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1950-04-17 第7回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十七日(月曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 奈良 治二君 理事 鈴木 義男君    理事 船田 享二君       飯塚 定輔君    大西  弘君       尾関 義一君    玉置 信一君       永田  節君    松田 鐵藏君       風早八十二君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君         国 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         総理府事務官(         恩給局長)   三橋 則雄君         農林技官農業         改良局長)   磯邊 秀俊君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         海上保安庁長官 大久保武雄君         海上保安庁次長 稻垣 次郎君         労働事務官(大         臣官房総務課長         )       富樫 總一君         経済調査官(中         央経済調査庁監         査部長)    木村  武君  委員外出席者         議     員 上村  進君         建設事務官(大         臣官房文書課長         )       小林與三次君         專  門  員 龜卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君 四月十五日  委員佐藤榮作辞任につき、その補欠として首  藤新八君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員井上知治君、坂本實君、田中萬逸君、牧野  寛索君、水田三喜男君及び木村榮辞任につき、  その補欠として松田鐵藏君、尾関義一君、永田  節君、大西弘君、玉置信一君及び風早八十二君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十四日  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  通商産業省設置法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三四号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一五六号)  労働省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一六一号)  経済安定本部設置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一六四号)  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六六号)  経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六七号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七〇号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七一号)     —————————————
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  本日は去る四月四日本委員会に付託されました農林省設置法の一部を改正する法律案について、政府より提案理由説明を求めます。森農林大臣。     —————————————     —————————————
  3. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農林省設置法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  今回の改正法案の要点は一、農業関係試験研究機関統合整備を行うこと。二、地方支分部局のうち、本省関係資材調整事務所林野庁関係木炭事務所廃止すること。三、審議会等諮問機関を整理すること。四、食糧輸入事務増大に即応するごとく食糧庁内部部局事務配分を改めることの四点でありますが、以下それらの内容の概略について順を追つて説明申し上げます。  第一の点につきましては、現在農業改良局所管技術系統試験研究機関として農事、茶業、園芸、畜産の四試験場開拓研究所がありますが、これらの機関地方にそれぞれ支場を持つのみならず、別に都道府県の設置した各種試験場もあり、これら各機関の行う試験研究の間の相互の連絡は必ずしも十分ではなく、その反面不必要な重複も認められますので、各專門分野の間に統合性企画性を確保し、資金、人員、施設を能率的に配分使用して、実際的効果の高い、真に総合的な試験を行い得るよう試験研究機関の拔本的な再編成を行うため、これらの機関にかえて一の農業技術研究所全国地域ごと農業試験場を設置しようとするものであります。しかして農業技術研究所は、現在の各機関の本場及び本所を統合して、一場長のもとに統轄された総合研究機関とし、原則として全国的共通の問題及び数地域にわたり比較検討を要する問題について、試験研究を行うものであり、七つの農業試験場は、それぞれその地域内にある現行機関の各支場を統合して、同じく一場長の下に統轄された総合機関とし、原則としてその地方及びこれと農業事情を同じくする地方における問題を取扱うものであります。以上のような構想の下に、はじめて真に総合的有機的であり、同時に実際的、効果的な試験研究を能率的に遂行することができるものと考えております。  第二点につきましては、資材調整事務所は最近の物資需給統制解除緩和の趨勢により、その取扱事務も漸減している実情に対処し、かつまた地方自治権強化趣旨にもかんがみまして、この際その所掌事務都道府県に委讓することとして、本事務所はこれを廃止しようとするものであります。しかし、電力石油等物資割当配分事務及び輸送事務については、その性質上、地域的な観点からの調整を必要とするものでありますので、これに関する事務については地域ごとに指定する食糧事務所をして、当分の間行わせることができるようにいたしております。次に木炭事務所については、昨年夏の薪の統制解除木炭の国による買上げ廃止に次いで、去る三月には木炭全面的統制撤廃が行われ、その存立の目的を失いましたので、残務整理期間を考慮して本年末をもつて廃止することといたしました。  第三点の審議会等諮問機関整理統合につきましては、終戰後この種諮問機関が数多く設置され、行政民主化に資するところが大きかつたのでありますが、その反面幾分乱立のきらいを免れず、行政責任の所在の不明瞭化事務複雑澁滞化等好ましくない傾向も見受けられますので、行政機構簡素化による予算の節減という点をもあわせ考え、現在の二十九の諮問機関を十二に整理統合いたそうとするものであります。  なお、この問題につきましては、さらに根本的な再検討を必要と考え現在準備を進めておるのであります。  第四点である食糧庁部制改正については、現在の食糧部及び食品部をそれぞれ業務第一部及び業務第二部と改称するとともに、総務部及び食糧部において分掌している輸出入関係事務業務第二部に移管し、これを一括して取扱わせることといたしたのであります。これは最近の食糧輸入量増大及び民間貿易の拡大に伴つて、これに関する事務分量が増加し、食糧管理行政において占める比重も大きくなつて来ますので、これを強力に統一的に遂行する必要があるのにかんがみ、他方食品関係統制緩和により、現在の食品部事務量縮小する傾向にあることを考えあわせて、各部の事務分量が均衡を保つよう再配分しようとするものであります。  今回の改正の骨子は以上御説明申し上げた通りでありますが、このほか細部の改正としては、栃木農村工業指導所、静岡及び鹿児島種畜牧場廃止仙台肥料検査所の新設、動植物検疫所及び肥料検査所管轄区域の明文化、農業機械管理所事務内容の変更と、それに伴う改称、農地局及び農地事務局所掌事務に関する表現の改正等規定いたしております。  農林省設置法の一部を改正する法律案提案理由の概要は、ただいま申し述べた通りでありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたす次第であります。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 以上をもつて政府側説明は終了いたしました。何か御質疑はありませんか。     —————————————
  5. 鈴木明良

