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1949-12-15 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月十五日(木曜日)     午前十一時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 前尾繁三郎君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君  理事 小山 長規君 理事 早稻田柳右エ門君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       高間 松吉君    田中 啓一君       苫米地英俊君    西村 直己君       三宅 則義君    宮幡  靖君       井上 良二君    田中織之進君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       神山 茂夫君    河田 賢治君       内藤 友明君    中野 四郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         (主計局長)         大蔵事務官   河野 一之君         農林政務次官  坂本  實君         林野庁長官   三浦 辰雄君  委員外出席者         農林事務官   濱田  正君         専  門  員 黒田 久太君         専  門  員 椎木 文也君 十二月八日  委員風早八十二君辞任につき、その補欠として  徳田球一君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員志賀義雄君及び徳田球一辞任につき、そ  の補欠として神山茂夫君及び竹村奈良一君が議  長の指名委員に選任された。 同月十四日  委員川島金次君及び内藤友明辞任につき、そ  の補欠として井上良二君及び井出一太郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十五日  委員井出一太郎辞任につき、その補欠として  内藤友明君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月四日  薪炭需給調節特別会計における債務支払財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  薪炭需給調節特別会計における債務支払財源  に充てるための一般会計かちする繰入金に関す  る法律案内閣提出第二号)
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 ただいまより大蔵委員会を開会いたします。  本日は委員長が所用があつて不在のため、私が委員長の職務を行います。  これより去る四日本委員会に付託に相なりました薪炭需給調節特別会計における債務支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたしまして、審議に入ります。まず政府説明を求めます。河野政府委員
  3. 河野一之

    河野政府委員 薪炭需給調節特別会計における債務支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。この法律案につきましては、御承知通り昭和二十四年度補正予算とともに、第六国会に提出したのでありますが、審議未了となりましたので、今回あらためて提出することといたしましたものでございます。  さき政府におきましては薪炭需給事情の好転に伴い、その需給の統制及び薪炭需給調節特別会計を廃止することを前提といたしまして、昭和二十四年七月三十一日以降新たな薪炭の買入れを停止しておるのでありますが、この会計の残務の整理を促進させる必要上、この会計における債務支払い財源に充てるため、今年度におきまして五十四億七千万円を限り、一般会計からこの会計繰入金をすることができることとするものでありまして、これによりまして年末に際し生産者に対する債務支払いを急速に完了いたしたいと考えておる次第であります。  以上の理由によりまして、この法律案を提した次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 これより質疑に入ります。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 本法律案は前国会において審議未了なつております。審議未了になつた理由についてはいいろいろございましようけれども、この法案の内容国会の承認を得るに至る内容を備えていないというところに、その根本的な理由があろうと思います。しかるに政府はこれを何ら改訂も加えずに、そのまま再びここへ提出いたしているということは、はなはだ国会を軽視するのうらみなしと言えないのであります。  私がまず第一にこの際政府に伺いたい点は、一般会計から薪炭需給特別会計債務支払い財源に充るために、五十四億七千万円を繰入れるというのが根本的な理由でありますが、しからばその債務内容は何ですか。この点を明らかに願いたい。
  6. 河野一之

    河野政府委員 現在滞つております生産者に対する薪炭の買入れ代金、そのほかこの会計は今年度中に清算いたしますので、薪炭証券償還は本年度中に期限が参ります。そこでその償還その他諸種の雑多な債務がございます。これはあるいは農林関係政府委員から御説明願つた方が適当かと存じます。
  7. 三浦辰雄

    三浦政府委員 五十四億七千万円が入りましたその中の内訳の支払いの用途でありますが、これは御承知通り会計がもう清算の過程におきまする安払いの財源でございまして、生産者関係、あるいは輸送者関係、あるいはこの会計が買取ります薪炭証券支払いに充てるためであります。
  8. 井上良二

    井上(良)委員 さきに第五国会におきまして、この五十四億七千万円を一般会計から特別会計に繰入れるという理由について、私はかつて九月三十日に農林委員会において、この問題について質問政府当局にいたしたのであります。そうしましたところが、政府委員であります坂本政務次官は、二十四年度補正予算に五十四億七千万円を計上いたしますのは、日銀の発行いたしました薪炭証券の額でありまして、日銀の資金繰りを考慮いたしたものでございます。さらにまた三浦林野庁長官はこれと同様の説明をいたしてこの金額薪炭証券支払いに充てるのだということを明らかにされておるのであります。さらに昭和二十四年の十月二十日の予算委員会において、河野主計局長三宅委員質問に対して、これと同様なことを答弁されているのであります。補正予算に載つております五十四億七千万円という金額の算定は、薪炭証券年度償還金額でありますということを答弁されておる。  その後政府では薪炭証券支払いにこれを充てようと思つたが、生産者側の火のつくような支払い要求に対して、この金額のうちから、特に生産者政府が持つております債務支払いをやることに方針をかえられたのですか。この点を明確にしていただきたいのであります。
  9. 河野一之

    河野政府委員 そのときでありましたか、私はたびたび申し上げたのでありますが、五十四億七千万円というものは、年内償還がきまる薪炭証券の額と同額であることは間違いないのであります。この会計収支の上から言いますと、三月三十一日までには必ず払わなければならぬ。それだけはどうしても現金が不足しておりますということを申し上げたのでありまして、生産者に対する支払いはこれをストップするのだということは、一回も申し上げたことはないと思うのであります。生産者に対する支払いは、この五十四億七千万円というものが本会計に入りますと、現在現金がないのでありますから、支払いを遅延するということは現在の状況から考えて非常に感心をしないことでありますので、これをさつそく払うから、薪炭証券支払い債務償還年内には完了したい、こういう意味で申し上げたのでありまして、井上さんのおつしやつたように延ばすという趣旨では決してございません。
  10. 井上良二

