○橋本(登)
委員 実は大臣の御出席を待
つて御
質問申し上げたいのでありますが、とりあえず明日大臣からお答えを聞くといたしまして、お聞きおきを願いたいのであります。最近の新聞の記事に掲載されたのでありまするけれ
ども、行政改革審議会の小
委員会において、行政機構の簡素化の問題が結論に達したということが報道せられております。また内閣にある電信電話
事業の復興審議会の小
委員会においても、本
委員会に
関連したような事項である電気通信
事業の
事業体をどうすべきかということが諮問に付せられて、その小
委員会においても公共企業体に移るべきである、こういうような結論に到達したということを聞いておるのであります。結局この両
委員会とも結論は同一でありますけれ
ども、その
理由とするところはあるいは相違があろうと思いまするが、共通的な観点から言えば、大体次のような
理由が根本の
理由であろうと思うのであります。
一つは、国家公務員法の施行によ
つて、国営の現業
事業を行う従業員にと
つても、いろいろな拘束が生れてきてお
つて、その間に官業事務としては
相当に困難なことが伴
つて来ておる、これが
一つ。
第二には、電信電話の急速なる復興を実施するということが、産業の振興の上においても最も重要であるということから、これに関する他の
委員会においては、少くとも四百万個の電話が必要である。
従つて現在百万個であるから、三百万個不足しておる、こういう結論が出ておるそうでありますが、そういうような急速なる復興ということから、こういう問題が、国営
事業ではなかなか
予算の均衡上困難であるというような
意味において、公共企業体が言われておると思うのであります。
第三に、
従つてこれに
関連しての建設資金の問題であ
つて、
民間あるいは外資導入、こういうようなことが公共企業体によ
つて開かれるのではないかという観点が、第三点であります。
第四には、運営上官業としては、従来の経験から
考えて見ても、なかなかサービスその他の点においても十分なことが行き届かない。
従つてこれを民営的な公共企業体に移すことによ
つて、従来の欠陷を補うことができる。こういう
意味においての
理由がおもなる
理由とな
つて、公共企業体に移すべしという
意見が生れているようにわれわれも
考えるのであります。
これは
もちろん本
委員会が直接にタツチすべき問題ではないのでありますけれ
ども、しかし電気通信省所管の国政事務を取扱
つている本
委員会としては、電通省あるいは内閣において、こうした問題が論議せられておるということを、そのまま見のがすことはできないのであります。
従つてこの公共企業体に移すべしということについての大臣の御
意見を、まず第一に聞きたい。
それからわれわれから
考えますれば、鉄道及び專売公社が公共企業体としてすでに発足しておる。この
事業の類似性という点から
考えると、当然に電気通信
事業のごときも、公共企業体に移すべきものであるというようにも
考えておる。この点についても同じく大臣の御
意見を聞いておきたい。
並びにこういうことがもし当局においても
考えられ、世論においても一応問題として取上げられておりますならば、この問題を、法規が許すのでありますれば、あるいは非公式でもけつこうでありますけれ
ども、何らかの形で本
委員会で取上げることを、当局においてはお
考えがあるかどうか。こういう点を大臣にお聞きしたいのでありますが、明日大臣御出席の上でお答えを願
つて、あらためて大臣にさらに
質疑を続行したいと思うのであります。
なお先般私が
放送法案についての
質疑を申し上げましたが、ただいま
中村委員から具体的に
種々なる御
質問がありましたので、あるいはダブるところがあるかもしれませんけれ
ども、先ほど来問題とな
つておりますところの
国会の審議権の問題、いわゆる
放送協会に対する
国会の
監督権の問題について、さらに御
質疑を申し上げたいと思うのであります。私はここで憲法論あるいは法制論をお聞きするのではなくて、社会通念として、または政治通念としてお聞きしたい。これは政務次官あるいは
電波庁長官からお答え願いたいのですが、第一には、先ほど
中村委員から
お話もありましたように、
日本放送協会は
社団法人として発足して、今日その
資産は二十億以上になるといわれておるのでありますけれ
ども、これが当時の出資価額によ
つて解散をせられまして、公共企業体になるわけであります。しかし
もちろん
国民一般の
聽取料といいますか、そういうものによ
つてできたのでありますから、こうした
法律的手段によ
つて移されるということについての
国民の輿論は、特に悪意を持
つての輿論はないと
考えますけれ
ども、ただ私はもし公共的な国の仕事をしておつたこうした
社団法人式な団体が、
法律一本によ
