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1950-04-05 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月五日(水曜日)     午後二時五十五分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 永井 要造君    理事 村上  勇君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君 理事 風早八十二君       阿左美廣治君    岩川 與助君       門脇勝太郎君    小西 英雄君       首藤 新八君    關内 正一君       多武良哲三君    中村 幸八君       前田 正男君    柳原 三郎君       伊藤 憲一君    田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  電気事業会社米国対日援助見返資金等の借入  金の担保に関する法律案内閣提出第一一〇  号)  火薬類取締法案内閣提出第一二九号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。前会に引続き私が委員長の職務を行います。  まず電気事業会社米国対日援助見返資金等借入金担保に関する法律案議題といたします。本案に対する質疑社会党委員質疑を留保して、前会打切りと相なつておりましたが、留保されました質疑はとりやめるとの申出がありますので、ただいまより本案議題として討論に付します。討論は通告によつてお許しいたします。阿左美廣治君。
  3. 阿左美廣治

    阿左美委員 私は自由党を代表いたしまして本案賛成の意思を表明いたしたいと存じます。  電源開発電気事業復興整備をはかることは、平和日本建設のために一日もゆるがせにできない最大の急務であります。政府はこれを促進するために、従来電気事業に対して復興金融金庫及び米国対日援助見返資金より多額の融資行つてつたのでありますが、国家資金による融資については、確実な担保をもつてその債権保全をはかる必要があります。この点本年二月末までにおいて、前後二回にわたりまして融資された対日見返資金については、担保として物上担保を付する旨を條件とされておつたのであります。しかしながら電気事業公共事業であつて、その資産については政府の監督を受けているものでありますから、債権保全のために、強いて特別担保を設定する必要を認めないばかりでなく、物上担保を設定するときは、一、既存社債権者に対して、その既得権を侵害するおそれがあること。二、社債権者期待権を侵害すること。三、物上担保提供の方法を取ると、担保権設定に要する費用が巨額に上る上に、多数の人手を要すること。等の難点がありますので、政府はこの際復興金融金庫及び米国対日援助見返資金電気事業に対する融資については、当該会社の財産につき、他の債権者に先だつて債権の弁済を受ける権利を有することとして、物上担保は設定しないこととされたのであります。  本法律案は、政府が公正に判断し、民意のあるところに従つて、正しい政治を行うことの一つの現われであり、かつまたすみやかに実施さるべきものであると思います。よつてわが党は本法律案賛成するものであります。
  4. 神田博

    神田委員長代理 次は今澄勇君。
  5. 今澄勇

    今澄委員 日本社会党は、本法律案條件を付して賛成するものであります。  本法律案は、民意のあるところを取上げ、政府としては担保についての特例を措置したことは、非常に現下の実情としては機宜を得たものと考えられます。さりながら、いわゆる外債処理、あるいは電気事業分断、その他の問題と関連して、幾多の懸念すべきところがございますが、電気事業分断等の問題については、その法律案の出たときに、われわれは十分審議をすることとし、幾多それらの問題については、この際政府は十二分に善処することを警告して、本法律案賛成をする次第であります。
  6. 神田博

  7. 有田喜一

    有田(喜)委員 本法律案は、電気事業会社資金の調達を円滑にするために、電気事業会社米国対日援助見返資金、または復興金融金庫からの借入金に、一般担保制を設ける趣旨のものでありまして、私は民主党を代表しまして、この法案賛成をいたすのであります。  しかしながらここに私は強き條件希望を付したいのであります。すなわち現在ある電力外債に対しまして、政府に対してその善処方を強く要望いたしますとともに、将来に対する電気会社社債借入金につきましても、内外社債を問わず、特殊の扱いなきよう、一般社債権者権利を侵害するがごときことは、絶対にやらないように、政府は確固たる方針のもとに、その自主性を堅持されたいのであります。  なお最近の政府電力政策は、電気事業本質をわきまえずに、その基礎産業として、また国民生活の必需たる電気事業公益事業本質に逆行するがごとき政策を取りつつあり、また取られんとしておるがごとく見受けるのでありますが、この点に対して、私は政府に強く猛省を促したいのであります。ことに最近の電気料金の問題といい、また地方税の問題といい、はたまた近く上程されんとする電力再編成の問題といい、これらの問題をめぐつて電気事業本質に逆行する点が多多あるのであります。どうか政府は十分なる反省をせられて、電気事業の堅実な発展を期せられ、その本来の使命を全うするように努められんことを、私はここに強く希望條件を付して、本案賛成するものであります。
  8. 神田博

