○
奧野政府委員 三百四十一條は
固定資産税に関する用語の意義であります。ここで四号で償却資産の
説明をいたしております。「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産でその減償却額又は減価償却費が法人税法又は
所得税法の規定による
所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるものをいう。」これがたいへん重要な規定になるわけでありますが、かりに
所得税法や法人税法の
対象になりません事業用の資産でありましても、括弧のうちで、(これに類する資産で法人税又は
所得税を課されない者が所有するものを含む。)ということにいたしております。但し、「自動車税、自転車税及び荷車税の
課税客体である自動車、自転車及び荷車はこの中に入らないということであります。また五号で、価格という言葉を使
つているのは、適正な時価を言うのだという
説明をいたしております。それから六号で、固定資産
課税台帳と言いますのは、土地
課税台帳、土地補充
課税台帳、家屋
課税台帳、家屋補充
課税台帳及び償却資産
課税台帳の五つを総称した名称でございます。
次の七号の土地
課税台帳は、土地台帳法第三十七條の四の規定によ
つて市町村が備える土地台帳の副本を言うのでありまして、ただ土地台帳の副本と違
つておりますのは、さらにこれに土地の価格を登録しておく、こういう点にあるわけでございまして、現在の帳として切りかえて行きたいという
考え方でございます。
八号の土地補充
課税台帳は、土地台帳に登録されていない。たとえば国有の土地でありますと、土地台帳には登録されていないわけであります。しかしながら
固定資産税の
課税対象になる土地もあるわけでございますから、そういう部分につきましては、この台帳に登録するのでありまして、それを十地補充
課税台帳というふうに呼びたいということであります。九号、十号の家屋
課税台帳、家屋補充
課税台帳の
関係も、同じであります。十一号の償却資産
課税台帳、これは大体償却資産の所有者が、
市町村に申告をいたして参ります。その申告して参りましたものを、もとよりこれはあやまちを正すわけでありますけれども、それをそのまま
課税台帳に使
つて行きたい。
從つて毎年々々その
課税台帳はかは
つて來るというふうなことになるだろうと思うのであります。それの方が
市町村と
納税義務者両者に簡便であろうという
考え方をいたしております。家屋
課税台帳、土地
課税台帳は一ぺんつくりますと、原則としてずつとそれかそのまま使
つて行けるというふうに
考えているのであります。
三百四十二條は、「
固定資産税は、固定資産に対し、当該固定資産所在の
市町村において課する。」二号は「
固定資産税の
課税標準は、
当該年度の初日の属する年の一月一日現在における固定資産の価格で固定資産
課税台帳に登録されたものとする。」賦課期日は一月一日にしているのでありまして、一月一日に現に存しました固定資産に対して、しかもまた一月一日における物価ベースで評価をして行くという
趣旨をうた
つているわけであります。三号は、償却資産のうち船舶、車両その他これらに類する物件については、特定の場合を除いて、主たる定けい場または定置場所在の
市町村をも
つて、
納税義務がある
市町村だというふうにみなして行きたいという意味の規定であります。
三百四十三條は、
納税義務者がだれかということを規定しているわけでありますが、原則としては所有者であります。その所有者というのに、どういうものかということを二号、三号に規定しているわけでありますが、從來の地租や家屋税の場合と
考え方は同じであります。四号は、新しく償却資産が
課税対象になりましたが、その償却資産については、震災等の
関係から所有者が不明である場合もあり得ますので、特に使用者をそのまま所有者とみなすというふうな規定を置いているわけであります。五号は、現に地租について設けられております
制度と同じじことであります。
三百四十四條、これは使用者に課する
固定資産税の規定でありますが、これも現在の地租や家屋税について行われておりますところの使用者
課税の
方法と、原則として同じことを規定しているわけであります。
三百四十五條は、これら使用者
