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奧野政府委員 二百七十二ページの市町村民税、二百九十三條は用語の定義を掲げたわけであります。大体所得税法の用語と同じように、市町村民税においても言葉を使
つているわけであります。二百九十三條もやはり用語の定義でありますが、所得税法が昭和二十五年から改正されておりますので、市町村民税の昭和二十五年度分は、昭和二十四年分の所得税を基礎とします以上、用語におきましても二十五年度分だけの特例を必要といたします
関係上、こういう
規定を置いているわけであります。二百七十七ページの市町村民税の
納税義務者等を
規定した二百九十四條を読ましていただきますと、「市町村民税は、第一号の者に対しては均等割による額及び所得
税額、課税総所得金額又は課税総所得金額から所得
税額を控除した金額を課税標準とした額の合計額によ
つて」この後者の所得割の部分は、昭和三十五年度だけは所得
税額をとるのだということを、別のところに特例を
規定しているわけであります。さらに「第二号又は第三号の者上に対しては均等割額によ
つて課する。」一号は「市町村内に住所を有する個人」従来は一戸を構える者というふうな
規定をしてお
つたものが家族主義的な構成から、こういうふうな個人主義的な構成にかわ
つたわけであります。括弧の中は非課税の者を拔き出しているわけであります。「前年はおいて所得を有しなか
つた者及び生活保護法の
規定による生活扶助を受ける者」は除かれるわけであります。「所得を有しなか
つた者」でありますから、かりに收入がありましても、それに見合う必要経費を控除した結果赤字になるというふうな場合には、もとより所得がなか
つたということになるわけでありますから、課税の対象になりません。二号は「市町村内に事務所も事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有していない者」「家屋敷を有する」というのは、自己の居住の供する家を家屋敷と呼んでおるのでありまして、單なる家屋を持
つているという
意味ではございません。三号は「市町村内に事務所又は事業所を有する法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定のあるもの」従来と同じことでありますが、法人格を形式的に持
つておりませんでも、実質が同じようなものは、納税
義務を認めたいという
考え方であります。二項は「市町村民税は、前項第三号の者に対しては、その事務所又は事業所ごとに課する。」従いまして、一市町村内に事務所がたくさんある場合には、幾つもの納税
義務を負うわけでありますが、別のところに、こういう場合には均等割額を
軽減するという
規定を置いているわけでありましてもそれで負担の過重になる分は救
つて行けると思います。
第二百九十
五條は個人の市町村民税の非課税の範囲でありますが、その
一つは「不具者及び未成年者」であります。第二には「寡婦」第三には「同居の妻」このうち、不具者や未成年者でありましても、個人の有しますところの土地や家屋でありますとか、あるいは事業を、不具者あるいは未成者の名義にすることによ
つて、市町村民税を免れるということがあ
つては穏当でありませんので、資産所得あるいは事業所得を有しました場合には、この部分につきましては所得割はやはり課して行くというようなかつこうに、第二号のところでいたしております。また寡婦でありましても「十八年以上の子女を有する場合又は前年において十万円をこえる総所得金額を有した場合」は、やはり一項、三項とも課税の対象にするというふうにいたしているわけであります。同居の妻につきましては均等割は課さない。しかしながら所得判の方は課するというような建前をと
つているのでありまして、夫婦が所得税をわけて納めるというような場合も、財産の分配の仕方であり得ると思うのであります。所得割については非課税の
規定は置く必要はない。そういう点から
考えまして、このような
制度にいたしているわけであります。第二百九十六條は、個人以外の者の市町村民税の非課税の範囲であります。大体従来の非課税の範囲と同じでありますけれども、労働組合でありますとか、国家公務員法第九十八條の
規定に基く一般公務員の組合、その他の
団体、こういうふうなものを新しく非課税の範囲に加えたわけであります。第二百九十
七條は市町村民税の課税標準である所得
税額等は前年の実績に基くものであるということを、ここに明確に書いであるわけであります。二百九十八條以下の
規定は、他の
税目に関します
規定とま
つたく同一でありますので省略いたしまして、三百八十四ページの
申告義務のところに移りたいと思います。
第三百二條は、市町村民税の
納税義務者は、六月十日までに当該市町村の
條例の定めるところによりまして、課税上必要なる事項を市町村長に
申告してもらう。賦課期日が六月一日でありますので、六月一日に現実に住所を有した市町村に、納税
義務を持
つているわけであります。なるたけ早く課税いたしませんと、住居の移動等に伴いまして、課税客体の把握に困難を来します
関係上、期限を六月十日というふうに切
つているわけであります。それから三百四條の方は、市町村民税の所得割は、所得
税額を課税標準にいたします
関係上、所得
税額が国の税務署の
更正決定等によ
つてかわ
つて参りますと、さらに市町村民税の所得判の課税標準も、かわ
つて来るわけでありますので、そういう場合には、ただちに町村長の方にも
申告してもらうというふうな規正をいたしているわけであります。二百八十六ページからの
罰則規定は他の
関係と同じであります。
二百八十八ページの三百
七條は、源泉
徴收票等の写の提出
義務でありますが、俸給生活者につきましては、確定
申告を出さない人たちが
相当たくさんあるわけであります。そういう人たちの所得を正確に把握いたしますためには、單に税務署について調査しただけでは困難でありますので、俸給生活者につきましては、俸給を
支拂う者がその者につきまして所得税を徴放する
義務を負
つておりますから、この所得税を
徴收する
義務を負
つている者が、一月になりますと前年中に
支拂つた給與額と、それから給與について
徴收いたしました所得
税額とを、各人別に記載いたしまして——これを源泉
