○奥野
政府委員 それでは第
一條から問題のところだけを申し上げて行きます。
第
一條の六号におきまして、新しく徴税令書の様式を定めております。従来は税を課せられましても、その
内容がなかなかわかりにくかつたわけでありますけれども、今回の
改正によりまして、徴税令書には、どういう
法律や條例の
根拠において課されるものであるか、どういう計算においてその税額が算定されたものであるか。さらにそれが不服である場合には、どういう救済の方法が許されておるかというふうなことまで、親切に書くという方針をと
つておるわけであります。
さらに八号の申告納付、これは新しく
地方税の中に導入いたしました徴收の方法であります。
附加価値税その他につきまして、新しく申告納付の
制度を採用しているわけでありまして、従来の権力的な課税方式に一歩を進めた民主的な納税方法を、若干広げて行きたいという考え方を持
つているわけであります。
それから次の八ページへ飛びまして、十一号で、申告納入の問題が起きております。従来たとえば映画館の興行者、あるいは料理店主、こういう人たちは
入場税や遊興飲食税の特別徴收の義務を負
つておるわけでありますけれども、こういうものにつきましても、納額告知書を
地方団体が出しましてから、初めて税金を納入するという
制度にな
つてお
つたのでありますが、これからはそういう特別徴收にかかわります税金は、徴收した者がみずから進んで申告書とともに
地方団体に、納入して行くというような自主的な
制度にかえて行くわけであります。そのほかにはあまり根本的な
改正はございません。
ずつと飛びまして、四條と五條とに、道府県と
市町村との税目の
配分を
規定しているわけであります。
それからずつと飛ばしまして、十四ページの第十八條であります。第八條におきまして、課税権がどこの
地方団体に帰属しているかということについて争いがある場合があるわけであります。たとえば
附加価値税につきまして、これは
事務所の所在地の府県が課税権を持
つておるわけでありますけれども、事業所があるかないかというようなことにつきましても争いが起き得るわけであります。そういう場合には、
市町村間の問題は府県知事が、府県間の問題は
地方財政委員会が
決定することにいたしましたと同時に、こういう問題につきまして、さらに争いのある場合には、出訴して行くことができる。裁判所にまで持
つて行けるものであるということを明確にいたしたわけであります。
それから二十三ページの十八條の、
地方団体が納税者または特別徴收義務者の過納または誤納にかかる
地方団体の徴收金を還付いたします場合、あるいはこれを他の
地方団体の徴收金に充当いたします場合には、納税者や特別徴收義務者が納入すべき期限を遅れて納入した場合には、一定の加算金をとります反面、この
部分につきましては、
地方団体が逆に加算金をつける。納税者、特別徴收義務者の権利の保護を考えておるわけであります。新しく挿入した
規定であります。
それから二十五ページの第二十
一條へ飛ばしまして、道府県税の賦課徴收の委任でありますが、現在は道府県税は全面的に
市町村が徴收の義務を負
つておるわけであります。道府県税は
市町村が徴收しなければならないというふうに、
法律上
制度化されておるわけでありますが、今回の
改正によりまして、府県税につきましては、賦課から徴收の最後に至るまで、道府県か全責任を負うべきである。また
市町村税については
市町村が全責任を負うべきであるという
建前にかえておるわけであります。しかしながらそれでは困る場合がありますので、そういう特定の困る場合にだけ、賦課徴收に関する府県の
事務を
市町村に委任することができるという
規定を置いたわけであります。一号は、「道府県税の納税義務者又は特別徴收義務者の住所、居所、家屋敷
事務所、事業所又は
財産が当該道府県の徴税吏員による賦課徴收を著しく困難とする地域に在ること。」非常に交通不便な所でありまして、住民が金融機関あるいは府県の出先に金を持
つて行くことが、かえ
つて煩わしい。それよりは
市町村役場へ持
つて行つた方が、はるかに便利な場合があるわけであります。そういう場合には
市町村がむしろ府県から委任さるべきであるというふうに考えておるわけであります。二号は「
市町村が道府県税の賦課徴收に関する
事務の一部を委任されることに進んで同意した」場合でありまして、むしろ府県としては徴收のために別な出店をつくるということは経済上かえ
つて不利益である。逆に
市町村としましては府県税も一緒に徴收する、それによ
つて大した手数もかからないか、逆に府県から必要な費用をもらうという場合もあり得るわけなのでありまして、そういう場合を予想しておるわけであります。三号は「前二号に掲げる場合を除く外、道府県から当該道府県税の賦課徴收に関する