課税に関する固定資産に関しまして、所有者から使用者等を届け出なければならないという
義務を課した規定であります。
三百四十六條は、その期限の特例であります。三百四十七條は、
義務違反の過料の規定であります。三百四十八條は、
固定資産税の非
課税の範囲であります。原則として、現在の地租や家屋税について設けられておりますところの非
課税の範囲と合致しております。若干細かい点で違
つておりますが原則として合致しております
三百四十九條へ行きまして、
固定資産税の
税率は百分の一・七五であるわけでありますか、しかし二十六年、七年、八年の二箇年間だけは百分の二という制限
税率を設けるわけであります。それ以後は制限
税率の規定はなくなるわけでありますから、上なり下なり、どこまででも自由に
市町村自身が決定できることになるのであります。しかし三百五十條で、昭和二十五
年度だけは一定の
税率を用いなければならない。言かえれば、同じ條件のもとに
固定資産税を課することによ
つて、固定資産相互間の評価の不均衡を大写しにして、昭和二十六
年度以降均衡のとれた価格の決定が可能になるようにして行事たいという
考え方を示しているものでございます。
三百五十一條は、
固定資産税の免税点であります。土地、家屋、償却資産全部合せて三万円以下であれば、
固定資産税を課することができないということにしております。現在の地利や家屋税の免税点は賃貸価格の五円であります。価格を九百倍といたしますから、四十五百円というふうにお
考えいただいてもいいわけであります。それを三つ合せて三万円と規定したわけであります。三百五十二條は、申告等の場合の免税点の特例であります。三百五十三條以下は、他の
税目に関する規定とま
つたく同じ
関係の規定でありますので、省略さしていただきます。
三百三十ページの第二款、賦課及び
徴收の方に移りたいと思います。三百五十九條は、
固定資産税の賦課期日は、
当該年度の初日の属する年の一月一日でありますから、昭和二十六
年度分の
固定資産税でありますと、昭和二十六年一月一日現在、昭和二十五
年度の税でありますと、昭和二十五年一月一日現在ということになるわけであります。言いかえれば、前
年度に属する年を用いているわけなのでありますけれども、その事由は、毎年固定資産について評価をしなければならぬわけでありますが、評価に相当の期間を要するわけでございます。しかも
固定資産税の
收入は、
年度当初から相当入るようにして行きませんと、
町村の会計、現金の上で困りますから、四月からとれるようにしたい。当然評価手続というものは、四月一日までには、すべて完了しておるようにしておかなければなりませんので、あえて前
年度に属しますところの一月一日を賦課期日に採用したわけでございます。
それから第三百六十一條は、
固定資産税につきましては、原則として賦課期日の当日に存在いたしました固定資産に対しましては、その後において
課税客体が消失いたしましたり、あるいは新しくできて参りましても、
税額には変更を加えないわけであります。しかしながら使用者
課税に属します部分につきましては、やはり使用の期間に
課税いたしませんと、酷な負担をしいることになりますので、使用者
課税に属します部分につきましては、もとより
課税客体は一月一日に現存する
課税客体でなければなりませんが、それぞれ使用者の使用期間に応じて
年額を分担するという
制度にするために、この規定を設けておるのであります。
第三百六十二條は、
納期を四回にわけておりますが、
市町村の準備によ
つて、この
納期は変更してさしつかえないわけであります。從いまして商工業者の盛んな
市町村と農業の中心であります
市町村は、それぞれ状況に応じまして、これには差異をつけてさしつかえないものと
考えておるわけであります。
固定資産税の
徴收の
方法を三百六十四條に規定しておるわけでありますが、これは從來と同じような
方法を用いようとするものであります。第三百大十五條の
固定資産税に係る
納期前の納付、こういう人に対しましては報奨金を交付することかできるわけであります。これは
市町村民税の際に申し上げたと同じ
制度でございます。
地方税全体を通じまして、この報奨金の
制度を
固定資産税と
市町村民税と二つにたけ設けておるわけであります。五百三十四ページに行きまして、
納期限の延長や
減免の
制度その他、ずつと他の