  9. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 私は日本共産党を代表しまして、電気事業会社米国対日援助見返資金等借入金担保に関する法律案に反対するものであります。  本法案は、電気事業会社に対する見返り資金及び復金融資一般担保制を採用して、社債権者権利を守ろうとすることは、本法案提案理由によつて明らかであります。ところが問題なのは、この社債権者であります。すなわち過日の本委員会において、今般の電気料金値上げによつて関東配電料金收入は、従来月額平均十億ないし十一億であつたものが、一月には二十九億円と約三倍に増大しているが、この値上げによる利益金は、外債償還に充てられるのではないかという私の質問に対して、池田通産大臣は、外債債務政府が承継しているので、そういうことは問題になりませんと答えておるのであります。しかるに昭和十八年九月十五日、すなわち戦争中に、外債処理法に基いて行われた政府元利支払い義務の承継及び担保効力の破棄は、債権債務関係の変更は、必ず財務代理人の承認を得るという約款があるにもかかわらず、一方的に行われたものであつて、これが元のように復活するか、あるいはその他の処置をとるかは、ただいま関係当局折衝中でありますと、四月一日の本委員会宮幡政務次官は答えられておるのであります。さらにこの外債担保権は、この法律規定にかかわらず、見返り資金及び復金貸付金一般担保に先だつて先取特権を持つ事態になるかもしれないと発言されておるのであります。かつ四月四日の本委員会において、私並びに有田同僚委員質問に関連いたしまして、宮幡政務次官及び大蔵省理財局長は、国内的には電気事業会社外債支払い義務及び担保効力は消滅しておると申しながら、一方では、この外債担保になつている工場財団保全している旨、苦しい答弁をされております。また乗りかえ償還、それに関連して外資導入を考えていると申され、外資導入法もこのために準備していることを明らかにされたのであります。外貨電力債は二十五年一月一日現在米貨債二千四百五十三万五千五百ドル、英貨債三百万七千六百七十六ポンド、この邦貨換算額は百十八億円余りでありまして、未払い利子を合計いたしますと、これが五十八億円余りで、この元利合計は百七十七億円余りであります。そしてこのほとんどは米貨債であります。しかもこの米貨債有力引受け会社であるデイロン・リードの副総裁として、アメリカの前陸軍次官ドレパー氏が先般来朝されて、日本電気事業に対する外資導入問題について、所見を述べられたと聞いておるのでありますが、こういう事情と、私が先ほど述べました政府当局答弁を考え合せて、ただいま折衝中でありますという宮幡政務次官が言われた外債処理問題を考え、かつ本案のもう一つ提案理由である、将来の起債に影響するおそれもありますので、これの支障をなくすということを考えますならば、この外債処理が戦前の状態に復活するか、あるいはいわゆる乗りかえ償還しか考えられないのであります。そうであるならば、本法案社債権者利益を守るというが、外国人利益を守るまつたく売国的な法律案であると断ぜざるを得ないのであります。いわんや電力社債中、内国債はほんのとるに足らないものであります、と昨日の委員会宮幡政務次官自身おつしやつておりますから、この法律目的とする社債権者権利は、外国人社債権者利益であることは明らかであります。私はこの法律案に反対するならば、電産の労働者におこられるぞとある野党議員から言われたのでありますが、その理由は本法律によつて日発に対する見返り資金融資が楽になること、及び特別担保を設定した場合の財団の組成及び維持に要する費用を省くものであるので、これに反対することは日発に対する融資を妨げるものであるから、電産労働者のお叱りを受けるというのであります。もし見返り資金日本政府によつて、自主的に運営されているならば、この議員の言われることも、一応一理があるのでありますが、この見返り資金なるものが、まつたく化けものであります。しかもこの法律によりまして、提案理由にもありますように、見返り資金貸付につきましては、先般いただきました二十八條からなる特約條項によりまして、これは日本の歴史上いまだかつてないような、有田議員表現をかりますならば、屈辱的な條件を持つたものができておりまして、この法律案によつて決して侵害されるものではないのであります。従つて私は以上の理由によりまして、この法律案に対し反対するものであります。もし分断に反対されるならば、この法律案賛成するということはおかしい結果になる。なぜならばこのことによつて分断された後に、旧来の問題となつている外債が復活し、あるいは乗りかえ償還等のことによつてつて来るならば、分断された民間会社は、完全に外国資本に押えられてしまうからであります。こういうことから私どもは、非常に法文としましては、簡単な法律案でありますが、そういう重大な意味を持つているということを確信いたしまして、反対の理由とする次第であります。
  10. 神田博

