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1950-06-15 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年六月十五日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 藤田 義光君    理事 久保田鶴松君       河原伊三郎君    清水 逸平君       塚田十一郎君    吉田吉太郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       大矢 省三君    門司  亮君       池田 峯雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 樋貝 詮三君         国 務 大 臣 本多 市郎君  委員外出席者         地方自治政務次         官       小野  哲君         国家地方警察本         部次長     溝淵 増己君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 五月二日  中島守利委員長辞任につき、同日前尾繁三郎  君が議長の指名委員長に補欠選任された。 六月十五日  委員小玉治行君及び橋本金一辞任につき、そ  の補欠として吉田吉太郎君及び鈴木幹雄君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 五月二日  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察及び消防に関する件  選挙に関する件  行政書士法案起草の件  競犬法案起草の件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣に歯する件  地方財政に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  この際本日の日程に入ります前に、ちよつとごあいさつを申し上げたいと思います。はなはだ高いところから失礼でありますが、一言あいさつを申し上げます。先般の通常国会の最後の日に、不省私が当委員会委員長を拝命ずることに相なりまして、実を申し上げますと、その任でありませんので、さつそくお断りを申し上げますべき次第であつたのでありますが、何し  それまで私としましては全然知らぬことでありまして、さつそく議会承認を受けられたような関係にありますので、その機を逸しまして、せつかく御承認がありましたこの際としましては、できるだけ努めさしていただくのが私の責任だと考えましたので、お引受けしたような次第であります。  私の先任者であらせられまする中島委員長は、人格、識見、なおまた貫祿におきまして申分のないりつぱな委員長でありますことは、皆さん御存じ通りであります。そのあとを私のごとき若輩未熟の者が引継ぎますことは、私としてはなははだ心苦しいばかりでなしに、皆様に非常な御迷惑をおかけいたしますことは、まことに恐縮いたしておる次第であります。しかしせつかくお引受げいたしました以上は、ぜひ皆さんの御協力によりまして、私の考えといたしましては委員長というようなことではなしに、ただ皆さんの御意思に従つて連絡係というようなことしか事実上できない、能力もない次第でありますが、そういうような意味合いでどしどし皆さんからおしかりをこうむりまして、できるだけ連絡をよくして行くというようなことで、努力して参りたいと存じておる次第であります。どうぞ今後におきましてもよろしく御指導、御鞭撻をいただきますことを心からお願い申し上げる次第であります。  いろいろ申し上げたいのでありますが、ただ一言お願い申し上げまして、私のごあいさつにかえたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしすます。(拍手)  なお本日お集まり願いました私の考えは、御存じのように、臨時国会が最近開かれそうに相なつておりまして、それは先般の地方税法関係だけが、主題になつておる次第でありますが、おそらく会期は非常に短いことと考えられますので、最近のいろいろの情勢皆さん政府委員の方から話をしていただいて、いろいろ心準備をしていただくということが一つでありますし、なおまた会期が短い関係で、ぽかつと最初にいろいろな案が出て来まして、それに資料とかいろいろなものを御要求になりましても、政府側として準備が整つておらぬというようなことでは困りますので、この際皆さんのいろいろ御要望を政府側に伝達していただく。実はむしろ委員会というのではなしに打合会という非公式な会が適当じやないかというぐらいに考えたのでありますが、一応お集まり願う形式として委員会という形式をとりましたので、議事を終了いたしましたあとゆつくり御懇談を願つて、その際いろいろ連絡をはかつていただくというつもりでありますので、どうぞその点もお含み願いたいと思います。
  3. 池田峯雄

    池田(峯)委員 議事進行について……。今東京で非常にやかましい問題が起つておるんですがね。それは、たとえて申しますれば戒厳令下のような暗黒政治が行われております。組合大会とか、職場大会とか、そういうものをもつちやならぬとか、二人以上の集会PTAの会でも禁止するとか、何といいますか、憲法やその他で規定されている集会言論の自由というようなものが、完全になくなつているというような状態が東京都で見られるわけです。こういうことにつきましては、これは国会としても相当重視しなければならない大きな問題であろう、と思うのです。さらにまたもう一つは、青年新聞という新聞に、齋藤国警本部長官意見書を出しております。この意見書の中には特高警察復活というようなことを、予想されるような内容も入つております。こういうわけで、はなはだ共産党に対する幹部追放の問題と関連いたしまして、現在東京都の警察国警特高警察復活し、あるいは憲法に規定されている集会言論の自由を蹂躙するような形が見られるのでありまして、これに対して私はちようどいい機会でありますから、この委員会齋藤国警長官の出頭を求めて質問したい。これは昨日委員長の方にも申し入れてあるのでありますが、そういう機会が本日得られますように、委員長におとりはからい願いたいと思います。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 その点は、ただいま溝淵国警本部次長が来ておりますから、後刻警察の件を議題にして御質問願いたいと思います。委員会形式をとつたの一つはそこにあるのです。  まず委員派遣承認の申請に関する件を議題といたします。本件はさつき理事会でお諮りをいたしたのでありますが、御承知のように臨時国会も差迫つておりますのと、これをやりますには運営委員会を開いていただいて、おきめ願わなければならぬというような関係もあり、おそらく間に合わぬという結論に達しましたので、臨時国会でいろいろ御相談して、臨時国会閉会後に委員派遣をするということにいたしたいと存じまするが、皆さんの御意見いかがでありますか。
  5. 久保田鶴松

    久保田委員 理事会で、臨時国会も非常に切迫しておる関係から、臨時国会が済んでというような話もありましたけれども、どうでしよう。今度の地方税法あるいは地方財政というような問題は、前の国会に引続きまして非常に重大な問題でありますし、聞くところによりますと、特別委員会考査委員会等においては調査をされるそうですから、そんな意味から、でき得れば地方行政委員会といたしまして、臨時国会前に地方財政問題、地方税問題等調査して、いろいろな事情を聞いて臨時国会に臨むということの方が私はいいのではないか、こういうふうに思うので、お諮り願いたいと思います。
  6. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま久保田鶴松君からそういうようなお話があつたのですが、いかがですか。先ほどの理事会の御意見ちようど逆だつたのでそういうことにしたのですが……。
  7. 菅家喜六

    菅家委員 今久保田君から御発言がありましたが、私ども委員長一任で、でき得るならば臨時国会前がよいではないかと考えておつた。ところが準備もありいろいろなことがあるから臨時国会後に決定してくれと社会党から申し出があつたのでそういたしたのですが、また変更になられたとすればあえて反対する理由はございません。委員長に一任して、皆さんの都合がつくならばやはり今のような趣旨で、臨時国会前に国政調査をするということに異議はありません。特別委員会の方は御承知通り別ですが、各種の委員会から要求があるので、国政調査委員派遣は当分見合せだと運営委員会でも言つておりましたが、地方税法に関してこの委員会は特殊な事情があり、他の委員会とは趣きを異にするので、委員長からその点を伝えられれば当委員会国政調査委員派遣は、承認を得られるのではないかと考えられますので、その辺私は委員長に一任して、その目的貫徹のために適当な処置をお願いいたします。
  8. 門司亮

    門司委員 さつき委員長より、臨時国会はそう遠くないうちに開かれる、従つて会期は非常に短いようだというお話がありましたが、委員長は大体いつごろ開かれて、会期はどのくらいであるかということがおわかりでしたら、考えだけでもけつこうですから……。
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま私の知つておる限りでは、いずれにしましても八月一日に施行すべきことになると、終りの方はもう制約をされておるわけで、始まりの方がまだ未決定なわけですが、おそらく来月の初めになつて、二週間ぐらいの会期で行くのではないかと想像しておるわけです。ただいまの管家君のお話通りにしたらいかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは原則としては、おそらく間に合わないという予測のもとに、臨時国会でお諮りするとして、その前に委員派遣ができるような情勢でありましたら、この際プランを立てておきまして、行つていただく方と相談いたしまして、委員長一任という形で調べていただいたらよいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ではさよう決定いたします。     —————————————
  12. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に警察に関する件を議題といたします。  先ほど池田委員より質疑の通告がありますが、その前に先ほど私が最初に申し上げましたように、政府から最近の情勢を一応聽取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 前尾繁三郎

  14. 溝淵増己

    溝淵説明員 ただいま委員長から最近の治安情勢についての説明をせよということでありますが、おそらく委員長のお言葉は最近の共産党幹部追放後における状況のことだと存じます。東京におきましては、御承知のように五月三十日に進駐軍将兵に対する暴行事件が起りまして、その後五月三日から五日まで警視庁におきまして、集会行進示威運動制限を強化いたしたのでありますが、その後さらに六月の六日でありますか、警視総監から当分の間その制限を強化したまま行くというような声明を発しております。その途中で共産党幹部が相当数追放されたというような事態が起つておりますので、そのことがわれわれの管轄する国警管内にどういう影響があるかということを注意いたしておつたのでありますが、幸いに今日まで私どもの方におきまして主管しております方面におきましては、大したというよりも、ほとんど治安上心配するような問題は起つておりません。ただ六月三日の日における禁止された会合の流れが、大会を開いたそうでありまして、その結果その現場で決議したと言われますマッカーサー司令官に対する質問公開状内容が、勅令三一一号に違反するということになりまして、警視庁管内では各所に相当その宣伝文公開状が見られまして、相当数検挙されておりますが、これも地方におきましてはたくさんにはありませんが、大阪、広島、青森、福岡等で検挙されております。むろん国警の管轄しておる管内では事件がないのであります。そういうわけでありますので、地方におきましては公安條例等によりまして、警視庁のような制限を加えておるようなところはないのであります。従いまして全体的に見まして治安情勢は、今のところさしたる向題はないように私ども考えております。
  15. 前尾繁三郎

