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1950-03-31 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十一日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 菅家 喜六君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君       河原伊三郎君    清水 逸平君       塚田十一郎君    永田  節君       龍野喜一郎君    大矢 省三君       門司  亮君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    井出一太郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)  連合審査会開会に関する件     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長代理 これより会議を開きます。  法案審査に入る前にこの際お諮りいたします。すなわち目下大蔵委員会において審査中の、昭和二十五年度における災害復旧事業費負担特例に関する法律案は、本委員会としても関連があります上、また深い関心を有しておる次第でありますので、大蔵委員会連合審査会を開きたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅家喜六

    菅家委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお連合審査の時日につきましては、大蔵委員長と協議をいたさねばなりませんけれども、大体本案審議状況から、本日午後一時半より開くようにいたしたいと思います。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長代理 次に地方税法案内閣提出を議題といたします。本案につきましては、政府よりさらに具体的に一応説明を聽取することにいたします。荻田政府委員
  5. 荻田保

    荻田政府委員 それでは地方税法改正案要綱というものがお配りしてございますので、それで御説明いたしたいと思います。  第一に今回の改正の目標でございますが、これはシヤウプ使節団の勧告の基本原則政府も適当と考えまして、この基本原則を尊重して立案しております。  その目標は二つございまして、一つは地方自治の観点から地方税の収入を多くするということと、地方税制自主性を強化する、この二つをねらつております。  それから第二の目標といたしましては、地方税制を根本的に改革いたしまして、国税の改正と並行して、国民の租税負担合理化均衡化をはかるということを目標にしております。  この二つの目標を達するために、方針といたしまして次のようなことを考えております。税の内容につきましては、財産課税の重課、すなわち固定資産税の創設であります。それから次には流通課税の整理でありまして、不動産取得税の廃止、それから自動車等の取得に対します課税の廃止を行つております。それから第三に消費課税の減少、軽減でありまするが、これは酒の消費税を廃止いたします。入場税及び遊興飲食税の軽減を考えております。それから第四に所得課税の増加でありますが、これは市町村民税を二倍半程度増加いたしまして、所得に対する保税を地方税においても大きな税額といたしたいと考えております。それから第五に事業課税の軽減でありますが、これは従来の事業税及び特別所得税を廃止いたしまして、新しく附加価値税を創設いたしまするが、これは従来の事業税に比して、軒減することになつております。それから次は雑税の整理でありますが、電話税とか金庫税とか雑税を整理しております。このようなことによりまして負担の合理化均衡化を徹底するのが大きな方針でございます。  第二に課税標準とか税率等に対しまする地方団体の権限を拡充する。つまり他の国税、市町村におきましては府県税、そういうものに牽制されずに、独自の見地で課税標準税率等をきめることができるようにする。そういたしまして地方税制自主性を強化する。さらにもう一つの眼目といたしましては、都道府県税市町村税とを完全に分離いたしまして、府県税に対する附加税というものは全廃いたしております。これによりまして税務行政についての責任の帰属というものが明確になりまして、納税者側からもそれに対する批判、注文のもつて行きどころというものが、はつきりいたすことになるわけであります。  第三に市町村の自治の本体を考えまして、この税収入を特に強化しております。千九百億の税のうち、千二百億は市町村税と相なります。そうしてことに市町村税におきましては、固定資産税住民税というような直接税をもつて主体にする。これによりまして住民の市町村行政に対しまする関心の増大をはかり、その結果が地方自治の基盤をつちかうようになることを期待しておるのであります。  第四は賦課徴収に関しまする規定の整理、強化を行いまして、納税秩序を確立いたしたいと思います。  第五に全税目にわたりまして税率を明確に規定いたしまして、地域間の地方税負担公平化をはかろう。以上が今回行おうといたしております地方税制改正の方針でございます。  この方針によりましてここに列記してありまするように、道府県普通税におきましては附加価値税以下七つ、なおそのほかに目的税としまして水利地益税市町村におきましては、普通税としまして市町村民税以下十税目、なおそのほかに、目的税といたしまして、水利地益税並びに共同施設税を考えております。  なお今回税制をこのように改正いたしました結果、最後のページにございます道府県民税以下二十一税目が廃止になつております。このうち大部分のものは、新しい市町村民税あるいは周定資産税附加価値税というようなものに変形しておりまするが、実際に名実ともに廃止になりましたものは、酒消費税電話税不動産取得税金庫税、と畜税、使用人税、それから漁業権所得に対する課税以下荷車の取得に対する課税、それから都市計画税余裕住宅税等でございます。  第二に徴税手続合理化でありまするが、これは各税目ごとに徴収の方法、徴税の手続、滞納処分反則取締りというような規定を詳細に設けまして、納税者は税法の、その税に関する部分さえ読めば、その税に対しまする全部のことがわかるというふうにいたしたいと考えております。その結果地方税法が七百五十條というような大きな法律になりました。それから過納にかかわる地方団体徴収金納税者に還付いたし、または未納の徴収金に充当する場合におきましては、やはりこれは加算金をつけまして、その額だけは納税者に返してやる。ちようど延滞をいたしましたときに地方団体延滞金を徴収するのと同じように、こちらから納税者に返す場合には、それだけプラスをして返すということになります。  それから(三)は納税者または特別徴収義務者について滞納処分強制執行破産宣告等が行われておりますときは、地方団体はその徴収金につきまして交付の要求ができるというようにいたしております。  それから(四)は徴税令書課税の基礎とか、税額算定の根拠とかを明確に書きまして、納税者は令書を受取つたとき、はたしてどういう課税がどういう根拠でかかつて来たか、この令書を受取つたらどうしなければならないのかということが、はつきりわかるようにいたしたいと思います。  