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1950-07-04 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月四日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 有田 二郎君 理事 神田  博君    理事 澁谷雄太郎君 理事 永井 要造君    理事 村上  勇君 理事 有田 喜一君    理事 今澄  勇君 理事 風早八十二君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       首藤 新八君    田中 彰治君       多武良哲三君    中村 幸八君       福田  一君    前田 正男君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官   柿沼幸一郎君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君         経済安定事務官         (財政金融局         長)      内田 常雄君         参考人日本銀行         副総裁     二見貴知雄君         参考人日本銀行         融資斡旋部長  市田 禎藏君         参考人日本興業         銀行総務部長  石井 一郎君         参考人日本興業         銀行総務次長  渡邊  淳君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 五月二日  小金義照君が理事を辞任した。 同日  大野伴睦委員長辞任につき、同日小金義照君  が議長の指名で委員長に補欠選任された。     ————————————— 五月二日  電気事業及びガス事業に関する件  中小企業振興対策樹立に関する件  貿易振興対策樹立に関する件  石炭鉱業合理化並びに石油及び天然ガス増産  対策樹立に関する件  金その他の鉱物増産対策樹立に関する件  基礎工業自立対策並びに化学工業振興対策樹立  に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  石炭鉱業合理化に関する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 それではこれより通商産業委員会を開会いたします。  この際私から簡單に委員長就任のごあいさつを申し上げます。  去る五月二日、第七回国会終了日にあたりまして、不肖私が院議によりまして委員長就任いたしました。それ以来委員各位と席を同じゆうする機会を得ませんで今日に至つた次第でありますが、ここに私は、就任以来初めて皆さんと席を同じゆうするので、一言お願いを申し上げておきます。  私は元来不敏でありまして、特に国会そのものの運営につきましては、きわめて未熟、そして至らないがちのものであります。この委員会與党、野党を問わず、今まで実にりつぱに運営されて参りましたので、その美風を続けて、円滑に国政を議して行きたい、かように念願いたしますので、どうか皆様の切なる御協力をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。     —————————————
  3. 小金義照

    小金委員長 それではただいまより議事に入ります。石炭鉱業合理化に関する件を議題として調査を進めます。この際お諮りいたします。本日は政府側よりは横尾通商産業大臣宮幡政務次官始關資源庁長官中島炭政局長石原通商企業局長舟山大蔵省銀行局長その他経済安定本部よりは、産業局長財政金融局長出席を求めてありますが、本問題調査のためには、銀行経営者意見及びその実情を聞く必要があろうと存ぜられますので、委員長において、日本銀行融資斡旋部長及び興業銀行総務部長、同次長連絡をいたしまして、以上の方々参考人として来ていただいて、御意見を聞くことにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小金義照

    小金委員長 御異議はないと認めます。そのように決定いたします。それでは石炭鉱業合理化に関しまして、石炭鉱業に対する問題の審議を進めますが、まず委員長から政府当局に対して三つの重要な問題を問いただしたいと思います。まず第一に石炭鉱業に対する特別の金融措置が、この際きわめて大事だと思われます。この石炭鉱業に対する特別の金融措置につきまして、政府当局はどういう考え方を持ち、どういう腹案を持つておられるか、この説明を求めます。
  5. 宮幡靖

    宮幡説明員 ただいま委員長から御明示をいただきました石炭鉱業に対する融資の問題でありますが、これは昨年配炭公団廃止及び石炭に対しまする統制撤廃ということに関連いたしまして、当然対策を講じなければならない問題でございました。御承知のように業界からの要望、また当委員会の熾烈なる御要求によりまして、政府当局もみずから勘案いたすところもございまして、いろいろの施策を打ち立てまして、それぞれこれを実行に移すべく努力を続けて参つたわけでありまするが、その成果というものは、ある面におきましては相当の効果もあげておりますが、全面的に見ますると必ずしも万全のものではございませんと申し上げますよりも、おそらく関係方々からは御不満の点があろうかと常に心痛いたしておる次第でございます。特に最近の情勢におきまして、夏場貯炭の増加いたしまする現段階で、どうしても金融対策をさらに一段とかわつた面から検討し、石炭鉱業の将来等も見通し、また最近やかましく言われておりまする石炭鉱業合理化並びに鉄工業合理化、かような方面合理化審議会において一応の結論を得まして、鉄鋼に対する補給金撤廃等もこれらの見通しのもとに行われるような状況でありますので、種々対策を勘案しております。しかしながら御承知のように金融民間ベースに移りまして、国家一つ統制権を持つておらない、民間銀行失業者とのお互いの信用の見合いと申しまするか、取引の関連におきまして多くが処理されて行かなければならないような状況でありまして、案は幾多ございましても、実行に移す面におきまして非常な困難を伴い、その困難がひいては業界に非常なる御迷惑をかけておることと存じます。そこでただいまの現状に対しまして一応通商産業省として考えましたところの金融対策の全体につきまして、以後炭政局長から御説明申し上げることにいたします。もちろんこの案につきましては、ただいま大蔵当局及び日銀に対しまして、それぞれ事務交渉中の案でありまして、通商産業省として考えた案を一応通商産業委員会委員各位の御批判に供するわけでございまするから、この点をお含みの上にお聞取りをいただきたいと思います。では細部につきましては炭政局長から御説明させることにいたします。
  6. 中島征帆

    中島説明員 石炭金融問題につきましては、先般来石炭鉱業会から諸般の御要望がございまして、これにつきましていろいろ資源庁におきましても検討を重ねておりますが、その中にはいろいろな問題がございまして、たとえば復金関係でありますとか、それから合理化資金の問題でありますとか、損失補償の問題でありますとか、電力あるいは鉄道の運賃の値下げの問題でありますとか、こういうふうな問題を種々含んでおりますが、さしあたりこの夏場石炭鉱業に対する金融措置といたしまして、二、三件の問題がありまして、緊急の措置といたしまして、これをどうするかということにつきまして種々協議いたしております。これにつきましては各関係当局並びに金融機関とも十分打合せの上で、最終的な案を決定しなければなりませんので、現在の段階におきましては、いまだ資源庁の試案という程度を出でておりませんが、この夏場金融に対します一つ考え方といたしまして、私どもの方で今進めております案を一応御披露申し上げたいと思います。  これは問題が三つございまして、第一には工業手形日銀による再割が先般来停止されておりますので、これを復活するという問題、この問題は実は今年の春に中小工業金融対策一つといたしまして、中小炭鉱に対しまして炭鉱実情十分検討の上、内容確実なものについては、日銀並びに地方の石炭局において、その融資をあつせんするというふうな方向へ進んでおりましたところが、たまたまその問題の具体化するちようどそのときになりまして、工業手形日銀による再割停止という方策にぶつかりまして、これがほとんど実現しなかつたというふうな関係になつております。さらにその後この手形割引停止の問題から、全般的に炭鉱自体金融を圧迫しておる。これは最近におきます炭鉱の受取り手形が、従来は一月ないし二月でありましたものを、さらに一月ぐらい延しておるというような関係からいたしましても、この関係で非常に炭鉱金融は苦しんでおるという状況でありますので、この工業手形の再割をもう一度復活していただいたらどうかというような案を実は考えておる次第であります。  それから第二の問題は、貯炭融資の問題でありますが、これは昨年の秋の配炭公団廃止以来、貯炭融資につきましては再三御要望がありましたが、一般的に見まして、先になるに従つて売れる見込みのある炭と、そうでない炭との区別がはなはだつきにくい。さらに一方においては、非常に配炭公団の厖大な出炭があり、また逆に他面におきましては、冬場需要増加ということを考えると、はたして貯炭融資ということがどの程度必要であるかということにつきましても的確な数字がつかめませんし、また全般的な対外融資というものが、わが国の金融措置に沿わないというような趣旨におきまして、ほとんどこれは実現いたしておりませんが、その間幸いにと申しますか、昨年の年度末までに冬場需要期にあつて比較的需給関係が好転しておるということと、また一面におきましていろいろな事情から、供給そのもの減つた、つまり石炭の生産が減りました結果、比較的市場の貯炭による圧迫ということが少かつたということで、今日まで比較的順調に経過したと言つてもさしつかえないと思つておりますが四月になりまして、いよいよ夏場の非需要期を控えまして、次第に貯炭がまた増加し始めたという今日の傾向におきましては、どうしてもこの冬の需要期に至るまでのつなぎ融資的なことを考えなければならぬ。これはわれわれとしても十分考える必要があると思いまして、このような対策をとつたわけであります。これは従来配炭公団自体でありますならば、貯炭というものではなくして、すべて生産された炭はすぐにも配炭公団に引取られたわけでありますが、配炭公団以前の自由経済時代におきましては、当然に夏場貯炭融資というものが問題になつて来ておつたのでありまして、それと同様に今日また自由経済にもどりました石炭鉱業にとつては、やはり今日の夏場貯炭に対する融資ということは、至当であろうというふうに考えたわけでありまして、これに対する方策といたしましては、現在石炭鉱業者手持ち貯炭が五月末で百六十万トンと見ておりますが、その後さらにふえておりますので、最近におきましては百九十万トンないしは二百万トン近くになつておると予想されますが、このうちでいわば常備貯炭と申しますか、特に金融措置を必要としない部分もある、これは一応考えていいと思います。従つていわゆるランニング・ストツクとして数量を除いた残りの炭から、さらに十分に売れるという炭をつかまえまして、それに対しまして七割程度融資をする、こういうようなつかまえ方をいたしますというと、その炭は、需要期になりますと、当然にはける炭であるというようなことは確実に申し得ると思いますので、そういうようなつかみ方をいたしまして、貯炭の中で、将来必ず販売し得るという炭の中で、これに対して、その市価の七割程度融資するというような方策考えております。そして四箇月目から毎月三分の一ずつ返すというような條件でやつたらどうかと考えております。これに要する金額はおよそ四十四億円と見積つておりますが、それは九月までに大体三百万トン程度貯炭になる。現在月に三十万トンないし四十万トンずつたつておりますので、この傾向から申しまして、九月末には三百万トン程度になる。この中で百二十万トンくらいは、ちようど十日分くらいに当りますが、この程度のものはランニング・ストツクと見まして、残り百八十万トンに対して、平均三千五百円、これの七割ということで四十四億という数字が出て来るわけであります。  それから最後は未拂金に対する措置でありますが、炭鉱の未拂金は昨年来各界から非常に問題になりまして、未拂金の処理に対して再三ひもつき融資をいたしております。昨年中に約五十億程度のものが未拂金ひもつき融資として出されておりますが、その後一般的な金融逼迫とともに、ほとんどこれが著しく減少いたしませんで、今日でも相当な金額に上つております。これは昨年並びに本年度見返り資金の放出が非常に遅れているというような点とも関連いたしておりまして、その関係で、必ずしも炭鉱自体責任に帰すべきものではありませんが、できればこれにつきましても、いま一度整理のためにひもつき融資をしたらどうかと考えております。これも従来と同じように、対象炭鉱は、業態が堅実で経済内容がきわめて良好な炭鉱に限るということにしてひもつき融資をするわけであります。これが全炭鉱の分を計上いたしますと、十二月末の未拂いの中で、まず二月半程度は通常未拂いだというように想定いたしまして、それを越える未拂い金額を今度のひもつき融資対象とするというように考えますと、全体で約二十億——十九億九千万円という数字になります。これに対しまして、特に未拂い融資特別措置としてする必要がある炭鉱と、そうでない炭鉱とわけまして、さらに必要がありましても——必要があると申しますか、希望がある炭鉱におきましても、将来返済の見込みのきわめて悪いものにつきましては、これは遠慮してもらわなければなりませんので、この金額をさらにどの程度に圧縮するかということは今後の問題でありますが、一応考えられます全体のわくは約二十億というとになつております。  以上申し上げましたような措置でもつて、今度の夏場金融逼迫を切り拔けたいと思つておりますが、何分にも相当な金額に上りますし、これに対しましては現在の一般金融政策から行きまして、やはり特別な金融措置と申しますか、資金減に対しまする特別の措置をいたしませんと、單なるあつせん融資ないし金繰り融資では解決いたしませんので、そういう根本問題につきましても解決をはかる必要があると思つております。この点につきまして、十分関係方面連絡協議をいたしまして、できるだけすみやかにこの案の原案に近い形で実現できるように、今後私どもといたしましては努力いたしたいと考えております。
  7. 小金義照

    小金委員長 今一応政府当局から御説明がありましたので、これから質疑に入りたいと存じます。田中彰治君。
  8. 田中彰治

    田中(彰)委員 炭鉱の問題に対しては政府の無理解といいましようか、あるいはかつてな法律の解釈といいましようか、そういうものが出されるために、炭鉱界の迷惑はもちろんでありますが、中小炭鉱というものがいつでもそれによつて大きな犠狂を拂わされております。第一にこの国管廃止されるときに、たまたまこれも問題になつたのでありますが、この国管法の第四十條のあの解釈が、政府では法律的の根本的精神を忘れて解釈されているために非常に炭鉱界が迷惑をしている。御存じの通り炭鉱仕事というものは、一応施業案というものを出して、そうして監督局命令のもとに、りつぱに一つ命令以外にすることができないように押えてある。そこで炭鉱がどんな仕事をしても、特別命令の事項を書いたものをいただかなくても、炭鉱自体国管法時代に毎日やつてつた仕事というものは、全部が政府わく内と命令で押えられてやつてつたのだから、それによつて損したことについては、これはあの四十條の精神ほんとうに生かしていただいて、それをほんとうに理解していただいて、相当なるところの賠償をしてもらわなければならぬ。これについては何も行われておらない。特に政府ではこれに対してはかつて解釈をして、特別に命令で書いたものをやつたとか、そういうものでなければ国家責任がないのだ、こういうようなことを言つておる。これはあまりにも炭鉱というものを知らない。前の通産大臣のような方々がそういうぐあいに解釈されるのでありますが、もう少し業者などを集めていただいて、そうして炭鉱事業自体というものはどういうものであるか。特に国管法が行われておる当時仕事をしておつた炭鉱というものはどういうわくの中へ入れられ、どういうきゆうくつな仕事をして来たか、こういう点を解釈されますれば、当然この弁償はしなければならない。こういう点について政府はこのままこれを放任するのか、あるいはもう一回これを研究して、この根本精神を生かして賠償という問題に対して考え意思があるかどうか、この点が一つ。  それからこの配炭公団廃止されるときに、少くも今までああいう公団というものを置いて、石炭一つ売ることができないで、公団というものを相手にして仕事をしておつたのであるから、これを廃止されるときには——いろいろなものを廃止する場合には双方に犠牲があるということは承知いたしますが、少くとも資本のない中小炭鉱などには水選機を一台入れるぐらいの金を貸し與えて、そうして準備をしておいてこれを廃止しなくちやならぬ。しかるに何らの手当もなくまつたく負つて来た子供を捨てるようなやり方でこれを廃止した。中小炭鉱が非常に犠牲になつてつぶれておる。また炭鉱業界も非常に迷惑しておる。これに対して見返り資金を貸すとか、あるいはいろいろなことを言われたのでありますけれども、まだ中小炭鉱見返り資金を借りた炭鉱はない。しかも貸せるわく内におきますと、一番最高が三百五十万。三百五十万ぐらいの金を借りても——二十トンぐらいの水選機を一台入れれば少くとも一千万円ぐらいかかる。このくらいの金では一台の水選機を入れるのにも間に合わない。また見返り資金を借りられるような大きな炭鉱は別でありますが、中小炭鉱見返り資金を借りたいという炭鉱方々銀行で一ぱいの金を借りておる。もうどこへ行つても金が借りられない。しかも配炭公団のあるときは十日目ごと炭代を貰えたのでありますが、今では早い手形で六十日、こういうようなことで金がない。ないから貸してくれというのに対しては三百五十万、それも何百に対して三つ四つ炭鉱。こういうような薄情な処置をとられる。まつたくこれでは中小炭鉱というものはいずれは行き詰まつて倒れる。私たちほんとう解釈するならば、中小炭鉱の倒れるのを待つてつて、そうして大きな炭鉱のこの三つ四つを助けるような——独占資本に傾くような方法資源庁がとつておるような感じがする。この点について政府はどんな考えを持つておられるか、あるいはまたこの見返り資金の借りられないような炭鉱に対しては、見返り資金設備資金に使うのだから、特別に政府は、見返り資金を借りられない炭鉱に対して、設備資金を何かの方法によつて借せるような、こういう道を開く意思があるのかないのか。そういうことは可能であるのかないのか。いつものようなあいまいな答弁でなくて、はつきりした答弁を伺わなければならない。  その次に、この見返り資金というものについてGHQがこう言うとかああ言うとか言いますが、大蔵省も相当な権利を持つておる。資源庁も相当な権利を持つておる。あるいは安本あたりも持つておる。そこでこの権利を持つておる人と近づきのあるような、特にうまく取入つた人は金を借りられるけれども、そういう手づるのないものは金を借りられない。これに対して見返り資金というものは——特に炭鉱に対する見返り資金に対して、GHQ中小炭鉱に対して貸してはいけないとか、あるいはこういうものに対してはこうだというわくをきめてあるのか、あるいは規則を設けてあるのか、あるいはどういう命令をしておるのか、この点を明らかにしていただきたい。次に運転資金であります。運転資金配炭公団廃止したときに、四十日ぐらいで金が回收できるだろうということでやつたのでありますが、今は六十日の手形はほとんどない。みんな九十日あるいは百二十日、こういうような手形石炭を売つておる。そうして一回待つてくれと言われると、工賃の方は現金で拂つて行かなければならぬ。その他の手形も三箇月か四箇月たたなければ入らない。それを待つていて、手形不渡りなつたために、につちもさつちも行かない。不渡りにすれば銀行に割つてあるのでありますから、銀行は今まで百万円のわくを認めておつたものが八十万円あるいは七十万円にしてしまう。不渡り銀行わくを縮められる。こういう点で非常に炭鉱は苦しい。この運転資金に対しては、ただ貸す貸すと言われても当てにならない。政府はどういうふうにしてこの運転資金炭鉱融資するのか。そうしてその融資した資金というものは特殊の銀行関係のある人とかあるいはまた資産のある、十分の取引のある人がこれを使う。石炭を売つて、その確実な銀行手形であるならば、銀行取引のない人でも、あるいはだれでも持つて行つてそれを銀行で割るような、こういう一般炭鉱業者の生きられるような方法を講じなければならぬ。こういうような点に対して政府はどういう考えを持つておられるか。  次に貯炭でありますが、この貯炭の貸金は、夏場石炭が余るにきまつている。それだから九月末までは金に困るのであります。このほかの石炭手形で売つている。売つた方は少しも金が入らないが、賃金を拂わなければならぬ。資材代を拂わなければならぬ。これではやつて行けないことはわかつている。これに対しては少くとも八掛くらいの金を貸してもらわなければならぬ。これも銀行関係のある人のみが借りられて関係のない人は借りることができない。あるいは調査をするとかそういうことでは間に合わぬ。そこで何かの機関を設けて貯炭があるということが確実になつたならば、証明書を持つて行つて貯炭というものに対してだれでも金を借りられる、だれでも使えるという金融でなければならぬ。ただ特殊の人のみが使える金融では何にもならない。こういうような点について、政府はどういう考えを持つておられるか、またこれをいつごろから実施される考えであるか、この点についてお聞きしたい。  それからひもつき金融であります。これはたまたま行われたのでありますが、これもどうもうまく行かない。金は出した出したと言うけれども大蔵大臣も去年の暮に十二億出したと言われるが、おそらくこれを使つた炭鉱は少い。ひもつき金融というものに対しては、もう少し何かやはりだれでも使えるような安定した方法がなければならぬ。これについて私の意見でありますが、銀行の預託については、いつでも政府ちよつと市内銀行を喜ばすようなことをやつて預託する。そうしてすぐそれを引上げる。こういうことではなく、炭鉱の所在地の銀行に対しては、何か政府は方便をもつて金を預託して炭鉱にまわすような方法はできると思う。何か言うとすぐ、GHQGHQと言われるのでありますが、私はなるほどGHQのとつておられる政策はりつぱなものだと思う。しかるにそれはアメリカあたり政策の確立したところから見ればりつぱであります日本はいわゆる肺病病みなんです。その肺病病みが健康な人並に歩いたり、かけたりしたのでは身体にむりになつて、必ず倒れたり死んだりするのであります。そこで政府人たちはよろしくそこへ行つていろいろな意見を申し上げて、そうして正しい面においては少しぐらい怒られても、あるいはまたあれはちよつといけないと言つて欠点ぐらい突かれても、大勢の人を救うためには、ほんとう日本の政治というものをやるためには、ほんとう経済というものを確立するためには、そういうような勇気があるのかないのか、そういう点についてはよほど皆さんがこの預託金なんかについてやられるならば、相当許可するものだと思う。この点についてどういうお考えを持つておられるか。  それから金融面でありますが、いつでも願いに来ると、こうしてやる、ああしてやると言つて、さつきも局長が言われたのでありますが、これは去年の九月の十五日から炭鉱業者は困つている。救わなければならぬと言いながら、少しも救つていただけない。そうして救済の金を出されても、何ら政府が補償しておらない。大体政府銀行に対する十分の監督権がないくせに、しかも銀行を自由にするような権力がないくせに、あるような顏をしているのがいけない。銀行局長というものがどれだけの銀行に対して監督権があるのか、実際どれだけの銀行をどうやるのか、そういうような権利がない。なくてあるようなふりをするから銀行政府の言うことを聞かない。そして政府が頼みに行く、頼みに行くが救えない。そこで実際の監督権を政府が持つとか、あるいは何かしてやる方法があると思う。  もう一つ私が申し上げるのは、金を出さないとおつしやいますが、炭鉱が売つた商品手形があるならば利子をとれるから、それを市内銀行日本銀行へ持つてつたならば、日本銀行はその手形に対して再割引をすればよいではないか。一つわくをきめておいて、全部上へも動かなければならぬ、下へも動かなければいけない。自由経済というものは三千億なら三千億ときめられても、上も七百億ぐらい行つておる。下へ七百億来る。このわくの中で泳げるものが自由経済だ。その線を守つて行かなければならない。こんな不徹底な自由経済ではだめだ。この際は今までのような一時的な喜ばしでなくて、実際政府銀行に対してどういう権能があつて、どういうことをやり得るか、だめならだめと頭を下げてもらいたい。また法を立てていただかなければならぬ。日本の刻下の炭鉱業者に全部出すわけには行かないが、このまま放任するわけには行かない。だめならだめでほかに方法はある。われわれはこの炭鉱業者をぜひとも救うためにここに共産党の方も、社会党の方も、民主党の方もおられるが、ほんとうの困つた業者を、戰争中から戰争後ずいぶん働かした。中小炭鉱を救うことは皆から共鳴を得られると思う。どうか今までのような一時的な喜ばしでなく、ほんとう答弁をしていただきたい。
  9. 宮幡靖