    前尾委員長 質疑に移ります。池田君。
  16. 池田峯雄

    池田(峯)委員 国警本部次長さんですから、警視庁の方はおわかりにならないというふうに御答弁されるかもしれませんが、本多国務大臣もおられますから、大臣という役目であるからには、全国のあらゆる問題について関心を持たれるのが任務であろうと思いますので、大臣にもお聞き取り願いたいと思うのであります。さらにまたこの問題は地方行政委員会としても非常に重大な問題であろうと思うので、委員長さんにも十分お聞き取り願いまして、何らかの対策を講じられるようにお願いしたい。  まず第一に警視庁集団行進、及び集団示威運動に関する制限をやつた、それと同時に集会という集会に対して相当絶対的な禁止をやつているのであります。この例を二、三申し上げますと、七日に成城警察署は日映演の東宝砧撮影所中尾書記長に対して、組合大会職場会議でもこれから届け出ること、五人以上一緒に歩いたらデモとみなして取締る、外部団体が応援に来ても社会不安をかもし出すものとして取締る、こういうことを言つております。さらに理研の鍛圧工場で六日の午後から職場会議を開いたところ、赤羽署武装警官が十名入つて来て集会禁止命令し、組合からはねつけられてそのまま帰つた、こういう事例があります。さらに六日の午後七時には港区白金三光町の平和を守る会結成大会、これにはキリスト教徒なども大分入つております。つまり日本が再び戰場になることには反対だ、政党政派を乗り越えて、戰争には反対だ、平和を守らなければならない、こういう集まりであります。これに対して高輪警察署は当日中止命令を出した。署長は社会不安をあおると、こういつておるのでありますが、平和を守る会を弾圧することこぞ平和を乱し戰争を讃美し、大いに社会不安を乱すものではないかというふうに、われわれは考えられるのでありますが、こういうこともやつておる。さらに七日、城東警察署岩田情報主任は、日立の亀戸工場労組に対しまして、今後行列は單なるお祭りであつても一切許可制にする。組合内の定期総会はもちろん、執行委員会に至るまで一切の会合には請書を出さなければならない。請書を出さないで集会をしたときはただちに解散を命ずる。さらに請書には警官の臨席を認めること。発言中、煽動的なものがあるときは、警官中止命令を認めることをこの請書に明記しなければならぬ。こういう條件を出しております。まさにこれは三・一五、四・一六当時の暗黒政治とまつたく同じであります。  さらにまた目黒の碑文谷警察では今後二人以上の集会PTAの会でも禁止する。こう各団体に通告した。警視総監命令だからといつて、一切の抗議をはねつけておる。それから十二日は共立講堂平和文化祭、これは前進座などがやつたのでありますが、これが禁止された。演劇まで禁止された。さらにまた戸塚警察では十日早稻田大学学校当局に対しまして、娯楽的なものでも学内の集会をすべて中止するよう申し入れた。そのために十日の早大の演劇団体発会式、これも中止された。十六日の古典落語鑑賞会、それからクラス会、これまで中止すると戸塚署の菊池という次席は言つておるそうであります。それから港区の日電分会ではお花の会まで禁止された。それからさらにこれは十二日でありましようか、東大の学生が澁谷駅頭で平和の署名運動を行つていた。これを逮捕しております。こういうように警視庁のやつておることは、まつた憲法やあるいはポツダム宣言、そういうことにきめられております集会の自由を完全に蹂躙しております。まさに憲法違反であります。それから東京都の條例をつくつた場合にその條例反対して、去年五・三〇事件が起きたのでありますが、その條例にも第六條には、「この條例の各規定は、第一條に定めた集団行進又は集団示威運動以外に集会を行う権利を禁止し、若しくは制限し、又は集会政治運動を監督し若しくはプラカード、出版物その他の文書図画を検閲する権限公安委員会警察官、警察吏員警察職員又はその他の都吏員、区、市、町、村の吏員若しくは職員に與えるものと解釈してはならない。」こういうふうに書いてあるのでありまして、警視庁としていかなる権限をもつてこういう集会の自由を制限することができるか、これは絶対にできないのであります。どの法律にもそういうことが書いてないのであります。そういうことを警視庁がやつておる。お花の会まで、あるいは落語研究会まで中止するというような出過ぎたことをやつております。これに対しましては私ども官房長官にも抗議を申し込んでありますが、この機会にこういう警視庁の行き過ぎに対しまして、まさにフアシヨ的な暗黒政治戒厳令下のような、こういつたことに対しまして、即時やめさせるように政府当局にお願いしておきたい。  さらに次は、この青年新聞というのは、これはどこで出しているのか知りませんが、共産党め機関紙ではございません。これの六月六日の新聞齋藤国警本部長官日本共産党非合法化問題について意見書を出しておる。その意見書要旨というものが出ております。これは事実かどうか知りませんが、新聞に出ております。新聞に出ておることは責任は負わないというのが政府答弁のいつもの例でございますけれども、しかし出ているのでありまして、これはうそを書けばプレスコード違反ですから大いにプレスコード違反でやつてもらいたい。事実とすればその御答弁を願いたいと思うのでありますが、この中にこういうことを言つております。簡單に要旨を申し述べますと、共産党非合法化に追い込むと経費が非常に莫大にかかつていかぬから、非合法化をやらないで、合法政党として認めながら同党を事実上無能にするようにしなければならない。そのためには同党に内部分裂を起させること、これが一、二はそのために党内にある工作員、これは何人おるか知りませんが、共産党の中にある工作員もしくは新たに入れる工作員に工作させること。第三は分裂させるために必要な手段はとれるだけとるが、この可能性はあると判断される。共産党を分裂させるための手段国警本部としてはとれるだけはとるけれども、この可能性はある。無能化した共産党存布は、当面の警備対象として取締まることは可能である。以上の情勢判断から結局共残党非合法政党にすることは不利であると判断される、こういうようなことを言つております。それが事実とするならばまさに国警本部長官意見書は、この共産党の中に挑発者を入れまして、そして共産党を分裂させまして、共産党を事実上無能にしてしまう、こういうようなことを言つておるのであります。これは重大な問題です。イギリスなども日講和條件として特高警察復活を許さぬというようなことをはつきり言つておるのであります。ところが現在日本国警本部長官がこういうことを言つておることはきわめて重大な問題だと思う。さらにわれわれが入手した情報によりますと、五・三〇事件の発端というのは、丸の内警察警備情報係の原田という巡査並びに入江という巡査らが現場スパイとしてもぐり込んで挑発したものである、こういう情報が入つております。さらに警視庁警備課、課長は倉井という人だそうでありますが、この警視庁警備課は完全に特高警察参謀本部というようなものになつておるのでありまして、毎週共産党労組民主団体対策会議を持ち、警備情報日脚というようなものを流し、リストをつくり、尾行をつけさせたり、あるいは主要な人物に張り込んだりすることをやつておる、その情報の中にはストライキやデモの中に入つて相手に気づかれないように服装と携帯品に注意して彼らを欺瞞せよというようなことまで入つておる。さらにまた地方警察でも、これは国家警察自治体警察も、共産党員やアカハタの読者、労組役員等リストをつくりまして、そうして近所などでうわさを聞き集めたり、どこへ行つたなどとスパイ活動をやつております。それからさらに国警本部は各県の警察隊本部などに情報を集めるように指令いたしまして、そういう情報国警本部へ来ているそうであります。これはわれわれのところに入手しておりますが、第一に宮城県では六日の午後二時から仙台市の東三番町の民主会館で、緊急拡大委員会を開いた。あるいは福島県では竹内七郎というものが今来ておる。六日の夕方秘密会議が持たれた。県委員会小山方面に書類を出した。あるいはどうとかこうとかいうような一道一部二府四十三県の情報を集めておるそうであります。これは明らかに特高警察並びにスパイ網というものが、共帝党対象として嚴存することを証明しておるように思うのでありますが、事実か、どうか。さらにまた六日国警長官は、日本共産党中央委員から各地区委員までの動向を細大漏らさず報告せよ、現存争議中の各労組にも潜入し、ゼネストの機運について注意せよ、また争議に右の者、すなわち共産党役員が介入しありやいなやを点検せよ、さらに中央委員や同候補の写真七千枚を作製して配布した、こういう情報も入つておりますが、一体これは事実かどうか。地区委員及び一般党員写真や経歴まで調査しようとしておる動きがあるそうでありますが、どうか。こういうことが事実といたしますと、明らかに暗黒政治です、特高警察復活です。かつて政治とまつたく同じです。ポツダム宣言によつて破碎された当時の日本政治とまつたく同じでありまして、一体こういうことがどういう法律にのつとり、だれの命令でやられておるものであるか、明らかにしていただきたいと思います。ポツダム宣言極東委委員の十六原則、あるいは憲法には一体何と書いてある、こんなものは馬ぐそほどにも思つていないものかどうか、それをひとつ明らかにしていただきたいと思います。大体私どもが各新聞紙やその他のところから集めた情報は以上のようなものでありまして、こういうことは警察権力というものが、もう法律憲法も無規して、まるで暴力です、暴力をもつて民主主義運動平和運動を弾圧する、こういうことは秦の始皇帝の坑儒焚書事件とか、徳川幕府の末期のやり方とか、あるいは自由民権運動に対する薩長軍閥政府の弾圧のやり方、あるいは東條、ヒトラー、ムッソリーニのやり方、あれとまつたく同じでございまして、私どもはこういうことでは驚きませんが、滅びるものの前兆であるともいいたいのであります。洋の東西を問わず、こういうことをやれば、必ずやつた者が滅びるのでありまして、私ども意に介しませんけれども、やればやるほど、私ども大いに暴力的な政治に対して反対して行きますけれども、しかし法律がある以上、憲法がある以上はこれを守らなければなりません。そういう建前から質問するのでありますから、具体的に御答弁願いたいと思います。
  17. 溝淵増己