それから(五)に入場税等特別徴収義務者は、いわゆる申告納税の制度と同じように申告納入をする。自分で税額を計算いたしまして、それを申告すると同時に現金を納めしめる。  それから(六)に国税と地方税先取特権を原則として同順位にいたしました。従来は地方税は国税に劣つておりましたが、このように地方税重要性が増しましたので、国税と同順位にいたすことになつております。ただ滯納処分に着手したようなときは、先にその処分に着手したものが先順位となります。  以下、各項目につきまして、改正の概要を申し上げます。  まず、新しく設けられます税目といたしましては、附加価値税であります。附加価値税課税対象法人または個人の場合、第一種から第三種までの事業附加価値であります。この事業附加価値税は、事業に対して課税するのではなくて、附加価値に対して課税するのでありまして、この点従来の事業税と大いに趣を異にしております。これによりまして、いわゆる収益税から流通税なつたという考え方もできるわけであります。この対象になります事業は、従来の事業税特別所得税課税対象と同様でありますが、ただ農業と林業だけは、全部除くことにいたしております。課税標準の計算は、法人につきましては各事業年度ごとに計算いたします。個人につきましては、一月から十二月まで年間を計算に入れます。  次に附加価値の計算の仕方でありますが、これは世界にも例のない標準であります。理論的にも実際の運営の問題といたしましても、いろいろ議論のあるところでありますが、大体技術的に申しますと、このような計算をすることになります。それは、事業の総売上げ金額から特定の支出額を控除した金額であります。しからばその総売上げ金額とはどういうものかと申しますと、事業にかかわる物品の売上げ、物を売つた金、それから、そういう生産とか販売の会社でなくて、サービスを業としているようなものでは、そのサービスの対価として受けている金額、これをもつて総売上げ金額とみなす。なお事業に附随して収入すべき金額事業自体ではありませんけれども、事業に附随して收入する金額、たとえば固定資産売上げ代金というようなものもこれになります。しかし利子と株式配当金、地代、家賃、こういうものは収入額には含ましめません。これは、つまりこのような利子なり地代なりを支拂う方に、附加価値税が課せられておりますので、それを受取つた方の収入に入れないことにしております。ただ金融業につきましては、その収入利子を除きませんで、これだけは收入利子に対しまして附加価値税を課することになります。これは金融業特殊性によります。  次に控除する科目は、ここにありますように物を買つた代金、これが主体であります。しかもその買いましたものは、いわゆる原料とか消耗品というようなものだけではなくて、土地家屋あるいは減価償却固定資産、つまり固定資産所得額を取得したときにそのまま引く、これは独特の計算方法であります。なおそのほかにイからリに列挙してありますような科目が控除されることになります。つまりこういう科目は、こういう経費を安拂つた方附加価値税が課せられておりますから、そういうものは受取つた方から除外するという仕組みであります。それから昭和二十五年度に限りまして、金融業運送業倉庫業につきましては、負担の激変を緩和するというような意味におきまして、今申し述べましたような附加価値の計算をやりませず、收入金額一定割合をもちまして附加価値と見るということを、納税者の選択によつてとり得るようにしてございます。  次は、標準税率でありますが、これは一種、二種事業に対しましては百分の四、第三種、つまり原始産業及び自由業に対しましては百分の三であります。一%だけ安くしております。制限税率は百分の八と百分の六であります。  次に免税点は、法人及び個人の行う事業附加価値額の総額が、十二箇月分として九万円をもちまして免税点といたします。しかし一年まるまる事業しなかつた者につきましては、月割でもつてこの九万円という額が低下することになります。  次は課税方法でありまするが、課税方法申告納付の制度を採用いたします。つまり納税者から、自分の税額を計算いたしまして、税金とともに納めてもらうことにいたします。申告納付でありまするが、所得税申告納税と違いまして、いわゆる予算で申告納付するのじやなくして、実績によりまして、申告納付することになつております。しかしながら法人につきましては、六月を越える事業年度法人、これにつきましては、半年ごとに一応過去の半年分の附加価値税額を概算納入しておく。個人につきましては、年の中途におきまして二回、つまり五月末日と九月末日とに年間の三分の一のものを概算納付してもらうということになつております。大体あとはここに書いてあります手続規定でございますので、省略いたします。  最後に(8)の項目にありまするが、附加価値税につきましても、国税にならいまして、青色申告書というものを利用いたしたいと思いますが、これは準備が間に合いませんので、二十六年からいたしたいと思います。  それから(11)のところにあります「赤字附加価価額は、五年間これが繰越を認めること。」この意味でありますが、これは固定資産取得額当該年度において差引くために、ある年度におきましては附加価値マイナスになるという場合がございます。その場合はそのマイナスの額は、五年間だけは繰越して、後年度において控除することを認めるようにいたしたいのであります。  次は市町村民税でありますが、市町村民税納税義務者は、従来の市町村民税納税者と大体同じでありまするが、違つておるところは、まず個人につきまして、いわゆる一戸を構えるというような世帯主対象にしておつたのでありまするが、今度は一人々々を対象にいたします。しかし前年において所得のなかつた者には、全然課税されません。また所得はあるけれども生活保護法規定において生活扶助を受けております者は除きます。  それから事務所事業所または家屋敷を持つておる個人及び事務所または事業所のある法人、これに対しましても、やはり納税義務者にいたしますけれども、均等割だけ課税いたしまして、所得割課税いたしません。次に免税者でありますが、市町村民税不具者及び未成年者、それから寡婦、同居の妻、これに対しては均等割課税いたしません。しかし不具者未成年者でありましても、資産所得または事業所得を持つておる者は、これは均等割をいたします。それから寡婦でありましても、十八才以上の子どもを持つておる者、十万円以上の総所得金額を持つておる者、こういうものは除くことにいたします。それから同居の妻でありましても、夫の方が市町村民税納税義務者でない場合、つまり何と申しますか、戸主が妻であるようなかつこうになつておる場合、この場合妻に対しまして均等割課税いたします。それから所得割課税方法は、均等割所得割の二つになります。従来は均等割所得割資産割三つありましたが、資産割の方はなくしまして、均等割所得割の二つにいたします。所得割課税標準は三つの方法がありまして、それを選択することができるようになつております。一つは所得税額標準にする。第二は課税所得金額、要するに所得額課税標準にするもの、第三は所得金額から所得税額を引いたものを課税標準にする場合、いずれもその所得税額なり、所得金額なりは前年において所得税法規定によりて、税務署が査定いたしましたものを、そのまま用いることを原則にしております。  それから四は、申告の手続等でありまするが、要するに自分で所得税額等を申告しなければなりません。