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1949-12-08 第7回国会 衆議院 通商産業委員会経済安定委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月八日(木曜日)     午後二時二十四分開議  出席委員   通商産業委員会    委員長代理理事 村上  勇君    理事 小金 義照君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君       阿左美廣治君    門脇勝太郎君       小西 英雄君    多武良哲三君       坂本 泰良君    風早八十二君   経済安定委員会    理事 永井 英修君 理事 南  好雄君    理事 森   曉君 理事 笹山茂太郎君    理事 米原  昶君 理事 金光 義邦君       井手 光治君    福井  勇君       細田 榮藏君    森山 欽司君       田中不破三君    岡田 春夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  稻垣平太郎君  出席政府委員         (通商化学局         長)         通商産業事務官 長村 貞一君         資源庁長官  進藤武左エ門君         経済安定政務次         官       西村 久之君         (動力局長)         経済安定事務官 増岡 尚士君         (物価庁第三部         長)         経済安定事務官 川上 爲治君  委員外出席者         通商産業事務官 武内 征平君         経済安定事務官 中川 哲郎君         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     大石 主計君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君         経済安定委員会         專門員     菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電力行政に関する説明聽取     —————————————
  2. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 これより通商産業委員会経済安定委員会連合審査会を開会いたします。  本日は私が主たる委員会委員長職務を行つておりまするので、本連合審査会委員長職務を行います。御了承を願います。  ただいまより電力行政について当局より説明聽取の件を議題といたします。現在の電力行政の問題の中心は、電気料金に関する事項でありますので、まずこれについて政府当局より説明を求めます。川上物価庁第三部長
  3. 川上爲治

    川上政府委員 新しい電気料金につきまして、従来の大体の経過と、それからまさに実施しようとしておりますその内容につきまして、簡單に御説明申し上げます。  ことしの四月以来司令部の方といろいろ相談をして参つたのですが、物価庁最初の案としましては、二十四年度二百二十五億キロワットアワー電力量を出すために、石炭をたく割合としましては四百六十五万トンをたくことといたしまして、大体現行料金の四割五分九厘の案をもちまして、司令部の方といろいろ折衝をして参つたのであります。その根本の考え方としましては、従来とほとんどかわらないような制度をとりまして、すなわち電力料金につきましては夏、冬二本といたしまして、電燈料金につきましては、全国一律で行く。それから電力料金は従来三つ段階にわけていたのでありまするが、これを大体四つの階段にわける。最高その開きを三〇%以内程度地域差を設けるという考え方で、かつまた現在やつております期間常時電力料金とか、あるいは特殊電力料金、こういうものもやはり見て行くというような考えで、司令部の方と折衝をして参つたのであります。ところが十月の末になつて司令部の方から電力供給増強するためには、従来やつておりましたようなやり方では、なかなか火力の方も増強できないし、この際根本的に改むべきであるというような考え方から、お手元に差上げてあります新しい料金についての試案が出されて参つたわけであります。その試案内容簡單に申し上げますと、大きな問題としては、従来この地域差というのを、先ほど申し上げましたように、三〇%の範囲内で大体三つの階級にわけてやつてつたという点でありますが、これは今回においては各地区を九配電会社地区にわけまして、大体その地域におきますコストを中心として、それに比例するような地域差を設けてあるわけであります。  それから第二の点は電燈についてもあるいは電力料金についても夏冬の差を設けておりまして、冬場においては夏場におきますのとその料金をかえておるのであります。  それから第三の点は従来期間常時電力とかあるいは特殊の電力を認めていたのでありますが、今回期間常時等についてはほとんど認めてないということになるわけであります。  それからこれは根本的な問題ではありませんが、十五日以内に電力料金支拂うと一割引するというようなことになつております。そういうふうに従来と根本的に考え方が違つておるのでありますが、要点は火力をうんとたいて電力量を増すという点にあるわけであります。これにつきまして、物価庁としましては、いろいろ関係方面と御相談いたしまして、はたしてこういう制度で行けるかどうかというような点について、いろいろ検討をいたしていたのであります。  まず一番に問題になりますのは地域差の問題であります。大体その地区生産原価標準としての地域差ということになりますと、たとえば九州でありますとか、あるいは中国でありますとか、あるいは北海道でありますとか、そういう方面におきましては相当地域差になりますので、これはその地方の産業に対しまして、あるいは民生に対しまして非常な影響があるということで、その影響につきまして、向うに対しましても、もつと地域差を狹くできないかどうかということについて、いろいろ折衝をいたしたのであります。これもお手元に配付してあると思うのですが、地域差につきましては、現行料金で行きますと、小口電力におきましては需用電力を五十キロワット未満ということにしますと、北海道百四十、東北か百二十六、関東が百二十四、中部が百二十九、北陸が百二十二、関西が百三十八、中国が百四十八、こういうようなことになつておりまして、九州が百五十二、九州北海道あるいは中国という方面相当高いわけであります。まだ大口電力につきましては、需要電力五十キロワット以上といたしまして、北海道が百三十三、九州が百五十四となつておりますが、関東は百五、北陸は百一ということになつておりまして、大体小口大口地域差を見ますと、小口北海道か従来百のものが百二、九州が百十一というふうに上つております。大口に参りますと北海道が百十五、東北が七十七、関東が七十九、中部が八十七、北陸が六十六というふうになつておりますが、九州に参りますと百三十三、中国か百二十七というような地域差になりまして、先ほど申しましたように、九州とか中国とか北海道とかいうようなところは、大口等におきましては相当高くなるわけであります。そのかわりに東北とか関東とかいうところは、非常に低いということになつておるのでありまして、これを実施いたしますと、いろいろな産業、特に化学工業部門に対しまして、たとえば硫安でありますとか、あるいは石灰窒素でありますとか、そういう方面にある程度影響があるというふうに考えまして、その地域差をもう少し狹くしてもらうように、いろいろ今日まで交渉いし参つたのであります。  第二の点につきましては、これについては大体従来夏、冬というわけ方をとつておりませんでしたけれども司令部の案としましてはこれを両方わけておりますが、大体夏、冬わけてもいいのじやないかというふうに考えていたのであります。  第三の期間常時電力とか、あるいは特殊の電力料金期間常時と申しますと、豊水期において一定期間一定電力量に対しまして相当割引をやつているのでありますが、そういう割引を今後も続けてもらいたいというようなことを申していたのですが、司令部といたしましては相当よけい使うところは、今度の制度におきましても料金はそれだけ漸減するような建前になつておりますし、そういうようなことで期間常時につきましては、特別に見る必要はないだろうというようなことになつていたのであります。この三点が中心をなしているのでありますが、今日までいろいろ交渉しましたところでは、大体こういう制度電力増強するためには、どうしてもやらなければならないのじやないかというように考えまして、私どもの方といたしましては、大体この案を採用いたしまして、実行したいということになつているわけであります。ただ問題はちよつと先ほど申し上げるのを忘れましたが、もつと根本的な問題といたしまして、従来と違います点は超過料金制度を新しく設けている。従来は超過料金制度というのは別になかつて、そのかわり一定割当以上に使いましたならば、罰金として国庫に納入させていたのでありますが、今回は超過料金制度というものを設けまして、一定割当以上に使いましたならば、相当高い料金をとにかくとりまして、それによりましてその料金会社の方に納入せしめ、従つて火力の方によけい超過料金をまわす、火力をよけいたけばたくほど、それだけ会社の方はふえるということになつているのでありますが、これにつきましても割当をあまり少くすると、すなわち超過料金の方によけいまわすというと、非常にこれは産業に対しまして影響があるということで、極力割当につきましては大きくしてもらうようにという交渉をいたして参つたのですが、ただ超過料金制度そのものにつきましては、これは電力量増強に非常に役立ちますので、ある程度超過料金はやむを得ないというように考え参つたのであります。  大体今まで向うと折衝いたしました今度の新しい料金改訂案内容は、今申し上げた通りであります。私どもの方といたしましては、この新しい料金を実施いたしますと、先ほど申し上げたようにいろいろな点に影響が現われて参ります。特に地域別相当違うという点からいたしまして、産業民生等にある程度影響がありますが、また超過料金制度を実施するために、それを広くするというと、勢い相当その料金が高くなつて行くというようなことになりまして、地域差超過料金とをかみ合せて行きますと、割当を少くすれば非常に各産業影響が大きい。たとえば石炭窒素につきましても、あるいは硫安につきましても、そういう化学工業方面につきましては、割当いかんによりましては大きな影響があるというふうに考えまして、割当そのものにつきましては極力広くして、超過料金の方にまわすものを少くするようにということで、いろいろ交渉して参つたのであります。第四・四半期におきましては大体石炭の方を百六十二万トンくらい使う計画なつておりまするが、そのうち大体九十万トンくらいを割当の方にまわして、残りを超過料金の方にまわす。それで行きますと、電力会社といたしましては大体それで採算はとれるわけでありまするが、産業に対しまして、先ほど申しました化学工業とか、そうした方面に対しまして、ある程度影響がありますので、これがないように、割当につきましては極力調整しなければならぬと考えております。第一・四半期以降におきましては、豊水期におきましては、火力をたくのは少くなつて参りますので、それから生じます影響はそう大きくないじやないかというふうに考えております。大体これで行きますと、平均いたしまして現在の料金よりも三割二、三分高くなることになるかと考えられます。一応私からこの程度説明申し上げます。
  4. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 これにて政府当局説明は一応終りましたが、引続き質疑によつて詳細なる説明を求めることといたします。小金義照君。
  5. 小金義照

    小金委員 ただいま概略の説明を承り、また通商産業委員会においても時時この問題については政府所見をただしておるのでありますが、今日特に経済安定委員会と一緒になつて、この委員会か開かれたこの席におきまして、私から三、四の問題につきまして政府所見を伺います。御存じの通り電力というと日本発電、こういうことは常識になつておりますが、私はここであえて日本発送電株式会社の批判をする意思は毛頭ございませんが、要するにこの独占的な日発経営については、放漫に過ぎるとか、能率が悪いとか、いろいろ統合前後の実績を比較して、世論がなかなかやかましいのであります。そこで政府は、この日発経営民間企業に比してどういう評価を受けているか、その点について何か御意見がありましたら承りたいと思います。
  6. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今の小金さんの御質問は、日発が一般の企業に比してどういう評価を受けているかというお話でありますが、これはなかなかお答えするのにむずかしい問題でありまして、われわれの方といたしましては、会計制度もありまして、日発経理内容その他については十分検討をいたしております。従つて日発が経理的にどうこうというような問題はなかろうと私は存じておるのであります。ただ非常に日発というものが、経営内容が大きい。ほとんど日本全国発電事業を一手に引受けておるという点で、はたしてそういうような業態が全体的に目が行き届くかどうかということには、一つの研究すべき問題が残つておるだろうと存ずるのであります。ただいわゆる電気事業の再編成の審議会をただいまつくりまして、それらの点についても十分検討を施そうと考えておるのでありまして、おのずからそういつたよう立場からも、審議会の何らかの答申が出るものだろうと、われわれは期待いたしておるような次第であります。
  7. 小金義照