    溝淵説明員 最初の問題でありますが、警視総監示威行進等につきまして制限いたしておりますのは、警視庁管下情勢その他によりまして、警視総監の見識でやつておられることでありまして、私どもこれについて申し上げるわけには参りませんが、声明にあります通り集会に関しましては、挑発、煽動あるいは社会不安を釀成するような目的集会というように声明されておりますので、その通りつておられることと存じております。詳しいことは、私存じません。  それから青年新聞のことでありますが、これは私実はあとから見まして非常に驚きまして、長官にも申し上げまして、青年新聞責任者を呼んで抗議を申し込んでおります。近く取消をすることになつておりますが、そういう事実はありません。言うまでもなく国の政策につきましては、国会なり政府なりがおきめになることでありまして、その結果に私どもは従うのみであります。  次に警察がいろいろの調査をしておる。これは不都合ではないか、スパイ活動ではないかというようなお尋ねでありますが、警察は言うまでもなく犯罪の捜査、予防また社会不安の除去というような職責を持つております。それがためにいろいろの調査をすることは、警察の当然の職務であります。事前に事柄を知らないで、結局治安情勢が乱れて、国民に迷惑をかけるということは警察の職責に不忠実であるということにもなるのでありまして、私どもはその面におきまして、調査もいたしております。しかしながらそれが国民の自由を制限し、また国民の権利を侵害するというようなことにつきましては、絶対にやらないということを考えております。従いまして今御指摘になりましたような事柄があるかどうかということを、私はここで申し上げるわけには参りません。しかしながら警察の職責を果す上におきまして、いろいろの情報警察が知つておるということは必要ではないか、またこれは国民にも御了解願えることではないか、かように信じております。
  18. 池田峯雄

    池田(峯)委員 警察治安の確保からいろいろ対策を講ずるというのはいいでしようが、日本共産党中央委員やその他追放された者は、どういう活動をやつているか、最大漏らさず警察が尾行したり、写真を配布したり全国の警察祭に手配してどこに行つたか、その動向を云々する、こういうことをやつているとすれば、それならば現在終戰後追放された莫大な人たちに対して同じような措置をやつているか。それはやつていない。やつていないで半公然と選挙運動もやつているし、あるいは町村長その他の者に対して干渉も指示もやつている者がたくさんあります。これは警察関係政治関係もたくさんあります。そういうことには全然やつておりませんで、共産党だけやるのは一体どういうわけですか。これは明らかに共産党をぶつつぶすために、そういうことをあなたたちがやつているのでしよう。そのための警察となつているのでしよう。共産党を弾圧するための警察共産党取締るための警察、そして日本の平和民主運動を弾圧するための警察、そのほかの一切の不正腐敗はたな上げにしている。こういうような警察になつているのではありませんか。それをわれわれは今申し上げているのです。それはどうなのですか、事実もつて答弁してもらいたい。
  19. 溝淵増己

    溝淵説明員 ただいま例に上げられましたことが事実であるかどうか、そのことも私は申し上げておらないのであります。またそういう情報をどこから得られたかということも、私どもにはわからないのであります。従いまして、私どものやつている警察の技術の中身をここで申し上げるわけに参らない、こういうことを申し上げるのです。
  20. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういう事実があるかどうか知りませんと言われておりますが、それではそういう事実がありました場合に、あなたたちはどういう対策をとりますか。共産党員であつても、アカハタの読者でありましても、労働組合役員でも、ちやんと憲法によつ、て保護されている人間です。基本的人権を持つているのですから、むやみに尾行されたり近所隣にあの人間はどこに打つたとか、ここに行つたとかそういうことまで調査されてはたまつたものではない。一体そういうものまでやれるものなのですか。あなたたちの部下がやつた、こういう事実を私があなたに提起した場合に、一体あなたはどういう対策をとりますか、どうでしようか、その点はつきりお伺いしたいと思います。
  21. 溝淵増己

    溝淵説明員 私は先ほど来申し上げております通り、私のものを警察対象といたしまして、調査の必要のある場合には一応調査もいたします。しかしながらだれを調査する、どういうことを調査するということをここで申し上げるわけに参りません。
  22. 前尾繁三郎

    前尾委員長 池田君、きようは最初つたように進めますから、そのつもりでやつてください。
  23. 池田峯雄

    池田(峯)委員 本田国務大臣に、自治庁の長官としてでなく、国家の大臣として、警視庁の現在とつておるようなやり方に対して、一言所見をお伺いして私の質問を終ります。
  24. 本多市郎

    本多国務大臣 さいぜんのお話を單に聞きましただけでは、それがまつたくそれだけのお話通りのこととすれば行き過ぎではないかというような点も考えられますけれども、そうしたことの判断はなかなか動機、内容等詳細に研究する必要があろうと思います。またそれに関連する意見といたしましても、国務大臣としての立場ではありますけれども、私の立場から政府意見を申し上げるよりも、それぞれの責任者からお聞取りくださつた方が的確であり、誤りがなかろうかと存じますので、それだけお答えいたします。
  25. 門司亮

    門司委員 今の池田君との質問のやりとりでありますが、委員長ちよつと聞いておきたいと思います。きようの警察の問題に関しまして、せつかく開かれております委員会治安閣僚の方が一人もおいでになつておりません。従つてこれを聞いてみましても、政府の所信と申しましても、われわれの質問は的はずれの形に終らざるを得ない。警視庁のことを聞けば国警本部は知らぬと言うし、こういうことでは私はいけないと思いますが、もし警察関係委員会でお調べになるときには、治安閣僚の方にどなたか出ていただきまして、ほんとうにわれわれの質問しておることが的はずれになつて逃げられないように一応しておいてもらいませんと、質問をする方も非常に迷惑であります。質問しております方は日本治安情況からほんとうに真剣な立場から質問をいたしております。きようは今から治安閣僚の方においで願いたいと申しましても間に合わないと思いますが、将来十分気をつけて委員の質問が的はずれになつたり、のれんに腕押しになつたり、こんにやく問答にならぬように、ぜひ委員長においておとりはからいを願いたい、この点お願いしておきます。
  26. 前尾繁三郎

    前尾委員長 実はきようは樋貝国務大臣連絡してありまして、十一時か十一時半ころおいでになる。そういう予定になつておりますから、最初申し上げましたように、きようはいろいろ質疑ということじやなしに、情勢を聽取するということで進行したわけですから、その点どうぞお含み願います。  ほかに御質疑はないですか。     —————————————
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは次に地方財政に関する件を議題といたします。本日は木多国務大臣が御出席になつておりますので、地方税法のその後の修正の経過などについて、この際説明を聽取いたしたいと思います。本多国務大臣
  28. 本多市郎

    本多国務大臣 今度の臨時国会地方税法の改正案を提案するにつきまして、先般の原案にどういう修正を加えて提出するかということにつきまして、実は政府でも研究いたしまして、その結果新聞にも出ております通り、大体の方向は、附加価値税が何分にも流通的性質の税であるにかかわらず、実施が八月というふうに相当遅れることにもなつて参りますので、これは来年から適用することにして、今年は従来の事業税に修正を加えて、そのかわり財源をまかなうという方法に行く方が、適当であろうということが大体の主要な意見であります。これについて、それでは事業税をどういうふうに修正する考えを持つておるかと申しますと、これもまた附加価値税を延期して事業税にかえるということも、また事業税を修正するということも折衝中でありますので、政府意見といたしましても確定的な意見は申し上げられないのでありますけれども、大体二割程度税率の引下げをやり、さらに皆様に御審議を願いました附加価値税について農業、林業附加価値税の免税、さらに水産業、畜産業については主として自家労力によるものの免税というような規定がございましたが、そうしたことを附加価値税の場合と同じように、事業税についてもこれを修正するということで行つたならば、附加価値税と事業税がかわるために多少の違いがありますけれども、負担する方においてもやや近いものになるであろうから、そういう修正をいたしたいと考えておるのでございますが、これもやはり今折衝中でありまして、まだこれが必ず通るということも言えないのでございますので、極力政府といたしましてはそういう方向へ折衝に努力をいたしておるところであります。そのほか住民税については、これは折衝いたしましても変更を加えるというようなことが、実現困難であるように思われますので、大体そのままになりはしないかと思つております。固定資産税は低税率で本年とることになつておりますので、これについてももう少し税率あるいは倍数等について軽減をしても、予定收入が得られるのではないかという考え方から再検討を加えております。これもやはり収入見込額との関係がございますので、そうした点で意見が一致しませんと、政府の方針も決定することができませんし、司令部の承認も得られないわけでありますから、その点についてさらに検討を加えております。ただこの固定資産税につきましても、八月から実施になるという場合、きわめて短期間の間に正確な固定資産の評価をやるということが困難になつて参りますので、本年はちようど予定申告のような形で、この固定資産税の概算的な評価に基く納付の仕方をさせて、そうして来年の十月くらいまでの間に、正確な均衡のとれた評価を決定いたしまして、先に納めた税と相殺清算をするというような方法をとつたらいかがであろうかと考えまして、この点につきましても折衝中でございます。そのほか議会の方でも意見のありました脱税あるいは罰則等についても折衝したい考えを持つておるのでございますが、まだただいま申し上げました通り、根本的な附加価値税、事業税——附加価値税を延期して事業税にするという問題を初め、まだ一切どれがどうというきまりがついていない段階でございますので、ここに確定的な今日までの進捗状況は申し上げられない状態でございます。見通しといたしましては来週一ぱいぐらいまでに提案する原案を固めることができると考えております。司令部の方としても今回はその問題の個々についての意見を出されないで、一括して最後的に検討した上で、折衝して結論を得ようということになつて進んでおります。それくらいの期間内には結論が得られるだろうと考えております。
  29. 前尾繁三郎