    井上(良)委員 今の質問答弁が明確でございませんが、政府最初この五十四億七千万円は、薪炭証券支払い年度内支払い期日が来ておるから、その支払いに充てるのだ、こういう答弁をずつとして来ているのです。ところが途中で、いやそうじやない、この五十四億七千万円は一般会計から入ると、そのうちから二十数億の生産者未払い代金についてはこれを支払うのだ、そして残額薪炭証券支払いに充てるというような答弁と言いますか、説明がされているように承りましたが、そういうことですか。この点をはつきりひとつ大蔵大臣あるいは農林大臣から承りたい。
  11. 池田勇人

    池田国務大臣 一般会計より薪炭需給調節特別会計への繰入れは、お話のように五十四億七千万円でございます。これの使い方につきましては、これは会計の運用上いかようにもできるのであります。生産者に対しまして早急に支払わなければならぬ金もありますから、そちらの方に払います余裕があれば、期限の来る薪炭証券償還にも充てる。しこうして代金回収に極力力を注ぎまして、そうしてあれやこれやで本年度心まかなつて行こう、こういうのであります。何も五十四億七千万円は薪炭証券にただちに支払わなければならぬということはないのであります。期限のあるものでございますから、その間生産者並び販売業者との間の調節をはかつて行く。そうして生産者に御迷惑のかからないように、一日も早くいたしたいというのが念願であります。
  12. 井上良二

    井上(良)委員 よくわかりました。そうしますと薪炭生産者支払う必要ありと認められるその金額は、今日一体何ぼになつておりますか。
  13. 池田勇人

    池田国務大臣 大体二十三億円だつたかと考えております。
  14. 井上良二

    井上(良)委員 その二十三億は本年中に支払いを完了する予定でございますか。これを明確に願いたい。
  15. 池田勇人

    池田国務大臣 できるだけ早い機会にやりたいと思つております。
  16. 井上良二

    井上(良)委員 できるだけ早い機会と言いましても、問題は年内支払うか支払わぬかということが、われわれの審議の上に重大な関係を持つて来るのであります。年内支払うことが確定されておりますか。その点明確にされたい。
  17. 池田勇人

    池田国務大臣 支払うようになつております。金額が確定して、しかもその支払い手続ができればただちに払います。
  18. 井上良二

    井上(良)委員 それで大体その点はわかりましたが、そういたしますと、ここで問題になつて来ますのは薪炭証券支払いの問題でありますが、薪炭証券のさしあたつて支払わなければならぬものは現在何ぼありますか。
  19. 三浦辰雄

    三浦政府委員 薪炭証券の五十四億七千万円はいわゆる借りかえで、今まで何としても方法がございませんので、やつて来た状況であります。でありますので、現在のいわゆる形式的に支払いが一番近く来ているところのものが二十八億八千万円ほどございます。
  20. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと五十四億七千万円のうちで二十三億引きますと、かりに二十三億を生産者支払うとしますならば、あと三十一億というほどのものがございますが、そうなると生産者薪炭証券支払い期日の来ているものと、そのほかにまだ何かあるのですか。
  21. 三浦辰雄

    三浦政府委員 私どもといたしましては、この清算をやつて行く上に、そのほかのいわゆる生産者関係証券以外のものといえば、輸送とかそういう問題もございますが、これは五十四億七千万円というものを限度としてこの会計に繰入れていただくことなのでありまして、私どもとしてはまず生産者とそれからさしあたりすぐ来ておるその債券、それからまた繰入れが同時に許されるならば一部の債券の繰上げ等も、さらに考えられるのではないかと存じますが、この点についてはまだきまつた問題ではないのであります。
  22. 井上良二

    井上(良)委員 そこで非常に問題は複雑になつて参るのでありますが、政府はその他に債務支払いが明確になつていないものまでも、この予算の中に入つておるということが明らかになつて来た。われわれはこの会計が、政府みずから説明されます通り、非常な努力払つて、全国の木炭事務所員の協力を求めて、国損の少いことに全力をあげられている努力に対しては敬意を表しますが、しかし実際やつているあとを振り返つてみますと、いろいろの努力にかかわりませず、債権取立ては思うように行つておりません。まあ一時店を締めました関係からいろいろな混乱が起り、それをいろいろ整備するのに相当の時間的なずれも実際上はあるということは、われわれも了承いたしますが、すでに七月に店を締めまして以来今日まで相当の日時が、経過しているにかかわらず、一向にその債権回収ということについては成績が上つておりません。しかるに一方最も安易な一般会計から赤字補填という名前で、国民の負担においてこの会計へ繰込む。しかもこの繰込んだ金の使途がはなはだ不明確であります。今申しました払うべきところの生産者支払いは当然でありますが、また当然支払い期間の来ております薪炭証券支払いに充てるということも、この会計清算の非常な困難さから考えて、一応了とするものであります。しかしながらそれ以外にさらに債務の明確でない分まで予算に編成されているという点については、われわれは了解ができないのです。そこでこの点私は特に委員の皆さんにもお願いをし、また政府の人にもお願いしておきたい点は、そういうことをここで通しました場合、はたしてまた参議院が了解するかどうかという点であります。この点は非常に心配であります。そこで政府は、この法律案が前国会審議未了なつております経緯にかんがみて、薪炭生産者支払いに充てる金額のみを一般会計から繰込んでこの法律を通す、こういうふうに法律を修正される必要があると思いますが、そういうことはできませんか。そこの点を明らかにしてもらいたい。
  23. 三浦辰雄