事務の一部を
市町村に委任することについて申請があつた場合において、
地方財政委員会がその必要を認めて許可をしたこと。」これはもとより限定的に考えて許可の仕事をして行かなければならないといとふうに考えておるわけであります。
次に二十三條の
附加価値税の方に移ります。二十三條で少しかわ
つておりますのは、
附加価値税は第一種事業から第三種事業までの事業の附加価値に対し課税するのだということを、明確にしておるわけであります。従来の事業税は、事業に対する課税でありまして、今回の
附加価値税は事業の附加価値に対する課税であるという書き方をしまして、流通税たる性格をここに示しておるつもりであります。二項が第一種事業の
内容であります。従来の事業税の第一種事業とかわりはございません。それから三十一ページの三項の第二種事業、これは従来の第二種事業から農業と林業とを除外しただけでありまして、それ以外にはかわりはありません。それから三十二ページの四項の第三種事業の
内容でありますが、従来と若干かわ
つておりますのは、従来の特別所得税でありますけれども、この中に十七号に公衆浴場業を加えましたのと、十八号の新聞業を加えましたことが、若干かわ
つておるわけでありまして、いずれも
負担の
軽減をはかろうという
趣旨から、こちらに移したわけであります。
それから二十四條に
附加価値税の非課税の範囲を
規定しております。今申し上げました点は、四号と五号に農業及び林業が非課税の範囲として移
つて参
つて来ております。六号の「鉱物の掘採及び砂鉱の採取の事業」は、これに対して鉱産税が課せられておりますから
附加価値税をはずしておるわけであります。七号も新しく加えたものでありまして、「主として自家労力を用いて行う第二種事業で政令で定めるもの」要するに原始産業につきましては課税をするけれども、自家労力を用いて行うものは課税をしないという
趣旨を明確にいたしたわけであります。附加価値額がいくらでありましても、自家労力によりますものは課税をしないという方針をとりたいと考えておるわけであります。
従つて政令で定めるものは、自家労力によ
つて行うものであるかどうであるかということを、労働の延日数の中で三分の二以下が、自己または同居の親族の労働で営まれておる場合には、これに該当しまして課せられないということになるわけであります。
以下ずつと今まで通りの
規定でありますので、省略いたしまして、四十ページの第三十條へ移りたいと思います。一項は、附加価値額は、法人につきましては各事業年度の附加価値額である。
従つて法人の事業年度が六箇月である場合には六箇月ごとに附加価値額を計算いたします。事業年度が十二箇月である場合には十二箇月ごとに附加価値額を計算するということになるわけであります。さらに五項に行きまして「個人についての附加価値額は、当該年度の初日の属する年の一月一日から十二月三十一日又は事業廃止の日までの総売上金額から特定の支出金額を控除した金額とする。」ということにいたしまして、個人については歴年で計算して行く所得税の課税標準であります。所得の計算と合しておるわけであります。法人の場合も個人の場合も、附加価値額といいましたのは、総売上金額から特定の支出金額を控除したものであります。そこで第六項で、前二項の総売上金額とは何を言うのかということを書いておるわけであります。従来事業税におきましては、総收入金額という言葉を使
つて参
つております。それを総売上金額という言葉にかえましたのは、いわゆる資産收入的なものは事業の附加価値とは見ない。たとえば事業をや
つておるが、かたわら家屋を持
つてお
つて、家賃收入が入
つて来る。そういうものは売上金額の中に入れないという考え方であります。反面そういう家賃を拂つた人はその人の附加価値額の計算にあたりましては、その金額を控除しないわけであります。言いかえれば、家賃を拂つた人は、拂つたところでその家賃に
相当する額の附加価値を生んでおるのだ、だから家賃を拂つたところで家賃
相当額に対しまして
附加価値税を課税して行く、こういう考え方に立
つておるわけであります。さらに言いかえますと、総売上金額に加えないものは、反面附加価値額の計算上特定の支出金融にも入れないわけであります。両方に入れないということになるわけであります。ただここで違いますのは、金融業につきましてはそういう資産收入も金融業の特性から考えまして、総売上金額に加えるということにしております。一応読んで行きますと「第一種事業から第三種事業までの事業に係る
物品(土地、家屋、電気、ガス、動植物その他普通に