    前尾委員長 何か御質疑ありませんか——藤田義光君。
  30. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま簡單な御説明がございましたが、過般の参議院議員の選挙中は九州の山奥まで入られまして、本多さんは非常に綽々たる余裕を見ぜておられたようでありますが、実は前国会の末期に両院協議会で塚田委員等によつて説明されましたいわゆる政府案とも大分かわつて来ております。折衝の過程にありますから何とも言えないという話でありますが、前国会会期末に出されまして、われわれは十分審議できないという醜態を演じましたので、今回はぜひとも、政府の折衝を、ある段階になりましたならば打切つていただきまして、国会の審議権を十分尊重する。とことんまで政府が折衝して当委員会に持つて来ますと、また前国会の醜態を繰返す危険が非常にあるんじやないか。数字で折合いが関係方面とつかぬ場合は、抽象的な表現をしていただきまして、その案をひとつ委員会に出してもらいまして、委員会で数字化するというようなこともぜひお考え願いたいと思います。それからお説明がありませんでしたが、地方税法の流産によりまして、地方財政に大きな空白が生じております。これに対しましていろいろな手が打たれたことを、われわれは新聞紙のみによつて了承いたしておりますが、この点に関しまして委員長にもお願いしまして、ぜひごく最近の機会に相当詳細な措置の内容を書類で御提出願いまして、われわれの審査の材料にしていただきたいと思つております。  最後に見返り資金百億余りの配分が過般の閣議で決定したというふうに拝聽いたしております。これは主として土木、農林関係の需要に振り当てられておりました。この使途いかんは地方財政に重大な影響を與えることは当然であります。従いましてこの見返り資金はどういうふうな基準で、どういうふうな地区に配分されたか、これは地方財政を審議するわれわれとしまして重大な資料でございますから、ぜひひとつ先ほどお願いしました資料と一緒に本委員会に御提出をお願いしたい。質問と申し上げるより私の希望を申し上げます。
  31. 本多市郎

    本多国務大臣 藤田委員からお話のありましたように、御報告を申し落してしまつたのでございますが、地方税改正法案の不成立に伴いまして、預金部融資から二百億、平衡交付金八十二億だけは六月中に繰上げて支給するということで、六月までの財源の欠陷になりまする二百八十二億を補填する処置をあの当時すぐに講じましたことは、新聞で御承知だろうと思います。その後そうした応急措置以外の正常な平衡交付金の交付をいたしますためには、どうしても地方財政委員会が成立して発足しなければならないわけでございますが、それがようやく三日ほど前成立いたしまして、委員を任命し、委員長を決定いたしまして、六月までの約二百億の平衡交付金の普通の場合の交付額も決定をいたしました。従つてこの六月までの平衡交付金の交付はもちろんその概算になるのでございまして、正式の平衡交付金法に基く平衡交付金が、普通に進行いたしますと九月くらいに決定すると思いますから、その際清算はするわけでございますけれども、六月分までの普通の場合の平衡交付金と、それから地方税の不成立のための歳入欠陥に伴う預金部融資と、さらに平衡交付金の中から繰上げて出す分とは、すでに措賢を講じた次第であります。  それから見返り資金をもつて行う地方の公共事業につきまして、閣議で司令部に折衝する案を内定いたしましたことが、新聞に伝わつたのでございますけれども、これは閣議におきましても司令部と折衝するための案でありますので、絶対にその発表をしないことという申合せをいたしておつたのでございますが、それが新聞に出たわけでございまして、委員会から要請がありましたならば、その責任大臣から、詳細な内容説明は困難かと思いますけれども、今お話のありましたどういうことを重点的に配分してあるかというような説明ならばできることと思いますので、他の機会に経済安定本部長官からでもお聞き取りを願いたいと思います。こまかい割振りの数字につきましては、そういう事情でございますので、私からもただいまのところ呈示いたしかねますから御了承願います。
  32. 前尾繁三郎

    前尾委員長 先ほどの資料はあとでできるだけ早い機会に御提出願います。
  33. 藤田義光

    ○藤田委員 最後に一言またお願いでございますが、実は五月初めから自治庁では起債の査定をやりまして、係が連日苦労しましてよい案ができたやに聞いておりました。ところが自治庁でせつかく苦労してできましたこの起債の案に対しまして、大藏省の預金部でいまだに了解を與えない。それで巷間においては金貸根性で意味のない横やりを入れておるのだという風評を耳にいたします。事は重大でございまして、起債はいずれも深刻なものばかりを全国の自治体が出しておりますから、一刻も早くこの起債が現金化しますように、ひとつ本多国務大臣おとりはからい願いたいと思います。当委員会といたしたしても、起債の問題に関しましてはぜひともひとつ自治庁の專管として、何と申しましても中央官庁の中で地方財政を一番よく知つている自治庁の権限においてきめて、ただちに地方の財務局から現金を放出するという改正を、全委員の御賛同を得ましてきめないと、自治体が非常に迷惑しております。この点に関しまして池田大藏大臣にも至急本多国務大臣からお申入れ願いまして、下の方で大分困つておる、昨年も多少遅れましたが、今年は昨年よりも約一箇月早く査定を開始しまして現金化が早いだろうと言つておりましたが地方税法が流れたために起債の現金化をむしろ急がせなくちやいかぬ、いまだに決定しないということをうわさに聞いております。この点ぜひともひとつ本多さんに御善処をお願いいたします。
  34. 本多市郎

    本多国務大臣 遅れておりますことは私の責任でもあり、また自治庁でせつかく査定したものを大蔵省によつていろいろ変更を受けますことは、原案をつくつた者責任でもございますので、ぜひ自治庁で権衡をとつた案の線に沿うて、一刻も早くこれが実現をいたしますように、さらに努力をいたしたいと思います。
  35. 大泉寛三

    ○大泉委員 本多国務大臣ちよつとお伺いしたいのですが、第七国会の終期に地方税法案が参議院によつて廃案になつてしまつたのですが、政府が今度ある程度の修正をして、しかも附加価値税は来年度から実施するというようなことを書いて、今度は臨時国会に提案されるということですが、政府の方針は、参議院の議会情勢が変化したのでそういうふうにしたのか、また第七国会において各分野から要望された内容を、この臨時国会機会において修正しようとするのか、私はどうもあの税制改革はきわめて合理的であつて、まずこの際多少反対があつても、あれはとにかく衆議院を通したのだ、もう一たび参議院に提出して、議会の意思においてそれを修正されるならばした方がよろしいのではないか、こう考える。どうも政府みずからが臨時国会を前にして修正をしたり、あるいは実施を延期したりということは、きわめて目信のない立場にあるのではないか、そうなつたらばわれわれはもう少しこれを再検討して、やはり国民の要望に合致して行くような修正をしたいと思うのであります。大体議会情勢の変化によつてそういうふうにかわつたのか、あるいは政府みずからがどうも良案でなかつたというふうに自認したのか、それをお伺いしたい。
  36. 本多市郎

    本多国務大臣 附加価値税を来年から適用することにして一年延期をしたいという意見になり永したのは、まつたく実施の時期が遅延したことが理由でございまして、従来の事業税に比較いたしまして、附加価値税に一日も早く切りかえられることが、負担均衡化の上から適当であるという考えには一つもかわりないのでございます。御承知通り附加価値税は転嫁的性質を持つておるのでございますが、これが本年四月一日からの実施でありましたならば、一月一日以後の附加価値に遡及いたしましても大なるむりはないと考えられるのでございますけれども、一月一日からの附加価値に転嫁する性質の税を、八月一日に実施してさかのぼらせるということは、あまりにむりではないかということから考えまして、結局あと五箇月のことでございますから、先へこれを送つて来年一月一日からということにして、むりのないように実施したいということでございまして、これは附加価値税の負担均衡化のためにいい税制であるという信念には、毫もかわりないのであります。まつたく実施が遅延したためにやむを御ないことではないかと思つております。さらにそのほかに負担の軽減という面からも、政府はでき得る限り地方税においても軽減いたしたいという考えは持つております。しかし地方財政のわくは確保して行かなければなりませんので、いろいろその收入見込みにつきましは、見積りの再検討をいたしまして、幾分でも軽減して財源がまかなえるという結論になるものがありましたならば、軽減したいということで、これもただいま検討いたしております。その他納期の繰上げ、あるいは四期を三期にするとかいうような措置、固定資産等につきまして、あまり短期間になりますために、その精算を来年度にまたがらして、適正な評価をした上でするというような制度等をも考慮しておりますのは、みな実施の遅延した結果でありまして、地方税改正の根本につきましては、何らかわりがありませんし、政府といたしましても、この税法がいい税法であるという信念にかわりはないのでありますから、御了承を願いたいと思います。
  37. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは樋貝国務大臣も見えましたから、地方自治に関する件も含めまして、全体につきまして御質疑がありましたら、両大臣に御質疑を願います。
  38. 川本末治

