして逐次制度化いたしまして、場合によりましては、法令をなお大帳に改正するというようなことも起つて来ようかと思うのでございます。ただそういつた相当重要な事項でございますので、政府部内で研究いたしますことはもちろんでございますが、相当民間あるいは学界等の経験者の御意見を伺つたらどうかということを考えまして、そういうものを設けたい、かように考えておる次第でございます。そこで具体的にどなたということもどうかと思いますが、大体私どもとして入つていただこうかというふうに考えて予定しております方方は、まず簿記、会計といつた方面の学識経験者、それから実際民間の企業の経理につきまして相当の御経験のある方々、それから官庁部内におきましては、関係のあります会計検査院、法務府、そういつたところを予定しております。
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員 私がここで申し上げるまでもなく、国の予算、決算というものは、御承知通り大問題です。ややもいたしますと、これに対しましていろいろな問題が起つおるわけでありまして、この場合発表してどうかと思いますが、実は新聞に出ておりますから申し上げておきますが、今日公団等におきましては、若い団員と申しますか職員が、数千万円も濫費をいたしておるということを聞いておるわけです。それは一つの例であると思いますが、そのようなことに対しましては、私ども国会議員としても、はなはだ許すべからざることであると考えております。もとよりこれらは一つの証拠の一部分でありまして、国の予算、決算というような大問題につきましては、もつと早くこういうような制度を設けなければならぬということを信じておるわけであります。かつては内閣に会計制度調査会というようなものがあつたそうでありますが、そういうようなものとは違いまして、今度は法文的に大蔵省設置法の中にこういうものを設けて、大いに民間の意見も聞き、また官庁の長所もとり、お互いに企業会計と同様にはつきりするように仕組みを直したいというお心持でありましようか。その辺を承りたい。
  66. 村上一

    ○村上説明員 ただいま御指摘のありました通りの気持で、このような委員会を設けるつもりでございます。
  67. 三宅則義

    三宅(則)委員 この際私の意見をちよつと御参考までに申し上げておきますが、ややもすると学者は学に流れやすいというために、実際に応用するためには、はなはだ迂遠な者もありますから、企業会計を考慮せられます上において、学者の意見を聞くのもけつこうです。また国会議員もけつこうですが、どうか企業会計に精通した者を入れていただきたい。いつも官選によつて官吏の言うことをうのみにするような議員や委員では何にもならぬ。かように思いますから、勇猛果敢に意見を発表し、もしくは短所、長所を発見し得る者、あるいは国会議員等もこれに加えていただく。いわゆる業者、あるいは官吏、もしくは国会議員というようなものをここに入れまして、真にその運用の妙をきわめていただきたい。ことに会計の面につきましては、今までの国家財政等については、はなはだ失礼ではありますが、私どもに納得の行かない制度であると考えております。もう少し了解しやすいように組み立てる必要がある。かようにかねてから念願しておりますので、この際政府委員の力強い御答弁を賜わりたい、かように考えます。
  68. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。ひとり学者方面等の意見のみでなく、十分実際の実務上の経験のある意見を参酌したらどうか。かような御意見に対しましては、私どもつたくそのように考えております。具体的に民間の会社に十数年あるいは二十年といつたような御経験をお持ちの方々の御意見をぜひ拜聽したい、かように考えております。なお国会議員というようなお話も出たのであります。私どもとしても十分御意見は拜聽したいと存じますが、ただこの委員会委員というようなかつこうでお願いいたしますかどうか、その辺はいろいろ法令上の制約等もございますかと思いますので、十分研究いたしたい。かように考えております。
  69. 三宅則義

    三宅(則)委員 この設置法におきますると、いろいろ中に所得税法の一部改正の方も入つておるようでありまするが、これについて、簡單でよろしゆうございますから、政府の御説明を願いたい。同時に臨時宅地賃貸価格修正法、こういうものもたくさんここに入つておるのでありますが、これに対して御説明賜わりたい。
  70. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。ただいま御指摘のありました点は、今回の改正におきまして提案理由の際にも申し上げたかと存じますが、各種の審議会につきまして、できるだけ内閣の方針に従いまして不要不急と認められるものは整理いたした次第でございます。そこでただいま御指摘のございました一例を拜借いたしますと、宅地賃貸価格調査会と申しますものは、従来税務署付属機関として置かれておつたわけでございます。しかしこれも今申し上げましたような趣旨に従いましてこの際整理いたしたい、かように存じます結果、この設置法には御承知のように各付属機関を一表にして掲げる慣例になつております。そこでその一表の中から今回の改正で削るわけでございますが、ただ宅地賃貸価格調査会というものを、従来一つの法令で設置を規定している法律がございましたために、その規定もその会を廃止するという部分だけを今回の設置法と同時に改正いたしたい。かような趣旨で、今回の改正法の終り方をごらんいただきますと、そういつた関係審議会の廃止に伴いますための法令の改正が、数箇所出ておる次第であります。
  71. 三宅則義

    三宅(則)委員 酒類配給公団を初めといたしまして、廃止になつたものがあるということでありますが、政府といたしましては、公団というものはやめたいという意向でおるそうですが、なお多少残るかと思います。将来は全廃したいということは私ども希望するところでありますが、政府委員に承りたいのは、いついかなる方法でもつてやめたいということを今考えておられますか。何も考えておられませんか。承りたいと思います。
  72. 村上一

    ○村上説明員 私、今個々の公団につきましていつまでという期限を申し上げられませんで、はなはだ恐縮でございますが、先般国会で御審議いただきましてすでに成立いたしました昭和二十五年度予算の中におきましても、ただいま御発言のございましたような趣旨に従いまして、各種の公団につきましてその業務内容、またその経済界その他に対する影響をつぶさに検討いたしまして、ある公団についてはたとえば本年の十二月分まで、あるいはある公団につきましては半箇年分の九月までというふうな人件費、事務費しか計上していないものが相当あると思います。従いましてそういつた公団につきましては、すでに予算上はつきりした措置をとりまして、ある九月なら九月、十二月なら十二月一ぱいで廃止するという措置がはつきりしておるわけでございます。ただ廃止すると申しましても多少の残務整理期間を要しますので、たとえば九月で従来の業務を停止いたしまして、以後清算段階に入りまして、二、三箇月を要して現実になくなるというような結果になると思いますが、ただいま各種の個々の公団につきまして、何公団は何月何日というふうに御答弁申し上げられませんが、これはいずれ別途資料といたしましてお手元に差上げたいと思います。
  73. 三宅則義

    三宅(則)委員 大分長くやりましたから、もう二、三点でやめますが、この際ひとつ政府にお願いいたしたいと思います。この設置法の一部を改正する法律案でございますが、特に私は第五国会並びに第六国会等におきまして、公認会計士委員会というものを当然理財局経済課内に置くのはいかぬというわけで、外局に置け、たとえば証券取引委員会のようにしろということを言つおつたのですが、たまたま当時の国会審議中におきまして、これが間に合わなかつたために、前の国会では大蔵省設置法ができたわけでございましたが、今度あらためてこの法案の提出によりまして、公認会計士委員会が別にできたことはけつこうであります。この二十四條に今度は公認会計士管理委員会が入るわけですが、証券取引委員会は前から大蔵省外局としてずつと発展したわけで、今後も相当活用をしなければならないと思つておりますが、この証券取引委員会と関連いたしまして、この会計士管理委員会等についても、相当大蔵大臣監督の責任があると思いますが、実際上はだれが監督しておるか。こういう点をもう一ぺん承りたいと思います。
  74. 村上一