税目に関します規定とま
つたく同一の規定でございます。
さらに三百三十九ページの第三款の督促及び滞納処分も、他の
税目と同じ性質の規定でありますので、省略させていただきまして三百四十七ページ、第四款、固定資産
課税台帳に移りたいと思います。第三百八十條「
市町村は、固定資産の状況及び
固定資産税の
課税標準である固定費産の価格を明らかにするため、固定資産
課税台帳を備えなければならない。」「
市町村は、前項の固定資産
課税台帳の外、当該
市町村の條例の定めるところによ
つて、地籍図、土地使用図、土壌分類図、家屋見取図、固定資産売買記録簿その他固定資産の評価に関して必要な資料を備えて逐次これを整えなければならない。」現在こういうものはほとんどありませんが、すぐにこれらを設けることは困難でありますけれども、漸次こういうものを整備いたして参りまして、固定資産の評価というものが、できる限り科学的に行われるように、準備を整えて行きたいという
考えを持
つておるわけであります。
第三百八十一條は固定資産
課税台帳の登録事項でありますが、先ほど申し上げましたように、土地
課税台帳は土地台帳の副本を用いるわけでございますから、これに価格を登録するだけのことでございます。以下も引継いてそれに準じて
考えられるわけでございますが、土地補充
課税台帳や、家屋補充
課税台帳は、土地台帳の副本、家屋台帳の副本に準じて同じような種類のものを、登録すればよろしいという
考え方を持
つておるわけであります。第五項は償却資産
課税台帳に登録すべき事項を記載しておるわけでございますが、「償却資産の所有者の
住所及び氏名又は名称並びにその所在、種類、数量、取得年月日、耐用年数及び価格を登録しなければならない。」というふうにいたしておるわけでございます。また土地台帳や家屋台帳は、
将來登記所が所管することになるわけでございます。從いまして登録事項に異動がありました場合は、登記所から
市町村が通知を受けるわけでございます。また
納税義務者あるいは固定資産の所有者が登記所に登録の異動の申告をいたします場合にも、登記所に直接いたしませんで、
市町村を通じてなすこともできるわけであります。しかしなから登録事項が改ま
つておりませんと、
市町村は黙
つて見ておらなければならないということも困ることでありますので、その場合には登記所に対しまして登録事項の修正を求めることができる。その修正の事由が正当である場合には、登記所はその修正の措置をしなければならないということにいたしておるわけであります。登記所の所管いたしております土地台帳や家屋台帳、それを原則としてそのまま採用して参ります
市町村におきまして、その間違いを修正することのできるようにしておかなければなりませんので、両者の
協力関係を第六項でうた
つておるわけであります。從いまして登記所から通知がありました場合には、土地
課税台帳または家屋
課税台帳に記載いたしまして、前の記載事項を訂正しなければならないというふうにいたしておるわけでございます。
第三百八十三條は固定資産の申告
義務を課しておるわけでありますが、土地や家屋につきましては、土地台帳法、家屋台帳法によりまして異動がありました場合には、登記所へ申告しなければならないというようにしておりますが、
納税義務者に対しまして、三種の申告を
義務づけることは酷でありますので、原則といたしまして土地や家屋につきましては、異動がありましても、
市町村への固定資産
課税上の申告
義務は課さないことにいたしておるわけであります。ただ償却資産につきましては、登記所にはそういうものに関する台帳はございませんので、こういうものは
市町村へ
固定資産税の
課税上必要な事項を申告してもらいたい。その規定がこの
條文でございます。「
固定資産税の
納税義務がある償却資産の所有者は、
地方財政
委員会規則の定めるところによ
つて、毎年一月一日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得年月日、耐用年数、見積価格その他償却資産
課税台帳の登録及び当該償却資産の価格の決定に必要な事項を一月十日までに当該償却資産の所在地の
市町村長に申告しなければならない。」かようにいたしておるわけであります。一月一日が賦課期日でありますので、その時期を過ぎまして、なるたけ早く申告してもらうという意味でこの一月十日というものを期限に定めておるわけであります。その際に二項で