徴收票と呼んでいるわけでありますが、これを本人と税務署とに一通ずつ交付、または提出する
義務を持
つているのであります。この源泉
徴收票を市町村にももらいたい。そうして市町村がそれによ
つて俸給生活者につきましての正確な所得額なり、あるいは所得
税額なりを把握したいという
考えに立
つているわけであります。この源泉
徴收票は会社等の給與
支拂い地に属する市町村に提出することにな
つておりますので、よその市町村からその市町村に通
つて来て勤務している者、そこで給與を得ているというようなものについての源泉
徴收票は、源泉
徴收票を受取
つた市町村から住所地の市町村の方へ送らなければならないというような
規定を三百十條のところに置いているわけであります。この源泉
徴收票等の写しの提出期限は、税務署に提出する期限と同じように
考えているわけでありますけれども、三百八條で昭和二十五年度だけの特例を
規定しているわけであります。もとよりこの法律案の提出が遅れました関定上、この四月三十日という期限も延長しなければならないというように
考えております。
次に第三款の課税標準及び
税率でありますが三百十
一條の均等割額によ
つて課する市町村民税の
税率であります。二項の方で法人に対します
税額も
規定しているわけでありますが、法人に対しましては、標準
税率は個人の二倍、制限
税率は個人の四倍という額を採用しているわけであります。三百十二條は、先ほど
ちよつと申し上げたわけでありますが、
納税義務者というものが、家族主義的な構成から個人主義的な構成にかわ
つて行く、その結果一世帶内にたくさん
納税義務者ができまして均等制額だけでもたくさん納付しなければならない。その負担が苛酷になるというような場合も予想されるわけでありますので、一号ないし四号をもちまして、こういう場合には
軽減することができるという
規定を置いたわけなのでありましてその
軽減の仕方は
條例にゆだねておるわけでありますけれども、この
規定の
趣旨から見まして、
軽減の処置を市町村が積極的に請じなければならないというように
考えております。
二百九十二ページ、三百十三條は、所得
税額等を課税標準とする市町村民税の
税率を
規定しているわけであります。所得
税額を課税標準といたしますものは、第一項のところで標準
税率と制限
税率の二つを
規定しているわけであります。ところが、課税総所得金額を課税標準といたしますものと、課税総所得金額から所得
税額を控除した金額を課税標準といたしますものとは、二項と三項にそれぞれ制限
税率を
規定しただけでありまして、標準
税率は
規定していないわけであります。従いまして、これらにつきましては、累進
税率あるいは比例
税率を適宜その
判断によ
つて採用すべきものと
考えておるわけであります。
三百十四條は、先ほど
ちよつと申し上げましたように、昭和二十五年度から所得税法が改正されまして、いろいろと
規定の上にも変更があるわけであります。そこで二十五年度分の市町村民税は、二十四年の所得
税額を基礎といたします以上、いろいろと読みかえの
規定を必要とするのでありまして、その
趣旨で設けました
規定でございます。二百九十四ページへ行きまして、三百十
五條は市町村による所得の計算でございます。市町村民税の所得割は、所得
税額等を課税標準に用いるわけでありますけれども、これらの所得
税額等の
決定が税務署において必ずしも適正に行われていないというように市町村が
考えます場合に、適正ではないと思うものを除いて、そのまま課税標準に市町村が使用しなければならないということは穏当でないわけであります。そこでそのような場合には、市町村がみずから所得税法に
規定する計算の方法によりまして、所得額とか、あるいは所得
税額とかいうものをみずから算定いたしまして、これを標準として市町村民税を
考えて行くことができる、すなわち、市町村が市町村民税の課税にあたりましては、
均衡が確保せられるようにみずから全
責任を負わなければならないというような建前に、こういうところにおいてもいたしておるわけであります。さらに二百九十六ページの三百十六條は、そういうふうな所得税ないしは所得
税額の計算が、單にある特定の
納税義務者について穏当ではない、それだけではございませんで、税務署の管轄区域を通じて、非常に不適正であるというふうな場合には、全部について、市町村が計算のし直しをやれるという
規定をいたしているわけであります。言いかえれば、ある
意味においては税務署の否認であります。従いまして、こういう場合にはさきの場合と違いまして、
地方財政委員会の許可を條件にいたしているわけなのでありまして、また各市町村協力して、こういう
関係からも所得額を
国民相互間に十分の
均衡のとれたような形において、把握するというような努力が行われるものというふうに、期待しているわけであります。こういう場合には三百十
七條で、市町村が計算いたしました所得を
関係の税務署長に通知してやらなければならないというふうな
規定をいたしているわけであります。
第四款の賦課及び
徴收でありますが、三百十八條で賦課期日を六月一日にしております。これを早くすれば市町村の收入の上から好ましいのでありますけれども、四月、五月は出納閉鎖期であります
関係上、課税に手がまわらないわけであります。そこで出納閉鎖期を過ぎます一番早い時期である六月一日をと
つているわけであります。市町村民税の納期は、三百十九條は定めであるわけでありますが、農業所得等それぞれ市町村の
実情に応じまして、この納期は変更することができるわけであります。三百二十條は、市町村民税につきましては源泉
徴收の方法を採用いたさないのでありまして、普通
徴收の方法によるということを明記いたしているわけであります。さらに三百二十
一條の市町村民税の納期前の納付は、市町村はその
條例の定めるところによりましである
程度の報奨金を出す、そういうことによ
つて納税義務者の
状況によ
つて少、額のものを何回にもわけて足を運ばなければならないようなことを避けたい人たちに対しては、進んでそういうことをしていただいて相互の事務をできるだけ簡素にして行きたいというふうな気持を持
つているわけであります。三百二十二條以下の
規定で納期限の延長嘆ほかの
税目に対します場合と同じであります。ずつと三百十二ページの三百四十條まで、督促及
滞納処分も
犯則取締りもま
つたく同一であります。