    ○村上説明員 ちよつと御答弁申し上げる前にお尋ねして恐縮でございますが、監督はだれかとおつしやいますのは、つまり大蔵大臣監督の包括的な責任はあるわけでございますが、具体的には何局長にあるかという点でございましようか。
  75. 三宅則義

    三宅(則)委員 そうです。具体的に何局長がやるか……
  76. 村上一

    ○村上説明員 従来は御指摘のように、理財局の一課であります経済課で担当しておつたわけでございます。その前を申し上げますと、昨年の六月まではちようど今度の改正で独立の委員会をつくると予定いたしておりますようなかつこうに、現実になつてつたようなわけであります。これは昨年の六月の機構の縮小改正に関しまして、諸般の関係もございまして、実は外局をわざわざ廃止いたしまして、現在のかつこうのような理財局の中の一課に押し込めたわけでございます。いろいろいきさつはございましたが、今日から考えてみますと、三宅先生の御指摘なさいましたような結果にまた改正をいたそう、かようなことを今回考えておるようなわけでございまして、当時からの先生の御識見にあらためて敬意を表するわけであります。そこで現在は理財局の中の一課でございますから、もちろん最終の監督責任は大蔵大臣にあるのでございますが、具体的には理財局長監督の衝に当つておるわけでございます。それから今後外局ということになりますと、これは多少の法令上も実際上の運営も、ある程度独立の運営が従来よりはかわつて来ると思うのであります。従いまして今度新設されます委員会監督の衝に当るわけでございます。ただその上の監督の責任者と申しますのは大蔵大臣でございますから、その大蔵大臣監督を補佐する立場の内部部局といたしましては、官房がその責任に当ることに相なる、かように考えます。
  77. 三宅則義

    三宅(則)委員 しつこく質問して恐縮ですが、証劵取引委員会の方もこういうふうに官房でやる、こういうことでございましようか、どうですか、お聞きします。  ついでにもう一つお聞きいたしますが、私どもはこういうふうにして大蔵省設置法改正されたということはいいことだと思つて賛成するのでありますが、これを外局といたしますと、こういうことを恐れる。それは外局だからといつて直接監督がないのだというように濫用されては困るのでありまして、やはり大蔵大臣は万般にこれを監督するわけでございますが、補佐する人も決して強圧的な補佐でなくてもよろしゆうございますが、ある程度まで穏健にして妥当なる意見の伸張するように補佐してもらいたい。同時に外局の人がおれは外局だから監督がないのだというふうに、あまりいばり散らしても困りますが、その辺のいきさつを承りたいと思います。
  78. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。今度できます新委員会に対しまする監督の状況は、御指摘になりましたような現在の証劵取引委員会関係と法令上も実際の運営上もほぼ同様に相なると存じます。そこでたとえば証劵の例をとりますと、証劵の事柄自体は、たとえば一般の金融にももちろん密接に関係いたします。また財政にも関係いたします。従いまして事務の実質といたしまして、たとえば理財局関係あるいは銀行局の関係といつたようなものが、相当大部分を占めますので、証劵取引委員会の運営の事務の内容につきましては、両局が密接に関係するわけでございます。しかしながら外局たる証劵取引委員会に対する大蔵大臣監督という問題につきましての大臣の直接補佐の責任は、やはり官房長にあると存じます。従いまして公認会計士管理委員会、これは証劵とは所掌いたします事柄は違いますけれども、その間の監督関係はほぼ同様になるものと、かように考える次第でございます。
  79. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう二、三点で終ります。公認会計士管理委員会のことで伺いますが、試験委員に対して第一部は六人以内、第二部は十四人以内、第三部は六人以内、第四部は十二人以内、こういうふうになつております。私はたびたび同じようなことを申して恐縮でありますが、どうか実際面に活用いたしますには、学問はもちろんけつこうでございますが、実際に運用することができるような委員を人選してもらいたいと思います。これに対しましてもちろん人の氏名を言うわけでございませんが、どういうような気持でこれらの委員を選定されておりますか、この際参考に承りたいと思います。
  80. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。御承知のように一次、二次、三次、四次、それぞれ試験の種類によりまして、試験科目また試験の目的等がおのずから異つております。そこでたとえば数学の試験でございますとか、あるいはそういつたようなやや学科そのものに近いような試験の試験委員といたしましては、おのずからそれぞれ学者を選ぶ場合が多かろうと思います。しかし最初申し上げましたような試験の目的に従いまして、必ずしも学者というふうに限定的には考えません。なるべく試験の目的を達するように、最も適当な試験委員をお願いしたい。もつと広げて申しますと、公認会計士制度そのものの運用というものに最も適切な試験委員をお願いしたい。かように考えておる次第でございます。
  81. 三宅則義

    三宅(則)委員 試験委員は試験問題の作成及び採点について部長を助ける——部長を助けることはもちろんでありましようが、試験委員自体が共同責任じやないかと思うのですが、これはどういうふうになつておるのでしようか、承りたい。
  82. 村上一

    ○村上説明員 ただいま御質問の御趣旨の通りでございまして、常任の方と、それからまた試験のそれぞれの場合によりまして、臨時という名前はつけておりませんが、多少臨時的な試験委員と、両方をお願いする予定でいるのでございます。
  83. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは、あまり長くなりますから、この辺で総括的な質問をして終りたいと思いますが、私はこの大蔵省設置法案に対しましての政府の御答弁を承りますと、非常に御苦労なさつた跡がわかるのでありまして、私どももこれに反対するものではありません。ただこの運用をいたしましては、いつも私が言うことでありますが、法律をつくるときには非常にいんぎん丁重であらせられるのでありますが、さて実行面になりますと、それと反対の場合が多い。これは政府の、あるいは官吏の一番の欠点であると思います。はなはだ勇猛果敢に申しまして恐縮でありますが、すべて法律ができました後においては、運用面については、どうか立法の精神を運用面に現わすようにしてもらいたいと思いますから、政府委員高橋さんから、ひとつ力ある御答弁を願いたいと思います。
  84. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税に関しましては、どこまでも税法通り適正公平に実行することは、これはわれわれの使命でございます。従いまして税法審議の際においていろいろ論議せられました結論については、どこまでもこれを尊重いたしまして、でき得る限りこれの適切な運用をして行きたい、かように考えております。
  85. 三宅則義