    小金委員 私はただ政府が、日発はこれでよろしいというお考えでなく、日発経営いかんが非常な大きな影響産業界にも及ぼすという見地から、常時監督と申しましようか、公共的な立場から、いろいろな取締りないしは鞭撻をしていただきたい。この日発ができるときは、わが国がちようど統制まつ盛りに入らんとするときでありまして、私はそのとき石炭の方の問題を扱つておりましたが、こういう單一な厖大な機構を設けることについては、当時非常な議論がありまして、大臣初め皆さん御承知通りであります。たいへんな問題でありまして、ただ統制に乗り出して行く途中においては、こういうこともやりきれるのでありますが、一旦統制を解くということになりますと、いろいろな支障が起つて参る。統制は私の小さな体験から考えてみますと、統制を始めるときの方がやりやすく、解くときの方がよほどむずかしい。それですから私はあえて政府を責めようとも思わないし、また日発を批判しようとも思わないのでありますが、従来商工委員会時代からも、とかく電力の問題について議論が出ますと、何せ電力料金が安過ぎるということにずいぶん藉口されて、言い訳がされて来た。ところが今日の経済界はもうそれでは許されない。そこで電力料金改訂という問題が非常にやかましくなつて、今日まで延び延びになつて来た。これなんかについては、日本の今の客観的立場からいつて、責めることはむりでありますが、私はあまりに遷延し過ぎた問題だと考えております。そういう意味において、まず政府日発に対するお考え伺つた次第であります。  それから今説明を伺つてみますと、新旧の料金の比較がされました。そして大体三割二、三分の引上げになるということになつておりますが、これは常時とか期間、あるいは特殊というようないろいろな区別がありまして、特に地域的な大幅な差があるというような御説明を伺いましたが、この基準割当量の大小によつて、今最後に説明なつ超過料金支拂わなければならない。これは最初の基準的な電力割当量が非常にむずかしい問題で、かつ大事な問題だと思います。今説明の中にありましたように、最初基準割当量を小さくすれば、会社超過料金の高がふえて経営は楽になりますが、これは使う方はたまらない。しからば多くすれぼどうかといいますと、今度は電力会社の方が苦しくて、使用者幾分楽をするが、停電はしばしばやられるということになるだろうと思います。これは私はここで科学的根拠を示せとか何とかいつても、それはなかなかむずかしいだろうと思いますが、大体の標準というようなものがあつて、もし発表の段階なつているものならば、御説明をお願いいたします。
  8. 川上爲治

    川上政府委員 大体三割二分ぐらい今度の料金は従来の料金よりも上るということを申し上げましたが、この三割二分というのは、基準料金で全部やつたとして三割二分程度上るのでありまして、それで行きますれば、大体会社はある程度は苦しいとしても、何とかやつて行けるのではないかというようなことでありまして、あるいは設備のいろいろな改善修理とか、その他石炭代影響というようなことからいたしまして、場合によりましては超過料金にある程度依存しなければならぬというようなことになるかと考えられます。
  9. 小金義照

    小金委員 問題はそこにあるのでありまして、超過料金をとつて石炭をたいて超過電力を送る。これがとんとんに行けば大体御説明通り納得ができるのでありますが、この点はなかなかむずかしいのみならず、石炭の入手その他についていろいろなでこぼこがある。そこでこの問題はなかなかむずかしいので、私は九州北海道地区鉄鋼業とか、化学工業とか、いろいろ重要な産業が初めのうちは、相当面くらうのではないか、こういう心配がある。この点について特に資源庁の深甚な考慮と勇敢な措置を私は希望いたすものであります。なお同僚の委員諸君から質問がありますので、私はおもな点を拾つて三、四お尋ねいたします。  その第二点として一体今度の改訂料金制をとることによりまして、発電電力量がどの程度増加するか。また火力発電所をフルにほんとうに活用し得るのかどうか。その点をひとつ伺いたい。日発とか発送電のみならず、直家発電に対しても発電量が減るような事態が起つては困るので、その点をひとつ見込みでけこうですから、説明ができましたならばお願いいたします。
  10. 川上爲治

    川上政府委員 今度の新しい料金制度によりますと、先ほど申し上げましたように、年間二百二十五億キロワット・アワー電力量が出るという計算でやつておりまして、これは従来の年間二百八キロワット・アワーよりも、相当増強になると考えられます。また今度の料金を実施するにあたりましては、火力発電につきましては、ほとんどフルに動かすというような考えでやつております。
  11. 小金義照

    小金委員 火力発電については川上さんはそう言われるけれども、一体どの程度の品質の石炭をどういうようにして手に入れるか。また輸送計画とかいろいろなややこしいことがある。そこで統制をはずすときは、いかにむずかしいかということをよく考えていただきたい。御説明はその通りでありましよう。それ以外にまた説明できるはずもない。だから私はそれを責めようとは決して思いませんが、一片の御説明だけでは問題は解決しないということを牢記していただいて、十分な御努力をお願いいたしたいのであります。電力料金が上りますと、擅用と申しますか、発送電から配電の際のロスというようなことも含めまして、たしか前の商工委員会で聞いたときには、当時三〇%を越えているようなお話もありましたが、料金改訂の結果盗むとたいへん得が多くなるという俗な勘定が出るはずであります。その危險性の増大するようなことはないか。またこれに対してどういう対策をお持ちになつておるか、一応御説明を願います。
  12. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 ただいま小金さんからのお尋ねでございますが、擅用問題はなかなか実際にはむずかしい問題でございます。と申しますのは、戰争前は大体需用家の七割がメーターをとりつけておりまして、三割が定額需用家であつた。ところが御承知のようにメーターの多い大都市が爆撃されまして、その後復旧をいたしましたが、なかなかメーター生産、あるいは会社経営状態からメーターを急速にとりつけるわけに行きませんので、大体現在六割五分が定額、あと三割五分がメーターというふうな状態であります。今、メーター生産は年度約十万個でありますが、このメーター生産をできるだけ多くいたしますことと、今度の料金改訂によりまして、会社資金調達その他も楽になると思います。また見返り資金でもメーターをとりつけるような手配をいたしておりますから、メーターのとりつけの促進をいたしまして、できるだけこれを合理的に、擅用と申しますか盗用を防止するという措置をとつておりますが、しかしこれだけでは完全でございませんので、配電会社といたしましては、電気の事情を十分に需用家お話して御協力を得ること、それからもう一つは專門の言葉で申しますと、現場調査と申しまして供給実態をよく調査いたしまして、供給の状況に間違いのないような手配をいたしたいと考えております。
  13. 小金義照

    小金委員 いろいろな具体策をお持ちだと思いますが、擅用の方はなかなか巧みな人がありまして、私ども農村では夜は新聞が読めないような有様ですが、これは電気を盛んでおるからだという説明であります。これは実に迷惑千万なことで、事実夜がふけて来ると、ほんとうに明るくなるのですから、これはぜひ取締つていただきたい。  次にこれは経済安定本部長官お尋ねするのが筋かもしれませんが、通商産業大臣がおられますので、お答えを願えれば仕合せだと思います。今度の電気料金値上げ実態は、新聞に出ておつたようでありますが、大体その通りになる見込みかどうか。あるいはそれは何かの誤りか。これらについて伺えれば仕合せだと存じます。
  14. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 今のお尋ねお答えいたしますが、これは私がお答えする筋でないようにも思いますけれども、今のお尋ねの点については、大体発表されておるような線で、実施することに相なると存ずるのであります。但し先ほども説明がありましたように、なお検討の余地があるかと存じておりますけれども、大体先ほどの御説明のような形においてすることに相なる、かように存じております。
  15. 小金義照

    小金委員 電力料金値上げは、それはもちろん電気事業の成立つようにするのが目的であります。しかしそのために他の重要産業が参つてしまうようでは、角をためて牛を殺すの例であります。この点の兼合いが実にむずかしいので、老練な通商産業大臣は十分その点について御注意と申しますか、御配意を私は要望する次第であります。今、川上部長からも割当電力量以上の、つまり超過割当電力量について説明もありお答えもありましたが、一キロワット・アワー五円六十七銭ないし八円八十九銭の火力料金を適当とするというような説がありますが、こういうことについて何かお考えがありますか。
  16. 川上爲治

    川上政府委員 今度の超過料金は大体今お話がありましたように、五円から八円以上の程度なつておりまして、これは地域別にかかつております。私どもの方としましては、大体火力発電経費につきましては、これはもちろん所によつて非常に違いますが、来るべき運賃の値上げの問題でありますとか、あるいは運転経費の問題でありますとか、あるいは配電ロスの問題でありますとか、そういう点をいろいろ考えますと、全国平均いたしまして、これに奨励金等を加えまして、大体八円程度のものは必要じやないかというように考えております。
  17. 小金義照

    小金委員 今度の内定したとかとりきめられたとかいうその地域差料金と、日発裸料金との関係をひとつ承りたい。
  18. 川上爲治

    川上政府委員 日発裸原価は、指数にいたしまして北海道一二一、東北七八、関東が七一、中部が八六、北陸が六二、関西が一一三、中国が一四四、四国が一二八、九州が一五七ということになつておりますが、今度の大口料金地域差を見ますと、これがある程度調整されておりまして、この裸のままの地域差よりも低くなつております。すなわち北海道におきましては一二一が一一五、東北は七八が七七、関東が七一が七九、中部は八六が八七、北陸は六二が六六、関西は一一三が一〇四、中国は一四四が一二七、それから九州は一五七というのが一三三というふうに、九州中国等におきましては相当調整されております。
  19. 小金義照

    小金委員 そこで調整されておるだろうという説明があると推定して、今特に地域的に列挙していただいたのでありますが、この調整が私はいろいろ問題になると思うのであります。そのために私は今試みに列挙していただいたのでありますが、日発がつくられまして以来今日まで十年間というものは、常に全国的に考えていろいろな仕事をして来た、これはもつともであります。そこでできるだけ有利な水力地点を開発いたしまして、比較的不利益な、コストのかかるような地点は着手しないままに、今日まで残れて来たという現状だろうと私は推察いたします。そういうふうにして経営するのは日発の建前であり、また日本の全体の電源を考えて、合理的な安い電力供給するという建前から来れば当然であります。従つて私が先ほど申し上げましたように、こういう大きな統制機構をはずす場合においては、つくるときよりははるかに問題がむずかしい。繰返して私の申し上げるのはそこでありまして、この新しい料金制によつて相当な調整は加えられているということでありますが、しかしながら不利益な状態になる地区は水力開発が非常に遅れておる。ところが電力料金が均一であつたために、その均一の電力料金を基礎にしていろいろな仕事が始められておる。こういう状態のところにただちに日発が解体されるというようなことになりますと、この料金がもし日発を解体するというような構想のもとに定められたとしたならば、なかなかいろいろな地方的な問題、また重要な産業上の問題か起ると思うのであります。これらについて通商産業大臣はどういうお考えをお持ちになつておりますか、承りたいと思います。
  20. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはただいま小金委員のお説の通りでありまして、一体統制を始めるときは非常に簡單でありますが、解体するということは非常に困難な問題であります。しかしながら私は先ほどもちよつと触れましたように、日発日本全体を押えておりますあの形が、電気事業経営する上においてもほんとうに可なりやいなやということには大きな問題がある、かように考えます。同時に根本的に言えば安い電力のところに安い仕事が起つて来る。こういうのが建前でなければなりませんし、また各それぞれ地域的は会社の採算と申しますか、地域的に会社の採算を基礎とした仕事がほんとう電力のコストを安くするゆえんでもある。また発送電配電一つの形態に置いてこそ、なおより多く効果的である、こういうことを私は考えるのであります。但しただいまお話になりましたように、これが日本産業の分布といいますか、工場の布置が戰争以前から一つにプールされたところの計算のもとに、全然電力料金というものが、ネグレクトされている。あるいはまたある場合には、電力料金中心としてつくられたところの、工場の自家用の発電所までプールの中に押し込められてしまつた、こういうような事態におきまして、これをいわゆる早急に私らが考えているような立場で分断するということがありますと、起るところの混乱というものは、非常に大でなければならぬと考えるのであります、この点では小金氏の御意見とまつたく同感であります。従つてこれがかりに分割するというような場合におきましても、料金差の問題なり、あるいは電源開発の問題なり、あるいはまた発送電配電会社との関係なりにつきましては、十分の留意と用意と、いわゆる期間的な問題と、それからこれに対する方法の問題と、そうしてまたどういうような順序によつてはずして行くかという順序の問題、いわゆる期間と方法と順序の問題については、十分の留意をしなければならない、かように考えているのであります。この点は小金君の御意見とまつたく同感であります。
  21. 小金義照