    鈴木委員長 御質疑がなければ、次に恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑はありませんか。
  6. 飯塚定輔

    飯塚委員 この法律案によつて恩給額改訂は、今年一月一日にさかのぼることになつているようでありますが、その改訂手続が完了して、受給者改訂額によつて実際に支拂いを受けるのはいつごろになるのでありましようか。この点ひとつお伺いしたいと思います。
  7. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 恩給局長が裁定いたします恩給につきましては、本年の七月一日の支給期におきましては、増額改訂されましたものを支給できるようなふうに準備を進めているのでございます。相当大きな改正でありますので、あるいは若干のものにつきましては遅れるようなものもあるかもしれませんが、ただいまのところにおきましては、そういうものがないような手はずのもとに準備を進めております。地方府県知事の裁定しますところの恩給につきましては、まだこの法案国会において通過いたしませんので、地方の方におきましては、ただこういうふうな法案改正があるということを示しまして、大体うちわに話をいたしまして、その準備を進めるように慫慂はいたしておりますけれども、まだ本格的に準備を進めるまでには至つてないように思つております。しかしこの地方府県知事の裁定します恩給につきましては、恩給局長の裁定します恩給より、若干遅れて増額されるようになるかとも思いますが、おそくともその次の十月の支給期までには、大部分の恩給支拂いはできるようにとりはからえるように当局としては事務指導をするつもりであります。
  8. 飯塚定輔

    飯塚委員 なお私の希望といたしましては、これが一日もすみやかに受給者の手に渡るように、一段の御努力をお願いする次第であります。
  9. 風早八十二

    風早委員 恩給額改正は、これはべース改訂に伴う当然の処置でありまして、一刻も早いことが必要であることはわれわれも同感でありますが、この改正運動に伴いまして、ある県下では、これは全県下にわたつておりますが、恩給法改正してやる、それについては政党や政府筋へいろいろ運動しなければならないというので、運動資金を徴收しているというような事実があるわけであります。こういうことははなはだ遺憾だと思うのですが、政府の方ではこれらをいつたいどういうふうに考えておられるのですか。これは神奈川県で実際に起つていて、みんな非常に迷惑している。
  10. 三橋則雄

    ○三橋政府委員 恩給のいわゆる増額につきまして、恩給受給者の中から、私ども、あるいはその他政府関係者、あるいはまた国会関係方面に、いろいろと陳情されていることは承知しておりますが、そういうような方々が陳情されるのは、どういうふうな方法で、またどういうふうに金を出し合つて陳情されておるのか、全然存じていないところであります。今のお話のようなことは、実際どの方面に行われておるかということも全然承知していないところでありまして、今お話の点に対しまして、どういうふうに考えているかということを言われましても、実はどういうふうに処置するということは、私たちは考えておりません。
  11. 風早八十二

    風早委員 結局当然やるべきことが、いつまでもぐずぐずとやられないでおるために、やはりその間に運動というようなことまで起つて、まずそれについて運動資金の徴発ということが起つておるのだとわれわれは見るわけなんですから、そういう意味から、おそまきながらも、この恩給法改正ということが一刻も早く行われるということをわれわれも要望するわけなんです。そういう事実は、神奈川県の全県下でわれわれは幾らでもその事実を知つておるわけですが、そういうことを、あなたの方でどうしろこうしろと言うこともできないかもしれません。そういう事実もあるくらいでありますから、これはむしろこの問題について、非常に政府が怠慢であるという見解を私どもは持つておるのであります。そういう意味で、実はちよつと御質問したわけです。
  12. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑はありませんか。——質疑がなければ、これより討論に入ります。討論の通告がありますから、これを許します。飯塚定輔君。
  13. 飯塚定輔