    宮幡説明員 ただいま田中委員のお尋ねでございますが、お話の点は、われわれもし個人といたしましたならば、同感の念必ずしも少いとは申し上げないわけでありますが、全体を考えますと、御質問がきわめて国の大方針に関しますことで、おそらく内閣総理大臣からお答えすべきようなことが多かろうと思います。それから新しい通商産業大臣がただいま閣議中でありまして、午後に出席いたしますので、また大臣からお答えすべき面もあろうと思います。それからお尋ねの中のおもなる点は、大蔵省所管で、これはセクシヨナリズムで逃げを打つわけではありませんが、ただいま大蔵省政府委員はお見えになつておりません。それから安本の方に関連いたします総合施策の金融のお話もありました。これは安本の方から説明員が出ておりますから、この方面はまた増岡さんからお答えをいただきます。通商産業省のわれわれ政府委員としてお答えできます範囲内のことを概略お答えいたしたいと思います。  国管法の第四十條の解釈につきましては、これはいろいろ御議論もございます。ただいまのところでは国管法の制定をいたしました当時から損失補償の取扱い方につきましては、かねて稻垣通商産業大臣当時より表明しておりました方針をかえられないような状況にただいまあるのであります。もし田中委員の御議論に十分なる有力な根拠ありといたしますならば、その方向にお進みいただきまして解釈の間違つたところは国会の力で御是正いただきますことにつきましては、通商産業省として別に異議あるわけではありません。  それから中小炭鉱に対しまする金融については、御指摘のように、いろいろ鳴りもの大鼓入りでやつても実効があがらない、まことに遺憾だ、これは何ともそのお言葉の通りであります。しかしながら現在の占領下におきます日本の財政金融措置は、私が申し上げますまでもなく、一般財政資金を産業資金に注入するところの自由を持つておりません。従いまして政府がやれ、国家が何かやれと、そう仰せられましても、国家は財政資金の運用におきましては権能はございますけれども一般の民間資金の方にこの資金を注ぎ込むことを許されない限り、心持としてはまことに申訳ない不満足なものであると考えましても現段階において行えないものであることは、おそらく田中委員にも御了察いただけることと存じます。すなわちこのわくの中におきまして、いろいろ勘案されますが、ただ残されますことは、融資のごあつせんということになります。ここに銀行関係者も本日参考人として御出席を煩わしてあるようなわけでありますが、この方々からもいずれ参考陳述をいただくと思いますが、あつせんしたものが、あつせんした通りに行けばかようなことになりませんが、どうもそう行かない。また行かせないというようなきらいも相当にあると私は考えております。中小炭鉱については田中委員もすでに御承知の通り、本年の二、三月にわたりまして金融措置についての根本的な調査をいたしまして、その際現われましたものは、企業件数におきまして二百三件、炭鉱数において二百三十九件の方から金融の希望の申出がございました。これを表に集約いたしますると、設備資金におきまして約九億六千万円、御指摘の未拂金の整理資金といたしまして十億六百万円、つなぎ資金、いわゆる運転資金としての御指摘の方が四億三百万円程度あります。これを一応資源庁の炭政局を中心といたします事務当局検討におきまして、大体百五十の炭鉱に対しましてはぜひ融資をしていただきたい。総額において二十億八百万円になります。二十五年度の出炭予想に対しましてトン当り二百八十五円、これは現在の炭価と見合いまして、この程度のものは金融機関として救えないものではない。これを融資しても危險であるかどうかということは考えられないと私どもは思います。これをもつて約二十億の資金日銀で特別な措置によつて融通していただく道を講じ、大蔵省もこれについて協力していただくことを懇請いたしました。これは四月のことでありますが、すでに四、五、六、三箇月に近い日が経過いたしておりまするが、これによつて融資を受けたという実績はきわめて乏しいのであります。乏しいからほつてあるのかと申しますとほつてはありません。毎日のようにこの問題についてやりますが、銀行の方でわれわれの方へは出炭量トン当り二百八十五円の金融であります。それが設備資金であり、未拂い金の決済資金であり、つなぎ資金であるという有力な根拠があつて、これをもつて炭鉱を相手に融資してほしいということを申し上げましても、これがうまくべースに乗つて参らないという状況であります。従いまして御指摘の見返り資金の問題もありますが、これは司令部がどれだけ内容にタツチするかというお話もありますが、これはこの席ではお答えするのをぜひ差控えさせていただきたいのであります。これは安本の方で案を立てますので、安本の方から御説明を願いますが、その他の問題は、先ほど申し上げましたように、もう少し偉いお方、すなわち総理大臣なりわれわれの方の大臣なりがお答えすべきことでありまして、現在考えておりますのは、現在許されまする程度におきましては一心不乱にわれわれは努力しておりますが、それも及ばずして御指摘のような議論が出ることでありまして、皆さんとともに私は遺憾に存ずる次第であります。しかしながらこの状況を打開することこそ現在政府の務めであろうと思いまして、もしわれわれが司令部との交渉の機会がありましたならば、正しきを主張し、日本経済の現状を救います上に必要な措置であるならば、決して俗に申す弱腰等の交渉はいたしておらないのであります。私は大臣の補助者でありますが、むしろその立場におきましては行き過ぎだと考えられるほど強い意思を表現いたしまして、それが遅れながらも順次実現に移されております。最近では重油の問題もあり、例の綿紡の設備制限を解きました問題等、これは従来なら決して許容される問題ではありませんが、いろいろ実情を申し述べまして順次打開をしております。しかしながら今日の御発言は有力なものであり、当面の通商産業省としては大いに反省すべき問題が多々あると思いまして、御意見を拜承いたしまして、さらに将来において一段の努力を拂う決意を持つておる次第であります。
  10. 田中彰治

    田中(彰)委員 わが党のピカ一と思われる政務次官が炭鉱問題をどうも国家の大問題でなく、簡單な小さな問題のように考えておられるように私は思う。これは総理大臣でなくても、大臣でなくても、日本の再建に必要な石炭の問題で、しかも業者が去年の九月からいつも東京に十人か二十人上京しておつて血と涙の努力をしておつた。この問題を、どうも田中君の問題は大きいと言われるのは、よほど小さく思つておられたからそう言われたのだと私は思うのでありますが、よろしく今後資源庁におかれても、あるいは通産省におかれても、炭鉱問題というのは日本再建の母たる大きな問題だ、こういうふうに考え直していただきたい。小さい問題と思われるからこういうことになる。  もう一つ民間の金融にタツチできないとおつしやいますが、銀行の預託だとか、あるいはまた手形日銀で再割するところの確実な商業手形、この再割のわくをふやすくらいなことは、日銀政府のものだから、よく政府当局が相談されてやられれば、私は簡單にやれることだと思う。一つをきめたらこれで何でもかでも行くのだという腹、それでだんだん行くと、石炭問題は国家の問題ではない、小さい問題である、そういうふうに考えられる点があつて、どうしてもそこまで押切れない。どうかこの点、石炭問題は国のほんとうの大きな問題だというふうに考えを新たにしていただくようにお願いしたい。
  11. 宮幡靖

    宮幡説明員 私の答弁が足りなくて誤解を招いたものと思いますが、石炭鉱業が国の小さな産業であるなどとは毛頭考えておりません。この点は重大なことでありますので、ぜひ了解をいただきたいのであります。国の基幹産業といたしまして常に重視して対策考える、しかしながらお尋ねの点につきましては、財政資金をもつて産業資金をまかなうことを許されない限りにおきましては、政府の施策としてはなかなかできないことであるということを申し上げたのであります。従つて大きな問題だと申し上げますのは、いわゆるドツジ・ラインと申しまするか、現在の財政方式が根本に改まる問題、このことによつてすべてが解決せられることであります。なお先ほども申し上げておきました通り、そのような問題は大蔵省当局からお答えすべき問題でありまして、私の方ではあえて回避するわけではありませんが、預託金の期限を延長するとか、あるいは従来やつて来ましたマーケツト・オペレーシヨンの集約措置をどうするとか、こういうことにつきましては大蔵省責任を負つて答弁すべきことでありますので、差控えたわけであります。これらについて別に熱意や関心がないわけではございませんので、その点は御理解深い田中委員のことでありますから、くれぐれも御了承をいただきたいと思うのであります。
  12. 有田二郎

    有田(二)委員 田中君の御質問に対しては、われわれは詳細に政府並びに金融方面から、通産大臣なり大蔵大臣なり、特にポリシー・ボード委員長であり日銀総裁である一万田氏を呼び出して話を聞かぬ限り、私は徹底しないのではないか、政府の最高の責任者の責任ある答弁によつて、今の田中氏の質問なりその他われわれが質問したいと思うことをはつきりしていただきたい、かように私は思います。特に金融面についてはローマ法王といわれている一万田君を呼び出さぬ限り、金融の斡旋部長をおよこしになつておられますが、これだけの権限では私はどうもできないのではないか。今日はこれから日銀融資斡旋部長のお話を承る、そして晝から早急に連絡をとつていただいて、一万田君なり、大蔵大臣なり、通産大臣の御出席を願うよう、委員長においてしかるべく御手配を願いたい。
  13. 小金義照

    小金委員長 承知いたしました。すぐ手配いたします。
  14. 有田二郎

    有田(二)委員 それでは日銀融資斡旋部長からひとつ説明をお願いしたい。
  15. 市田禎藏

    ○市田参考人 私は日銀融資斡旋部長をやつております市田でございます。  石炭金融につきましては、日本銀行としても基礎産業であり、産業の母であるということを十分承知しております。特に私ども第一線におりますものといたしましてはビジネス・ベーシスにより産業の資金金融面から阻害されておるというようなことがないように万全の努力を拂つておる次第であります。この春にも各地から中小炭鉱業者がこれこれの金がいるんだからあつせんしろというお話がありまして、市中銀行、特に関係の深い興業銀行、勧業銀行、北海道拓殖銀行等の代表者の方も政党側のごあつせんによりまして一堂に会しまして研究したわけであります。そうして一つ一つの問題について取上げられるものから取上げて行く、但し一括的にこれこれの——百十五炭鉱でありましたが、所要資金二十億をさあ出せと言われても困る、一つ一つ検討しなければならぬ。幸いにして資源庁で非常に詳細な資料をつくりまして、それを基礎にいたしまして——実は炭鉱といいましてもなかなか金融機関調査の資料はないのであります。幸い貴重な資料が出て来たので、これをスタートにしてさらに検討を進めてもらうということにして、それぞれ現地でやつておる次第であります。夏場貯炭の問題も北海道ではつとに春ごろから問題が提起されておりまして、売れた炭、必ず回收のできる売掛手形については金融をするという考え方であつせんに努めておるわけであります。但し先ほどからもいろいろ御意見がありましたように、金融機関の自主性ということは特に最近強く言われまして、私どもがあつせんをするからといいましても、どうしても出せというわけには行きません。ビジネス・ベーシスで金融機関が出す意思を持たないというものについては、これはどうにもしようがないわけであります。それで実際の問題としましては、金融機関も、大きな各銀行とも努力はしておられるように私は見ておるのであります。実情につきましては興業銀行さんもお見えになつておりますからお話を願えると存じますが、いずれにしましても金融機関資金というものは非常に乏しくなつて来ている。一方国庫金の引上げ超過が、これは大蔵省の方がお見えでしたならば具体的な数字をお話しくださると思いますが、非常な勢いで引上げられておる。片方の池はからからになつておる、片方はあふれておるのだが、それが一向環流しない。この二つの池を両方並べて、さてからからのところへさらに信用膨脹でやらせるがいいか、財政の方の調整を願つて資源を潤沢にする、といいますよりも、枯渇しておるのを埋める、このどちらがよいかということになりますれば、これは明らかであろうと思います。今日の資源庁の案にも、資金源としては特段の措置考える、まつたくその通りであろうと思います。  それから工業手形の再割引の復活という問題がありますが、実は私どもあつせんの方から見ますと、工業手形の再割をやめましたのは、再割の手形の形で日本銀行が引取るものは、自動的に決済の確実なものであるという建前からそうしたのでありまして、実際の資金の融通面から見ますと、工業手形なつたからといつて日本銀行は貸さないわけではありません。ただ再割の形で日本銀行手形を買い取るのではなくて、担保として受ける。これは一般手形よりも優遇しております。スタンプ手形と同様でありますので、実際金を借りる方から見ますと、金利が一厘ばかり高くなります。それから担保でありますので、若干の掛目という問題が起りますが、再割でないから金融をとめたのだということは毛頭ございません。この点は九州あたりでも誤解があつたようでありますが、現地の支店長からとくと御説明を申し上げておるはずであります。問題は金融機関の自主性から貸せるものは貸す、貸せないものは遺憾ながら特段の措置考えてもらわなければならぬ、こういうことでありまして、その他夏場貯炭、滯貨融資等につきましても、これが滯貨でありますれば金融ベースには絶対に乗りません。必ず売れる。それからもう一つつた先から代金が回收できる。回收できませんければ、ストツクの所有者が違うといつただけの差でありまして、回收ができるというその見通しが眼目でありまするが、そういうものでありましたら、この融資は当然受けられてしかるべきだと思います。これらは個々の問題として考えるので、どれもこれもわくで貸すというようなことではとてもビジネス・べーシスに乗りませんので、一つ一つ金融機関の判断によりまして、つくものからどんどんつけて行きたい。私どもがあつせんを差控えましたのは、金融機関の自主性を阻害してはならないということで、新聞に伝えられたあつせんをやめたのだという話がございますが、あつせんをやめるというわけではございません。金融機関の自主性を尊重しなければならぬという建前で、私の方から積極的に干渉がましいことは言わないという態勢をとつたわけでございます。さような状況でございますので、斡旋部としては、重要な産業を單に資金の面だけで梗塞するということは、非常に堪えがたいことに存じておりますので、いろいろ研究もいたしております。しかしながら一番大きなかぎは、特段の金融の手を考えていただかなければならない。今のように財政資金の引上げがあまりにひどすぎる。市中の、特に銀行資金が枯渇しておるような状況、これについてよく御検討を願いたいという希望を持つております。
  16. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちよつと今の方にお伺いしたいのですが、あつせんされる場合に、市内銀行なら市内銀行へ、こういうことをしてやれ、そのかわりにその手形日本銀行がそのわく内をふやして引受けるとか、あるいは日本銀行がそれだけの何かかわり手形を持つて来るとか、その手形を持つて来た場合には、私の方で特別のわくで貸してやる。こういうような條件であつせんされるのか、ただ市内銀行へ貸してやれと言つてわくもきめないで貸してやるのか、ちよつとお聞きしたいと思います。
  17. 市田禎藏

    ○市田参考人 私どもの方で、銀行に今月はこれだけしか貸さぬというわくはつくつておりません。それで緊要必要な資金は貸してやつてくれ、但し銀行の金繰りとしましては、なるべく第一に預金を集めなさい。それから回收すべき不急不要の資金があつたら回收をやつてもらう。その最後のしりにおいて必要があつた日本銀行考えるという段取りでありまして、石炭の部分はほかの預金の吸收とか、不急産業の回收とかいうことを全然無関係に、右から左へつうつうと申しまするか、そういうことはやつておりません。ここは金融機関が預金吸收とか、その他の資金繰りのいろいろの努力をお願いしなければならぬ。一段その間を入れて考えております。従つてあつせんもいわゆるつうつうでやるということではやつておりません。
  18. 有田二郎

    有田(二)委員 日銀融資斡旋部というものは必要のないものであるか、どういう権限を持つておりますか。権限がなければそんなものはなくした方が行政整理を断行する上に非常にいい。日銀融資斡旋部というものは必要があるのか、必要があるならどういう点において必要があるのか。今の御答弁では必要がないように思いますが、斡旋部の方の御答弁を願います。
  19. 市田禎藏

    ○市田参考人 必要があるかどうかということは、御批判をむしろ伺いたいのでありまして、私どもは重要産業がほんとうに梗塞しないようにという心配をしておりまして、自主性を害しない程度——これは限度であります。これを越してまでということでは絶対にできないと思いますが、その程度で私どもも協力するという考えでおります。
  20. 有田二郎

    有田(二)委員 われわれ通産委員会としては、金融資本家に一般事業家が圧倒されてはいけない。事業家がそれ自体の力によつて伸びられるように、衆議院としては重大なる関心を持つべきである、かように考えております。従つて日銀融資斡旋部というものは、相当この段階においてはわれわれとして重要なる力を持つていただきたいし、またわれわれが安本をなくするという自由党の方針に反して、経済企画庁としてこれを残すということに努力いたしましたゆえんのものも、実に金融資本家によつて一般事業家が圧倒される、金融資本家の手によつてすべての産業が自由にされる、かようなことがあつてはならないというので、私ども経済企画庁というものを残すことに協力したのであります。従つて日銀融資斡旋部というものがある限り、むしろこれは通産委員会の方へ大いにひとつ日銀融資斡旋部からいろいろお教えをいただいて、こういう権限を持たしていただきたい、こういう方向でわれわれに力を持たしていただきたい、かような知識をわれわれに與えていただきたい。われわれは金融資本家がめちやくちやな力を持つことはいけないし、また一般の事業家が金融状態を無視した行動をとることもいけない。両々相まつて日本の産業発展があり得ると思います。従つて金融資本家が、金融の立場のみから考えて、日本の産業を壟断するということは絶対に許すべからざることである。従つて日銀融資斡旋部というものは非常に重大であると、私はかように考えて、われわれの期待するところが大である。特に今日ここに融資斡旋部というものをお起しになつたということは、大いに期待を持つておる。しかるに今の部長さんの御答弁では、まつたく無力である、何もできないような状態でありまするが、どうかひとつ将来ともわれわれはこの点に力を入れて、特に通産委員会としては——委員長にも希望したいのでありまするが、その方面に十分な連絡をとつて政府が、最善の努力をいたします、あるいはできる限りのことをいたしますとか言つてみたところで、結局は融資についてはそれぞれの機関があるわけで、その総合的な力によつて行かない限り、それらの産業の融資というものはあり得ないわけである。どうかひとつ日銀融資斡旋部はこういうような権限を持ちたい、こういうような方向へ行きたいというようなお考えがあつたら、むしろ私どもの方から伺いたい、かように存じます。ひとつ融資斡旋部長から……。
  21. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちよつと今の発言に関連して……。先ほど来話を聞いておると、預金を募れとか、あるいは資金を回收してそれができたら炭鉱の方に融資してやれとか、できない分は何とか考えようというような、これはまつたく今有田委員の言う通りだ。まるで関係のない第三者がちよつと口をはさんだ程度にしかわれわれは聞けない。今預金なんかできつこない。これだけ困つている業者が預金をしつこない。預金しておるのは実は簡易保險とか、あるいは郵便局の小さい預金とか、そういうものの方には金が余るかしらぬが、事業界は預金はできない。銀行の預金は特にできない。そういうものはできないということを特にあなたの方で関心を持たれて、回收はなかなかできないのだから、回收したら貸してやるということでなく、あなたの方であつせんされるならあつせんして、持つて来た手形の不足した分は割つてやるのだ。再割するのだ。おれたちの方でわくで貸してやろうということにされることはできないのですか。その点のあなた方の権限、そういうような腹で交渉しておられないということはおかしいと思うが、どういうような動きでやつておられるか。その点を御説明いただきたい。
  22. 市田禎藏

    ○市田参考人 私先ほど申し上げましたのを少し誤解されたかと思いまするが、預金を出せというのは、炭鉱業者から預金を出せとかそういう意味ではありません。それは一般に預金を集めよう、これは銀行の使命でありますので、極力努力いたしたいと思うわけであります。それから不急の金があるならばこれは回收してくれ、それの努力を無関係でやつては困る、こういうわけであります。それから預金が伸びないことは事実であります。それにかかわらず一方では郵便貯金などは月五十億くらいふえる。それが財政に入つて来る。これを再放出していただかない限りは、銀行としては……。先ほど私の申し上げました大きな意味では何とかして調整をはるか、こういうわけであります。  それから有田さんのお話でありまするが、その点は私どもよく研究いたします。ただいまの権限というか、金融機関の自主性を害しない、これは大きなわくでありますので、さらにそれを打破つて考えるということになりますれば、根本的に考える必要があると思います。
  23. 田中彰治

    田中(彰)委員 大蔵省の方がおいでになつておりますから、ちよつとお伺いしたい。簡易保險の金、あるいは郵便貯金の金が相当ふえておるはずでありますが、それは政府で握つておるのか、どういうところにまわしておるのか、その内容を伺いたい。
  24. 柿沼幸一郎

    ○柿沼説明員 郵便貯金あるいは簡易保險に集まつた金は全部政府の預金部に入つております。この預金部資金はただいまにおきましては一番大きな用途といたしましては地方公共団体に対する貸付であります。それから地方公共団体の発行する起債の引受け、それから一部は公団運転資金にまわしております。それだけがほぼ確定した用途でございます。一時の余裕金というのがございますが、これはその大部分が食糧証券にまわります。
  25. 田中彰治

    田中(彰)委員 ただいま公団資金という話が出たのでありますが、一つの部長が一億くらい使つてもよいというようなそういうことをよく調べて経営しておるのでありますか、ただ何でもかんでも公団であるとか、地方とかいうなら金を貸す。あるいはりつぱな事業には金を貸さないというように聞えるのですが、公団なんかに金を貸した場合に、そういう監督はどういうふうにしておるのか。それともう一つは現在預金部の金はどのくらい持つておるのですか。
  26. 柿沼幸一郎

    ○柿沼説明員 ただいま手元に資料を持つておりませんので、詳細な数字を覚えておりませんが、郵便貯金その他政府の余裕金を合せまして預金部にはただいま千億程度のものがございます。それから公団に貸付けております預金部資金は、きわめて明白な運転資金だけを貸しております。これは日銀窓口を通じて嚴重に監督しております。
  27. 田中彰治

    田中(彰)委員 きわめて明白な運転資金であれば毎月回收すれば一億も二億もとつたらすぐわかるはずでありますが、何億使つてもわからぬことになつておるが、どういう監督をしておるのでありますか。
  28. 柿沼幸一郎

    ○柿沼説明員 公団資金というのは預金部貸付だけで動いておるのではありません。預金部については、優良な商業手形に準ずるものだけに預金部から出しております。
  29. 田中彰治

    田中(彰)委員 特に一千億からの預金をあなたの方で、政府で握つてつて業者は困つて日本産業はやつて行くことができないという場合に、この残つておる預金を炭鉱所在地の銀行あるいは市中銀行に預託する方法を研究なさらぬのですか。そういう話はあなたの方ではないのでありますか。
  30. 柿沼幸一郎

    ○柿沼説明員 ただいまの状況を申し上げますと、約二百億円の食糧証券を預金部が持つております。これが他にまわせばまわせるという金であります。但し食糧証券を今市中銀行で買つてもらうといたしましても、市中銀行には金がございませんので、実際金を他にまわすということになれば日銀でそれだけ通貨を出してもよいということで、今目前において現在の金融情勢を維持するという観点からは余裕金はございません。ただいま本年度見通しといたしましては数百億円の余裕金が生ずる見込みでありますので、目下これについては運用方針について関係方面とも折衝中でございます。
  31. 小金義照

    小金委員長 それではしばらく休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時五十六分開議
  32. 小金義照

    小金委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。午前中に有田二郎君その他の方々からの要求がありました一万田日本銀行総裁の御出席を願う件でありますが、御都合がどうしても惡くなりまして、御出席ができかねるということであります。そのかわりに日本銀行を代表されておりまする二見副総裁がお見えになつたのでありますが、二見君を参考人としてここに御出席つて、御意見を聞くことにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
  33. 福田一

    ○福田(一)委員 二見さんから意見を聞くことには反対ではありませんが、この問題は池田大蔵大臣日銀総裁とに出てもらつて産業資金全般に関する問題として、通産委員会としては研究すべきものと思いますので、その点を委員長の方でよくお含みの上、両三日中にそういう会合を持つてもらえるということを條件として二見さんから御意見を聞くことにいたしたいと思います。そういう希望を私は持つております。
  34. 小金義照

    小金委員長 今の福田一君の御意見でありますが、そういう方々をそろえるということになると、日にちを限られるとあるいは困難かもしれませんが、そういう折衝は委員長におまかせ願えるということならば、それで進んで行きたいと思います。
  35. 有田二郎

    有田(二)委員 今福田一君からお話がありましたが、きようは突然であつて日銀の総裁も御出席になれないのはいたし方ないと思う。すみやかなる機会において、委員長によつてそれらの人たちをそろえ、そうしてこの問題の根本的な解決をはかりたい、かようにわれわれは考えております。この点にひとつ御協力願いたいと思います。それから日銀の副総裁はお越しになりましたから、この際日銀の副総裁に御質問をいたしたいと思います。
  36. 小金義照

    小金委員長 ちよつと待つてください。今有田二郎君からもそういう御意見が出ましたので、そうとりはからいたいと思いますが、今二見さんにいろいろな御意見を伺うということに御異議はございませんね。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 小金義照

    小金委員長 御異議ないものと認めます。そのように決定いたします。  それではこれから質疑に移ります。質疑を継続いたします。有田二郎君。
  38. 有田二郎

    有田(二)委員 この問題は副総裁だけではなく、融資斡旋部長もおられますから、ともに日銀として御答弁願いたいと思います。先刻も田中委員からお話がありました件でありますが、去る四月に中小企業炭鉱に対する二十億円の融資あつせん問題に関して田中君からもお話がありましたが、日銀当局としてはいかなる点で協力をしたか、この点をお話し願いたい。  さらに実際問題においては、事務当局相互の全面的なる連繋にもかかわらず、結果において見るべき成果がなかつたのです。特に現地で具体的な折衝がまとまりかけておつたのにもかかわらず、その際一万田日銀総裁から金融引締めの声明があつて、全部が頓坐したというような事態のようにわれわれは聞いておるのでありますが、これに対して日銀として責任ある答弁を承りたい。
  39. 二見貴知雄