    三宅(則)委員 今、高橋政府委員の御答弁に、わが意を得たものであると思いますから、どうかそういうことを各末端の方まで滲透するように、あるいは国税庁の通牒なり、国税庁長官の手紙なり文書なりによつてお示しを願いたいと思います。  次に、これは理財局関係だろうと思いますが、資産の再評価という問題は本年の課題の一つだろうと思つております。こういう問題については、なるべくやかましい事件の起らないようにして、中央も地方も穏健にして妥当な課税ができるようにいたしたいと思いますから、政府といたしましてはこれらの人選もしくは法律の適用等については、十分愼重にやつてもらいたい。地方のボスのみにかきまわされることがないように、民論を尊重してやつてもらいたいと思いますが、これに対しまして政府委員の方から御意見を承りたいと思います。
  86. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。資産の再評価がきわめて重要なる今後の課題でありますことは御指摘の通りと存じます。従いまして、さきに御審議を願つておりますところの当該の法律運用につきまして十分愼重を期しますことはもちろんでございます。そういつたような一つの手段といたしまして、今回この設置法関係におきましても、中央、地方に資産再評価に関しまする審議会を特に設けまして、一般の審議会につきましては、なるべく数を減らせというような御趣旨に従いまして、現実に大蔵省関係でも約三分の一に上ると思いますが、審議会を廃止しております。そういつた全体の情勢にもかかわりませず、特にこの資産再評価につきましては、今回審議会を新設をしていただこう、そうして先ほど来お話が出ましたような各界、特に民間の方々の意見を十分運営の上においてしんしやくして参りたい、かような趣旨でこの審議会を設けたいと存じている次第でございます。御指摘のように、資産再評価問題の全体の運用につきましては、極力愼重を期して参りたいと存じております。
  87. 三宅則義

    三宅(則)委員 最後に申し上げます。たいへん長い間質問いたしまして、政府当局の熱心なる御答弁があつたわけでありますが、私はこの公認会計士法の健全なる発達を期したいと思いまして、特に証劵取引委員会の発達とともに、わが国経済再建のために、ぜひこうした制度が活発に利用せられるようにいたしたいのみならず、今国会におきまして、公認会計士でない者も監査証明ができるということになつたのでありまして、これは政府英断であると思います。従つて今後の活用についてもこの精神を尊重せられて、日本経済再建のために、勇猛果敢に進歩発表を遂げるよう、御指導なり御鞭撻を願いたいということを申し上げまして私の質問を打切ります。
  88. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に田島ひで君。
  89. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 国税庁関係につきまして二、三お尋ねしたいと思います。大分與党の委員から御質問がありましたし、関連いたしますので、簡單にいたしますが、国税庁に監察官を設けるにつきまして、こういう制度の改革をなさいますにつきましては、おそらくいろいろな犯罪が相当あつたことと思うのであります。その犯罪の内容とか件数、またそういう犯罪についてどのような処置をされたかについての御説明を最初にお伺いしたいと思います。
  90. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税務官吏に非行、その他税務官吏として適当でないと認められる人が相当出ましたことは、私ども監督をする者といたしまして、まことに恐縮にたえないところでございます。二十四年の四月から二十五年の二月までにおきまして、非行があつたと認めまして調査をし、それぞれ処分をいたした件数の総計は千三百四十四件に上つております。そうしてそのうち一番多いところの件数は、やはり收賄、横領等の事件でございます。これが約八〇%余に上つております。御承知通り税務官吏は終戰後非常に待遇もよくなかつた時代に急激に増員をいたしましたために、その素質が必ずしもよくなかつたのでございます。ことにその年齢等は非常に若い者が多く、従つてまた経験においても少いというふうな関係もございますし、かたがたインフレの進行状態にありました関係もございまして、納税者側からの誘惑も非常に多いというふうな関係からいたしまして、この非行に該当した者のほとんど大部分は弱年の、経験の少い者であつたようでございます。これらの者につきましては、いずれもその非行の程度に応じて、ある者は起訴し、ある者は懲戒免官をし、またはその他の処分をいたしておる次第であります。
  91. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ここには出ておりませんが、たしかこの法案の中には調査査察部というのがあつたと思います。この調査査察部と監察官とやはり両方をお置きになるのでしようが、その関係、その仕事の分担について——たいていきまつておりましようが、ちよつとそれを御説明願いたい、
  92. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 監察官は税務職員の身分上の監督をするのがその職務でございます。しこうして調査査察部の査察官は脱税事件の捜査をするのがその職務でございます。また同じく調査査察部におきますところの調査官は、一定金額以上の大納税者につきまして、直接調査をすることを職分といたすところのものであります。
  93. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 大体こういう制度をおつくりになりますのも、結局は現在の税金が非常に重過ぎるということ、そのほか下級職員の待遇が悪いということに原因がありまして、その根本原因が直されなければ解決はしないと思いますが、こんな制度だけで政府の方では大体解決できるとお思いになつておられるのであるかどうか、その点伺いたい。
  94. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 この制度のみをもつてすべての問題を解決し得るというふうには私どもも考えておりません。しかしながら先般御協賛を願いましたところの税法改正その他各般の制度の改正によりまして、漸次税務行政も理想的な形態に持つて行き得るものと考えておる次第でございます。
  95. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 おそらく小さなところはこれによつて摘発といいますか、監察官によつてあげられまして相当処分もされることと思いますが、大きいところがかえつてなかなか解決しないのではないか。たとえばこれは先ほどの調査査察部との関係もありますが、一例をあげますと、たしか中野の小久保産業だつたかと思いますが、一億円ぐらいの脱税があつた。まじめな職員がそのことを上官に申し上げますと、かえつて上官の方でそのまじめな職員を転職させてしまつたというようなことがたしか私は伝えられておるように聞いております。結局大きなところはこういう制度ぐらいのものではなかなか解決できないのではないか、そういう点の御所見はどうでございますか。
  96. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 繰返して申し上げますが、監察官は税務職員の監督をする、身分上の監督をする職員でございます。ただいま御指摘の点はおそらく国税査察官に関する問題であろうと考えますが、国税査察官の取上げております問題は、もちろん大小を問わないのではございますが、今まで査察いたしました経過はほとんど大納税者に限られておるのでございます。しかしてただいま御指摘の小久保産業等につきましても、査察官によつて十分捜査をいたしました結果、ああいう脱税を発見したのであります。決してこれに関連して転職するとか何とかいうことはございません。