    小金委員 大臣はその方は非常に詳しく御承知であり、また御心配になつておりますが、いろいろな情勢がわれわれの希望通り行かないというような場合には、われわれ国家産業のために困ることか起ると思うのであります。特に中国、四国、九州という地区の工業は、おおむね基礎産業が多いのであります。これは非常に困るのであります。そこで今日内案というような意味で、今川上さんが説明された地域差料金というのは、大体日発を分解するような場合の前提と申しますか、分解されてもこういうような差額の料金だろうという推定ができましようか。その点をひとつお聞きしたい。
  22. 川上爲治

    川上政府委員 先ほど申し上げましたように地域差につきましては、ある程度のプールをしておりますし、それから石炭割当につきましてもある程度のプールをいたしまして、そうして産業に対しまする影響を、極力この制度におきましては、少くしなければならないと考えておりますので、従つて日発を解体いたしまして、それぞれの会社経営するということになりますれば、これよりもなお地域差なりあるいは割当なりが違つて来ると考えられます。
  23. 小金義照

    小金委員 ここで炭鉱関係で重要な問題がありますのでお尋ねいたします。  炭鉱の自家発電の補償費と申しますか、この補償費は昨年度は大分遅れながらも支拂われた、しかし本年度についてはまだ全然支拂われていない、さなきだに金詰まりのこの際に、炭鉱では非常に困つておるようであります。昨年六月料金改訂があつたときに、その補償費は織り込まれておるようになつておると、私は承知しておるのであります。織り込まれておる以上は、日発の経理状態いかんにかかわらず、当然これは支拂わるべき性質のものだろうと思うのです。この支拂いについて政府は一体どういうふうに考えておられますか、承りたいのであります。
  24. 川上爲治

    川上政府委員 今年の四月から九月の十五日、すなわち石炭の配給統制が解除されるまでの分につきましては、大体六億程度でありますが、今度の改訂料金の中にはその程度を見込んであります。さしあたり料金改訂されますれば、大体来年の三月ごろまでには少くともその半分は早急に支拂いたいというような考えであります。
  25. 小金義照

    小金委員 前の改訂のときもそれが織り込まれておるし、また今度も織り込まれておるというのであります。九月十五日までの分は当然もう拂わなければならぬ。ところが承るところによりますと、とにかく途方もなく電力料金が安いのだから金の出しばがない、料金を早く上げてくれさえすればすぐにも拂う、こういうようなやりとりがあつたように私は承知しておるのですが、政府も三月までに半分ぐらいは拂えるだろうというのは、少し私は合点がいかないのですが、何かいきさつがあつたのですか。
  26. 川上爲治

    川上政府委員 別にいきさつはありませんが、現在日発も非常に経営的に苦しんでおりますので、まあさしあたり三億程度を拂いまして、それからなるべく早くあとの三億を拂いたいというような考えでおるわけでありまして、この三月までの三億につきましてもなるべく早く支沸いたいというような考えでおります。
  27. 小金義照

    小金委員 これは今度の料金改訂に織り込まれたならば、それは猶予がありますが、前の改訂の際に織り込まれておるならば、経営上苦しいということなら政府は何とかこれは支拂うようにすべきではなかつたか、料金が低いから借金をしつぱなしでもいいということは、ことに監督会社である立場上おかしな話でありまして、これはどうも私はあまりよく了解できないのでありますが、九月十六日以降料金改訂までの分は、大体火力石炭の入手価格によつて、いろいろ差があるではありましようけれども、これも査定はされるつもりでありましようか、また一応査定されましたか。
  28. 川上爲治

    川上政府委員 火力用の石炭の価格につきましては、一応私どもの方としましては査定をいたしまして、司令部の方でも承認をいたしております。先ほどこの自家発電の補償につきましては、なるべく三月とは言わずに極力でき得る限り早く支拂うように私の方で善処したいと考えております。
  29. 多武良哲三

    ○多武良委員 うわさによりますと、電気料金値上げが明後十日から実施されると、新聞でもそのように報道されておりますが、事実かどうかお伺いいたします。
  30. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 大体十日に実施されるという予定になつておりますが、あるいは手続上一日二日遅れるかも知れないと思つております。
  31. 多武良哲三

    ○多武良委員 すでにこの料金改訂案が閣議で決定されておると承つておりますが、これも事実かどうか、
  32. 稻垣平太郎

    ○稲垣國務大臣 昨日までこれは交渉を続けておりました関係もありまして、明日の閣議にこれは諮ることになつております。
  33. 多武良哲三

    ○多武良委員 鉄道運賃の値上げ以上に、国民生活に直接影響のある電気料金の改正というようなものを、だだ閣議で決定したというだけで、そのままこれを実施するということは、どうも不合理じやないかと思うのです。少くとも実施前に相当期間を與えて、国会において審議させるべき性質のものと思いますが、どのようにお考えになりますか。
  34. 稻垣平太郎

    ○稲垣國務大臣 これは考え方によりましては、なるほど非常に重要な問題であります。国会の直接の御意見を聞くということも必要であろうかと存ずるのでありますけれども、また一方におきましては、これはわれわれが監督はいたしておりますけれども、これを実施いたしますのは公共企業体でもなければ、あるいは政府でもありません。私企業においてこれは実施いたすものでありまして、これに対して議会の審議を経るというのも、手続上いかかがかと存ずるのであります。
  35. 多武良哲三

    ○多武良委員 この電気料金改正につきましては、私どもは前々国会、第五国会の商工委員といたしましても、かなり熱心に政府の御意向を承わり、またわれわれ自身といたしましても各地を実地に視察いたしまして、いろいろ取調べておるのであります。ところが先ほど政府の御意向をお伺いしますと、しばしば司令部とはいろいろな折衝をなさつておるようであります。われわれにはもうすでに六箇月も前からこうして研究しておるのに、その間に何の御相談がない。しかも二日前に一片の印刷物を配付されて、すぐに実施にとりかかる。どうもわれわれとしては解せないのでありますが、もう少しわれわれに審議させていただきたい。かように大臣に要望するのであります。いかがなものでありましようか。
  36. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 御承知のように電力料金値上げ問題につきましては、二月来から問題が起つておるのでありまして、すでに一年近くももんでおるのであります。これは私の方でなく、安本で交渉はせられておつたのでありますから、私お答えすべき限りでないかも知れませんが、その間いろいろな経緯がありまして、なかなか実際に結論が出ない。ほとんど結論らしい結論も出ないままに過ぎまして、ほんとのごく最近になつて大体向うの案が示された。こういてたような形に相なつておるのであります。それと同時に第四・四半期からこれを実施するということに相なりましたために、たとえば通産委員会に対してこういつたようなことに相なつたということを申し上げ得る段階に至りましたのは、ごく四五日前のことであつたわけなのでありまして、その間われわれとしても非常に遺憾に存じますけれども、経緯がそういう経緯に相なつておりますので、悪しからず御了承願いたいと存ずるのであります。
  37. 多武良哲三

    ○多武良委員 まだほかに質問がありますが、大臣に対する御質問を一応打切りまして、あとの点は保留させていただきたいと思います。
  38. 今澄勇

    今澄委員 大臣時間がないので、大臣に対してだけ質問します。去る四日に私は通産大臣に緊急質問をいたしまして、大臣から答弁がありました。当日は特に私は安本長官に聞くつもりであつたが、安本長官院内におりながら政務次官を立てて答弁しない。三日ほど前から本委員会を開くことは安本に通達されて、安本は知つておるにもかかわらず、本日は安本長官も、副長官も、政務次官も、動力局長もこの委員会に出て来ないということは、これだけの重要な電力問題をやるのに、安本の態度何事だということを、まず私は最初に一言申し上げておきます。委員長はしかるべくとりはからつてもらいたい。本日出られぬということならば明日でも……
  39. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 安本長官は旅行中であります。炭木の西村政務次官は、ただいまこの問題について次官会議で会議中であります。動力局長はちよつと外出中であります。帰り次第ただちにみなここに集まることになつておりますから、どうぞあしからず御了承願いたいと思います。
  40. 今澄勇

    今澄委員 いろいろ理由はあるでしようが、三日ほど前から連絡をとつてあるにかかわらず、これだけの重要問題について安本から一人も出られないということは、委員会として十分検討しなければならぬ問題だと思う。私は通産大臣の努力と通産大臣のこの前の緊急質問に対する御答弁については一応承りましたので、きようは大どころだけ質問いたします。  第一点は通産大臣は「電力割当再検」という見出しで毎日新聞に「稻垣通産相、進藤資源庁長官、山本安本剛長官は七日、総司令部にケネデイ出産公益部顧問を訪問、十日から実施予定の新電気料金の問題に関し、十日の実施期日ならびに料金率については既定案でさしつかえない。」という談話が出ておりますが、これについては、稻垣さんもお知りでありますかどうか。それから十日の実施期日ならびに料金率については既定案でさしつかえないとお思いになつておられるかどうか、御答弁を願いたいと思います。
  41. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 昨日の御質問中にもありまして、お答えいたした通りでありますが、昨日ケネデイ氏のところに行つて話をしました問題といたしましては、電力料金の問題につきましては、すでに安本当事者におきましていろいろ御交渉なつておる。そこでわれわれといたしましては、できるだけ影響を少くするという意味で、いわゆる火力の——先ほど御説明ありましたように先方の主張された点よりも、一・四半期百六十二万トン使うところを、基本料金の中にどの程度に入れるかというアロットメントの問題について、われわれの主張を強く申し上げて、大体それについては私は了承を得たと思うのであります。そうなりますと料金全体においても、かなりの緩和を見られることになりますので、むしろその点よりもアロットメントの点について力を入れたい、こういうことであります。アロットメントの点について向うが了承してくれるならば、それは先方のおつしやられたように、十日から実施されることも、やむを得ないだろう、こういうことの意味だろうと思います。どういうふうに書いてあるか、私はよく読みませんので知りませんが、そういうことだろうと思います。
  42. 今澄勇

    今澄委員 次に「第四・四年期の割当量をそのまま実行することは、化学工業初め各産業に與える影響が大きいので、この割当を変更するよう検討されたい」旨の発言が載つておりますが、第四・四半期割当については、いつこれを発表されるつもりであるか。既定方針通りやられるのか、それとももう一ぺん策定されてやられるのか、これは安本に聞きたいのでありますが、稲垣さんの関係しておられる範囲でけつこうでありますから、ひとつ承りたいと思います。
  43. 川上爲治

    川上政府委員 資源局長が見えておりませんので、私かわつて申し上げますが、第四・四半期割当は大体先ほど大臣からお話がありましたように、向うといろいろ折衝いたしまして相当割当の方を引上げていただきまして、九十万トン程度割当をすることになつております。残りを超過料金の方にまわすことになつております。大体料金制度を実施すると同時に割当の方も実行したいということで今進めております。今相当割当の方が遅れておりますので、これも非常に急いでおります。
  44. 今澄勇

    今澄委員 安本長官に特に聞きたいことばかりでありますが、稻垣さんにも関係が多少あろうかと思います。この前の緩急質問によると、この電気料金値上げについては、財政法関係その他で国会に諮らなかつたというようなお話であります。今の多武良同僚議員の質問についても、そういう御答弁がありましたが、しからば政府電力を使う民間の需用者の声、発電しておる人の声、そういつたふうなものも聞いてやるのが“民主的な決定であろうと思うにもかかわらず、そうしたことが少しもされておらないという実情にありますが、この点については稻垣さんはどのようにお考えになりますか。
  45. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 電力の問題は先ほど申し上げましたように、二月から一年近くも行われておつて、それに対しては電力の需用者の声は、相当とり入れて交渉の資料にいたしておりますことはもちろんでありまして、全然声を聞かないでやつておるということでもなかろうと存じます。ただ先ほど申しましたような事情で、これは審議にかけるという問題ではなくつても、一応委員会なり何なりに、ことに通産委員会なり——あるいは経済安定委員会も、おそらく同じ御意見だろうと思いますが、そこへお諮りして皆様方の御意見を聞くということが最もしかるべきことであります。これは先ほど田村君にお答えした通りであります。しかし今言つたような事情で事の運びが長い間ひつぱられたために今日に至つた。しかしながらこの長い期間の間に、おのずから声は反映しておるということを御了承願いたいと存じます。
  46. 今澄勇