    ○二見参考人 私から御答弁いたしますが、石炭産業につきましては、日銀といたしましても、言うまでもなく基幹産業の優たるものでありますので、金融面からの措置についてもかねがね深い関心を持つております。ただいまお話のございました点につきましては、多分けさほど融資斡旋部長からもお話申し上げたと思いますが、私の方の大体一貫したやり方といたしまして、融資あつせんの線に乘せる、そうして個々のケースにつきまして取引銀行その他金融機関との間にあつせん的立場をとりまして、問題を処理して行く、そういう態度をとつて参りましたのです。ただ日本銀行といたしましては、直接に産業に結びつくということは立場上できませんので、どうしてもそこに金融機関が介在をいたしまして、そしてその金融機関がせわをするということを、金融機関の立場を考慮しつつあつせんをいたしまして、この問題を処理しております。  それから第二の日本銀行金融引締めの政策をとつたというお話でございますが、これは世上いろいろのお話がありますが、特に日本銀行として引締めの政策をとつたわけではございませんで、ただ日本銀行の扱いといたしまして、従来商業手形として——いわゆる私の方の言葉で言う工業手形が商業手形と同様再割引の扱いをしておりましたものを、金融の情勢を考え、またインフレ收束の段階に向いつつある今の日本経済というものを考えまして、それをだんだん再割引の扱いから担保の扱いにかえまして、担保として融通をしております。市中銀行といたしましては、これはやはり商業手形であつて工業手形でありましても、融通の担保、大体において割引をしての扱いをしておるのでございます。特に区別をしているわけではございません。そういう態度を日本銀行がとつておりますので、その辺御了解を得たいわけであります。
  40. 有田二郎

    有田(二)委員 副総裁のお話をお聞きしていると、何か非常にきれいな御答弁ですが、実際において中小炭鉱は非常に困つておるわけであります。銀行局長がお見えになつておりますから、銀行局長に一言御質問したい。炭鉱金融問題に関して、大蔵省が一応協力的な態度を示しておられるようでありますが、融資あつせん等に関して、最後まで金融機関に対して強力に働きかけて、その成果を実現せしめる熱意を示されておるか、この点を伺いたいと思います。
  41. 舟山正吉

    舟山説明員 炭鉱では夏場に向いまして、夏場貯炭あるいは未拂い代金の処理等につきまして非常に苦心しております。この点につきまして最初お伺いがあつたわけでありますが、これに対しまして大蔵省日銀、市中銀行とも連絡いたしまして善処する、できるだけのごあつせんをするという用意がございます。
  42. 有田二郎

    有田(二)委員 なかなか政府答弁では了解できないのですが、あつせんをするとか努力をするとかいうお言葉でありますが、どうですか、あなた方が見られて、炭鉱業者が現在うまく行つておる、あなた方の日銀なり大蔵省の努力によつてうまく行つておる、かようにお考えになつておるのか、うまく行つていないとお考えになつておるか、それを伺いたいと思います。まず銀行局長から……。
  43. 舟山正吉

    舟山説明員 現状におきまして貯炭がふえかかつておる、特に夏枯れ期にあたりまして、その傾向が顯著になつておる。それからいろいろ坑木とか火薬類の購入につきまして未拂いがややふえかかつて来ておる。こういう事実は認めるのでございます。これに対してそれぞれの炭鉱に対しまする取引銀行も非常な関心を持つております。ただ現在の銀行の預金がいかにも伸びませんので、銀行資金に苦しんでおるのでございまして、これらのしりは結局日銀にめんどうを見てもらうかどうかという問題に帰着する。あるいは政府資金のことも大いに問題にしなければならないのでありますが、なかなか思うにまかせない。これを総合いたしまして資金の融通につきまして骨は折りたいという気持であります。
  44. 二見貴知雄

    ○二見参考人 私も今の銀行局長のお話とほぼ同じでございます。銀行預金というものはノミナルと申すと言い過ぎですけれども数字の上ではふえておりますが、今年に入つてからはやはり伸び方が非常に惡いのであります。一方郵便貯金等はかなりいい成績を上げております。銀行といたしましては資金の資源がなかなかきゆうくつになつて来ております。これはひとつお認め願いたいと思います。日本銀行といたしまして、先ほども申しましたように、ただ銀行が出しますものを右から左にすぐにそれを融通するということは、これは日本銀行の立場からいたしかねますのですが、しかし融資あつせんの線に乘りました上で、その銀行の金繰り上、日本銀行融資を求めて来るものについては、つとめてこのケースをみまして融通に応じておるわけでございます。
  45. 有田二郎

    有田(二)委員 努めておる努力しておるというのでありますが、実際問題として炭鉱業者は今非常な苦しい状態にあることは、銀行局長日銀の副総裁もおそらくお認めであろうと思う。一体これを打開するのにどういうような、今も副総裁から少しく御意見がありましたが、一体どういうような方法政府として進めばこれらのものが打開されるか、より一歩前進するかという具体的なお話をもう一歩進んでお聞かせ願いたいと思います。
  46. 舟山正吉

    舟山説明員 石炭業者が全体として資金に非常に困つておるということは認めるのでありますが、しかしこれを掘下げてみますると、やはり業者によつていろいろ違つた状態にある。会社個々によりまして、金繰り状態も非常に違つておるのであります。そこで政府といたしましても、全体として石炭業界に対してこうするという抽象的な方法では事態の解決にならぬと思いますが、個々の会社の実情に応じまして、それぞれの取引銀行もあることでありますから、それらの意見も徴しまして、真に必要なる資金はこれを何とかの形でめんどうを見て行く、こういうふうにすべきものであろうと考えております。
  47. 有田二郎

    有田(二)委員 何とかの形とはどういう形でありますか。
  48. 舟山正吉

    舟山説明員 その形は今副総裁が言われましたので、ただいまお答えは簡單に申し上げたのでありますが、結局取引銀行にできるだけ資金の調達をさす。そうしてそれがどうしても足りない、またそれが必要な資金であれば、これは日本銀行にお願いするということも考えなければなりませんでしよう。それから政府資金につきましては、たとえば郵便貯金など非常にふえておるのでありますが、現在は手のつけられないような状態にあつて遺憾でございますが、それらについても引続き市中還元をはかるように懇請を続けておるような次第でございます。
  49. 有田二郎

    有田(二)委員 市中銀行融資のあつせんをさせるとおつしやいますが、させる権限がありますか、どうですか。
  50. 舟山正吉

    舟山説明員 権限がないので、ただいまの銀行経営ということにつきましては、そこまで政府は干渉できないのでございまして、そこで市中銀行意見というものも十分に尊重しなければならない。そこへ御加勢するという態度に出ざるを得ないのでございますが、現在のところ市中銀行でも金さえあればある程度のめんどうは見なければならぬという気持は持つておるように私どもは見ておるのであります。そうでありますから、資金の調達その他について心配をいたしますれば、道がおのずから開けて来るのではないかというふうに考えております。
  51. 有田二郎

    有田(二)委員 政府に権限がないにかかわらず、いつでも政府答弁というものはさように努力をする、あるいは緊急に融資をあつせんするというような御答弁であるのでありますが、実際銀行局長が今御答弁なつた通りに権限がないわけであります。しからばこういう状態に置いておいてはいけないので、少くともそれらの市中銀行に対して強力な融資あつせんの措置のできるような法的措置を講ずる、あるいはこういうような方向へ進むべきである。われわれは自由党であつて自由経済を根本といたしておるのでありますが、しかしながら今ただちにすべてを自由経済にとは考えていないわけです。特に今一般産業でも非常に苦しい状態にあることは御承知の通りであります。特に金融資本家のために一般産業が圧倒されるということのないようにわれわれは念願しておるのであります。これらの法的措置についてどういうふうにお考えになつておるか伺いたいと思います。
  52. 舟山正吉

    舟山説明員 銀行政府との関係につきましては、政府補償とか命令融資とかいう制度がないのは御承知の通りでありまして、私どもといたしましては、現在それ以上のことは考えておらないのでございます。
  53. 有田二郎

    有田(二)委員 考えておらないというようなことでは困るのであります。大いに勉強して国民のためになるように努力するのが官吏の行くべき道だろうと思います。十分にひとつ注意して、特に私はきようは大蔵大臣もおられないし、日銀総裁もお越しになつておられませんから、そういう問題は別にいたしまして、特に今日日銀の副総裁と銀行局長に最後にお聞きしたいことは、本日の問題は夏枯れ期を控えた炭鉱の当面の危機を救済するために緊急融資が問題になつておるのでありますが、時期を失せぬように、適時融資すべきはもちろん、いわゆる強力なる金融措置を講ずるなどという従来のやり方ではだめだと私は思います。いかなるソースから、いかなるルートを通じて、いつごろ業者の手に渡るか、それを明確にお聞きしたいのであります。特にこの点をひとつ銀行局長日銀副総裁からはつきりしたことをお聞きしたいと思います。
  54. 舟山正吉

    舟山説明員 融資につきましては、緊急でありますことにかんがみまして、急いでおります。ただこの取扱いは、先ほど申し上げましたように、個個具体的の例につきまして、必要な数字を確かめるといつたような方途を講じなければならないのでありまして、この点は関係官庁、すなわち資源庁とも連絡いたしまして、資料がきようあすにでも参り次第、さつそく関係者相集まりまして相談をする手配を整えております。
  55. 有田二郎

    有田(二)委員 日銀から副総裁にひとつ……。
  56. 二見貴知雄

    ○二見参考人 ただいまの問題については、私の答弁といたしましては、政府の方で方針をきめられましたならば、日本銀行としても、それに応じまして、金融措置を講じて行くということを申し上げるほかないのでございます。ただついでに申し上げるのでございますが、滯貨と申しましても、滯貨の中にはいわゆるランニング・ストツクと言われるものが含まれておりますので、そういういわゆる売れる見込みのものについて、必ずしもすべてを滯貨金融なるがゆえに、金融融資を躊躇する、こういうわけではございません、そういう点をお含みを願つておきたいと思います。
  57. 有田二郎

    有田(二)委員 いずれこの問題は通産大臣なり大蔵大臣なり日銀の総裁がお越しになつたときに徹底してお尋ねいたします。  最後に副総裁に一言お尋ねしたいのは、先般参議院で、日銀の総裁は六十九万円、副総裁が五十万円、理事が三十五万円、監事が二十万円ということを副総裁がお述べになつたそうで、それが新聞に発表されて、一般日銀の総裁は、非常にたくさんな收入を得ておるというような誤解があるのでありますが、これについてひとつ答弁を承つておきます。
  58. 二見貴知雄

    ○二見参考人 今日はそういう質問を予期しておりませんのでしたが、日銀は御存じの通り特殊の法人でございまして、発券機能を持ち、法的機関の中でもなかんずく重要な職能を果して行くことを念願しております。またそういうふうに経理の上でも常に留意をしております。現に納付金等につきましては、その前に政府においてよく審査をされまして、その上で予算に組まれ、さらに会計検査院の検査もせられまして、すべて国家的に経理の上でも動いておるわけでございます。個々の職員の俸給、給與につきましては、私どもといたしまして、政府の承認を受けました上で、その給與を受けておるわけでございます。御意見はある方もございましようが、われわれといたしましてはそういう態度で経営に当つておる次第でございます。
  59. 有田二郎

    有田(二)委員 日銀が法人であることはわれわれよく存じ上げておりますが、その株主が政府であり、政府が多くの株を持つておるという特殊な銀行であるとわれわれは解釈しております。従つて先般も参議院で副総裁がおつしやつたそうで、それが新聞の記事に出ておる。そのために非常な誤解を一般から受けておる。しかも監督官が銀行局長であれば、銀行局長はそれを監督して知つておるはずである。だから銀行局長の知つておる限り御答弁願いたい。
  60. 舟山正吉

    舟山説明員 日銀の経理につきましては、大蔵省が監督をしておるわけでございまして、これについてはその特別な職能も考えまして、公正妥当なところにおちつけるということでやつております。計数につきましてはただいま資料を持ち合せておりません。
  61. 有田二郎

    有田(二)委員 これは決して日銀の人がもらつておる給料が多いとか少いとかいうことをわれわれが言つておるのではない。政府がその責任において許可しておるものをもらつておるので、私たちはいかほどおもらいになつてつてもそれに対してどうこう申し上げておるのではない。先般新聞に日銀総裁の月給が六十九万円、副総裁五十万円、理事三十五万円、監事が二十万円、こういう記事が出ておつたが、それを政府当局が妥当として認めておるのかどうか、こういう点もお聞きしたい。しかもそれが事実であるかないか。新聞の記事が僞りであるのかどうかという点を、われわれは国民を代表して聞いておるのであるから、それを正しく誤解のないようにすることは当然のことである。そういうあいまい模糊な答弁でなく、はつきり知つておることをおつしやつたらどうですか。銀行局長の御答弁を願いたい。
  62. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいま日銀の幹部は月給として六十九万円、あるいは三十五万円というようなお言葉であつたように思いますが、そういうことはございません。月額としてそんな金額はとうてい考えられないことであります。
  63. 有田二郎

    有田(二)委員 それを聞きたかつたのです。新聞に載つてつたのは、月給が六十九万円ということであります。われわれ国家の最高機関である国会の議員の給料でさえ御承知の通り月額二万八千八百円である。しかるに日銀総裁は六十九万円、これではまつたくけしからぬという意味で御質問申し上げたのであつて日銀をいじめるために申し上げたのではない。そんなめちやめちやな給料はとつていないということを明らかにしてもらうために申し上げたのです。従つてむしろこの際日銀総裁の月給は幾らかということを国民にはつきりすることがいいのではないかと思いますが、さらに日銀副総裁の御答弁を願いたい。
  64. 二見貴知雄

    ○二見参考人 先ほど実は月給とおつしやつたか年給とおつしやつたかはつきり承りかねたのであります。常識に従つて年俸という意味におとりになつておられるのかと思つたのでありますが、もとよりそういう高い俸給を受ける身でもございません。  それから日銀の給與と市中銀行の給與と比較するという考えもございません。市中の方が高い——これは余談でございますが、市中の方が高いということがあつても、それはいいことだと思います。日本銀行といたしましては、ただいまの額が月俸というようなことはございません。
  65. 有田二郎

    有田(二)委員 年俸が六十九万円なら、私どもは何もそう大して責めることもないと思います。しかし月給が六十九万円ということになると、非常に厖大なもので、国民を代表しておるわれわれとして、まことに国民に対して申訳がないと考えて御質問申し上げたわけであります。私はむしろそういう誤解があるときに、日銀の総裁は幾らの年俸をもらつておられるのかということをはつきりした方が国民に明るい感じを與えるのではないかと思う。さなきだに一万田総裁は法王だと言われるくらいに世間から見られておるのでありますから、私はこの際これをはつきりしておくべきだと思う。われわれは今まで新聞を通じて、少くとも日銀の総裁は月給六十九万円、副総裁が五十万円というように誤解をしておつた。きようはその話を聞いて非常に意を強うしたのでありますが、代議士の月給も年俸もはつきりしているのでありますから、ひとつできたらこの際はつきりされた方が国民のためにいいのではないかと思います。日銀副総裁なり銀行局長はいかがお考えでありますか。そういう漠たる話でなく、ひとつはつきりおつしやつてください。
  66. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまは資料の持合せもございませんし、その問題は後日に譲らしていただきたいと思います。
  67. 有田二郎

    有田(二)委員 それではこの次に日銀の総裁がおいでになつたときに、ひとつ日銀の総裁から御答弁願いたい。そして大蔵大臣からも御答弁願いたい。さようにおとりはからい願います。いずれ私の質問は後日に讓ります。
  68. 小金義照

  69. 田中彰治

    田中(彰)委員 本日は大蔵大臣もおいでにならぬ、日銀総裁もおいでにならない。われわれが呼び出しても来ないで済むというようなお考えはお持ちにならないで、今後中小企業を安定するためにはどんどんおいでになつて、あらゆる人から質問を受けられ、そうしてはつきりした安心感を中小企業の方に與えるような方法をおとり願いたいと思いますから、お帰りになつたらそうおつしやつてください。  次に銀行局長にお尋ねいたしますが、大蔵省日本銀行に対して、どういう権能と監督権をどの程度つておりますか。それから各市内銀行に対しては、どういう権利があるか、預託金に対してはどういう権利があつて、預託金を出したりとつたりする権利をどの程度與えられておるか、大蔵省はそういう権能をどの程度まで持つておるか、それをはつきりお聞きしたい。それから郵便貯金、簡易保險の金が相当余つておるのでありますが、これは大蔵省が管理しておられるのでありましようが、これに対して一体どういう権能を持つているか、これを出したり、入れたり、使つたりする権能をどの程度つておるか。それから石炭問題などについて、大蔵省あたりは、資源庁責任者と月に何回ぐらい打合せされておるか、これをお聞きしたい。それからもう一つ、先ほどおつしやいました炭鉱業者の内容を調べると、非常にいいものもあれば惡いものもあるが、どの炭鉱が今政府の援助を受けないでやつて行けるか、あなた方はどの炭鉱が内容がいいと見ておられるか、どういう炭鉱が一番困つておると見ておられるか。その炭鉱に対する見返り資金というようなものはどういうように運用しているか、この点を責任ある御回答を願いたいと思うのであります。
  70. 舟山正吉

    舟山説明員 大蔵大臣の権限は、財政金融につきまして、政策上の権限は大蔵大臣に属しているものと考えます。日本銀行及び市中金融機関はその大蔵大臣の監督権のもとにある、こういうふうに御了承願いたいと存じます。  それから預金部資金につきましては、預金部預金法によりまして、いろいろ運用の規定はあるのでありますが、終戰後司令部の指令がございまして、運用が極度に制限されている、すなわち、原則として国債、地方債の引受け、それから公団等の政府機関資金に対する運用に限られておるのでございます。預金部資金につきましては、最近郵便貯金の増加が顯著でございまして、本年度は約千億——債務償還を入れないでも千億近い余裕金ができることになつておりますが、そのうち三百七十億円は地方債の引受けに充当せられて、それは預金部資金運用に関する指令に従つておるわけでございます。  次に炭鉱につきまして、資源庁とどのくらい交渉しておるかということでございますが、官庁同士でございますから、用のあるときは申すまでもなく絶えず交渉しておるのでございます。どの炭鉱を優良と見、どの炭鉱資金逼迫と見ておるかということにつきましては、個々の会社の内容について申し上げることはいかがかと思われますので、差控えたいと存じます。
  71. 田中彰治

    田中(彰)委員 どうもさつぱり答弁が私にはわからないのですが、先ほどは市内銀行に対する監督権がないということを言われたのでありますが、私はそこで聞いておるのであります。日本銀行に対する監督権というものはどのくらいの程度の監督権があるのですか、その内容、それから市内銀行に対してはどの程度の監督権、どの程度の権力があるのか。これを内容的に説明してもらわないと、私の方はいつでもあなた方が金を借りてやるとか、仲介してやるとか言つても、私にはそれを信用できない。どの程度の監督権があるのか、どの程度口を聞いてくれるから信用してよいか、さつぱりわからぬ。  それから預託に対しては、GHQからとめられておるということでございますが、市内銀行に預託したことがある、その預託したというのはどういう権限で預託したか。また引上げるときにはどういう権限で引上げたか。またGHQはあなた方にどの程度の権限を許しておるのか。この二点だけもう少し詳しく説明していただきたいと思う。
  72. 舟山正吉

    舟山説明員 日本銀行は中央銀行として発劵機能を営んでおるのでありますが、これらを含めまして金融政策大蔵大臣のつかさどるところであります。その意味で、大蔵大臣の大きな金融政策に従いまして、日本銀行金融政策というものが運営せられているというふうにお解し願つたらいいかと思うのであります。  それから市中銀行につきましては、大蔵省の監督はその内容の堅実をはかつて、預金者を保護するという立場から検査の機能、これが一番大きいのでありますが、そういう監督権を持つておるのであります。個々の市中銀行がどういう貸付をするかということにつきましては、その責任は市中銀行に帰するのでございますから、大蔵省はどれに貸せ、どれに貸してはいかぬということのさしずの権能はないのであります。こういう監督権でございます。  それから預金部資金の預託につきましては、根本的に預金部の運用につきましては、先ほど申しました通り、司令部の指令がございまして、原則として先ほど申し上げましたように限るのでございます。しかしその金融市場の情勢に応じまして、市中に資金の枯渇するような場合には、その指令の線に沿いまして、司令部の了解を得まして、預金部資金を市中金融機関に預託する、そのときに期限、金額、相手先等について詳細な指示を受けるということは、指令が出ております建前上、やむを得ないかと考えております。
  73. 田中彰治

    田中(彰)委員 去年の十二月ですか、政府も少し預託されたらしいが、預託金を引上げられたときに、市内銀行が知らないうちに引上げられた。そういう例があるのですが、あなたの方から預託されていて、これは期限はいついつ引上げるという話は、市中銀行にしていないのですか。
  74. 舟山正吉

    舟山説明員 預金部資金の預託につきましては、日本政府が間に入りまして、金融市場の情勢も見て、適宜にむりな引上げのないように配慮している次第でございます。しかし場合によりましては、比較的予告期間が短かくて引上げなければならぬ場合も出て来るのであります。これは私どもの真意ではございません。できるだけ十分の予告期間を與えて、むりな衝撃は與えないようにしたい、こういう気持で運営いたしております。
  75. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、大蔵大臣のある程度の権限によつて、預託したり引上げたりすることはまかされているのか、それをもう少しはつきり聞きたい。
  76. 舟山正吉

    舟山説明員 これは大蔵大臣の権限ではございません。
  77. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうするとGHQ命令でやるのですか、その点はつきりしてもらいたい。権限でないと言われて、権限でやつている。これは命令でやられるのですか。
  78. 舟山正吉

    舟山説明員 これは日本政府の配慮であります。
  79. 田中彰治

    田中(彰)委員 それはちよつとかわつている。大蔵大臣の権限でない、日本政府の配慮ということになりますれば、日本政府のだれが配慮するのですか、みんながわかるように説明してもらいたい。
  80. 舟山正吉

    舟山説明員 これは速記をとめていただきます。
  81. 小金義照

    小金委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  82. 小金義照

    小金委員長 速記を始めて。
  83. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、ある程度大蔵大臣の配慮によつて引上げ、あるいは預託することができると見ていいのですな。その点をちよつと伺います。
  84. 舟山正吉

    舟山説明員 それは先ほど申し上げましたように、その点につきましては司令部の指令がございます。
  85. 田中彰治

    田中(彰)委員 郵便貯金と簡易保險の金は公団及び地方の公共団体の方でなければ出さない、こういうことをおつしやいましたが、公団に出される場合はどういう出し方をされますか、その辺をちよつとお聞きしたい。
  86. 舟山正吉

    舟山説明員 現に公団に出ております場合は、農林関係の五公団に対しては運転資金として預金部資金を出しております。受ける方から申しますれば、預金部資金をもつて物を買い、物を売つた場合は預金部資金の方に納める、こういう形になります。
  87. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、何億とか何十億とか、たいへん使い込みをしているのは、運転資金だと二、三箇月しかないのですが、物を売つたときは納める、買つたときは借りるというのなら、ああいう金はどこから出て来るのですか。ああいうことに対する監督はどこで監督しているのか。
  88. 舟山正吉

    舟山説明員 公団関係につきましては、直接の監督官庁である通産省から詳細はお聞き願いたいと思いますが、ああいう世上伝えられるような問題が起りましたのは、預金部資金を使つている公団ではないと私どもは了解しております。預金部資金を使わない公団があるのでありまして、公団の自己資金で物を買つたり売つたりする、そうしてその余裕金を銀行に預けるというようなところから、ともすれば弊害があつた、こういうように御了承願います。
  89. 田中彰治

    田中(彰)委員 どこの公団にたいがいどのくらいの金が出ているということはわかりませんか。もしわかつたらそれを説明してもらいたい。
  90. 舟山正吉

    舟山説明員 本日は資料を持ち合せておりませんが、先ほどの説明を補足いたしますと、農林五公団は預金部資金の金を使つております。その他の公団は必ずしもそうではない。そうして農林五公団には大体二百億前後の金が出ているのではないかと思います。
  91. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、農林五公団でもそういう問題があるのですが、運転資金をそのように確保しているのに、ただ貸しつぱなしですか。炭鉱業者などには政府からなかなか金を貸さないのに、公団の方は無監督で貸しつぱなしということにされているのですか。その点どうですか。金をどういうように貸して、どういうようにやらして、どういう機関を通じてどういう制度でやつておられるのですか、御説明を願いたい。
  92. 舟山正吉