    神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  引続き採決いたします。本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 神田博

    神田委員長代理 起立多数。よつて本案は可決いたしました。  この際本案委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。     —————————————
  13. 神田博

    神田委員長代理 次に火薬類取締法案議題として審査を進めます。質疑を継続いたします。伊藤憲一君。
  14. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 昨日化学局長から、生産数量についての御説明があつたのでありますが、このうち二十四年度生産につきまして、最初に二万九百トンと申されたと思うのであります。後に一万五千四百五十四トンと訂正されまして、最初に申し上げたのは、会計年度でありまして、あとから申したのは歴年であるという御説明があつたのでありますが、火薬について会計歴年を採用しているのが建前ではないのでありますか。
  15. 長村貞一

    長村政府委員 二十四年度分について、二万九百トンと昨日申し上げましたが、これは生産の計画でございます。それからいま一つの方は実績であります。
  16. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 そういたしますと、二十二、二十三、二十四、二十五と、ことに昨年度と今年度を比較いたしますと、五千トンも火薬生産が増加しているのであります。一体日本火薬有効需要というものは、どの程度でありましようか。
  17. 長村貞一

    長村政府委員 本年度、つまり昭和二十五年度という意味でございますれば、昨日申し上げましたように、二万五百トンであります。これが本年度需要にマッチするわけでございます。
  18. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 重ねてお伺いしますが、昨日の御説明によりますと、日本では現在主として山関係に使われているようでありますが、日本鉱山業及び炭山業の現状からいたしまして、その程度のものが普通必要とされるのでありますか。
  19. 長村貞一

    長村政府委員 お説の通りに、昭和二十五年度主要鉱山、その他の要需を予定しまして、今申したような二万五百トンばかりの生産をするわけであります。
  20. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 では次にお伺いいたしますが、現在ストツクが千三百トンと仰せられる。これは昨日もストツクの問題についてお話が出まして、神田委員長代理からも、それはランニング・ストツクだろうというような御発言があつたのであります。このほかに当然政府として把握しておかなければならない数量で、火薬商ストツクがあると思います。これはないのでありますか、もしありましたならば数量をお伺いしたい。
  21. 長村貞一

    長村政府委員 昨日申しましたいわゆるストツクは、工場その他の倉庫を全部入れました数量でございます。
  22. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 そういたしますと、火薬商が特別に持つておるというものはないのでございますか。
  23. 長村貞一

    長村政府委員 火薬商として持つておりますものも入つております。
  24. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 そうしますと、昨年の九月七日だと思いますが、板橋火薬商協同火薬庫爆発が起きまして、大惨事が起つたのは御承知通りであります。これはストツクのために起つたのだと思いますが、従来よりのストツクが相当あると思われるのであります。こういうことからしまして、もし現在千三百トン程度ストツクしかないとするならば、二十二年からのストツク数量を承りたいと思います。
  25. 長村貞一