    今澄委員 おのずから声が反映しておらないので、まことにこれは問題が大きくなつておる次第であります。そこで詳細はあと担当の方に聞きますが、この前特に電気を原料とする化学工業方面についての私の質問に対して、自家発電、これは原料であるから、みずからが所有するという建前において返還してやるから、その点の問題についてはさしつかえなかろうという通産大臣の御答弁がございましたが、その自家発電は電気事業法あるいは電気全般の問題と分離して、これは近くお返しになるものかどうか。それから自家発電を返すということが、ほかの電気事業の分担と関係があるということになれば、これは非常に時間がかかるそうであるが、その間の自家発電を原料としてもらえないところの重要化学産業つては現政府はどういう措置をとられるおつもりでありますか、これは補追の形でお尋ねしたいと思います。
  47. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これはこの前今澄さんにお答えしたように、そもそも電力を原料とするような仕事は、電力の安いところに当然起るべき問題である。それをネグレクトして電力量の高いところで産業をやつたならば、それは経営者がまつたくその産業をやる資格がない、かように私は考えております。従つて当時その仕事が電力料金の高いところに起つたとしても、その人たちはおそらくそのときには自分で一家発電をこしらえるとか、あるいは何らか賞力を安く手に入れる方法をむろん考えた上でスタートされたに違いないと思います。現在においても九州地区あるいは四国その他において、電力料金差のために、経営に非常に重圧を加えるという面があることはもとよりでありますが、それらの人たちはもと自家用の電力を持つてつた、そうして例の統合によつて日発に吸收されておるというのが大部分であります。こういうのについてはこれが電力の全般の需給の関係影響のない形において——影響のない形においてということは現在その肥料会社なりあるいは化学工業なりが受電しておりますその量の範囲において、持つてつた発電所を返して上げる、そういう工場においては一箇所の発電所でなくして、二つの発電所、三つの発電所を持つておられるうちの、それにちようど現在需用されておるものにマッチする程度のものは、これはできるだけ早く返して上げて、そうして自家発電を使い得るという形だ持つて行くことが、最も寝然な道であると、かように考えております。これは例の口発法なり、あるいは軍節の管理法なりの問題がありますので、これが全般に処理できない以前におきましてはも何らかの方法——あるいは通常国会に特別な法律を出しまして、皆さんの御審議を願うなり、あるいはまたその必要がないように措置できれば措置しましてでも、できるだけ早くこの原料としての電気はお返しするという措置をとりたい。かように考えておるのであります。そこで自家用の電力を持つておらないところにおきましては、非常に電力地域差に沿う形でなしにやつておられるところがあるとは、私は存じないのであります。それはそもそも私が前提で申しました経営者が資格がないと申し上げたいのであります。そういうところがかりにありとしますれば、これは私はできるだけ自家発電をつくることを慫慂させたいと思います。その間をどうするかという問題でありますが、これはいわゆる需要とにらみ合せまして、たとえば肥料なら肥料といいますならば、われわれが来年度は硫安換算百八十万トンつくる、こういうように考えて行く場合には、その百八十万トンを確保できる形におきまして、今日ある補給金のうちからでも操作するというような形においでも、生産は保持して行きたい。こういうように考えておる次第であります。
  48. 今澄勇

    今澄委員 今の大臣の御答弁の中で、自家用発電をこの通常国会に法案を出してもどすという意思のあることを聞きましたことは、これは重大なる問題でありますので、ここに再び確認をいたしておきます。それから今御答弁の中にあつた、たとえば肥料の問題でありますが肥料の中においては、百八十万トンが切れる場合は、これに対して補給金その他の問題でと言われましたが、具体的数字を見ると、一例をあげれば今言われた硫安でございますが、今度の硫安割当を見れば、これらの割当によつて、今度の新しいこういつた地域差料金で、大体全国的に見て、七億四千万円程度の負担が過重になるというような状態であります。それから生産数量においても計画年産に及ばないこと七万トンの不足を生ずる。これらのことは今仰せられたように補統金をもつて、全部負担されるというふうに理解してけつこうでございますか。
  49. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 これは先ほど申し上げましたように、補給金その他によつて検討いたしたいと思います。  それからなお基本のアロケーションをふやすということになりますと、たとえば今の甲乙丙になつております三段階の肥料の面におきましても、九州北海道地区にありますのは、大体乙クラスのものであると私は思つているのであります。そこで乙クラスのものは丙クラスに持つて行けるが、丙のクラスのものが落ちてしまうというものは、大体ないように存じております。それでありますから、その数量の減るという問題は、もう少し検討をするが、必ずしも今澄さんの御意見に同調いたしかねると私は思うのであります。ということは、甲のクラスのものでいまの電力料差がつく、差益がつく地方にあるものはないようであります。乙のまん中のクラスで、たとえば大牟田、東洋高圧なんかはBクラスだつたと思うのでありますが、このBクラスが計算上かりに一割ふえるということになれば、あるいはCの部類に入つて来るという問題は起きると思うのであります。またCのクラスのものが全然落ちてしまうかというと、Cのクラスにはほとんど電力地域差のところへ持つて来られるものはないように思う。その辺はもう少しよく検討した上でないと、何分のお答えはできないと思います。
  50. 今澄勇

    今澄委員 時間がないから大きなところだけお尋ねいたしますが、たとえばこの地域差の中で、火力料金表を見ると、通産大臣もぜひ御記憶を願つておきたいと思いますが、四国は八円二十二銭、中国は八円八十九銭になつております。それからこれらの問題を私が見るのに、九州が五円六十七銭、関西が八円八十九銭、これらの地域火力発電の原料である石炭の値段は通産大臣は三千円見当で六千カロリーというようなお話でございましたが、それらの石炭原価を入れていろいろ考えてみるのに、石炭の全然出ない四国において八円工十二銭で、宇部炭というものもあり、九州炭もすぐそばから運べるところの中国電力が八円八十九銭というような問題は、九州の五円六十七銭と比べてみても、たれが考えても、あらゆる点から見て非常に不合理だと思うが、これらの点についての通産大臣の御意見はいかがでありますか。
  51. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 この点につきましては、今澄さんも中国出の議員のお一人でいらつしやるが、中国関係電気関係の人からよく御説明を聞きました。これはカロリーの問題、その他の関連からこういつた形が起きたと存ずるのでありますが、しかしながら実際に不合理であるということが実証されました場合におきましては、これが訂正について十分強く努力をいたすつもりでおりますことを申し添えておきます。
  52. 今澄勇

    今澄委員 それからもう一つ電力割当について通商産業省と名前がかわつておる現実において、輸出産業というものに特別のわくを考え、あるいは——安本はおられませんが、特別のランクを付せられるような方針をとられて磁力の配分をきめられるのであるか。関係のところだけを聞きたいと思います。
  53. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 私こまかいことは存じませんが、輸出については特別に重点を置いてわくをきめたはずだと存じます。安本の方があられませんのでわかりませんが、あなたの仰せの通りだと思います。
  54. 今澄勇

    今澄委員 もう一問で終りますが、電気事業分断についてはわれわれは反対でございます。ただいまの通産大臣の御答弁によつて火力発電は自家用のものについてはもどすという見解を聞いたのでありますが、そういつた事業については御答弁になつていることでけつこうでありますが、今の通産大臣の御答弁を聞くと、通産大臣としては自家用火力発電の返還を契機として、今の日本電気事業について、これを八つなり、九つなりに分断されるという前提のもとに、それらの構想を考えられておるのか、自家用火力発電所だけはもどすが、あとのものは一本とするという構想のもとに立つておられるのか、おさしつかえなければ伺いたいと思います。
  55. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 通産大臣としてのお答えといたしましては、私はいずれ電力再編成審議会あたりの御意見をも承つた上で、あらためて私の考えをきめたいと存じております。稻垣個人の意見はまた別に私は持つております。
  56. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 小西英雄君。
  57. 小西英雄

    ○小西(英)委員 大臣の時間がないそうですから、簡單お尋ねしたいと思います。電力料金値上げについては、国民ひとしく認めているので、三割二分上つて電力が十分に供給され、明るい家庭ができるという面から非常に楽しんでおりますが、最も打撃をこうむるものは、電気を原料とする化学工業でありまして、それらのものについては、何ら特別なわくをきめられてないように承つております。ソーダとかアルミニウム、カーバイト、あるいは肥料等において、地域差が四国、中国九州あたりで非常に多いので、これらの地域に位する各産業は、これによつて致命傷を受けるのではないかと思うのでありますが、それについて通産大臣の御意見を承りたいと思います。
  58. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 肥料その他いわゆる電気を原料とする工業については、根本的には先ほど今澄さんにお答えした通りであります。それから応急的なことも一部今澄さんにお答えいたしましたが、結局アロットメントにおいて、十分これらの化学工業その他電気を原料とする工業に対する考慮を拂つて行く、こういうふうに考えておるわけであります。いわゆるアロットメントにおいて量をふやすことになりますと、自然電力差が減つて来る、こういうことに相なろうと思います。
  59. 小西英雄

    ○小西(英)委員 今澄委員の先ほどのお尋ねで大体了承いたしておるのでありますが、私四国との関係がまことに深いものでありますから、再確認したいと思うのでありますが、戰争中に特に電気のサイクルが違うとか、あるいは交流でやつたためにある会社は取上げられなくて、非常には安い電を使つてアルミニウムを生産しておる。また正直に出したものが現在非常に高い料金を使つて、いろいろな生産をして、現在まで非常に不合理な状態に置かれておりますが、現在の見通しといたしまして、料金が今日三割二分上つて地域差が非常につけられるところの四国、中国、あるいは九州等においては、まず最初にアルミのごときものは生産競争ができなくなるという点でありますが、何か具体的にそういう工場に対しましては、安本当局では特に水力の部分で割当をやるとかどうとか、操作を考えられておるかどうかということをもう一ぺん伺いたい。この値段が相当上げられるが、電気は前のように罰金でなくて、超過料金さえ拂えばよいということになりますれば、多少五円や六円の電力を使つても引合うところの小さな、たとえば料理屋であるとか、あるいは映画館というようなものには相当電力が豊富に行くが、産業方面には相当電力が枯渇するというのでは、非常にこの処置がまずくなるので、そういう点について多少の考慮を拂われておるかどうか、ちよつとお尋ねします。
  60. 稻垣平太郎

    稻垣國務大臣 小西君にお答えいたします。こまかいことは安本からお答えになると思いますが、今のお尋ねの点は、率直に言つて日新化学の問題が大きな問題として展開されるだろうと思う。これはこの間も日新化学の社長もお見えになりまして、いろいろお話を申し上げたのであります。日新化学の場合におきましては、実際に持つておられた自家用発電所が取上げられたという問題と、それから同時にいわゆる住友共同火力というものが四国全体の総発電量の上に大きな力を持つておる。これも御承知通りであります。そこで軽金属関係に使用しておるところの電力についても、先ほど私が今澄委員にお答えしたようなことについて、十分考慮する必要があるのじやないかということで、話合いをいたしたようなわけであります。なお十分検討いたしたいと存じております。
  61. 小金義照

    小金委員 今通商産業大臣説明を聞いておりますと、アロットメントで相当調整するということをしきりに言われますが、一体そのアロットメントでそんなに調整できるものですか。
  62. 中川哲郎

