○門司委員 私はきわめて簡単率直にこの法案の審議の参考資料と言いまするか、そういう意味から、一応経済閣僚の意見をお聞きしておきたいと思うのであります。私が聞かんといたしまするものは、今度の税法が従来の税法と非常にかわ
つております。ことに大きくかわ
つておりまする面は、
地方税法の中の
附加価値税の問題、あるいは
固定資産税というようなすべてこうした新しい角度のもとにとられます税金が、従来の方針とま
つたくかわ
つて参りまして、外形標準によ
つてこれがきめられるということに相な
つて参
つておるのでありまして、今回の税制改革は、単なる税率の改革あるいは税種目の改革ではないのであります。根本から税の問題に対する
考え方をかえなければならない
実情にな
つておるのであります。
従つて従来の
国民感情と、この点が非常に大きく違
つておりまして、この税を施行するにあたりましては、いろいろな不便あるいは研究をすべき題目があるかと思いまするが、とりあえずこの機会にごく簡単にお聞きしておきたいと思いますることは、徴税の方法を外形標準にかえられた、いわゆる課税態様がかわ
つて来たということについて、これがただちに現在の物価に影響を持つ面が、非常に多くな
つて参
つておるのであります。従いまして税がただちに物価に影響して来るということにな
つて参りますと、それらの処置をまずいかにして講ずるかということが、先に
考えられなければならない。ことに
政府は賃金の面においては、ベースを上げるわけには行かない、実質賃金の面において、あるいはこれがカバーをできるような方法をとりたいというような御趣旨であるように承
つておるのでありまするが、この税法がこのままの姿でもし実施されて参りまするならば、物価は必然的に上らなければならない。この前の
委員会におきまして、物価庁の次長にこの趣旨を一応お話を申し上げましたときに、次長といたしましても理論的には当然物価の上弁を来すというような答弁を得ておるのでありまするが、安本の責任者でありまする
大臣は、これについてどういうお
考えをお持ちにな
つておるかということであります。具体的にわかりやすく申し上げて参りまするならば、この
附加価値税あるいは
固定資産税が外形標準にな
つたということで、ごく精密な資料によ
つて私
ども今日まで
調査いたしておりまする範囲におきましては、わが国における基幹産業と申すべき製鉄産業において大体標準税率を標準として、これにかけて参りまするならば約七%くらいの値上りをするということを数字がこれを明らかに示して参
つておるのであります。さらに
電気税その他を加えて、今度の税制改革について申し上げまするならば、わが国における唯一の国内生産品であり、しかもこれが外国向けにな
つておりまするセメント業のごときは、一割四分の値上りを来すであろうということが言われておる。また貿易に最も大きな
関係を持
つておる倉庫業のごときは、一坪当りの経費というものは、従来の四・二倍になるというような数字が明らかに出て参
つておるのであります。さらに
考えなければならないのは、すでに御
承知のように、私鉄等におきましても、必ずしもこれだけではございませんが、この問題が関連を持ちまして、そうして私鉄の値上げを当然しなければならない。そこに非常に私は大きな問題を持
つておると思う。国鉄は税金がかか
つておりませんので、値上げの必要はないかもしれませんが、こういう外形標準によ
つて税金をかけられて参りますと、国の事業と相競争をしなければならない
立場に置かれております私鉄においては、それだけ大きな苦痛を感じなければならない。
従つてこれらのものの値上げをしなければならない。こういう
事態は各業種にことごとく当てはまるものでありまして、わずか三つか四つの例しか申し上げませんでしたが、わが国における全体の産業に影響を及ぼす大きな問題でありまするので、これについて安本といたしましては、どういうお
考えをお持ちにな
つておるか、これについて率直に申し上げますならば、公定価格のあるもの、あるいは価格の統制を受けておるそれらのものについては、この値上りをお認めになるかどうかということであります。それから
固定資産税の中に
考えられておりまする地租家屋税が大幅に上
つて参りますならば、必然的に家賃、地代というものが上
つて参りますが、これらのものについてもこれを引上げることを
考えておるかどうか。もしそのお
考えであるとするならば、どの程度までそれらの価格変動を現在お認めになるお
考えであるか、これを一応お聞きしておきたいと思うのであります。