    飯塚委員 恩給法改正に関しましては、自由党といたしましては全面的に賛成の意を表するものであります。但しこの恩給は、ただいま風早君からも御質問があつたように、支給する当局手続が遅れるというようなことは、非常に重大な問題だと私も考えておるものであります。この制度があります以上は、ほんとう国家恩給という、その恩典に浴しておるという気持はつきりと受給者に與えるように、受給方法におきましても、さらに国家財政の許します範囲におきまして、将来の増額を希望するものでありますが、現在といたしましては、これ以上に増額することはあるいは不可能かとも思います。但しこの現在の仮定俸給年額を見ますと、二十三年の改正以来非常な大飛躍を来しておつて当局の御配慮のほどもよくわかります。しかしこれが恩給額となつて現われる場合には、現在の生活状態から考えますると、かなり詰まつた生活をしなければならない。何も恩給によつてのみ生活しなければならぬというわけではありませんけれども、この恩典に浴して生活をする、そういう点から考えますると、恩給月額收入は、実際の生活とかなり隔たりのある收入になるのではないかということを私は心配するのであります。どうか国家財政の上から考えても、早急により以上の増額ということはあるいはむずかしいかもしれませんけれども、このような大英断をもつて増額を決定せられた当局において、さらに一段と、ほんとう恩給恩典に浴し得るという気持受給者に起させまするように、できるだけ将来の増額ということも御考慮に入れていただきたいということを強く要望いたしまして、この改正案に全面的に賛成する次第であります。
  14. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に鈴木義男君。
  15. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 社会党といたしましても、これは当然の改正でありまするから、賛成であります。ただ幾多まだ不完全なところがあり、また将来さらに改正を希望する点がありまするが、それらはすべて後日に讓りまして、とりあえず提案された法案に対しては、賛成の意を表するものであります。
  16. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に風早八十二君。
  17. 風早八十二

    風早委員 私は日本共産党を代表して、この法案賛成の意を表するのであります。この法案は実際問題としまして、今他の委員の方も御指摘になりましたように、これでもつて実際食べて行くというわけには行かない、またそんなことはできるはずもない。やはり問題は社会保障制度というものを根本的に確立するところにあるのでありまして、私ども日本共産党としてはかねがね、——これは社会党におかれてもかねがね熱心に主張しておられまするが、十分な社会保障制度というものをやはり確立する必要があると思うのであります。その点から言いますと、実は特に官公庁関係にたいへん従事したという人だけが、この恩典にあずかるというべき性質のものではないのでありまして、全国民がそれぞれ直接、間接の区別はありますけれども、やはり国家にそれぞれの分担において奉仕して来たわけでありまして、これに対して国家としては、当然食べられない者に対しては社会保障をするということがあつてしかるべきだと思うのでありますが、現在そう言つてつても、実際当面の現実問題としまして、社会保障制度を待つておるわけには行かない。そういう意味で、過渡的な意味におきまして、とりあえずこの恩給法改正、そのベース改訂に伴う一つの実質の給與増額ということが当然必要になつて来ると思うのであります。そういうきわめて過渡的な意味におきまして、われわれはこの法案の実現が一日も早からんことを切望するものでありまして、この理由でこの改正案に対して全面的に賛成するものであります。
  18. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  19. 鈴木明良

  20. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に通商産業省設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑はありませんか。——質疑がなければ、この際委員長手元修正案提出されておりますので、提案者より修正案説明を願いたいと存じます。玉置信一君。
  21. 玉置信一

    玉置(信)委員 それでは通商産業省設置法等の一部を改正する法律案修正案提出理由を簡單に御説明申し上げます。  一、通商産業省設置法改正案中、(1)輸出信用保險法及び輸出信用保險特別会計法施行に伴い、その経理事務通商振興局経理部において所掌せしめるため、所要修正を行い(第一條中、第七條及び第九條)通商産業局においても輸出信用保險事務を取扱わせることの規定を加えること。(第一條中、第二十四條)(2)今後貿易公団全面的縮小が予想されるので、政府輸入業務臨時通商業務局に所掌せしめるため、所要修正を行うこと、(第一條中、第十五條の二第一号)  二、工業技術庁設置法改正原案中、(1)工業技術協議会委員任命権者を、国家公務員法原則従つて工業技術庁長官とすることに修正すること、(第二條中、第六條第六項)  三、改正原案附則中、(1)この改正原案施行期日昭和二十五年四月一日であるのを、公布の日より施行するに修正し、附則第二項、第三項の規定は、商工資材事務所廃止の時期である昭和二十五年四月一日にさかのぼつて適用することに改める。(附則第一項)(2)右に伴い商工資材事務所職員に対する恩給法準用規定である附則第二項中、「この法律施行の際」を、「昭和二十五年三月三十一日において」に修正する。(3)またこれに伴い商工資材事務所の物品を都道府県に無償譲渡する規定を加える。従つて改正原案附則第三項を第四項とする。  右のように修正せんとするものであります。なおこの設置法の一部を改正する法律案内容につきましては、お手元に配付してありますものを速記に載せることを御了承願いたいと思います。
  22. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて修正案説明は終了いたしました。これより討論に入ります。風早八十二君。
  23. 風早八十二