    長村政府委員 先般の板橋爆発事件は、もとより火薬庫に入つております火薬が破裂したわけでございます。数量としては、六トンそこそこのものでありまして、今申しました千三百トンの数量からしますれば、ごくその一部にすぎないわけであります。二十二、二十三、二十四年度ストツク数量につきましては、後刻調べてお知せいたしたいと思います。
  26. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 この点は非常に重要な問題でありまして、いずれにしても単位が千とか万とかいう単位でありますから、大体でけつこうですから、今おつしやつていただきたいと思います。
  27. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点は取調べて申し上げることにいたしたいのでありますが、昨日も申し上げましたように、本年度所要だと考えられますものの生産を、司令部許可を得ましてつくるのでありますから、生産消費との間に必要な日数で換算いたしました量は、ストツクとなる。これもストツクという意味かどうかと私は思いますが、生産から消費への移動期間であると考えております。従つて通常の場合はストツクはございません。志村の火薬庫爆発いたしましても、厖大火薬があつたような心持で御質問があつたと思うのでありますが、内容は六・三トンの鉱山用ダイナマイト等でありまして、さような厖大なものが退蔵されておつた事実はございません。従いましてストツク数量等もまだ調査しておりませんし、司令部から許可されたものが、その年に使われてしまうのだという原則でやつておりますので、五トンでも十トンでも詳しい数量を調べて資料を提供せよというのなら、それはいといませんが、事実を申し上げろと言つても、ただいま申し上げることはできないわけであります。その点御了承願います。
  28. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 私がお伺いいたしますのは、相当量ストツクがあつたはずであるということを承つておるので、それをお聞きしておるわけです。従いましてもし本日御答弁できないならば、資料をいただきたいと思います。
  29. 宮幡靖

    宮幡政府委員 毎々申しますように、その年の所要量を計算いたしまして、そうして司令部許可を得て、その範囲内でつくるのでありますから、厖大ストツクがあろうなどとは考えておりません。従いましてそれに対しまする用意等はないのでありますが、調べまして資料として提出いたします。しかしながらこれはお気にとめるような数量でないことは、この際申し上げてさしつかえないと思います。
  30. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 それでは方面をかえまして、産業火薬会というのがありまして、統制が撤廃になりましてから、そこへ台湾から火薬大量輸入希望して来たということを聞いておるのでありますが、そういう事実はありますか。
  31. 宮幡靖

    宮幡政府委員 さような事実は聞き及んでおりません。
  32. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 それでは私の質問はこれで終ります。
  33. 神田博

    神田委員長代理 次は今澄勇君。
  34. 今澄勇

    今澄委員 それでは本火薬類取締法案について簡単に質問をいたしますが、本日はこの法案の概略を通読してみて、おもな点だけを質問いたします。  まずわれわれが本法律案を概読して感ずることは、提案理由の中で、旧法と比較してこの改正の主要点の中に、旧法勅令及び省令への委任が著しく多いために、これを出すのだと書いてあるにもかかわらず、本法律案は依然として省令なり政令で定めるという文字が非常に入つております。このような行政裁量の余地が広汎に留保されておるということについては、本法審議のためにも、どうしてもこれらの省令なりあるいは政令を知らなければ、われわれは十分なる審議ができません。政府はすでに通産省令をつくつておるとは思いますが、それらのものも出していただかないと、詳細な本法審議はできぬのじやないか。しかしてまた旧法と比べて、そのような政令なり省令の面を同じようにつくつたという点についての御見解を、ひとつ承りたいと思います。
  35. 長村貞一

    長村政府委員 新法が現行法すなわち旧法と比べまして違つております一つの点は、ただいま御指摘のような委任範囲をできるだけ少くしたことでございます。なお委任範囲が相当あるではないかという御質問でございますが、ごらんの通り旧法に比較すれば非常に詳細にわたつて法律自身勅令政令あるいは省令に書いてあつたことを規定してあるわけで、残された委任はほとんど技術的なこまかい問題になるので、この部分のみを政令讓つたわけでございます。
  36. 今澄勇

    今澄委員 しかしながら第七條中の通産省令で定める技術上の基準であるとか、あるいは十四條の技術上の基準であるとか、その基準を何も本法へ書き込めという趣旨ではありませんが、それらの基準がどういうふうにされるかは、本法審議の上には重大な問題でありますので、すみやかにそれらの資料提出願いたいと思いますが、それが提出できる状態にあるか、それとも提出ができなければ、どのような理由提出ができないか、ひとつ答弁願いたい。それから第二十八條危害予防規程も、どのような危害予防規程をつくられんとしておるか、もしおさしつかえなければ、その構想をひとつお洩らしを願いたいと思います。
  37. 長村貞一

