○立花
委員 共産党といたしましては、この
原案に遺憾ながら反対でございます。その理由といたしましては、この
原案は決して現行法の
改正ではなくして、改惡であるということでございます。根本的に私ども共産党として、
選挙法で主張いたしておりますところは、
全国一
選挙区比例代表制という
原則的なものでございまして、この問題が即時に取入れられるかどうかは別問題といたしまして、少くともこういう根本的な、
原則的な問題が、少くも
審議に上らなか
つた、それは触れてはいけないものとして、
委員会の
審議の
内容から除外されたということは、非常に大きな問題であると思うのであります。
従つてこの
改正原案は、臨時的なものでございまして、この
参議院の
選挙が済めばすぐかえるのだというような
気持が、
委員各位の中にもあるように
考えられますが、これはこの
原案に対して致命的な欠陷ではないかと私
考えます。こういう根本的な問題でほおかむりをしながら、しかも末梢の問題には、形式的な
民主主義の形を取入れまして、
改正の形が出ておるようでございますが、実際はその
改正も実質的には改惡であり、実質的には反動勢力の
参議院選挙の武器となるというおそれが多分にあると思います。しかも現在の売国勢力が、その背後にあります大きな勢力の支配下に、あるいはそれと結託しつつあるということを
考えますと、この
選挙法は、売国勢力の統制
法律であるというふうに
考えられる、あるいは言える。さらにこの
原案が
法律となりました場合に、それを
施行し、あるいはそれを管理する者が、世界的に見まして植民地を支配し、植民地の行政を握
つておるところの植民地官僚、いわゆる
委員会制度……実質的に実権を握
つて利用しておることを
考えますと、どういたしましても、これは
日本の植民地化に拍車をかける
法案になるということを私ども
考えております。
具体的に、今言
つた問題を
法案で基礎づけて行きたいと思いますが、まず第一に第十三章の
選挙運動でございます。この
條項は、明らかに憲法違反の疑いがある、ところがございます。この違反の
内容に至りましても、非常に自主性を失いました、いわゆる
法律の体をなさないような形の……まず靜かにお聞きを願います。——このことは百四十八條のいわゆる
新聞紙あるいは
雑誌の
報道、
評論の自由の問題でございます。これは途中の案におきまして、プレス・コードをそのまま持
つて来て
原案としようとしたという事実があるのでございますが、このことはま
つたく自主性をなくしまして、憲法で許されております表現の自由を、プレス・コードをそのまま持
つて来て
制限しようとした。これは私が申しました自主性をなくしておる、憲法違反である。憲法違反がしかも自主性をなくして行われようとしておるということの具体的な指摘だと思います。これがいわゆる民主勢力の反撃にあいまして、いわゆる表現の自由云々の言葉を用いまして圧縮されておりますが、この圧縮の経過を見まして、私はさいぜん申し上げましたように、自主性のない憲法違反の形が現われておると申したのであります。
そのほかには、総則の第七條あるいは第百五十九條などによりまして、投票所あるいは
演説会場に官憲の立入りを許可しておるというこの事実は、明らかに現在の警察が全体的にたどりつつありますところの、警察軍隊化の傾向の、最もこの
選挙に
関係して現われたことでございまして、これが人民を彈圧する武器になりつつあるということは、明らかに言えると思います。
上のような一般的な民主勢力を彈圧する一方、百三十八條におきましては、
戸別訪問を許しておるのでございますが、これは最も象徴的なブルジヨア的な
選挙運動の一つでございまして、以上のような民主的な
方法を彈圧するかたわら、最もブルジヨア的な
戸別訪問を許しておるということは、いかにこれは……であるかということがわかると思います。 さらにこれは
参議院からの申入れにもあるのでございますが、教職にある者の問題につきましても、百三十七條でございますが、学生、教員というような一般的な、いわゆる大衆的なものに対しましてはそれを抑圧し、しかもPTAのいわゆるボス連中の運動に対しましては、これを自由にし、温存しておるという形が、
はつきり現われておると思います。なお、こういうふうな民主勢力への圧迫の例を上げますと、第百六十二條の、
個人演説会に対しまして、何らその周知徹底方が
規定されていないということ、あるいは百四十六條の
文書図画の
頒布の場合の全面的な
制限の問題、あるいは二百七十條におきますところの入院加療中の者に対する
住居の
制限の問題、こういう問題が大衆的な民主勢力に対する非常な圧迫とな
つて現われておりますが、これらの民主勢力に対する圧迫を、第十六章におきまして、非常や強い罰則をも
つて威嚇しておるということは、明らかにこの
法案の反動性を物語るものであると私ども
考えます。
しかも第八十九條の公務員の
立候補制限の問題に至りましては、これが最も露骨に現われておりまして、第九十條には、五日以内に
立候補できるということを公務員に許可しておるのでございますが、これも
参議院からの申入れにあります
通り、少くとも高級官僚、高級公務員に対しましては、ぜひとも半年、あるいは一年くらいの
制限は設けるべきであるにかかわらず、この
参議院の申出は、今
委員会ではこういう形で無視しておるかたわら、一方三百万人に達しますところの
官公吏に対しましては、辞職しなければ
立候補できないという形で、実質的に被
選挙権を剥奪しておる。これは形式的には
官公吏一般という形で、高級官僚の事前運動を実質的に許し、しかも一般
官公吏に対しましては、被
選挙権の自由を剥奪しておるという問題が明らかにこの中に含まれておると思います。現在すでに
地方におきましては、次官あるいは
知事等がその地位を利用し、あるいはその他の権力を利用いたしまして、事前運動をや
つておるということは……私どもも問題でございますが、こういう
立場にない各党の代議士諸公にとりましても、大きな問題ではなかろうか。この
法案が通過いたしますと、おそらく来る
参議院選挙には、過半数いわゆるこういう植民地的官僚ボスが出て来るのではないかと存じております。
しかもこの
選挙費用は、いわゆる八当五落と言われておりまして、八百万円なければ
当選できないと言われておりますが、この金は実に莫大な金でありまして、現在の代議士諸公でも、そうやすやすとできないと思います。この金は、実は今言いましたような官僚の手には、現在の支配階級の財政政策を通じて非常にやすやすと入る。しかもこれがいわゆる植民地的官僚の本質を暴露しておるのでございまして、植民地的な財政政策の線を通らなければ、これは手に入らないという形が
はつきり出ております。それはいわゆる補給金の問題であり、あるいは公団の拂下げの問題であり、あるいは公共事業費の行方であり、あるいは六百五十億円に達しまする
地方に対する補助金、こういうものがいわゆる官僚群の
選挙費用とな
つて多分に流れ込むであろうと
考えられるのであります。これは五井産業事件、あるいはその次に出て来るであろう金相哲事件、このことが
はつきりとこの問題を暴露しております。これはまだ氷山の一部でございまして、次々にこの問題が、
選挙戰がたけなわになるにつれて、起
つて来るであろうということを私どもは懸念しております。