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三浦法制局参事 百四十
八條第二項の問題について、まず
土橋委員から
お話がございました点にお答え申し上げますが、「
前項に
規定する
新聞紙又は
雑誌」と申しまするのは、百四十
八條第一項全体を指しておるわけでありまして、従いまして
本文と
但書とをひつくるめまして、「
前項に
規定する
新聞紙」というものを読みますれば、結局
但書で「公正を害してはならない。」と書いてありますので、そういう以外の
新聞、こういうことになるわけであります。つまり百四十
八條の第一項によ
つて適法だ、
表現の自由を
濫用して
選挙の公正を害していない
新聞だ、こういうことに「
前項に
規定する
新聞紙又は
雑誌」ということは読んでおるわけであります。
それから
通常の
方法ということは、いろいろむずかしい問題でありますが、社会通念上、従来
新聞紙または
雑誌を
販売している
方法が、どういう
方法であ
つたかということによ
つて、あとは具体的な問題について
決定するよりしかたがないと思
つておりますし、またこの
通常の
方法で頒布するということは、従来の臨時特例法等にも使
つておりました用語そのままであります。従いまして、この
通常の
方法で頒布することはできるのでありますから、
選挙のときに
通常の
方法で頒布しなか
つた者はこれを処罰するということは、佐竹さんのおつしや
つた通りであります。従いまして二項で
通常の
方法によらないで頒布しまたは
選挙管理委員会の指定しない
場所に掲示したというような場合におきましては、二百四十三條の第六号におきまして、それは
違反になると、かように
考えておるわけであります。従いまして、先ほど御指摘になりましたように、たとえば
選挙のときに特に号外を出す、
選挙の場合に号外が今まで出なか
つたとも限らぬと思いますが、その出し方が、特別今までそういう場合にあれしていないにかかわらず、出たというような場合が、
通常の
方法によらないで頒布したということに社会通念上認定されれば、それはまた一応
議論の対象になるということにはなり得ると思
つておりますが、一概に号外が出たからとい
つて、すぐ
違反だということは、これは具体的事実によ
つてきめるよりしかたがないと、私はかように思
つております。ことにこの二項を置きました
趣旨は、今のように
評論の自由までも特にこの百四十
八條に
規定いたしまして、
新聞にそれを確認したわけでありますので、
新聞でどんどん特定の
候補者の支持、推薦等をいろいろやりますと、せつかく一方におきまして
個人の
文書図画の
制限を加えました
規定が、没却されることになりますので、それはやはりわれわれも社会通念上
考えられている
通常の
方法で頒布しておる、家庭に配
つて行くなり、あるいは今までやられてお
つた方法で業者がや
つて行く、あるいは
選挙管理委員会が指定した
場所に掲示する、これを
選挙管理委員会の指定した
場所以外にか
つてに張りまして、どこの軒先にでも張
つて行くということになりますれば、
個人の
文書図画の
制限はすべて没却される。こういうことになりますので、さような見地からこの第二項が置かれておるとお
考えおきを願いたいと思います。
そういたしまして、第二項の問題は、先ほど私佐竹さんに百四十
二條、百四十三條の問題に関連して申し上げたのでありまするが、特に百四十
二條、百四十三條を代表的に申し上げたのでありまして、なお第百四十六條におきましては、
選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をも
つてするを問わず、禁止を免れる行為として云々の行為をや
つてはいかぬ。「
文書図書を頒布し又は掲示することができない。」とあるのでありまして、これはすべて広く
規定をいたしておるわけであります。従いまして、先ほどの百四十
二條、百四十三條、百四十六條等を総合的に
考えます場合におきまして、
選挙運動のために使用する
文書図画の頒布または掲示ということの
制限の
規定が一方にありますので、それらを除外するということを
規定上明らかにいたしておきませんと困りますので、百四十
八條の第二項におきまして、それはできるのだ、要するにこういう場合はその
制限の
規定にかかわらず妨げないのだ、こういうふうにあるわけであります。従いまして、百四十
八條をさらに明瞭にいたしますれば、百四十
二條または百四十三條の
規定にかかわらずということを、そこに掲げておる
趣旨なのであります。
なおまた
選挙運動のために使用する
文書図画が予定されておるということは、もちろん当然のことでありますけれ
ども、百四十
二條、百四十三條、百四十六條ともに、これは
選挙運動者がやるということは特に
規定してはないのでありまして、
選挙運動者の場合はもちろんのことでありますけれ
ども、要するにそれが
選挙運動のために使用される
文書図画ということになりますると、
選挙運動の定義をどう
考えるかということになりまして、たとい
新聞紙が特定の
候補者を支持、推薦するといたしまして、それが
新聞紙の使命としてやるといたしましても、それは
選挙の範囲内におきましては、その部分を取上げますると、それは
選挙運動に関する
文書図画、こういうことになり得ると
考えますので、さような
意味におきまして、百四十
二條、百四十三條、百四十六條との関連において、二項の
規定を置いたわけでありまして、百四十
二條なり、百四十三條が、常に
選挙運動者のための
規定であるというふうには、私は
考えておらないわけであります。さような
趣旨からこの二項を置いておるということを御了承願いたいと思います。