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奧野政府委員 たびたび御
説明申し上げましたので、
門司さんもすでにお聞きのことと思うのでありますけれども、たいへん強い御
質問のようでありますので、重ねて最初から簡単にお答えをさしていただきます。
一兆三千億と見ました基礎は、終戦直後行われました経済安定本部を中心といたしました国富調査の数字でございます。その数字の中には軍需
工場のあとの
工場施設も、そのまま全部一応評価いたしまして、その後の物価の騰貴率をそれにそのまま乗じて
計算いたしました。さらにその後の生産額も通産省その他から数字を得まして、これについても物価倍数を乗じまして、一兆三千億という数字を一応出したわけであります。しかしながらさらに
考えなければなりませんのは、いろいろと陳腐化の問題がございます、また終戰前は稼働いたしておりましたけれども、わが国の今日置かれます状態から未稼働の
施設も、非常にふえて参
つているわけであります。従いましてこの評価はある程度現実に従わざるを得ないだろうというような
考え方をいたしておる次第であります。また本年度は初めてこの
償却資産に対して
課税するのでありまして、その
申告は正確を期し、さらに全国的な
均衡を得ますために、国で行いますところの
資産再評価法による再評価をあわせてや
つて行きたいというふうな
考え方をいたしております。そのために
償却資産に関する
申告の期限は、十月三十一日までということにいたしておるわけであります。十月三十一日に
申告が出そろうわけでありますから、それからさらに評価して行く、従いまして評価の
決定ということは、非常に遅れて行くわけであります。
さらにまた陳腐化、未稼働というような問題がありますし、
地方の
立場も十分しんしやくして行かなければなりませんので、最終的な
決定になるのは、相当多くのものがどうしても翌年度に出て来るのではなかろうかということも
考えられるわけであります。そういうところから、一応本年度において
固定資産税の中で、
償却資産に対する
課税の基本額となりますものは、まず六、七千億ではなかろうかというような
見方をしておるのでありまして、この数字は
資産再評価法によりまして、現実に企業が
償却資産について評価する額というものを、大蔵省の方で五千億くらいの数字と見込んでおるのであります。しかしながら
償却資産に対する
課税につきましては、企業は低く見積るかもしれませんが、必ずしもその見積り額そのままをとるわけではございませんので、五千億にする必要はない。しかし評価の
決定が相当ずれますので、本年度収入済みになる額は、やはり六、七千億程度を予定せざるを得ないのではないかというような
見方をしております。しかしながら将来においては、もつととらなければならない。というのは
地方税收入総額一千九百億円が、どうしても必要であるということになるならば、
地方の市
町村民税において、昭和二十六年度以降は、明らかに百億円程度減収になるわけであります。その百億円程度の減収をどこでカバーするかというと、他に別に税率の引上げを予定しておるわけではございませんので、やはりこの
償却資産において相当の増収が得られるだろうから、これによ
つてカバーできるというような
考え方をいたしておりまして、昭和二十六年度以降は百七十億内外とらなければならない。そうなりますと、どうしてもこの一兆三千億という数字が一兆億円余りというような評価ができなければ、
地方財政全体の上で歳入欠陥ができるというような
計算にな
つておるわけであります。