    ○川本委員 樋貝国務大臣が御出席になりましたから、警察の定員の問題についてちよつとお尋ねしたいのであります。現石の警察の定員は御承知のように、昭和二十一年十月一日現在の人口によつて配分されておりますが、その後各方面情勢の変化から、大都市に隣接しております都市では、非常に警察の定員が手薄であるために困つておりますことは、再三陳情や請願などで御承知のことと思いますが、政府は昨年来しばしば新聞などによつていろいろな意見を発表になつておりますが、いまだかつて正式にこうした問題につきまして、当委員会にお諮りにたつたこともないようでありますが、けさほどの二、三の新聞にも出ておりますが、最近に自治体の警察に対して、小さい都市のものはこれを廃止して、国警の方に委讓するとかいうような御意見が出ておりましたけれども、そういう点につきまして、ただ昨年からたびたびそうしたことが出ますために、これに該当するような小さい自治体警察が非常に警察官そのものの士気にも関係しておるような状態でありますが、それらの点につきまして、政府としてはごく近い時期において、何らかの具体策を講じて、これをお出しになるかどうかという点、なお大都市に隣接しておりますところは、御承知のように東京の近くでは川崎、関西の方面に行きましては尼崎、布施、八尾あたりでありますが、先般私ども布施市と八尾市におじやまをしていろいろ承つたのでありますが、大阪の警親庁におきましては、百五十人に対して約一名の割合で警察官が配置されております。ただ道一重を隔てておりますだけで、布施市のごときは人体六百人に一人ぐらいの割合になつております。八尾市のごときは最もこれがひどくて、千三十二人に対して一人というような状態になつておりますので、この治安の問題を考えてみましても、いつまでも現在のような状態で、ただ新聞にだけああする、こうするということを言つておられるだけではなくて、早急にこれに対しまして、適宜な措置を購じてもらわなければならぬと思います。これにつきまして国務大臣である樋貝国務大臣の御意見を聞きたいと思います。
  39. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今の御質問ですが、私もけさほど読売新聞だけ見ましたようなわけであります。私ちようど昨日三時半に外相官邸を訪れまして、その出ぎわを新聞記者が見ておつたというわけで、ただそれだけのことでありまして、会見の内容等は昨日申し上げませんし、新聞があれや、これやと想像して書いたもので、私が発表したといようなことはありません。発表したというようなことを書きましたについては、私の方も非常に慎重を期しておりまして、厳重な注意をいたしておるわけであります。ああいうことを言えば、結局損ではないか。政府がいくら慎重に取扱つてつても、ああいうことを発表すれば損ではないかということまで申したようなわけであります。私どもの方はああいうことに対しては、きわめて愼重を期して、一日も早く実現をしたいということは願つておるようなわけであります。従つてどもは発表はいたしませんけれども政府はそう考えております。昨年中から何も知らぬような顔をして非常に苦心を佛つてつたのは事実であります。せめて政治関係とは全然関係のないところの自治体警察の人員再配分ということだけでもしたいというので、去年におきましても非常に考えたのであります。のみならず、その方面においては今日の日本としても許される措置としてその方面に交渉しておつたのでありまして、ある具体案が得られれば、この委員会にお諮りしたり、あるいは閣議等においても報告して了解を求めたい。そういう考えでおりましたようなわけであります。ところがもう少し待てというのがだんだん延びまして、半年以上も延びたような実情でありますけれども、遂にまだ同意を得ませんで、今日に至つたようなわけであります。  今お示しのごとくに、大阪は初めは百五十人のつもりでおりましたが、現在の状態は人口百八十人について警察員一人の割合、それからその隣りにある尼崎等におきましては、この間私の聞いたところの統計によりますと、千五百人について警察員一人の割合——現に私は参議院の選挙の前でありますが、山陰から帰つて参りますときの急行車には、ズックの袋の中に米らしいものをたくさん詰めたものが列車から落される。その落した米を示し合わせた自転車を持つ一隊が拾おうというので、待つてつたというような状態も目撃したようなわけで、何とかその方面を処置しなければならぬということを考えておつたのであります。大きな都市から減らさぬ限り、小さい町村等を二人、三人ずつ減らしましたところで、とうてい増員できない。大きい都市と言えば東京都の警視庁とか、あるいは大阪府の警視庁とかいうものが大きいのでありますが、それさえも定員を定めた当時から見ると、人も増しておるから、減らすことはできないというような陳情がありますし、かえつて増員を要求しているようなありさまであつて、従つてこのままでは関西では尼崎、関東においては川崎のようなところにも増員することはできないというわけで、それらの点についても非常にこまかいことを申し込んで来ておるわけであります。従つてこの解決もしなければならないというようなわけで、昨日来実は現在の警察というものはどういうものであるかということを詳細に話をしまして、その間においてそれをどういうように打開すべきかということについて自分の意見はこうであるということを申し述べたような次第でありまして、決してほうつておくわけではありませんけれども、今お示しのごとく矛盾があることは事実であります。それから二十三年に新警察法になりましたが、今二十二年の十月と申しましたが、それは一年前の二十一年の十月一日の人口調査、言いかえれぱ戰災を受けたばかりの人口比例をもとにしまして定員がきまつておるように考えております。
  40. 川本末治

    ○川本委員 今国務大臣の御説明によりますと、新聞記事の問題につきましては自分ははつきり知らないというような御意見のように拝聴しましたが、もしそうであるといたしますと、けさの読売新聞などの記事ははなはだ不穏当な言葉であるとわれわれは考えるのでありますが、ああしたことは、われわれ直接今大臣にお聞きして初めてわかつておりますけれども、一般の国民はそういうことはわからない。従つてああした大新聞がかようなことを、しかも具体的にはつきり書いてある、それを大臣御存じないというようなことでありますなら、ぜひともこれは嚴重な注意を與えていただいて、ああした記事は取消すようにさしていただかないと、地方警察官などに対して士気の上ではなはだ好ましくない結果が生ずると思いますので、至急善処していただきたいと考えます。なおこの警察の定員の問題につきましては、現在の日本の立場としては、大臣の今言われましたように、私どももしごく同感でありますが、昨年来たびたびああしたことが出るたびに、各方面からわれわれは質問を受けるのでありますが、その答えに困つておるようりな状態でありますから、今後はぜひともああいうことちよちよ新聞などに出ないようにひとつ注意を願いたいと思います。何かそこになければ——ことわざに言いますように、火のないところに煙は立たないという、何かそういう問題がなければならないはずでありますけれども大臣お話では全然そういうことはないという御意見なんですが、この点につきまして重ねてお願いしておきますが、ぜひとも善処していただきたいと思います。なお実情に即した定員の再配分などにつきましても、事実現在の日本の立場としましては、非常に困難な問題も多々あると思いますが、治安上から言いまして、現状のままで放任しておくということは、なお一層困ることだと思いますので、これにつきましても、ひとつ早急に関係方面とも具体的にお打合せを願いまして、早く人心の安定するようにおとりはからいを願いたいと思います。
  41. 門司亮

    門司委員 樋貝さんがお見えになりましたので、一応さつき池田君のこともありましたが、政府の所信だけをお伺いしておきたいと思います。  それは、御承知のように警視庁が出しております集会禁止の問題であります。先ほど池田君からも申し上げましたように、東京都の條例の中の第一條に書いてありますものは、ことごとく屋外を対象とした集会でありますし、それから第六條には、この問題はすべての警察行政に携わる者がそうした中止を命ずる権限を持つておるというように、はつきり明記してありまして、集会の自由に対します公安條例としての対象はやや明確にというよりも、むしろ明確に規定されております。ところが、御承知のように警視庁におきましては、例の五月三十日事件以来、さらに六月三日事件というような問題に関連いたしまして、一切の集会禁止しております。そのことのために非常に方々に不都合が起りますと同時に、国民に與えております心理的の影響というものは相当大きいのであります。御承知のように、東京都は首都であります関係から、すべての政治の中心をなしております場所に、一切の集会ができないというような戒嚴令のもとに行政が行われておりますことは、やはり国民全体として何らかの不安あるいは不穏なものがあるのではないかというような気持を持たしておることは事実だと私は思います。そういう状態は長く持続すべきでない。もしそういう事態がかりにあつたといたしましても、ごく近いうちにそれらのものを解除して、そういう戒嚴令を東京にしかなければならないような緊迫した事態が、治安上あるというようなことを国民全体に思わせるようなことは、これは施策のよろしきを得たものでないと私は考えております。ところが、これは昨日警視総監にお会いをいたしまして話を聞いてみましても、いつごろ解除するともはつきりは言われない。また官房長官にお会いをいたしましても、いろいろ話をされて、警察行政に対しては自治警察国家警察があり、おのおの公安委員があつてその運営をなされているので、政府としてこれにとやこう言うことは非常に困難であるというような御答弁もありました。しかし憲法に定めております規定から言いますと、治安責任は当然政府にあるべきでありまして、われわれは今の法律国家警察あるいは地方警察と並んでおのおの公安委員の運営管理のもとに置かれているのでありますから、政府はこれに関知しないという行き方は実際どうかと考えている。政府憲法に定められてありますこの治安責任の上に立つて、これらの問題について一体どういうふうにお考えになつているのか、この点をひとつ明確にお話願いたいと考えております。  なおつけ加えて申し上げておきますが、従つてこうした状況のもとに期間的にどのくらいの期間置かれなければならないと考えているものなのか。これは政府といたしましては、閣僚会議と申しますか、閣僚懇談会というか、しばしば新聞でわれわれ拝見しておりますので、政府においても当然協議なされ、あるいは十分知つておられることだと考えておりますので、その辺の見通しを治安閣僚の建前から、せひ樋貝国務大臣の率直なお話を願いたいと思います。
  42. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 ちようど五月三十日に事件がありまして、ただいまでは東京都の條例に基いていろいろの集会に対して延期命令を與える——東京都の條例からいえば、延期命令を與えるぐらいのことはできるようになつております。それであの点については今お説の通り政府においてはもとより責任を負います。もし責任を負うことがあれば決して責任を回避するわけじやありませんけれども、現在においてはあれに名をかつてずいぶんいかがわしい運動が行われておりますので、それがいつまで続くものか。これは私の方よりむしろそちらに聞いた方が早わかりじやないかと考えているような次第でありまして、その方さえなくなつてしまえば、それ以上にああいうふうなことが存続することは、私ども考えておらない。従つてそれが消えて、不安がなくなつてしまうようなときがいつであるかということと、あれは一致するじやないかと考えております。今の御質問のように、法律から言えば、第一次には東京都の公安委員会であり、あるいは国家の公安委員会責任を負うということになつて参りましようけれども、それらのもののやつた行為について、窮極するところ政府責任を負わなければならないことは憲法で明らかでありましよう。しかしまた占領をされている日本の今日といたしまして、もし軍命令で出て来れば、憲法上効力を持つて来ましようからこれもしかたがない。それが出ないで国内法で処置する上においては、政府はその点について決して責任を回避しようというような考えは持つておりません。たとい自分がやらなくてほかの方でやりましても、政府としてできるだけのことをして、責任を負うことになれば責任を負うつもりでおります。
  43. 門司亮

