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1949-12-13 第7回国会 衆議院 選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月四日  生田和平君が委員長に、加藤隆太郎君、栗山長  次郎君、小玉治行君、野村專太郎君、山本猛夫  君、前田種男君、並木芳雄君、谷口善太郎君、  逢澤寛君及び井出一太郎君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十二月十三日(火曜日)     午後二時五十五分開議  出席委員    委員長 生田 和平君    理事 加藤隆太郎君 理事 栗山長次郎君    理事 小玉 治行君 理事 野村專太郎君    理事 並木 芳雄君 理事 土橋 一吉君    理事 逢澤  寛君 理事 井出一太郎君       池田正之輔君    北澤 直吉君       佐瀬 昌三君    千賀 康治君       中川 俊思君    藤枝 泉介君       松本 一郎君    山村新治郎君       鈴木 幹雄君  出席政府委員         全国選挙管理委         員会事務局   吉岡 惠一君  委員外出席者         法制局参事   三浦 義男君 十二月十三日  委員谷口善太郎君辞任につき、その補欠として  土橋一吉君が議長の指名で委員に選任された。 同 日  理事谷口善太郎君の補欠として土橋一吉君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 生田和平

    生田委員長 これより選挙法改正に関する会議を開きます。  去る十二月四日の委員会並びに六日の理事会におきまして未決定になつておりまする新聞報道等の自由に関する問題につき、重ねて御審議を願いたいと思います。  去る四日委員長に御一任になりました範囲では、新聞協会との話合いが成立せざることが明らかになつたので、六日理事会を開き、協会側より江尻編集部長参考人として出席を求め、意見交換を行いましたが、結論を得るに至らず、今十三日委員会を開くように御中合せになつた次第であります。以上の次第でありまするから、新聞報道の自由に関する件についてお諮りいたします。
  3. 栗山長次郎

    栗山委員 ただいま経過を承つたのでありますが、それに善処するために、委員長において何か腹案がありますか。もしございませんければ提案をいたしたいことがあります。
  4. 生田和平

    生田委員長 委員長は多少腹案は持つておりますが、御意見があれば御意見を先に承りたいと思います。
  5. 栗山長次郎

    栗山委員 新聞との意見の相違は、この委員会で私どもの理論によつてもしくは私ども経験にかんがみての言論によつてだけでは、端的に解決しにくいかと存じます。そこで新聞言論の自由はなるべく認めた方がよいことであつて、原則的に当然認むべきことでありますが、われわれの関心は、その端的に現われる弊害を、いかにして除去すべきかという点に集中されるのであります。一応新聞報道並びに評論の自由を認めみということにいたしますならば、たやすく現われる弊害、しかもそれが顕著な影響を及ぼす弊害を、いかにして防止するかという二本建で行く以外に道はないと思うのであります。その観点に立つて今までわれわれが練り来つたものによつて考えるとするならば、新聞の方の報道の自由は、すでに本法案においても、法案要綱においても、認めておるのでありますから、評論をいかに扱うかということが、内容的にいろいろな今までのいきさつを勘案し、将来の見通しをも含めて考えました場合に、一つの具体的な案として考え得ることは、弊害を防止するために日刊紙というものを一つ取上げる。日刊紙選挙の前一部か二部ずつ出しておつて選挙のときになつて何千、何万部出すような日刊紙であれば、これは選挙を毒するための日刊紙であるということが、すぐわかるのでありますが、さようなことを防ぐためには、継続されて発行されているということ、いま一つは、部数にある程度までの押えを置かなければならぬということ、この五つを押えて、それに期限を付して弊害除去のつの條項を設けるならば、国民が信頼するに足る日刊紙においては、評論の自由に基き、評論を自由にしても、大して選挙全体の公平を害するとは考えられないから、あとの場合を制限することによつてわれわれの懸念する弊害は除去し得る。具体的に申すと、選挙期日の公示前六箇月以来引続き日刊紙を発刊し、しかもその日刊紙は、部数の抑え方はむずかしいと思いますが、たとえば日本タイムス関係しておつた人の追放問題が起つたときに、その発刊部数が一万部以上であつたかなかつたかということを司令部でも相当に問題にしたことがあります。かような例から言つて新聞のウェイトをはかるには、新聞部数がどれだけあつたか、しかもそれが無料ではなくて、購読料拂つて読者が購読していたものがどれだけあつたかということが問題になりますから、この数字はさらに練らなければならぬと思いますが、かりに三千部とか五千部とかの購読料を抑つてつた読者があること、かような制限を設けておいたならば、その条件に適合するものであるならば、評論までいたしても著しく弊害、害毒を流さぬであろうということが考えられるのであります。まとめて申しますと、本法の百四十八條では、報道評論二つにわけて評論については、今申したように、選挙期日の告示前六箇月、場合によつては五箇月でもよいと思いますが、爾来継続して有代紙五千部以上日刊紙を発行するものにこれを適用するが、しからざるものには適用しない。かようにやつたらば事実と合うのではないかと思います。以上具体的な提案をいたした次第であります。
  6. 並木芳雄

