○櫛田
説明員 申し上げます。第一の共同体につきまして、これを結成させて
指導を加えて行
つたらどうであろうかという御意見でございますが、私
どもの
貸付の中身に二種類ありまして、現在や
つておりますうちの一つは
生業資金貸付と申しております。これは一口の
金額が一人につきまして最高十万円まで、連帶の場合におきましては百万円までということに
なつております。それからもう一つは引揚者、戰災者、
生活困窮者その他のあるいは軍人遺家族、未亡人とおつしやいますような方々に貸し出します
金額でありまして、これは厚生省の方から
政府資金をお
貸付をいただきまして、又貸しをいたしておるのであります。これは普通
更生資金貸付と申しております。一人
当りの
金額が一万五千円ということに
なつております。連帶の場合には、多いときになりますと百人もお集まりになりましてお申込になりまして、共同利用
資金となります場合には、百五十万円ぐらい一度にお貸出しをするという場合もございます。主として
更生資金の方の問題でありますが、これは
国民金融公庫になります前の庶民金庫が、
昭和二十一年から継続して来たのでありまして、それを引続いてや
つておりますが、何分引揚げられた方々が一万五千円
程度——最初におきましては三千円の時代もございましたし、また五千円の時代もございましたが、そうい
つた少額では、なるほど右から左ということになりますので、この場合にできるだけたくさんの方がお集まりなさいまして、あるいは組合でありますとか、あるいは合作社でありますとか、あるいは小規模の会社でありますとか、そうい
つたものをおつくり願いまして、共同してこの一万五千円の金を百人ならば百五十万円、二百人なら三百万円というぐあいにいたしまして、御利用願うということをつとめて相談いたして参りました。大体今二十億ほどの
貸付でございますが、その半分見当はそうい
つた共同体に対する
貸付に
なつておろうかと存じております。おつしやいます
通りに少額の
金額でありますが、これは何人かの方々が一緒になりまして運用いたしますならば、
相当大きな
金額になりますので、そうい
つた意味合いにおきましても、なるべく共同体という形でおつくりなさることをお勧めした次第であります。いろいろな
事情からいたしまして、
経済界の浮き沈みが非常にはげしいのであります。厚生省あるいは
府県当局その他と緊密に連絡をとりまして、その
事業の育成
指導についていろいろ手を講じて来ておるつもりでおるのでありまして、また今後ともそういうやり方を続けて行きたいと存じておる次第でございます。
それから二番目に情実
関係の
お話がございました。実はたいへん恐縮に存じておるのでありますが、私
どもといたしましてはどなたでも、
政府からお預かりしております大事な
資金でございますので、窓口に気軽にお越しくださいましてお申込みをいただいて、それからお会いいたしまして実情をよく伺
つて、御相談申し上げておるわけでありますが、何分にもこの
法律にきま
つております
通り、
生業資金貸付、小口の
事業資金を貸し付けるという
建前でありますのみならず、十八條にございます
通り、独立して
事業を営む意思を有して、かつ適切なる
事業計画を持つ方であ
つて、しかも普通の
金融機関から
資金の借入れができないような方々に対して、
資金の御融通を申し上げるという
建前に
なつておりますので、結局
事業資金であるということ、それからその
事業の計画と申しますか、その成立ちがうまく行くかどうかというところが、
資金を御融通申し上げる場合の非常に重要なポイントになるわけでございます。かような意味合いにおきまして、一々具体的に御計画を承りまして、本人にと
つてはあるいはこれで完全と思われる方も
相当いらつしやるのでありますが、いろいろな
お話を承
つて参りますと、どこか何か足りないところがある。つまり簡單に申し上げますと、この
資金を御融通申し上げますれば、それだけでりつぱに仕事が成り立ち、育
つて参るという話であれば問題はないのでありますが、
資金を融通いたしましても、他に何らかの問題がございまして、仕事の方がうまく行かないであろうということがわかるような場合におきましては、これは何とい
つても金融でありますので、いかような御相談にも応じられないようなことになります。その場合には、
とつくりといろいろな点をよく御理解の行くように、御相談を申し上げてや
つておるつもりであります。御
指摘のありました情実
関係というようなものは、万々ないと私は存じておりますが、何かございましたらまた御注意いただきたいと存じております。
それから第三の点で、この
資金が私
生活の方に流れるおそれはないか。
生業資金の十万円の口の方でありますが、これは先ほ
ども申し上げましたように、
事業資金として融通しておるのが
建前であります。またその
事業というものが現実に実行せられておるか、また新たに御着手なさ
つておる場合であ
つても、確かにそれだけのものをその方面にお使いになるかどうかということを、よく御
調査さしていただきまして、御融通申し上げておるのでありまして、結果的に申しましてもこの
生業資金十万円の口の方は、昨年の六月一日から実行いたしたのでありまして、大体月賦で御償還をお願いいたしておりますが、今に至るまで一件の延滯もないような
状況でありますので、その事実から申しましても、大体
事業方面にぐあいよいよ運用されておることだと確信いたしておるような次第であります。ただ
更生資金の方になりますと、引揚げてすぐさまお越しになるような方でありますので、大体生業に着手をなされる準備的な
資金とい
つたような場合でありますけれ
ども、いろいろな
関係におきまして、あるいはせつぱ詰ま
つて私
生活方面に若干流用なさるような場合があるかもしれないと存じておりますが、
建前といたしましては、かようなことのないように御相談をして、貸出しをしておるような実情でございます。
なおあまり小口であ
つて、
資金の限度をもう少し増額する必要がないかという
お話でございますが、昨年六月一日再出発いたしました当初におきましては、
生業資金につきましては一人五万円、連帶の場合には最高五十万円ということで出発いたしたわけでございます。その後の
状況を見ますと大体において
平均の
金額が七、八万円、五万円という
金額がまことに帶に短かしという
金額でございましたので、昨年の十二月に国民金融
審議会の第三回の
会議におきまして御
審議をお願いいたしまして、一応限度を十万円、連帶の場合には最高限百万円ということに増額をいたしたような次第でございます。現在それによ
つて実行をいたしておりますが、大体大多数のところは五万円ないし十五万円というところに集中しておるような
状況でございます。なお
更生資金につきましては、先ほ
ども申し上げました
通り当初三千円が五千円、それから昨年からまた一万五千円に引上げられたのでありますが、これは
関係方面とのいろいろな御折衝も入り用だと思うのでありますけれ
ども、私
どもの公庫としての感じといたしましては、少くともできれば一万五千円の倍額三万円
程度までにお引上げ願えれば、よりよい
資金の御活用ができるのではないかというふうに今
考えておりまして、その点につきまして
関係方面といろいろ
お話合いをいたしおる実情でございます。