    舟山説明員 預金部資金を使うことを認めます場合には、監督が特に嚴重であることは申し上げるまでもないところでありまして、詳細な手続は、これを大きく申しますと、公団が物を買うときは預金部資金をその必要の額だけ区切つて渡す、そうして売つたときにはその納入金を直接預金部資金の方に拂い込ませる、こういう仕組みをとつておりまして、公団資金の滯在ということがないようにしてございます。これが大体の仕組みでございます。
  93. 田中彰治

    田中(彰)委員 そうすると、公団には預金部資金の滯在がないとおつしやるのでございますから、今資料をお持ちにならぬでございましようから、この次に公団に出している金と、回收方法、そういうものの詳細があると思いますから、私の手元に出していただきたいということを申し上げます。  その次に、用事があるときは資源庁と打合せて、用事がないときは打合せないとおつしやるのですが、これは私は御答弁が少しおかしいと思うのです。少くとも炭鉱業者が金に行き詰まつて騒いでおるのは、去年の九月十五日ごろからであります。そこで今までにずいぶん業者から陳情などがあつたのでありますから、大蔵省方々、特に大蔵大臣などは、主税局長を長くして、金をむやみにとることしか知らない。そうしてとれなければ差押えしてもとる、こういうふうな空気の中に育つて来たのだから、金を事業家に貸し與えて、国家の事業を発展させて、それから税金をとるなどということは考えておらない。その下にあなたがおられるからそんな変な御答弁をされるのであります。業者がこれだけ騒いでおるのでありますから、少くとも資源庁の局長、課長級の人をあなた方のところに集めて、炭鉱業者はどうなつておるか、どういう経営かということを一通り聞かれて、それからまた炭鉱業者に聞かれて、そうしてわからなければわれわれ議員などのそういう代表者がおるのだから、これにも聞かれて、あなた方みずからこれを救つて石炭を円滑に出して、炭価をなるべく安くするように、りつぱにしてやるようにしなければならぬ。そうしないで、なければ外国から買つてやればいい、向うから買つてやれば向うの人は喜ぶ、日本炭鉱はどうでもいい、向うのきげんをとれば自分たちが出世をするというような、あさはかな考えを持たないで、もう少し日本人らしい、りつぱな考えをもつて、そういうふうなことをやつていただかぬと困る。大蔵大臣はきようおいでになりませんが、あなたもときどき銀行局長としてGHQにおいでになるようですが、特に向うからにらまれると出世がとまるというような、あさましい考えを持たないで、国会議員がこうやつて保障しておるから、刑法にかかるようなことさえしなければ、りつぱに働いてくださるあなた方に対しては、われわれは身分を保障してもいい。そういう心配をしないで日本の産業のために働くように努力されたいと思う。特に資源庁あたりと打合せをしないということは——用事があるときは打合せするというのは、火事が出たらたらいを持つて行つて水をかけるということと同じことになる。特に大蔵大臣としては非常に池田大臣は食い詰めて、いつまでもあれにまたがつてつて日本はどうなるかわからないという立場にある。その下におられるあなた方は、特に銀行に対してよく注意されなければいけない。その点を……やめさせるとかやめさせないとかいうのは私の考えではできないのだが、この点をよく銀行局長が注意してやらなければならない。  それからもう一つ、あなた方は監督権を市内銀行に持たない。ただ貸したあとの検査をする程度の監督しかない。それを業者はだれも大蔵大臣とか銀行局長とかいうものは、一応は市内銀行に対して相当の監督権と権利を持つているのではないか、こう信ずる。それをあなた方がいや仲介してやるとか、いや資金を融通するようにしてやるとかいうようなことをお答えにならないで、おれたちは実はこうやつて銀行局長というような大きなことを言つてつても、権利はこれだけしかない。それだから頭を下げて市内銀行から聞いてもらわなければならぬのだから、ひとつその点を了解してくれ、こう言われればいい。監督権がないということなら、銀行局長に頼むにしても、相当こつちでも考える。権力があると言うからのしかかつて、それでできないからひつくりかえることになる。権力がないものならないものと認めて、そうしてその点に対してはどういうふうにしたらいいかということを考える。おれたちの範囲はこれだけだ、日本銀行に対してはこれだけの範囲だ、そこで君たちはどういう手を打つかというようにもう少し実行のできることをやつてもらいたい。またあなた方はいろいろなことを言われますけれども、郵便貯金がだんだんふえる。これなんかは大蔵大臣がもう少し自分の出世を考えたり、自分の身を擁護しないで、ほんとう日本の産業を救わなければならないというので、あなた方が行つて話をされれば、必ずこういうように預託したものを一時運転資金——いくら中小企業が使つても三箇月か四箇月なのですから、それに使えるはずなんです。アメリカの人さへ言つておる。あのドツジ・ラインというものは、一応はアメリカのような健全な経済状態にはいいのであるが、あれを日本にさせることは肺病やみにマラソン競走をさせるようなものだ。それを黙つて受けてはいはいと言つておる大蔵大臣がおかしい。だからああいう者が来ても大したみやげを持たせんで帰せということになる。ひとつ中小企業の実体をもう少しあなた方はつかまえてやつていただかなければならない。これに対してあなた方は郵便貯金及び簡易保險の金をGHQに交渉して、これを運転資金なり設備資金に使うようにやる可能性があるのか、またやる誠意があるのか。  もう一つ見返り資金、これなどもちようどあなた方は大蔵大臣の失言と同じように、炭鉱の中でも内容のいいものには見返り資金をどんどん出すというようなことを言つておられますが、見返り資金を借りられない炭鉱はとても困つておる。見返り資金の借りられない炭鉱に対しては、設備資金として何か別のわく方法で貸す意思があるかどうか。簡易保險の金、郵便貯金の金を運転資金の方にすぐ出すように誠意ある交渉をする気があるのかどうか。口だけでなく、ほんとうのあなた方の僞らざる御答弁を願いたい。
  94. 舟山正吉

    舟山説明員 炭鉱問題について、資源庁と用のあるときしか会わないのではないかというお話を伺つたのでありますが、こういう時勢になりまして、金融の疏通をはかるということは、炭鉱問題についてはもちろん必要でありますが、またこれは産業全体について必要なことであろうと思うのであります。それから私どもといたしましては、單に資源庁ということでなく、通産省その他の産業部面ともできるだけ機会を設けまして、接触しておるようなわけで、決して問題が起つてから接触するということでないことを、くれぐれも御承知願いたいと思います。それから預金部資金につきましては、預金部資金の性質に対する見方から、なかなか放出が認められていないということは遺憾でありますが、しかしこれは市中に還元すべきものであるという確信は持つておるのであります。決してこういうことを申した結果がどうなるかといつたようなことは全然考慮しないで交渉を続けておるような次第であります。
  95. 小金義照

    小金委員長 ちよつとお諮りいたしますが、横尾通商産業大臣が新任せられまして、ただいま御出席になりました。ちよつと皆様にごあいさつを申し上げたいと言われますので、発言を許したいと思います。
  96. 横尾龍

    横尾国務大臣 私が今回通商産業大臣就任いたしましたる横尾でございます。私は政治にはほんのかけ出しであります。またすべての工業に対してすべての知識を持つものでもございません。ただ在来自分がやつていた業務だけには多少の知識を持つております。しかし全般を通じましては知識至つて貧弱なものでございます。今後どうか皆さんの御援助によりまして、通商産業の要請に多少でも寄與し得たならばこの上ない幸いだと存ずるのであります。今後導くという御意思のもとに御指導をお願いしたいと思います。簡單でありますけれども一言お願いいたしておきます。実は早く出まして各位に個々にでもお願いをするはずのところ、いろいろとその機を得なかつたことを遺憾に存ずるのであります。
  97. 田中彰治

    田中(彰)委員 それではちよつと日本銀行の副総裁と銀行局長の二人にお尋ねするのですが、一万田総裁と特殊な関係を有するような人が、もし金に困つた場合、あらかじめ日本銀行行つて相談をしておいて、そうして市内銀行の人なんかを呼んで、おれの方はお前の方にこういう援助をしてやるから、おれの方にはこういうことをしてくれというようなわけで、一万田総裁の声のかかるものにはどんな融資もするが、声のかからないものには融資は行かない。一万田総裁は近々に縛られるのではないかという評判がわれわれ中小企業の間に聞えておる。それについてはそういう評判を聞かれたことがあるかどうか、またそういうことをやつておるのかどうか、これをはつきり言つていただきたい。私も相当証拠を持つているのだから、あなたの方の御答弁によつてはまたここで質問しなければならない。
  98. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまの御質問はとんでもないお話でございまして、こんなことは聞いたこともございませんし、とうていありそうなことに考えられません。
  99. 二見貴知雄

    ○二見参考人 そういうことがございましたならば、総裁を補佐する者として一日もこの席におられないわけであります。そういうことは全然ないということを申し上げます。
  100. 田中彰治

    田中(彰)委員 あると言つたら縛られるから、ないというのでしようが、しかし今日の炭鉱業に対して、大蔵大臣もおられないし、また総裁もおられないから責任ある答弁は聞かれませんが、一体どうやつてこれを援助されるのか。どうやつて救済されるのか。そういうようなあなた方の、今まで質問したことについて考えられた案、それともあれもGHQ、これもGHQでこれをけられるのか。これはこの程度ならできるのだという、そのできる程度の案を一応ここでお聞きしたい。銀行局長及び副総裁からお聞きしたい。
  101. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまのお尋ねの点は先ほどお答えしたのでありますが、ただいま資源庁の方で詳細なる計数について調査をいたしております。これを関係官庁あるいは関係銀行を含めまして、協議いたしたいと考えております。
  102. 神田博

    ○神田委員 大分同僚の御熱心なお元気な御質問がありましたので、じみな質問になると思いますがひとつお伺いいたします。質問に入る前にまず横尾大臣から通産大臣御新任の心構えのごあいさつを拜聽いたしまして、私ども国政の今後の調査につきまして非常に参考になると考えております。ことに通産大臣は今年になりまして四回目というように記憶いたしております。わが国の今日の産業界の立場と申しましようか、きわめて重要な際でございまして、承りますればたいへん御謙遜なごあいさつのように承りましたが、なおまた通産大臣の管轄されておるお仕事を今まで担当したことはないようにも承つております。お引受けされました以上は十分成果を上げていただきたい。また上げるものであろうことを私ども期待しておりますので、御健闘を祈りたいと思います。  そこで質問に入るのでありますが、きようは大体石炭関係の問題についてわれわれが委員会として調査をして行きたい。特に夏枯れ期の冬場に備えるところのランニング・ストツク貯炭等について、十分のということはもちろん望めないことでありますが、炭鉱の経営に支障のない程度融資をしていただいて冬場に備えなければならない。これは石炭鉱業が発展して参りまして以来、ずつとやつて来たわけでありますが、戰時経済あるいは公団等の関係がありまして、そういうようなことがなくて、今回久しぶりにこの問題が起きて来たわけでございます。わが国の石炭鉱業の現段階から考えますと、これはきわめて大事なことであり、なさなければならないことなのでありますが、私どもが今日まで承つておる段階においては、どうもきわめて不安である。決して担当の日銀なり、あるいは大蔵、通産、安本等におきまして、不熱心でやらないとは私ども考えておりませんが、とにかくやり得るのか、やり得ないのか。どうもその点がはつきりしておりません。石炭鉱業がすべての基礎産業であります。さらにまたこの八月から肥料公団廃止が計画されておる。そこで金融がさらに心配になるというような情勢もございますので、ぜひひとつこの基礎産業の資金を十分にせよということは、私どもは今日でございますからこれは容易ならぬことと思いますが、不自由のない程度まではひとつ考え願いたい。そこで調査したいということに相なつたのでありますが、先ほどから同僚議員の質疑等を承つておりますと、どうも一層不安の念を濃くしたのであります。どうしてかといいますれば、いろいろお述べになつておることを聞いておりますと、やつておられるようではありますが、どうもその結果たるや、おやりになつておらないということになるように聞えるのであります。ことに中小炭鉱の問題等になりますと、同僚議員の指摘しておる通り、昨年の九月の末からほとんど顧みられておらないということが事実でありまして、今日、今のようなお考え方、扱い方であるとすれば、わが国の今後の産業界というものは、きわめて暗澹たるものと言わなければならない、こういうように私ども心配するのでありまして、一体政府はどういうような考えでこの金繰りをやろうとするのか。今日の金詰まりを打開しようとするのか。あるいは日銀は一体どういう意図をもつてこれに備えようとするのか。この点をはつきりしていただきたい。そのはつきりする前提として、今日の日銀のおとりになつておるやり方、また政府のおやりになつておるやり方が、一体当を得ておるのかどうかという基本的な問題が出ておるのじやないかというような気がするのであります。政府政府で財政資金を吸い上げることに汲々としておる。そしてこれを散布するということになると、どうも何といいますか、まことにこれはわれわれが憂慮にたえないようなマンマンデーであります。しからば政府のかようなやつていることを、日銀が裏づけて何とかカバーしてくれるのか。バツクアツプしてくれるのかと考えるならば、これはまた逆なように私ども見ている。もうこれ以上財政需要のしりぬぐいはできない。日銀の貸出しはこれ以上できないというようなことでありまして、私ども承知している限りにおきましてはどうも日銀当局大蔵省とは、ほとんど犬猿もただならないような関係にあるのじやないかということを、財界でも言つておりますし、私どももさように見ている一人であります。今日は大蔵大臣、また日銀総裁にぜひひとつここへ出ていただきまして、さようなことは町の杞憂であつて、こういうような手を打つておるのだというようなことを実は見せていただきたかつたのでありますが、御両人ともいろいろの御都合で出られなかつたことはまことに残念であります。しかしポリシー・ボードの委員をやつておる舟山銀行局長も見えており、日銀の二見副総裁も見えており、通産大臣も見えているので、三人寄れば何とやらで、ここで腹を据えて私どもの気持を考えていただけば、何らかの結論をつかみ得るじやないかと思うのであります。ということはいろいろ手の打ち方はあるだろうと思いますが、まず第一にお聞きしたいことは、よく私ども新聞で拜見するのでありますから、間違つておればこれは御説明によつて明らかになることでありますが、これ以上日銀は貸出しをやらないという方針をおとりになつているのか。ことに先ほど来日銀は担保をとつて貸すのだということをおつしやつておられますが、具体的にどんなものを担保としておとりになつておられるのか。今日銀行は相当余裕を持つておられるのか、持つておらないのか。貸出しの限度が来ているのか、来ておらないのか。限度が来ておればもう貸出しはしないのだ、こういうようにお考えになつているのか。その辺からひとつぼつぼつ承つて、結論は基礎産業である石炭ランニング・ストツクヘ、ひとつできるだけ可能な限り金融をつけてもらいたい。ことに中小企業が今日まで育成されて来て、これまたわが国の産業の基盤をなしているわけでありまして、これをこれ以上放置することは崩壊の手前にあるわけでありますから、これらについてどういう目途をつけるかという前提のもとで御答弁を進めていただきたい、こういうふうにお尋ねするわけであります。
  103. 二見貴知雄

    ○二見参考人 私に関連してお尋ねがございました点を先へ御答弁申し上げたいと思うのでございますが、どうも世間にいろいろの批評がありまして、これは今日冒頭にも申し上げたのでありますが、日本銀行は、ある何か貸出しのわくというものを個々の銀行に対してつくつておる。たとえば四月の末の貸出しの残高、それからは一歩も出さないというような話がございますが、これはまつたく間違いでございます。そういうことは絶対にございません。現に、数字を申し上げると煩わしいと思うのですが、四月の半ばごろの日本銀行の貸出しと最近の貸出しとを比較いたしますと、六月の半ばごろまでに三百五十億くらい貸出しが増加しております。そういうふうな次第でありまして、大きな一つ日本の財界の進んで行く方向というものは、インフレにもう一度もどることのないように、十分考慮をしなければならぬといつたような種類のことは、異議のないことと思うのでございますが、何分あらためて申し上げるまでもなく、経済は生き物でございますので、そこに機動的に出て参りまして、真にいる資金に事を欠かさぬということは、これはいかなる場合でも必要なのです。従つて銀行券がある限度を越してはいかぬとか、あるいは貸出しが千何百億の線で固定させなければいかぬという考えは毛頭持つておりません。ただ銀行は御存じのごとくオーバー・ローンのような形になつておるところがありまして、これは漸次——これも漸次でございますが、自主的な線にもどしまして、何でもかでも中央銀行から借りて、それがそつくり貸出しに向いて行くということは、だんだん直さなければいかぬと思つておりますが、もとよりそれも一どきにそういうことができることではございません。ただ遠い見通しでございます。その点は何か世間に誤解がございますならばわれわれも極力理論上、実行上解いて行かなければならないことと思うのでございますが、決してある一つの固定した考えを持つておるわけではございません。ひとつ御了承を得たいと思います。
  104. 舟山正吉

    舟山説明員 私も副総裁のお答えと大体同じような考えを持つておるのでございます。なお担保の点につきましては、市中銀行が貸し出した場合の手形、その他が担保になるのであります。この点についても日銀は必要あれば資金の協力ということについて事を欠かさないわけであります。
  105. 神田博

    ○神田委員 御両君から承りますると、はなはだどうも気持のいいさらりとした、もうつゆの上つたような御答弁でありまして、さつそく金が借りられそうなふうに聞えるのですが、もう少し速記をとめてもいいですが、腹を割つていただけないかと思うのです。ということは私もまじめにお聞きしておるのでありますが、もちろん貸出しの限度といいますか、無制限貸出しというようなことは、あり得るわけではありませんけれども通貨にいたしましても、無制限発行ということはあり得ないことでありまして、どこかに目途のあることは事実だと思います。しかし今のようなお考えだとすれば、私が心配してお尋ねするようなことが日銀当局の談話としてしばしば出ておりますことについて、一向お取消しになつた事実はございません。さらに具体的な例を申し上げますならば、貿手の割引がしばしばできないという実情が、これはもう十分御承知だと思います。よくそういうことを言いますと、逃げ口上で、その貿手はあまりたちがよくないということを言われる場合があります。しかし私どもの調べたところによりますと、なるほどそういうものも例外には多少あるかもしれませんが、そうでなく、金がないから自分の銀行では、これはりつぱな貿手であるけれども割れないのだ。よその銀行行つてくれないか。こういうような事実がたくさんある。よその銀行で金繰りがあれば割れる。貿手の割引すらできないような状態にしておいて、貿易優先だと言う。私は一、二の例をあげたので、例をあげればいくらも持つておるのでありますが、とにかくそういう状態でありまして、今御両君がお述べになりましたようなことは、私は八千万の国民は納得しておらぬと思うのであります。ですから裏があれば裏を聞かしていただきたい。速記をとめてでもけつこうであります。お互いに日本の国を再建したいというなら、みんなで取組んでやらなければならぬと思います。お話を承りますと、まことにたんたんとしてさらりとしておりますけれども、事実が違うのではないか、どこかで制限されるのじやないか。あるいはまた取締り当局においてどこかで目途を打つておられるというならば打たなければならない。そのはつきりした理由を聞かせていただかないと、今のような御答弁だけを聞いておりますと、どうも何だかかわつた世の中にお住みになつているような気がするのであります。速記をとめるならとめてけつこうでありますから、もつとはつきりしたことをおつしやつていただきたい。あるいは速記をとめるだけで御満足でないならば、きようは正式の委員会でありますから、祕密会を要求していただくならば祕密会として、はつきりおつしやつていただきませんと、今後これはいろいろ国政調査を進めて参ります上からいつても、はなはだたよりないことのように考えますので、ひとつそのへんのことを御両君お打合せ願つて答弁願いたいと思います。
  106. 二見貴知雄

    ○二見参考人 ちようど今貿手というお話が出ましたので、抽象的なことを申し上げますと、あるいは何か答弁のやり方が足りないということになるかもしれません。ちようどいい例だと思いますので、私申し上げますが、貿手と申しますのは御存じの通り、いわゆる貿易の、これは輸出の例をとりますと輸出前貸、従つてたとえば外国から信用状が来る、そうしてその信用状によつてすぐ外国為替の手形がそこに発生するのではなくて、もしそこにすぐ発生いたしますならば、これは為替管理委員会に持つて参りますと、ただいまの制度ではすぐにかえます。そうではなくて信用状が向うから送られて来る、いわゆるバイヤーとの間にまあ商談ができまして、そうしてこつちの輸出業者のところに注文が来る、そうするとこれから輸出品を集荷する、あるいはこれの製造を発注する、こういうことになる。その場合のいわゆる貿易手形、貿易の前貸金、輸出前貸金、これが世間に言う貿手でございます。それの金融についてとかくの不円滑がある、ただいまこういうお話を承るのです。これは決して逃げ口上でも何でもない、実は私たちも非常にそれを心配いたしております。今日本の国策として貿易ということの大事であることは、これはもうだれも疑う人はないわけであります。そこで最近ちよつとうわさをちらちら聞きましてから、実は貿易業者に二度私の方にお集まり願つて、個々について詳しい実情を承つたのですが、その方々がはつきり——一流の貿易業者だけではございません、世間にもしランキングをつけるなら、二流三流ということも言えるかと思うのです。その方々のお話では、どうも世間でとかく言うような点がないのでございます。そこでただこういう点がございます。それは、ある銀行へ行くと自分のところは今年一ぱいだ、だからどうかひとつよそへ行つてくれ、それはこういう金融情勢である程度やむを得ないと思います。あるところに従来の関係で輸出手形、私の言う貿手が非常にまとまつてつて来る。しかしながら、それはほかの銀行にも分散してしかるべきものだというときは、ちようどわれわれが融資あつせをいたしますと同じように、余つているものについては、ほかの銀行で片棒かついでほしい、こういうことはあり得てよいのだと思います。しかしながら、まずあるところに行つたものの余りをこちらにまわすというばかりではなく、われわれとしては、期日に必ず落ちる手形、貿手の前貸金であつても、期日に必ず落ちる手形というものを、銀行が割引くことについては何らの制限もいたしません。そして日本銀行にそのものがすぐ来るというのではありませんで、おそらくそれぞれ銀行資金運用状態によつて最後のしりが日本銀行に来る。これはいつも同じことなのでありますが、それが来たときに、むろん見る。要は、それが期日になつて落ちるか落ちないか、こういうことであります。それで最近も詳しくケースについて調べましたが、今全体の貿手のうちの八割は十分にフアイナンスを受けているが、二割については、先ほどちよつとお話があつたように、本来銀行に持つて行つても、信用状態によつて、さあと言つて首を振るようなもの、さらに調査をした上でと言つて取引先に対して再審査を求めるというものなのであります。そして最近も、そういう方々のお集まりのときに、いろいろ実情を伺つて、もしそういうものがあるならば、どうぞ日本銀行にじかにおいでください。銀行で断られたというだけで、すぐそれでひつ込んでしまわないで、どうぞ日本銀行においでくださつて、実はこれこれの商品出すのだが、これからこれだけ集めるごとになつている。メーカーはこういうことだという実情をお話しくだされば、われわれの方でそれを伺つて、あるいはその銀行は今金繰りの状態からいつてちよつとむりかもしれない、ほかの銀行へお世話するということもできますから、ぜひひとつお話しくださいということを申しておるのであります。その辺、ただいま貿手というお話が出ましたから、最近私の接しましたことを申し上げて、御了解を御たいと存じます。
  107. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまお尋ねの件でありますが、特に隠しておることがあるわけでも何でもないのでありまして、日銀の信用供與につきまして、どのくらいが妥当適正量であるかということにつきましては、なかなかむずかしい問題であります。そこで日本銀行券の発行高を幾らに押えなければならぬといつたような制限なり、わくなりをこしらえるわけではございませんが、大体この辺がよかろうという目安というものは、おのずから出て来るわけでございます。その目安につきまして、たとえば官庁筋とか銀行筋とかにおきまして、見方に若干の食い違いがあるということも、あるいはやむを得ないかとも思うのであります。一方資金が出過ぎますと、またインフレの轍をふむということになりますので、日本銀行がさいふのひもを固くしておられるということについても、決して日本経済界に害があるようにという意図でやつておられるのではないことは、申すまでもないのであります。そこで現在の管理通貨の時代における信用調節ということについて、非常な困難があるわけであります。ただ全般的、抽象的な問題になるのでありますが、漫然と信用を出してはいけない、やはり事業の実態で個別々々に救済方法考えて行かなければならぬ。それについては、必要であれば資金は供給して行くということが、現在の金融政策の基本になつているかと考えておる次第であります。はなはだ抽象的なお話で恐縮でありますが、一応考え方を申し述べた次第であります。
  108. 神田博