    門司委員 もう少しお聞きしたいのでありますが、今の御答弁内容についてとやかく私申し上げるわけではありませんが、私の聞いておりますのは、政府はそういう戒嚴令のような形を長くしいておかなければならないというような現有の治安状況に対する見解を持つておるかどうかということであります。これは先ほどの御答弁で相手方のあることだというようなお話でありましたが、むろん相手がなければ、何もないときに政府あるいは警視庁が單独に考えるはずはないのでありまして、それに対する政府の見通しを私は一応聞いておきたい、こう考えておりますので、おわかりでありますならば、警視庁がああいう態度に出なければならなかつた事態に対する説明、さらにそういう事態は現在の社会の情勢下においては、大体どのくらい続くのであろうというような見通しがもしございますならば、ひとつぜひお聞かせ願いたい。  それから同時にもう一つは、先ほど私が申し上げましたように、この問題は單に東京都における集会禁止というだけではすまされないのでありまして、国民全体がやはり東京には何らか不安なものがあるのだという感じを非常に強く持つておると私は考えております。これが日本全体の治安の上にやはり非常な不安なものがあるのではないか。御承知のように、一切の集会を禁ずるというような処置というものは、社会不安の最も大きな面に現われて来ておる。單に経済に対する社会不安であるとかいうものではなくて、この集会を一切禁ずるということは、一切の政治行動、一切の経済行動を禁ずることでありまして、従つて社会的に行われるすべての行動が禁止されるということは、社会不安の最も大きな事態に直面しない限りにおいては、こういう処置はとられないはずだと私は思う。しかもそれが公然と今東京都においてとられていることについて、国民の不安を除去するためにも、政府はやはり何らか国民に対して、はつきりした態度を示すべきである。この点をひとつわれわれ国民の納得の行く、こういう事情東京都ではこうしておるのだ、この事情がなくなればすみやかにこれを解除することに盡力するというようなお考えがもしありますならば、この機会を通じてひとつもう少し明確にお話を願いたい。
  44. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今のような状態の見通しについて、政府はどういう考えを持つておるかということをお聞きでありますけれども、しかしへ今のような状態が、どのくらい続くかということは、だれでも見通しはできません。従つてそれがなくなつた、大体において安心の行ける時期になればということを考えております。従つていつということを明確には申し上げられませんわけであります。政府ばかりでなしに、だれでも申し上げることはできないと思います。  それからもう一つ、この間のそういうふうになつて来た原因等は、御承知の五月三十日にしましても、進駐軍との間に葛藤を生じた、ああいうふうなことは確かに社会不安だと思います。だから警視庁のとつた集会禁止というようなことよりも、ああいうことの方が不安ではないかと私は思います。警視庁もそういう広い範囲において禁止をしようということが、もとより理想じやないのですけれども、しかたがない、そういう平和な、慣例の集会というようなことに名をかつた、そうでないところの会がたくさんありますので、そういうことを避ける意味においても、やむを得ない、やはりその区別に一線を画すことができないならば、全部の集会についても制限を加える必要があるので、こういうことになつた考えております。
  45. 門司亮

    門司委員 非常に重要な点でありますが、たとえば五月三十日事件のような事件がしばしば起るということは、日本のためによくないことであろうということは、だれでも想像ができる、しかしそれだからといつて、全体の集会を、ことに東京だけに限つて、これを禁止するという行き方、これは先ほど池田君からもお話がありましたが、私ども調査を相当進めて参つておりますので、資料その他もあるのでありますが、いかなる会合といえども一切これを禁止するという行き方については、実際上の問題としてこれは行き過ぎではないか。同時に、何度も繰返しますから申し上げませんが、そういうことになつて参りますと、すべての運動が非常に不明朗になつて参りまして、よしんば政府集会禁止したということによつて社会不安が除去されたと、表面的にはお考えになつておるかもしれませんが、社会不安というようなものが計画的に行われる場合におきましては、ただ單に表面だけの集会禁止をしたということだけで、これが納まるものとは私ども考えられない。それよりもむしろ影響の大きいのは、ほんとうに何らの政治的の目的もない、また政治目的がありましてもそういうことを考えておらないものについても一切を禁止するというような、まつたく無差別的なそういう行き方については、われわれはあまり好感が持てません。と同時に、またいずれの法律、いずれの規定によつても、そういうことのできるという見通しは持たぬのであります。もとより憲法で定められております基本的の人権といい、あるいは集会結社の自由といつても、それが憲法を否定するような運動、行為があります場合については、必ずしもその規定によつて守らなければならないということもないかと思いますけれども、しかしそれらの問題はおのずから現われた問題によつて処断ができるし、またそういうものが事前に察知できますならば、それによつても処断ができるものであつて、そうでないものまでも一律に取締られるという行き方については、非常に大きな不滿を持つておるものでありますし、特にこの点は大臣として何らか緩和するといいますか、よしあなたの方に、社会不安を助長するような傾向が非常に強いからこういう処置をとるべきだということを、一応われわれが百歩を譲るといたしましても、その中におのずから取捨選択されるべきものがある。それらの余裕はやはり残して置くことが、私は現在の日本の状態としては正しい行き方でないかと考えておりますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになつておるか。
  46. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今日におきましても、慣行による、たとえば葬式とか祭礼とかいうような集会、あれは一種の外の運動だからデモになるかもしれませんけれども、そういうふうな方面では、純粋にその目的であれば、慣行に従うの趣旨であるとするならば、決して最後的禁止はいたしておりません。現に今日も祭礼をやつているのに道に出会つたのですけれども、そういうことで禁止はしておりません。そういうのに名をかつて別に不穏の行動があるならばというわけで、選り食いをしているわけであります。従つてそのどちらであるかということのために一応は禁止されておりますけれども、しかしながらそうでないものまで最後まで禁止するつもりはありません。政府におきましてもその点はよく注意しているようなわけであります。
  47. 門司亮

    門司委員 その点政府の意向を今ちよつとお話になつたのでありますが、もし大臣のお考えがそうだといたしますならば、こうした事実が大臣に今までにおわかりにならなかつたはずはないと思いますので、今までに治安閣僚懇談会その他に警視総監もおいでになつたように、私は新聞で拝見しておるのでありますが、一体そういう問題について十分打会せがなされておつたかどうか。今までの私どもの経過から見ますと、あるいはきのう岡崎官房長官にもお会いをいたしましたし、田中警視総監にもお会いをいたしましたが、いずれもそういう御答弁であります。ところが、実際の問題としてはそうなつておりませんので、われわれは質問をしなければならぬ、また出かけて行つてお話もしなければならないような事態になつておるので、この点について、政府は今までにそういうことについて、警視総監との間にお打合せがあつたかどうか。それから将来そういうものについては十分打合せて、そうしてかりにも国民全体に、東京に戒厳令がしかれておるのだというような不穏なことが一方にあるかのような感じを抱かせないように、努めて行かれるかどうか、この点をもう一度お伺いしておきます。
  48. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 東京に戒厳令がしかれている、しかれているとおつしやいますが、そういうふうな感じを一般に與えているというのは、それは独断ではないかと私は思う。そんなに全部がそういう感じばかりではありませんから、それはあなたの方から感じた感じではないかと思います。私ども考えているのは、そんなことをして、何でも警視庁ばかりが悪いようなことを今聞きましたが、そういうわけではないので、結局いいとこちはいい、悪いところは悪い、こういうことを私どもは判断し、それは警視庁であろうが、あるいは他の国民であろうが、やはり悪いところは悪い、それは考えなければならぬと私は思う。この聞の治安閣僚会議では、別に意見は述べません。現実の各方面からの報告があつただけで、別にこうしたら、ああしたらという意見は述べなかつたのであります。だんだん治安閣僚会議進めることを考えておりまして、それらの点について、どうすべきかということも考えるでありましようけれども、現在まではありません。
  49. 門司亮

    門司委員 これは質問ではありませんけれども、ひとつ大臣のお考えを願いたいと思いますが、戒嚴令がしかれておるような感じを国民に與えておるというようなことを、大臣は非常に軽くお考えのようでありますが、少くとも今日の日本政治関係を持ち、あるいは関心を持つておる者の目から考えますと、今は東京だけにああいうことが行われておるが、やがてこういうことが全国に行われるのではないか。われわれの運動、われわれのやつております集会禁止されて、支障を来すようなことがあるのではないかという不安は、私はだれでも持つておると思う。おそらく、それを持たない人は一人もないと考えておる。政府の方では、そういう考え方を持つ必要はないというお考えかもしれませんが、それならそれで、東京都においてはこういう事態で、こういうふうになつておるからこういう制限をしたのだというようなことを、やはり全国の国民に納得の行くように示されなければならぬ。われわれも、政府の方針がはつきりし、あるいは警視庁の方針がはつきりしておりまして、それが納得ができれば、何を好んで警視総監に会い、あるいは官房長官にお会いして、そうしてこういうことは不都合ではないかと言う必要は毛頭ないのであります。しかしそういうことが——われわれにすらと申し上げると、少し言い過ぎるかもしれませんガ、直接関係を持つておりますわれわれにすら十分に納得できないものを、国民全体がそういうことを考えてはいない、それは君たちだけの物の考え方だという大臣のお考えだといたしますと、日本の将来の治安の上には、相当大きな食い違いを生ずる危險性ができて来わしないかというように考えておりますので、大臣もそうした、單にわれわれがこういう場所で、何か柄のないところに柄をくつつけて、ことさら問題を大きく取上げて、そして当局を責めておるというようなお考えだけは、この際やめてもらいたい。そしてわれわれはあくまでも公正な立場に立つて、現存の日本治安状況というものを、どういうふうに国民に安心のできるような形で遂行して行くかということについての、まじめな質問であるということを、大臣もよくお考え願いたいと思います。
  50. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今国民が不安を感じている、感じていると言いますけれども、国民全体が不安を感じているわけではありませんから、国民がという言葉を、あなたの方で広く使い過ぎるのではないかと私は思います。そんなにすべての国民じやなく、あなたの了解している一部の国民がそういこことを考えているだけで、それを国民全体みたいに言つたのでは、それはむりじやないかと思います。従つて私の申したのはそうじやなく、事実ありのままに申しただけの話で、決してそれを隠蔽しているわけじやないのです。だから、あなた方が不安を感じた、こういうことならば、それはそうですかというわけで黙つて聞いておりますが、国民がという前提の上に立つて、そういうことを言われては困ると思います。
  51. 大矢省三