物品といわないものを含む。)の売上金額又は役務の対価として收入すべき金額及び固定資産の売却額その他事業に附随して收入すべき金額で政令で定めるものの合計額をいい、利子及び株式配当金並びに地代及び家賃の收入額を含まないものとする。」あとに書いております四つの資産收入は売上金額に入れないかわりに特定の支出金額にも算入しないわけであります。第七項の方で、特定の支出金額を書いておりますが、これは第一には、そこに書いてありますように、事業に直接必要な金額でなければならないと考えております。間接的に必要なものは支出金額には入らない。事業に直接必要であるかどうかという認定を行いたい。もう
一つは外部に支出すべき金額であります。たとえば事業が、自分のところで製造いたしましたもので、固定資産を取得するというふうな場合は、外部に支出すべき金額に入らないわけであります。こういうものでありまして、さらに四十二ページのところを
ちよつと読みますと「土地、家屋、家屋以外の減価償却が可能な固定資産」「商品、半製品、原材料、補助材料及び消耗品の購入代金並びに左の各号に掲げる金額の合計額をいう。」として、一号から九号まで掲げてあるわけであります。そこでそれではある種の支出金額を附加価値の計算にあた
つて特定の支出金額に加えられるか、加えられないかということを考えます場合に、私はこういうことで判断していただきたいと思うのであります。ある企業がある金を支拂つた、その金を受取つた人の所へ
附加価値税を課して行くか行かないか、受取つた人の所へ
附加価値税を課して行けるものなら、その金額は特定の支出金額として控除してさしつかえないと思うのであります。自然支出されたものは受取つた人の所へ
附加価値税を課して行くわけでありますから、それで附加価値額は捕捉できるわけであります。反面にその支出金額を受取つた人の所へ
附加価値税を課せられないようなものは、支拂つた所へ課税して行きませんと抜けてしまうわけであります。たとえば従業員に支拂う給與、これを受取つた従業者に対しまして、
附加価値税は課しません。そこで給與を支拂つた所へ、それを控除いたしませんで、これに
附加価値税を課して行くということになるわけであります。
附加価値税の課税に対しましては、附加価値を生んだ所へ課税して行きたい。さらに
附加価値税は漏らさないように課税して行きたい。さらに
附加価値税は重複しないようなかつこうで課税して行きたい。それから八項に行きまして、「民法第三十四條の法人、学校法人その他政令で定める法人がその事業に係る総売上金額の全部又は一部を社会事業その他の公益事業に支出する場合における当該支出金額は、政令の定めるところによ
つて、前項の特定の支出金額とみなす。」これは公益法人でありましても、
附加価値税を課せられる
種類の事業を営んでおります限りは、一律に同じように課税をしたわけであります。しかしながら公益的な事業を行
つています場合には、それに支出した金額を、特定の支出金額とみなすことによ
つて、そういう公益法人が公益的な事業をやりやすくしたいというような配慮から、こういう
規定を置いているわけであります。さらに九項は「農業協同組合その他政令で定める特別法人が取り扱つた物の数量、価額その他事業の分量に応じて分配すべき金額は、第七項の特定の支出金額とする。」こういう協同組合等の特質から考えまして、物の数量等に応じまして、割りもどしをしました金額は、特定の支出金額と考えまして、それだけ附加価値額を少く計算して課税をして行くというような方針をとりたいと考えておるわけであります。
それから第三十
一條は総売上げ金額から控除すべき支出金額が総売上げ金額を、越えた場合の
措置であります。言いかえれば附加価値額に赤字が出た場合の処置であります。赤字が出ました場合には、これを五年間まで繰越しを認めて行こうというふうに考えているわけであります。事業が建設を行いました場合には、大体附加価値額は赤字になると思います。その赤字を五年間繰越して行くことができるようにしたいと考えているわけであります。
第三十二條は
附加価値税の税率を
規定しているわけでありますが、第二項で「道府県は、前項の標準税率と異なる税率で課税しようとする場合においては、あらかじめ、
地方財政委員会に対してその旨を届け出なければならない。」というふうにいたしまして、
地方団体の自主的な権能を非常に尊重するというふうな
建前にいたしておるわけであります。自主的な権能を尊重する結果、税率が非常にアンバランスになりはしないだろうかという懸念も持たれるわけでありますけれども、他面
地方財政平衡交付金制度の設定によりまして、必要な
財政需要は、標準税率で十分まかなえますように、財源
措置をして行きたいというふうに考えているわけでありますので、その心配はあまりないだろうと思
つております。
それから三十四條は