    長村政府委員 技術上の基準につきましては、はなはだこまかい問題になりますが、各項目ごとに大体こういう事柄については、かような内容の、ごく骨子だけは私ども考えております。これはとりまとめまして資料として提出いたします。  危害予防規程の方は、二十八條規定にありますように、これは各製造業者ごとにその工場作業状態に即した危害予防規程を設けてもらいまして、それをこちらから認可するという体制をとつておるわけでもります。こちらからこういうものでなければならぬという一つのタイプをきめておるわけではございません。
  38. 今澄勇

    今澄委員 それで第一條に「公共の安全」というのがございますが、この解釈はどのような解釈をしておられるか、「公共の安全の維持支障を及ぼす虞があると認めるときは、前項の許可をしてはならない。」というぐあいに、この文句が十七條にも二十四條にも許可基準になつておりますが、これは解釈のしようによつては、この文句のためにたいへんな問題が起きると思いますが、この「公共の安全」ということは、一体具体的にどういうふうな考えを持つておられるかということを、詳細御説明を願いたい。
  39. 長村貞一

    長村政府委員 この法律は、一條にございますように、火薬類による災害を防止し、公共の安全を確保する、これを目的としているわけでございます。火薬類はその性質上、もし災害が起りますならば、単にその災害が起つたその場所で、いろいろな被害が起るだけでなく、ひいて一般的にもその安全を脅かすという結果を起しやすいわけであります。従いまして災害発生ということは、これを裏を返して見ますならば、やはり公共の安全を脅かす事態発生するということになるわけでございますので、これは一面から見ますれば、災害発生を防止する。これを他面から見ますならば、公共の安全を確保するゆえんであろうと思うのであります。さような点からこの表現を用いておるわけであります。
  40. 今澄勇

    今澄委員 ただいまの公共の安全についての御見解については、いささか明瞭を欠くものがございますが、これはまた後でお聞きするといたしましよう。  次は、昨日他の委員からも質問があつたというお話でございますが、第二十四條で輸出届出になり輸入許可を受けねばならぬということになつております。どうしてどちらも同じように届出にするならするとか、あるいは許可制にするならするとかしないか、これはたいへん大きな問題を後に残すと思いますので、この点についての基本的な政府見解を詳細に承りたいと思います。
  41. 長村貞一

    長村政府委員 本法は、輸出の場合には届出制度にいたしまして、輸入の場合には許可ということにされておるわけでございます。この法律は、いわゆる取締り目的でございますので、取締りの見地から必要な規定をすることが、この法律の立て方であるわけであります。その点から見ますならば、輸入はやはり火薬国内に出て来るという問題であります。国内生産する場合にこれを許可するのと同じような理由によりまして、これを外国から国内に持つて来る場合に許可制度とつたということになるわけであります。輸出の場合は、すでに国内にあるものを出すだけでありまして、これは必ずしも許可にしなくても、届出だけで取締りは十分ではないか、かような点も考えて、届出にとどめたわけでございます。なお御承知と存じますが、例の外国為替の管理及び外国貿易統制法律によりまして、向うの関係輸出許可は、これと離れて存在するわけであります。
  42. 今澄勇