    三浦政府委員 先ほど御答弁申し上げました言葉が足らずに誤解があるようでございますから、つけ加えたいと存じます。それは生産者への支払いという問題と、それから証券の問題でありますが、証券はやはり一つは十二月二十日に払わなければならぬ。その次のもう一口は来年の一月の十日に払わなければならぬ。こういうふうになつているのでありまして、この五十四億七千万円を繰入れていただきましたあかつきにおいては、生産者の方にまずきまつているものについて払う、それから十二月の二十日の期限の到来しているものについて払い、そうしてあとのものにつきましては一月の十日にその一部を払い、その証券残額政府債権回収によつてこれを支払つて参りたい、こういうつもりでございます。
  24. 田中織之進

    田中(織)委員 先ほどから井上委員質問申し上げてある点で明確になつたのは、生産者に対する二十三億は、この法律通りましたならばただちに支払われるということが明確になつたのであります。そうしたしまして次に十二月の二十日に償還期が参りまする薪炭証券償還に充てられる部分は、先ほど林野庁長官が申された二十八億何がし、それを合計いたしましてもなお三億というものが五十四億七千万円のうちに残るのでありますが、その三億分は今林野庁長官が申されました一月何日かに償還期の参りまする薪炭証券部分に充てられるのであるか。その点明確にしていただきたいと思います。
  25. 三浦辰雄

    三浦政府委員 次の一口は一月の十日でございまして、私どもといたしましては、現在の生産者支払いをやつて行く出先が四十七もあることでございまするから、一応先ほどの数字を予定しておりますが、さらにそれをやり、十二月の二十日分を払つて残がありますならば、その際五十四億七千万円まるまるを最高限度まで繰入れていただいておつたとすれば、一部の償還に充てて、そうしてあとの分をまた切りかえて三月の十日までに延ばしてもらつて、その間に回収を進めて年度内債券償還をしたい、こういうように考えておるわけであります。
  26. 田中織之進

    田中(織)委員 薪炭証券償還金額はおわかりだと思いますが、十二月二十日に償還期の参るものは何億、一月十日に参りますものは何億、残り幾らなつて、それはいつまでに償還しなければならないものであるかという数字を、明確にあげていただきたい。
  27. 三浦辰雄

    三浦政府委員 本年の十二月の十二日に償還期の参りますものは、先ほど逆に申し上げたかと存じますが、二十五億九千万円、前の二十八億八千万円はここに取消しまして、一月十日の口が二十八億八千万円でありまして、合計五十四億七千万円、そこで今繰入れをしていただきまして支払いの予想を約二十億としておりますが、それをいたしますると三十四億七千万円というものが残ります。その三十四億七千万円のうち二十五億九千万円の最初の一口、十二月三十日分を返済をいたしまして、それから残りまする九億円は、一月十日期限証券の一部繰上げをして、その残につきましては一月の十日が来ましても払えないわけでありまするので、またそこを延ばしてもらうようにして、その間回収を進めて年度内にこれを償還したい。私どもの現在の償還見込みでは、一月末に五億、二月末に七億、三月末に八億を出して、証券全部を年度内に払いたい、かようなことであります。
  28. 田中織之進

    田中(織)委員 そういたしますと、十二月二十日に二十五億九千万円を一応払う。八億残るわけでありますから、前の八億は一月十日に二十八億八千万円の中からとりあえず薪炭証券をそれだけ償還しまして、残りの二十億というものは三月まで繰延ばしてもらつて、一月五億、二月七億、三月末に八億ということでこれはそういたしますと、薪炭会計の未回収分回収いたして償還に充てる。こういうふうに理解してよろしいのですね。
  29. 三浦辰雄

    三浦政府委員 さようでございます。
  30. 田中織之進

    田中(織)委員 そういたしますと、大体五十四億七千万円の今回の一般会計の繰入れのうち、いわゆる純然たる薪炭会計赤字補填になる部分幾らになりますか。
  31. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この会計は現在清算をしておりますので、結局赤字幾らになるかということはここにはつきり申し上げられませんが、いろいろとあらゆる推定を入れました際、この会計は結局五十五億四千万円赤字になるのではなかろうか。かような見込みであります。
  32. 田中織之進

    田中(織)委員 どうもその点がわれわれ理解できないのでありますが、五十四億七千万円のうち実際は一月末の五億、と二月末の七億、三月末の八億、この二十億はこれは未回収分回収によりまして薪炭証券を落して行くわけでありますから、それを引いた残りの三十四億七千万円というものは、これは一応すでに赤字補填というふうに私は明確になつて来ておると思います。そうでないとちよつとつじつまが合わないように思います。しかし未回収分というものはおそらく二十億だけではないと思いますので、さらに回収して参りましたものは、当然一般会計にこの特別会計清算を完了したときと申しますか、返還する。こういうような形になるのではないかと思いますそういたしますと、今言う五十五億四千万円が赤字補填を必要とする赤字の額に当るということになりますと、その二十億分がさらにどこから出て来るですか。われわれはこの関係から見ますならば、二十億は未回収分から薪炭証券償還に充てるのだ。残り生産者の二十億と、それから薪炭証券のそれだけの部分は、十二月に払います部分のうち十四億幾らというものは、結局のところすでにこの繰入れによつて赤字補填的な意味において償却される。こういうようにとれるのでありますが、その点はいかがですか。
  33. 河野一之