    並木委員 私も先日来の審議いきさつにかんがみまして、何とか妥結点を探さなければいかぬという観点で、非常に今苦心して参つたのであります。私個人結論としては、ただいま栗山委員が言われたようなところへ持つて行くのがいいというふうには、考えておつたのであります。しかしこれは個人だけではいけませんので、正式に党に諮つて、そうして党としての意向をまとめて行く必要があると思いましたので、実は昨日の民主党野党派総務会の席上にこの問題を持ち出して、そうして正式に討議をしてもらつたのでございます。それはこの前の六日の理事会の翌日の新聞をごらんになつた方は、御記憶と思いますが、ほとんど各社筆をそろえて社説に取扱つてございます。そうしてその中で感じた点は、角をためて牛を殺す、こういうような表現をもつて論ぜられている傾向が多かつたのであります。もつと極端た表現をしているのもありますけれども——それで私は、自分としては、その角をためる方にいささか重点を置き過ぎておつた。これほどまでに新聞が保障してくれるならば、あるいは今まで考えておつたところのものが杞愛ではないかというようにも考えましたので、そういう点を特に強調して、昨日の総務委員会において諮りましたところ、党の方といたしましても、相当これを重要税して取上げておりましたし、愼重審議をした結果、ただいまのような御提案までには行かなかつたのですが、実は政党及び政策についての評論を認めて今の段階におきましては、個人に対する評論だけはしばらく見送りたい、こういうことが結論されたわけでございます。  その理由といたしましては、新聞社を信用しないとか、あるいはまた国民のしベルが低いとか、別にそういつた点ではございませんけれども、やはり個人評論になると、勢い私行上の点が誇張されるおそれがあるということ、またいろいろの新聞を全部読んでくださればわかるのですけれども一つ新聞だけを読んでおります場合には、他の新聞との比較ができませんから、それによつて動かされやすいという点がある。それから私のように東京におりますと、ちよつと気がつかなかつたのですが、地方へ行きますと、たとえば朝日とか毎日とか読売とか時事とかいう新聞を読みたいと思つても、どこかで買い求めようとすると、なかなかない、あるのは県の地方新聞である。こういうようなところも散見されましたので、私どもが都会にいて考えるように、新聞はあまねく行き渡つておらない節もある。そこで個人に対する評論を今ここでわくをはずしてしまいますと、かなり牛の角に相当する弊害が起つて来るのではないか。起らなければ幸いでありますけれども、やはり起つて来るのではないか。だからその点を愼重にかつ自重する意味において、政党及び政策に関しては評論を認めて個人に関するものはしばらく制限をして行きたいというようになつて来たわけであります。  この機会に私がぜひ一言つけ加えさせていただきたいのは、この社説その他の評論を見ますと、かなりいい意見がある。たとえば朝日意見とか毎日の意見とかございまして朝日の場合は、文書図画制限候補者個人選挙運動の上の便宜上のものである。毎日の場合は、事実の報道評論は不可分であると書いである。あるいはまた東京新聞においても、われわれとしては傾聽すべき点が多かつたのでありますけれども、その中でもなお私たちとしてやはり承服できないような点もある。たとえば読売は、こういう暴挙をあえてしようという根本原因は何かといえば、結局現在当選している議員が再選を確保する上にじやまになりそうだという彼らの懸念だけである、ということを書いておりますし、夕刊中外におきましては、これは時代錯誤である、一体いつの間に国会人がこんな腐りはてた根性になつたか知らぬが、愚案とわかつたらこだわらずに即刻撤回すればよろしいと書いである。私たちのように、最も真劍に、そうしてほんとうに、公正な選挙ができるようにという見地から、むしろ無名の士、あるいは金を持たない人、「地盤を持たない人、新たに出て来る人のためにと思いつつ、この改正について論議をしておつた者は、はなはだ心外にたえないものが多々あるのです。天下の大新聞にしてなおかつこういう社説が出、こういう評論が出る傾向があるのでありますから、私はあえてそれを攻撃する意味ではございませんけれども、今の段階におきましては、ただいま申し上げましたように、個人の問題を除いて政党及び政策評論は認める、こういうふうに相談をお進め願いたいと考える次第でございます。
  7. 栗山長次郎