所得税や法人税の計算におきまして、損金または必要な経費として認められますところの減価償却額または減価償却費の計算の
基礎となりましたところの償却資産の価額を申告してもらう。それによりまして
所得税法や法人税法で認定しております価額と
固定資産税の
課税上採用いたしますところの価額との間に関連を持たせまして、できるだけ適正な評価の参考資料にして行きたい、こういう
考えを持
つておるわけであります。
次は三百八十四條の規定でありまして、資産再評価法の規定によりまして再評価を行いますものは、法人につきましては再評価を行いませんでも、申告の
義務が課せられておるわけであります。從いまして
税務署へこれらの申告をいたします場合には、二通提出しなければならない。資産再評価法の規定によりまして二通提出させまして、その一通は写しであることに間違いないということを確認いたしまして、その一通を
市町村長の方に送るというふうなことにいたしております。言いかえれば、償却資産の
課税客体あるいはまたその評価額というものを、
税務署に
協力してもらいまして、
市町村が全体を漏らすことなく的確に把握できるようにしたい、こういう
考え方のもとにこの規定を設けておるわけでございます。資産再評価法にその
関係の規定が入
つておるわけでありまして、
税務署長が特に確認の手続きをとりまして、
市町村長の方へ一通を送
つてくれるということにいたしておるわけであります。自然それを見ますと、償却資産の数量でありますとか、あるいは取得いたしましたときの価格でありますとか、あるいは資産再評価法の限度一ぱいの評価をした場合は幾らになるかということもみなわかることになりますので、固定資産の評価をいたします
市町村にとりましては、非常に便利なことになるだろうと
考えております。それから三百八十五條以下は罰則の規定でございます。ほかの
関係と同じことでございます。三百五十六ページに行きまして、三百八十七條の上地名寄帳及び家庭名寄帳も昔の
制度と同じでございます。
次に第五款の固定資産の評価及び価格の決定でございますが、三百八十八條は
固定資産税に係る
地方財政
委員会の任務をうた
つておるのでありまして、「
地方財政
委員会は、地籍図、土地使用図、土壌分類図、家屋見取図、固定資産売買記録簿その他固定資産の評価に関する資料及び
固定資産税の統計を作成するための
標準様式を定めて、これを
市町村長に示さなければならない。」ということにいたしておるわけでございます。さしあたり本
年度は土地や家屋は從來の賃貸価格を使いますので、今ただちにこれらを必要とするわけでございませんか、秋ごろまでにはこれらの準備を完了しなければならないというふうに
考えておるわけであります。さらに二項で、
地方財政
委員会は評価に関しまして技術的な援助を與える具体的な問題を規定しておるわけであります。しかしながらこれらの
権限というものは、
市町村長の独自の評価の責任をさまたげておるものではありませんので、その
趣旨の規定を別のところにうた
つております。それから原則といたしまして固定資産の評価は、
市町村長か行うわけでありますけれども、特定のものだけは
地方財政
委員会が、みずから評価するわけでございます。その特定のものと申しますのは、三百八十九條と三百九十一條の二つの
條文に規定されたものでございます。三百八十九條の大部分は三百五十八ページに書いてあるわけでございますが、一は「
地方財政
委員会で定める船舶、車両その他の
移動性償却資産又は可動性償却資産で二以上の
市町村にわた
つて使用されるもののうち
地方財政
委員会が指定するもの」でございます。こううものはどこに
課税権があるか必ずしも明確でないわけでございますので適正な全体的な見地から、それぞれの
関係市町村に価格を
地方財政
委員会から配分するというような
制度にいたしておるわけでございます。三号は「鉄道若しくは軌道又は発電、送電若しくは配電用施設その他二以上の
市町村にわた
つて所在する固定資産で、その全体を一の固定資産として評価しなければ適正な評価ができないと認められるもののうち
地方財政
委員会が指定するもの」、これも
地方財政
委員会か評価をいたしまして、価格を
関係市町村に配分するわけであります。発送電の施設なんかを