附加価値税の免税点であります。免税点は十二月分として九万円と考えております。
従つてたとえば六箇月の事業年度で、法人でありますと、免税点はこの半分の四万五千円ということになるわけであります。従来事業税におきましては、免税点は所得が四万八千円未満であれば事業税を課さないということにしてお
つたのでありますが、その免税点に比べますと大幅に引上げております。
三十五條以下に「申告納付並びに更正及び
決定」の手続きを書いているわけでありますけれども、大体所得税、法人税において行われております申告納付の方法とかわりはないわけでありますが、特に異な
つております点は概算納付の
制度でありまして、法人につきましては第三十六條、個人につきましては第三十七條に
規定いたしているわけであります。最終的に附加価値額の確定いたしますのは、法人でありましたならば事業年度の終了した際であります。個人でありますと十二月三十一日を過ぎてからであります。しかしながら
附加価値税を年額一度に納めますことは、納税者といたしましても苦痛でありますので、法人の場合には事業年度が六箇月を越えております場合には、六箇月を過ぎたときに一ぺん概算納付をしておく、個人の場合には年三回にわけて納付することにいたしておりまして、最初の二回は前年の実績を
基礎にいたしまして概算納付をしているというような
建前にいたしているわけであります。
従つて法人の場合には事業年度が終つた際、個人の場合は十二月を過ぎてから、最終の納期の際に清算して納付するということになるわけであります。その概算納付にあたりましては、前年の実績の、個人でありましたら三分の一だけをそのまま押えて行く。しかし三分の一は、その年の状況から見まして附加価値額の大幅に下るようた場合には、それによらないで、かりに二分の一以下に低下いたします場合にはその額によることができるような
制度も設けているわけであります。個人の概算納付の時期を第三十七條の二項のところで五月三十一日までにいたしているわけでありますけれども、
法案の
提出が遅れて参りました
関係上、
施行時期も遅らさなければならない。
従つてこの第一回の納期の五月三十一日を、
昭和二十五年度に限りまして六月三十日にいたしたいというふうな考え方を、いたしましてそれに関連した修正案を
提出したいと考えているわけであります。個人の場合には概算納付は五月と九月であります。そして二月に清算納付をするということにしております。その
関係の
規定は三十七條、三十八條のところであります。法人の場合には事業年度が終りましてから二箇月以内に申告納付をするという
建前にいたしているわけであります。
それから四十條へ行きまして「法人の代表者等の自署及び押印の義務」これも新しく加えられました
規定でありまして、
地方税法の中では
附加価値税と鉱産税についてこの
制度が設けられております。国税の所得税や国税の法人税についても同様の
規定が今回設けられているわけなのでありまして、法人の
提出いたします申告の中には無責任なものが、非常に多いというふうなことがありまして、そういう点から法人の
提出いたしますところの申告書の
理由につきましては、法人の代表者が自署しかつ自己の印を押さなければならないというふうにいたしているわけであります。單に法人の代表者が自署し、押印するだけではありませんで、四十條の二項に書いてありますように、さらに経理に関する
事務の上席の責任者も自署し、かつ押印しなければならないというふうな義務を課してあるわけでありまして、法人
関係の納税義務につきまして、かなりきびしい
規定を置いておるわけであります。しかもまた、この自署や押印をいたしません場合には、四十
一條で罰則を設けております。また虚偽の
提出をいたしました場合につきましても、罰則の
規定を設けておるわけであります。ただしかしながら四十條の四項に書いてありますように、自署及び押印の有無は單に法人に対しまして、正確な申告書を出させようとする
趣旨に出るものでありますので、自署、押印がなくても、その申告書等の効力には
影響を及ぼすものではないという考え方をしておるわけであります。
四十二條で
附加価値税の脱税に関する罰則の
規定をいたしておりますが、従来こういう罰則
規定が非常に重くな
つているのではないか、こういうふうな議論があつたように思うのでありますけれども、全体といたしましてはこういう脱税に関する罪等につきまして、むしろ罰則を軽くしておるのであります。と言いますのは、四十二條の三行目を見ていただきますと、「三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」というふうな書き方をしております。さらにまた三項で、「前二項の免かれた税額が五百万円をこえる場合においては、情状に因り、当該各項の罰金の額は、当該各項の