  97. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 これは監察官の人事の問題とも関係いたしますがどういう人事をおとりになりますか、その点もお聞きしたいと思いますが、なかなか今日では、警察官もいろいろな問題で相当優遇されておりますときですから、その人事のいかんによつては監察する人自身が監察されなければならないという結果になりまして、今申し上げました例も、まじめな人が結局はなかなか職につきにくい。そしてこのような制度では小さいところはあげられるけれども大きいところはあげられない。こういう点で人事などの点も上の方の長官は責任を持ちましようけれども、下の方は責任を持たないというところに今日までの欠陷があると思います。人事などについてどういうお考えがおありになりますか、この点もちよつとお聞かせしていただきたいと思います。
  98. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 先ほど申し上げましたように、税務職員の質が現在非常に優秀であるとは申し上げかねるのでございます。従いまして税務職員の質をよくするという面につきましては、今回も非常な努力を続けて参つた次第でございます。昭和二十五年度におきましても約千人余の増員をお願いしておるのでございますが、これらの職員の採用につきましては、もつぱら年齢の高い者、そうして学識、経験等におきましても相当高度の人を採用することにより、また欠員の補充等の際におきましても、新しく採用する者の人選を最も愼重にいたしますということによつて、漸次税務職員の質を改善して行きたい。それによつて納税行政の円滑化を期して行きたいと考えておる次第でございます。
  99. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 その点はそのくらいにいたします。その次の国税庁協議団につきまして、これは先ほど三宅委員が相当御質問になりましたけれども、やはり徴税する上にこれをもつて十分審査仕事がはかどるとは思われません。今日異議の申請が非常に多い。大体六〇%ぐらい異議の申請があると聞いておりますが、署の調査能力は百分の三ぐらいだと聞いております。たしか新聞によりますと二十四年度の滯納だけでも所得税において四百億円ぐらいあると聞いているのでありますが、これらのものをこの協議団の制度だけで解決できましようかどうか。この協議団が滯納に対する相当大幅な権限を持つて処理するとか、あるいはこれを一応二十四年度までの滯納とか、その他のこまかい税金につきましてそれを処置するだけの権限を持つということにでもならなければ、なかなかやつて行けないのではないかと思いますが、そういう点はどのような権限を持つか、このような制度でもつてやはり徴税がうまくできるかどうか、その点をちよつとお伺いしたいと思います。
  100. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 先ほど三宅委員の御質問に対してお答えいたしました通り協議団の職員は滯納の整理に従事する人間ではありません。租税の賦課の決定につきまして異議のおありの方がまず最初に税務署に対して再調査の請求をなさいます。そうしますと税務署においてその調査いたしましてそれについての決定をいたします。しかしてその決定に対してさらに不服のおありの方は国税局長に対して審査の請求をなさる。その審査の請求を今度は国税局長が調査をして決定いたします際に、協議団の議を経るという建前に相なつておるのでございます。従いましていやしくも国税局長に審査の請求のありました事件は必ず協議団の議を経なければならないという建前に相なつておるのでございます。しかして協議団のメンバーは必ずその審査の請求をされた方の意見を聞く機会を與えられなければならないという建前に相なつております。また直接協議団の構成員が調査をすることもでき得る建前に相なつておりますから、従つて相当納税者の方々のいろいろな御不服の点もお聞きいたしまして、そうして円滑な解決をなし得る道が開けるかと存ずるのであります。
  101. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 この三十三條の四の3、これは先ほど三宅さんの御質問にもお答えになつておりますが、ここに政令というところがありますね。この政令の内容につきまして、おそらくもう少し構想をお持ちになつておられると思いますから、その構想のおわかになつている点だけを御説明いただきたいと思います。
  102. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 協議団はこの設置法にも書いてあります通り国税庁並びに国税局の附属機関といたしまして、別個の機関として組織をいたしておるのであります。しかしてその協議団の議を経るということをいたしますのに、たとえばどういうふうな制度をとるかというような事柄につきまして政令で定める趣旨でございますが、ただいまの構想といたしましては、大体協議団をもつて一つ協議団組織いたしまして、その三人のメンバーをもつて会議制にいたしまして、その会議の結果意見国税局長に提出する、そういう建前にいたす考えでおります。なお組織に関しましては先ほど三宅委員から詳しく御質問がありましたので、それによつて御了承願いたいと思います。
  103. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 次のページの方で地方資産再評価調査会、これも三宅さんがお聞きになりましたが、こういう制度ができまして、その前の古い地方宅地賃貸価格調査会というものがなくなるわけでございますが、その前の方の旧制度でもつてどんなお仕事をしておられたのか、たとえばそれに対する金とか人員とか、仕事の成果というようなものを、これは詳しくは伺い得ないかもしれませんが、大体のことでもお伺いしたいと思います。こういう制度が何をやつていたかということによつて新しい制度にも影響して来ると思います。いろいろな制度ができたくなつたりいたしますけれども、一体そういう制度がどれだけの成果をあげているかということは相当問題だと思いますので、その点なるだけ詳しく御説明いただきたいと思います。
  104. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 昭和二十四年度におきましては臨時宅地賃貸価格修正法という法律制定されまして、その法律に基きまして、各全国の宅地賃貸価格を修正いたした次第でございます。その修正いたしますのにつきまして、国税庁長官の諮問機関として基準地区調査会があり、また国税局長の諮問機関として地方宅地賃貸価格調査会があり、さらに税務署長の諮問機関としてこれに対応するところの機関を設置された次第でございます。しこうしてこの仕事昭和二十四年度をもつて全部完結いたしまして、今回もう存在をせしめる必要がなくなつた次第でございます。
  105. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 今の御説明ではあまりはつきりいたしませんが、もう少し詳しい御説明をいただけませんか。
  106. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御承知通り賃貸価格は約十年あまり前に決定されまして、その後戰災を受けまするとか、または経済情勢の変遷に伴いまして、賃貸価格間相互のバランスが相当アンバランスになつて来たという状態にあつたのであります。それを修正いたしまして、賃貸価格の全体の基準はかえないが、それぞれ宅地の賃貸価格間の不権衡を修正するというのがこの法律の目的であつたのでございます。しこうしてこの仕事は昨年当初から従事いたしまして、昨年の九月一ぱいをもつて大体の仕事を終了いたしました。その後審査に関する事件がたしか二、三件あつたかと思いますが、これも昨年度中に全部完了いたしておると記憶しておる次第でございます。
  107. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう少し仕事の成果の点やお金の点、詳しいところをお答えいただきたいと思いますが、ここでいただけなければ、何かそういうような資料でもありましたらひとつ詳しくお出しになつていただきたいと思います。  それからその次のページに、財政制度審議会というのが出ておりますが、これも委員が十二人以内で組織する。いろいろな審議会制度が最近の機構の改革でできておりますが、こういう審議会でこのような国の予算、決算及び会計の制度に関する重要な事項が調査審議できますかどうか、結局はこれは名目的なこういう制度ができるのか、はたしてそれだけの内容を持つたものができるかどうか、そういう点もひとつお伺いしておきたいと思います。
  108. 村上一