考えました場合に、電柱と電柱との間にぶらさが
つておる電線だけを切り離して評価することは困難だろうと
考えられるのでありまして、やはり固定資産を全体として評価せざるを得ないだろうというふうに
考えられますので、
市町村々々々に個別に評価を委ねることは穏当でないというふうな
考え方をいたしておるわけであります。
さらにまた三百九十一條の場合でありますが、第一項の「大規模の工場を有する事業が
市町村の区域内にあるために近隣の他の
市町村の公共費の支出に直接且つ重要な影響を與える場合又は大規模の発電施設その他の公共的事業施設がその所在する
市町村を含む近隣の地域の経済と直接且つ重要な開通を有する場合においては、
地方財政
委員会は、
地方財政
委員会規則の定めるところによ
つて、これらの固定資産のうちその指定するものを評価してその価格を決定し、これを、当該固定資産の所在する
市町村の如何にかかわらず、当該事業によ
つて影響を受け、又は当該施設と関連を有する
市町村に配分することかできる。」という規定を設けておるわけでありますが、あまり財政需要のない小さい団体に非常に大きな工場がある。しかもその工場の從業員は近隣の
市町村から通
つておる、その從業員のいる限りにおいては、近隣の
市町村もまた相当の財政需要があるという場合でありまして、その工場に対しますところの
固定資産税の
收入をその所在の
市町村に独占させますと、財政需要をオーバーするような
收入があるというような場合も
考えられますので、これらの財政需要をオーバーすると思われるような部分だけを、近隣の
関係市町村に配分したいという
趣旨でございます。あとの規定はそれらに関する手続規定でありますので、
説明を遠慮させていただきます。こういうふうな形において決定いたした価格につきましては、三百九十三條で、それを「遅滞なく、その価格を当固該定資産の所有者に通知しなければならない。」いう
義務を
地方財政
委員会にかしておるわけであります。三百九十四條は「
地方財政
委員会によ
つて評価される固定資産及び資産再評価法によ
つた再評価を行い、又は行うことができる固定資産の申告に係る特例」でありますけれども、これは現在
市町村に申告すべきものが、こういう部分については
地方財政
委員会に申告書を提出しなければならないという点が、かわ
つているだけでございまして、
根本的なことについては
市町村長に申告書を提出する場合と相違はございません。こういう
義務違反に関する罰則等の規定でありまして、他の
関係條文とあまりかわりございませんので、省略いたします。
また三百九十八條の規定は、
地方財政
委員会がする固定資産の価格の決定または配分に関する異議の申立ては、直接行うべきものでありますので、その意味で、その特例の規定を設けているわけでございます。それに伴う手続的な規定が三百九十九條、四百條の規定であります。三百六十九ページの第四百一條の規定は「固定資産の評価に係る都道府県知事の任務」を規定していまして、あるいは固定資産評価員の研修、あるいは
地方財政
委員会が作成ました資料の使用
方法についての指導、その他の指導を行うわけでありまして、大体
地方財政
委員会が評価基準を示します。その基準に基きまして都道府県が
市町村に対しまして直接指導の任務に当るわけでありますが、府県の指導を受けて
市町村が固定資産評価員を使いまして、評価を
行つて行くというふうな順序に
考えておるわけでございます。四百二條は、先ほど申し上げたことでございます。
四百三條は、固定費産の評価の
権限は
市町村長にあるということをうた
つておるわけであります。なぜこのような規定を置いたかと申しますと
地方財政
委員会も都道府県も他の
税目に関します
課税標準の決定とは異なりまして、いろいろと基準を示しましたり、あるいは指導を行
つたりいたしますので、はたして責任がどこにあるか、明確を欠くことも予想されますので、このような規定を設けたのであります。すなわち
市町村長は「
地方財政
委員会か固定資産を評価する場合を除く外、独自の判断と責任をも
つて、固定資産の価格を決定しなければならない。」というふうにいたしておるわけであります。価格決定の責任は、固定資産評価員にあるのではありませんので、あくまでも
市町村長にあるわけであります。固定賃産評価員は