    ○神田委員 副総裁から貿手の性質についていろいろたいへん御親切な御講義を承つて、実は恐縮しております。私もたびたび扱つておりますので、貿手の性質よりも、私のお尋ねしたことをもつとお聞きしたかつたのでありますが、不幸にしてお尋ねしたことはあまりお答え願えませんで、貿手の性質を御講義願つたことを、まことに恐縮しております。そこでさらにお尋ねを継続するわけでありますが、一体通貨の発行量はどのくらいがいいのかということは、いろいろなものと総合して判断しなければならぬわけでありまして、今銀行局長が言われる通りであり、私もさように考えております。しかしこれは議論になるかもしれませんが、政府が非常な吸い上げをやつておるという際には、通貨の量の問題よりも通貨の循環の問題であるから、量だけにこだわつては、通貨の手当はできないだろう。一体速度というものはどういうものだろうかということは、私より皆さんの方が専門家なので、はなはだ釈迦に説法をすることになるだろうと思いますが、今の日本の財政面に集まつて来る状態を見ると、どうも通貨の循環速度はきわめて鈍い。そこへ持つて来て日本銀行が通貨の発行を押えておるということは、みな常識的に見ているのじやないか。今の生産量から比べてみても、国家財政が今のような吸い上げをやり、また今のような緩漫な散布状態にある場合には、どうしても金融面で相当程度大胆な発行をしなかつたならば、金詰まりというものは解消せぬと思うので、これはどつちかに大きな手を打たなければならぬだろうと思うのです。その場合に、今のお話で今の程度でやむを得ないということになるならば、結局それでは日本経済は今のような金詰まりのままで行くのだという結論になるのではないかと私は思う。倒れるものは倒れろ、倒れなくていいものが倒れることもやむを得ない、死んだつてかまわないのだという大蔵大臣のもとで局長をしているのだということになつてしまうのじやないかと思うのです。今日は調査を進めて行こうということなので、私はここで議論をしようという意味ではないのでありますが、とにかくどこかで政府が今の財政資金の散布状態について潤滑にする方法をとる。あるいは日銀において財政面で吸收されたノルマンでない金融状態を思い切つた通貨発行でカバーして行く。日銀といい大蔵省といい、いずれも政府機関だから、これが両々相まつて行くことが一番けつこうであるけれども、それがうまく行かないということならば、どこかで打つべき手を打たなければならぬだろうと思う。自分の方だけがよければいいということでは、この金詰まりの問題は私は解決せぬと思う。たとえばこういうような状態から、今の夏のランニングストツクの石炭に五十億必要だと言われております。計算によつては六十億だと言われております。また今の安本の査定等を私どもがほのかに聞いておりますると、四十四億一千万円あればいいというような案も出ております。とにかくこれはいずれにいたしましても適当なところに落ちつかなければならぬだろうと思いますが、今のようなお考えで行けば、もし石炭鉱業に五十億円の金が出たとすれば、他の産業がまたそれだけ圧迫されるという状態になる。こういうような金融政策をとつて行くところに、私どもはあなた方がほんとう考えておられることと違つたことをやつておるのじやないかということを想像する。日銀にしても大蔵省にしても、日本の健全なる産業を希念する点においてはわれわれとちつともかわつておらぬと思う。しかしとにかく現段階においてはきわめて貧困な状態になつている。それはなぜなつているか、そこに何か一つ制約を受けているのじやないか、それをはつきり知りたいということなんです。だから私はお互いに国政を憂うるもののとして、胸襟を開いて聞きたいということを申し上げておるのでありますけれども、いや、さようなことはないのだ、今のままなんだということになりますと、どうも一番初めにお答えされたことがお体裁の御答弁であつて、それでは後段の金が出るか、出し得るような状態かというと、それは出ないんだ、もし出ることがあるとすれば、他の産業を犠牲にして出すんだ、こういうことになつて来るのであつて、他の産業を犠牲にして出すといつても、他の産業ではやはりいる金がある、金が待望されておる。きようは石炭鉱業に対して、とにかく夏場資金として、少くともここ一週間、二週間の間に五十億くらいの金を出してもらいたいということなのでありますが、今のような根本的な考え方とすると、これはきようの委員会だけを過せばいいということになりはしないか。私どもが国費を使つて、貴重な時間をさいて、何のために国政調査をしておるかということになると思うのであります。これはどこかに何らかの制約があると考えざるを得ない。そこでどうしてもひとつお聞きしたいと思うことは、御相談していただいて秘密会でもけつこうだし、速記があつていかなければ、速記はなくてけつこうでありますから、この根本をひとつ明らかにしていただきませんと、いくら御答弁をなさつて、言葉の上では満足し得ましても、実際においては満足できない。それを私どもは恐れておる。そこでひとつ御相談していただきたいと思います。大臣お急ぎのようでありますが、御就任早々でありますからいろいろ御多用であるとは存じますが、ちようど質問の継続の都合上、政府委員の方に御質問しておりまして、大臣にちよつと遅れましてまことに恐縮でありますが、一、二お尋ねいたしたいと思います。大臣は御就任早々で、まだ事務引継ぎもあつたかどうか私も存じませんが、通産行政一般に関する質問をしたいのでありますけれども、きようの委員会は先ほど申し上げましたように、石炭に関する委員会でございまして、石炭に限定して、しかもごく簡單に一、二大臣の所信を承りたいと思います。それは先ほどから申し上げていることと大分ダブルかと思いますが、御承知のようにわが国の石炭鉱業が今日非常な苦難に陥つている。昨年の統制撤廃後、御承知のような需給状態になつており、さらにまた石炭が基礎産業であつて、大臣の関係されておつた造船の問題にいたしましても、あるいはまた今日製鉄の原価の切下げの問題に関連しても、石炭鉱業合理化ということをしなければならぬ。どうしても合理化をして、炭価を安くする。そうして質的に向上したものを得て、わが国の産業の上昇線を推進しようということになるわけでありますが、これらについて大臣は石炭鉱業の今日の状態を改善するに処しまして、どういうような御抱負をお持ちになつておられるか。ことに現在当面の問題といたしまして、石炭鉱業が長らく濫掘をされておつた、経営状態も非常に不健全であれば、また償却方面においてもきわめて不健全な方法をとつております。わが国商業が上昇カーブをたどるには、どうしても石炭の生産を上昇させることと、また基礎産業のへ特に製鉄等に対する原料炭の、生産を急がなければならぬと思いますが、これにはやはり相当の資材と資金が伴つて行くと思います。一朝一夕にはできませんが、しかしこれは非常に手遅れになつておりますので、大胆に、しかも早急にとらなければならない通産行政として最も大きな問題だろうと思う。さらに当面の問題としては、先ほどから私熱心にお尋ねしておりますように、夏場貯炭をして冬場に備えなければならないだろうと思います。これらに要する資金が五、六十億かかると言われておる。ところが今大臣もお聞きの通り、この金が、どうも今まで繰返された質疑応答によつては、私自身確信を持てない。大臣は異常の決心で御奉公すると言つておられるのでありますから、もちろん御確信があることと思いますが、ひとつ就任早々の初委員会でもございますので、大胆率直に石炭行政に対する抱負を述べていただいて、その抱負は忠実に実行するものであるということを強くお約束していただけば非常にけつこうだと思つておりますが、お尋ねいたします。
  109. 横尾龍

    横尾国務大臣 神田さんの御質問に答える前に、中小工業その他の産業について私は今回就任と同時に本省の各関係局長並びに課長の報告を聞きつつあるのであります。その際に、私が在野のときに考えておつた以上に係も官のその業務に対して非常な御熱心なる執務ぶりを見たのであります。しかしながら現在の情勢において皆さんに御満足の行くような施設ができていないということに対しては、各係官も非常に恐縮しておられるように見受けるのであります。ことに石炭の夏期の貯炭のことに対しましては、早急にこれを何とか解決しなければいけないということで、熱心に私にこのことに対して要望をされておるのであります。つきましては、まだ私就任いたしましてからよく事情を知りませんけれども、これらの報告並びにただいま委員各位のお話の旨をよく考えまして、せつかく今大蔵、日銀に相談中でありまするから、そういうことをまとめまして、そうして閣議に出しまして、閣議の決定を得たいと考えておるのであります。また先刻の炭鉱の企業のことに対してのお話であります。これは炭鉱のみならず、各企業がすべて戦時中に停頓したる経営であつたのであります。それは炭鉱のみならず、すべてがそうだということが言い得ると思います。今日におきましては、すべての設備、あるいは考案等々もかえまして、そうして外国の技術を受入れるなら受入れて、最も適切なる施設と経営法を早くきめることが適当なりと考えるのであります。そのことに対しまして、あるいは設備資金が入用であるとか、あるいは研究費用が入用であるとかいうことがありますれば、よく大蔵省とも相談いたしまして善処したいと思います。これをもつてお答えといたします。
  110. 神田博

    ○神田委員 ただいま大臣から、就任早々非常な勉強ぶりと、おまじめな御答弁を願いまして、私は非常に意を強くいたします。ただ言葉じりをとらえるわけではございませんが、大臣におなりになられて、関係局長等の抱負を聞いて勉強しておる。非常にりつぱな抱負を持つておりてよい人だということを聞きまして、私非常にあそこには同僚の多いところでありますので、誇らかなことでありまして気をよくしたのでありまするが、吉田内閣は自由党の内閣でありまして、官僚の抱負経綸を聞くことももとより必要でありましようが、わが党にはわが党の政策がございます。政務調査会もございまするし、それぞれ機関もございまして、通産行政につきましては全般について天下に公約したこともございます。ことにこの石炭問題等につきましては、石炭国管というような問題も経ていて、また第一次吉田内閣当時からこの問題を大きく取扱つて来ておりますので、これはひとつぜひ党と十分に連絡をとつて、最善の措置、またすみやかな方途を講じていただきたい。大蔵省との連絡ももとより大事でありますが、大蔵大臣はどちらかといえば現場を知らない方である。長らく税金をとることについては天下かわりなしと言われておるようでありますが、産業経済においては通産大臣として三月ばかり勉強されただけでありまして、これはほとんど経験が乏しいと言わなければならぬわけであります。御相談もけつこうでありまするが、言葉は御相談であつても、大きな圧力を加えてやつていただきたい。どうも経済大臣が今まで非常な弱体であつて、なかなか天下の重大な時間をどうも金融にだけ頭をさげ過ぎたというような批評も聞いておるのでございまするから、新大臣は初めが大事でありますので、その辺はおぬかりなかろうと思うのでありますが、大いに元気を出していただきたいと思います。われわれもまた大いに応援いたそうという心構えでありますから、ひとつがんばつていただきたいと思います。なお中小炭鉱の問題は相当苦境に立つておりますので、特に乾坤一番勇気を持つていただきたいと思います。大臣の方はこの程度にいたします。
  111. 今澄勇

    今澄委員 二、三簡單に要点をお聞きしたいと思います。私が今日の石炭関係に関連して新大臣に聞きたいことは、まずあなたの御出身である造船界、製鉄事業その他の事業で取上げておられる原料炭の炭価の問題で、日本石炭の値段を下げなければならぬということが、今の日本業界の大きな問題になつておることはもちろんであります。これに対して新大臣の方針は撫順炭や開らん炭を輸入して、外炭の輸入によつて内地炭の値段を下げて行かれるという方針をおとりになるのかそれとも政府資金を散布されて、日本石炭合理化をやつて、それらの外炭を輸入しなくて、内地炭だけで、乘り切つて行かれるような御方針でありますかどうかということが第一点。  それから第二点は、きよう委員会でいろいろ討議されておりますが、日本石炭、鉄鋼、ソーダ、肥料、全般的な各産業の資金は、現在大蔵省日銀その他の機構では、いかにここで討論しても円滑にまわらないということはこれまでの実績が証明しております。そこで私どもは、いわゆる復興金融金庫を改組して、この際このドツジ・ライン下における産業合理化金融金庫というものを設立しで、昭和二十五年度中の債務償還費が五百億、復命の回收見込額が七、八十億円、これらで五百七、八十億の金があるのであるが、これを中心とした産業合理化金融金庫のごときものをもつて石炭金融その他のものをやられるということは、これは通商産業省としては最も時宜に適した強力な措置であると思うが、そういうことを研究されて実行されようという御意思があるかどうか、以上の二点をお聞きいたします。
  112. 横尾龍

    横尾国務大臣 今の外国の石炭を輸入して日本石炭を圧迫するようなことはどうかというお話かと存じますが、私は日本の基礎産業はある程度困難があつても育成せなければならぬ問題だと考えるのであります。つきましては石炭におきましても、いろいろの種類の石炭があります。製鉄に使います石炭に対しましても、高粘結炭も必要であろうし、そういうことは私はよく存じませんけれども、皆さん御存じの通りだと思います。ただ輸入して圧迫するというような考えは毛頭持つておりません。しかし石炭業者の各位もいかにしたら炭価が安くなるかということの御討究をお願いしたいと考えます。  それからあとの方の金融のことだと思いますが、これは今のお話をよく考案いたしまして、これを参考にいたしまして、今後に処したいと思います。
  113. 今澄勇

    今澄委員 今の質問に関連してあと一分だけ質問します。私が聞いたのは、日本石炭行政をやられる責任者であられる通商産業大臣は、今日産業の最も重大問題である鉄鋼業、遊船業を育成するには炭価を引下げなければならぬということはこれは至上命令である。こういつた現実の問題に即して、開らん炭なり撫順炭なりを輸入するであろうと私は見ている。そこで政府は輸入するかどうかということをこの際はつきりしてもらいたいというのが質問の第一点。輸入するのが悪いとかいいとかいうのではない、もし輸入するとすれば、それらのものは日本石炭業に大きな圧迫を加えるから、どうしても将来の炭鉱企業の合理化のためには、われわれは今の復金を改組を改組て、産業合理化金庫というようなものをつくつてやらなければ道があるまいとう。抽象的なやりとりではしかたがないので、具体的な政策の一端を私はあなたにお聞きして、あなたの大臣としての御見解を率直に述べていただきたいとうのが質問の要旨でございます。
  114. 横尾龍

    横尾国務大臣 今の私の答えが御満足行かなかつたようでありますが、私は初めから申し上げておりますように、最近になつたものであります。しかしよくあなたの御意思を拝聽して、そういうことを頭に入れておきまして、いろいろ審議をしたい、こういう考えでございます。
  115. 舟山正吉

    舟山説明員 神田委員の先ほどのお尋ねにお答え申し上げます。具体的に石炭業に対する融資はきようあすにも検討を開始したいと思うのでありますが、先ほど信用の供與は銀行巻や日銀貸出しによつて一応の制約ができると申し上げたことにつきましては、これらの限度についていろいろ見方もあり、必ずしも現在の数字によつて命縛りにして行くということではないのでございます。各方面意見もあり、また彈力性もあるべきものであると思うのであります。従いまして石炭業に対する融資につきましても、現在のわくの範囲内において、石炭業に融資するためにほかの産業を圧迫するというようなことでは、これは適当ではなかろうというふうに考えております。
  116. 二見貴知雄

    ○二見参考人 今の点につきましては政府当局と同意見でございまして、私は特に追加すべき意見はございません。
  117. 神田博

    ○神田委員 私はまじめに熱心にお尋ねをしているのでありますが、もちろん御両君はまじめに熱心にお答えしていただいているとは思いますが、これは私がひがんでいるせいかどうか、私のお聞きしていることをを率直に御答弁しにくい事情があるんだというふうに考えざるを得ないのであります。どうしても御答弁がないのだということであればいたし方ございませんが、これは私だけでなく、国民が納得せぬ問題であろうと思います。せつかく国政調査をやつておりましてい機会だから、この機会を通じて国民に納得してもらおうということで、もつと私は率直に御答弁できないかというふうに考えるのであります。さつきの貿手の関係にいたしましても、副総裁の御答弁を聞いておりますと、私どもやはり納得できない。これは事実を述べて参りますと限りないほど私は材料を持つております。しかもまた経験者の一人であります。とかく銀行業務ということになつて来ると秘密が多いのでしようか、どうもずばりと御答弁がなされないことがたびたびでございまして、非常に遺憾に思うのでありますが、これは国民がみな聞きたいことでありまして、もう一ぺんお考え直しになつて答弁をしていただきたいと思うのでありますけれども、しかしこれは、そうじやないんだ、そうじやないんだということでどうもおつしやらない。いくら私が申し上げても、これは何ともいたし方がないのでありますが、何か通貨の限度なりあるいは割引の限度なり貸出しの限度なりというものがどこかで押えられているのではないか。そうでなかつたら、財政上の吸い上げの金が、とにかくあることがわかつているんだから、それが散布されておらないんだから、国民経済に通貨が環流しなくて、非常な金詰まりになつておることは十分御承知できるわけでありまして、何が手を打つていただかなければならぬ、またそれが当然である。新聞でもこの問題を通じて、もうこれ以上金融のしりを財政でぬぐうわけには行かぬということをおつしやつておる。また政府の方では、もつと貸し出していいんだということを言つて、水かけ論をやつておられるようでありますが、何か仲が悪いように聞えるが、聞く方は仲が悪くても、仲がいいんだということになるのが、アジア人の通有性といいますか、そういうことが考えられるのでありまして、これは言いにくいことだと思いますが、今日の金詰まりというものは異常なものだと私は考えております。私どもも自分でみずから事業もやつておりますが、また政治家としても十分いろいろな方面から材料も入つて参りますが、異常の金詰まりであります。副総裁のお話を聞いておりますると、インフレを警戒するようなお口ぶりである。今日はインフレを警戒しておるようなことは、私はある一、二の人を除いてはないと思う。デフレの行き過ぎを恐れておると私は思つております。しかるに御答弁されることは、そういうようなほんとうのことをおつしやらずに、隔靴掻痒の感がある。どうもこれ以上申し上げても、あるいは舟山に上ることになるおそれなしとしないのでありまして、はなはだ残念であります。  そこで答弁がどうしてもできないということであればいたし方がありませんが、この金詰まりのいろいろな原因があると思いますが、その中の一つとして、最近郵便貯金が特に増加している。郵便貯金の増加は、無記名預金の課税問題から端を発して引上げをしているのではないか、それが郵便貯金にかわつておる。郵便貯金にかわつたものが、先ほど来地方公共団体あるいは公団等に大分出ておりますが、非常な余裕金が生じている。これらのものが焦げついて晝寢をしているというようなかつこうでありまして、さらに金詰まりを大きくしておるのではないか、こういうものをうんと日銀の方へまわしてやつたら、還元も早いのではないかというふうな気がするのでありますが、その方法も、いろいろ申し上げれば数が多いのでありますが、あるのではないか。この無記名預金をもう一ぺん制度を開いておいた方が、さつき日銀副総裁のおつしやつた預金の増加がどうも思わしくないということの解決の一助になるのではないか。これはいろいろな方法を講じなければならないわけでありますが、そういうことも大きな産業の面から見るならば、当然考えなければならぬ問題だと思う。これらについてはどういうようにお考えになつておられるか、一つ、お考えを述べていただきたいと思います。
  118. 舟山正吉

    舟山説明員 神田委員から、何かぼやかしているところがあるだろうというお話で、私の申し上げることを納得していただけないことははなはだ残念なわけでありますが、私といたしましては、全部言葉を盡して申し上げておるつもりでございまして、たとえば予算運用につきましては、今年度幾ら出すんだ、そうして幾ら引上げる、差引こうなるんだというそろばんがはつきりいたしますれば、金融、特に通貨の量をどのくらいにしていいかということについては、これは常識的に一応の目途ができて来るということでございまして、それを申し上げている。現在三千百億ばかり日銀券が出ておりますけれども、決してこれで金縛りをしていいということを申し上げておるのではない。これは見方により、また立場により、彈力性を持つて考えてしかるべきことではありましようけれども、ただ全体として、ちようど大きなわくが出て来る。これを守つて行くということは、通貨価値を安定して行く上において必要であるということを申し上げておるので、お話が抽象的になり、申し上げることが御了解願えないことは残念でありますけれども経済の実態をよくして行くために、信用を調節して行く気持でやつていることを、御承知願いたいと思うのであります。郵便貯金につきましては、最近増勢が顕著であることは御指摘の通りであります。無記名預金もシヤウプ勧告によりまして、今年の九月までに整理するということも大きく働いておるかと思います。これらについてはまた無記名預金を復活して、銀行にもつと金が集まるようにしなければならぬという議論も世間に出て参つております。また預金部資金の運用の方法、あり方についても再検討を要するのではないかという議論も出ておることを承知しております。私の方といたしましては今年度当初の金融政策といたしましては、ぜひ郵便貯金の資金でもつて金融債あたりを引受けて、長期資金を産業界に供給したいということを考えておつたのでありますが、今日までのところ成果を見ておりません。最近の一つ方法としては、政府一般会計あるいは特別会計の公債を預金部資金で引受けて行くというような構想も考えておるような次第で、ある程度見込みは立つておると思います。大蔵大臣も申しましたように、たとえば二十四年度見返り資金で引受けました鉄道、電通の公債を郵便貯金に肩がわりいたしまして、そのかわり見返り資金の運用の範囲を広めて行くというようなこと——間接的ではありますけれども、こういつたようなことによつてでも目的を達して行きたいと考えておる次第であります。それから貿手の問題を再三御指摘に相なりましたが、最近いろいろ貿手について世間の非難があつたということについて大蔵省日銀話し合いました結果、この両三日以来市中の評判では大分問題が解決して来たということを伺つておる次第であります。こういうことを私ども御報告申し上げておきます。
  119. 神田博

    ○神田委員 今の通貨の発行状態が三千百億を割つたり、三千億を割つたりしておる次第でありますが、これについてお聞きしたいと思います。政府のいろいろな資料によりましても、生産が非常に上つて来ておることは、私が申し上げるまでもなく、十分御了承だと思います。さらに商業部門がだんだん活発に動いて来ておるということも、公団廃止自由経済に移行した関係上、そういつた方面に十分な発展をして来た面が見らるということも十分御納得だろうと思う。この二つの面を考えただけでも、これを決済して行く通貨は相当ふえて行かなければならないことだと思う。しかるに生産が復興し、産業が自由経済に移行して、商業資金を相当莫大に要するというような際においても、通貨が一向増加しておらない、あるいはそれは信用でやるのだというようなことをおつしやるかもしれませんが、結局これは通貨で解決するのだ、信用においてももう手形が九十日、百日というような今日の状態、あるいは不渡り手形が非常に漸増しておる傾向から言つても、そういつた信用取引が極度に来ておるということをうかがい知ることができると思う。そういう面から考えても、今日の通貨の発行量がきわめて少いのじやないか、そこから金詰まりの問題が出ておる。これはまだいろいろの原因がございますが、先ほど来私は政府の散布資金だけを例にとつたので、多少言葉が漏れておつたので補足するわけでありますが、そういう事実だけから考えても通貨の方を増していいのじやないか。それを一体釘づけにしているのはどういうことであるか。また日銀は決して釘づけをしているわけではない、あるいはまた貸出しを單に押えているのじやないというのは、事実は通貨の少いという問題、貸出しが十分行われていないということが、今日政府考えている以上なデフレ状態になつているということだ。この事実というものをどういうふうにごらんになつておられるのか、そこから問題が出て来るのじやないかと思う。この事実を肯定なさるならば、通貨の発行量が足らない、あるいは貸出しをもつとしてもいいのだ、しなければならないのだというふうになつて来るのじやないかと思う。それができないというから、できない事情が、何か説明のできないところにあるのじやないかということをお聞きしておるのでありますけれども、それが一向そういう事情はないというので、われわれはどうしても納得できない。これは国民が納得していないということを、私は国民の声で申し上げているのです。これはお話できないということならば、できなくてもけつこうなんだが、さようなことはないので、できないということしか言えないのだというのならば、それも一歩前進だろうと思います。御答弁を願います。
  120. 舟山正吉