    河野政府委員 私から便宜お答え申し上げます。この会計が買入れを停止いたしましたのが八月一日でありますが、その以前の四月のころから生産者に対する支払いをしようとしても、全然現金がないというような状態があつたわけであります。また一方には債権もございます。それからストツクもございまするが支払うにも現金がないということが、生産者に対する支払いが遅れておつた理由なのでございます。従つてこれを観念的に申しますと、生産者に対しまする支払い代金と、それから未回収分債権ストツク、こういうようなものが見合つておるようなかつこうになつておつたわけであります。五千四億七千万円の薪炭証券を借りておきながら、それに見合うべきものがこれにない。それだけ借入金をしておるのでありまするから、債権もあるべきはずでありますが、そういうふうなところで、大体五十四、五億程度のものが一応の推定される赤字であります。しかしこれもはつきりこの会計清算をしてみないとわからぬわけでありまして、たとえば一般会計からこの会計が十五年にスタートいたしますときに、一千万円の事業運転資金を持たしておつたのであります。この会計で備品とか、什器とか、はかりとか、そういつた資産も相当あるのでございますが、この会計自体としてこれを売つた場合にこれはどういうことになりますか。当時一千万円のものを入れておりますが、これは相当金額になると思います。しかしこれをこの際においてすぐ売れるというわけにも、なかなか現在の状況では行きかねますので、現金収支関係を見ますと、大体この程度年度末までの間には、どうしても債務支払いと一方の債権関係と見合う。しかしこういつた物的な施設の関係を見て行くと、もう少し少くなるというので、赤字の見方もいろいろございますが、今言つたような考え方からこの程度に近いものが赤字になると見たのであります。
  34. 井上良二

    井上(良)委員 どうも私としてははつきりしない。大体今の三浦長官説明によりますと、二十三億は生産者に払う。これは十二月末までに払う。十二月二十日現在で二十五億九千万円の薪炭証券支払いに充てる。これを合計しますと四十八億九千万円になる。そうしますとここに約三億八千万円からの金が余る。これは次の一月末の——一月十日ですか、一月の証券支払いに繰越す、こういうことを言えば言えぬことはないのですが、問題は一月、二月、三月とちやんと支払いの計画を立てておりますから、そこでさしあたり金がなくてどうしてもしかたがないという関係から、やむを得ず一般会計から繰入れて、国民がなるほどこれならやむを得なかつたという了解の行く金は四十八億九千万円であります。そこでいま一つ伺つておきたい点は、七月末にこの会計帳締めをしましてから爾来八月、九月、十月、十一月と、売掛代金回収、それから手持薪炭の売却、それから現物不足に対する糾明、これら政府債権取立てに対し、あるいは手持商品の売りさばきに対して、月々どういう収入金なつておりますか。それはどう支払つたか。どこで支払つたのですか。
  35. 三浦辰雄

    三浦政府委員 八月の収入は二億三千三百万円、端数は切り捨てます。九月は少し下りまして二億二百万円、十月は二値三千七百万円、それから十一月は二億二千四百万円、十二月は十二月の十日まででありますが、これが六千五百万円でございまして、四月から七月までの収入をこれと合計いたしますと、この十二月の十日までには八十二億三千万円入つたわけであります。それから八月の一日、つまりこの会計が買入れを停止して以来の支払いは、商品費が五億八千二百万円、運搬費が二億二千六百万円、保管費が六百九十万円、手数料が四千五百万円、手直し料が八百五十万円、人件事務費が一億二千六百万円、それから他会計への繰入れが八千八百万円で、合計いたしますと十億八千四百万円になつております。
  36. 井上良二

    井上(良)委員 そこでちよつと伺いますが、長官は四月以来この十二月までの収入金が八十二億という話でしたね。そうするとさきに座談のときに伺つてつたところによると、五月二十日に二十八億円を、薪炭証券の一時借りかえによつて政府は金を借り入れているのですね。そうしますとこれは約百十三億くらいの金になるのです。そうすると商品代金支払いと、それから運賃や手直し保管料、その他の支払いというものを合せますと大分金が余るのです。そこであなたの方はまだちよつと報告が残つておりはせぬかと思いますが……説明残つておりはせぬかと思うのは、薪炭生産者への未払い代金払つているのじやないですか。勘定がさつぱり合わぬじやないかね。もつとはつきりした説明をしてもらわぬと……
  37. 三浦辰雄

    三浦政府委員 五月二十日に発行してもらつた二十八億八千万円は、この会計の三月末の未払金が四十六億七千万円ございまして、その中のいわゆる中金のオーバードラフトとして、非常に関係方面からやかましかつた二十億の分を支払い、その残の八億八千万円の方は商品費等払つてつたわけでございます。そうして四月来の収入合計は八十二億三千万円で、それは純収入といいますか、売つた代金でありまして、それのほかに先ほどの二十八億八千万円加わつて、百一億一千万円というものの支払い内容は先ほど申し上げた通りであります。
  38. 田中織之進

    田中(織)委員 それではまだ井上氏の聞いておりますことと、つじつまが合わないのであります。八十二億三千万円に一応年度末のオーバードラフトその他の関係で入りました部分を足しまして、薪炭会計として入りました金としては二十八億余万円があるわけでありますから、合計いたしますと大体百十億、そのうちで支払金として長官説明されたのは、おそらく八月一日以降じやないかと思うのですが、十億八千四百万円だけは支払われたということになつておるのであります。そうすると薪炭会計にはうんと金が残つておることになるのでありますが、支払いの方は八月一日以降の分が十億八千四百万円ということは、どういう意味だろうかと思うのです。四月から八月一日までの間に支払われたものはどういうようになつておるか。この点を御説明願わないと、百十億の金が入つて十億八千四百万円しか入つていないことになると、薪炭合計はまだざつと百億の金がなければならぬことになるのであります。
  39. 三浦辰雄