つてその財産が一種の公共企業体として取上げられる形になるとしますと、新聞のようなものも、営業税を免除せられ、あるいは広告税を免除せられて、一種の公共的なことを
目的とする営業体でありますが、こういうものまでもこのような
法律的手段によ
つて、
政府に統制せられる危險がないとは言えないと思います。
もちろん
放送協会のごときは單一の機関でありますから、その点は簡單に移行できるのでありますけれ
ども、新聞社のごときはそう簡單にこれを移行することはできないのでありますが、一応法制的な
建前から言うならば、社会公共のために存在するものは、こういうような
法律によ
つていつ何どきでも取上げられるというような危險を及ぼすことは、これは重大な問題であると思う。しかもこの
放送法案の中において、先ほど来
電波庁長官は、聞くと聞かざるとを問わず
聽取料をとられる、こういうふうに御説明がありましたが、
もちろん実際的にはそういう形において
聽取料はとられるけれ
ども、法文の上においては、聽取する契約を締結した者から徴収する。つまり
受信料という言葉を使
つておられる。であるから、この点から言いますならば、まつたく純民法的の手段によ
つて、
民間契約として
成立つておらなければならない。このように民法的な規定を準用しておられるが、現在新聞社が新聞を発行し、これを購読せしめることも、
もちろんこれは契約行為である。そこで現在の社会情勢、政治情勢から
考えて、新聞社に対してそういうような強力な手段が行われることは、われわれも
考えおりませんけれ
ども、しかしこの
法案の根本論から
考えるならば、そういう危險も内在しておることは言うまでもないところであります。
従つて私は、この
放送法案なるものが、こういう形において公共体に移すことについての反対
意見ではないのでありますけれ
ども、この点についてまず
政府の明らかなる方針をお伺いしたい。
第二には、先ほど申し上げましたように
放送協会の今日の実態は、
政府の育成あるいは補助によ
つて、今日の機構に拡大せられたのではなくして、まつたく
放送協会社団法人の努力によ
つて、今日のごとく機構を
拡充したのであります。であるから、従来行われておつたことがもし営利的な傾向があり、あるいは公共福祉の観念にもとるところがあるのであるならば別ですけれ
ども、従来の経営の上においてそれらにもとるところがないならば、何を苦しんで
国会に対して一種の負担をかけるごとき、いわゆる
国会の干與権というものを
法律によ
つて規定するのか、この点についてわれわれとしてとうてい認めがたい。こういうことが行われることになると、いわゆる民主化という名によ
つて、
国会に多くの負担をかけるのみならず、その責任を
国会に押しつける
法案である。今日は
もちろん従来の
国会と違
つて、いろいろな権限が與えられておりますけれ
ども、こうしたこまかい問題に関してまで
国会に責任を負わせるという
考え方は、これは民主化の名に隠れたる責任の回避であるというように
考えざるを得ないのであります。またこの問題に
関連して、料金は三十五円と
法律によ
つて規定するということが
法案に出ておりますけれ
ども、従来は鉄道及び電信、電話の料金にしても、
法律によ
つて規定しておらなかつた。ただ戰時中における特殊の態勢、並びにその後の物価騰貴にかんがみて、
政府の低物価
政策という手段によ
つて、こうした賃金がきめられたのであ
つて、
もちろん名目としては
国民の間からとるベきものであるからして、
国会の
承認を求めることが妥当であるという形式論が行われておりますけれ
ども、実際上の必要から言うならば、戰時態勢と物価騰貴に対する
政府の低賃金
政策の現われであります。しかし今後物価の高騰というものは、少くとも現在の情勢から見ればあまり
考えられない。逆に言えば、今後は物価は
相当に下落を告げるのではないかと思われておる。しかるにこのような傾向を持ちつつあるのにかかわらず、年一回、もしくは臨時議会を開いても年二回
程度しか開かれない
国会において、料金を
法律によ
つて決定するということは、逆に高い料金を
国民一般に課せしめる結果を招来するのであります。それであるからして、先ほどの説明では税金の性格を持つから、
国会にこうしたものをかける必要があるという
お話でありますけれ
ども、私は税金の性格を持
つておるとは
考えられない。これは契約による民法的手段である。それであるからして、少くとも
文化の機関であるこうしたものに対しては、できるだけ
経済面においても、あるいは経営面においても、自主性を保たせるためには、
法律上のそうした拘束はできるだけ制限したい。そうして公共企業体としての独自の
立場からして、できるだけ自由なる活動を求めることが、やはり
文化国家として必要である。こう
考えるのでありますが、以上の点についての当局の明快なる御判断とお答えを願いたいのであります。