しかしこれは申告納付ではございませんので、それに基きまして市町村税額を算定いたしまして、令書を出すことになります。なおこの場合源泉徴收を行いましたものは、自分のところで徴收した所得に関する支拂い調書等税務署に出すとともに、一通を市町村長に出しまして、課税の参考にいたしたいと思います。6のところに均等割標準税率及び制限税率を示しておりますが、この表にありますように、ここに例を申しますと、大都市におきまして標準税率は八百円、中都市では六百円、それ以外の市町村では四百円になる。制限税率は千円、七百五十円、五百円であります。法人ではそれより多くなつております。均等割は文字通り均等でございますから、同額を納税義務者に対して課税することになるのでありますが、たとえば大都市におきましては標準八百円をとりましても、千円の範囲内において切りましたものを均等にとるのでありますけれども、ここに書いてあるようなもの、つまり扶養親族のようなものに対しましては、軽減することになつております。  それから所得割課税方法であります。これは今申しました三つの方法を選択することができるようになつておりますが、昭和二十五年度におきましては、課税の混乱を防ぐために第一の方法、つまり所得税額課税標準にするものだけということにいたしたいと思います。  税率につきましては、第一の方法に対するものは百分の十八が標準税率でありまして、百分の二十が制限税率でありますが、(2)と(3)につきましては標準税率はございませんで、制限税率だけが十と二十とに定まつております。このうち(1)の場合は、おそらく均等の率になります。累進ということはありません。しかし(2)と(3)はある程度累進率になります。その最高を納めるものに対しましても、やはり百分の十を、あるいは百分の二十を越えてはいけない。その範囲内において累進の税率なつております。  9は省略いたしまして10でありますが、市町村民税賦課期日は六月一日であります。そうしてこの税額を七月、九月、十二月、二月の四回にわけて納めることになります。  11の規定でありますが、これはこのように四回にわけて納めますが、初めの納期にあとの納期の分までも納めておきたいというものがありましたら、これを認めることとしまして、これに対しては一月千分の五の報償金を出すことにいたします。  次の固定資産税であります。固定資産税は地租、家屋税がかわつて、新たに償却資産課税対象になつたのであります。従いまして固定資産税課税対象土地家屋償却費産、この三つになります。償却資産とは土地家屋以外の有形の資産、無形のものは含みません。有形の資産であつて、それが所得税法あるいは法人税法によりまして、原価償却を認められるものの対象なつているものであります。もちろん所得税法法人税法が適用にならないもの、適用されておつてもその年税がかからないもの、こういうものに対しましても、これに類するものに対しましてはもちろん固定資産税はかかります。  固定資産税の免税の範囲でありますが、これは従来の地租、家屋税の免税と大体同じであります。まず国が公共用に使つているもの、それから宗教法人が使つているもの、基地とか道路とか水道とか、こういう、公共的な施設それから国宝、史蹟、名勝天然記念物重要美術等の指定されたもの、それから学校で使つておるもの、それから社会事業計画で使つておるもの、それから公団の中で——公団全体的には課税いたしますが、ただ船舶公団の持つておる船と、産業復興公団の持つておりまする固定資産、これだけは除外いたします。自動車自転車、車税が残つておりますので、重複課税を受けるために、自動車自転車は除外いたします。それから賠償施設は、これに指定されておるものは非課税にします。  次に固定資産税をかけます場合には、台帳に登録せられました価格標準といたしますので、台帳というのが問題になつて来ますが、三つの性質によりましてわけております。土地台帳家屋台帳償却資産台帳この三つにわけております。土地課税台帳家屋課税台帳というものを市町村に備えることになつておりますが、これは従来ありまする土地台帳家屋台帳の複本をもつてこれにあてるということになります。まだそれにのつていない土地家屋につきましては、土地補充課税台帳家屋補充課税台帳とを市町村でつくつて備えることになります。  6のところに、課税標準が書いてありまするが、地租、家屋税は、課税標準は従来賃貸価格であつたのでありまするが、新しいものでは価格ということになります。価格とは適正な時価、毎年一月一日現在におきまして、客観的に見て適正な時価をもつて、固定資産税課税標準になりまする時価と見るわけであります。これをどうして評価するかという点が非常に問題だと思いまするが、その評価の責任は、もつぱら市町村長にございます。市町村長が責任をもつてこれを決定するのであります。まず一月一日現在の市町村内の財産を全部調べまして、そうしてその価格台帳に登録するわけであります。その登録価格の評定にあたりますために、特に固定資産評価委員というものを置きます。これは市町村に一人ずつ置くことになりまするが、いわゆる收入役みたような一種の資格と、それから選任方法につきましても、当該市町村の議会の同意を得るというようなことを考えております。なおそのほかに、特別の適格條項あるいは兼職禁止というようなことも設けまして、特にこの評価委員を重要視しております。これが評価いたしまして、それを市町村長に報告する。それがこの台帳に載るわけであります。この台帳一定期間縱覧に供しまして、それに異議ある者は異議の申立てをするわけであります。その異議の申立てがありました場合、採決いたしますのは市町村長ではなくて、市町村固定資産評価審査委員会というものを置きまして、ここで評価審査することになつております。この委員会は、市町村長が議会の議決を経て選任する三人の人からなるわけであります。特に二十五年度につきましては特例を設けまして、土地家屋につきましては、今申しましたような評価は行いませんで、現在ついております賃貸価格に一定の倍数をかけたものをもつて出す。農地以外の土地家屋につきましては、賃貸価格の九百倍であります。農地につきましては、自作農創設特別措置法によりましてきまつております対価、政府買上げの際に支拂います価格公定価格であります。それに二十二・五倍を乘じたものをもつて時価と言います。この価格は、大体田につきましては四十倍、それから畑につきましては四十八倍になつておりますので、それに二十二・五倍を乘じますと、やはり田については賃借価格の九百倍になります。畑につきましては千五十倍くらいになります。  それから次に(8)の税率であります。標準税率を百分の一・七五にいたします制限税率の定めは、原則としてありませんけれども、二十六年度から二十八年度までは百分の三をもつて制限税率とします。ただ二十五年度に限りまして、税率を百分の一・七五に一定することになります。全市町村とも百分の一・七五で課税しなければならないことになります。これは非常に異例な措置なのでありますが、このねらいといたしまするところは、昭和二十六年度以降におきまして、土地建物につきましても、それぞれ時価の評価が行われるわけであります。現在ついておりまする賃貸価格が非常に不均衡である。しかしこの不均衡は、賃貸価格がいかにも低いために、あまり目立たないのでありますが、それを九百倍いたしまして、それに百分の一七五をかけるというような、全国一律の方法税額をきめますと、その税額はおそらく相当不均衡である。