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池田国務大臣 まず御質問の第一点は、金融の問題でございます。うち、信用協同組合の新設が遅々として進まぬ、大蔵省の方でとめておるのではないかというお話でございまするが、私はそういうふうなことはないと思いますし、もしありとすれば、すみやかに改めさせます。
中小企業金融の一助にもなるという
考えのもとに、従来の一県一行主義を改めて、そうして信用のある銀行の設立が申し出られるならば、ただちに認めるという気構えのもとにや
つておるのであります。一県一行主義をやめて、そんならどんな銀行ができたかと申しますと、何と申しましても、金融機関というものは信用を土台にしなければ成立たぬものでありますので、いろいろな調査をしております。従いまして、信用協同組合につきましても、私のただいま聞いているところでは、二つ新設されたそうであります。内認可をしたものは、すでに十二あるのであります。それから
産業組合より改組して内認可したものが三十四あります。市街地信用組合は、これも振りかわるのでありまして、これは四百二十ある状況であります。お話の点もありますので、十分信用協同組合がりつぱなものが早急にできるように育成して参りたいと
考えております。これにつきましてはいろいろな手も
考えておりますが、適当の機会にまた申し上げることにいたしましよう。
次に信用保証協会、お話の
通り東京にもできました。また大阪にも前からできておりました。また全国各地でできまして、非常に成績を上げているところもあります。聞くところによりますと東京はあまり手続がやつかいで保証協会で調べ、同時に銀行が調べる、二重の調べでなかなかたいへんだということでありますが、これは何とかうまい
運用によりまして所期の目的を達して行きたいと
考えております。これが立法の問題につきましては、私は立法が適当だと
考えておりますが、事業者団体法の
関係上、ちよつと今
支障が起きております。
考え方としては信用保証協会というのはりつぱないい制度だと自分は思
つております。
支障が早くなくなるように努力したいと思
つております。
次に不動産金融の問題でありますが、一時不動産金融機関を別個に立てるというふうなこともあつたのでありますが、採算上なかなか困難であります。従いまして不動産金融というものは長期金融でありますので、私は適当な銀行、すなわち従来不動産金融をや
つておりました興銀、勧銀あるいは北拓、こういうものを増資させて、不動産金融に專念
——專念とは申しませんが、商業銀行のうちでも、特に不動産金融をやり得るように金融債を発行して長期資金を獲得して、不動産金融を奬励して行きたいと
考えております。
それから別わく融資を商工中金に三十七億のうち十六億しか出していない、こういうお話でありますが、これはやはり銀行の経常の状況を見ないと、なかなか困難であるのであります。御
承知の
通り商工中金は今まで二十億か二十五億しかの余裕金を持
つておらず、全国で三百数箇所の支所があるだけで、これにうんと金をつぎ込んだからとい
つて、これを利用するだけの機構がまだできておりません。従いまして私は就任以来あそこの重役陣を強化するように手を打
つております。そうして今後先ほど申し上げましたような状況が起りますので、早急に拡充強化を
考えておるのでありますが、今の
状態で百億というものを出してもまわり切らないのであります。そこで徐徐に機構を
拡大いたしますと同時に、金も十分出したい、残りの分も興業銀行には六億しか出しておりません。勧業銀行はやはり従来から長期資金を取扱
つておる
関係上、大体農林中金よりもちよつと少いくらいの金が出ておる状況であるのであります。この年度末を切り拔けるのに五十億、百億という大きな金をぽんと出したらどうかという御
意見もさることでありますが、何も
中小企業は無盡や商工中金に限つたことではないのでありまして、地方の銀行も相当従来中
小金融をや
つておりますから、片寄らず市中銀行で足らざるところを、特殊の金融機関に持
つて行くという今までの
考え方を、市中銀行と特殊な金融機関と両者相ま
つて行くのが適当じやないかと
考えております。
次に中小商工業者に対します徴税強行というお話でありますが、大体今年の一月、三月の税金の徴収は昨年と同様であります。千八百数十億
——千九百億であるので、今年は三千百億から五千百億にふえましたが、十二月までに相当の徴税の成績を上げておりますから一月、三月は一般の人が
言つているように去年よりもうんと税金がふえるわけではないのであります。しかしてこのうちでもいわゆる中小商工業者を主体とする申告納税は、これはその一部分であるのであります。御
承知のように五千百億円の
予算のうちで、申告納税は当初は千九百億円であつたのを、当初
予算で二百億減らして千七百億円にしておる。千七百億は農業者、水
産業者、中小商工業者あるいは自由職業者、こういうものが入
つております。中小商工業者の納める税金は千七百億のうちどれだけかと申しますと、私は事業所得、営業所得等が千億円余りと思うのであります。従いまして千億円余りの分が年額でございますから、今まで相当収ま
つております。徴税強行というようなことを中小商工業者のみに対して、や
つておるわけではないのであります。それで中小商工業者の納める税金も、そう大した金額ではないのでございます。個々の金額におきましても、もし税務署が不当な決定をいたしましたならば、ただちにこれを直させます。しかも今の金融
経済の状況から申しまして、一昨日も国税課長を集めまして、苛察にわた
つてはいかぬ、
割当はないのだ、君らの報告で
けつこうだと申しまして、いろいろな手を打
つて納税者のお気持をくんだ円満な徴税に、万全を期しておるのであります。
従つて私は今の状況から申しますれば、千七百億円の申告納税、その中で中小商工業者の納める金額は全体として五六百億円くらいでございましよう。これにつきましては特段の注意をいたしておるのでありますが、大体におきまして千七百億円とれるかどうかということは疑問であります。しかし私は赤字が出ても
けつこうだ、絶対にむりをしてはいかぬ、こういうふうにいたしておるのでありますから、御心配の点はあまりないのではないか。また御心配をいただくのは恐縮でございますから、御心配のないように努力いたしておる次第であります。
次に輸出振興の問題でございますが、これはやはり中小商工業者を中心とした輸出振興と申しましても、私は中小商工業者の輸出振興は問屋業というものを育成するのが、一番中小商工業者によいのではないかというので、昨年の八月も問屋業に対する金融は丙であつたのを甲に直しました。従いまして八月ころは問屋業に対しましては、百七、八十億円であつたのが、三、四箇月の間に倍以上の四百億近くの融資にな
つて来たのであります。中小商工業者にもいろいろなものがありますが、やはり問屋業を育成し、問屋業者がバイヤーあるいは外国の事情等を見まして、徐々に発達するようにしなければならぬと思うのであります。輸出振興策につきましては、いろいろな点を
考えておるのでありますが、これはまた別の機会にゆつくり申し上げたいと
考えております。