○
風早委員 この
通商産業省の
改革につきましては、かねがね本
委員会において、また
通商産業委員会との
合同委員会においていろいろ
質疑がなされまして、われわれもこの
質疑に参加したわけでありますが、どうも
政府の御答弁を承りますと、いよいよわれわれのこの
改革に対する
一つの疑問が深まらざるを得なかつたわけであります。その
根本点は、つまり現在の
吉田内閣のやろうとしておる
一つにおきましては、いわゆる
手放しの
自由経済、
吉田内閣は
手放しの
自由経済とは言われないのでありますけれ
ども、事実上次々に
統制をはずして行く、その場合におきまして、その
統制をはずす用意というものが一方においてなされておらない。これは
石炭の場合におきましても同様でありまして、今回
炭管局と
石炭生産局を
炭政局一本にする、これもまだ
はつきりしておらない。いわゆる
石炭国管のあの
制度の
廃止というふうなものをあらかじめ
前提にしておられますが、これは大問題であると思う。そういうものを
前提にして、か
つてにその想定せられたる
政策に順応するように
機構をかえて行く、この点は至るところに出ております。
電力局におきましても、これを大いに今度は
縮小されるわけでありますが、結局これもレギユラトリ・ボデイーというようなものがやがてできて行くであろう、こういうことをあらかじめ
前提にしておられる。しかしこれとても今おそらく全野党並びに
自由党の諸君の中にも、
相当数これに対しては非常に疑問を持
つておる
人たちが多いのでありまして、そういう
状態であらかじめ
政府が一方的にそれを想定して、それに順応するようにこの
機構の
改革をしておられる。こういうふうな点を見ましても、はなはだ今回の
改正はその
趣旨においてわれわれ疑問を持たざるを得ないのであります。
第二には、この
改正が
日本の
国内の
産業の
発展というものと、いわゆる
貿易というものと、この二つの
関係におきまして、言いかえれば
国内の
市場を開発して行くか、
国外の
市場を第一にするか、この点におきまして、
政府は
はつきりと
国外市場第一
主義、
貿易第一
主義ということを答弁しておられる。これは実際問題としまして、今まで戰前の
わが国経済の失敗を証明した
方向なんでありまして、
戰後においてやはりそれをとろうとしておる。現在
吉田内閣に
至つてそこにだけしがみつこうとしておる。これは根本的にひとつ
改正なさる必要があるのではないかということをわれわれは
政府に対して質問いたしたのでありますが、
政府は全然
反対だ、やはり
貿易第一
主義だというような
お話でありました。その結果は今までの低賃金、低米価、さらに重税、また
労働強化といつたようなこの
国内の
購買力をいずれもますます縮めて行くような
方向が、依然として続けられておる。その
基礎の上にこの
国際市場への
発展ということがなされる。それでも
つてなおかつ
貿易がやられれば、それでさしつかえないのでありますけれ
ども、その結果
貿易は事実行き詰ま
つてしまう。どこに
貿易の行き詰まりがあるかと言えば、結局そこにあるのだというわれわれの
見解からいたしましても、根本的に
吉田内閣の
貿易第一
主義というものには疑問を持たざるを得ない。ましてやこの
貿易というものが、現在はただそういう経済的な面からだけ見られるのではなくして、われわれかねがね指摘しておりますように、これが東南アジアを中心にした、いわゆる
軍事基地化というものの
建設のための、
資材のやりとりというところに、非常にそういう
方向に急速に向いつつあることを考えれば、なおさら非常に疑問を感ぜざるを得ない。ところがこういう
意味での非常に
危險を含んだ
貿易第一
主義というものを
前提にせられまして、それを
基礎にしていわゆる
臨時通商業務局のごときも考えておられる。その点でまずこの
機構改革の
前提になる
政策に
反対であると同時に、それに順応せんとするこの
機構改革には
反対せざるを得ないということであります。さらに第三には
工業技術庁の問題であります。これとても
工業技術庁を拡張せられることは一概に私
どもは否定しません。これがしかしながら、その
職員や
技術者に対して十分な恩恵になる、つまり
技術者の待遇を改善する、
技術を大いに向上させるという
意味で、増員なりまた費用の
増額なりが実際に行われるならば、これは非常にけつこうなことだと思います。しかし今回の
工業技術庁の拡張ということは、明らかに
外国からの
技術の
導入、特に
特許関係のいろいろな権利、
特許権の使用というふうな
方向でなされる
外国技術の
導入、その
趣旨が根底にあるということは、これは
説明をまつまでもなく明らかに
なつたところでありますが、そういう
意味で、これもまた今
政府がや
つておられます
外資導入第一
主義のその同じ問題をそこに持
つておるのではないかという
意味で、われわれは容易にこれに対しては
賛成をしがたいのであります。
最後に
経済調査特に
産業調査の問題がある。
政府はこの
調査統計部というものを
縮小せられる。
縮小というのは、つまり
原局にそれを配分して結局は
縮小せられる。全体の数が少しばかりふえると言われますけれ
ども、実際に
調査統計部として残るところは三分の一くらいに
縮小せられてしまう。そういうような
状態になりまして、その結果
調査統計部で働いておる
人たちの訴えによりましても、それでは実際まじめな
調査ができない。また総合的な
調査ができない。
原局にやられればいろいろな弊害がありまして、事実また現局では
調査統計事務に携わるというよりも、ほかの仕事に追いまわされるという
危險が多分にあるそうでありまして、そういつた
危險を冐して、わざわざこれを
縮小して行くということにも非常な問題がある。思うにこれはやはり現在
吉田内閣がと
つておられます
産業統計、
調査、こういうものに対する非常な無関心、冷淡、こういうところに問題があるのではないかと思う。これらは一々これを申し上げる必要もありません。その
調査によ
つて実態が明らかにされたという場合に、これが発表を禁止される、あるいはまたその
見解がいささか現在のドツジ・ラインにそれておる、しかしながら実際国民の必要からドツジ・ラインの
修正という線が出て来る、そうなればやはりこれを押える。こういうふうにして実態を明らかにし、その上に立
つて政策を立てて行くという場合に、その実態を明らかにすること自身に対して非常に恐怖を持
つておられる。そういつたようなことではとうていまじめな
政策は行えないと思うのでありまして、今回の
調査統計部の改編を通じても、やはり
吉田内閣の性格の一面が現われておる。そういう
意味でもこれははなはだわれわれの
賛成しがたいところである。
以上のいろいろな
理由を総合いたしまして、結局この
機構改革の根底にある、そのためにやられるというその目的である
政策そのものに対して、われわれは全面的に
反対せざるを得ない立場から、そういう
政策に順応せんとするこの
機構改革には全面的に
反対せざるを得ないわけであります。これがわれわれ共産党の
本案に対する
反対理由であります。