    ○中川説明員 割当の点について御説明いたします。今の化学工業に対する地域差影響その他をどういうふうに調整するかということにつきましては、第四・四半期に問題が集中いたしますと、勢いアロットメントにおいて調整するということが一つの問題でありますが、年間を通じて見ますと、現在の化学工業は常時電力のほか、期間常時電力、あるいは豊水期の余剩電力を使つてつておりまして、そのために料金は安いということになつております。現在期間常時の問題は全然解決されておりませんが、今後の問題といたしまして、来年第四・四半期以降におきましては、ぜひ期間常時の設備を完了して、豊水期電力を使うということによつて化学工業の本来の使命を全うするように指導して参りたい、かように思つております。なお余剩電力につきましては、新しい料金制度におきましても、その制度が認められておりますもので、地域によりましては、余剩電力を利用するということが、今まで通りつて行けると思つております。それから第四・四中期につきましては、今の期間常時、あるいは余剩電力というものが、非常に少いときでありますので、今の化学工業生産計画を維持するように、電力割当におきましても、若干一般の産業とは率をかえまして、これを適用しようということで、今検討いたしております。これは化学工業のみならず、いわゆる合金鉄とか、そういつた種類の電気化学工業全般にわたつての問題と、一応考えております。
  63. 小金義照

    小金委員 私が伺いたいのは、その割当で安い電力相当手心を加えて配分できるかということでありまして、これがないと、同僚議員から再三繰返して質問があつたように、九州のごときは一五〇とか一五四とかいう非常に大きな数字が出る。それから中国も四国もこれに準ずるような指数が出ております。工業の立地條件から行けば、通産大臣も言われるように、これはある程度やむを得ない一つの経過だと思います。しかし九州のような日本で一番の石炭の産地で、そうして火力電気がこんなに高いということは、実はおかしな話で、これが少ければ統制は何とかやつて行けるが、統制を解くということは非常にむつかしいのであります。統制一つの網をかける、漏れたのがあればまたそれを追つかけて行つて、何ぼでもできる。そうして無慮数万の法令ができておるが、解くときはそれではいけない。くどいようでありますが、万全の策をとか、善処されるとか言われましても、それは一つのお題目でありまして、実は今安本の御説明なつたアロットメントに物を言わせる以外に、方法がないじやないかと一応推察されるのでありますが、客観情勢からいつて、それ以外に方法がないということになると問題でありますから、その点を十分考えていただきたいと思います。  それから電力の復元問題については、先ほども通産大臣が、原料のような意味の電源、つまり電気事業法にひつかかりのないようなものは、逐次できるだけ早く元に返すという方針をお答えになりましたが、事務当局としての進藤さんの御方針をあらためて伺いたいと思います。
  64. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 どうも私の方針とお問いになりましても、大臣の御方針通りでありますが、ただ先ほど大臣からお話がありましたように、電力国家管理法によつて日本発送電に統合されたもの、あるいは日本発送電会社法そのものをどうするかという問題は、御承知のように今電力事業再編成審議会で審議されまして、できるなら今度の通常国会へ両法案を提出いたして、そこで御決定願うというふうな段取りで事務当局は進めておりますが、その際に国家管理法の基本をどうするかという問題も当然討議され、結論が得られると思います。
  65. 小金義照

    小金委員 そういう事務的な御用意があるかどうかということと、その法令に縛られておらないものはできるだけ早く復元処置ができますか、この二つを聞いておるのであります。
  66. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 すでに御承知のように、国家管理法でなくて、電力調整規則によつて規正されておりました日本軽金属の発電所のように、会社の所要量を出す発電所だけは、すでにその調整規則から除いております。でありますからもしほかへ影響しないで、国家管理法の基本に触れずに、今のような処置のとられるものについては実施しておりますが、実はそういう発電所は、調整規則適用のものにはないと思います。
  67. 小金義照

    小金委員 国会に出す事務的な用意はしてありますか。
  68. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 事務的な調査はいたしております。
  69. 小金義照

    小金委員 法令なんかの用意ができているかという意味で言つたのですが……  それでは先ほどの質問の続きをひつお願いいたしますが、炭鉱川の電力割当の際に、自家発電所を持つている炭鉱と持つていない炭鉱とがあります。ところが日発からの霊力の割当が、お前のところは自家用の発電所を持つておるからというので、アロットメントに区別をつけられるということになりますると、なかなかいろいろむずかしい問題が出て来ますが、今その電力割当については、どういう方針でありますか。自家発電所を持つているものについては考慮を加えるという方針であります。その方針をひとつ伺いたいと思います。
  70. 中川哲郎

    ○中川説明員 お答え申し上げます。自家発電を持つております炭鉱等につきましての電力割当については、現在まではたとえば北海道あるいは九州等におきましては、非常に供給力がきゆうくつでありますために、自家発電を動員しなければならない、かような意味合いから考えまして、これの供給力を勘案して割当をした次第であります。従つてこれをはずすということは、現在の需給から見ましてむずかしいことでございますが、現在までは自家発電をなるべくしてもらうという意味合いにおきまして、できるだけその供給力を自家発電の方にもしよつてもらいまして、割当を減しておつたわけであります。しかしかような方法をいつまでも続けますれば、勢い自家発電を持つているものは非常な負担になるし、あるいは励みにもならぬということでございますので、これを漸次修正いたしまして、今までの実績その他を勘案いたしまして、ある程度の線を引きまして自家発電をしていただきますが、その線を越えました分につきましては、その事業が自分でよけいに電気を使用し得るようなぐあいに、割当に際しまして自家発電に対する見方をかえて参りたい、かように考えております。言いかえますれば自家発電の可能量をそのまま割当にそつくり参酌するというのでなしに、報奬的に自家発電にもどり得るようにこれを修正して参りた、かように思つております。
  71. 小金義照

    小金委員 その点は補償費の未拂いがまだなかなかありまして、めんどうな問題であります。ことに今後の炭鉱の開発について重要な影響を及ぼすと思いますので、よく実情をひとつ調べて、それに即応した処置をとつていただきたい、こういうことを要望いたします。  次にきようは所管の局長が見えておられぬかもしれませんが、具体的な問題をひとつお尋ねいたします。それは今まで化学工業、ことに肥料だとか、石灰石だとか、その他のいろいろの問題が出ましたが、電気精錬の問題でございます。九州地区は、われわれも質問もし、またお答えもあつたように、一番電力料金が高くなりまして、そこで佐賀関の精錬所というのは、日本の大きな精錬所の一つでありますが、これは大体大ざつぱな計算によりましても、月額約五百万円ぐらい原価が高くなるということであります。御承知通りに銅とか金とかがあそこで精錬されるのでありまして、これだけの原価が高くなるというときに、補償金が撤廃されると、なかなか打撃が大きいのじやないか、これに対して通商産業省では大体どういう処置をとられますか、これもアロットメントで何とかするということでありますか、あるいは的確な答えをされる主管の局長がおられなければ、あとでけつこうです。
  72. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 今お尋ねの佐賀関の問題はよく存じておりませんから、あとで調べて申し上げます。
  73. 小金義照

    小金委員 アロットメントで調整するということが非常に大事になつていますが、超過料金というような関係から中国地区基準料金が高い上に、火力料金関東並みに高い。そこで中国地区ではアロットメントで調整できないというようなおそれがあるのではないか、こういう問題がありますが、これはいかがでありますか。
  74. 中川哲郎

    ○中川説明員 今の電力の低い方の料金割当てる場合のいわゆる割当てでございますが、これも地区の原価に即応いたしまして、地区火力発電、水力発電の量等に比例いたしまして割当てる方法もある次第でございます。ほんとうの意味の原価を貴くと、勢いそういう結果になります。従つて九州あるいは中国北海道という比較的地域差料金出身がすでに高い所も、割当ての上で、さらに地域の実情を見てやります場合に、割当量が勢い低くなるという結果になり、第四・四半期におきましても、東北とか本州中部のような水力の比較的多いところは、割当が比較的上へ参りまして、北海道中国九州のような場所は下に行くという結果になりますから、これは地域差の上にさらに火力料金をたくさん使わなければ心らぬので、負担がさらに重課いたしますので、われわれといたしましては、各地域を総合いたしまして、平均の率と申しますか、平均の割合で割当量を引くというような方法で打つたらどうかと、今作業いたしております。その結果、地域差が局いものと地域差の低いものと、平均的に平等な負担で行くという結果に一応いたして行きたいと思つております。中国地方もそういう意味におきましては、具体的適用にあたつて相当緩和される結果になるだろうと思つております。
  75. 小西英雄

    ○小西(英)委員 料金値上げ問題に関連いたします前に、第一に私ちよつとお尋ねしたいことは、これはあだかも再編成の準備的な一つの現われだろうと思うのでありますが、現在まで日本の電源の開発とか、日本発送電その他九配電会社が今なお政府の管轄内に置かれまして、そうして今までの状態と違つた料金の差をつけた。そのときに私たちまず考えますことは、この日発法とかあるいは政府の力によつて統合してより現在まで日発の力、すなわち日本国全体の力を投じて、水力の開発あるいは火力設備の開発をやつたものがどのくらいあるか。あるいはそういう恩惠をこうむつたために、現在水力が非常に多い北陸あるいは中部、その他関東におきまして、政府の総合力によつて開発された電源が多いために、現在地域差のついておるような状況になつていないかどうか。また戰時の総動員法によつて一本化された当時より、現在までに開発されました水力の発電所あるいは火力発電所が、具体的な数字でどのくらいになつておるかということを、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  76. 武内征平

    ○武内説明員 ただいまの御質問に対しましては、数字を持つておりませんので、明日にでも資料を差上げたいと思います。
  77. 小西英雄

    ○小西(英)委員 それでは、大体そういうふうに国家の総合力をもつて開発されたものによつて、現在非常に豊富になつておる地域のものが、一体どういうふうに考慮されて、この料金がきめられたかということを、ちよつとお伺いしたい。
  78. 川上爲治

    川上政府委員 その地方の水力の開発の状況をやはりにらみ合せまして、地域差というものを一応考えております。
  79. 小西英雄

    ○小西(英)委員 地域差ということは、私ちよつとわけがわからぬのでありますが、実際に国家の力によつて開発された、現在豊富な地区があると思いますが、それらはどういう勘定のもとにそろばんを入れられて、地域差をきめられておるかということを、ちよつとお尋ねしたい。
  80. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 お答えいたします。その前に、ちよつと資料は持つておりませんが、大体の発電所の傾向を申し上げたいと思います。御承知のように昭和十四年に日本発送電ができまして、それから昭和十六年に全国配電会社ができたわけであります。昭和十四年ごろから建設の計画が国に移りましたので、それから電力事業の再編成問題で、政府も事業者も相当忙しかつたために、昭和十四年ごろから水力発電所の建設のスピードは相当落ちておると考えております。そのうちに戰争になりますし、また戰争後になりましてからは、戰争中の発電所の建設は、建設中のものも一時打切られたというふうなことで、過去十年くらいの間は、その前の発電所の開発のスピードよりも相当落ちております。一面その需用は、大体戰争後急に落ちましたけれども、昨年あたりからの需用の伸びぐあいは、戰争前の線をひつぱつたぐらいに伸びた。ところが発電所の建設は、今申すように十年くらいの間相当遅れております。これが現在需給の合わない一つの原因であります。  それからもう一つ火力発電所はその後全力を盡して増設はいたしましたが、しかし戰争中二百七、八十万キロの発露所の主要なものは、ほとんど爆撃されて、今まではほとんど応急復旧に全力を盡しておつたという程度であります。しかも発電所で使います石炭の質が悪いために、ことしあたりでおそらく最大出力は百七十万キロから百八十万キロしか出ないというふうな状況で、水力発露所の建設が、戰争中、戰後を通じて割合に遅れたことと、火力発電所が今申し上げたような状態なので、今、需給に困つておるのであります。これを申し上げておきます。  それからその地域にある、たとえば富山県あたりは電源県でありますから、その電源県にある発電力あるいは福島県の猪苗代附近のような、ああいう発電力が、その地域電力原価に織り込まれておるか、かういうお尋ねでございますか。
  81. 小西英雄