    三浦政府委員 八月一日までに支払われた内容はただいま御報告いたします。  それからこの特別会計の大体の債権債務状況でございますが、これは債務として考えますものは証券の五十四億七千万円、それから生産者支払わなければならない今きまつておるもの約二十億、それから日通その他の運搬関係、これらの方面に払わなければならないものは七億八千万円、それから今後支払いを予想されるものが事務費等も含めて六億六千万円、合計いたしますとここに八十九億一千万円というものが債務として一方にあります。それから債権の方は未収金の二十二億五千万円、それから手持薪炭、これもだんだんと減つておりますが、これを債務のときにやらせてみた場合十億六千万円、このほかに倉庫あるいは事務所等は六千万円ぐらいに一応のところ踏んでおりますが、この債権関係合計が三十三億七千万円、そういたしますとここに差引いて結局五十五億四千万円の赤字になるというのが、この特別会計の現在の大体の姿でございます。
  40. 井上良二

    井上(良)委員 さき田中君が質問し、私も質問しました四月以降から今日に至る間の収支のバランス、それを明確にできませんか。勘定が合わぬのです。
  41. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 井上さん、ちよつと河田君の方に先にやつてもらつて、その間資料を調べてもらうようにしたらいかがですか。
  42. 井上良二

    井上(良)委員 すぐわかりませんならあとからまたお答え願います。
  43. 河田賢治

    ○河田委員 農林大臣質問をいたします。この薪炭特別会計の特に債権の問題でありますが、農林委員会及び決算委員会等におきまして、いろいろ課長あるいは三浦長官また同時に森農林大臣御自身も発言せられておりますが、債権取立ての問題については非常に食い違いがある。ある課長のごときは、とうてい現在の卸売業者から取立て債権等についても、自信がないということを言つている。また三浦長官特別会計清算事務に入りましてから、少くとも十二月ごろまでにはできる限り取立ててやる、こういうことを言つておる。ところが実際にはどうもむずかしいので、来年の三月ごろまでには完了するであろう、こういうことを森農林大臣は大臣への質問に対して答弁されておりますが、あまりはつきりしたことは言つておらない。私たちは薪炭特別会計のこの債権取立てということは、非常に国民が疑惑の目をもつて見た薪炭特別会計を処理する上において、特に政府当局がこれに対する努力をどのようにしておるかということの表現のために、まず第一に農林大臣はこの清算勘定をいつごろまでにおやりになる見込みがあるか、このことを伺いたい。
  44. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。長い間の特別会計をこの際打切つて、なるべく一日も早く整理をいたしたいと努力をいたしておるのであります。御承知の各府県におります事務所長等も再々集めまして、債権内容等も検討いたしまして、手持薪炭につきましては年度内にこれを処理いたす。そうして債権に対しましては少くともぜひともこの会計年度内に整理をいたしたい。相当この整理につきましては難関もあろうと存じますが、政府当局といたしましては責任をもつてその整理を完了いたしたい。かようなことについて各府県におります事務所長等に努力をいたさせまして、せつかく目下研究を進めているわけであります。
  45. 河田賢治

    ○河田委員 それはそのような努力はいたすかもしれませんが、たとえば八月二日の農林委員会におきましても、事務所長会議の席へ集つた百三十七社、金額十八億千四百万円、これが国の薪灰特別会計取立てるべき債権なつております。ところが十月四日の決算委員会の報告におきましても、なお約十八億五千万円が生産者から取立てるべき金になつているようであります。こういうふうに二箇月の間にも全然金が入つていない。おそらくこの十二月におきましても相当進捗しているように言つておられますが、現実に入つていないと思う。この点について長官なりあるいは事務当局でもけつこうですが、一体ほんとうにこの債権がどのように入つて来ているか。この点のごく最近のデーターをお知らせ願いたい。
  46. 三浦辰雄

    三浦政府委員 お答えいたします。この卸関係からの債権回収の問題でありますが、木炭でいえば十三万トン、まきでいえば幾らというように、政府手持薪炭をやはり一面において整理をして売つております。その関係で、その絶対額は割合に動かなくても、内容的には相当に動いておるのでありまして、たとたば十月十七日現在収入未済になつておつたものを、資料で二十二億五千七百万円と申し上げておつたと存じます。それが十日の現在では、その間に約六億を売つて収入は四億というものをなしたために、一応その十日現在においては多少ふくらんだ関係なつておりますが、一面においては月別の回収計画に基いた線の回収をやつている。こういうように、一つは自分の手持なつておるものを売る、一方においては回収するという関係なつておりますので、私どもといたしましてはその全部売つたものについて、この年度末の三月末までには遅くもぜひ回収をしたいのだ、こういうことを申し上げておるつもりでございます。
  47. 河田賢治

    ○河田委員 薪炭業界の大御所、参議院の某氏でありますが、薪炭統制の破綻事項をいち早くキヤツチして、全国の薪炭業者にその情報を流して、今回の特別会計の破綻、赤字の繰入れというようなことがあるならば、未納金の納入はできる限り延引するようにせよというような指令が出ておる、こういうことがありますが、そういうようなことは御承知でしようか。
  48. 三浦辰雄

    三浦政府委員 そういうことについては私ども承知しておりません。ただ私どもといたしまして非常に警戒をしておりますのは、この五十四億七千万円という繰入れがあることは、すなわち政府に対する債務というものを延ばしたり、あるいは場合によつては何とか逃げてもいいのではないか、こういうような感じを与えるということを最もおそれております。先ほど申し上げましたように、五十四億七千万円が参りましても、それは生産者への支払いと、それからいわゆる債券償還に充てるのであります。政府のとるべき債権につきましては、どしどしとつて、そういつた誤解のないようにぜひしたい、こういうように存じております。
  49. 河田賢治