    栗山委員 私の了承するところでは、新聞側評論を自由にするという場合に、われわれは四日の委員会では特定候補者支持もしくは排撃する評論だけは除いて、他の評論は認めてよかろうじやないかという腹案委員長にお授け申したように記憶しておるのでありますが、おそらく委員長が重ねてこれを諮られます根本理由は、政党政策評論だけでなく、特定候補者についても評論を加えたい、その自由を獲得したいというのが新聞側の要求であろうと思うのであります。その点で話合いがつかなければ、いつまでも問題が残る。新聞新聞考え国会国会考えに向つて進むということであれば、それで一応のけりはつきますけれどもほんとう意味の政治的のけりにはならないと思うのであります。そこで特定候補者支持もしくは排撃するのを、公正な新聞においては一応認めるとしても、公正を欠くと思われる諸條件を具備しておるものについては、これをはずすということ以外に——ということ以外にと言つては、少し言い過ぎますけれども、そういう考えで行くことが、今までの経過にかんがみて、妥結一つの道であると思いましたので、具体的に申し上げたのであります。
  8. 生田和平

    生田委員長 ただいま栗山君の言われました四日の委員会の結果、委員長に御一任になりました点につきましては、新聞協会の方と交渉を重ねたのでありますが、新聞協会の方はインポデン声明を主張いたしまして、この点に対しては一歩も讓歩いたしませんで、遂に不成立になつたのであります。このインポデン声明は、お手元に差上げでありますが、本年の一月十四日、新聞特定政党もしくは候補者支持の問題について、次の談話を発表した。こういうのをプリントにしてお手元に差上げであるのです。そのうちに「支持反対のいかんを問わず、いかなる政党、いかなる政党候補者についても、これを自由に論ずるのは新聞の義務である、」こういうことを言われておるのでありまして、新聞協会の方はインポデン声明を、主張しまして、新聞の使命は個人に対しても論評を加えてさしつかえない、こういう考えを持たれておるようであります。
  9. 池田正之輔

    池田(正)委員 ちよつとお尋ねしますが、そうすると、今の栗山君の言われるような点も、一切讓歩できない、こういうことですか。
  10. 生田和平

    生田委員長 栗山君の御提案は、日刊新聞、あるいは五千部とか六千部とか、期間の問題で、そういうのを栗山君が過日の四日の委員会の結果、委員長一任した、それができないであろうという御推定であつたのでありますから、一応お答えしたわけです。
  11. 栗山長次郎

    栗山委員 できないということを承知しておりますから、それならば別の方法をとらなければ打開の道はないと考えたので、さように具体的に取上げたわけです。
  12. 池田正之輔

    池田(正)委員 私は途中からこのごろ入つて来たので、前の何十回かにわたる当委員会論議は聞いておりませんからよくわかりませんが、大体どつかで制限をつけなければならぬ。先ほど並木君からか、大新聞選挙も何もわからぬようなとぼけた論説を書いておるのがあると言われましたが、このとぼけた日本言論界——新聞は除いて、あとのわけのわからぬ論説を書くような日本言論界を啓蒙する機会を、われわれに與えられたと思う。この機会をこそわれわれは十分に生かして、言論界を啓蒙する必要があると思うしそれでこの間の馬場会長声明は、趣旨としては我々は賛成であるけれども、プしス、コードに盛られておる趣旨から言つても、これに反しておる新聞日本にはたくさんあるのです。これをどうして制限するか、こういうことなのです。それを技術的に私は検討してほしいということを、この間から主張しておるので、ただわけのわからぬ新聞協会あたり意見を、そのままわれわれ無條件に取入れることは絶対反対である。
  13. 松本一郎