その不均衡が目立つて納税者にわかるから、二十六年度以降はほんとうの時価をきめる場合の参考になるだろう、こういうねらいにしております。  それから免税点は三万円であります。固定資産税賦課期日は一月一日でありまして、納期は四月、六月、八月、十一月の年四回であります。  12の「その他」のところで、この地方財政委員会が、船舶とか車両とか、数市町村にわたつて動かされるようなもの、鉄道、配電設備とか、数市町村にまたがつて存在する固定資産こういうものにつきましては、地方財政委員会がみずから価格を民定いたしまして、それを関係の市町村に配分することになります。それからまた大きな工場等がありまして、しかしその工場の影響が近隣の市町村に及んでいる、あるいは大規模の発電設備があつて、その近隣の市町村と経済的に密接なる関係がある、こういう場合におきましては、その固定資産につきましては、やはり地方財政委員会がみずから評価いたしまして、それを関係市町村に配分することになります。従いまして大規模の工場とか、発電所があるため、その固定資産税だけをもつて、その市町村の所要税額をまかなつてあまりがあるというようなことは起らないことになります。  次に、各種の税目についての変更であります。まず入場税でありますが、この税率を三分の一引下げることでありますが、これはすでに先般国会提出の法律によりまして、三月一日より施行されております。それから次に博覧会に入場する者、その他の税率について、百分の四十にするということも、すでに成立しております。  それから次に免税の規定を設けたのでありますが、この免税を受ける要件は、五つありまして、一つは、学校とか社会事業団体が主催するものということになつております。それからその演奏に出る者は生徒とか、しろうとでありまして、専門家でないということと、その催しものは映画とか演芸とか、そういうものに限る。それから第四に、催しものの純益を全部学校とか、社会事業で使つてしまう。第五にそれに従事する者は、全部無報酬で働く。こういう五つの條件の備わつた場合に限つて免税になります。次に入場税の徴収を強化するために、まず全員を無料で入場させる場合には、その経費をもつて入場料金と見なして、入場税を課すことにいたします。それから第二に催しもの主催者は必ず都道府県で発行いたしまして、一連番号をつけた入場券を使わなければいけない。第三に、この入場券を使つて、そういう場所に入る場合には必ず切取りをする。第四に特別徴収義務者であるものは、特別徴收義務者であるということについて、知事に申請し、その登録を受けたという証票を見やすい場所に掲げておくというようになつております。それから臨時の催しものについては、入場税を予納させることができるようになつております。またそのような場合に入場税の特別徴收義務者が税金を納めなかつたような場合には、その場所の所有者に対して支拂いを求めることができるようにいたします。  次は遊興飲食税であります。これにつきましては全般的に税率を下げております。まず芸者その他これに類する者の花代は、現行百分の百五十でありましたのを百分の百にいたします。それからその他の料理店、カフエー、バー等の飲食遊興につきましては、従来は芸者を呼んでおる場合には、百分の八十、その他の場合には百分の五十でありましたのを一つにいたしまして、百分の四十に引下げております。それから宿泊及び前号以外の飲食、大衆食堂とか喫茶店等に類するもの、こういうものは従来とかわりませず、百分の二十であります。これはすでに昨年の改正によりまして、大体従前のものを半分に下げておりますので、今回は下げないことにいたしております。あとは徴収強化の規定であります。  それから次の入湯税以下は、都道府県税市町村税を一本にしたということで、税率につきまして標準税率をきめたことであります。大体それが主眼であります。入湯税につきましては、一人一日につき十円を標準にする。それから漁業権税につきましては、賃貸料の百分の十をもつて標準税率といたしております。これは必ずしも賃貸料を課税標準にしておりませんので、これにならいまして、その他の課税標準を設ける場合には、それぞれ税率をきめるようになつております。  自動車税につきましても、大体現在行われておりますような各県の状況等を見まして、この程度の税率をきめたのであります。  自転車税につきましては、二百円をもつて標準税率にしております。  荷車税につきましては、八百円、四百円、二百円というような三段階にわけております。  広告税につきましては、大体広告料金の百分の十をもつて標準税率にしております。立看板等につきましては、ここにありますように、一個について幾らという標準税率を用いております。  それから接客人税でありますが、これは一人月額百円としております。  廃止税目につきましては御説明した通りであります。非常に簡単でございましたが、大体以上が地方税法改正の概要であります。
  6. 菅家喜六

    菅家委員長代理 それではこれより質疑に入ります。河原伊三郎君。
  7. 河原伊三郎

    ○河原委員 本法案は、われわれの年来の宿望でありました地方財政の確立という六目的に沿うもので、この面よりは大いに賛意を表するのでありますが、しかし他価、国民負担軽減並びに均衡という重要なる面が粗略に扱われているのではないかという疑いを持つものであります。ことに基幹重要産業に及ぼす影響につきましては、当局は十分な検討を遂げておられるかどうか。営業者側の申すところによりますと、私鉄とか海運業とかいつたふうなものにおきましては、現行税制によりまする中央地方を通じた税の総額と、改正税法によるそれとを比較しますると、はなはだしいものに至つては十数倍の増税になる。低いものでも数倍になるというふうなことが言われておるのでありますが、もしさようとしますれば、基幹重要産業をまつたく壊滅に帰せしめることとなるわけであります。これらに関しまして、当局の計算によりましても、はたしてそういうふうになつておるかどう。当局の計算によつて最もはなはだしい増税になる面はどんな程度になつておるかということを伺いたい。同時に、もし業者の言うがごとき大増税になるといたしますれば、当局として当然これに対する対策がなければならぬと思うのでありますが、それらに対する対策はどうであるかという点をあわせて伺いたいのであります。  次に税の内容の仕組が非常に大ざつぱなような観があるのであります。一例をあげますと、営利を目的としない組合のごときものも、一律に課税対象なつておりまするばかりでなく、これを第一種事業にあげておるような類、または新聞業のごときものにも特別の考慮を拂われておらないといつたふうな面よりいたしまして、ただ地方財政の確立ということに急であつて、一面納税者並びにこの納税によつて重要な事業に及ぼす影響といつたふうなものに考慮の拂われ方が非常に少いような感を持つのでありますが、これらの点に対してもお伺いいたしたいのであります。  次に附則を除いて七百三十九條という厖大な法案でありますが、社会政策的なうまみが一向含まれていないように思うのであります。たとえて申しますれば、一ぱいのコーヒー、一杯の紅茶、あるいは一本のキヤンデーといつたふうな零細な大衆的な飲食物、あるいは最低生活的な宿泊料、または学生の団体修学旅行といつたふうな面については、やはり一つの線を設けて免税措置を講ずべきではないか、かように存ずるのでありますが、こういうふうな面に対する考慮が一向拂われていないのはどういうものであるか、これらの点についてお伺いいたしたいのであります。     