    ○村上説明員 お答えいたします。先ほど三宅委員からの御質問にお答えしたのではございますが、国の予算、決算の制度に関しまして、今後相当研究を要する問題が残つておるのでございます。たとえば国庫金の制度でございますとか、あるいは企業会計の経理制度をどういうふうに持つて行くかというような点、その他にも相当問題が残つております。従いまして、これらはなるべく早く研究を進めまして、成案を得ましたならば制度化いたしたい、かような考えを持つておるわけでございます。しかしながら国の予算、決算の制度ではございますが、その影響しますところは、民間の経済界に直接相当重要な影響がございます事柄でありますので、役所内部の研究だけでは不十分かと存じまして、先ほども申し上げましたように、民間の企業経理に経験の深い方、また会計学というような專門の立場からの御意見といつたようなものを十分拜聽して、制度を愼重に十分検討したいというのが本審議会の趣旨でございます。従いまして、御指摘のありましたような、形ばかりの審議会には決して終らないつもりでございます。
  109. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 法案の内容についてはそのくらいにいたしまして、国税庁長官おいでになりますので、これは直接法案関係はございませんが、具体的に私どものところに来ておる問題がありますので、これをお尋ねしたいと思います。というのは、こういうような法律をおつくりになるのも、結局は先ほど言いましたように、現在所得税その他の税金の一般に対する課税の仕方に非常にむりがある。中には多少不正をやつて、軽くしてもらうというような人もありますけれども、それのできない人々に対する末端徴税方法は非常に残酷なものがあります。これは御承知だと思います。この例は一例でありますが、こういう例はたくさんあります。ここにあまりひどい例がありますからこれをちよつと詳しく御説明いたしたいと思いますが、これに対する国税庁長官としてのはつきりしたお答えをいただきたいと思います。  この人は大阪の人ですが、先日たしか放送討論会で志賀さんがちよつと触れておられると思いますが、大阪の片岡という人です。二十三年度の決定額は完納しておりまして、決定額はそのときは五万七千八百円、二十四年度になりますと予定申告が六万七千円、確定申告が六万二千円になつております。税額が五千七百円、この五千七百円の税額の中に滯納額が三千七百円あつたわけであります。これに対しまして更正決定が四十万円言つて来ておるのです。税額は二十一万円です。これは再審査を請求中に突然と税務署から押しかけて参りまして非常にひどいことをやつているわけなのです。むりやりに商品を持つて行つた。その持つて行かれた商品の大体の見積り額が九万六千円、これに対するおうちからの手紙がありますが、これを読んでみたいと思います。  今日(三日)私たち不在中二台のトラックで押しかけて、警官一名立合いのものに商品を大半引揚げました。税務署員だけでも二十名余、官服、私服交えて十数名の巡査、これが政府のする今の仕事でしようか。これでは強盗にまさつても劣りはしないしわざではないでしようか。今の私たち小資本商人は売行きが惡く四苦八苦の状態です。申告はしてみたものの納税のできないというのが現在の私たちです。それなのに、今日税務署へ交渉に行けば、それくらいの金のないわけはない。大体君のとこは思想が惡いというんです。思想が惡いとは何事かとつつ込めば、いや納税思想が惡いんです、と言い返しました。  商品を返してもらわなくてはあすから私たちはどうして行くか、細々とした商売ゆえ、預金とて一銭もなく、店を開けねば一銭の收入もありません。そうなれば私たちは死よりほかにとるべき道はありません。署長に面会を求めれば忙しいとかなんとか言つて二時間余りも待たして、やつと会つて事情を訴えても受付けず、あなたとこが納税しないのが惡い。しかし早速審査をやつて所得をきめて、完納すれば商品を返すというんです。いくら所得をきめても商品がなくては金のできる道がありましようか。税金はもちろん、あすから親子四人は路頭に迷わねばなりません。  二十二年度にも不当課税のため、家財道具は引揚げられ、売食いしたくても売食いする物もありません。一署員は、納税者が首をつつて死んでもわれわれは職務だからやるんだと言いました。こういうことを政府は黙つて知らぬ顔をするんですか。われわれ国民を殺してでも取上げるんですか、何分とも善処方あられんことを要望いたします。  これを私ずつと読み上げましたのですけれども、こういう例はほかにもたくさんあるだろうと思う。おそらく国税庁長官も御存じないわけはないと思います。  これは一例にすぎませんが、これなど見ておりますと、確かに先日大蔵大臣が中小企業家が少しくらい死んでもしかたがないといつたような思想が末端の下級公務員のところにまでぴんと来ておるのじやないか。だからこういうような残酷なとり方をされているのじやないか。死んでもしかたがない、しかもこれは異議申請中なのです。こういうのに対して国税庁長官としてどういうお考えを持つておられますか。その点はつきり明確な御回答をいただきたい。
  110. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税の徴收につきまして納税者の実際の状況をよく調査をいたしまして、これが適正を期するということは最も必要なことでございます。しかして今年度の税収入の状況を見てみますと、実は申告所得税の成績が現在なお非常に惡いのでありまして、俸給取りの拂つておりますところの税につきましては、今年の四月十日現在におきましてすでに予算を越しますこと百億を数えているのでございます。申告所得税につきましては千七百億円、これは当初予算が千九百億円でございましたが、それを二百億減少いたしまして千七百億円と補正されたのにもかかわりませず、この千七百億円に対しまして四月十日現在におきます税收入の実績は千三百億円でございます。もちろん税の予算は、予算を作成いたしますときの経済情勢に基いてつくりますところの見込みでございますので、その実績が相当かわることはやむを得ざるところであろうとは考えるのでありますが、何分にも補正予算は昨年の十一月に成立いたしました予算で、その直前の大体の経済情勢に基いて作成された予算でございます。それが一方においては百億円も超過する、一方においてはさらに四百億円の赤字を生じているというのが現在の実情でございます。しからば、商業部門等においてはたしてそれほど非常に困難であろうかということをいろいろ考えてみますと、昨年末の日本銀行の通貨の滞留状況調べによりますと、農漁村等におきましては相当全体に対する割合が下つているにもかかわらず、ひとり商業部門のみにおきましてはある程度上つて参つているのであります。これらの点から考えますと、経済情勢の変化等によりまして、商業部門等によりまして相当困難な業態にあられる方が多数あられるということはわれわれ十分承知しているのでありますが、一方におきまして中小企業の危機というような言葉に便乗いたしまして、納税を遅延しているという向きも相当あるかと思うのであります。御承知通り先般の税法改正によりまして、今年の一月から加算税、延滯金等も従来の十銭、二十銭からそれぞれ四銭、八銭というふうにこれを引下げたのでございます。従いまして、もしも現在の市中におけるところのやみ金利等を考えてみますと、特に納税に対して忠実でない方はこの四銭を支拂うことよりもむしろこれを他の金融にまわすなりまたは自分が使うなりした方が、より多くの利益をみるという場合が相当あり得るのでございます。これらのことも相当納税に影響しているのではないかという推定を私どもはしているのでございます。従いまして、ただいまの具体的な事例につきましては、これは具体的に調査をいたしませんと何ともお答えをいたしかねるのでございますが、全般的に非常に苦しい方がおありになると同時に、他方において便乘している方もおありになる。従つて、それらのいわば惡質な方々につきましては、私ども税務当局としては、できるだけ強権を使う、権力を使うということは避けたいのではございますが、税の公平を保つために、ある程度はやむを得ないかと考えているのであります。もちろん御指摘の事柄につきましては、これはもしもただいま読み上げになつた手紙の通りであるならば、これははなはだおもしろくないことかと思うのでありますが、ただ一方的な調査のみをもつてその真相を判断するということもいかがかと考えますので、十分調査をした上においてお答えをいたしたいと考えております。
  111. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 一般的な問題についてのお答えにはいろいろなお考えもありましようけれども、ただいまのは大阪の例でして、私自身は名古屋で、名古屋にも似た例を、私持つて参りますればたくさんございます。だからそういう具体的な問題についてはぜひともこれはさつそく御調査をいただきたい。同時に最後に私申し上げたいのは、こういう法律ができまして、末端の税務官吏の、非常に監察制度がやかましくなりますと、下の方に行つて、こまかいことに限つていろいろ何とか今までごまかしをやつていたのができなくなる、結局強権の方がうんと強くなつて、強権によつて下の方が全然押えられて行くのじやないかということを心配いたします。そういう点でも、ぜひとも今後納税の問題を、これは全国的に非常に問題になつておりますから、今の問題は一例でございますけれども、さつそくお調べになりまして、そういう問題に対して善処されんことをお願いいたしまして私の質問を終ります。
  112. 三宅則義