    風早委員 この通商産業省改革につきましては、かねがね本委員会において、また通商産業委員会との合同委員会においていろいろ質疑がなされまして、われわれもこの質疑に参加したわけでありますが、どうも政府の御答弁を承りますと、いよいよわれわれのこの改革に対する一つの疑問が深まらざるを得なかつたわけであります。その根本点は、つまり現在の吉田内閣のやろうとしておる一つにおきましては、いわゆる手放し自由経済吉田内閣手放し自由経済とは言われないのでありますけれども、事実上次々に統制をはずして行く、その場合におきまして、その統制をはずす用意というものが一方においてなされておらない。これは石炭の場合におきましても同様でありまして、今回炭管局石炭生産局炭政局一本にする、これもまだはつきりしておらない。いわゆる石炭国管のあの制度廃止というふうなものをあらかじめ前提にしておられますが、これは大問題であると思う。そういうものを前提にして、かつてにその想定せられたる政策に順応するように機構をかえて行く、この点は至るところに出ております。電力局におきましても、これを大いに今度は縮小されるわけでありますが、結局これもレギユラトリ・ボデイーというようなものがやがてできて行くであろう、こういうことをあらかじめ前提にしておられる。しかしこれとても今おそらく全野党並びに自由党の諸君の中にも、相当数これに対しては非常に疑問を持つておる人たちが多いのでありまして、そういう状態であらかじめ政府が一方的にそれを想定して、それに順応するようにこの機構改革をしておられる。こういうふうな点を見ましても、はなはだ今回の改正はその趣旨においてわれわれ疑問を持たざるを得ないのであります。  第二には、この改正日本国内産業発展というものと、いわゆる貿易というものと、この二つの関係におきまして、言いかえれば国内市場を開発して行くか、国外市場を第一にするか、この点におきまして、政府はつきりと国外市場第一主義貿易第一主義ということを答弁しておられる。これは実際問題としまして、今まで戰前のわが国経済の失敗を証明した方向なんでありまして、戰後においてやはりそれをとろうとしておる。現在吉田内閣至つてそこにだけしがみつこうとしておる。これは根本的にひとつ改正なさる必要があるのではないかということをわれわれは政府に対して質問いたしたのでありますが、政府は全然反対だ、やはり貿易第一主義だというようなお話でありました。その結果は今までの低賃金、低米価、さらに重税、また労働強化といつたようなこの国内購買力をいずれもますます縮めて行くような方向が、依然として続けられておる。その基礎の上にこの国際市場への発展ということがなされる。それでもつてなおかつ貿易がやられれば、それでさしつかえないのでありますけれども、その結果貿易は事実行き詰まつてしまう。どこに貿易の行き詰まりがあるかと言えば、結局そこにあるのだというわれわれの見解からいたしましても、根本的に吉田内閣貿易第一主義というものには疑問を持たざるを得ない。ましてやこの貿易というものが、現在はただそういう経済的な面からだけ見られるのではなくして、われわれかねがね指摘しておりますように、これが東南アジアを中心にした、いわゆる軍事基地化というものの建設のための、資材のやりとりというところに、非常にそういう方向に急速に向いつつあることを考えれば、なおさら非常に疑問を感ぜざるを得ない。ところがこういう意味での非常に危險を含んだ貿易第一主義というものを前提にせられまして、それを基礎にしていわゆる臨時通商業務局のごときも考えておられる。その点でまずこの機構改革前提になる政策反対であると同時に、それに順応せんとするこの機構改革には反対せざるを得ないということであります。さらに第三には工業技術庁の問題であります。これとても工業技術庁を拡張せられることは一概に私どもは否定しません。これがしかしながら、その職員技術者に対して十分な恩恵になる、つまり技術者の待遇を改善する、技術を大いに向上させるという意味で、増員なりまた費用の増額なりが実際に行われるならば、これは非常にけつこうなことだと思います。しかし今回の工業技術庁の拡張ということは、明らかに外国からの技術導入、特に特許関係のいろいろな権利、特許権の使用というふうな方向でなされる外国技術導入、その趣旨が根底にあるということは、これは説明をまつまでもなく明らかになつたところでありますが、そういう意味で、これもまた今政府がやつておられます外資導入第一主義のその同じ問題をそこに持つておるのではないかという意味で、われわれは容易にこれに対しては賛成をしがたいのであります。  最後に経済調査特に産業調査の問題がある。政府はこの調査統計部というものを縮小せられる。縮小というのは、つまり原局にそれを配分して結局は縮小せられる。全体の数が少しばかりふえると言われますけれども、実際に調査統計部として残るところは三分の一くらいに縮小せられてしまう。そういうような状態になりまして、その結果調査統計部で働いておる人たちの訴えによりましても、それでは実際まじめな調査ができない。また総合的な調査ができない。原局にやられればいろいろな弊害がありまして、事実また現局では調査統計事務に携わるというよりも、ほかの仕事に追いまわされるという危險が多分にあるそうでありまして、そういつた危險を冐して、わざわざこれを縮小して行くということにも非常な問題がある。思うにこれはやはり現在吉田内閣がとつておられます産業統計調査、こういうものに対する非常な無関心、冷淡、こういうところに問題があるのではないかと思う。これらは一々これを申し上げる必要もありません。その調査によつて実態が明らかにされたという場合に、これが発表を禁止される、あるいはまたその見解がいささか現在のドツジ・ラインにそれておる、しかしながら実際国民の必要からドツジ・ラインの修正という線が出て来る、そうなればやはりこれを押える。こういうふうにして実態を明らかにし、その上に立つて政策を立てて行くという場合に、その実態を明らかにすること自身に対して非常に恐怖を持つておられる。そういつたようなことではとうていまじめな政策は行えないと思うのでありまして、今回の調査統計部の改編を通じても、やはり吉田内閣の性格の一面が現われておる。そういう意味でもこれははなはだわれわれの賛成しがたいところである。  以上のいろいろな理由を総合いたしまして、結局この機構改革の根底にある、そのためにやられるというその目的である政策そのものに対して、われわれは全面的に反対せざるを得ない立場から、そういう政策に順応せんとするこの機構改革には全面的に反対せざるを得ないわけであります。これがわれわれ共産党の本案に対する反対理由であります。
  24. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に飯塚定輔君。
  25. 飯塚定輔