    ○小西(英)委員 そうじやない、火力の面については、現在高い料金になるのだから、われわれはそう問題にしませんが、水力を日発が引継いでどれくらい開発したかということ、その水力の安い料金があるために、その地域が非常に安くなつているというふうなことはないかということです。
  82. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 これは御承知のように、今度は地域差がつきまして、地域原価をとりましたが、しかし日発地域の原価そのままでなくて、さつき第三部長から御説明したように、少し調整がしてあるわけであります。でありますから、日発ができましてからつくつた発電所の原価が、そのままその地域の原価に織り込んでおるということになつております。
  83. 小西英雄

    ○小西(英)委員 それでは私たち納得できないのでありますが、日発が引継いで開発した原価においてその料金をきめたということなら、これは絶対われわれは反対するものであります。それはとりもなおさず国民の総力によつて、当時の安い価格で水力が開発されたということが明らかであります。もう一つは、例をとつて見ますならば、日発全国一つなつたために、東京とかそれに近い地域の水力は相当開発されたが北海道あるいは九州、四国の地域においては、私の企業でやつてつた会社の引継ぎをも何らやつていない、ただ幹部が東京におつたために、近い地域に多く力を入れて開発したような例を見ますので、その後開発された水力の量だけは、九州とか四国、中国というふうな料金の高いところへ、その原価によつてプール計算いたすならば、この差が相当縮むと思うのであります。先ほど来大臣はもとの姿に返すと言われた、もとの姿に返すのはけつこうでありますが、その場合公平なるところの処置を国家がとらなければ、非常に各地に不満が起ると何時に、各産業に及ぼす影響も甚大であるので、私はその点特に今度の料金の基礎においたところの考え方日発が一本になつて開発した水力電気の安い料金をもつて豊富にある東北とかあるいは中部関東地区のその面を、高いところの九州あるいは中国北海道、四国等にひとつぜひ訂正をお願いしたいのであります。よくまた資料をもらいまして、私どもさらにそれを研究いたしたいので、この問題をそれで打切りまして、安本当局より、本年の第四・半期の電力割当量を各地区別に説明されたいと思うのであります。また電力割当量決定の基礎について、ちよつと御説明願いたいのであります。
  84. 川上爲治

    川上政府委員 これは先ほど私からお話申し上げたと思うのですが、日発裸原価におきましては、九州は百五十七ということになるのですけれども、これは今おつしやいましたことで相当調整いたしまして、百三十三にしてあるということになつておるわけであります。
  85. 小西英雄

    ○小西(英)委員 今回の電力割当の量は、従来の電力割当量とは意味が違つておるのであります。すなわち火力料金を適用する限度を示すものであつて割当量電力を各産業別に確保するというものでもなく、また割当の量を超過して使用しても、電力供給を断つというものでもないので、單に平均電力料金が高くなる程度を示すわくであると思うのであります。従つて電力は家庭や小口動力用として多量に使用されて、大口産業には十分行き渡らぬというようなことになる心配が相当あるのであります。また全体として従来よりも電力不足の状況により、緊急遮断がたびたび行われると思うが、資源庁においてはどう考えられておるか、ちよつと御答弁願いたい。
  86. 武内征平

    ○武内説明員 ただいま小西委員のお示しになりましたように、今回の料金制度によりまして従来の電力の需給調整規則によります割当とは全然意味が違いまして、従来のは御承知のようにこれだけ割当てる、それ以上使つてはいけない、もし使つた場合においては罰金的な意味があつたのであります。しかし今度のはそれ以上お使いになりますと高い火力料金をいただきます、こういうことになつておるのであります。従いまして家庭その他におきましても大口と同じでありますけれども、実は家庭の方の割当は、一部委員の方からお示しもあつたのでありますが、非常に割当の限度は従来よりも低くなつております。たとえば関東地区で冬で申しますと、従来は一家庭二十キロ・ワット、電熱といたしまして十五キロ・ワットだつたのでありますが、今回は二十キロということで行つたものでありますから、それ以上使いますと火力の発電になるということで、むしろ家庭の方はきつくなつておるのではないかという面もあります。これは実際の使用状況によつてわかりませんけれども、一応わくは全面的にとれたようなわけでございますけれども、家庭の方が使いにくいというような状況になつております。
  87. 小西英雄

    ○小西(英)委員 家庭の方は現在国民は相当行き詰まつて金の融通がないから、家庭でよけい使うというふうにはあまり考えませんが、喫茶店とか高級料理屋あるいは映画館、パーマネントそういうふうなものに相当流れて行くということになるのじやないかという心配があるのでありますが、どうですか。
  88. 武内征平

    ○武内説明員 ただいまお示しになりましたような傾向は否定できないのであります。従いましてわれわれといたしましては高い火力料金をいただけば幾らでも供給するということは、火力発電所の設備の限度もございます。従いまして別の意味のやはりオフ・ピークの制限というような措置は全然はずしてしまいますと、また緊急停電というような問題も起りますので、この料金制度の根本的の考え方は、この火力料金制度によつて需給を調節しようという根本精神ではございますけれども、現状の需給状況からいたしまして、従来の意味の制限的措置をとらずに進むということにつきましては、疑問の点があるわけであります。その点につきまして法的措置につきましても全然制限の措置をとつてしまうということにつきましては、十分考慮しなければならぬというふうに考えております。
  89. 小西英雄

    ○小西(英)委員 その程度で、これは処置が何ら具体的にとられていないので、そういう憂いが多いと思つているのでありますが、特に政府の方でも愼重に考えてほしいと思うのであります。以上のように、電力割当壁は今後は消費電力の平均料金を決定する一つのわくでありますから、この割当計画を安本定部で決定するのは間違いではないかと思うのでありまして、物価庁料金決定の一つの作業として割当を行うべきだと思いますが、安本の方の考えはどうですか。
  90. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 これは従来の割当割当の性質が違いまして、この割当の高低が電力会社の收支に非常に影響のある事項でありますので、お話のように物価庁できめる方がいいという御意見もあるいは出るかと思うのでありますが、われわれといたしましてはこの出ました割当を、さらに各産業に対して、あるいは産業以外の用途に対して、どういうように割当てるかというような点も見なければなりませんので、結局安本と物価庁と一緒になりまして、この割当を今後やつて行くという考え方で進んで行きたいというように考えます。ただこの割当が、今お話のような割当でありますので、はたして今申しましたような形で長く今後、来年度もずつと続けて行くかどうかということにつきましては、はつきり申し上げられませんが、従来安本がやつておりました最高限度の割当という思想からは離れておりますので、できるだけ物価の方面で見て行くというような傾向に持つて行きたいと考えております。ただとりあえずは、先ほども申し上げましたように、産業別の割当との関連もありますので、両者協力してやつて行くという建前で進みたいと思います。
  91. 小西英雄

    ○小西(英)委員 当分の間、地域差影響を少くするために、北海道九州中国、四国等の基礎準備料金が高い地区には割当量を少し多くして、火力料金の適用を少くするように、ひとつ処置をお願いしたいのでありますが、そういうふうに関東北陸、こういう安い所の方を割当量を少くするような考えでお進め願えるかどうか、この点についてお答え願います。
  92. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 地域差の問題も、できるだけ急激な影響を與えないような方向に持つて行きたいということは、われわれも考えているところでありますので、完全な地域原価という建前を固執せずに、ある程度のプールということを考えまして、各地区別の割当ができるだけ均衡できるような方法で、割当をしたいと考えております。
  93. 多武良哲三

    ○多武良委員 先ほどの通産大臣の御答弁でも、まだ納得行かない点がありますから、安本の政務次官にお尋ね申し上げたいと思います。電気料金の改正ということは、鉄道運賃の改正よりさらに重要なものだと私は考えるのであります。     〔村上(勇)委員長代理退席、小金委員長代理着席〕 法的にどんな理由があるかわかりませんが、現実に国民生活には面接非常な大きい影響を與える。それを、二日前にわれわれに改正案を出して、十日に実施する、どうもこれはわれわれ納得いたしかねるのでありまして、もう少しわれわれに審議させていただけないかどうか、料金制が改正されましてもこれは従来の料金制と違いまして非常に変更されている。需用家もまたその聞、納得いたしかねる点がたくさんあるのであります。このままで実施されるとすると、不測のトラブルも起りはしないかと心配されるのでありまして、その場合当局はどういう御処置をとられるか、もう少し愼重に審議をさしていただきたい。電気事業というものは單に営利事業のみでなく、公共企業である。要するに豊富低廉な電力供給するということを、国民に一層徹底させるお考えはないかどうか、お伺いを申し上げます。
  94. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 御意見はまことにごもつともであります。政府当局といたしましても電力料金値上げが国民の経済各分野にわたりまして、少からぬ影響を来しますことは十二分に承知いたしておりまするので、今回の料金価上げ、地域差の問題答にからみまして、各種の垂要産業を初めとする日本の基礎産業に及ぼす影響は、刻下の物価体系にも影響いたしますのみならず、これを間違いますと国民の生活問題にも影響して参りまするので、愼重なる態度をとりまして、あらゆる角度から皆さん方の御心配になるような点を緩和すべく、ただいま各方面について立案調査中でございまするので、今日ここで一々のことを申し上げる段階に立ち入つておりません。しかし御意見の趣旨は私どもも同感でありまするから、そういうふうな線に沿うて政府もあらゆる努力を惜しまないで進むということだけを言明申し上げておきます。
  95. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいまの御答弁によりますと、現在なお調査中である、こういう御答弁でありますが、調査中であるにもかかわらず、明後十日には強行される、こういうお考えでありますか。
  96. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 ただいまのお話の点は火力を使いまする関係を早急に決定するというような点に及んでおるのであります。これが重要産業に及ぼしまする点は、他の方法によつて緩和すべき処置が、政府の方でとり得られることになつておることもたくさん残されておりますので、御心配になるような点をなるだけ政府は緩和するように努力すると申し上げたのであります。
  97. 今澄勇

    今澄委員 今安本政務次官の答弁を聞くと、まことに私はその言葉のあやの奇怪さに苦しむのであります。さつき通産大臣にいろいろ聞いたのでありますが、時間がないから通産大臣は途中で帰られましたが、安本長官に私が四日に緊急質問をしたときに、この料金について最も責任のある安本長官は、あとで聞くと当時院内におられたにもかかわらず答弁を避けて、今見えておられる政務次官、あなたが御答弁になつたということでありまするが、その理由をちよつとここで聞かしてください。
  98. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 私の方から当時お話を申し上げました点は、あなたのお尋ねでありましたか、本会議でお尋ねがありました際に、電力料金値上げと国民生活費に及ぼす影響について、いかように考えておるかという安定本部を名ざしてのお尋ねでありましたので、電力料金値上げ等から来る国民生活費に及ぼす影響は、間接税並びに所得税等の減税によつて、安定本部としては吸收し得られる性質を持つておるということをお答え申し上げたのであります。さよう御了承おきを願います。
  99. 今澄勇