規定にかかわらず、五百万円をこえる額でその免かれた税額に
相当する以下の額とすることができる。」というふうな
規定を置いております。従来は免れた税金額の五倍以下と書いておつたわけであります。従いまして、かりに二百万円なり三百万円なりの脱税があるとしますと、それの五倍の一千万円にもなります。あるいはものによ
つては三千万円、五千万円にもなるわけでございます。それをこの
程度の罰金にいたしまして、あまり多くなるものはその罰金が「免かれた税額に
相当する額以下の額とする」というふうな方針をと
つておるわけでありまして、必ずしも重くするわけじやないのであ
つて、大体この精神から読まれますように、五倍の額というような大きな額はとらないという考え方に立
つておるわけであります。
それから第四十七條で
附加価値税の更正及び
決定の権限をうた
つております。これらも従来国税でやりました方針と同じような行き方を考えておるわけであります。
さらにまた五十條で
附加価値税の過少申告加算金及び不申告加算金の
制度を設けておりますが、これも申告納付の
制度を採用いたしました結果、過少に申告をいたしましたり、申告をしなかつたりいたしました場合には、それに
相当する税額に対しまして、一定の加算金額を徴收するということにいたしておるわけをありまして、申告納付の
制度を採用いたしました
関係上、起きて来る新しい
制度であります。
さらに五十
一條で、六十八ページでありますが、
附加価値税の重加算金の
規定を置いております。これは「前條第一項の
規定に該当する場合において、納税者が課税標準額の計算の
基礎となるべき事実の全部又は、一部を隠ぺいし、又は仮装し、且つ、その隠ぺいし、又は仮装した事実に基いて申告書又は修正申告書を
提出したとき」の加算金でありまして、そういう場合には加算金を重くするというような方針をと
つておるわけであります。
七十ページの第五十二條の青色申告書による申告手続でありますが、これも新しく所得税や法人税において認められました
制度と同じ
制度であります。ただことしはすでに年の半ばにな
つておりますので、この
制度の採用は来年の一月一日からいたしたいというふうに
規定をいたしておるわけであります。
また青色申告書の
関係の問題でありますが、その記載事項が国税の所得税や法人税に関する記載事項と、根本から違つたものでありますと、納税者が二重、三重の帳簿をつくらなければならないということになるわけでありますから、国税の所得税や法人税と考え方を合せまして、
一つの帳簿でも
つてそれぞれの税に関する要件を充足することができる、こういうかつこうにいたしたいという考え方で、国税
関係と打合せをいたしておるわけであります。
さらに第五十三條で、青色申告書による申告に関する更正及び
決定がございますが、これがすなわち青色申告書の
一つの特権といいますか、恩典ともいえるわけであります。すなわち「道府県知事は、青色申告書の
提出を認められている者のその
提出を認められている期間に係る附加価値額について第四十七條の
規定による更正又は
決定をしようとする場合においては、あらかじめ、その帳簿書願を調査して
地方財政委員会規則で定める記載事項が正確に記載されていないことを指摘し、その指摘したところに基かなければ、これをすることができない。」要するに更正や
決定は、記載事項が間違
つておるということを指摘したところに基かなければやれないのだということにしておりまして、青色申告書を認められておる納税義務者の記載事項というものを、できる限り尊重するという
建前をここに明らかにしておるわけであります。
第五十四條は、「二以上の道府県において
事務所又は事業所を設けて事業を行う」場合の申告納付等でありますが、たとえばある会社が東京都と神奈川県の両方に事業所を設けております場合には、附加価値額は全部の事業所を合せて
一つの計算をするわけであります。東京都における事業の附加価値額、神奈川県における事業の附加価値額というふうに、切り離しては計算をしないのでありまして、本店、支店いろいろありますと、全部
一つにして計算するわけなのであります。出ました附加価値額の総額というものを、東京都分は幾ら、神奈川県分は幾らというふうに按分をするわけであります。その按分の
基礎を第三項に書いてあるわけでありまして、
簡單に申し上げますと、原則として支拂い給與額に按分するわけであります。東京都の事業所において支拂つた給與額、神奈川県において支拂つた給與額の総額を按分しまして、按分いたしました結果出ました神奈川県の附加価値額に神奈川県におきまする税率を乗じまして納付をする、東京都の附加価値額に東京都の税率を乗じまして、東京都に申告納付する、こういう
