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川島委員 ただいま
議題になりました
災害被害者に対する
租税の
減免、微收猶予等に関する
法律の一部を改正する
法律案外三
法律案に対しまして、私は社会党を代表して遺憾ながら反対の意を表明いたすものであります。
第一の
災害被害者に対する
租税の
減免、徴收猶予、この問題に対しては、もちろんその精神とするところに大きな反対の筋を持つものではありません。しかしながら今日の国民経済の
実情、ことに一般の
資産に対する再評価等も実施される段階に入
つておりまする際でありまして、この
実情を基礎といたしまして考えた場合に、これら
災害により父祖伝来の
住宅、
家財その他を壞滅的なる状態に陷れるような事柄がしばしばあるのであります。この
災害もまた刻下の国民経済の
実情や、治山治水等に対する徹底的な施策の欠如等からいたしまして、さらに年々こうした問題が全国的に頻発をし、しかもその
被害の限度は次第に深刻になろうといたしておるような有様であります。こういうときに
政府がこれらの
災害被害者等に対する
租税の
減免、あるいは
徴收猶予等を考えられたという事柄については、一応賛意を表したいのでありますが、その考えに基いて実施いたそうといたしておりまするところのこの
法律の一部改正では、国民の実生活あるいは実態にまことに沿うておらぬ。たとえば
租税の
減免に関する基準というものが、今日の国民経済の実態に照して低過ぎるきらいがはなはだしくある、こういうふうにわれわれは考えるのでありまして、むしろ
政府がこのような考え方をも
つて、この
災害被害者に対する処置をいたすとするならば、もう少しその基準について国民経済の立ち上りの上に、
被害者等が立ち上る上に、適切妥当な基準を立つべきではなか
つたかと、かように考えるのであります。従いましてその方向については何も重大な
異議をとなえるものではございませんが、その基準について適切でない、こういう見地から遺憾ながら反対をいたすものであります。
次の
国税の
延滯金等の
特例に関する
法律、これについてもわれわれはしばしばこの国会を通じて叫んで参
つて来たところであります。
延滯金等に付随する利息、あるいは追徴の税が非常に苛酷である。それがためにさなきだに不当、一方的な課税がひんぴんとして行われる上に、さらにまた
納税者は
延滯金等において、大きな苦痛を味わなければならぬというような
実情にありますので、これを一日も早く是正する必要があるということはわれわれも主張いたして参
つたところであります。ここに
政府が遅ればせながらその方向について、この一部の改正案を出されたことについては別に
異議はないのでありまするが、元来が、私どもは今回
政府の立案いたしました税制全般に対する体系の基本に対して重大な意見の違いがあり、これに対しては徹底的に反対をいたした立場もありますので、その
国税の基礎に基いて改正されまする
延滯金等の
特例に関する
法律に対しても、遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。
また
国税の犯則取締りの改正につきましても、われわれはもう少し
納税者なり国民生活の実態に即した民主的な観点に立
つて、この取締法の改正を促進すべきであるという年来の主張を、われわれは堅持して参
つておるのであります。このたびの改正案はその見解から見ますれば、きわめて不徹底なところがあることを、われわれは指摘せざるを得ないのでありまして、この
意味においても、この取締りの改正案に対しましては、残念ながら
賛成はいたしかねるのであります。いずれにいたしましても、これがもし実施されるような場合におきましても、さなきだに最近税務官吏の経験の少いことやあるいは年齢の若いこと、そうい
つた事柄に基きまして、牧税官吏の越権的な行為が世間にしばしば頻発しておりまして、それがために
納税者の迷惑、
納税者の苦痛を一層加重しておるというような事例も、枚挙にいとまないような
実情でありますので、
政府はこれら
国税犯則の取締りについても、今後とも各段の留意を拂いまして、かりそめにも本来の正しい
納税者、その他に対するところの人権の侵害等のごときことがないように、大いに留意すべきであるというようなことを、この際特に強く警告をいたし、かつ
本案に反対をいたすものであります。