〔菅家委員長代理退席、大泉委員長代理着席〕  次に罰則についてお伺いいたしたいのでありますが、本法案は、この立案者は非常に罰則の好きな人と見えまして、どこにもここにもきわめて丁寧に罰則がつけられているのであります。しかしながらこの罰則について非常に不可解に存じまするのは、こまごましく罰則はつけてありまするが、本末を顛倒し、いたずらに小さい魚を狙つて呑舟の大魚を逸するというようになつておるのではないかと思うのであります。一例をあげますと、遊興飲食税関係におきまして、看板を掲げて公然と営業をいたしておりまするものの落度に対しては、三年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金というような峻烈な罰則が付せられておりますが、いわゆるやみ業者、看板を上げないで、こつそりとやつておりまするものに対しては、これが暴露された場合、わずかに六箇月以下の懲役、十万円以下の罰金で、しかもこの場合には併科されない。看板を上げて公然とやつておる者の落度に対しては、三年以下の懲役、百万円以下の罰金で、しかも併科される場合があるといつたふうな面、まつたく本末を転倒しておるのではないか、かように存ずるのでありまするが、当局の御所見を伺いたいのであります。  なお、従来この遊興飲食税が、全国的に非常に納まりにくかつたのは、徴税義務者であるところの業者が、税金を預りながら横領しておつたというのではなくして、徴税を意識的に怠つて、そして納め澁つたというのが、通例であると見受けられるのであります。なぜ、この徴税を怠つておつたかということにつきましては、一つは、あまりにも税が高かつたということ、それでお客に対する心づかいから、お客がいかにしても気の毒だという面からと、いま一つは、この高い税を嚴重に徴税いたしまするとすれば、いわゆるやみ業者の繁栄となつて、客がやみ業者方面に流れて行くという懸念からであつたわけであります。かような面よりいたしますれば、この遊興飲食税の確保を期さんとするならば、看板を上げておる業者に対する峻烈なる行き方でなくして、看板を上げないでやるところのやみ業者に対する方の取締りを嚴重にして、もつて一面において徴税義務者であるところの業者を保護するという面も考えなければ、この税の完璧は期し得ないと思うのであります。ところが、こういう面には一向考慮が拂われていないようでありますが、これらの点に関しましてお伺いいたす次第であります。
  8. 荻田保

    荻田政府委員 今回行います改正は、国税と並びまして非常に大きな改正でございますので、いろいろと負担の面におきまして、旧税制による場合に比し、激変が生ずると思います。しかし新しいこの税制負担をもちまして、公平なものであるというふうに考えておりまするので、この程度でしたら大体よろしいのではないかと考えております。しかしながら、理論はともかくといたしまして、この移りかわりにおきまして、非常な激変、ことに増加する場合があるわけでございまするが、ただ御指摘になりましたように、十何倍も上るというようなことは、かりにあつたといたしましても、きわめて少い例ではないかと思います。今回の改正によりますところの一切の税の変動を見ますれば、決してそのようなことはないかと思います。  なお、この徴収の見積りについても、いろいろお話がございましたが、実はそういうことにつきまして、一応先に御説明を申し上げた方がよいのではないかと思いますので、お配りしてあります資料によりまして、書いてありますことを簡單に御説明申し上げて、なおそれから御質問を受けたいと思います。  そのほかの点でございまするが、社会政策的な見地ということを仰せになりました。確かに遊興飲食税につきましては、かえつて上の方のものを下げまして、一番下の階級の百分の二十のところのものをそのままにしてありまするが、これはむしろ先ほども申しましたように、昨年すでに先んじて行つておるというような意味からいたしまして、今回は改正しなかつたのであります。しかしそのほかの税につきましては、たとえば入場税につきましても、免税規定を設けたとか、それから市町村民税につきまして、未亡人とか不具者等に対しまする免税を設けたとか、でき得る限りの社会政策的なことは考えておるわけでございます。  それから罰則につきましては、お説の通り、この條文を見ますと、罰則の規定のようなかつこうになりまするが、これは実は、従来全部の税に対しまする罰則を十條以下で一箇所にまとめて書いておつたのを、これをわかりやすくするという意味で各税について書きましたので、非常に罰則が目立つような法律になりましたことは確かにあると思いますが、内容におきましては、そう強く罰則を強化しておりません。かえつて、たとえば延滯金を二十銭から四銭に下げたというようなことも行つております。しかし今までのように、行われないような税法ということを予定しておりませんで、必ずこの新しい税法によつて徴税が公平に行くものだと考えておりますので、一方におきまして、徴税を漏れた人に対しては罰則が十分に働き得るように、つまり正直者がばかを見ることがないようにいたしたい考えであります。  なお、この遊興飲食税につきまして、看板を出しておる者と出していない者との間に、罰則の軽重が転倒していないかと言われますが、これは看板を出しておりましても、出していなくても、やはり税法上の罰則は同じように働きます。むしろ看板を出していない、つまり登録を受けなかつたというような者に対しましては、それだけよけいな罰則がついておるようになつておるはずであります。
  9. 河原伊三郎

    ○河原委員 ただいまの御答弁によりますと、十数倍というような大きな増税になる向きは、一つもないはずだということでございますが、それでは当局の調べによりまして、激変のためにふえる向きは何百パーセントくらいふえるかという、最もひどいところの実例を示していただきたいと思います。  次に、御答弁中、営利を目的とせない組合のごときものを第一種に置いておくといつたようなことに対する御答弁が漏れておりましたので、この点を伺いたいと思います。  さらに、未亡人の免税など、社会政策的意味も含めたというふうなことでありまするが、些細なキヤンデー一本、氷一ぱいといつたふうなものにまで税をとることが社会政策に合致するか、または徴税手続等の点から言いましてもそういうふうなものまでもとることが、この際適当であるか、ほかのいろいろな面とにらみ合せて、当局はどういうふうに考えられるかということを承りたいのです。  なお、看板を上げない者が遊興飲食税対象となるような仕事をやつておつた場合は税を課する、こういうお説でございまするが、しかし看板を上げないものを看破することは非常にむずかしいことでありまして、現在でも、看板を上げずに営業をやつておるという声は、よく聞くのでありますが、しかもそれらが暴露して摘発されたという例は、私寡聞にして聞かないのであります。そういうふうに上ますれば、やはり看板を上げずにやつている方が安全だというふうな結論に陥らないか。しかもそれが暴露された場合わずか六箇月以下の懲役、十万円以下の罰金で済むというのは、何としても本末転倒であるというふうに感ずるのでありますが、重ねてこれらの点に対する御所見を伺いたいと思います。
  10. 藤田義光