    ○河田委員 御存じないということはやはり非常に職務の怠慢だと私は思う。現に農林省に勤めておる労働組合が白書を発表しておる。自分の部下がつくつておる組合によつて発表されておる。こういうものが発表されておることに対して、その長官である三浦さんが御存じないということは、きわめてその職務に対して怠慢だと私は思う。特に今日国民環視の的になつておるこの薪炭特別会計赤字問題について、当局の責任者である、特に事務当局としても責任者である三浦さんが、こういうことを御存じないということは、あなた方が債権回収ということに対してどんな熱意を持つておられるかということが、今のあなたの御答弁でわかるのでありますが、そういう問題が組合によつて発表されたようなものまでも御存じないということは、あまりにも怠慢だと私は思う。一体政府はこういう最近の、たとえば埼玉あるいは千葉等でも七千八百万円の横流し問題がしばしば新聞に出おりますが、こういう地方木炭事務所の役員あるいは業者等の結託によつて不正に行われた。こういうものに対して少くとも農林当局、特に大臣はこの問題をできる限り逐一中間的に報告する責任を感じておられないか。特に国会に対して中間的な報告、あるいは国民に対してもこの問題の真相をどしどし中間的に発表される御意思があるかどうか、お聞きしたいと思います。
  50. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。薪炭特別会計に付随していろいろの刑事問題が起つておりますことは、前国会において警察本部よりの報告がいたされたと存ずるのであります。これらの刑事問題が直接薪炭特別会計に影響があるか、あるいはまたこの特別会計の事業を利用して利得したかどうかということは、刑の判決がなければわからないのでありまして、もしも特別会計に直接影響のある損失に対しましては、適当な処置をとることはもちろんであります。前国会におきましても、当委員会に警察本部としての報告がせられたわけでありまして、その判決の決定をまつて善処いたしたい、かように考えておるわけであります。
  51. 河田賢治

    ○河田委員 この問題とやや関連するのでありますが、かつて国会におきまして、政府委員のうちから尨大な赤字が出て、それがたなおろしもやつていなかつた。つまり単式簿記でやつたからこういう赤字が出たという答弁もあつたわけであります。ところが食糧管理特別会計におきましても、やはり現在単式簿記でやつておる。もちろん私たちは単式簿記でやろうが複式簿記でやろうが、こういう帳簿のせいにしてはいかぬと思う。万一単式簿記で商売ができないということになれば、複式簿記を採用するまで、日本のすべての産業あるいは事業からは黒字は上つて来ないはずだから、そういう議論は成り立たないのであります。しかしながら現在食糧公団あるいは肥料公団等でも、最近東京におきまして、公団の金を相当額流用して大きな問題を起しております。こういうことは今日各地の食糧公団にも現われて来ております。一体こういう問題について、帳簿の面並びにそういう監督指導の面で、どのような改善をされる意思を持つておられるか。農林当局並びにこの会計の監督をしておられる大蔵当局の御意見を承りたいと思います。
  52. 河野一之

    河野政府委員 おつしやる通り簿記が悪いから赤字が出たというわけでは決してないと思います。この会計の立て方にはいろいろあります。食管及び薪炭のごとく時価主義で行くもの、従つて評価益をそのときに出す行き方で行くもの、それから預金部その他のごとく、その場の価格で行つて、期末において減価償却その地の処置をとるとかいろいろあるのでありますが、一概にどれがどうとも言えません。しかしこういうような会計の性質にかんがみまして、非常に大きな商売をするようなものでありますならば、たなおろしということが絶対に必要なことではないかと思つております。ただ非常に尨大な組織でありまして、ことに薪炭のごときに至りましては、各市町村にいろいろの倉庫があり、わずか四千人ほどの人でやつておるものでありますから、これが末端まで正確に行われるということは、非常に困難な点もあつたかと思います。これを非常に人員をふやしてやるということになりますと、その経費の面もあります。そういつたいろいろの考慮の点から、現行の制度におきましては、そういうふうになつておりますが、公団その他の問題につきましても、こう点を考えまして、公団会計法と申しますか、そういつた法律を目下のところ研究いたしております。できるだけ早く成案を得まして、御審議に付したいというようなつもりで努力している次第でございます。
  53. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつと関連して伺いたいのですが、先にあなたの御説明では八月に二億あまり、九月にも二億、十月にも二億、十一月にも二億というくらい収入がずつと出ておりますね。これは卸売業者からの回収金がどのくらいで、それから手持薪炭の売払いがこの八月から今日までどのくらいになつておりますか。それから問屋の回収、卸売業者からの回収がどのくらいありますか。大ざつぱでよろしいのですが、その内訳がわかつておりますか。
  54. 濱田正

    ○濱田説明員 八月からの政府債権回収は、八月は一日約七百五十万平均でありまして、二億三千万円というのが八月の回収であります。それから九月が……
  55. 井上良二

    井上(良)委員 それはわかつておる。内訳を聞いておる。
  56. 濱田正

    ○濱田説明員 八月から十二月十日までの政府債権回収が、約八億六千万ほどあります。それで手持の売払いは現在までに約六億売払つております。それでさらに十二月中には残りの四億は全部売払つてしまうという計画で進んでおります。
  57. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、八億六千万円の八月から十二月までの政府収入のうちで、政府手持薪炭を売払つたのが六億、そうすると問屋から回収したのはこの間わずか二億ですか。二十二億の債権のうちで、わずか二億しか全国の問屋から回収してないのですか。
  58. 三浦辰雄