    三宅(則)委員 たいへんに私は先を急ぎまして早く切り上げたわけでありますが、しかしほかの委員に聞きますと、あまりおやりにならぬそうですから二、三点だけ伺いたい。  先ほど田島委員の御質問に対しまして、国税庁長官が御答弁になつたのでありますが、せつかく私ども国会において今までの二十銭とか十銭とかいう高い延滯金、加算税に対して、それはいけないというので八銭、四銭と、こういうふうに下げたわけでありまして、これは何と申してもまじめな人に対しましては非常にありがたいことでありまして、私も本会議でもつてこれは得々として報告演説をしたわけですが、今高橋さんの意見によりますと、これを濫用する者があつて、はなはだしきに至りましては商売の方にまわしたり、あるいはほかの方に濫用したということを聞きましたが、もしそういう者があるということになりますと、私ども立法者の意見を尊重しないものであつて、はなはだ冒涜するものである。こういう者に対しましてはよく税務署でも監督して、惡質な者に対しましては、どうかひとつ徹底的に善処してもらいたい。もう一つ希望を申し上ります。私どもは明日から、この審議にかかるわけでありまするが、この際連合審査会で恐縮でございますが、どうか税務行政におきましても、われわれが滞納いたしましたり、あるいは遅延をいたした場合、あるいは一部分帳面が脱落しておつた場合におきましては、物品税等においては、五倍ないし十倍の罰金に相当する税額をとられておる。しかるに税務官吏が間違つて安くきめ過ぎた場合、反対に高くきめ過ぎた場合でも、だれも現行法では責任を負つておりません。私は予算執行職員に対する責任を問うという法律案が出て来た以上は、どうか税務職員に対しても——惡質ということは失礼でございまするが、故意もしくは重大な過失によつて納税者に迷惑をかけ、あるいは過重な負担をさせた者に対しては、責任をとるというような法律を出してもらいたいと思うが、政府のお考えを承りたい。
  113. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 予算執行職員に対する責任を税務官吏にも適用しろという御説のようでございますが、御承知通り、現在税務職員の数は、納税者の数または税務行政自体の困難性に比較いたしまして、非常に少いのでございます。しかしながら、この少い與えられた職員をもつて、でき得る限り適正、公平な税務行政を執行して行きたいと考えておるのであります。なかなか一人の職員が千人もの納税者を受持つておりますると、すべての人に対して、一銭もとり漏れがないということは、非常に困難なことでございます。これはむしろかたきをしている問題でございまして、何とかして、より適正なという方向に行くより道はないと思います。おそらくは会計検査院等において、個々の人間等についてお調べになれば、十円、二十円あるいはわずかな金額の差は、当然に出て来るかと思うのでありますが、それらの問題について、責任を追究するということは、はなはだ現在の税務行政の実態にかんがみまして、時期尚早ではないかと考えております。むしろそれらの者については、身分法上の懲戒その他の監督をもつてつて行きたい。そういう趣旨をもちまして、実は今回の設置法におきましても、監察官の権限を拡充いたしまして、これが監督の徹底を期して行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  114. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の高橋長官の紳士的な御答弁でありまするが、どうかひとつ全職員があまり惡いことのないように願いたい。  もう一つ重ねて御質問いたしますが、納税者に対しまして税務官吏が、すでに納税いたしたにかかわらず、まだ納まつていないというような手紙を出したり、通知書を出したために、納税者は非常に忙しい中にかかわりませず、その受取りを持つて税務署に行く。こんな請求が来ましたけれども、実際はもう半月も前に納めております。よく帳面を見ていただきたいと言いますと、税務官吏の方では、そうだつたかと簡單にろくに帳簿も調べないで判を押したという例があります。これは一つの例かもしれませんが、往々にして事務が輻湊いたしております関係ももちろんありましよう。しかしそういうような迷惑をかけた場合に、農村等におきましては電車賃を使つたり、汽車資を使つたりして、弁当を持つて出かけなければならぬ。半日もしくは一日かかつてしまうけれども、その費用はだれが負うのか。納税者のみがこれを負担しておる。これははなはだふかしぎなことでありまして、政府国民に対して迷惑をかける場合には、率先してこれに対する費用を弁償すると申しますか、呼び出したということについて、公述人について日当電車賃を拂うと同様に、政府の誤つたる措置について民衆に損失をかけた場合においては、これを弁償してやつてよろしいと考えていますが、政府といたしましてはそういうお考えがあるかないか、承れれば仕合せだと思います。
  115. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税務行政が相当困難をきわめております現状からいたしまして、一昨年、昨年ごろそういうふうな事例か非常に多くて、納税者の方々に非常な御迷惑をかけたことは、私どももまことに恐縮しておるところでございます。その後もつぱら事務の改善に努めて参りましたので、もちろん絶無を期するということはきわめて至難なことではございますが、しかしながら惡意をもつてそういうふうなことが行われるということは、今日においては絶対にないと考えるのであります。仕事の手違いと申しますか、そういうふうな事柄がまれに起りますことは、私ども非常に残念遺憾に感じておるところであります。何とかしてそういうふうな税務行政の欠陥を一日も早く是正いたしまして、納税者の方々に御迷惑をかけないという方向に努力をいたして行きたいと考える次第でございます。
  116. 三宅則義