    今澄委員 それでは政務次官に聞きますが、きようの各同僚議員の質問はいずれもこの総司令部から出された料金に関する勧告案が、随所に日本の現経済の状態から見て適当ならざる箇所を含んでおるということを、おのおのの議員も端的に申すならばこれを指摘した、かように思います。しかもこの電気料金をきめるにあたつては、今日まで長い間業者を集めてのいろいろな懇談会を持たれて、いろいろの民間人の知識を吸收するところの研究会も持たれない。しかも財政法によるということに藉口して国会にも諮らない。本会議で質問すれば責任ある答弁をすべき安本長官は、院内におつても姿を見せない。本日の委員会も聞けば三日前に委員部より通達をあなたの方の役所にしておるということであるが、これも理由をつけて姿を見せないというようなことで、はたしてこの電力料金の決定が、国民の支持を得て納得できるというような結果になるかどうか、私は疑問であると思う。まず安本、物価庁においてはこの電力料金をきめるにあたつては、怠慢そのものであるということを私はあなたに申し上げたいのであります。しかもこれらの電力料金の決定にあたつては、日本の実情を十分反映してこれを行わなければならないにもかかわらず、それらのものが何ら討論もされなければ、委員会にも諮られないということになると、この電力料金を施行して、今あなたは政府で手を打つておるから心配はないと言われるが、もし心配するような事態が現われた場合においては、安本長官は責任を持つてそれに対処せられるかどうか、あなたひとの安本の責任者として御答弁願いたいと思います。
  100. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 お答えいたします。御意見のようなことが到来しないように、政府は全力をあげて進むつもりであります。さよう御了承おき願います。
  101. 今澄勇

    今澄委員 政務次官は簡單政府で対処すると言われましたが、されば私は一例をあげて、中国地区電力料金について、これは通産大臣に聞いたのですが、あなたの方が担当責任でありますから伺いたい。まず電気料金火力の方で見ると、中国地区はあなたの御承知のように八円八十九銭になつております。石炭一つも出ない四国においても八円二十二銭、これらの問題を見ても、中国における宇部炭の問題であるとかあるいは九州から石炭を送つて来たその運賃あるいは統制撤廃後石炭の値段が三三%も下つているというよ長いろいろな事情を勘案してみると、まず火力料金の決定において中国の一例をとつてみるならば、これ、が不当であるということはすぐわかる。もし中国電力料金を八円八十九銭でいいということで実施をするということになると、国民はおそらく納得しないであろうと思う。どういう建前から他地区と違つて中国はこの値段できめたのであるかということについて御答弁願いたいと思います。
  102. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 今のお尋ねは他の政府委員よりお答えいたさせます。
  103. 川上爲治

    川上政府委員 先ほどどなたかの御質問に対して申し上げましたように、火力料金の算定基礎につきましては、阪神におきまして四円八十銭程度、これに対しまして運賃の値上げであるとかあるいは運転経費、さらに配電ロス、これらを考えますと、大体八円程度になるわけでありまして、中国につきましてはある程度どもの方といたしましては高いと考えているのでありますけれども、いろんな事情からさしあたりこれでひとつつてみようというようなことになつているのであります。
  104. 今澄勇

    今澄委員 物価庁並びに担当の方々が中国地区においては高いと思うけれども、さしあたりこれでもつてつてみたいという答弁はまことにどうも——西村政務次官、ただいまの答弁によると高いと思うけれども、ある種の事情によつてできないということであるが、そのある種の事情というのはいかなる事情なりや、ここで御答弁を願いたい。
  105. 川上爲治

    川上政府委員 ただいまちよつと高いのではないかというふうに申し上げましたが、実は宇部炭のカロリーの点とか、あるいは石炭の消費量の問題とか、そういうような点を考えますと、若干高いような気もいたしますけれども大体この程度に近い数字ではないかというふうに考えるのでございます。
  106. 今澄勇

    今澄委員 これは大事な問題だけれども、とにかくきようは安本長官は旅行中だそうでありますが、ほんとうに国民経済の立場に立つて良心的に考えてみて、今の中国地区火力料金を、たとえば三幡の火力発電所を一応の基準にとつて、これが中国地区にあるからというので、これのいろいろな原価から地域原価を構成するものが、八円八十九銭になつておるというような結論を、あなた方の方でなるほどと言われることであるならば、私どもはその三幡の状態が全中国地区状態とは、大いに違つておるということをここで申し上げたい。それから今あなたがおつしやつたように、中国地区電気を一例にとつて見ても、この火力料金は高いと思われるならば、それらのものを関係方面折衝して、実情はこうあるべきであるということを、良心と責任を持つて行うことが、あなた方役人の役目である。しかるにもかかわらず、そういう努力を続けられないで、それらのものを矛盾に満ちたまま今回施行しようということは非常な間違いである。これについては安本政務次官並びに物価庁の第三部長も見えておられるが、訂正される意思ありやいなや、ひとつ御答弁願いたい。
  107. 川上爲治

    川上政府委員 今ここでただちに訂正するということは申し上げかねるのですが、先ほど全体として大体八円以上の火力料金にはなるということを私申し上げたのですが、この中国の問題については、いろいろ向うと折衝はしておりまして、極力改正については善処いたしたいと考えております。
  108. 今澄勇

    今澄委員 それで安本政務次官にもう一ぺんお伺いしますが、いろいろこのほかにも第四・四半期電気割当その他の問題がありますが、さつき通産大臣に私は聞いたのでありますが、きようの新聞で、電力割当検討、稻垣通産相、進藤資源庁長官、山本安本副長官は七日総司令部にケネデイ生産公益部顧問を訪問、十日から実施予定の新電気料金の問題に関し、十日の実施期日並びに料金率については既定案でさしつかえないが、第四・四半期割当量をそのまま実行することは、化学工業を初め各産業に與える影響が大きいので、この割当を変更するよう検討されたい旨を要請したところ、ケネデイ氏はさらに業者と話合つた上、その結論をいま一度提出すよるう答えた、ということが載つております。われわれは新聞にかくも公然と載せられるものであるとするならば、本委員会においてはこれらの電気料金の誤りを指摘して、そうしてこれを国民の声として、これが理由あるものであるならば、十分再検討すべきものであると、かように考えます。安本政務次官はそれらのことをなさないので、予定通りあなたは幾多の矛盾に満てるこの常節料金値上げ地域差とを、十日に行われるものであるかどうか、ここではつきり言明していただきたいと思う。
  109. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 新聞の記事の内容については責任はとれませんが、政府の首脳部がそういう意思で関係方面相当努力したことだけは、はつきり申し上げてよかろうかと思います。その効更もまたあるのではなかろうかと考えます。内容についてはこの際ここではつきり申し上げられません。
  110. 今澄勇

    今澄委員 十日に実施しますかどうか。
  111. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 十日に実施しなければならない段階に入つておると御了承願いたいと思います。
  112. 今澄勇

    今澄委員 これが十日にもし実施されるものであるとすれば、私どもはこの地域差の問題についてもいろいろ申し上げたいことがあるが、われわれはこれを十日に実施するということは、産業政策としては非常に誤謬であるという点をここに指摘いたします。われわれは少くともこういう情勢であれば、もちろん通産委員会としても、私は委員長に要求して明日もこの問題を続行して、これらが含んでおるところのあらゆる矛盾と、それに対する対策を十分検討した後でなければ、こういうことは行えない。かように私は思います。  そこで一段と問題を進展させて、それでは今度の第四・四半期電力割当についてお伺いしますが、十日にこの料金を強引に実施するという前提のもとに第四・四半期電気割当については、これらの地域差を、いわゆる暫定措置として影響を細くするために、中国のようなこういう高い地域差をつけられた地域については、基本の電力割当をうんとやつて、超過霊力をあまり使わせないというような措置をとる。あるいは電気のうんと余つておるところは、基本電力割当を少くして超過電力相当使わせるというような便宜措置を講ずるならば、暫定的にこれらの影響を食いとめることができると思うが、そういうふうな処置をとられる意思ありやなしや。この点さつき同僚議員からも質問がありましたが、明確にはつきりお問いをする次第であります。
  113. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 料金改訂を十日ないしその附近にやりまして、十二月の、すなわち第三・四半期のうちの十二月の割当がどうなるかという問題は、十二月につきましては、すでに第三・四半期の初めに割当てておりますので、その割当をそのまま踏襲するという考え方であります。従いまして第三・四半期のうちの十二月分については、相当割当量が高いのでありますから、超過料金になる部分はきわめて少いというふうに見てよろしいと思います。第四・四中期の割当をどういう方法でやるかということでありますが、この総量、すなわち標準料金割当すべき割当総量をどの程度にするかということは、実は目下作業中でありまして、先ほども今澄委員から新聞に伝えられておるところをお読み上げになつたのでありますが、その石炭費をどれだけ見込むかによりまして、割当総量が違つて参りますので、実はまだ確定的な数字を持つておりませんが、最初考えていたものよりは、相当量の多くなつ石炭を織り込むということができるように考えます。従つて全国的に申せば、標準料金割当てられる総量はいくらか多くなつた、すなわち超過料金で拂わなければならかいというものはいくらが少くなつたということになると思います。その総量を家庭用、あるいは小口大口にどういうふうにわけるかということについては、実は目下鋭意数字を立てておるところでありまして、はつきりまだ確定はしておりません。ただ第四・四半期割当はできれば十日までにしなければ、これを業者に通知するということが間に合わないものですから、できるだけ十日あるいはその一両日後くらいまでには、ぜひ決定をいたさなければならないので、今申し上げたように一生懸命にやつておるのでありますが、これを今お尋ねのように地域的に調節を加え為、あるいは産業別に調節を加えるという問題でありますが、地域の限界といいますか、そうい方ものを基礎にして考えますると、きわめて地区的にバランスがとれませんで、火力が非常に多く入つている地区では、水力で割当てる量が少くなる、すなわち標準料金割当てられる量が少くなるという関係がありますので、この点については調節を加えて、火力が少いところから火力の多いところへ水力で融通するという考え方で調節をとるつもりでおります。それから産業用の間に調整を加えるか、特に電力を原料としてたくさん使うような産業基準割当量を多くするかどうかという問題についても研究をしておりますが、いろいろ各産業の事情あるいは産業のみならず、その他の需要の状況を聞きますと、それぞれりくつがありまして、われわれとしてはできるだけ基準量でたくさん割当てたいという気が、陳情を聞くたびに多くなるのでありますが、それを全部くつつけてしまうと、もとは同じになつてしまうので、結局きわめて重点的に考えるべきであるという結論を、ただいまのところ一応持つております。たとえば化学肥料のようなものは、その生産を非常に確保しなければならないし、また電力が原料として使われてある産業であるというようなものについて——これはひとつの例でありますが、そういう特異なものについてだけ調節を加えて、あとはならしてがまんしてもらうというような考え方をとらざるを得ないのではないか、大体の考え方はそういうつもりで、目下第一・四半期の作業の割当をしております。
  114. 今澄勇

    今澄委員 詳細な御説明でたいへんによくわかりました。私はその一例を安本政務次官にも、政府の今日の関係の方にも申し上げておきたいが、この電力料金をきめて問題を生ずる観点は——今日は時間がありませんから申し上げませんが、二点あります。その第一点は、地域的に産業がつぶれるというような地域ができるということと、もう一点は産業別に非常に電力を使うものが困るという問題であります。前の地域的に困る一例を私のところに集まつた資料で申し上げると、今あなた方の計画しておられる割当は、中国について、中国大口電気料金割当が一億五千万キロワット・アワーに原案が大体なつているということが、私の調べた数字であります。それから自分のところを申し上げますと、私の郷里の下関に神戸製鋼という会社があります。この会社割当をもらつている霊力は二百三十万キロワット・アワーでありますが、これを百三十万キロワット・アワーに落さなければならない。これらの従業員が千三百人もおります。しかも製品の原価にこれらのものを吸收して使うことができない。二百三十万キロワット・アワーから百三十万キロワットーアワー、つまり百万キロワット・アワーも落ちて、しかもこの産業が成り立つて行くとは思えない。こういうことになると、当然このまま押し推めば崩壞してしまう。失業問題、首切り問題が起るというような問題について、政府は考慮されているかどうかということを、これは具体的な例でありますが、しいて申せば私は言いたいのであります。  それから今の産業関係の問題については、通産大臣は事肥料については——一例は肥料でしたが、補給金の中から、たとえばそれが相当の数字に達しようとも、これをまかなう方針で行きたいという話でございました。それで先ほど申し上げました地域的な特別な圧力のもとに、産業がつぶれようかという地域に対しては、安本の政務次官はどういうような事後措置によつて、これらのものを押切りになるかということを御答弁くださることが第一点。第二点は、中国のようなところへ、そういうことを勘案して基準割当量を増量される意思があるかということを安本の動力局長に、また肥料の問題について先ほど通産大臣は、そのような補給金でまかなうと言つたが、今日化学局長は列席しておられるが、肥料が持つところの電力割当と、これに対する通産大臣の言明から、予定生産であり、しかもそれは農村に計画的に配らるべきところのこれらの肥料は、十分支障なくやつて行かれて、しかも補給金がそのようにもらえる見込みがあるかどうかということについて、お三人の御答弁を煩わす次第であります。
  115. 西村久之