    ○藤田委員 御存じの通り、本日は一般質問の劈頭でございまして、この大事な法律案の審議にあたりまして、大臣も政務次官も御出席ないのは、非常に残念に思います。先ほど来の河原さんの御質問、まことに適切な、重大な質問でありまして、ぜひとも大臣の御出席あるまで、一時休憩するなり、議事進行を中止していただいた方がいいのではないか、そうしないと、この惰性性で、ほとんど大臣の御出席もなくして議事を進行するということは、非常に軽率ではないかというふうに感じますので、これを緊急動議として提出いたします。
  11. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 午後に大蔵委員会連合審査会がありまするが、河原さん、ただいま御質問ですが、それで御了承になりますか。
  12. 河原伊三郎

    ○河原委員 ぼくは、どちらでもかまいませんが……
  13. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 それでは、ただいまの藤田君の動議によりまして、本日はこの程度において……
  14. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 その前に私の質問いたしたいと思いますのは、大臣がおりませんからあとでいたすことにいたしまして、その前にちよつと数字のことについてお伺いいたしたいと思います。  説明書の中に、昭和二十四年度千五百二十四億円と比較いたしますと、三百八十四億円の増税ということになりますと書いてございますが、この三百八十四億円の増税は府県に対して幾ら、市町村に対して幾らということを御説明願いたいと思います。  次に伺いたいのは、附加価値税昭和二十五年度として四百十九億と見積つてありますが、これは旧法による事業税と比較すると、どれだけの増になつておるか。  もう一つ固定資産税が五百二十七億の見込みでありますが、これを旧法の不動産取得税附加税に比べるとどれだけのものになつておるか。  それから市町村民税が新法によりますと五百四十九億と見積つてありますが、これが元の県民税、市町村民税を合せて旧法によるとすると幾らふえておるか、その数字をひとつお示し願いたいと思います。
  15. 荻田保

    荻田政府委員 河原委員の御質問に対してお答えいたします。最大ふえるものはどれだけかというお話でありますが、今特にそういうものを選んで調べてございませんけれども、ここにある各種の見本になりますような業態につきましての新旧の税の比較がございますから、これをあとで御説明申し上げたいと思います。  それから特別法人につきましては、これはやはり国税と並びまして、一般法人と同様に扱うということにいたしておりますが、附加価値税におきましては、附加価値計算に際しまして、——たとえば特別法人が社会事業その他公益事業に対して使用いたしました額だけは、附加価値から差引くとか、あるいは組合員に対しまして事業の取扱い物品の数量とかいうものに応じて、割もどしをするというような額は、これもく控除する、こういう軽減措置が講ぜられております。  それから遊興飲食税が非常に小さいというお話でございましたが、これはまことにごもつともだと思いますが、ただこの遊興飲食税なり入場税なりは、相当軽減いたしましても、まだ高い税率でありまして、これは今の財政状態からいたしまして、どうしてもこのような高い税率をとらざるを得ないのでありますが、こういう税率をとる限りにおきましては、この低い小さなアイスキヤンデーのようなものに対しましてのつり合い上、やはり二〇%程度のものはかけた方が妥当だと考えております。ただ全体が安くし得るような状態になりますれば、あるいはこういうところは免税とか、もつと税率を下げるということも考えられますが、何と申しましても、全体に高いものでありますから、つり合い上から申しましても、やはりこの程度のものを課税したらいいと考えております。  それから遊興飲食税で看板を出しているものと、出していないものの罰則の差でありますが、これは看板を出しておりましてもいなくても、遊興飲食という行為のあります限り遊興飲食税はとります。それの違反に対しましては、同じ罰則が働くのでありまして、看板を出していない方が罰則が軽いというようなことはない次第でございます。  それから龍野委員の御質問の今お尋ねの点は、お配りしました資料にございますので、これはこの後に説明させていただきたいと思います。ただそれに書いてありません今の事業税の比較でございますが、これは現行法をそのまま適用するといたしますれば、特別所得税を合せまして六百五十億、二十五年度において徴収し得る見込みでございます。これが四百十九億になるわけでございます。ほかの数字の点につきましては、お配りしました資料をあらかじめ御説明申し上げておく方が、御審議に便宜かと思います。
  16. 河原伊三郎

    ○河原委員 罰則の点でありますが、やみ業者と看板をかけておる者、やみ業者とは何ぞやと申しますと、はつきりとしたやみ業者ではないわけであります。一種脱法的な、そしてはつきりした違反であるかというとそうでもない、きわめて薄紙一枚のようなところにあつて、実際は料理飲食業をやつておる。そういつた面へ流れる。これはむしろこれが強化されまして、営業を廃止する者ができますれば、おそらくそういつた者がふえるのではないかという意味合いでありまして、たれが見ても、これはりつぱなやみ業者であるといつたふうのものでない、まぎらわしいものという意味であることを御承知願いたいのであります。
  17. 荻田保

    荻田政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、実際問題で、そういう者まで徴税吏員がつかまえることができるかどうかという問題に帰すると思いますが、この点については十分そのようなことがないように徴税方法を考えまして、実際もぐりのやみ業者がかえつて得をしておるようなことがないように努めたいと思います。
  18. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 それでは奥野政府委員から説明を求めます。
  19. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 「地方財政に関する参考資料(2)」というのがございますから、それを最初からざつと御説明させていただきたいと思います。  1の「地方財源増強計西表」の「地方財源増加総額」というのがございますが、それにつきましては、右側から左へ三つ目の欄、「差引地方負担増」、そのうちの対昭和三十四年度最終との比較という欄がございます。これは昭和二十四年度におきます地方財政の実施案、それと比較して昭和二十五年度の財源は、どれだけふえるだろうかということであります。下から三つ日の欄をごらんいただきますと、四百三十七億という数字がございます。四百三十七億円だけ増になるわけでございます。しかし寄付金三百億円だけ落すと考えますと、百三十七億円だけ増になる。言いかえれば今まできゆうくつな財政をこれだけ緩和できるという結論になるわけであります。さらに右から左へ二つ目の欄の数字は、シヤウプ勧告に盛られておりました昭和二十四年度の当初の数字と比較すればどうなるかということであります。一番下から上へ二番目の六百七十七という数字がございます。六百七十七億だけそれと比較すれば増になる。