    三浦政府委員 答えいたします。お話の通りでありまして、ネットといいますか、差額から言えばその通りであります。ところが政府の方の手持薪炭の売払いの方は、その条件あるいは数量等の問題で、主として十月からでありまして、その分につきましては現金のお客を待つと非常に値をたたかれる。そこである一つの条件を年度内に考えて出しておりまする関係から、その差額がすなわち今までの未回収金の回収だとはならないのであります。そういう状況でございます。
  59. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、大体政府手持薪炭は十億余りしかないわけですいろいろ減耗や手直し等によつて、実際売却する商品価値のあるものは十億六千万円くらいという予定なのです。そうすると、六億を売払つてしまうと、あと四億ほどしかないわけですが、これは一番手取り早く金になるものです。そうするとあとこの調子でございますと、農林大臣さきの御言明のように、この年度末までに一体二十億からの卸の取立てが完成する見込みが立ちますか。
  60. 三浦辰雄

    三浦政府委員 年度末までには完成する見込みをもつてつております。
  61. 井上良二

    井上(良)委員 見込みの話ですから、とらぬたぬきの皮算用ということがあるから、そこまで追い詰めて話をする必要はないのです。大体いろいろな状況がわかりましたが、要は手持薪炭の売払いとともに、卸業者からの回収なり不足木炭の清算、あるいは運送業者に対する調定等の問題がまだ残つておるのでありまして、これらの問題を至急にひとつ手を打つてもらうことにしないと、国の損は一層大きくなるが、同時にこの際特に政府伺つておかなければなりませんのは、御存じの通り木炭事務所が閉鎖されまして以来、ここに勤めております所員は、その本来の木炭事務清算というよりも、次の自分の就職のために非常な力をとられまして、実際は大分人も減つてしまいましたし、ほんとうに政府でそういう意図を持つてやろうとしても、この事務所員の職の保障といいますか、これが完成した場合には必ず農林省なら農林省のどこの職場で使つてやるという職の保障、これをはつきりさせてないために、かんじんの清算事務最中によその役所の試験を受けに行つてみたり、あるいはまた他の仕事を探すのに一生懸命になつて、何と言いますか、清算事務に名をかりて月給をもらつておるという人がなきにしもあらずです。この際優秀な清算実績を上げた場合は、必ずあとはわれわれが引受けてやるという、仕事の上に対する保障を大臣なり長官はつきり与えてやらせませんと、とても大臣の言明せられたように、年度末までに清算はつかぬと私はにらんでおるのですが、その点大臣に伺つておきたい。
  62. 森幸太郎

    ○森国務大臣 こういう行政の内部組織の変更に伴う失業者に対しましては、政府としてはできるだけ配置転換等の考えをもつて善処いたしたいとは存じております。事務に重大な責任があるにかかわらず、うろうろしているような者は退職するのが当然のことと存じております。
  63. 井上良二

    井上(良)委員 最後に一点だけ伺つて私の質問は終るのでありますが、今いろいろ短時間のうちに質問をいたしましてわかりました点は、政府はいろいろ努力をしておるという弁明はいたしますけれども、実績は意のごとく上つていない。しかるに自分の努力に対していろいろな点で行き届かないということについては、少しも責任の所在を明らかにせずに、重税のあらしの中に悩んでおる国民からとつた莫大な金額をこの会計に繰入れて、一時を糊塗しようとする行き方にはわれわれは賛成できない。さしあたりどうしても政府として緊急やむを得ない処置として、国民了解を求めるという点から、われわれがいやいやながら承認をするのは、薪炭生産者支払うべき二十三億円の問題だけに限るのであります。これも最初は、政府は売掛け代金回収なり、手持薪炭の売払いによつてすみやかに支払うということを、たびたび言明されて来ている。しかるに今日に至つてこれを一般会計から繰入れて、薪炭生産者支払うような結果になつたということは、私は非常に遺憾に思う。そこで政府といたしましては、これは参議院で当然また問題になると思いますから、衆議院といたしましては、われわれはあくまでもだれが見てもこれなら間違いがないということ、また納得してもらえるという線は、さしあたり火のつくような年末を控えて困つております薪炭生産者関係の二十三億だけを認める、そういうことにせなければいかぬと私は思うが、政府はその必要を考えませんか。この点を伺いたい。
  64. 森幸太郎

    ○森国務大臣 これはたびたびお答えいたしておつたのであります。製炭者に対する国家の債務は一日も早く支払わなければなりません。また特別会計を三月年度末において門鎖する以上、特別会計に対する債務も当然これは整理しなければならぬのでありましよう。従つてこの年度内に対する補正予算をお願いする場合において、いずれも責任をもつてこれは償却せなければならない国家の債務であります。従つて薪炭業者に対するもののみをここに繰入れるということは、今回特別会計を廃止する建前におきまして、でき得ないことでありますから、この点は御了承を得られることと存じます。
  65. 三宅則義

    三宅(則)委員 この薪炭需給調節特別会計における債務支払財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に対しましては、質疑をこの程度において打切られんことを望みます。
  66. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 三宅君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 それでは質疑を打切ります。  ただちに本案を議題といたしまして討論に入ります。討論は通告順によりましてこれを許します。田中啓一君。
  68. 田中啓一

    田中(啓)委員 私は民主自由党を代表いたしまして本案の成立に賛成をいたすのであります。  賛成の理由は、政府提案の理由説明また質疑等によりましても明瞭になりました通りでありまして、どうか清算の事務は確定したものはただちに、まだ未確定のものもすみやかに調定されまして、一日も早く支払いをされるとともに、また未回収債権につきましては特段の督励をされまして回収をされ、本会計赤字を少しでも少くされるように努力されることを希望いたします。以上であります。
  69. 前尾繁三郎