    舟山説明員 ここ二、三箇月の通貨の足取りは、日銀券の発行について見ますと、去年の実績を百億くらい上まわつたところで、ちようど去年と同じような足取りを見せております。これは去年に比べまして、やはり生産や取引がふえたということを反映しているものだと思います。去年に比べて百億の増加では足りないのかどうかという点になりますと、いろいろ御意見のわかれるところと思いますが、さればと申しまして、当局として去年に比べて百億増の線で押えてしまうという気持はないのであります。ただ過度に膨脹してはまたいけないということの警戒心は持つておりますが、さればとて去年に比べて百億どころで押えなければならぬというふうにも考えておらぬのでございます。
  121. 神田博

    ○神田委員 しからばお尋ねいたしますが、ただいまの通貨の発行量で、今のような限度で日本経済をまかなつて行くに適当だというふうにお考えになつておられるかどうか、この点御説明願いたいと思います。
  122. 舟山正吉

    舟山説明員 通貨の総量がどのくらいあつたらば日本経済をまかなつて行けるかという問題はむずかしい問題でござまして、なかなか結論出しにくい。しかし大蔵省あたりで考えております資金計画、政府資金の散布並びに経済界の需要の資金量というものを測定いたしますと、大体それに近い数字が出て来ておるのでございます。しかしこれはあくまでも紙上の資金計画でございまして、それ以外に経済の実態に即しまして、ほんとう資金の足りないところは、ここに取上げて、金融を緩和するなり、資金を供給するなりして行かなければならないものと考えるのでありまして、漫然と、と申しますと誤弊がありますが、ただ資金を全体としてふくらませば足りるとかいう行き方は、この際適当ではないのではないかというふうに考えております。
  123. 神田博

    ○神田委員 しからばもう一つこれに関連してお尋ねしますが、今日の金融状態は物価の面から考えて一体デフレと考えているかどうかということをひとつはつきり御説明願いたいと思います。
  124. 舟山正吉

    舟山説明員 なかなかむずかしい御質問でございまして、これは結局政府といたしましてはデイスインフレの線に沿つて施策して行くことを申し上げる以外には私ども答弁いたしかねます。
  125. 神田博

    ○神田委員 政府の方針は、それはあなたにお聞きしなくても私は十分知つている。現実はどうかと聞いているのです。もしそういうことが自分個人の意見であるから困るということならば別問題でありますが、現実はどうか、日銀副総裁はどんなふうにお考えになつておられますか。率直な明快な御答弁を願います。
  126. 二見貴知雄

    ○二見参考人 私は一言でこれがデフレであるとか何とかいうことは明確に申し上げかねるのでございます。先ほど銀行局長からだんだんお話がありました通り、通貨の数量がそのときの経済状態にとつて適正量であるかどうかということは、これはまことにむずかしいので、神田委員は該博な御研究で十分御存じと思うのであります。先ほどもお話のあつた通りに、通貨の速度の問題もございます。それからそのときに信用取引が多いか、あるいは現金取引が多いか、こういうこともございます。ただ私ども念願いたしますのは、そのときの実勢に応じて、これははなはだ抽象的な言い方で恐縮ではございますけれども、多過ぎもしない、少な過ぎもしないというところに何とかして持つて行くべきではないかと考える。ただシーズナルに、ある時期をとつて、ふえる、またそれが引込む、そういうところに決して気をつかつておりません。それは日本実情から申しまして季節的に多くなり、少くなるということがありますので、よく雑誌等に三千百億を割つたとか割らないというふうなことが非常に神経質に書いてございます。しかしこれは一月も経つてしまいますと実に微々たることでございまして、先ほど来詳しくお話がございますように、生産物価、その他取引の大要等を考慮しまして、この辺が一番いいのではないかという見方を日々立てて行くという以外に実は申し上げようがないのであります。その点をひとつ御了承を願いたいと思うのであります。
  127. 神田博

    ○神田委員 私がただいまお尋ねしましたのは、今までずつと質疑を継続しておりましたことを入れて、今日ただいまの状態がデフレとみなされているかどうかということをお聞きしたいのであります。これにつきましていろいろ御答弁なさることは他にも影響することがありますので非常に慎重にお考えになつておられるだろうと思いますので、私もこの点についてはこれ以上申し上げませんが、私どもの見た現実の姿というものはデフレではないかと思います。そこで問題が起きて参るでありまして、銀行局長にいたしましても、あるいは日銀の幹部の方々にいたしましても、一体金融というものをどこに置いているか、銀行を主として考えて行くのか、あるいはその裏づけになつて行く産業を見て行くのかということになるのでありますが、これは私がお尋ねすれば、それはもう両方からとおそらく御答弁なさるだろうと思います。しかし今日はそういうようなことになつておらない。銀行を大事にするという言葉を使うことはどうか知りませんが、もしものことがあると経済界が大混乱をする、そこで銀行をまず大事にしておかなければいかぬ、こういうふうに始終お考えになつているのではないかと思います。私どもこの点についてそういうお考えのあることは了といたしますが、しかし一国の経済というものは産業が充足されて発展して、初めて銀行の経営も成立つのでありまして、産業を十分甘やかしてもりつぱな産業は成立つわけではないのでありますから、おのずからそこに限度はありますけれども、やはり産業というものをどうするか、もちろん場合によつては、物によつては殺さなければならぬ、あるいは殺さなくても自然と死ぬ場合があるかもしれませんが、しかしながら産業なくして経済は成立たない。産業なくしてもし金融が成立つならば、これは高利貸である。これは公益性のない事業でありまして、政府がそういうような仕事にタツチするのはまことに不都合であつて、これは取締りをしなければならぬ問題になつて来る。そこでこれはどうもちまたの声にいたしましても、私たちにいたしましても、デフレの傾向である、そこで銀行にもしものことがあつてはたいへんだ、こういうようなことが秘めたる原因になつて来ているように世間は見ております。何と御答弁になつても、世間はそういうふうに見ております。銀行のあたたかい気持が産業の裏づけになるのであつて、産業が十分栄えて銀行がまた栄えて行くのでありまして、銀行栄えて産業が栄えて行くということではないと私は思う。そういうことについて今日一体どういうふうなお考えを持つておられるか。答弁を私が少しかわつてつたような形もありますので、いまさら答弁をしていただくこともどうかとも思いますけれども、念のためにお伺いしておくことも調査の趣旨に沿うことだと思いますし、時間の関係もございますので、一体どんなふうにお考えになつておられるのか、産業と銀行と、一体どつちを主にしてお考えになつておるか。今日のやり方は、どうも銀行中心主義だ、金融中心主義だ、これだけはもうはつきりした事案ではないかと思うのでありますが、しかし御謙遜して反対の御答弁もあるかもしれませんので、念のためにお伺いいたします。
  128. 舟山正吉

    舟山説明員 私どもは決して、金融が健全であればそれで能事終れりというような考えは持つておらない、こういうことであります。産業あつて金融であり、また金融は産業に役立たなければならないという見解を持つておるのであります。ただこれは金融を担当しておる側から、特にこの機会において申し上げようとすれば、金融機関の健全性ということは、また別の見地から、一面非常に大事だというふうに考えております。これについては適当な施策を考えなければならぬというふうに考えております。
  129. 二見貴知雄

    ○二見参考人 私ただいまの御質問に関連して申し上げますが、神田委員からお叱りを受けるかもしれませんが、決してどちらに重きを置いておるということはございません。それは一例を申し上げますと、最近でも私どもの方では、銀行が貸し澁るようなときに、一体どこが悪いからこの企業に貸せないのかということを、親切に産業界の借り手に説明すべきものだ。ただあなたのところは貸しにくいとか、ほかに需要があるから、あなたのところにはやれません、そういうふうなことでは、いけない。金融と産業とは、ほんとうに一体になりて、そうしてここが悪いからこうお直しになれば、私の方は全部はお貸しできないけれども、半分はお貸しできる。そうすればほかの金融機関も納得するでしようから、私の方だけでは荷物が重いから、ほかの金融機関からも半分は持つてもらいましよう。そういうふうにしてもらいたいということも極力申しております。これは機会あるごとに申しております。そうして実は先ほど神田委員から御指摘がありました貿手金融につきましても、この貿手に貸すということ、そしてそれがメーカーに流れて行く金であるというならば、銀行はその輸出業者に命を出すと同時に、その金がむだにならないように、メーカーに対しても、これこれの人にこれだけの金を貸しました、だからこういうりつぱな製品をつくつてくれ、そうすればクレームもつかないで輸出ができるのだ、こういうふうにメーカーにも、エキスポーターにも、両方に連絡すべきだ。こういうことを勧めております。そういうふうなわけで、片方だけに重きを置くということはございません。
  130. 神田博

    ○神田委員 非常に御親切な御答弁でございまして、大分私一人でお尋ねをしておりますのもいかがかと思いますので、早速本日の議題に沿いました方に入りたいと思います。今の御答弁で私非常に安心したのでありますが、しかし安心はいたしましたが、これは最近のことで、二つの例をとつて申し上げますと、これは不思議なことになるわけであります。ということは、本年の四月に大蔵省、通達省、安本、それから日銀、興銀の責任者が集まりまして、中小炭鉱の危急を救済しようということで、約二十億ほどの融資をしたいという申合せをしたことを御承知だろうと思います。ところがその後の実情を私調べて参りました。     〔委員長退席、永井(要)委員長着席〕 これがどうなつておるか。四月のことでございまするが、これはほとんど実行されておりません。どうして実行されておらないかというと、二十億の融資の決議をしてお引受けになつたのでありまするが、借り得ないような苛酷條件をつけた。その例を申し上げてもよろしゆうございますが、時間がございませんから申し上げませんが、ほとんど絵に描いた餅になつてしまつた。こういうようなことは、私は今の御親切な答弁から考えますると、どうしても納得が行かない。四月に中小炭鉱に二十億の金を貸してやる。さて貸すということになつて来ると、今申し上げたような借り得ないような條件をつけた。ところがさつきから聞いていると、どうも銀行本位にお考えになつておるのか、産業というものをお考えになつておらないのか、共存共栄ということをどういうふうに考えておるのかということになつて来るわけであります。よく日本人は義理がたいと言われている。義理ほどつらいものはないと言われている。それが一つも金を貸していない。貸すと言つても貸しておらない。これは義理も行もないということになるのではないかと思う。今日に至つて運転資金は申すまでもなく、設備資金もほとんど投入されておらない。これは生産原価の一割ないし一割五分というものは、設備資金に入れて、そうして炭鉱の若返りをして参る必要があるのでありまするが、今日においてはわずかに〇・五%ぐらいしか入れておらぬ。こういうような状態なんだ。こういうようなことをしておくことは、私は銀行のためにもよくないことだと思う。日本の産業の基盤を失つてつたのでは、これはどうしてもやがておのれに返つて来る。今の御答弁をお聞きしておりますと、金は出そうだ、先は非常に明るい。今トンネルの中から明るみが見えて来たというふうに考えられるのでありますが、事実は昨年の九月以来出ていない。ことに本年の四月のごときは、申合せの決議までしているにもかかわらず、それが一文も出ておらない。こういうようなことでは、これは一つの事業として、また国家の基本産業として非常にみじめなものであると言わなければならない。そこで先ほど来、同僚諸君も心配、しておるのでありますが、夏場を控えて、貯炭の問題、また今まで放置された中小企業の資金の融通ということについては、きようはせつかく日銀の二見副総裁がおいでになられて、議会でよく事情をお聞きになつておられたと思いますし、今まで十分声を聞いておつたと思いまするが、これらの問題は具体的な問題でありますので、どこにどう、ここにこうというわけには参らぬことは私も十分承知しておりますが、しかし銀行局長も、資源庁から十分な資料をとつて善処しようと、こういうような先ほどのお話でございましたが、同僚田中君等の質問を聞いておりますると、善処はするが、一向権限はないのだというようなことであつたようでありまして、だんだんあとになるほど非常にさびしい気持を持つたのでありまするが、私は一番あとで産業と銀行との結びつけの問題をお尋ねした際に銀行というものが指導するのだということでありますので、特に日本の現在の金詰まりの状態をまずこの辺から息拔きをさせて、そうしてもつと健全企業に持つて行きたい。石炭が健全企業になることがあらゆる産業が健全企業になるもとだと私は思う。これは私が申し上げるまでもなく、十分御両君も御存じのことで、平素大いに努力はされておられたことと聞いておりまするが、結果においては一向出ておらない。いろいろ資源庁等からも材料も出ておりますが、何しろ資源庁——通産省は大臣が今年においても四回もかわり、資源庁長官もかわつている。さつきいた資源庁長官も、七日にはヨーロツパに行つてしまうということでありまして、また次長もアメリカからまだ帰つて来ない、こういう状態でありますので、石炭企業をほんとうにバツクするものがこういうことでは私はほんとうに情ないと思う。安本の内田財政金融局長もむずかしい資金計画をよくお立てになるのでありますが、これはなかなか有能な局長でよくやつておられるが、ひとつ安本もこの石炭企業に対する資金の融通というものを特別に考えていただいて、三千百億の中から何かひとつ捻出してもらいたい。またこの際中小企業も、夏のランニング・ストツク貯炭等に、百億未満の金があればこれはできるわけなので、ことに四月に約束した二十億の金が未だに一つも出ておらないということは、どうもはなはだどうかと思います。これは公債か貿手についてもできないというときには、日銀融資斡旋部——私も行つておせわになつたことがございますが、自分のところにもというようなことを言われておつたようでありますから、ひとつ身に迫つたこととして御考慮願いたいと思う。よく大蔵大臣が税金が高いなら自分のところに来ればやつてやるというようなことを言つてつたことがありますが、どうもみんなが行つたのではなかなかたいへんだと思いますが、しかし石炭鉱業は幸いまとまりがついておりますし、また近年の産業でなく、長い歴史も持つておりまするし、前途についても十分な見通しのついておる産業でありますし、他の産業の基盤としてこれはもう一番早く健全化しなければならないものと私も考えております。私いろいろなおお伺いいたしたいのでありまするが、他の諸君の質問もございますので、一応ここで打切りたいと思いますが、今述べましたことは、ひとつ十分御考慮していただいて、今日の金詰まり打開、また一般産業に先がけて合理化をさせる意味からいたしまして、設備資金の問題、また運転資金の問題、さらに昨年の九月以来放り残されておつて、約二百二、三十の炭鉱が倒れたのでありますが、今日残つておる中小炭鉱に対しまして、特別な御配慮を願うことが、やがてわが国の産業が飛躍するもとになる。こういうふうに考えておるので御援助願いたい、こう考えております。
  131. 風早八十二

    ○風早委員 今日は非常に御熱心な皆さん方の御質疑で時間がなくなつてしまいましたが、私はちよつと時間の都合でもう出かけなければなりませんので、きわめて簡單に質疑をいたしたいと思います。実は池田大蔵大臣並びに一万円総裁に私はお尋ねしたかつたのでありますが、残念ながら今日は両氏とも御出席がありませんので、どなたか大当蔵局の方に御答弁願いたいと思います。今日田中委員有田委員、その他自由党の委員諸君が、この石炭金融問題については大体問題を出しておられると思います。ただこれに対する御答弁ははなはだわれわれは遺憾千万だと考えますが、これはもうおそらく御答弁を期待するのがむりじやないかと考えております。特に田中委員有田委員が今日この金詰まりに対して政府当局は一体金融機関にどれだけの力を持つておるのか、結局持つておらないのじやないか、結局この際金融機関に対して、特別の措置を講じさせるような法律的措置が必要ではないかということもつつ込んでおられます。     〔永井(要)委員長代理退席、委員長着席〕 われわれはかねがねこの金融機関の国営人民管理ということを申し上げておりましたが、今や実際問題に移してそれをやらなければもはやどうにもならないというところに来ておるということを自由党の諸君自身が認められたものであり、非常に興味深く考えております。ただ惜しむらくは、この問題を今から一年半前に提起してもらいたかつた。一年半おそかつた。一年半前にこれらの問題を出しておつたときに、何らかの措置が構ぜられておれば、こういうことにならなかつた。これはもういまさら繰りごとを言つても始まらないのでありますが、今ではもはやこの中小炭鉱金融危機というだけの問題ではありません。これはもう日本の産業構造全体の危機でありまして、つまり日本の民族の独立の基礎になる産業構造全体の危機になつております。この中小炭鉱の金詰まりの問題がやはりただ中小炭鉱だけでなく、今では大炭鉱の問題に移つておる。大炭鉱の炭価の問題に移つておる。それが鉄鋼を悩ましておる。しかもこの貿易問題につきましても、今せつかく開らん炭が日本に二十万トンも入つて来るという契約までできておつたのに、これがまたとんでもない他の條件によりまして御破算になつてしまう。こういうことでまるでもう日本の産業全体の崩壞が今来ておるのじやないか、私は今お尋ねいたしたいことは、先ほど神田委員が聞いておられましたが、一体銀行がおもなのか、産業がおもなのか。これはもちろん銀行がおもであるということはもうお答えをいただかなくても明らかですし、銀行と産業とは切つても切れないものでありまして、問題はその金融がどういう商業へ今度は重点が置かれつつあるかということであります。石炭は一体どうされるおつもりであるか。もうすでに電力につきましては見返り資金は、ほとんど今ある見返り資金は打ち切られておる。なかなか出ない。一体これらとも関連いたすのでありますが、この電力とか、石炭とか、一番日本の民族の独立の基礎をなす二つの産業についてどう考えておられるか、特にこの石炭につきまして、一体どう考えておられるのか。これは大きな問題でありますから、詳細に御答弁願えれば、時間もたいへんでありますけれども、一言にして大体石炭まではとてもやつて行けない。造船なら造船に今重点がかわつておるのだ。この点をひとつ金融の面から、大体今どういうところに重点を向けられておるのか、その点をひとつ答弁願いたい。
  132. 舟山正吉

    舟山説明員 どういう産業に向けて金融の重点を置くかということにつきましては、国の産業政策としていかなる種類の権業をまず優先さして行くか、あるいは優先させないで、平等に扱うかというような経済政策の点になりまして、これは通産省できめる。これに対してこれに即応して金融の円滑をはかるということでございまして、大蔵省といたしましては御答弁に適しないことと考えます。
  133. 風早八十二

    ○風早委員 この金詰まり、これは結局金詰まりの問題についてお答えくださればそれでよろしいのであります。共産党に対する彈圧が強化されておるのに正比例しての金詰まりの強化の問題であるのであります。この詰まりの強化が一体やはりどこもかしこも金詰まりというわけではない。とにもかくにも三千億円というものはあるのでありますが、これはやはり片寄つております。石炭というものに対してはその点からこれはもうあまり重視しないというような方針であるか。またもつと積極的に今どこへ一体重点を置いて金融をやるのか、この点は銀行局長としてもお答えが願えると思います。
  134. 舟山正吉

    舟山説明員 金融を左右することによりまして、どの特定の産業を特に助成し、優先せしめるかということは考えておらないのであります。これは経済政策自体の方から割出されて参りまして、それに対して金融措置をつけるという方法行つておるわけでございます。
  135. 風早八十二

    ○風早委員 どうもお答えが全然ないようでありますが、私、時間がありませんのでもう一つだけ伺つておきます。これはやはり金融問題の根本の條件をなす大きな問題であると思いますから、この際にお尋ねしておきますが今朝鮮の情勢が非常に発展しておりますが、あれに伴つて日本からたとえばきようあたりの新聞にも出ておりますが、日本で精麦した外麦を朝鮮へ大体二千トンくらい送つておりますが、これからどんどんいろいろなものが送られると思いますが、それについて輸送であるとか、物資であるとか、これらの勘定は何でなされるのか、終戦処理費との関係でそれらが一体どういうことになるのか、そのわくの中でこれが行われるのか、あるいは他の金融操作で行われるか、これらの金融面についてひとつお答え願いたい。
  136. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまのお尋ねにつきましても私の所管外でございますので……。
  137. 風早八十二

    ○風早委員 所管の人に答弁してもらいたい。あなたにむりに答弁してもらわなくてもいい。
  138. 舟山正吉

    舟山説明員 きようは参つておりません。本日は御答弁いたしかねます。
  139. 風早八十二

    ○風早委員 なおこれは銀行局長にはむりでありますから留保しておきますけれども、やはり今のような情勢で、援助資金見通しについても変化があり得ると思います。終戦処理費についてもおそらくまたこれがさらに膨脹して結局追加予算というようなものが出て来るかもしれぬと思います。それらの問題が結局は金詰まりの面にどう響くかということ、こういう根本の大きな條件が幾つかありますから、それらをやはり十分に前提に置かれて、その金融の問題も実際問題になるわけであります。いくらわれわれが下の方から中小炭鉱金融ということをつつ突いてみましても、どうにも事実になつておらない。過去、昨年九月来もみにもんでおつて、このように今日の惨状に至つておるのでありまして、その根本の條件は何かということをもう少し政府はその点に関連させてひとつ答弁を願いたい。私はきようは大臣がおられませんから、もうこれ以上お尋ねしても御答弁は期待できませんからこれでやめますが、それらの点をひとつ十分にお伝え願つて、この次の機会には必ず大臣を呼んでいただいてしかるべき御答弁を願いたいと思います。これで私の質疑を終ります。
  140. 前田正男

    ○前田(正)委員 私は本日は先ほど同僚委員からも発言がありましたように、大蔵大臣、一万田総裁の御出席がありませんので、新聞に出ていますところの根本的な金融と財政の問題、特に大蔵省日銀との間のいろいろの軋轢の問題その他につきましては、私の方から質問し、皆さんの方から御答弁を得ようとは思つておりませんが、しかし先ほども委員長から御言明がありました通り、数日のうちに両最高責任者のお集まりを願つて、わが国の財政と金融との問題について根本的な問題を産業全般の金融といたしましてこの際明らかにするのが、われわれ通商産業委員責任であると思いますので、そのときまで保留することにいたします。しかしながら私はこの際そういう根本的な問題より発生いたしましたところの当面いたしました問題につきまして、ごく簡單に質問さしていただきたいと思います。まず第一に本日は石炭の問題でございますが、先ほど神田委員からもお話がありました中小企業の炭鉱に対しまして、四月から二十億の金を融資するということが話題に上つてつたのでありますが、これは大蔵省として、日銀として、どういうふうな方法——現在の日銀の別わく融資というようなものが中心企業に出ておりますが、そういうものとは別にどういうふうにしてあつせんしてやつて行けるのか、あるいはそういうふうな見込みがあつたのかどうか、また現在もどういうふうにして継続されて行く見込みであるかその点をどうか明らかにされていただきたい。
  141. 市田禎藏

    ○市田参考人 四月二十日の中小炭鉱資金所要について経過を報告申し上げます。あのときは資源庁中小炭鉱中優良と認められるもの百十五社、百五十炭鉱について資料をおつくりになりまして、これに基く所要の資金は、設備資金八億、それから未拂い、やはりこれも設備関係の未拂いがおもなるものである。その次に三億ばかりのつなぎ融資——つなぎ融資というのは通常の運転資金である。合計二十一億という話でありました。そこで私のところに資源庁からもお見えになりまして、時たまたま北海道、九州の支店長が上京しておりましたので、一諸にお話を詳しく伺い、続いてなかなか自由党の政務調査会において席を貸すからというので、融資銀行の勧銀、興銀、北海道拓殖銀行も集まり、大蔵省、通産省全部集まりまして、検討したわけであります。結局一括百五十炭鉱について二十億というわく融資を決して希望しない。一つ一つ検討して、これは設備資金がおもなるものでありますから、右から左というわけに行きません。もちろん銀行の自主性に基いて検討してもらつてよろしい、そのきつかけをつくつてもらいたい。こういう話でありました。そこで各現地においてさらに金融機関が集まりまして、同様の検討を加え、ビジネス・べーシスに乘り得るものから取上げて調査をする。その際の資源庁のつくられました資料というものは、従来なかつた貴重な資料でありまするので、これを出発点にしてさらに検討する。当時所要資金の内訳その他についても、具体的には一つ一つの問題として各炭鉱から申込みをする、それに基いて検討する。こういうことになりております。そこで設備金の方はなかなか従来の例で行きましても調査というものは簡單に行きません。いまだにこといつて見るべき実績が上らないのは遺憾でありますが、これについては興業銀行からも来られて、その話があると思いまするが、努力はしておられます。それから一般的な運転資金、これは売掛命金の金融でありますが、北海道及び九州についてそれぞれあつせんをいたしまして、北海道はもうすでに夏場貯炭の尖端でもありましたが、手形割引のできるものはどんどん割引かせる。九州につきましては、石炭会社——中小炭鉱の元締をやつております石炭会社の商業手形について割引のあつせんをしてこれはできております。そのようにできるものから逐次取上げておる次第であります。
  142. 前田正男