    飯塚委員 ただいま共産党の風早君からいろいろこの法案改正に対して御懸念があるようでありましたが、私は自由党を代表してこの改正案に対し、すなわちただいま出ました修正案賛成し、さらに修正部分を除いた原案に対して賛成の意を表するものであります。  理由は、きわめて簡單に申し上げますが、この提案理由説明をせられましたときにもよくおわかりのことと思いまするが、通商産業省の任務、権限、組織等を整備する必要がある。従つて風早君がただいま御懸念されたように、その背後にある自由党、現内閣政策、これは決して御懸念のようなことは私は絶対にないと思います。それを実現するためにこの改正を必要とせられたのでありますから、この点は絶対に御懸念がないと思います。この意味におきまして、私は簡單でありますけれども賛成の意を表するものであります。
  26. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に鈴木義男君。
  27. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 社会党はこの改正案に対して賛成いたしかねるのであります。幾多の点において不満でありまするが、ことに石炭行政機構あるいは中小企業の機構改革につきましては、はなはだ不十分である。またわれわれの主張と反するものがあるという意味において反対いたすものであります。どういう理由で反定するかということを説明申し上げますると長くなりまするから、わが党の議員から質問をいたしまする際にその所見を申し述べておいたのでありますから、これを援用して反対理由にいたします。
  28. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。まず修正案について採決いたします。ただいまの修正案について賛成の方の御起立を願います。
  29. 鈴木明良

    鈴木委員長 起立多数。よつて修正案は可決いたしました。次にただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。原案賛成の方の御起立を願います。
  30. 鈴木明良

    鈴木委員長 起立多数。よつて本案はただいまの修正案通り修正議決いたしました。     —————————————
  31. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に経済安定本部設置法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑はありませんか——質疑がなければこれより討論に入ります。討論の通告がありますから順次これを許します。風早八十二君。
  32. 風早八十二