  70. 井上良二

    井上(良)委員 私は本法律案に対しましては、政府が修正案を出して来ない限り賛成するわけには参りません。それは政府はこの半年間の長い間にわたりまして、この清算はすみやかに実行するということをたびたび声明をされておるにかかわらず、今日に至るまで一番かんじんの大口の債権取立てちよつとも進んでない。いま一つは、これは時間がございませんから、私はきようは質問をするのを省略いたしたのでありますけれども政府手持薪炭の売払いの状況を見てみましても、またその減耗その他手底しの内容を見てみましても、幾多検討を要する問題がございます。しかも、この間における国の損害は非常に大きなものがあるのであります。そういうことが少しも積極的に解決されずに、ただ安易な一般会計から金を繰込んで、それで債務支払いに充てるという行き方は、あまりに私は行政官としてまた政府として怠慢ではないかと考えております。われわれは薪炭生産者がわずかな資本で、しかも非常に国の生産増強に努力されてやつて来ましたのに対して、この生産者に対する代金支払いをことさらに遅らせて、しかも薪炭証券支払いと抱合いでこれを出して来て、国会でいろいろ議論がやかましくなりますと、遂に五十四億七千万円のうちから払おうということを政府が言い出しましたことは、生産者の苦痛を考えますならば、非常に明るい面が一つ出て来ましたが、しかし最後にわれわれは薪炭証券支払いという問題を考えますと、まだこれは十分清算事務も完了しておりませんし、年度末に来ておりますんから、従つてこれらの証券支払いは一時借りかえをいたしましても、年度末まで政府は全力をあげて債権回収をはかり、手持薪炭の有利な売払いを行いまして、また木炭事務所が持つております設備器具等を処分いたしまして、最後にこれだけどうしても赤手が出るということを国会にお諮りを願つて国民了解を求める、こういう正しい線を私は出さなければならぬと思う。そういう線を一つも出さずに、単に支払い期間が来たからこれは払つてやらなければならぬ。それほど政府証券支払いに忠実ならば、何ゆえに二十二年度薪炭生産者に払うべき金を二十四年度に繰越して、そうして今日まで利子もろくろく補給せずに放任して来たか。これらの点について少しも政府は同情ある親心を示さずにやつて来て、この年末のさしせまつた今日、実際これが事務的手続をとつて生産者の手に渡るのは、もうほとんどこの金をもらつても使うときがないようなときに渡しておる。そういうやり方というものはあるものじやない。そういう点から、薪炭生産者未払い代金支払いに充てるという点については私は大いに賛成いたします。しかしこれと抱合せで薪炭証券支払いをいたすということには反対をいたします。この点は明確にいたしておきます。  以上の理由でもつて、本案は、遺憾ながらわれわれは政府が修正して来ない限り、賛成するわけには参りません。さよう御了承願います。
  71. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 宮腰君。
  72. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党野党派を代表いたしまして、本案に反対するものであります。本案に関しては野党四派において修正動議を出そうという協議がまとまつてつたのでありますが、実際年末の折から、生産業者に払う金の緊急性という点から考えまして、いろいろ関係筋の手続をとるということが非常に時間も長くなる、こういう意味合いで生産業者に対する緊急支払いとして、ともかくもこの修正動議は撤回することになつたのであります。  またこの反対討論については、前国会でも申し上げてありますが、五十四億七千万円を一般会計から特別会計に繰入れるということに関しまして、緊急に必要であるところの生産者に対する支払いは、とりあえず二十二億九千百万円くらいの金がありますが、これはやむを得ないとしても、薪炭証券償還に関しては、まだまだ国家警察あたりでも犯罪として捜査しております。また手持商品も処分されておりません。また債権回収も十分でない。こういうような諸手続をやつて、ここで何がしかの回収ができた場合に、初めてそこにほんとうの赤字が生れて来るのじやないか。そういう意味合いから本案に対しては、そういうような一切の手続をした後に、この薪炭証券償還をやるべきだ、こういう見解から反対をするものであります。
  73. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 河田賢治君。
  74. 河田賢治

    ○河田委員 私は日本共産党を代表しまして、本案に反対の意を表するものであります。  これは前国会におきましても反対理由をるる申し述べましたが、言うまでもなくこの薪炭特別会計は、政府が非常に行政上において怠慢をやつた結果今日莫大な赤字を来し、他方卸売業者のいろいろな策動や、あるいは卸売業者等に利用されまして、本会計が非常に紊乱状態に入つておる。莫大な備蓄費あるいは手直し料とか何とかいうもので、たくさんこれらに支払いを負わされながら、しかも取立てるべき代金というものはほとんど取立て得ない。約半歳にわたつて清算的な事務に入つておるにもかかわらず、今日なお莫大な債権取立て得ずにいるわけです。特にこういう場合におきまして、私たちはこの未清算の状態であつて、しかも取立てるべき債権取立てずに、先ほどの答弁でもきわめて明瞭に、その努力をしていないということが明らかなのであります。もちろん生産者自身に対しては、政府支払いは早く完了すべきでありますが、この卸売業者あるいは運搬業者その他からとれば、優にこれは支払うだけの余地はあるのでありまして、これを全然ほつたらかして、そしで生産者にも支払えないというような政府のこの態度について、これは前々からわれわれは非難しておるのでありまするが、今もつてその態度がかわつていない。従つてこの法案が、国民の血税によつて赤字を埋めるというようなこのやり方に対して、また銀行を救済するというようなやり方に対して、絶対に私たちは反付するものであります。
  75. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案に関し、議長に提出する報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会