    今澄委員 私どもはこれが歳出については届出制で非常に寛大であるということについて、何か大きな含みがあるのではないかというような疑念を抱きますが、この点についても詳細はいま少しく資料をととのえて質問いたしたいと思います。  さらに火薬というものは、現在においてはそのほとんどすべてが平和産業に使用されておりますが、これはもちろん戦争用に利用されるところのものであることは言を待ちません。このいわば戦略物資であるだけに、本法においても火薬取扱い等は、特に慎重にいたしているということは了解できますが、将来火薬産業外資導入が起る、あるいは輸出の振興について政府が特別の処置を講ずるとかいうような問題を、ここに想起しますと、これはこの前の石油についても、われわれはいろいろな疑点を質問したのでありますが、同じくこれらの問題については、大百から実は明確な答弁を望みたいのでありますが、本日は所用のようでありますから、政務次官からひとつ見解を承りたい。これは他の産業と同様にやるのか、あるいはものがものであるだけに、特別の処置を講ずるか、あるいは将来にわたつて政府として戦争状態に入るというようなときを考えて、何か産業上の大きな政策をお持ちになつているか、この点を御答弁願いたいと思います。
  43. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御承知のように、兵器、弾薬はポツダム政令によりまして、その製造を禁止せられておりますが、御指摘の弾薬の部類に属する火薬のうち、その産業火薬だけが、年間計画を立てました事前生産許可によつて許されているわけでありまして、その範囲を越えてただいまやろうとも考えておりません、なぜならば、御指摘の外資導入、これは民間外資という意味だと思いますが、民間外資導入というようなことは、日本政府としてはもちろん積極的にこれを慫慂いたすような方針はとつておりません。輸出においても同様であります。とにかく輸出の方を先ほど御指摘の届出にしたということにつきましても、これは外国為替及び外国貿易管理法に基く所要許可があります。いわゆる戦略物資として要許可條件となつておりますので、この面の拘束もできます。すでに火薬輸出昭和二十三年以来絶えてございません。しかし将来これを継続して復活して、火薬輸出をしようというような計画は、政府としては持つておりません。また民間産業としても、ポツダム政令の存続する以上、生産増加等のことによつて、これを輸出方面に向けるというような計画は、許されるものでない、かように考えているわけであります。
  44. 今澄勇

    今澄委員 火薬についてのそれらの問題については、特別な御考慮はないというような御答弁と拝聴いたしておきます。  次は火薬の性能及び価格について、外国に比較した資料提出してもらいたいと考えるのでありますが、とりあえず大体の数量は、先般の局長の御答弁で概略ストツクその他についてわかりました。それから将来の国内生産能力と、その見通しについては、現在のストツク並びに現在の生産能力、それから将来の輸出面で、諸外国と比べて日本国内生産能力がどういうふうになるか、輸出し得る能力がいつごろ現われて、どういつた状態になるかという点について、御答弁願いたい。なお北洋火薬等は御承知のように、四年間も北海道に放置されておりましたが、それらの問題についても許可が最近出ているようであります。こういつた国内における新しい火薬の製造事業に対する許可については、今後もそれらのものはどしどし許可して行かれる方針であるか、それとも現在程度においてこれをとどめられる方針であるかどうか、ひとつ答弁を願いたいと思います。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 産業開発の需要が増大して参りましたならば、年間計画におきましてその増加量を見通して、司令部許可を得ました上に、事業場が足りなかつたならば、また許可を与えるという場合もあろうと思いますが、現在の段階におきましては、みだりに製造許可をいたそうというような方針はとつてつておりません。なお火薬の製造事業場の点につきましては、戦時中さようなものを製造いたしておりました著名な事業場は、ただいまは賠償施設の対象となつておりまして、これの転用も認められないような形でありますので、もし新しくやるというようなことがありますならば、御意見の点もありますので、十分検証いたしまして、産業火薬の供給という面一方から考えまして、少くとも平和を乱すとか、あるいはさような疑いをこうむるような方向には、施策を持つて参りたくない、かように考えております。なおお尋ねのこまかい点は化学局長からお答え申し上げます。
  46. 長村貞一

    長村政府委員 お尋ねのうち、能力につきましては、お手元に差上げてございまする表を御参照願いたいと思います。外国との比較等の問題は、ただいま資料を持ち合せておりませんので、取調べましてお答えいたします。
  47. 今澄勇

