○福井委員 本日、私は
電気の技術家でありますので、詳細綿密な御
質問を長時間にわた
つてするつもりでおりましたところが、時間がありませんし、また担当の技術家の方もいらつしやらないので、また機会のあるときに讓ることといたしまして、ちようど武内
電力局長が、もうわずかな後にアメリカへ
電力関係で行かれるということを耳にしておりますし、またこういう両
委員会が合併して
お話をする機会も、なかなか議会中では少うございますので、一言武内さんたちに、
電力料金に及ぼす
影響も、アメリカの方へおいでに
なつても、今後たとい十日に施行されても将来残る問題でありますので、いろいろ準備はなさ
つておられるでございましようが、われわれ
電気技術家として、あるいは安定委員の代議士側としての意見を御出発の前に、いろいろ申し上げておきたいと思うのであります。
今の
日本の
配電状況というのは、第一次欧州大戰が一九一九年に終
つて一九二〇年ごろから発達して来たのが主体でありまして、進藤さんなどはずいぶんそれで苦労をなさ
つておられますからおわかりでありますが、現在の
日本の
配電状況は、御
承知の
通り関東が五十サイクル、
関西が六十サイクル、
九州が五十サイクルと六十サイクルのコンバインしたものでありますが、アメリカにおいては二十五サイクルと六十サイクルというようなふうで、第一次欧州大戰の後には非常に困
つた。それで現在においては大体六十サイクルにアメリカの方は統一されてほとんど難がなく
なつておるのであります。そしてまた
電力の
料金のある一部分をたすところの送電線の
ロスのファクターとなるところの特別高圧送電線路の電圧につきましても一九二〇年、昭和元年の前後におきまして、
日本が立案したものが、最高が十五万四千ボルトでありましたが、その後アメリカにおいていろいろの
方面で二十二万ボルトを
計画し、現在では世界で最高は二十二万ボルトというのが
標準であ
つて、特殊なのは三十八万ボルトがドイツにありますが、これはスペシャル・ケースである。そういうわけで、現在二十二万ボルトが
日本でも望ましいのでありますが、戰前戰後からそう
簡單にこれがかえられないということ・サイクルの統一というようなこととあわせてなかなかむずかしい問題と
なつて、今も取残されておる問題であります。そこで武内さんが
電力局長として
電力行政面を大体担当してアメリカへ行
つて、わずかな日数だけしかいらつしやらないので、これは困難な問題ではありますが、その他の技術家も連れて行かれますので、クリッパー機に早急に用意なしで飛び乘
つて行かれることがないように、いろいろ方々から資料を集めて、GHQなどの御注意はあるようでありますけれ
ども、十分な準備をなさ
つてこの設備をしつかり見て来ていただきたい、こう思うのであります。それが
電力料金に及ぼす
相当なみやげにもなろうと思います。現在アメリカの発電所の建設
状態を見ましても、われわれ政治家として、日常の口論やけんかなどをしている間に、実は科学的の進歩が最も著しく、特に
電気の
方面でも原子力の発電所などはアメリカにおいては十年後——現在でも
計画しておりますが、
日本の水力発電所の完成が大体ダムを必要とするようなものは十年かかります。これは戰後の
状態です。
火力発電所においても三年というのが
標準であります。もつとも特別な例は別でございます。そういう
日本の資材難または資金難の
状態においてでき上
つた当時には、アメリカにおいて原子力の発電所がウラニウムもたくさん出て、あるいは他の原子もたくさん出て、これが完成して来る。現在発電所のコストにおきましては水力発電所と
火力発電所のちようど中間の値段で、原子力の発電所ができるのであります。ただウラニウムという鉱石がなかなか
日本にはないので、今すぐ
日本でこれをカナダからとり、あるいはチェコからとり、あるいはアフリカのコンゴーから持
つて来るということは、この占領下においてはもちろん夢の話でありますが、しかも科学者としては湯川博士のああいう問題も現実に現われて来た
通り夢ではないのであります。従
つて今後建設するような場合に、五千カロリーくらいな悪い
石炭を使
つて、そうして完成するような十年、二十年先の
火力発電所のことについては、アメリカヘおいでに
なつて世界最高のサイエンスの面について、よく
検討をして来ていただきたい、こう思うのであります。もちろんアメリカにおいては御存じの
通り世界最大の、水力においてもグランドクーリーダムにしても、あるいはボルダー・ダムにいたしましても、チェッコ
方面のドニエプルのプラントにいたしましても、これは
日本の信濃川やあるいはまた木曽川の発電所などを例にと
つても、そんな大きな
計画は立ちません。もちろん水力といたしますれば、せいぜい五万キロが最大でありまして、
火力は一單位として幾らでも大きくはできますが、アメリカのものをすぐこちらには適用はできぬことは、われわれ
電気技術者としては百も
承知でありますが、そういう面においてもアメリカのスーパー・パワー・システムに関連したところの水力、
火力の発電所の建設
状態、並びに今後の科学の発展に即応したところの状況を技術家も動員して——今になりてすぐメンバーをかえるという意味ではありませんが、今後技術家も動員なさ
つて、手落ちのない将来の水、
火力の発電
計画を立てていただきたい、こう思うのであります。原子力の発電所について、われわれ
電気技術者の方は——一般に言えばなお夢だと言いますけれ
ども、決してそうではないのでありまして、現在
日本の
電気の進歩
状態は、まだ一九二〇年から二七、八年に発展したままであります。その間にアメリカあるいはドイツの方は非常な進歩をしておりますので、どうかそれらの点をお忘れないように御研究なさ
つて、御視察を特にお願いしたいと思います。
簡單でありますが、
料金に付随してちよつと着想を申し上げた次第であります。