制度をとろうとしているわけであります。なるたけ簡便な分割
基準を採用をしたいというので、給與額を用いることにしたのであります。さらに製造業等の特定の事業所においては非常に大きな固定資産を使うわけでありますので、こういうものにつきましては二分の一を
基準額に按分し、二分の一を固定資産の価額に按分するという
制度をとろうとしているわけであります。
第五十五條は、「(二以上の道府県において
事務所又は事業所を設けて事業を行う場合の申告納付に関する更正又は
決定)」であります。ただいま申し上げましたような例で申しますと、東京都に本店がある、神奈川県に支店がある。神奈川県はその事業の申告納付にかかる税額を更正したいというふうに考えたといたします。その場合に事業所が多くの県にまたが
つている場合には、ある県からも、ある県からも更正
決定を受ける。これでは事業としては応接にいとまがないからということが言えるわけであります。それでは事業所としても迷惑の場合もあろうと思いますから、事業所が数府県にまたが
つております場合には、更正
決定はすべて主たる事業所所在地の府県知事だけが行うのだというふうにしたいと考えております。従いまして神奈川県は更正したいと考えました場合には、東京都の知事にその請求をするわけであります。そこで東京都の知事はしかるべく更正
決定をするわけであります。その
影響は單に東京都分の
附加価値税だけにかかるわけじやなしに、神奈川県分の
附加価値税にも
影響を及ぼすわけであります。その際に本店所在地の知事が、自分の県の勝手なふうにだけ更正
決定をしてはなりませんので、すべてそういう場合には
地方財政委員会の指示に基いてしなければならないということを
規定いたしておりますのは、第五十五條の第一項であります。そうして
関係府県間において公平に公正な更正
決定が行われ、また事業といたしましてもあつちからもこつちからもこづきまわされるということのないようにして行きたいという考え方をと
つているわけであります。
あと飛ばしまして、七十九ページの第四款では更正、
決定等に関する救済を書いております。この中で特に申し上げておいた方がいいと考えられますのは八十ページの二項であります。「前項の場合において、二以上の道府県において
事務所又は事業を設けて事業を行う者の事業の附加価値額の更正又は
決定に係る
異議の申立は、主たる
事務所又は事業所所在地の道府県知事にするものとする。」たとえば神奈川県の分について更正
決定が気に入らなかつたといたしました場合においても、神奈川県の知事に救済を求めないで、やはり主たる営業所所在地の東京都知事に救済を求める。その
決定によりまして神奈川県分も当然更正をしなければならない。たとえば事業所が十数県二十数県にまたが
つている場合もあるわけでありまして、そういう場合に十数県、二十数県の知事を相手にして不服の申立てをして行かないと問題が解決しないということでは、納税義務者に対して非常に煩雑な手続を負わせることになりますので、主たる事業所所在地の知事だけで、問題が片づけれるというふうにいたしたいと考えておるわけであります。その反面に主たる事業所所在地の道府県知事が、自県にのみ有利な態度をと
つてはなりませんので、こういう場合には五項に
規定いたしておりますように、
地方財政委員会の指示に
従つて、主たる事業所所在地の道府県知事は、不服の申立てに対する
決定を行わなければならないというふうな
制度にいたしておるわけであります。もとよりこういう
異議の申立てに対する
決定については、裁判所に出訴をいたして行くこともできるわけであります。
八十二ページの第五款、督促及び滯納処分は、従来のやり方と別にかわりはございません。
それから八十九ページの第六款の犯則取締りも従来と同じであります。
九十ページへ行きまして、経過
措置のところであります。第七十條で「本節の
規定は、法人が行う事業の附加価値に対する附加価値については、
昭和二十五年一月一日の属する事業年度分から、個人が行う事業の附加価値に対する附加価位税については、同日から、それぞれ
適用する。」と書いております。これは個人につきましては取引高税とのりかえをして行きたいという考え方から、一月一日から適応して参るわけであります。法人の場合には一月一日の属する事業年度分から
適用するわけでありますが、これをどう計算するかというような具体的例を申し上げますと、昨年の四月一日から事業年度は始まりまして、ことしは三月三十一日で事業年度が終
つている法人を仮定いたしてみますと、この法人につきましてまず一年間の所得を算定するわけであります。事業税の課税標準は所得でありますから所得を算定いたします。その所得のうち事業税が