    今澄委員 これで私は大きな点についての質問を大体打切りますが、最後に二十四條ついて、輸出届出だけでよろしいということになると、輸出先または輸出された結果、それがどういうところへ諸外国で使われるかということについては、これは商売であるからわれ閲せずということになると、この火薬というものは、国際情勢の微妙な進展いかんによつては、諸外国における戦争を、わが国が援助するというような立場に立たないとも限らないので、これらは産業行政においては、なるほど純経済問題としては問題はないかもしれないが、わが国の戦争放棄の憲法と比べると、これは非常な問題をはらむおそれが十分にあります。そこで私はただただ利潤追及のためには、石油会社の土地も建物もこれを外国へ売り渡してかまわないというような状態ではいけないとともに、このような火薬などについては、この運用を誤ると、この火薬法などは、実に大きなわが国の憲法上の戦争放棄という問題についても、関連をするところが多大でございます。この点について先ほどは、ほかの産業と特別に考慮する向きはないようなお話でございましだが、もう一ぺんこの点については政務次官に、十分将来の見通しについても、あるいは政府の決意についても、この際表明をしておかれるように、私は希望いたします。  さらに私はこれらの問題に関連して、この火薬法が、火薬製造に従事している従業員の保護法とはならない。これらの火薬製造のために、従業員に与えられたいろいろな労働者権利を制限し、これが非常に労働運動を阻害するというおそれが多分にあることを、他の委員の御質問の中にもあるように懸念をいたしますが、これらの点については、某本的な労働者の労働組合法、あるいは基準法等と照して、どのようなお考えを持つておられるか、以上の点について質問いたします。なお詳細の点については、先ほど化学局長からもお話がございましたように、資料をいただきまして、日にちを改めてひとつお聞きをしたいと思つております。
  48. 宮幡靖

    宮幡政府委員 わが国の貿易を盛んならしめる意味におきまして、輸出振興の策は通産省としては、最も重点的に考えなければならないわけでありますが、その品目の中に火薬を加えて考えておりません。加えない理由につきましては、すでに今澄委員の御詮の中においても、十分それが察知していただげるものと考えております。それで届出制度につきましては、前にも申し述べました通り、これは嚴然たる要許可輸出品目になつておりますので、貿易管理法の面におきまして、現状におきまして十分チエツクいたしまして、さような憲法に違反するような行為にならないように、嚴に取締まるとができると思つている次第でございます。これは自由貿易と申しましても、その処置につきましてはことごとく各種の関門がありまして、まだ自由貿易の面からはずれておる品目であることを、御了解いただけると思います。  次の労働問題の点でありますが、それは昨日も共産党のさる委員の方々から、こもごもお尋ねがあつたわけでありますが、これは火薬生産消費、それからその他の取締り規定でありまして、労働法規は現にこれによつて拘束せられたり、あるいは制限せられたりするものではございません。労働法規はこれと並行的に存在いたしておりますので、あらゆる労働問題に対します解決は、一切の労働法規によつて処理せられることと思います。ただ危害予防規程等の問題も、これも事業場において労資相談の上にお申出いただきました條件につきまして、通産大臣が認可を与えることになつております。従いましてこれによつて一般的な労働運動を阻害したり、防遏したり、あるいは干渉したりするような結果には、絶対にならないと確信をいたしておる次第であります。     —————————————
  49. 神田博

    神田委員長代理 それではお諮りいたします。  連合審査会開会の件でございます。目下内閣委員会におきまして審査中の通商産業省設置法等の一部を改正する法律案は、通商産業省の任務、権限、組織等について、経済情勢の推移に応じ、これを整備せんとするものでありまして、通商産業省の所管に属する事項を所管し、通商産業行政を監視、督励いたしておりまする本委員会には、重大かつ密接なる関係を有する議案でありますので、委員長といたしまして、連合審査会開会の件について、内閣委員会の意向を打診いたしておりましたところ、先方におかれましてもその必要を認められ、明後七日午後一時より開会しては、いかがかとの連絡がついておるのでありますが、以上の通り内閣委員会と連合審査会を開会するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。明後七日午後一時より内閣委員会と連合審査会を開くことに決しました。  本日の議事はこの程度にいたしまして、明六日は午前十時より、地方税法案について、地方行政委員会及び運輸委員会と連合審査会を開き、明後七日は午前十時より本委員会を開き、火薬類取締法案審査を進め、同日午後一時よりは、ただいま申し上げました通商産業省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会と連合審査会を開会いたしますから、委員各位におかせられましては、大いに御精励のほどをお願いいたしたいと思います。  これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会