市町村長か価格を決定するための補助機関でございまして、固定資産評価員を使
つて市町村長が価格の決定をするのだ、こう
考えていただけばよろしいと思います。四百四條は固定資産評価員の規定でございます。固定資産評価員は「
市町村長の指揮を受けて、固定資産を適正に評価し、且つ、
市町村長が行う価格の決定を補助する」ことを任務といたしておるわけでありますこういう人は、二項で、「固定資産の評価に関する知識及び経験を有する者のうちから、
市町村長が、当該
市町村の議会の同意を得て、選任する。」特別職にいたしておるわけでございます。こういうことによりまして広く有能の上を、固定資産評価員に選任して行きたい、また選任された人は
市町村の議会の同意を得ている人であるから、
住民としても十分信頼感がおける、こういうふうなことをねらいにいたしておるわけでございます。さらにまた一項に、この問題につきまして多少くふうを加えているのでございまして、「二以上の
市町村の長は、当該
市町村の議会の同意を得て、その協議によ
つて協同して同一の者を当該各
市町村の固定資産価員に選任することができる。この場合の選任については、前項の規定による議会の同意を要しないものとする。」要するに
町村が単独でなかなかりつぱな固定資産評価員が得られない場合があります。これはむしろ数
市町村が協同して選んだ方が、有能の士を選任して行くことができる。あるいはまた
市町村間において、周知資産の評価が区々である、それでいろいろと
住民との間に
摩擦が起きるわけなんでありますので、できるだけ均衡のとれた評価がなされなければならない、均衡のとれた評価をするならば、
市町村会によ
つて選任された同一の人によ
つて評価されるということが穏当であろう。最終の決定権は
市町村長にあるわけでありますが、一応の評価の下準備というものは、同一人の手によ
つて行わした方が穏当だというようなことが
考えられるわけであり事。こういうようないろいろの理由から、固定資産評価員は、
市町村に一人を置くことを原則とするのだが、
関係市町村長が相寄りまして、協同して同一の固定資産評価員を、それぞれの固定資産価員に選任してもさしつかえない、こういうふうな規定を設けておるわけでございます。四項は「固定資産評価員は、当該
市町村の他の財務に関する事務に從事する職員を兼ねることがで奉る。」といたしておきまして、場合によりましてはその市の税務課長を兼ねてもさしつかえないというような弾力のある
制度にいたしたいと
考えているわけであります。また責場な
市町村におきましては五項で「
固定資産税を課される固定資産が少いため固定資産評価員を選任する必要かないと認める場合においては、自ら固定資産評価場長を兼わることができる。」とま
つたく自主的な判断にまちたいというような態度を、
法律の上でとろうとしておるわけでございます。四百五條は「
市町村長は、必要があると認める場合において、固定資産の評価に関する知識及び経験を有する者のうちから、固定資産評価補助員を選任して、これに固定資産評価員の職務を補助させることができる。」というふうにいたしておるわけでございまして、固定資産評価員は一人でありますか、これを補助するための補助員は何人あ
つてもよろしいというような
考え方を持
つておるわけでございます。四百六條は兼職禁止の規定、四百七條は欠格事項を書いた規定でございます。いずれも固定資産評価員の地位というものを高からしめたい、あるいはまた
住民がこれに対して信頼感を寄せるような
制度にしておきたいというねらいを持
つて設けておる規定でございます。
三百七十七ページへ行きまして、四百八條は「
市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該
市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」第二項として「固定資産評価員は、前項の実地調査の結果に基いて、毎年一月一日現在における時価によ
つて、固定資産の評価をしなければならない。」第三項は「固定資産評価員は、前百項の規定による評価をした場合においては、
地方財政
委員会規則で定める様式によ
つて、遅滞なく、評価調書を作成し、これを
市町村長に提出しなければならない。」こういうふうに
市町村長の責任でありますところの固定資産評価の準備を、固定資産評価員をして行わせる手続を規定いたしておるわけでございます。