適用せられますものは、昨年の十二月末日まででありますから、四月から十二月までの九箇月分だけを測定するわけであります。
従つて事業の所得かける十二分の九、これに事業税の税率を乗じたものであ
つて一つの税額を算定する。もう
一つは昨年の四月からことしの三月までの十二箇月間の附加価値の総額を算定するわけであります。
附加価値税の
適用になりますのは一月一日からでありますから三箇月分だけであります。そこで附加価値の総額に十二分の三を乗じまして、それに附加価値の税率をかけまして税額を算定するわけであります。この
両者の合計額を
附加価値税として申告納付してもらうというふうな
建前をと
つておるわけであります。
さらにまた二項のところで、「電気供給業及びガス供給業並びに運送業のうち
地方鉄道事業及び軌道事業の附加価値に対する
附加価値税に関する
特例を書いておりますが、この
趣旨はこういうことであります。御承知のようにこういう業につきましては、事業税において外形標準の課税を行
つております。電気供給業でありますれば、売上げ金額の二%が事業税ということにな
つております。
従つて電気料金は消費者から徴收いたします場合に、都市計画税を含めまして二・四%を加算して徴收することができるというふうな統制価格の告示にな
つておるわけであります。
従つて二・四%だけ加算して、現に徴收を続けているわけであります。そこで一月一日にさかのぼ
つて適用することになりますと、その加算をやめなければならない。一旦電気料金を徴收しておつたものを返さなければならぬという問題が起きるわけであります。そこでこういう
部分につきましては、新しい
地方税法が
施行されたあかつきから、
附加価値税が
適用される。それまでは従前通り事業税の方は外形標準式の課税を行
つて行く。言いかえれば売上げ金額に二%を加算したもの、売上げ金額の二%
相当額を事業税にして行くというふうな
制度をと
つております。そういう
趣旨でほかの事業とは
適用の時期を若干かえることにしたわけであります。
それからずつと飛ばしまして九十五ページの七十四條であります。これは
附加価値税にかかる課税標準の
特例でありますが、
昭和二十五年度分の銀行業等に対しましては、附加価値額というものを総売上げ金額の一定の割合とみなしてしまうわけであります。そのみなします場合に、九十五ページの終りから二行目に書いておりますように、総売上金額の、銀行業及び無盡業にあ
つては百分の四十五という数字を使
つております。これは銀行業や無盡業全体について計算をいたしますと、大体こういうことになるわけであります。銀行業や無盡業につきまして
附加価値税を普通の方式で課税して行くことにつきましては、いろいろと矛盾した面がありますので、こういう簡易な方式を採用したわけでありますが、信託業につきましては百分の百をと
つておりますのは、総売上げ金額に信託報酬の合計額をと
つていますから、こういう方式を採用しているわけなのでありまして、大体信託業を行
つているものは、銀行業も兼営いたしておるわけでありまして、銀行業のところで信託にかかわりますものの売上げ金額や支出金額は、それぞれ別途に売上げ金額、支出金額として計上しているわけであります。別に信託報酬を掲げておりますので、信託報酬の合計額をとります
関係上、百分の百を課税標準に使
つて行きたいという考えを持
つているわけであります。
さらに生命保險業にあ
つては百分の十五、損害保險業にあ
つては百分の十七といいますのも、全生命保險業、全損害保險業について計算いたして参りますと、大体こういう数字になるわけであります。
地方鉄道事業及び軌道事業を除く運送業及び倉庫業にあ
つては百分の五十、運送業は運送業の
種類によ
つてかなり附加価値額の
程度は違うと思います。五〇%から七、八〇%になるのじやないだろうかというふうに考えております。倉庫業につきましては大体八〇%内外になるのじやないだろうかというふうに考えております。たまたまこういうものにつきましては事業税の外形標準式の課税をや
つておつた売上げ金額の従来二%であります。そうしますと附加価価額を五〇%と見ますと、四%の税率をかけますと総売上げ金額の二%という同じ割合が出て来るわけであります。倉庫業につきましては、固定資産税の増徴の問題がありますので、
負担の激変を避ける意味で、百分の五十というものを運送業等に合せて
規定したわけであります。
地方鉄道事業や軌道業につきましては、固定資産税の問題等もありますので、それより十だけ下げまして、百分の四十といたしたわけであります。大体軌道業等におきましては、標準的なところは五〇%内外じやなかろうかというふうに、われわれは計算いたしております。
二項は総売上金額の
内容であります。