    ○西村(久)政府委員 その点は一々ごもつともであるのでございます。私が先ほどお答え申し上げました趣意も、あなたのお尋ねの趣意に沿うべく努力するという意味になるのでございます。御承知通り重要基礎産業ばかりでありません。各方面に重大な影響を及ぼして来ることを政府でもよく認識いたしておりますので、なるだけそういうふうな産業が都会に偏しないような情勢下に置くように、万全の策をとるというその心持の現われが、通産大臣からお話になりました一例の、補給金で一部のものを勘案するという御意見が出たものでなかろうかと思うのであります。私は抽象的にいろいろ今後とるべき方策によつて、御心配になるような点はなるだけ緩和する方途をとりたいと申し上げたのも、通産大臣の一例をあげたのも、心持においてはかわりないというように御了承おきを願いたいのであります。
  116. 増岡尚士

    ○増岡政府委員 先ほど申し上げましたように、地区間のアンバランスについては、できるだけ電力の融通をやりまして、同じ種類の企業で非常に地区的にバランスがとれないということは、できるだけ避けて行きたいというふうに考えておりますが、やはり今回の電力料金改訂のねらいも、ある程度地域差をつけて行くという考え方が入つておりますので、それを全然考えないでやるというわけにも参りませんから、完全に割当量が同じであつて、そうしてまた超過料金を拂つた結果が、完全にコストで同じ率を占めるというようにこまかく検討して、地区別に両種類の産業が同じであるというわけには行かないと思いますが、はなはだしい差がないように、その間調節を試みたいというふうに考えております。
  117. 長村貞一

    ○長村政府委員 化学工業のように特に電力を原料として使います面には、今回の新料金によりまして相当影響のあることは、しばしば先ほどから問題になつております通りであります。この例に出ております肥料につきましても、今回の割当によりまして、生産相当影響を及ぼすおそれがあります。この点は先ほど来安本からも御答弁がありましたように、何分にも前提をなしますところの新たな電力割当の量がまだきまつておりませんので、生産面にどの程度影響が来ますが、確たる量的なお答えは申上げかねますけれども電力量だけから申しますならば、相当生産の減少を来すのではないかという心配を持つておるわけでございます。補給金の面につきましても、御承知通り電力料金が上るということを前提といたしまして、補給金の増額も先般の補正予算に見込んであるわけでございます。これらの瀧川及び先ほど安本からも御答弁のありましたたとえば肥料につきまして、できるだけの電力をつけるという措置によりまして影響を極力減らしたい。かように今検討中でございます。
  118. 今澄勇

    今澄委員 なおまだこれに対する特に被害の多い九州地区にいろいろの意見あるいはその他アルミナ工業、あるいはカーバイト等の意見もいろいろございますが、いずれ明日委員会を開いて、この問題についてあらためてまた長時間要すると思うので、本日は皆さん大分腰がこそばゆいようでありますから、私の質問はこの点で打切り、明日続行を留保いたしておきます。
  119. 小西英雄

    ○小西(英)委員 今回の電力料金値上げによつて大体日発及び九つの配電会社が、どれくらい増收を考えられておるかということと、電気料金の高くなつ地区、特に地域差のひどい中国、四国、九州北海道等の増加額についてちよつと承りたいのと、この冬の間の火力電気を主とする期間、その適用期間にわれわれ現在中小企業が瀕死の状態にある、たとえば電気炉あるいは製鉄第二次製品その他においても、たとえば五十万円の電気料金を拂つておるところが、三割二分上れば約十五、六万円高くなる。そういう場合にはむしろこの期間はもう休んでしまう方が得だというふうな面も出て来るのではないかと思うのであります。これらについての通産当局の御意見と、もう一つは戰前戰後を通じて政府の指揮下に置かれた電力事業者より、われわれ需要者がいかにサービスの悪い態度で臨まれたか、これは国民ひとしく怨嗟の声でありますが、戰争にたとえるのはどうかと思いますが、ちようど兵隊が前線で自分の使命たる戰争に敗れつつ国民に相当の重圧をかけたと同様に、電気業者が開発あるいはその他のいろいろなサービスを無視して停電その他を平気でやつて来た。また電力料金値上げ相当叫びつつも今日まで延びて来た。その責任はこれらの特定な独裁的な日発あるいは九配電会社相当責任あると同時に、これを監督いたしておつたところの政府当荷にも相当責任があると思うのでありますが、三制二分の値上げによつてはたして今までのように停電がなく、あるいは各地の産業が現在以上に十分生産を、上げ得る状態に、相当確信をもつてつておるかどうか。特にその点を、今の増收に相まつて開発もあるいはサービスもよくなるという根拠について、御説明願いたいのであります。
  120. 川上爲治

    川上政府委員 日発配電会社の全体の收入といたしましては、三割二分二厘を引上げるということにいたしますと、五百三十六億の收入になつて参りまして、これは現在よりも約百三十億の増收になります。ほかの産業に対しまするいろいろな影響につきましては、先ほど申し上げました地域差の調整の問題とか、割当量の調整の問題とか、いろいろな点において行いまして、停電やそういうようなことが極力起らぬように処置をしたいと考えております。
  121. 小金義照

    小金委員長代理 次は福井勇君。
  122. 福井勇

    ○福井委員 本日、私は電気の技術家でありますので、詳細綿密な御質問を長時間にわたつてするつもりでおりましたところが、時間がありませんし、また担当の技術家の方もいらつしやらないので、また機会のあるときに讓ることといたしまして、ちようど武内電力局長が、もうわずかな後にアメリカへ電力関係で行かれるということを耳にしておりますし、またこういう両委員会が合併してお話をする機会も、なかなか議会中では少うございますので、一言武内さんたちに、電力料金に及ぼす影響も、アメリカの方へおいでになつても、今後たとい十日に施行されても将来残る問題でありますので、いろいろ準備はなさつておられるでございましようが、われわれ電気技術家として、あるいは安定委員の代議士側としての意見を御出発の前に、いろいろ申し上げておきたいと思うのであります。  今の日本配電状況というのは、第一次欧州大戰が一九一九年に終つて一九二〇年ごろから発達して来たのが主体でありまして、進藤さんなどはずいぶんそれで苦労をなさつておられますからおわかりでありますが、現在の日本配電状況は、御承知通り関東が五十サイクル、関西が六十サイクル、九州が五十サイクルと六十サイクルのコンバインしたものでありますが、アメリカにおいては二十五サイクルと六十サイクルというようなふうで、第一次欧州大戰の後には非常に困つた。それで現在においては大体六十サイクルにアメリカの方は統一されてほとんど難がなくなつておるのであります。そしてまた電力料金のある一部分をたすところの送電線のロスのファクターとなるところの特別高圧送電線路の電圧につきましても一九二〇年、昭和元年の前後におきまして、日本が立案したものが、最高が十五万四千ボルトでありましたが、その後アメリカにおいていろいろの方面で二十二万ボルトを計画し、現在では世界で最高は二十二万ボルトというのが標準であつて、特殊なのは三十八万ボルトがドイツにありますが、これはスペシャル・ケースである。そういうわけで、現在二十二万ボルトが日本でも望ましいのでありますが、戰前戰後からそう簡單にこれがかえられないということ・サイクルの統一というようなこととあわせてなかなかむずかしい問題となつて、今も取残されておる問題であります。そこで武内さんが電力局長として電力行政面を大体担当してアメリカへ行つて、わずかな日数だけしかいらつしやらないので、これは困難な問題ではありますが、その他の技術家も連れて行かれますので、クリッパー機に早急に用意なしで飛び乘つて行かれることがないように、いろいろ方々から資料を集めて、GHQなどの御注意はあるようでありますけれども、十分な準備をなさつてこの設備をしつかり見て来ていただきたい、こう思うのであります。それが電力料金に及ぼす相当なみやげにもなろうと思います。現在アメリカの発電所の建設状態を見ましても、われわれ政治家として、日常の口論やけんかなどをしている間に、実は科学的の進歩が最も著しく、特に電気方面でも原子力の発電所などはアメリカにおいては十年後——現在でも計画しておりますが、日本の水力発電所の完成が大体ダムを必要とするようなものは十年かかります。これは戰後の状態です。火力発電所においても三年というのが標準であります。もつとも特別な例は別でございます。そういう日本の資材難または資金難の状態においてでき上つた当時には、アメリカにおいて原子力の発電所がウラニウムもたくさん出て、あるいは他の原子もたくさん出て、これが完成して来る。現在発電所のコストにおきましては水力発電所と火力発電所のちようど中間の値段で、原子力の発電所ができるのであります。ただウラニウムという鉱石がなかなか日本にはないので、今すぐ日本でこれをカナダからとり、あるいはチェコからとり、あるいはアフリカのコンゴーから持つて来るということは、この占領下においてはもちろん夢の話でありますが、しかも科学者としては湯川博士のああいう問題も現実に現われて来た通り夢ではないのであります。従つて今後建設するような場合に、五千カロリーくらいな悪い石炭を使つて、そうして完成するような十年、二十年先の火力発電所のことについては、アメリカヘおいでになつて世界最高のサイエンスの面について、よく検討をして来ていただきたい、こう思うのであります。もちろんアメリカにおいては御存じの通り世界最大の、水力においてもグランドクーリーダムにしても、あるいはボルダー・ダムにいたしましても、チェッコ方面のドニエプルのプラントにいたしましても、これは日本の信濃川やあるいはまた木曽川の発電所などを例にとつても、そんな大きな計画は立ちません。もちろん水力といたしますれば、せいぜい五万キロが最大でありまして、火力は一單位として幾らでも大きくはできますが、アメリカのものをすぐこちらには適用はできぬことは、われわれ電気技術者としては百も承知でありますが、そういう面においてもアメリカのスーパー・パワー・システムに関連したところの水力、火力の発電所の建設状態、並びに今後の科学の発展に即応したところの状況を技術家も動員して——今になりてすぐメンバーをかえるという意味ではありませんが、今後技術家も動員なさつて、手落ちのない将来の水、火力の発電計画を立てていただきたい、こう思うのであります。原子力の発電所について、われわれ電気技術者の方は——一般に言えばなお夢だと言いますけれども、決してそうではないのでありまして、現在日本電気の進歩状態は、まだ一九二〇年から二七、八年に発展したままであります。その間にアメリカあるいはドイツの方は非常な進歩をしておりますので、どうかそれらの点をお忘れないように御研究なさつて、御視察を特にお願いしたいと思います。簡單でありますが、料金に付随してちよつと着想を申し上げた次第であります。
  123. 武内征平

    ○武内説明員 ただいま福井委員からお示しいただきましたことにつきましては、今回優秀なる技術者も参りますので、よく研究いたしまして、十分今後日本電力事業の発達に貢献するように、十分の準備と研究をいたしたいと考えておる次第であります。
  124. 小金義照

    小金委員長代理 この際お諮りいたします。本日は時間も相当経過いたしましたので、明日引続き本連合審査会を開会いたしまして、本件についてさらに検討を加えることといたしたいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 小金義照

    小金委員長代理 御異議なしと認めます。そのように決します。なお明日は午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三分散会