さらに四百十條で「
市町村長は、第四百八條第三項に規定する評価調書を受理した場合においては、これに基いて毎年一月一日現在における固定資産の価格を二月五日までに決定しなければならない。」ということにいたしておるわけであります。二月五日までに決定しました価格を、二月六日から十五日まで
住民の縦覧に供するわけであります。
住民の縦覧に供しまして、それから異議のあります部分につきましては、
納税義務者から異議の申立を認める。申立期間を経過いたしますと、そのままその価格が確定するという
制度をと
つておる。またその固定資産
課税台帳の縦覧期間に関します規定は、四百十五條に置いておるわけであります。四百十五條で縦覧期間は二月六日から二月十五日までだとしておるのでございます。そしてさらに縦覧した台帳につきましての異議の申立期間というものを、四百三十二條のところで「
固定資産税の
納税者は、その納付すべき
固定資産税に係る固定資産について固定資産
課税台帳に登録された事項について不服がある場合においては、第四百十五條第一項の縦覧期間の初日からその末日後十日までの間において、又は第四百十七條の通知を受けた日から三十日以内に、文書をも
つて、固定資産評価審査
委員会に審査の請求をすることができる。」ということにいたしております。從いまして二月十五日が縦覧期間の満了でありますから、二月二十五日で異議の申立期間も終るわけでいございます。二月二十五日で終りますと、今度は固定費産評価審査
委員会が審査の請求を受けましてから、決定をする期限でございますが、それは四百三十三條のところで「その請求を受理した日から二十日以内に審査の決定を」なければならない。」ということにいたしております。從いまして二十五日に受けましたものは、もし二十日で完了いたしますと、三月の十五日に確定する、こういう順序にな
つて参るわけであります。そして四月一日になりますれば
納税をしてもらうように令状を出すように準備をして行きたい、こういうようなところから評価期日を逆算いたしまして、一月一日ということをきめたわけであります。
それでもう一ぺん必要のところへ戻りまして御
説明いたしたいと思いますが、三百七十五ページの第四百十一條でございます。「昭和二十五
年度分の
固定資産税を課する償却資産に限り、
市町村長は、前條第一項の規定にかかわらず、昭和二十四年七月一日現在における価格を昭和二十五年十一月三十日までに決定しなければならない。」といたします。土地や家屋は賃貸価格を使うわけでありますが、償却資産現実の時価に評価しなければなりません。しかしながら資産再評価法によ
つて、再評価されます場合に使いますところの物価指数というものは、七月一日を押えておりますので、この資産再価評法による再評価と調子を合せますために、昭和二十四年七月一日、現在における価格というふうな規定を設けたわけでございます。
それから次の四百十三條でありますが、昭和三十五
年度分の
固定資産税を課する農地以外の土地及び家屋に限り、その価格は、賃貸価格の九百倍をとるというので、その
趣旨をうたい、四百十三條で農地につきましては自作農創設特別措置法の法定対価に二十二・五を乗じて得た額とするという規定を置いたわけであります。御
承知のように農地の法定対価は、原則として山は賃貸価格の四十倍に二十二・五をかけますと賃貸価格の九百倍ということになる。畑は原則として賃貸価格の四十八倍でありますから、四十八倍に二十二・五をかけますと賃貸価格の千八十倍ということになります。それから四百十四條へ行きまして、固定資産価格の最低限度を規定しているわけでありますが、「
市町村長又は
地方財政
委員会が固定資産の価格を決定する場合においては、その価格は、左の各号に掲げる額を下ることができない。」一号は資産再評価法の規定によりまして、現実に再評価をした額を下ることができない。企業が自分の固定資産はこれだというように、現実に再評価をいたしました場合には、その再評価額を下ることのないように価格を決定するということになるわけであります。
将來の問題といたしましては四百十四條二号に記載しておりますように「法人税法の規定による
所得の計算上損益又は必要な経費として控除すべき減価償却額又は減価償却費の計算の
基礎となる固定資産の価額」を下ることができないということにいたしまして、