    ○大矢委員 ごく簡單しますが、今度の東京都でとつておる各集会禁止、あれは法的根拠はどこにあるかということ、それからその責任はあくまでも公安委員会にあるということをおりしやつて、さらに加えて、日本は占領下であるから、なんぼ憲法があつてもそういうわけには参らぬ、こういうお話もありましたが、メモランダムが来ておるかどうかということが一つと、それから公安委員でいかなることを決定してもさしつかえないかどうかということと、これが事実行われておるのであるから、その法理的の根拠はどこにあるかということの三点だけをお伺いしたいと思います。
  52. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 法的根拠と言いますが、今とつておりますのは、それを選り食いするだけで、永久的禁止でなく、暫定的な禁止ということであります。それで御承知通り憲法の解釈にしましても、公のためには讓らなければいかぬということは、当然不文のうちに考えております。公の範囲でこういうような権利が認められておるということは、一昨年でありましたか、すでにそういうような解釈も出たようなわけであります。現在ではそういうふうな暫定的に選り食いするために、ああいうふうな規定が出ておるので、もし必要があるならば、現在の憲法以上である進駐軍命令というものが出れば、これはもう議論の余地のないことであると思いますが、相なるべくならそういうことでなしに、日本の方で処理して行きたいと考えておるような次第であります。  それから今申し上げた責任の点ですが、もし責任を取るべきものがありと仮定するならば、それは公安委員にまかせました事柄については、政府責任を取るということであろうと考えております。従つてもし責任を取ることになれば、そういうようなことだと思います。  それからメモランダムは参つておらぬと思います。東京都の管轄だから政府には参つておりません。
  53. 大矢省三

    ○大矢委員 今のことは重要なことですが、禁止はしておらないということですか。
  54. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 暫定的なことで、終局的な禁止はしておらぬはずであります。
  55. 大矢省三

    ○大矢委員 暫定的という法的根拠は……。
  56. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 それは先ほどお答えしたと同じ意味であります。
  57. 大矢省三

    ○大矢委員 それじやメモランダムは来ていない、全国的に禁止していない、暫定的な措置だ……。
  58. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 政府には来ておりません。
  59. 大矢省三

    ○大矢委員 政府にも来ておらないし、警視庁にも来ておらぬのですか。
  60. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 それは存じません。
  61. 池田峯雄

    池田(峯)委員 どうも今の大臣答弁はおかしいのです。憲法の解釈でそういう制限ができておるというふうに了解していいのですか、それをもう一ぺんはつきり述べてもらいたい。憲法の解釈で法律がないのにやつておるのですか、それをひとつ……。
  62. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 憲法は当然に公益のために譲らなければならぬでしよう。
  63. 池田峯雄

    池田(峯)委員 憲法にお花の会を禁止したり、あるいは落研の研究会まで禁止してよろしいという規定があるかと言うのです。これをこの際はつきり司いたい。
  64. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 だから警視庁の、東京都のとつたのは、暫定的にそれを待たせるためにとつた処置と思います。従つて違法ではないと思います。
  65. 池田峯雄

    池田(峯)委員 暫定的ならばそういうことをやつてもよろしいのですか。暫定的ならばいかなる集会でも禁止あるいは制限するようなことを、法律にないにもかかわらずやつてもよろしいのですか。
  66. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 待たせることができるのですから、待たせるためにそういう処置をとつて違法ではありません。
  67. 池田峯雄

    池田(峯)委員 待たせることと言つておりますが、事実はそうではございません。また東京都の條例でも、そういうことは全然書いてありません。私、先ほど事実をあなたの方の次長に申し上げましたが、また煩雑をきらわず若干繰返しますと、七日の成城警察署は日映演の東宝砧撮影所に対して、組合大会や職場の会議もこれから届け出なければいかぬ。五人以上一緒に歩いたらデモとみなして取締る、外部の団体が応援に来てもこれを取締る、こういうようなことを言つておる。一体どこにこういう法律がありますか。あるいはまた六日の午後七時、港区白金三光町というところでは、平和を守る会の結成大会をやろうとしたら——これはキリスト教徒もまじつている。何ら社会不安をかもし出すところではない。平和を守る会である。平和を守る会——これくらい最高の会議はない。そういう会に高輪警察署中止命令を出しておる。こういうことをやつておる。あるいはまた城東警察署では日立の亀戸工場労組に対して、行列は今後はお祭りであつても一切許可制にする。組合内の定期総会はもちろん、執行委員会に至るまで一切の会合請書を出さなければならぬ。こういう法律はないのです。東京都の公安委員会條例を見たつてそんなものはないのです。一体組合執行委員会に至るまで、全部届出書を出さなければならぬという法律はないのです。そんなことは憲法上はもちろんないのです。あるいはまた請書を出さない集会はただちに解散を命ずる、こういうことはない。東京都の公安條例集団行進及び集団示威運動に関する條例なんですが、これは集団示威運動ではない。デモンストレーシヨンじやない。組合執行委員会デモンストレーシヨンであるという解釈はどこにも成立たぬ。それから請書には警官の臨席を認めること、発言中煽動的なものがあるときは、警官中止命令。これはまさに人権の蹂躙である。それから目黒の碑文谷警察署は、今後二人以上の集会PTAの会でも禁止する、こういうことである。一体こういうことが憲法違反でも何でもないということになるならば、これは昔の東條やあるいはそれ以前の政府がとつた対策とどこが異なりますか。三・一五や四・一六当時の日本警察、従つてポツダム宣言によつて禁止された日本警察活動とどこが違いますか。あなたはアメリカの「四つの自由」という映画を見たことがありますか。あの「四つの自由」という映画は言論集会の自由、思想信教の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由、この四つの自由を日本に與えるために、世界の人民大衆が武器をとつて血を流したということが、「四つの自由」という映画の内容です。そういうふうに、日本の人民大衆に四つの自由を與えるということが、はつきり内外の民主的な勢力によつて與えられておる。それに基いてポツダム宣言ができ、極東委員会の十六原則というのができておる。あなた、十六原則なんか見たことがありますか。おそらく見たことがないでしよう。それにはどう書いてあるかといえば、警察その他の諸機関が労働者のストライキをすることをスパイし、または正当な労働組合の活動を抑圧することはできないと書いてある。ところがあなたなんかの指令では、ちやんとデモンストレーシヨン、そういう中に入つて、そうしてスパイしろというようないろいろな指令が出ておる。それから青年新聞の問題だが、さつき次長に聞いたら、これはうそだから取消しを要求しておるというようなことでありましたが、火のないところに煙は立たぬという昔の言葉があるのです。こういうのが出るからには、これはまんざらうそではない。ここに何と書いてあるかといえば、分裂工作を採用しなければならぬ、共産党の中にあなたたちのスパイを入れて、そうして共産党の中を撹乱しなければならぬ。あるいはまた新たに入れる工作員に工作させなければならぬ。分裂させるために必要な手段はとれるだけとるが、この可能性はある。こういうようなことを出しておる。まるであなたたちのやること、これこそが社会不安をかもし出す原因である。われわれの調査しておるところによれば、五・三〇事件にしたつて、あなたたちの部下があの集会の中に私服で入り込んでメモをとつておる。そういうことをやつたから問題がああいうふうになつておる。そういうことをやらなければいいじやないか。やらなければ、あんな大騒ぎは起きなかつた。あの五・三〇大会のときだつて集会の届出を出せば、あの日は何かはかの用で使うから使つてはいかぬ、何だとかかんだとか言つて、そうして占領軍がそういう命令を出しておるとかいうことであるが、聞いてみたら、出していない。それで当日ああいう大会を開くことができるようになつたけれども、何か大会を開くとか、あるいは労働組合役員会を開くとか、そうするとすぐにそれは社会不安ということに持つて行くのがあなたたちの常套手段である。これは加波山事件にしても、あるいは米騒動にしても、実際は日本警察や軍隊が挑発的な行動に出なければ、それほどの大騒ぎは起きなかつた。福島のあの何とかいう県令——三島県令、ああいうのが非常な悪い政治をやりましたために、民衆がこれに対して滔々たる運動を起そうとした。当時自由党は、あなたたちの前身じやないのです。あなたたちは血を引いていないのですが、その当時の自由党がそういう運動をやつた。その自由民権運動を彈圧した。彈圧されたから、そこで武器をとつて圧制政府と闘わなければならぬということで加波山事件になつた。米騒動だつて政府やり方が悪い。米の値段をどんどんつり上げて、穀屋にもうけさせるようなことをした。だからこれに対して民衆が大会を開き、そうして政府の反省を求めようとする。そうすると政府は穀屋に味方して、資本家に味方して、この大会を解散させる、彈圧する、こう出るから、そこでますます民衆が激昂してあんな大騒ぎになつた。今度の警視庁やり方はまつたくこれと同じです。社会不安を故意にかもし出しておるのはあなたたちである。そこで、共産党が煽動しておるから共産党をぶつつぶし、労働組合をぶつつぶして、あなたたちの言うなりの国民に仕立て上げようとしてこんなことをやつておる。だから平和的な秩序を乱し、社会不安をかもし出し、暴力をもつて政治をやろうとしておるのはあなたたちである。こう断ぜざるを得ない。われわれはこれに対して民主的な、平和を守る運動を展開しておるのであつて、決してわれわれが暴力をやつておるのではない、こういうふうに考える。そこで私はあなたに質問したいが、憲法にそういうことがあるのか。これをもつとはつきり確認してもらいたい。そういうことをやつてよろしいという規定が憲法にあるのか。ポツダム宣言、極東委員会の十六原則をどう解釈するか。あるいは東京都の公安條例にしても、そういうことを警視庁にやつてよろしいということは書いてないのだが、それをあなたはどう解釈するか。この点を明確にあなたは本委員会で表明してもらいたい。あなたは大臣という責任において、治安閣僚の一人として大いにこの問題について明言していただきたいと思います。いいかげんなことは言わないでもらいたい。
  68. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 どうも非常な反対的な演説をやつたように私は聞いておりますが、そういうことがかえつて不安を助長するのじやないか。私、東京都のあの條例等につきましても、今日においては集会を延期すれば何でもない。條件に従つて考えればその前にきまらぬのはあたりまえの話である。そういうようなことを何だか故意に、むりに禁止しておるというようなことではいけない。そういうような考えは私は間違つておると思う。現にただいまあなたのおつしやつたことく、警察においてそういう命令をした場合においても、やはり請書をとつておる。もし警視庁の一本の命令で行く、東京都の命令で行くという場合においても請書をとらなければできるはずがない。みな請書をとつておるのであります。ただいま申した暫定的な禁止ということは、それはその間に考慮したいということで、暫定的にしたわけであります。そういう実情を誇大に扱つておる方が、かえつて私は不安を與えておると思う。現に私が参議院選挙の前所沢に行きましたところが、われわれの演説を妨害するために赤旗を立てて、そうしてその前を自転車に乗つて幾人も行つたり来たりしている。また会堂で幾人も演説を妨害しておる。非常に卑怯だつた。堂々と反対の理由があつたらその反対の理由を述べたらいい。私はそういうことに対して、そういう実力を行使して妨害するのは卑怯だと思う。ああいうことではいけない。(「それだから警察は彈圧するのか、それだから警察権を使うのか」)それで警察権を正当な範囲で使うのはさしつかえないと思う。
  69. 池田峯雄