    風早委員 簡單に申します。私は日本共産党を代表してこの安本の機構改革反対意見を表明するものであります。  安本は、特に大事なことは長期計画の立案というところにあると思うのでありますが、そういうものは一体これからどうなるのであるか、こういう点が最近においていよいよ不明確になつた。ことに長期計画について昨年末期に相当なものが出たわけであります。しかしながらこれが発表まぎわになつて発表せられなくなつたというようないきさつもある。そのときの稻葉秀三君なんかもそのためにやめてしまつた。その問題の本質は、結局ドツジ・ラインというものに対してどうしてもこれでは日本はやつて行かれないのだ、これはおそらくどの政党を問わず皆さんひとしく感じられておることだと思います。その点についての具体的なデーターを出しまして、これに対する新しい——ほんのわれわれから見れば問題にならないような修正でありますが、その修正見解をそこにほのめかしたというだけで、もうそれはどうにもならない、こういつたようなまつたく自主性のないやり方で、長期計画も何もあつたものではないのであります。一体安本というものは、そういう意味でははなはだ問題になつて来る。もともと調査系統は、具体的に言えば社会党の和田博雄氏系統の一つの色彩がずつとありまして、社会党の色彩がある。これがやはり自由党吉田内閣としてはいろいろさしさわりがあるらしい。そういう点で順次これを縮小して行こう。とかく世間でも池田大蔵大臣と青木安本長官——青木安本長官は決して池田大蔵大臣と対立するというわけではないのでありましようが、それでも常識的に世間ではみんなその二つを対立させている。どうもいつも安本は旗色がわるい。みんなこれは社会党調査系統、ことに長期計画の立案、こういうものに対してとかく冷淡であり、また無関心であり、場合によつてはせつかくそれが出て来ても、これはその趣旨に反するというので禁止してしまう。こういつたやり方で安本の運営がはたしてうまく行くかとわれわれは考えるのであります。結局手放し自由経済というものの当然の帰結として、安本というものはおそらくいらなくなるわけであります。そういうような方向は現在の日本の実情に照しまして、決してこれは有益なことではないとわれわれは考えるのであります。この点で今回のこの改正に対しても、一々どこをどうというようなこまかいことは省きますが、はなはだわれわれは疑問を持つものであります。ことにこの改正を機として首切りが行われる。全体として二千四百名も首を切られるということになる。しかも首を切るならば切るで、ほんとうに合理的な理由があり、実際にそれでもつてあとがさしつかえないように、同等以上の仕事が運営できるというならばともかくでありますが、そういうような点で非常に調査系統あるいは計画立案の事業そのものを縮小して行くという傾向が明らかに出て来ておるのであります。その意味でもこれははなはだ問題である。しかも下級の職員諸君はどんどんと首を切りながら、次長級など高級の官僚はかえつて増員するといつたようなことをやろうとしておる。これなどは明らかに戰後第一次の吉田内閣のときにすでにこういう形が出て来たわけでありまして、高級官僚のいすをどんどんふやしておる。実際においてそれらの人たちのふえる割合というものは、下級官僚の、実際に仕事をする職員たちのふえる割合をはるかに凌駕してふえておる。こういう形がまた今度も出て来ておる。これではほんとう吉田内閣の言われるいわゆる行政整理、縮小簡素化、こういう点からいつても矛盾しないか。いずれにしましても、われわれはこういう多数の職員をいわれなく首にし、それによつていわゆる自由経済というものを裏づけて行くための機構改革をやる。こういう根本的な行き方に対して絶対に反対であります。個々の点は今一切触れないことにいたしますが、これらの根本的な吉田内閣の行き方に対して、われわれは反対でありますがゆえに、この機構改革に対しても全面的に反対の意思を表明するものであります。
  33. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に飯塚定輔君。
  34. 飯塚定輔

    飯塚委員 行政機構改革、その機構簡素化については今の内閣ばかりでなく、前々から相当重要な問題として取上げられておつたのであります。ことに現在経済情勢の推移に応じて、経済安定本部の中央及び地方を通じての機構簡素化をはからんとするのでありまして、これは自由党としては全面的に賛成する次第であります。きわめて簡單でありますけれども、私は自由党を代表して本案賛成するものであります。
  35. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に鈴木義男君。
  36. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 社会党はただ行政機構簡素化あるいは改革というだけで足りる問題でなくして、きわめて重大な国家政策を含んでおる問題でありますから、理由はすでに質問の際にも申し上げたので省略いたしますが、この改革には反対いたすものであります。
  37. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて討論は終局いたしました。ただちに採決いたします。本案賛成の方の御起立を願います。     〔賛成起立
  38. 鈴木明良

    鈴木委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本日採決いたしました三案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  40. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に海上保安庁法の一部を改正する法律案議題といたします。この際運輸委員上村進君より発言の申出がありますので、これを許したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議なければさようとりはからいます。上村進君。
  42. 上村進

    ○上村進君 この前に林委員が大体質問したのでありまして、補充的な役割を仰せつかつておつたのですが、その機会を得ませんでしたので、簡單にここで質問をしたいと思うのでございます。  大体この海上保安庁はいろいろの点からいたしまして、海軍の機構を培養するのではないかというような懸念もあるわけでありまして、それらの方面から二、三点質問してみたいと思うのです。まず第十六條の字句の問題から質問したいと思いますが、第十六條に「又は非常事変に際し、」という文句がありますが、この非常事変というものの種類と、それから一体事変が海の上で起きた場合か、もしくは陸の上で起きた場合か、こういうことが法文の上ではつきりしておりませんので、この点を明確にしていただきたいと思うのであります。
  43. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁は海上保安庁法の第一條におきまして、「港、湾、海峡その他の日本国の沿岸水域において」というふうに海上保安庁の行政所掌範囲を明確にいたしておりますが、その範囲に起きました事変でございます。
  44. 上村進

    ○上村進君 そうすると港といいましても、水面も港ですし、陸上のある一部分も港というふうに解するのが常識ですが、今のお答えですと陸上は入らぬということになるのでしようか。
  45. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 港の範囲は、別に港域法によつて一定の水域を港ということにとりきめております。それぞれ各港湾において具体的に一線を引いておるわけであります。その範囲内でありまして、陸上には及ばないわけであります。
  46. 上村進