    ○前田(正)委員 ただいまのお話のように、これをあつせんでもつておやりになつて行くということになると、逐次できる範囲からぼつぼつでありますが、実績を上げて行くというようでありますけれども、実は業界要望されておるのは、もうすでに差迫つて四月からの話でありますから、当然相当額のものは現在出ておる実績になつておらなければならないのでありまして、金融のごあつせんのやり方と業界要望して来るのとは、時間的にも要望的にも相当のずれが出て来るのではないかと私は思います。そこでそういうふうなあつせんのやり方でやつて行くことも非常にけつこうなことではありますけれども、そればかりでは十分な期待はできない。そこで中小企業全体といたしましても、中小全炭鉱といたしましても、当然そういつたことに対しまして、従来まであります制度によつて期待に沿うべくできるだけのことはやれるわけでありますから、従来あります制度の方の金を相当融資して、さらにそれに今のお話のように二十億のあつせんをして行くということにすれば、これで初めて要望とマツチすると考えるのであります。ところが従来までありますところの設備資金のあつせんにいたしましても、見返り資金月一億で第一・四半期三億出すということになつておりますのを、この委員会の席上におきまして大蔵大臣は五億にすると言明しております。われわれ速記録を持つておりますが、五億ということを言明しておりますが、いまだに出ておりません。そういうことでは設備資金の拡充は困難であります。あるいは運転資金の拡充にいたしましても、日銀のこれまでの融資は少くとも五十億から六十億までは必ず出す、これもまた委員会の席上において大蔵大臣が言明されておられるところであります。それが現在やかましく言われて、一億ずつふえまして二億、現在わずかに四十一億という実にさんたんたる現状であります。こういうような従来までありますもののやり方を伸ばして行つて、そうしてさらにこの特別のごあつせんをして行くということになりますと、一々の事情によつて調べて行くということでは、銀行は信用別わくでやつておられるのであるから、業界に対して一ぺんに相当の金が出るということになつて、なかなかあつせんでやつて行くことは困難なことであると思いますけれども、従来のやり方に対しても十分な措置を講じないで、さらにあつせんにばかり期待することも、そのあつせん自体が十分動いていないという今のお話でありますと、先ほど日銀副総裁が政府の方針に対しまして協力するということを言つておられますけれども、私どもは協力するというふうには見られないのであります。私はこの際、大蔵大臣が御出席でありませんから、見返り資金の問題についでの大蔵大臣の言明の責任に対しましては、別の機会に大蔵大臣の御出席の際におきまして方針を聞くことにいたしますが、幸いに日銀の副総裁が御出席でありますから、まず第一に運転資金日銀の別わく大蔵大臣は五十億から六十億までにふやすと言明しておられるが、この政府の方針に対して日銀は協力するのかしないのか、日銀政府政策とは別の立場でやつて行くのか、こういう点についてまずお聞きしたいと思います。このことにつきましては、いわゆる池田放言のありましたあとにおきまして、私は党の中小企業の委員長としてこの委員会においてその要望事項を申し上げましたときに、池田大蔵大臣はこれを党の要望の五十億ないし六十億まで拡大するということを申しておられます。先ほどの金融と財政との食い違いの問題につきましては、これは両責任者の意見を聞きますけれども日銀わくを拡大するということは副総裁で御道答弁のできることでありますから、それに引続いて日銀政府の方針に協力する意思があるかどうかということをひとつ御返答願いたいと思います。
  143. 二見貴知雄

    ○二見参考人 中小企業に対する別わくにつきましては、日本銀行としては実際その貸出しの衝に当つております銀行からの実情報告をいろいろ勘案いたしまして、だんだんにふやして来ておりますことは、ただいまお話のあつた通りでございます。従いまして、昨年の今ごろはおそらくまだ二十億足らずでありましたものが、だんだんふえて四十何億になつて来ております。
  144. 前田正男

    ○前田(正)委員 三十九億からあとの話です。
  145. 二見貴知雄

    ○二見参考人 従いまして、私どもの方としましては、そのときの中小企業の自主性を見つつ、しかしながらどの銀行にもあれは出すものでないことは御存じの通りであります。興銀、勧銀その他の銀行に出しております。
  146. 前田正男

    ○前田(正)委員 どうも話がわからないのですが、大体この中小企栄の炭鉱どもあつせんをされておると同時に、日銀の別わく融資というものはふえておりますならば、興銀、勧銀から相当各炭鉱にも出ます。また協同組合、商工中金からも出ます。私は二十億のときの話をしておるのではありません。この三月ですか、池田放言のありましたあとの現状では三十九億でありました。これをさらに五十億ないし六十億までふやすというお話でありました。さらにこれに対して銀行からの要望がなければだめだというようなお話もありましたので、私も商工中金等の中に入りましてあつせんいたしました。商工中金から正式に五億の要求を出しております。そのほか各銀行の方からも要望が出ております。これに対して私は参議院の選挙の最中でありましたが上京して参りましたときにも、ここには御出席がありませんけれども、わが党の幹事長も大蔵次官に申込みをいたしまして、大蔵次官から日銀の方に話されまして、それに対しては必ず考慮するというお話でありましたが、実績は商工中金一億、興銀一億というわずか二億にしかなつておりません。われわれは結果から見ると、現在の日銀のやつておられるやり方は政府の方針に対して協力していないと感ぜられるのでありますが、先ほどの副総裁のお話では協力しておるというお話でありますので、この日銀の別わくをふやすということから始まつて行けば、中小企業二十億の融資の問題は続いて解決して行くべきものであると私は存じますが、こういう根本でありますところの、従来やつておるところの別わく融資というものさえ拡大できない。あるいは設備資金の問題にしても、今大蔵大臣はおりませんから見返り資金のことは言つてもしかたがないと思いますけれども、この大蔵大臣言明の見返り資金の問題さえ伸びていない。そうしてこの融資のあつせんの方はいくらやれやれと言つてもできないと思うのであります。そこでもう少し明らかにこの際日銀の別わく融資要望通り拡大する意思があるかどうか、今までは実績はどうだとかこうだとか、これをわれわれの要望通り拡大する意思があるかどうか、政府の方針に対して協力する意思があるかどうかということを、私は日銀の副総裁から御返事いただきたいと思います。
  147. 二見貴知雄

    ○二見参考人 中小企業のいわゆる別わくというものは、御存じの通りただいまのところは四十一億、この四十一億は出つぱなしではなくて、あれは非常に回転するものでございます。興銀にいたしましても、勧銀にいたしましても、その方面に金を出しておつて、そうしてこれが回転してもどつて来たものをまたよそへ出す、こういうやり方をしております。われわれの方といたしましては、要望も十分に考慮いたしまして、漸次その要望の実現に適合するように金額をふやして来ておるのでございます。
  148. 前田正男

    ○前田(正)委員 どうも質問の要点から離れておるように私は思うのでありますが、その別わくの内容というか性質というものにつきましては、私も担当でありますから研究しておりましてよく知つておりますから、その御説明はしていただかなくてもけつこうであります。また現在の別わくの額がどれだけ必要かということにつきましては、われわれの党の方におきましてもちろんでありますが、大蔵大臣は少くとも日本の財政金融見通し得る人でありまして、もちろんそれに優秀な官吏もついております。また安本その他いろいろと政府には金融方面を担当しているところがありまして、その回転状況であるとか、あるいは必要状況であるとかいつたもの、さらに現在別わくを五十億なり六十億にふやす必要ありということをここで結論として出しておるのであります。これは決して日銀から別わくの運用状態がどうだ、こうだということは聞かなくても、われわれは相当に各方面の資料を集め、またエキスパートの意見をもとにして、しかも大蔵大臣責任をもつて言明しておることでありますから、この責任に対しまして協力さる意思があるか、別わくをさらに増大して行く意思があるかどうかどいうことを私は聞いておるのであります。その内容が適当であるかないか、どこに貸す、どこに貸さないということはこの際御返事を願う必要はないのであります。要するに一国の財政の責任者が言明せられることに対して、日銀は協力する意思があるかどうかということを返事してもらえばけつこうであります。ひとつ副総裁の御答弁をお願いいたします。
  149. 二見貴知雄

    ○二見参考人 具体的な問題といたしまして、中小企業に対しての増額ということが起つて参りますときに、新しくそれを取上げて、今までの別わくの中で考慮して行くということは日本銀行としていたしております。政府もそういう要望に対してそれを考慮するという線で協力するのは先ほども私が申しました通りであります。
  150. 前田正男

    ○前田(正)委員 協力するということは先ほど申した通りだというならば、なぜ商工中金からこの際五億の増額を要望したのに対して、どうして一億しか出さなかつたか。その理由と原因をお話し願いたいと思います。
  151. 二見貴知雄

    ○二見参考人 ただいまお話の点は私も非常に詳しくは事情を存じません。協力するということは先ほど申し上げた通りでありますが、それではただ金額を幾らにするのかという点では、それはそのときの実情をよく聞き、漸を追うて、一時にやることもあり、部分的にやることもある。それは金融の実際の運用でございますから、そういう方針をとつております。それで御了解を願いたいと思います。
  152. 前田正男

    ○前田(正)委員 本日は石炭の中でも中小企業の炭鉱の方が非常にお困りになつていると思いますし、特に私は申小企業の担当者でもありますので、一番金の早く出やすい日銀の別わくの拡大ということから入つて行けば融資の道もつくと思つて皆さんにお尋ねしたのでありますけれども、非常にあいまいな御答弁でありまして、政府の方針に協力すると言つておきながら、政府の方の方針というものは、要するに幾ら金額をふやすかということが方針でありまして、別わくをこの際設ける、拡大するということではないのでありまして、現在あります三十九億から五十億、六十億に伸ばすということは政府の方針であります。ただ一億伸ばす、二億伸ばすということは政府の方針ではないのでございます。その辺が全然協力してないと私は感ずるのでありますが、この問題につきましては、副総裁も十分知つておられないということでありますから、次会に日銀総裁のおいでになるときでもけつこうでありますが、よく十分に調査されて、また大蔵大臣もすでにこの委員会において言明しておられるのでありますから、大蔵大臣ともよく御連絡の上、責任ある御答答弁をいただきたいと思います。  次に私は申し上げたいのでありますが、それは先ほど金融の引締めはしていないというお話がありましたが、この炭鉱要望にも出ておりますように、工業手形の再割をやめられて担保にした、あるいはまた先ほど神田委員からお話がありました貿易手形を優先にわく外で扱つておりましたのを、四月末の預金高のわく内においてこれを扱うということにされた、これをもつてしても引締めでないということは言えないのであります。これはどういう理由があつてやられたのか、あるいは金融を引締めるためにやつたのではないという御説かわかりませんが、こういうように従来スムースに動いてやつておりましたものを、この金詰まりの現状におきましてやり方をかえるということは、結局結果といたしましては、金融の引締めになつて来ます。ことに新しくやり方がかわつたということになりますと、その間におきまして、当然新しい制度に伴うところの金融界の一時の混乱、停止ということはあるわけでありまして、これは非常に大きな影響を與えたことは、すでに貿易手形の問題におきまして、またここに書いてありますように、工業手形の再割停止の問題につきましても、非常な混乱を與えたことは事実であります。こういうようなことを、何を好んでこの困つておられるときにやられたのか、これをもつて金融引締めでないと言われるか、こういう点について私ははなはだ疑問に思つておるのであります。そこで工業手形の再割をやめられて、担保にせられました理由及び貿易手形を従来わく外に置いて優先に割振つておりましたものを、わく内に入れられました理由につきまして御説明を願いたいと思います。
  153. 二見貴知雄

    ○二見参考人 ただいまお話の中にちよつと了解いたしかねますのは、四月末のところで押えて、それを従来わく外であつた貿手なり何なりをわく外の扱いをしないことにした。こういうふうに承つたのですが、もし私が解します通りとすればそれは非常に事実と相違しております。先ほど神田委員からの御質問の節にも申し上げました通り、決して従来とも貿易手形であるから、あるいは商業手形であるからそれがわく外になつておるとか、おく内であるとか、ある一つわくというものはございません。世上四月末がどうこうというようなお話がありましたが、そういう考えはないのでありまして、ただ日本銀行融資をする上でこれは方々銀行の手元状態というものが常に動いておりますが、日本銀行が融通をする際に、毎日のように銀行から資金状態を聞いているということは、これはございます。これは貸す貸さないにかかわらず実はございます。それでわく外、わく内というのは世間の言葉の熟しないところから来る点でございます。そこはひとつ御了解願いとうございます。それから工業手形が再割であつたのが担保になつた。その意味はどうかというお話がありました。それはすでに御存じのことと思いますが、百割と工業手形の差というものは、実ははなはだ事務的のことになつて恐縮ですが、日本銀行に参りましたときに、ただ融通のレートが日歩一厘違うというだけのことでございます。それから工業手形というものは日本銀行が内部で使つている言葉なのでありまして、工業に関するあらゆる手形というものではもとよりないことは御存じの通り、原料決済の手形——従つて公団がなくなり、また何でも公団に売れておつたときと比べて、そういう物資の流通状態のかわつておる時期になりますと、これを日本銀行銀行券発行にただちに準備、充当される商業手形と同列と見るということを控えまして、工業手形にした。しかしながら日本銀行の融通の対象としては優遇をしておるわけで、たつた一厘の差のものにした。こういうことなのであります。従つて前に申しました通り、それでわくをどうこうということはございません。
  154. 前田正男

    ○前田(正)委員 どうも私は御答弁ではつきりしないのでありますが、まず貿易手形のことは後ほどにいたしまして、石炭鉱業の問題がそういう事務的な問題で、一厘の金利の差の問題であるというふうな程度ならば、なぜこの際それを再割をやめられたかという理由がわからないのであります。何となればそういう簡單な事務的のものならば、ここに石炭鉱業会から要望が出ておりますように、日銀の再割手形に復活することも、あしたからすぐでもできるように思いますが、そういう簡單な事務的なものであるならば、あしたからでもすぐ復活してもらうことにつきましては、われわれここにおります同僚委員といたしましては、だれも反対はないと思いますので、われわれ一致してひとつ要望いたしまして、あしたからでも再割手形に復活してもらいたいと思いますが、それを復活できない理由があるか。それを担保に直された特別の理由があるのかどうかということを、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  155. 二見貴知雄

    ○二見参考人 私は今ここですぐどうこうということは、私の立場上控えなければなりませんが、先ほど来いろいろお話がありましたので、十分考慮してみたいと思います。
  156. 前田正男

    ○前田(正)委員 要するに日銀の担保か再割手形であるか、どうかということはに、業者の方が一般の市中銀行に行きました場合には、融資を受けられるか受けられないかという非常に大きな差になつて来ますので、それを理由にしまして、市中銀行が非常にうまい言いのがれをすることは御承知の通りであります。これを担保にするのと再割にするということとは非常な大きな開きがあつて、実際に借りる業者の立場から見ますと、担保になつても一厘の違いじやないかと言われますけれども、再割と担保になつておるということとはえらい違いだということは、金融をやつておられる立場の方は、よくおわかりのことだと思うのであります。そこでそういう簡單なことでありますならば、この際ぜひひとつこれをまわしてもらいたい。私は再割を担保にされたということだけでも、非常に大きな金融引締めをやつて、その間における金融が不円滑になつて非常に大きな影響を業界に與えたことは事実だと思います。これは今の副総裁のお話でありまして、何か立場上すぐには言明はできぬけれども、考慮してあげるというようなお話でありますから、数日中にこの委員会が開かれると思つておりますので、それまでにできるだけひとつ御方針をきめられて、御答弁願えればはなはだ幸いだと思つておます。次回の委員会におきます非常に情味あふれた御答弁を期待する次第であります。次に貿易手形の問題でございますが、貿易手形につきましては、四月末の預金高を押えたことはないということを言つておられるようであります。しかしながら日銀はそういうことを言つておられるかもしれませんけれども一般の市中銀行に参りましたならば、貿易手形は今まで日銀へ持つて来ました場合には、再割といたしまして、優先的にやつて来れた。わく外としても、適格の手形であつたなら預金の四月末の残高ということを考えずに、優先的にやつてくれたのであるが、今回の金融引締めの措置によりまして、貿易手形が四月末の預金残高に基いて各銀行の貿易手形の割引する量をきめられたというようなことを、どこの銀行行つても申しておるのであります。これは市中に伝えられておりますように、一つの外国為替銀行にあまりにも貿易手形が集中されるので、それを分散するという意味もあつたとは思うのでありますけれども、しかしながらすでに御承知の通り、昨年貿易は倍になりましたが、私たちは今年度はどんなことがあつても、さらにそれ以上に貿易の拡大をすることが、日本の国民の生存の上から行きましても、重大な要請であると思います。この要請をやつて行く場合には、どうしても貿易を拡大しなければなりません。ところがそれにつきましては、金融をやつておられる方ですから、すでによくおわかりだと思いますけれども、貿易を拡大して行くということになりました場合には、当然先物の契約がふえて来るわけであります。先物の契約がふえて来る以上は、現在の日銀券の発行高、現在の日本金融わくの中では十分でないということは当然のことだと私は思うのであります。そこで貿易を増加するという以上は、当然貿易手形というものが、現在の金融政策からさらに優先的な取扱いを受けねばならぬということは当然なことであると私思うのであります。従いまして、従来日銀から非常な考慮をしてもらつてつたということは、私ども日本の貿易の発展のために非常によかつたと思うのでありますが、この際預金高というようなことでこれを押えるということにつきましては、非常に残念なことと思います。しかしそういう事実はなかつた日銀の方で御言明になるかもしれません。私は貿易の方にも相当関係しておりますけれども、従来貿易形の問題につきまして、こんなに日本の市場が混乱したことはございません。私は終戦後におきましても、私自身は商売をやつておりませんけれども、ずつと貿易のことについてはいろいろと関係しておりますが今回ほど市場全般におきまして、貿易手形が混乱したことはないのであります。この貿易手形が混乱したという事実を見ていただきましたならば、当然そこに貿易手形の割引におきましていろいろな措置が講じられたということは、事実であります。何ら従来とかわりない方針であれば、貿易手形の割引が混乱に陥るということはないのであります。この点ひとつ日銀副総裁ももう少し一般の市場において言われ、一般の市中銀行において言われておりますことをよくお考えくださいますならば、私はもう少しはつきりして来ると思うのでありますが、この貿易手形というものは、どんなことがありましても、優先して割引を願わなければならないと思うのであります。これにつきましては、新聞によりますと、大蔵大臣の代理としてここにおいでの舟山局長が日銀に交渉に行かれたというように私は書いてあるのを見たのでありますが、幸い舟山局長もここにおいででありますから、まず第一に舟山局長からその交渉の結果をお聞きいたしまして、それに対します日銀の今後の貿易手形に対する優遇策についてのお話を伺いたいと思います。
  157. 舟山正吉

    舟山説明員 貿易手形について金融を円滑にしなければならないということは御説の通りでございます。しかしこれは少数の例外であるかもしれませんが、最近の実例におきまして、貿易手形の濫用とも申すべきことが行われている。かたがた一つ銀行に貿手の割引が集中するということは適当でない。ほかの資金の余裕があります銀行に貿手をまわすということも必要あるというような方針から、この取扱いが多少円滑を欠きました点があつたかと思います。しかしこの点につきましては、大臣の命によりまして私も日銀にとくと御相談いたしました結果、ここ数日来は非常に改善されているという報告を受けているのでございまして、今後健全なる貿易手形につきまして御不便をかけるようなことはないのではないかと考えております。ただ市中銀行の手元が、預金が集まりません等のために、非常にきゆうくつでございます。従来の二月、三月あたりの右から左に貿手が割引になつたという状況に比べまして、銀行資金手当等の点からいたしまして、若干時間がかかるというような弊があるように聞いているのでございますが、これらにつきましても、今後日銀に話をしまして改善してもらいたいと考えております。
  158. 前田正男

    ○前田(正)委員 時間も大分たちましたので、私は大体において質問を打切りたいと思いますが、貿易手形の信用の悪いものがあつたとかどうかということを言つておられますが、貿易手形につきましては、LCによつて発行されるものでありますから、そういうことについては心配はないと私は思います。また幸いにいたしまして、われわれの委員会を貿易信用保險法案も通過しておるのでありまして、今後貿易問題につきまして起り得るリスクに対しましては、ある程度のリスクはこの保險法案において補償することになつておりますので、そういう問題を考えてみましたならば、当然これはそう声を大にしてこの際叫ばなければならぬ問題ではないと思います。どつちかというと、今度の貿易信用保險法案が通つたから、かえつて貿易手形はもつと安全な立場に立つたものでなければならぬと思うのでありますが、こういう点は政府からも大きく各銀行にも呼びかけていただきまして、そうしていろいろな起り得る国際情勢の変化に伴いますところのリスクに対しましても、貿易手形はこの法案があるから非常に安全あるという点を大きく呼びかけてもらう必要があるのではないかと私は思つております。貿易手形の問題につきましても、私は決して現状をもつて、今のやり方をもつて満足だとは思わないのでありますが、大体根本は要するに銀行局長が行かれたときも、その後の大臣と一万円総裁との会見の新聞の記事を見ましても、要するに財政の引締めをして、これに対する金融が補うか補わないかという根本問題があるのでありまして、先ほど舟山局長からも話がありましたが、預金部資金をもつて金融債券を引受けるというような問題につきましても、大臣はうまく行かなかつたというでありますけれども、大臣はこれに対しまして、またわれわれに対しても何ら言明もありません。また先ほど共産党からもありました、電力に対しましては相当の予約的な見返り資金の交付があるというような話をしたために、金融方面においては相当の前貸しというとおかしいのでありますが、先に貸しつけておりまして、それがためにほかの方面にまわりますところの金融の余裕金というものが少くなつておるという事実もあるのでありまして、こういう問題につきましては、この際皆様にいくら私から質問申し上げても満足な御答弁は得られないと思いますので、来るべき次回の委員会におきまして責任ある御答弁を得たいと思います。特に先ほど日銀にお願いいたしました中小企業の別わく融資の問題につきましては、さらに十分に具体的な数字と実際の例をよく御研究願いまして、日銀がはたして政府に対して協力する方針であるかどうかということについてお話を伺いたいと思います。われわれ自由党におきましても、日銀が最近われわれの政府に対して非協力であるというようなことを一般のちまたから聞くことは、現在の政権を担当しております自由党といたしましては非常に遺憾なことであります。またわれわれ與党の議員の中からも、本気ではありませんけれども銀行に対しまして、ある程度銀行の監督権をなさなければならぬというような意見も出て来ることは、この際銀行の立場の人も特に考えていただかなければならぬことでありまして、われわれ自由党の者が自由経済を押進めて行きますからこそ、現在の金融ベースというものがあり得るのでありますが、一旦わが自由党の自由経済政策というものが失墜することがありますならば、先ほどの委員の発言がありました通り、銀行国家管理の態勢に移る可能性もあるのでありまして、もう少しく銀行界へ一般におきましても、われわれ自由党の自由経済政策に対しまして協力する態度をとつていただかなければならぬと思うのであります。私たち要望事項に対しまして、大臣の言明したことに対しまして、日銀当局は一番大事な中小企業の問題についてもはつきりした答弁もできないということは、われわれの目から見てもどうしても非協力であるという結果を現わしていることは非常に残念に思うのであります。この点につきましては、お帰りになりましてぜひ御相談願つて、次回の委員会にはもつとはつきりした責任ある御返事をしていただきたいことを切にお願いいたしまして私の質問を終りたいと思います。
  159. 神田博