    池田(峯)委員 だからあなたにはつきり質問するのは、警視庁のやつていることは正当なことなのか、憲法にそういうことが雷いてあるのか、どういう法律であれを正当化しているのか。これを聞いておる。私は法律の範囲で聞いておるのです。
  70. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 警視庁方面では正当の範囲内において権力を行使しておる。憲法においては公益の認める範囲内においてああいう権利を認めている。憲法に明示しておる。
  71. 池田峯雄

    池田(峯)委員 憲法に規定されておりましても、その憲法の各條項については、すべて法律に出ているのである。その法律にのつとつてさらにこの執行の規則をきめて、そうして官庁はやつているのである。憲法をかつてにそんなふうに解釈されたらたまつたものじやない。憲法をそういうふうに解釈すれば、その解釈に基いて官僚が執行執務する細則がきめられているはずである。何もないじやないか。何もないのにそういうことをやつているから、私どもは問題にしているのである。だからその点をもつと明確にしてやつてもらいたいと言つておるのであります。
  72. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 君の考えはそういう考えでありましようが、私ども考えは違つておる。今申した通りなのだから、あなた方の考えておることとは考えが違うということを申し上げておきます。
  73. 池田峯雄

    池田(峯)委員 でははつきり申し上げます。何もそれに対する法律はないのですね。あなた個人の独断的憲法の解釈以外には、日本にはああいう警視庁やり方を正当化する法律も何もないということを、あなたは承認できますか。
  74. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 そんなことは承認いたしません。私は先ほどからるる申し上げた通りであります。決してそんな違法なことをやつておるつもりはありません。
  75. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それならどういう法律でやつておるのか、明確にしていただきたい。どういう法律の第何條にのつとつてつておるのか。集会禁止を現にやつておる。お花の会、落語研究会までやつてはならぬと言つておる。戸塚警察署は早大当局に対して娯楽的なものでも、学内の集会はすべて中止せよと学校当局に申し入れておる。そのため十日の演劇発会式も中止のやむなきに至つた。表面上はいかにも承祐書をとつておる。この承諾書に判こを抑さなければ解散させるがどうかと聞いておる。集会禁止します方においては、自発的に延期しなさい、よろしゆうございますという判こをとつておる。しかしこの判こを押さなければ、この警察要求に服さない場合には、こういう集会は解散させるからという條件がついている。これでどうして民主的な請書といえるか。あなたは請書々々と言つておりますが、そうではないのだ。それからそのほかに自動車なんかの徴用もやつておるそうだけれども、社会不安をかもし出しているとかいないとか、私たちの独断とか何とか育つておりますが、自動車の徴用では何百台という自動車を徴用しておる。現に私は業者からそう聞いておる。何のためにそういうことをやつておるのか。これはある外国人のお客さんが日本に来るので、それの準備のためにやつておるのだということが流布されておりますが、これではまるで社会不安をあなた方が故意にかもし出しておるように見られる。ですから、そういう措置に対して樋貝国務大臣説明の中では、日本にはそういう法律は何もないというふうにわれわれは解釈できる。あなた一人の憲法解釈でしかない。こういうふうに解釈できる。だからその法律がないならば、そういうような警視庁やり方に対して、あなたは今まで実情を調査したことがあるか。私たちの言うことが一方的だとか独断的だとか、そういうことを言うことが社会不安をかもし出すもとだと言つておるけれども警視庁がやつておることについて実情を調査してみよ。たとえば目黒の碑文谷警察署は二人以上の集会は、PTAの会でも禁止すると各団体に通報した、こういう情報がわれわれに入つておる。これに対してあなた方はそういうことはやらなかつたという証拠を提出することができますか。できないじやないか。できないでそれをあなた方の一方的な見解だとか何とかいうのは、これはまつたくあなた自身がずいふん言い過ぎなことを言つておるのではありませんか。独断的なことを言つておるのではありませんか。ひとつそういう点についてもつと明確な、治安閣僚の一人としてもつと責任のある、日本憲法に照らして、ポツダム宣言に照らして断じて俯仰天地に恥じない責任のある言を吐いてもらいたい。何が何だかわけのわからないごまかし半分の言葉では、われわれ絶対に納得することができません。
  76. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 他方でそう毒づいても私の方で一々弁解できません。そういう必要もないと思いますから、私は答弁いたしません。
  77. 池田峯雄

    池田(峯)委員 答えなくてもいいのです。
  78. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 あなたの質問は警視庁の警部あたりなら明瞭に言いましようが、私はそんなこまかいことまで答弁できません。
  79. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに質問ありませんか。
  80. 野村專太郎

    ○野村委員 今樋貝国務大臣に二、三の諸君から集会に関する質疑が行われ、今質問を行われたこの論点から、私は率直に言つてそう深刻に不安は感じない。しかし東京のような都会生活の上においては相当やむを得ない集会がたくさんあるわけです。こういう事態が長く続くことは好ましくないと思いますので、今池田君が言われた落語会なり、いわゆるはつきりした、不安をかもさない、目的以上に出ない集会に対しては問題ではないと思う。たまたまそれに便乗していろいろな事態を考えられる点もあろう。こういう非常に大事な時期でありますから、こういう事態が続くことは好ましくないのであつて、こういう情勢に協力して行かねばなりませんが、東京都も都会生活の実態から見て、私は今お話のあつたような不安は私自身としては感じない。こういう点からその目的の不安のないものに限つては、なるべく緩和されるように大臣は善処されんことを要望いたします。
  81. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今のお言派慎しんで承つておきます。
  82. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来いろいろ御質問がありまして、樋貝さんの御答弁を靜かに拝聴しておりましたが、どうも憲法で保障されました重大なる基本的な人権でございまする集会という権利に対する見方が、多少甘いのじやないか。これは私の老婆心かもしれませんが、各国の例を見ましても、まずこういうところから憲法の基本的な権利が蹂躙されている。けさのある新聞の論評は、非常に穏健な人が書いておりますが、このままの情勢を放任しておきますと、当然言論の自由に対する抑圧ということが予想せられ非常に危險な事態になるのじやないか。先ほど出ておりました溝淵氏は国家警察管内においては全然不安がない、治安上心配がないということを言明しております。そうしますと東京都内だけが田中警視総監の認定のもとに不安であるということから、暫定措置をとつておるという印象を與えます。どうも日本政府の所在地である東京にやや不安があつて、それ以外の国家警察の所管には、治安上の不安はないというような印象を、本日の速記録から受取れるのでありますが、これは樋貝さんの御答弁ではありますが、よほど御注意願いまして、一刻も早く樋貝さんの政治的信念として、かかる憲法の條章に相反しておる事態を拂拭したいということを言明していただきたい。どうも暫定措置であるが、この不健全な状態がとれるのはいつかわからぬというような印象を、再三の御答弁からわれわれは受取るのであります。この点に関しまして野村委員発言もありましたので、ひとつこの際一刻も早く解除したいというような見通しを、漠然としたところでもお伺いいたした、速記録に残したいと思いますので、御答弁願います。
  83. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今申し上げたように、その時期を漠然として申し上げることができないのを遺憾といたしますが、心配がないようになればいつでもやめるつもりでおります。それで暫定的という字句をいれましたようなわけでありまして、あれは永久的にそうしようという考えではないのでありまして、その事情さえなくなればいつでもやめたい、こういう考えでおります。大体においてあなたの方の御趣意と一致すると思います。
  84. 藤田義光

    ○藤田委員 大臣のお気持ちはよくわかります。ただ表現において多少ぴつたり来ない点があります。  それから先ほど門司委員発言に対する御答弁で、われわれ国会議員として重大な関心を持つ点がございましたので、この際委員長として善処願いたいと思います。門司委員発言は国民の一部の声であるというような言葉があつたやに拝聽いたしました。ご存じの通り、国家議員に本質というものは全国民に代表でありますから、われわれの発言は全国民の代表の発言であるというふうにひとつ解釈願いたいと思います。こういうものが速記録に残つておりますと、いろいろ禍根を残すことをわれわれはおそれますので、委員長に後刻速記録をお調べ願いまして、善処願います。
  85. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは善処いたします。
  86. 河原伊三郎

    ○河原委員 ただいまの発言でありますが、委員一人々々がそれぞれ全国民を代表しておるものなり、こういうふうな考え方で、すべてを処理することはこれは行き過ぎであると思います。
  87. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五分散会