    ○上村進君 次に、事変に際し必要があるときは、付近にある人及び船舶に対して協力を求めることができるという文句がありますが、これをこの際はつきりしておきたいと思います。付近というのは一体どの程度のものであるか、付近の範囲、それから「人及び船舶」というのですが、これもどうもはつきりしていない言葉であります。どういう人なのか、また船舶といえばどういう船舶に対して言うのか、これらの点をはつきりしておいていただきたいと思います。
  47. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいまの御質問の、第十六條の「附近にある人及び船舶」と申しますのは、たとえば従来経験いたしました事案から申しますと、デラ台風その他の台風による大災害でございますとか、かような場合におきましては、どういたしましても、海上保安庁の職員だけでは十分な救護ができないわけであります。そういう場合におきましては、その付近にあります人あるいは船舶の出動を求めて救済をする、かようにいたしたいと考える次第であります。
  48. 上村進

    ○上村進君 その付近というのは結局常識で考えるわけでしようが、法文の上においては、やはり解釈をはつきりしておく必要があると思うのですが、そうするとこの付近の範囲ということは考えていないわけですか。
  49. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 デラ台風の場合には、相当広範囲な水面において海上の災害が突発いたしたわけであります。そのような場合におきまして、船舶はもちろん海上でありますが、人といたしましては、場合によりまして、一部陸上にある人に対しまして、救助のために協力を依頼するということはあり得るかと考えます。
  50. 上村進

    ○上村進君 次に二十條ですが、この海上保安官の武器の使用ということがありますが、この武器はどういう種類でございましようか。
  51. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁法におきまして、海上保安官は武器を携帶することができることになつております。それは携帶武器に限られておるわけであります。現在といたしましては、拳銃をもつて海上保安庁の武器といたしております。
  52. 上村進

    ○上村進君 そうすると、今海上保安庁に用意されておる武器はピストルですが、その彈薬とかそういうものはどういうふうになるわけでしようか。その武器の数量、彈薬、そういうものの数量はどのくらいの予定でしようか。
  53. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 拳銃は海上保安庁全体で二千ちよう裝備いたしております。彈丸はそれに必要なる彈丸を用意しております。
  54. 上村進

    ○上村進君 次に三十五條の二の「航路啓開所は、機雷その他航路障害物の除去及びこれらの処理を行うための機関とする。」現在は相当機雷があるからこれを片づけるということについて航路啓開所を設ける必要があるのですが、この掃海をいつ終了するか、そういう見通しはどういうふうになつておりますか。
  55. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 瀬戸内海その他日本方面に投下されております機雷は三種類ありまして、水圧機雷と音響機雷と磁気機雷でございます。このうちの水圧機雷と音響機雷はすでに自滅しておるものだと判断をいたします。しかし磁気機雷はなおいまだ有効に作用いたしておる次第であります。しばしば触雷船舶を出しまして、多数の人命の損傷があるわけであります。この機雷の年限は一応五箇年と想定いたしまして、現在まで掃海を続けて参つたのでございますが、現在の見通しにおきましては、なお数年間はその生命が続くのではないか、かような判定をいたしておる次第であります。
  56. 上村進

    ○上村進君 そうするとその機雷の掃海が完了するという見通しは、結局何年後でありますか。
  57. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 掃海作業は、今後における掃海のために必要たる予算がどれだけとれるか、あるいは掃海部隊の整備がどれだけできるかということと関係いたしますので、その終期をここに明確に申し上げることはできないのでありますが、私どもは一日も早くこれに必要なる多額の所要予算を頂戴をいたしまして、一年でも早くこの掃海を完了いたしまして、海上における人命の安全に資したい、かように存じておる次第であります。
  58. 上村進

    ○上村進君 それから航路障害物の除去という言葉ですが、これはわれわれしろうとでよくわかりませんが、航路啓開所を設けて、職員をおいて、機雷その他の障害物を除去するという、その障害物はそんなにあるものでしようか。その具体的な例はどういうものでございましようか。
  59. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 日本の近海には、戰争の際の船舶の沈沒障害がまだ相当多数残存しておる次第であります。最も重要なる航路に関係しておるものから逐次これを引揚げ、解決をいたしておりますけれども、なおいまだ相当の障害が残存しております。それらの戰争原因による沈没船舶あるいは終戰後いろいろなものを投下いたしました物資その他のものが、航路水域にあたつて沈んでおる次第であります。
  60. 上村進

    ○上村進君 そうすると、大体は戰争のための障害物の除去ということになるのですが、この航路啓開所の設置というものは暫定的のものということになるのでありましようか。
  61. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 航路啓開所のうちの機雷に関するもの及び戰争原因による沈没船舶の引揚げは暫定的のものであります。ただそのほかにその後の、たとえば衝突をして沈没いたしました船が出ましたり、あるいは海底に不測の岩礁その他が出て参つたりした場合におきましては、その他の事案が起ることもあり得るわけであります。
  62. 上村進