一つの目途をここに設けているわけでございます。
四百十五條の縦覧の問題は先ほど申し上げましたので省略いたします。あと若干手続的な規定でありますので省略いたしまして、三百八十ページの四百十九條の規定であります。固定資産の価格が
市町村間に著しい不均衡かあることは、おもしろくないことでございますので、そういう場合にけ道府県に、勧告権をこのところにおいて與えているわけであります。その勧告がありました場合百には
市町村長は、その価格を修正して登録しなければならない。しかしながらあくまでも修正の場合にも
市町村長の責任において、その判断において行わなければならないという建前をと
つているわけであります。
市町村の自主性というものを尊重いたしているわけであります。それからあとは省略した方がよろしいと思いますので省略いたしまして、三百八十二ページの最後のところの四百三十三條固定資産評価審査
委員会の問題でございます。固定資産の価格を評価いたしますのは、これは全面的に
市町村長の責任でございます。その前
町村長の決定した価格が適正であるか、適正でないかという問題の判断は、これは
市町村がいたしませんで、別の審査機関を設けておるわけでございます。別の審査機関がすなわち固定資産評価審査
委員会でございます。
関係のところを朗読いたしますと、「固定資産
課税台帳に登録された項に関する不服を審査決定するために、
市町村に、固定資産評価審査
委員会を設置する。」一項で「固定資産評価審査
委員会は、
市町村税の
納税義務者のうちから、当該
市町村の議会の同意を得て、
市町村長が選任する委員三人をも
つて組織する。」ということにいたしておるわけでございます。この委員の任期は三年でありますが、設置の当初は一年、二年、三年と、三人それぞれに任期をつけるわけでございます。四百二十五條には兼職の禁止の規定を設け、四百二十六條では委員の欠格事項の規定を設けまして、固定資産評価審査
委員会の委員の地位を保障しておるわけでございます。しかしながら四百二十七條で「
市町村長は、固定資産評価審査
委員会の委員が心身の故障のため職務の執行が」できないと認める場合又は委員に職務上の
義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、当該
市町村の議会の同意を得てその任期中にこれを罷免することができる。」罷免の必要のある場合もありましようから、こういうふうな限定を設けた上で、
市町村長に罷免の
権限を與えておるわけでございます。
四百二十八條は
会議の開会の期間等の手続的な規定でございます。三百八十八ページに行きまして、四百三十三條の規定でございますが、「固定資産評価審査
委員会は、前條の院審査の請求を受理した場合においては、直ちにその必要と認める調査、口頭審理その他事実審査を行い、その請求を受理した日から二十日以内に、審査決定をしなければならない。」しかもこれらの審査につきましては、第六項で「第一項の審査は、公開して行かなければならない。」と公開の
趣旨を明確にいたしておるわけでございます。公正に決定が行われることをこういう点において期待をいたしておるわけでございます。四百三十四條以降は訴願または出訴に関する規定でございますので、省略いたします。三百九十二ページの四百三十六條の規定で「
市町村長は、第四百條、第四百十條、第四百十七條、第四百十九條第二項又は前條第二、項の規定によ
つて、土地及び家屋の価格格決定し、又は修正した場合においては、その価格を、遅滞なく、当該決定又は修正に係る土地又は家屋の所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。」
義務を課しておるわけであります。登記所におきましては、不動産登記等の仕事も扱
つておりますので、これら全体を通じまして、土地や家屋の価格が適正であるか、適正でないかという
一つの判断も生れるわけでございます。從いまして登記所からも
意見があれば当然
協力的な意味において、
市町村長に
意見が出て來るだろうということを
考えておるのでございまして、
市町村と登記所が相互に
協力関係に立つということを、この面においても期待しておるわけでございます。
第六款の「犯則取締」は他の
国税犯則取締りに関する規定とま
つたく同一でございます。