    ○神田委員 時間も大分迫つて参りましたので、これ以上質問することはどうかと思いますが、実はどなたか御質問なさるだろうと思つて残しておいたのが一つありますので、この機会に承りたいと思います。というのは、先般来安本の内申金融局長がみえておられるわけでありますが、一体安本では資金計画を種々検討されておるわけでありますが、一般資金計画はもとよりその内容となすところの石炭に関する資金計画は一体どういうようにお考えになつて樹立されておるのか、またその樹立された資金計画というものは、一体どういうようなパーセンテージでそれが過去において動いておつたか、安本としてまた石炭企業に対してどういうように金融面からお考えになつておられるか、せつかく先ほどからわれわれ同僚委員の質疑応答を聞いておられたのでありますから、この機会に私の質問に答えるということはもとよりでありまするが、石炭鉱業に対する金融の面、過去においてももとよりでありまするが、現在の段階、また将来に対する見通し等については一体どういうような考えを持つておられるのか、安本としてどういうふうに処置して来たのか、詳細に説明をしていただきたいと、かように思います。
  160. 内田常雄

    ○内田説明員 神田さんにお答え申し上げます。石炭の問題につきましては、安定本部は正直に申してかように考えております。御承知のように昨年までは安本としては石炭の生産計画を立てまして四千二百万トンというものを立てましたが、途中公団の廃業等がございまして、実績は三千七、八百万トンということで終つております。その後統制方式の廃止及び一般の金詰まり等の影響もございまして、御承知のように炭鉱で休止また廃止されましたもの、これは主として小さい炭鉱のように承つておりますが、百四、五十はありまして、生産のベースも落ちていると思います。今日おそらく毎月三百万トンから三百二十万トン程度の生産ベースだろうと思います。ひるがえつて経済全体を考えました際に、四千二百万トンまでは行かなくても、月々三百万トンあるいは三百二十万トン程度のべースは、今後の日本自立計画を立てます際に、どういう計算をいたしましてもこれは絶対に必要であると思われるものでありまして、他面石炭が電気に置きかえられるとか、あるいは油の経済が楽になりまして油に置きかえられるという面を考慮いたしましても、これ以上石炭を整理してつぶすことは、今後の経済からいうと、日本としては非常にむりだろうと思いまして、この程度以上の炭鉱はぜひ将来にわたりましても保持したいと考えていることが事実であります。  次に先ほどどなたからかお話がありましたが、石炭の価格が非常に高い、これは造船なり鉄鋼業に非常に影響を與えているということは事実でありまして、その原因につきましてはお互いに水かけ論をやつているようでありますが、それはそれとして、でき得る限り石炭の価格を下げなければならないということは、私も熱心に希望し、またその施策についても考えているのであります。しかしてその石炭のコストでありますが、その後石炭業界におかれましては一応の努力が拂われていることを私どもは認めているのであります。たとえば炭鉱労務者関係におきましても、坑外夫に対する坑内夫の割合が一時よりも逆になつて、非常に多くなつた。また労務者全体におきましても、一時の四十五、六万人から今日は三十六、七万人というような減少を見せまして、その間いろいろな合理化が行われている。まだ今日経営上あるいはその他の面に、おきまして合理化の余地なしとはしないでしようが、一応普通の手段においての合理化はだんだん限度に達しつつある。これ以上合理化して価格を下げるためには、これは石炭に限らぬのでありますが、どうしても設備なり、技術なりの近代化をやつて行かないと、石炭のコストはそう大幅に下らないだろうということを私どもも認めるのであります。こう考えて参りますと、第一の点の石炭鉱業をこれ以上つぶさない、お二の点の石炭の炭価を下げることのためには、やはり相当の設備資金運転資金を出さなければならぬ。しかしこれは自由党の御政策にありますように、たとい重要産業であつても、国の一方的の庇護でこれを育てることは不可能でありまして、業界自身の努力にまたなければならぬ。それを援助するような万般の施策をやつて、両々相まつてつて行くということでありまして、今私が申し上げましたことは、だから一方的にみた政府に寄りかかつてよろしいということではないのであります。そこで金融の問題になるのでありますが、金融は私ども石炭鉱業につきまして、今日特にこの夏場の不需要期におきまして非常に困難に遭遇されておることは、先般来いろいろ御説明を承つております。業者からかなり部厚の申入れ書も拜見しておりまするし、また通産省からも承つておりますし、自由党の政調会などでもわざわざそのために会合を開かれまして、一緒に御討議いたしたのであります。しかしこの金融でございますが、設備資金につきましては、なかなか困難な面がございます。むろん、見返り資金という方面もなかなか困難はありますけれども、昨年は御承知のように、少いけれども四十一億出た。今年も非常に少くて、まことに申訳ないのでありますけれども、どうしても設備が必要なものだけねらい撃ちにして、現在のところは二十二億くらいの見返り資金を出す計画になつておる。しかしこれは二十二億そのまま出るかどうか、昨年たしか六、七十億円の見返り資金石炭に投入する計画を立てましたものが、四十一億で終りましたように、本年の二十二億につきましても、正直のところ、私ども若干危惧する点がございます。それから増資とか社債とかいう点も、御承知のように今日の証券情勢ではなかなか困難の面がある。また資産再評価等をいたしまして、償却面を多くすると申しましても、別の面から合理化がない限り償却面を多くすることはできない。社内留保をするということも、今の価格のもとで、今の設備のままで十分留保するということもおそらく困難であろう。この方面にも今後私ども業界と一緒に努力しなければならぬ点があるわけでございます。運転資金につきましては、設備資金と違いまして、お話によりますと非常に差迫つた問題がある。夏場の不需要期におきまして石炭が売れない、これは秋以降石炭需要期に入りますと、当然二百万トンやそのくらいのものは、例年の例から見ましてもさばけるものでありましようが、ここ二、三箇月はそのつなぎに迫られるということも認めるものであります。また市中一般金融情勢のきゆうくつ化を反映いたしまして、手持在庫になるものでなしに、石炭の工業化等によりましたその代金が、先ほどからお話に出ますような範疇から、担保貸しの範疇に、工業手形として置きかえられたということが直接の原因であるかどうかは、私も見きわめていないのでございますが、さような荷動きに伴う資金等も、必ずしも工業手形ではないけれども業者が御希望になる通りに金繰りがついてないという点も、あるいは今日の情勢からすればあろうと思います。これらの面から、少くとも設備資金のことは、これは遠大な計画が伴いますけれども運転資金につきましては、私どももできるだけ安定本部としては協力しなければならぬと思います。さて金が出る道でありますが、結局金は直接出るのはむろん市中銀行でありますけれども、市中銀行に金を注ぐものは政府の財政資金を注ぐか、あるいは金融全体の操作として、一時日銀の信用というものが銀行の背後につくか、そのどつちかということに相なります。しこうして今日の財政金融全体の状況を見ますと、神田さんあるいはその他の委員からもお話があり、また新聞等にしばしば見えますが、一般に本年度に入りましてから財政資金は引揚げ一方である。しこうして日銀のそれを補うべき追加信用が十分でないということが言われておるのでありますが、しかしこの点は私も非常に熱心に分析いたしておるのでありますけれども、先ほど二見副総裁からもお話がありますように、日銀としては今日千三百億以上の貸出し金をしておる。これを本年の三月末、つまり昨年度の末に比べましても三百億余りの貸出し増加をしておる。今年の三月末は、私の記憶では日銀の貸出しは多分千億ちよつとだつたと思います。昨年の今ごろは六百七、八十億だつたと思います。ちようど日銀の貸出しは通貨が同じ三千七十億でありながら倍になつておる。そういたしますと、日銀としましても、市中銀行のオーバー・ローンどころではなしに、日銀自体のオーバー・ローンということになつておる。貸出し超過の計算になつておる。むろん市中金融が円滑に動くように、先ほどからのお話によつて、私どもも非常に安定本部として安心したのでありますけれども、必ずしも貸出しにわくをつくつて、締めるのではなしに、情勢に応じては余裕があるようなお話で、安心はいたしましたが、これ以上に日銀が貸し出すこともなかなかいろいろの意味から困難があることも承知いたさなければならぬと思います。一方財政資金の方ですが、財政資金は引揚げ超過と言われておりますし、一面表面はその通りであります。今日の日本経済新聞にも出ておりますが、四月から六月までの財政資金の引揚げ超過総額が、三百十億だということを言われております。先月六月二十日現在ぐらいで私が計算したところによりますと、四月の初めから六月の二十日までにおきましては、四百九十億ばかりの引揚げ超過でありましたが、その後下旬になりまして、財政資金拂い超になつた。主として預金部の地方公共団体に対する、税金がとれないための緊急前貸しというようなことだろうと思いますが、そのために政府資金が下旬によけいに出まして、三百十億まで揚げ超は減つたのでありますが、ともかく三百十億という揚げ超になつておる。ところがこの揚げ超の内容を分析してみますと、政府の揚げ超は、それだけの金が政府の金として預金部なりあるいは政府の当座預金として遊んで溜つておるという事情になつておりません。一般政府の揚げ超の原因としまして、税金が高過ぎるということとともに、預金部が郵便貯金を集めておるけれども、それの貸出しを認められない。そのために預金部の資金がごろごろおる。もう一つ見返り資金の貸出しが遅れておるために、その見返り資金もごろごろ寝ておるということを言われておるのでありますが、税金の点ですと、私は正直に申して、今日税金は決して安くない。むしろ国民所得等に比べて、やむを得ない事情ではありますけれども、かなり高い割合を占めておると思いますが、昨年に比べますと減税にもなつておりますし、数字で比較してみますと、四月から六月までの税金の取り高は、昨年同期の七割くらいに減つております。一般財政の揚げ超は若干揚げ超になつておりますけれども、私の計算では数十億にすぎません。従つて一般会計が拂うものを拂わない。税金ばかり取るというかつこうには今のところなつておらない。預金部資金でありますが、これは預金部資金が来年の三月まで、今年の一年を通して見ますと、今の事情のまま預金部の郵便貯金を集めるけれども、貸出しは、さつき舟山局長から言われるように、地方公共団体に対する支出が認められないとするならば、これは七百億なり九百億、金が遊ぶことになりますが、しかし六月末までの期間におきましては、状況はまつたく違いまして、例の地方税の不成立に伴いまして、地方公共団体が税金がとれない、しかるに地方公共団体の歳出は一時に切詰められないために、御承知のような平衡交付金の繰上げ拂いとともに、預金部資金の前貸しをいたしまして、そのために預金部はこの四——六月においては、むしろ拂い超過になつております。見返り資金は、先日第三回の入金もありましたために、三百四、五十億の金が遊んでおることは事実であります。しかしこれも実はこの三百四、五十億の金は今年度に入つてから政府が引揚げたものではなしに、そのうちの百五十億余りは、昨年度中において見返り資金の放出が遅れたために、今年に持越した金でありまして、今年になつてからの引揚げ超過分というものは百五十億程度でありまして、これはむろん大きい金ではありましようけれども、全体から見るとそう大した金ではない。引揚げ超過の結局の原因は、この食糧の売下げ代金、食糧管理特別会計の引揚げ資金であります。食糧は御承知のように、秋口に一ぺん食糧証券を一拳に発行して、米を一時に買上げまして、あとは一年間に平均してこれを売つて参るという仕組みでありますし、ことに売下げ価格と買入れ価格とにおける一年間を通ずる計算の操作等もありまして、現在までのところ、食糧管理特別会計の引揚げ資金が数百億以上になつておる実情であります。もう一つは、貿易特別会計、御承知のあの会計が、今日民間貿易に移りましたために、用事がなくなつて、この会計の手持の輸入滞貨、輸出滞貨等をしきりに売り拂うことをやつております。この売拂代金が貿易特別会計に入つて来る。この二つの原因で——これは今年の予算の性格からして当然の原因で引揚げ超過になりまして、この金はどこに行つておるかと申しますと、食管の引揚げ超過金は、食糧証券の償還金として食糧証券を持つているところに入つております。早く申しますと、結局日銀なり預金部なり、政府資金あるいは日銀に行く金はもどつて来ます。貿易特別会計の金も、そのうち百億あまりは、去年から貿易特別会計が日銀に借金をして返さなかつたものを、本年度になつてから日銀に返していることと、あとは貿易特別会計の身代りとしてできました外国為替特別会計という政府直営の一種の外国為替銀行の元締めがありまして、それが輸出為替を買取るための資金に必要でありますために、その方面に余剩金を振り向けております。貿易特別会計へ引揚げて、外国為替特別会計で支拂いをしている、こういう事情になつておりまして、紙の上での平面計算では三百億からの余剩金がありますが、実はこの四月からの期間におきましては、政府の勘定として遊び金になつて寢ているものはほとんどない、こういう事情であります。それはそのままだとすると通貨が收縮いたしますから、その穴埋めとして日銀が、先ほど申しましたように、本年度になつてからも三百何十億という貸出し超過があり、それに百億足らずの公債の買上げをいたしまして、結局通貨の收縮は本年度二月末の三千百十三億円から、六月末の三千百十一億円と、たつた二億しか減つていないのでありますが、通貨のベースは同じようになつて来ている。こういうことで日銀が悪いのでもなく、政府勘定の上げ下げが悪いのでもない。ただ形といたしましては、通貨が同じベースだからということと、これも先ほど神田さんから御指摘がありましたように、生産の量はふえておる、貿易の量はふえておる。国民経済全体が徐々ではあるけれども活発になつて来ておる。むろんその間通貨のベロシテイーとか、あるいは信用取引と、いうものの関係も織り込まなければなりませんが、私ども正直に申しまして、経済の拡大に伴つて、今の通貨のままで必ずしも行き得るとは思わない。何とかして必要な金——ことに統制の解除に伴つて一時資金がダブります。公団廃止いたしましても、公団の所要資金がすぐに民間の所要資金に移るのではなしに、公団がきれいさつぱりになるためには、両方金が重なる面がありまして金がいる、こういうものは統制を解除するまでは何とかして出さなければならぬ。出すには、くどいようでありますが、結局日銀拂いか、政府拂い——政府は引揚げ超過はその期間には数字に見えるような形ではしておらぬことは先ほど申しました通りでありますが、他面におきましては預金部資金も、食糧証券等を売拂うとか、その他動員すれば出し得る余地は今日でもあるはずでありますし、また見返り資金も、去年からの持越しの金でも三百億以上持つておりますから、これを出すことはもちろん必要でありまして、私ども大蔵省とも一緒にこの方面の金を引出し、資金に早く還元できるように努力している。しかしこれはやはり関係方面と申しますか、相手のある仕事でありまして、それが話がつくまでは開始できないとすれば、何とかして市銀なり日銀なりというラインをたどつて、一時のつなぎとして必要なものはやらなければならぬ。私ども大蔵省とは違つた立場の金融当局でありまして、大蔵省と同じような責任を負うものではありませんから、さような気安いことを申せるのかもしれませんが、安定本部としては関係方面と両方にらみ合せの上、何とかしてこれを出してもらわなければならぬと思います。ところがこれに対しまして、先ほど神田さんからも資金計画がどうなつているかというお話でありますが、今日私どもが立てている、また立てつつある資金計画は、むろん統制時代と違いまして、石炭に幾ら、復興に幾ら、繊維に幾らというような各産業別の資金割当という意味は非常に資金計画の中でも薄れて参りまして一政府の財政資金と、われわれの金融資金と全体を通じまして、最後に資料を見ながら、一年間の財政の收支、金融の收支、通貨の收支というものと、経済の動きというものをどうマツチさせるかという総合的な新計画をつくりまして、そこで関係方面の満足が得られないとどの金も動かないというところに、正直に申しまして追い込まれて来ております。先般来新聞にもしばしば現われておりますが、大蔵省がいろいろの金融上の折衝をその筋にいたしておりまして、それについては総合資金計画を樹立して、その計画について司令部の納得が行くことを要請せられておつて、目下その方にかわつて来ておるということは、ほとんど毎日のどの新聞にも出ておるのであります。あれも実は今は大蔵省日銀当局が安定本部に集まりまして、一緒の作業を現在いたしておりまして、その資金計画によりますと、実に困つた面が出て参ります。それは財政の引揚げなり、引揚げ超過がどのくらい出るかということを計算して、次に預金なり、あるいは銀行の増資なり、債券の発行なりがどのくらい可能になるかということを計算して、さてしからば金がどれくらいいかということを計算してみますと、筋の通つた——たとえば生産増加に伴う資金とか、貿易増加に伴う資金とか、統制撤廃によつて一時よけいに必要とする資金とか、筋の通つたものだけを積上げてみますと、どうもあまり金の需要はいらぬ、言いかえれば、総合資金計画をしてみると、通貨がふえる必要がないという結果が出かかつておるのであります。ところがその計算はまつたく机上の計算になるのでありまして、今日の実際の経済から見ますと、さようにいる金が幾らで、集まる金が幾らという計算ではだめです。すでにわれわれが三千億べース、あるいは三千五百億ベースの経済生活をしていることは、金魚が一つの水圧に生きているようなもので、水圧を下げられると金魚は生きておられない、それと同様に、この程度の金であつていいはずだ、そんな金はいらぬはずだと言うわれても困るので、やはり必要な通貨は生産資金でなくても、たとえそれが納税のための借入金であつても、あるいは滯貨を抱えるための金であつても、経済を維持するためにはそういう面の資金がいるということを、計算外の計算を立てて行かなければならぬ、その面に実は追い込まれて来ているわけであります。  そこで私ども安定本部におりまして、今後の政策として深刻に考えますことは、これは石炭だけの問題ではなしに、御承知のように今肥料の統制解除に伴う生産資金、配給資金の問題もあります。鉄の補給金撤廃に関する問題と同じような問題もあるのでありますが、この際資金が苦しい対策として、設備資金なり、あるいは運転資金なりというものを受けさえすれば、それで日本経済がかわつて行くかどうか、設備資金を受ければ、設備資材に対する需要が大きくなるから経済循環が大きくなり、運転資金を受ければ、物が動かなくても賃金循環が動くから、それで経済は動くでしようが、それでつなぎとめられるかどうか。さつきの財政資金金融資金の問題にもどるのでありますが、結局消費購買力が少な過ぎるのではないか、一つの動いている国民経済なり、国民所得から、税なり財政の形で引揚げる割合が多過ぎみのではなかろうか。端的に申すと、やはりもつといろいろ苦しいことはあろうけれども、だんだん財政の姿を、税が安くなるように持つて行つて、消費購買力をつけないと、石炭設備資金を出して設備が改良され、肥料が生産されても、需要が循環して追いかけて来ないという問題にまでも立つ入つて来るので、單に日常の、おつしやるような資金計画だけで、安本がアカデミイツクに立てただけではいかぬというわけであります。たいへんむずかしいわかりにくいことを申し上げましたが、石炭の問題については、冒頭に申し上げましたように、安本としては石炭産業のポジシヨンは必要であると認めて、その資金を何とかしなければならぬということを考えておるのでありますから、引続いて大蔵省日本銀行通商産業省等と技術的の方法を十分お打合せして、またわれわれの大臣の政治的の御配慮をも願いまして、できるだけこれが解決に向うように事務的には処置して参りたいと思つております。
  161. 神田博

    ○神田委員 内田金融局長の詳細な御説明がございまして、資金計画の全部を大体了承できた次第であります。お話の中にありました消費購買力の問題については、なかなか金詰まりが多くて、賃金の未拂いというような関係が非常に重なつているし、各会社とも手形決済に追われておりますから、消費面が非常に減退していることは事実であると思います。そのほかの理由もあると思いますが……。なおまた銀行の面で、先ほど舟山局長より、銀行の監督は預金者の利益のためにやつておるというようなお話もございましたが、最近銀行の貸付けを見ますときには、なかなか貸し付けたほど使わせないというような状態になつているようであります。これはおそらく銀行合理化が私は行われてないのじやないか。非常な銀行のビジネス・ベーシスが下つて、ことに預金が減つて参りますと、なおそういう傾向があるのじやないかと思いますが、たとえば一千万円金を貸す。そのうちの四割、四百万円を預金しなければ困る、こういつたひもつきの貸し方が多くなつて来ております。これは舟山局長も十分御承知だと思います。日銀の二見さんも御承知だろうと思いますが、これは公然と行われております。なぜ行われておるかといいますと、金利をかせぎたい、こういうようなことを目ざしているようであります。どうもはなはだ不都合な銀行が多々出て来ていることは、われわれの遺憾にたえないことでありますが、こういうこともやはり金詰まりを起している非常に大きな原因じやないかと私は思います。そこでいろいろ話はよその方へまわりましたが、何といつても基礎産業の石炭を健全企業に持つて行くように努力することが、一番大事なことで、政府としては打つべき手はいろいろあると思う。白銀も打つてもらわなければならぬ点があると思います。特に政府側においても、現在の復金の金利等を相当の利下げをして、今言つたような不都合な銀行の監督を嚴重にすると同時に、一般銀行の金利の引下げもひとつ行うような方法をとつていただかなければならぬ。また政府責任を持つからというような意味で、相当これは炭住の建設を強行せしめておつた。これらに対する責任をやはり政府が感じて、炭住資金措置なんかも相当とつていただかなければならぬ。また復金の借入金等も莫大に上つておりますので、これを短期で返すような措置を長期に乘りかえるような措置も、一つ合理化の手として当然これは考えなければならぬ問題だろうと思う。資材の問題等についても、関連産業は困つているのだから、これはひもつき融資でもけつこうだから、ひとつ考えてもらいたい。いろいろ打つべき手は私はあると思いますが、大分きようは時間も超過しておりまするし、大臣も先ほど通産大臣ちよつと来ただけで、就任早々でどうもぴんと来ないわけでありますが、せつかく長時間われわれ同僚、おいで願つた政府側日銀側が、いろいろと意見交換なり、われわれ国会の意のあるところを御了承願えたと思います。きようの問題はわれわれ自由党の立場から十分党の政策として述べているのでありますが、今日われわれが述べていることは、他のいかなる政党も同感だろうと思います。おそらく通産委員会の打つて一丸とした声だろうと思います。同時にまたこの石炭企業に関心を持つている天下の声とこれは考えなければならぬと思う。ことに夏場を控えて、もう日々ランニング・ストツクがたまつて来る状態なんでありますから、この夏場貯炭資金の目途をつけるという問題と、中小炭鉱に対する相当の融資をとりあえず急いでやるということを、緊急に措置していただかなければならぬ。そこでこれはきようの会議の結末になることでありますが、委員諸君の御同意を得まして、委員長においてわれわれのこの意見を、まず責任省の通産省、それから大蔵省、同時にまた企画庁であるところの安本、この三省の大臣に十分伝えてもらい、同時に日銀の副総裁がおいでになつておられますから、総裁にこの意図を十分に伝えていただくような方法を講じていただきたい。おいでになられた局長及び日銀の副総裁、また資金の斡旋部長等においても、日銀の中で十分にわれわれの気持を伝えるような措置を講じていただきたい。これは文書で十分この委員会の空気を即刻反映していただくような措置をとつていただく。またおいでを願つた方々はそれをお持ち帰りになりましたならば、関係大臣、それぞれの部門に徹底していただいて、緊急融資の道をとつていただきたい。なおまた大臣の都合を至急御調査していただいて、近々のうちに大蔵、通産、安本、さらに一万円総裁を加えた出席を、ひとつ確約していただいて、当委員会をもう一ぺん開いて、徹底的にこの問題を解決したい。その大臣の集まる会議には、もう緊急融資が成立つようにしていただきたいと思います。いろいろみんなお忙しいことは十分承知しておりますが、とにかくわが国の基礎産業であり、またどうしても今日のまま放置できない状態でありますので、御苦労でありますが、十分ひとつ処置をとつていただきたい。これは私動議を出しまして、おいでになつ関係各省の方々及び日銀側にも御了承願つて、同僚諸君の御賛成を得まして、有効適切なる方途を講じていただきたいことを、委員長に要求いたします。
  162. 小金義照

    小金委員長 ただいま神田委員からきわめて時宜に適した動議が提出されましたが、本委員会としてそういうとりはからいをしたいと存じますが、御意見いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めます。よつてそのような措置をただちにとります。本日は時間も大分経過いたしておりますので、この程度で打切りたいと思います。炎暑の中を長時間にわたつて出席の上、熱心に質疑応答を盡されましたことにつきまして、委員諸君及び政府側関係官、並びに特に参考人として御出席願いました二見日本銀行副総裁その他の各位に、厚くこの席からお礼を申し上げる次第でございます。  次会の開会日時等は公報をもつて御通知申し上げます。これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会