    ○上村進君 それから三十五條の三でございますが、一番末項の方が「第三條第二項に規定する職員の総数に含まれないものとする、」こういうふうになつておりますが、先日長官の説明によると、この含まれない職員というものが約一万名ある。そしてそれがおもに海軍の出身の者であるという説明だつたと思いましたが、それはそういうふうに承つてよろしゆうございましようか。
  63. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁は従来の海上保安庁法によりまして、総人員のわくを一万人と限定されておるわけでございます。今回の予算によりまして、約八千六百人程度おるわけでありますが、その実員のうちで、航路啓開所に置かれておる職員約二千名足らずであつたのでありますが、その職員はそのわく外である、かような意味でございます。
  64. 上村進

    ○上村進君 そうすると二千名というわけですな。——その二千名がおもに海軍の軍人だつたということは、そう承つてよろしゆうございましようか。
  65. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 さようであります。
  66. 上村進

    ○上村進君 そうすると、今後も予算を離れて、その二千名の範囲においては、自由にそういうふうな雇入れができるということでございましようか。
  67. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 これは自由であるという意味ではないのでありまして、航路啓開に関連する職員の数は、機雷の掃海の完了に従つて逐次減少の一途をたどつておるわけであります。この方の職員は一日も早く機雷掃海の終了とともに解消するであろう、かような考えであります。
  68. 上村進

    ○上村進君 なおこの際確かめておきたいのですが、海上保安庁の海軍化というような心配が外国においてもあるようなわけですが、その点はつきりしておかなければならぬと思いますが、この海上保安庁の職員を将来雇い入れる場合に、つまり海軍軍人というものに対する考慮といいますか、そういうことはどういうふうに保安庁ではお考えになつておいででございましようか。
  69. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海軍軍人の処理につきましては、一般の追放者の処理と別にかわりはないのでありまして、新しく採用いたします者も、国家公務員法、あるいは従来における追放関係の諸法規にならいまして扱うわけであります。
  70. 上村進

    ○上村進君 私が質問しておるのは、つまり海軍軍人であつた人たちの優先的雇用ですか、そういつたことについてのお考えを聞いておるわけです。
  71. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 優先採用その他の考えは毛頭持つておりません。
  72. 上村進

    ○上村進君 最後にもう一点お伺いしたいのですが、この海上保安庁の取締りの範囲の中に、海上のいろいろ犯罪取締りがあるのですが、そのうちで操業侵犯、遠洋漁業者が近海に来て捕獲をする。すなわち操業侵犯ですが、これに対してはなはだこの取締りが緩に過ぎて、近海漁業権者の利益が侵犯されがちであるという事実があるのでございますが、それらに対する保安庁の方針はどういうふうになつておるのでございましようか。
  73. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁が検挙をしました諸犯罪のうち、密漁は最も多数の分野を占めておる次第であります。海上保安庁はいかなる法規違犯といえども、これを仮借することなく、できるだけまじめな沿岸零細漁民を保護するという考えに立つておるわけであります。
  74. 上村進

    ○上村進君 それが実際の場合においては、その非常にまじめな取締りとも見られないようなものがある。これは昨年のできごとでありますが、鹿兒島沖でございました。トロール船が来まして、それをこの近海漁業者の方でみずからとつつかまえて、海上保安庁にとにかく突き出したのです。たいへんの漁をしたのですが、結局それはわずかに二千円ばかりの罰金で済んでしまつた、こういうことになつておる。そうするとこれは大仕掛の侵犯をやろうと思えば、金二千円出せばいくらでもできるというような形になつて、結局この領域を侵して侵犯したものが勝ちになつて、そのために近海漁業者が非常に迷惑しておるというのですが、こういう事実はあつたのでございましようか。
  75. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま御質問の中の、犯罪の刑罰の量定の問題は、司法機関の行う職権でございまして、海上保安庁は法律違犯があると認めました場合におきましては、それを検挙いたしまして、それぞれの司法機関にこれを送致いたすわけであります。海上保安庁といたしましては、いやしくも法規違反に対しまして、仮借するということは考えていないわけであります。
  76. 上村進

    ○上村進君 よろしゆうございます。
  77. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——質疑がなければ、この際運輸委員会よりの申入れの件を御報告いたします。  運輸委員会の申入れの件は、お手元に配付いたしてありますように、管区海上保安部の位置を、大阪市を神戸市に、福岡市を門司市にいたすとともに、六海上保安管区を七海上保安管区といたし、舞鶴市に管区海上保安部を置くというものであります。  ただいまの運輸委員会の申入れの件につきましては、種々御意見もあるようでありまするから、一応その趣旨は承つておくことといたし、その決定はしばらく延期いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  78. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。     —————————————
  79. 鈴木明良

    鈴木委員長 労働省設置法等の一部を改正する法律案経済調査庁法の一部を改正する法律案及び建設省設置法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。御質疑はありませんか。——質疑がなければこの際お諮りいたします。経済調査庁法の一部を改正する法律案及び建設省設置法の一部を改正する法律案について、建設委員会より連合審査会を開きたい旨の申入れがありますので、建設委員会と両案について連合審査会を開きたいと存じますが、御異議ありませんか。
  80. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議なければさよう決定いたします。なお連合審査会は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時一分散会      ————◇—————