強制寄附金の三千百億円を一般財源でまかなうとしますと、三百七十七億円の増になるわけであります。  次の紙は地方予算の推計概算であります。昭和二十五年度が、歳入の一番下へ行きますと、四千八百八十七億という数字がございます。これに対しまして昭和二十四年度の右側の数字は四千十九億でありますから、差引その右側の八百六十八億円の増ということになります。その内訳は、一番上の地方方税が千九百八億が、前年度が千五百二十四億でありますから、三百八十四億の増であります。国庫の支出金が昭和二十五年度が二千三十六億円でありますが、前年度は千六百五億でありますから、四百三十一億の増であります。地方債、使用料及び手数料その他の收入が差引、こういう数字になつておるわけであります。歳出の方は省略します。  次は改正前後の地方税收入比較表であります。今龍野さんの御質問になりました点は、昭和三十五年度の欄で、道府県税の一番下を見ますと、七百四億三千百万円という数字が出ております。これに対しまして昭和二十四年度の欄の道府県税の一番下へ行きますと、六百八十六億八千百万円という数字が出ております。これだけ道府県税がふえるわけであります。市町村税の方は一千二百四億二千八百万円、前年度は八百三十七億八千三百万円でありますから、もつぱら市町村の收入がふえるわけであります。昭和二十五年度現行税制を継続いたしました場合には、千九百八億四千九百万円というものが千七百六十三億円くらいになる、こういう見方をしているわけであります。そのうちの事業税は先ほど荻田次長から話された数字であります。  次へ参りまして、昭和二十五年度附加価値税収入見込額であります。ここに掲げております事業所得あるいは勤労所得あるいは減価償却額等は、すべて国税所得税あるいは法人税の課税所得額を用いております。それから固定資産取得額は、固定資産税課税の基礎にいたしております金額を耐用年数で除しまして、平均毎年どれくらいのものが更新されるかというような見方をしているわけであります。そこで一番最後昭和二十五年度の徴收額が、平年度の徴收率の九六%強と、かなり強い数字を見込みまして、四百十九億というような数字を用いているわけであります。  次の固定資産税昭和二十五年度の收入見込額は、土地の分が二百十三億、家屋も二百十三億、償却資産を九十三億、合せまして五百二十億というような見方をしているわけであります。償却費産につきましては、実際どれだけの評価のできるものであるかということは、陳腐化の問題や未稼働の問題等いろいろな問題がございまして、確定的な数字を今はつきりつかむことは困難かもしれませんが、一応形式的な方法ではじいて参りますと、一兆三千億くらいあるのではないかというふうな見方をいたしているわけであります。これに対しまして資産評価法に基いて現実に評価する額は、国の方では五千数百億円くらいではなかろうかというふうな計算をいたしていると聞いております。  次の四の市町村民税昭和二十五年度收入見込額、これは昭和二十四年度所得税を基礎にいたしますのと、それから納税義務者数がかなりふえて参ります。そういう点で従来の住民税と数字が大きく動いて来るわけであります。納税義務者の数につきましては、Aの平均割額の欄で、左から四つ目の納税義務者数というものがございます。そこで個人につきましては一番下に千九百七十七万八千幾らという数字を掲げております。大体従前の納税義務者数を千二百万前後と見ておつたわけでありますが、それがこのようにふえて参つたわけであります。それからそのうちで一番上の所を見ていただきますと、均等割額の右の端、均等割額で八十八億六千九百万円、所得割額で四百八十七億一千万円、合計五百七十五億というふうな数字になるわけであります。  次に一番下の五の国民負担の比較表でございます。昭和二十四年度のところに、当初と最終と二つ掲げております。当初はその後税制改正が行われておりますので、国税のうちでも、あるいは取引高税が中途からなくなるというようないろいろな問題がありますので、二十四年度においてすでに減税措置がとられているわけであります。そこで昭和二十四年度の当初の計画では国税、専売益金、地方税、強制寄附金全部合せますと、八千四百五十四億三千五百万円、最終的には八千二百七十八億九千七百万円であります。これが昭和二十五年度では七千六百六十四億七千三百円となるわけでありますから、この数字から当初の計画額を比較いたしますと、約八百億円の減税、それから最終額と比較いたしますと約六百億円の減税ということになるわけであります。  次に六の業種別、所得階層別税負担額調でありますが、これにつきましてはその次のページに各階層別構成というものがございます。それの勤労者の欄でいきますと、十万円のものについてはどう見たかと言いますと、扶養人数を三人、住家十五坪、宅地二十坪、こういうふうに見て行くわけであります。また二十万円の者については扶養人数を三人、住家二十坪、宅地三十坪、こういうふうな仮定を用いているのであります。こういう仮定に立ちまして見ました負担の変化というものが、その欄に勤労者、商業者、工業者、農業者別に掲げているわけであります。  次に九の市町村民税に関する調であります。一番上の欄で所得税法人税、最後の計の欄で、二十四年度と二十五年度を比較いたしますと、三段目の八割くらいになるわけであります。住民税は二倍あまりになるわけであります。合計いたしまして、やはり一番下の欄でありますが九割くらいに下る、二十五年度は二十四年度に比較いたしまして所得税法人税、住民税全体を合算いたしますと、九割くらいになるというふうな計算が出るわけであります。  その次が(2)業態別所得税住民税負担比較調べであります。これは業態によつてかなり違うのでありまして、所得税軽減は農業者等にかなり響きますので、一番下の農業者の税負担軽減、さらにまた事業者の税負担軽減も相当大幅に行われるということがこれである程度明瞭になつておるわけであります。  その次に附加価値税に関する調べ、8であります。附加価値税と取引高税、事業税及び特別所得税との税額に関する比較でありまして、昭和二十四年度の收入見込額が取引高税では四百五十一億、事業税では四百十九億、特別所得税では十二億、合計しますと八百八十二億になるわけであります。これに対しまして昭和二十五年度ではこれが全部なくなりまして附加価値税が新しく設けられ、その收入見込額が四百十九億でありますから、差引きますと四百六十三億の減ということになるわけであります。割合でいたしますと前年度の四割七分五厘になるということであります。その次の(2)の同上事業別比較と申しますのは、一番下の備考欄に書いておりますように、本調査は昭和二十三年度における標準的数社の法人実態調査の総会実績によつて調べたものであります。但し若干のものにつきましてはもう少し新しい数字によつております。これは数社を單純に合算したものであります。その計算の基礎になりました数字を全部合計したものであります。業態によつてその影響はかなり違つて参るわけであります。これは附加価値税事業税及び取引高税の合算額と比較しておるのでありまして、事業税だけと比較することは、われわれは穏当ではないではないかという見方をしているわけであります。その際に利益率は一番右の端の備考欄に書いておりますように、たとえば鑄物金属工業につきましては売上金額の三・二%を見ております。附加価値率におきましては三七・六%を見ております。