    三宅(則)委員 今二、三質問いたした事柄は、ほんとうに国民意見を代表してお尋ね申し上げたのでございまして、われわれは立法機関でございますから、政府と協力いたしまして、自由党内閣のときにそうした惡いことを直したいと考えておりますから、政府の方におきましてもぜひとも御研究をくださることをお願いいたします。
  117. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に御質疑はございませんか。
  118. 川島金次

    ○川島委員 国税庁長官が見えておりますので、この機会に二、三お尋ねをしておきたいと思います。法案に直接関係はありませんが、間接的には重要な関連があるわけでありますので、お尋ねいたします。さきに政府は閣議決定事項で一般国民経済の窮迫した実情に即応し、また一面現行税制の必ずしも国民経済に適合しておらない、いわゆる重税という点にも考慮を拂い、従つて年度末徴税攻勢をいたしまする場合においても、差押え等は行うけれども、できるだけ強制執行を伴う競売等はこれを回避して、できるだけ国民の納税を円滑にいたして行きたい。そうして徴税攻勢から起こる一種の社会不安をなるべく少なくしていきたいという閣議の決定があつたと私どもは新聞紙上で拜見いたしました。その税法のよしあしまたは国民経済、ことに金詰まりの今日において納税の困難なる実情に対する措置といたしましては、一応私どももその閣議決定の事項が事実であるといたしますれば、政府としても若干考えられたであろうと思いまして、いささかひそかにその措置に対して期待をかけていたのであります。しかるにごく最近の新聞紙上によりますと、ことに申告納税の徴税成績が、当局の思うつぼにはまつて来ないという見地からして、一方においては年度末が過ぎ、すでに年度を新たにしておるという実情にあるにかかわらず、今後は差押え、競売を十分に強行してしやにむに国民のふところから税を吸い上げて行く。こういう意味の、まことに聞きようによつて国民にとつて冷酷きわまる言辞をもつて長官みずからが新聞記者団にこれを公表したという事実が最近あつた。私はこの長官の言明を拜見いたしまして、いささか先の閣議決定事項との相違、まことにはなはだしいものがあるという感じを強く受けておりまして、むしろぼう然たる感じで私新聞を見た者の一人であります。そこで私はお尋ねいたすのでありますが、二十三年度の所得税は最後のがんばりで政府としてはある程度の徴税成績を收めたのみならず、前年度の過年度徴收等を加えますと、所得税においてかなりの増收に実は予算から見るとなつたと記憶する。しかも増收になつたのみならず、二十四年度にさらにまだ二十三年度の過年度收入分が若干予定されておる。こういうことを私は記憶しておる。さらにまた二十四年度におきましても、政府の予定いたしておりまする額を十分に強行いたしますと、結局過年度收入を加えますと、むしろ所得税は予算をオバーする形になるという考え方を私は数字上持つておる。そういうことが半面にありまするにもかかわらず、閣議決定の事項が真実であるのか。その閣議決定事項はやつたのであるか。それを破棄して国税庁長官はみずから強めて天下にそれを公表し、はなはだしい国民の金詰まりの実情に対して何らのあたたかい情というものをさしはさまぬ呵責なき言明、並びにその言明に沿つて徴税いわゆる一種の大強行をやつて行くつもりであるか、同時に今私が申し上げましたように、二十四年度の所得税の政府が予定いたしておりまする額が十分に入つて参りますならば、二十五年度の所得税の全体の税收入額は、過年度收入を含めた場合でありますが、むしろ政府の予定よりも上まわつておるという形になるおそれがあるのではないかと思うのでありますが、その点は一体どういうふうな形になつて行くものであるか。これは目前におきましてきわめて多くの国民の人たちが恐慌を来しておる事実にかんがみまして、大切な事柄でありますので、この機会に長官のこれに対する見解を表明していただきたい。こういうふうに思います。
  119. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 お話通り、現在経済情勢が非常に困難な状態にありますのと、今年の二月ごろまでの税收入の状況は二十三年度に比較いたしまして相当順調でありました関係からいたしまして、できるだけむりを避けるという方針をとつてつたのでありますが、その後の税收入の状況を見てみますと、むしろ今年の予算だけの收入が非常に困難になつて来たということが一方に考えられますし、また一方におきまして、先ほども他の委員の方の御質問にお答えいたしたのでありますが、申告所得税が千七百億円の予算に対して、四月十日現在の收入額は、千三百億円でございまして、なおかつ四百億円の不足と相なつておるのであります。このことは一方におきまして、源泉によつて徴收されるところの俸給生活者等におきましては、予算を百億円すでにオーバーしておるというものと比較いたしまして、はなはだしく不公平に相なつておる。言いかえますならば、月給から差引かれる方々は、残つた月給でもつて非常に切り詰めたところの苦しい生活をしておられる。一方申告によつて、その年度の過ぎました後において納税をするという建前になつております。申告所得税の方々におきましては、すでに使つてしまつたからとか何とかいうことで、もしも納税を回避するということになりますれば、その間に非常に不公平が生じるのみならず、先般も御説明いたしましたが、昨年末の通貨の滯留状況を日本銀行の調査によつて見ますと、農漁村等におきましてはむしろ非常に減少しておる。ところが商業門部のみにおいて非常に大きな増加を示しておるという事実があるのであります。これらの点から考えますと、現在の納税が非常に困難になつて来ておるという事情の原因は大体三つあるかと思うのであります。  その一つはただいまお話のように経済情勢の変化等に伴いまして、非常に困難な業者の方が相当数おありになるという事実であります。いま一つはやはり納税者の方々で、どうも十分に納税義務を果しておられぬ、能力があるにかかわらずその納税の義務を履行しておられぬという方々が相当あるということを考えざるを得ないのであります。  いま一つは税務行政自体におきましては、なおかつ改善を要する点があるというふうに考えているのであります。従いましてわれわれといたしましては、税務行政自体の面における問題は、でき得る限り今までもこれが改善に努力して参つたわけでありますが、先般も閣議決定をもちまして、たとえば監察官制度の強化でありますとか、または税務職員の教育、訓練を徹底いたすことでありますとか、または今まで国税庁で任意的につくつておりました、苦情相談所の制度を制度として新しく拡充して行くというような問題でありますとか、そういうふうな事柄を相当急速に進めますとともに、協議団の制度等においても法律上の建前は七月に開設ということになつておりますが、できるだけこれを早めてつくつて行くというようなことも、一方において措置しようとただいま努力しておる次第であります。しかして先ほどのお話によりますと、今年度の收入は、過年度分の滯納整理によるものも含めて十分予算をまかない得るのではないかという御見解のようでありますが、四月十日現在におけるところの二十四年分の收入済額というものは、租税及び印紙税收入総計いたしまして五千七億円であります。予算が五千百五十九億円でありますから、約百五十億円程度なお不足しております。御承知通り三月末までに決定されましたいわゆる納税義務の確定されたものにつきましては、四月中に納入になれば二十四年度の歳入になるわけであります。従つてこの百五十余億円が收入とならなければ本年度の歳入予算は確保できないという状況に相なるわけであります。従いましてどういたしましても、納税能力のあるにもかかわらず納税をしない惡質な滯納者等については、この際相当手きびしい手段をもつて臨まなければ、この收入の確保もできかねますし、また税の生命であるところの公平も失われるということに相なりますので、これらの毎月の收入状況等の観点からいたしまして、この際相当強硬な措置をとることがぜひとも必要であるというふうなことを考えまして、ああいうふうな新聞記者に対する談話も発表いたしますし、また実際上税務官吏に対して、そういうふうな指示をいたしておる次第であります。しかしながら同時に一方におきまして、非常に困難な事態におられる納税者の方々が相当数あるということも十分承知しておりますので、たとえば先ほど説明申し上げました通り昭和二十五年度所得税の第一回の納税の時期は六月末に相なつておるのでありますが、これを今回提案申し上げましたように、一箇月間だけ納税時期を延期いたしまして、七月末までといたしますこと、並びに従来これは法律上の建前から申しまして、個人所得税におきましては、たとえば期末において手持商品の値下り等がありました場合には、その値下りによる損は所得税法上損金に見ないということになつておりますが、その法律上の建前そのものは変更いたしませんけれども、実際上その所得が損金と見られたと同じように、実害のないような方法を先般決定いたしまして、それを各税務署に通達いたして参つておるのであります。すなわちその仕入れ商品の仕入れの時期におけるところの価格と十二月末におけるところのたなおろしの価格の差が二割以上であり、しかもその価格が所得総額に対して二割以上を占める場合におきましては、それに対するところの追徴税をまず第一に免除する。なおもちろんこれは納税者の方々の申請によつていたすのでありますから、調査の上決定するのでありますけれども、追徴税を免除し、かつ加算税、延滯利子税等につきましても、その部分に関しては免除するという措置をとりまして、当面の救済もいたしておるのであります。言いかえますと、こんな方々に対してはどこまでも十分にこれを見て差上げ、非常な苛酷にわたるようなことがないような措置をいたしますと同時に、半面において困難ではない方、たとえば四銭の加算税よりも他にまわした方がより多くの金利を得られるというような観点から、そうしたことをやつておられる方もあるように見受けるのでありますが、そういう方々に対してはどこまでも徹底的に追究をするということが、税の公平を保つ上において絶対に必要であるということを考えまして、そういうふうな措置をとつておる次第であります。
  120. 川島金次