これはすべて実績を詳細に分析いたしまして、その結果附加価値額となるものが何パーセントになるかというふうな計算をいたしたわけであります。業種によつてこの附加価値率はかなり大幅に動いて参ります。ことにまた現実に固定資産取得等が行われました場合には、さらに大きく動くだろうというふうに見ておるわけであります。  それから7の主要事業に対する新旧税制負担比較であります。これはやはり備考の二行員に書いておりますように、本調査における利益率、附加価値率は昭和二十三年度法人実態調査を基礎として算出した。その他のものについては昭和二十三年度の東京都下における企業の実績によつた。運輸業については昭和二十四年度T会社の事業実績によつております。拂込み資本金、総收入金等が上つておりますが、新税制の一番最後の右の端であります、そこの合計の下に括弧をして零点いくらという数字が上つております。これが前年の負担に比べまして〇・四八は四割八分になり、その次が七割二分になり、一番下に下りますと一・〇一、一分だけ負担がふえるわけであります。先ほど運輸業についてのお話がありましたが、通行税が売上金額の五%かかつておつたわけであります。百分の五の通行税が廃止なつたわけでありますから、この部分における負担軽減は相当大きい、われわれはこういうふうに見ております。この数字を計算に入れなかつたり、あるいはわれわれが会社から示される数字で見て参りますと、事業税昭和二十二年、あるいは比較的新らしいものでありましても、二十三年度事業税を持つて来られるのであります。しかしながらその後経済界が非常にかわつておりまして、総売上金額そのものがまた大幅にふえておるわけであります。だから新税制による負担を見ます場合には、昭和二十五年度かくあるべき数字、物価騰貴を織り込んだ大きな売上金額を基礎にして出して来られるのであります。反面に旧税制による負担昭和二十二年度あるいは二十三年度の現実の数字を用いておられるのであります。こういうもので比較したのではわれわれは比較にならないという考え方をいたしております。あるいはまた事業税は收益課税を基本にしておりまして、これがためのいろいろな矛盾があるわけでありますけれども、現実に支拂つた収益課税といい、あるいは利益が上つていなかつたそれを基礎にいたされますと、附加価値税は一種の外形的な数字でありますから、あるいは百倍にも二百倍にもなり、あるいは三百倍にもなる事業もあるのであります。しかしながらそういう比較がはたしていいか悪いかは、これは根本的に問題であります。さらにまたわれわれは附加価値税というものは、事業税と取引高税とを廃止して、附加価値税をつくることを考えておるのでありまして、負担の比較にはぜひ取引高税をあわせ用いなければならぬ。取引高税をあわせ用います場合におきましては、附加価値税がそれほど負担に激変を與えるというようなことは非常に少いのではないかという見方をしております。もとより全体としては半分以下になるわけであります。取引高税においてもそれほど大きなものではないという見方をしておるわけであります。これは上は法人でありまして、その下は個人の分であります。  その次が昭和二十四年度昭和二十五年度との間における所得税住民税に関する所得段階別負担額比較調べであります。御参考に申し上げますと、勤労所得の(1)欄で所得金額が四万円、この欄で扶養人数をさらにふやして行きますと、昭和二十四年度所得税が、扶養人数がふえて来れば自然なくなります。反面に昭和二十五年度では市町村民税均等割だけはかかるということになります。そういうものまで拾い上げて行きますと比較の欄で負担の増が出て参ります。しかしながら所得額が四万や六万で三人も四人も扶養できるということは予想されませんので、こういう数字にとどめてあるわけであります。しかしながらこれをさらに所得の非常に少い欄でも扶養人数をふやして参りますと、前年は所得税はなかつた、今年は住民税均等割でかかるからそれだけふえる、こういう結果の数字になつて来ることを申し上げておきます。  それからずつと飛ばしまして、一番最後のページを説明させていただきます。一番最後固定資産税の結果、統制地代、家賃にどんな影響があるかという問題であります。これは家屋賃貸価格標準にいたしまして、あるいは土地賃貸価格標準にいたしまして、固定資産税が課せられるわけでありますから、賃貸価格の高い家屋に住んでおる場合、言いかえればいい家屋に住んでおります場合には、固定資産税の影響は大きく響きます。悪い家屋に住んでおる場合には、この影響は非常に少いわけであります。全国平均で賃貸価格は二円四十銭くらいのものであります。ここに出しておるのは東京都の標準的なものでありまして、備考の3に書いてあるように、住家の坪当り賃貸価格は十二円九十六銭という全国平均から見ますと、五倍にも当るかなりいい家屋ということになるわけであります。左の現行額の一番下へ下りていただきますと、十四円九十六銭九厘ということになつておりまして、そのうちで家屋税の欄がございます。家屋税が現行では六円四十八銭含まれております。これが変更額では右の欄でありまして十七円一銭ということになるわけであります。さらに二番目の地代が三円五十七銭五厘含んでおります。それが右の欄では六円五十六銭五厘ということになるわけであります。この二つだけがかわる。要するに統制地代、家賃につきまして、ほかの要素は不問に付して税だけの面を考えてみますと十四円九十六銭九厘という坪当りの家賃が二十八円四十八銭九厘ということになりまして、大体十三円余りふえるわけであります。要するに九割程度ふえるということになるわけであります。でありますから十坪の家屋に住んでおる場合には月額百三十数円ふえ、二十坪では二百六十数円ふえるという結果になつて参るのであります。これは統制地代、家賃がどれだけ改正されるかというものではありませんで、税が統制地代、家賃にそれだけ影響を及ぼすかという意味の資料であります。地代の方は省略いたしておきます。
  20. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 簡單に一つ伺いますが、ただいまの資料でほぼわかりましたが、三百八十四億の増税の結果になるというのですが、一体何が最もふえておることになりましようか。
  21. 荻田保

    荻田政府委員 この第三の表の改正前後の地方税収入比較表をごらんいただきますとわかります。上の欄の二番目の固定資産税について三百五十億、それから市町村民税において二百九十億、これが大きくふえております。そしてそのかわりに、下の方で不動産取得税の百億、こういうものが大きく減つておるわけであります。差引いたしまして四百億程度のものになつております。
  22. 菅家喜六

    菅家委員長代理 本日は午後大蔵委員会との連合審査会もありますので、本案に対する質疑はこの程度にしたいと思います。  なおこの際お諮りいたしますが、昨日川口市会占拠事件について、市長、市会議長を参考人として、実情聽取のため呼ぶことに決定したのでありますが、その時日は四月三日月曜日午前十一時からいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 菅家喜六

    菅家委員長代理 それでは委員長において、そのとりはからいをいたすことにいたします。  次会は明四月一日午前十時より開会することにして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十二分散会