    ○川島委員 今の説明のように所得税の面だけを見れば非常に苦しい面がある。しかし全体的の租税收入から見れば百七十何億、従つてこれを所定の方針に基づいて徴税攻勢を続行いたして行きますれば、結局においては予算超過に数字上なるということは明らかであります。しかしながら、さりとて私は惡質なる滯納者の処分をも政府はその力をゆるめてほしいというのでは毛頭ありませんが、しかしながら現実の経済事情からいたしまして、国内には多数の正直にしてなおかつ勤勉なる中小企業等において、実際において納税が非常に困難で、そのためには何度も国会でも言われてるのでありますが、心中をしたり、あるいは発狂したり、自殺をしたりするという事態が非常に多いありさまであることは繰返して言うまでもない。従つて全体の歳入の上から見て、しかもそのような正直にして勤勉なる一般の納税者に対しても、悪質者と同様な処置、態度をもつて臨むということは、徴税の目的を円滑に民主的に達成する方法にはならないで、かえつて国民経済を昏迷に陷れ、政府の目的とするその目的が達成しにくくなるというおそれが十分にあると思いますので、政府徴税上の苦痛、困難はわれわれもよく理解ができますが、しかし一面においてそのような実際上の事態に対して、悪質者と悪質者にあらざるところのこの区別をやはりつけつつ、その徴税の円滑を期し、かつ国家の財政收入の目的を達成するということでなければ、私は意味をなさぬ。かように考えるのであります。どうぞそういう見地をもたれまして、今後の徴税行政措置の万全を期していただきたいということを強く私は要望するのであります。  ついでにお伺いしますが、今度の協議団の問題であります。今の御説明によりますれば、協議団もなるべく納税者の実情等もありますので、早く設置されて、その運営が開始されることをわれわれは望むものでありますが、この協議団のかりに決定したものが、ただちに法的な根拠を持つものであるか。その点は実は私も詳しくまだ存じてない事情でありますので、まずその法的根拠について、協議団の決定事項というものはどのような影響力があるのか。それをひとつ聞かしてほしいと思う。
  121. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 川島さんはこの通り税がとれた場合には歳入超過になるだろうという御見解のようでありますが、予算当局の見解によりますると、今年度は税收入において三、四十億円増收を得られなければ、全体として赤字が出るということを聞かされているのでありますが、その点十分御承知おきを願いたいと思います。  なお第二点の協議団の決定の法的効果でありますが、これは税法上は協議団の議を経て決定するという建前に相なつております。言いかえますならば、必ず審査の請求のありました事件は、協議団にかけて、協議団意見をまとめて、国税局長に提出するということに相なるのであります。しかして国税局長は理論上はその協議団の決定に必ずしも拘束される必要はないのであります。しかしながら実際上の問題としては、大体協議団意見に従わざるを得ないことに相なるかと存ずるのであります。
  122. 川島金次

    ○川島委員 そこがいささか私は疑問としておるのであります。せつかく政府納税者の利益を擁護する建前から、一方においては歳入を確保するという建前において、ここに協議団というものを設置することになつたわけであります。ところが今お話のようにこの協議団の決定というものは、何ら法的な効力というものは持つておらぬ。ただ便宜上この協議団の議を経て後において国税庁長官あるいは国税局長がこれを決定する、こういう一つの経過的、行政的な措置にすぎないという形になつておる。従いまして、国税庁長官あるいは国税局長が、この協議団の議を経ても、必ずしもこれに服する責任と義務を持たないのでありまするから、実際の運営においては、あまりにその効果が国民の期待するほどないのではないかという懸念がわれわれにはあるのであります。そこでこの機会に長官にお伺いしておきますが、たとえば国税局の管内におきまする協議団のいずれも法律はすでにきまつておりますから、現在はやむを得ぬのですが、近き将来において私どもの考え方によれば、この協議団の構成の仕方——この協議団は大体において地方の経験者等を採用し、それが公務員になつて、いわゆる国税庁、あるいは国税局の配下に属するという形の機構に私どもは考えておる。そういうことでなしに、この協議団の——たとえば五人制なら五人制を設ける場合に、そのうちの二人は公務員に採用して協議団の構成分子、残る三名はたとえば営業者あるいは農民あるいは勤労者等のそれぞれ民主的な団体から代表者を選んで、しかもこれらの代表者は協議団の構成分子であるけれども、民間からそのまま選出されて公務員法の適用を受けざる自由な立場においてその機構に参画し、そうして一般の納税者の異議申請に関する調査等に対するところの公平、自由の立場においてそれが討議でき、審査できるという形にした方が、きわめて民主的に、またその決定に対しては多くの納税者も納得する機会が多くなるのじやないか。こういうふうに私どもは考えておるのでありまするが、そういうふうに将来ひとつ思い切つて改正するという長官には用意がないかどうか、その点をこの機会に伺つておきたいと思います。
  123. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 この問題は税法に関する問題でありまして、私から御答弁申し上げることは適当じやないのじやないかと考えまするが、ことにすでに協賛を経ましたところの法律の問題でもありますし、シヤウプ勧告にもありまする通り、所得の決定という問題はどこまでもいかにしてその実態を把握するか、真相に近からしめるかということが問題でありまして、政治的に何らかの団体の代表者を入れて、それによつて妥当な見地からこれを決定するということはすべきでないということをはつきりシヤウプ勧告においても明示されておるのであります。そういう趣旨をもちまして、どこまでもこれはその実態を把握するのに能力のあるいろいろな経験をお持ちになつた、また学識を持つておる方に入つていただいて、そうしてこれはどこまでも公平な官吏という立場において、これを決定して行くという事柄税法の執行上においては妥当ではないかと考えております。これをもつてお答えといたします。
  124. 川島金次

    ○川島委員 時間がありませんからあまりくどく申し上げませんが、長官にいたしますれば、この問題は非常に政治的な問題でありますので、従つて明確な御方針は、気持にはあつてもなかなかお答えができないと思うのでありますが、今長官官吏であつた方が実態を把握して公正だという見解のようでありますが、そこに私どもの見解の違いがある。官吏必ずしも私は公正適実に把握できるとは考えておりません。ことに最近における国民、ことに納税者の立場から申し上げますれば、まことに私どもも残念に考えているのでありますけれども徴税官あるいは徴税官の側に今度新たに設置されるものがまた官吏、こういうことになりますと、必ずしも納税者はそれを全幅的に信頼するという感じにはなりかねる点が私は多くあろうと思います。そういう意味合いにおきましても、私はその五人なら五人、あるいは半分でもよろしい、半数は公務員、半数は民間の団体の代表者——これは今長官が政治的に云々と言われましたけれども、そういう懸念はない。その業の実態の中に生活し、苦労している連中、そういう人たちの、しかも公平な人材を選んで、それを構成分子とするということこそ、私はそれが民主的に、しかもその決定が、国民の多くの支持と納得とを得るゆえんではなかろうか、かように思いますので、そういう点の見解を聞いたのであります。それが長官には、官吏の方が公正適実なんだという確固たる御見解であれば、これは議論になりますから、この程度でやめます。なおこれは連合審査のことでございますので、他に幾多の質問がございますけれども、他の方々の御迷惑になると思いますので、私の質問はいずれ大蔵委員会單独の委員会の席上でお尋ねいたしたいと思いますので、この程度で打切つておきます。
  125. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑はありませんか。——御質疑がなければ、内閣委員会大蔵委員会連合審査会はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会