    松本(一)委員 さつき栗山さんからもお話がありましたが、なるほど何箇月以前、または部数によつてどれほど以上の部数を発行しておるいわゆる相当大きな新聞——それ以下の小さな新聞は別として、大きな新聞であるならばある程度は認めたらよいという御意見のように承つたのです。しかしながら私よく知つておりますが、最近ある地方新聞、これはおそらく十万部近く発行しておると思いますが、それにある資本家資本を出して名前はわかつておりませんが、裏面においてその新聞を肩がわりした。その目標は、近く行われる選挙目標としておる、こういうことです。しかもその後の新聞記事は、その人に非常に好意ある記事を多々掲載しております。かような事実を現に見ておるのであるが、それでは何箇月以前とか、あるいは部数とかいうことが意味をなさなくなるのです。結局民主政治議会政治であり、議会政治選挙が一番大事なのでありまして、選挙を通じて次第に議会政治をよくし、日本をりつはな民主国にする、こういうことが目的なのであります。その選挙もしだんだん堕落するというようなことがあれば、これは日本の再建のみならず、日本民化に重大な支障を来しはしないかを心配します。ついては皆さんも長らく御経験かありましようが、私も大正時代からたびたびの選挙の深き経験を持つておる。現在の新聞の実情では、これは全部ではありませんが、中にはまだまだ心配にたえなぬ新聞が多いのであります。さき並木君が言われたのは、ごもつともと思います。ですから、委員長にお伺いしたいことは、いま一度委員長初め委員の中から、その筋と十分この点について折衝して、御了解を願う御努力を拂つていただけないかということ。  もう一つ新聞協会と私どもと一度ひざつき合せて意見交換をする。そうしてお互い選挙を正しく、しかも自由に公平に行う、プしス、コードの線に沿つて行くということを話合いになつたらどうかと思うのであります。  この参りについて委員長のお考えを伺いたい。
  14. 逢澤寛

    逢澤委員 新聞報道評論の問題は、今新聞報道評論のことに集中しておりますが、少くとも五箇月も六箇月もかかつてこれだけのものができたのですが、このすべてがこれにかかつて来ると思います。もしこれが新聞参社の要求しておるようなことになると、他の制限は、まるきりやめてしまつたらいいくらいになると思います。そのくらい重大性を持つておる。これは皆様御同感と思う。しがしながら、ここで直面しておる問題は解決しなければならぬ。そこで私は、さきお話があつたことく、その筋とお話をする前に、新聞社がそれだけ主張するのは、新聞社も愛国の至情から出ておると思うから、どうしたらそういうことをうまくやり得るかについて、新聞社関係の方に来ていただくか、あるいはこちらから出かけて行つて、心行くまで話をして一応の見通しをつけて、さらにこの委員会の議事を進行したらどうか。そうしませんと、ほかのことをやつてみたところで、もしこれが仰せのごとくやるのであつたら、他の制限事項をまるきり撤廃すると同じくらいの価値があると思います。これをひとつ皆さんにお諮りを願うという動議を私は出したいと思います。
  15. 栗山長次郎

    栗山委員 ただいまの御動議でありますが、その動議はすでに四日の日にも出ておりますし、その動議に基いて委員長ほか都合のつく人に、さらに新聞社側との懇談協議を願おうということとなつてつて、今日に至つておると私は了承いたしておりますか、結局の論点は、特定候補者支持さくは排撃する評論の掲載を認めるか認めないかというところで、今壁にぶつかつておるのだと思います。公式の委員会における話としてはいかがかと存じますが、私も新聞関係のあつた人間でありますが、ここまで参りますとおそらく何べん会つても、会えば会うほどお互いに激論を闘わす方向に向くばかりであつて、まとまる道へは進まないと思います。だからここで委員会として伏線的に考えておかなければならないことは、どこまでも国会意思通りにやるか、それともそういう要望があり、そういう批判があり、またそれを是と考える者があるならば、まだこれは要綱の域を脱しておらない案文でありますから、要綱の域を脱しておらぬ案文のうちに妥結の道を講ずるか、この二つしかないと思います。私は委員の一人としてこのまま私ども考えだけを押し通すということよりも、そこに弊害を除去する方法があり得ると思いますから——全然除去するという方法ではありませんけれども、ある程度まで弊害を除去する方法はあり得ると思いますから、その方法を取上げて、要綱のうちに妥結をつけたらどうかというのであります。ただいまの御動議は、すでに出ておる御動議であつてその動議に基いて委員長初め他の諸君が盡力されてこの段階に来ておるのでございますから、重ねて懇談協議をするということの効果を疑うも、のであり書て、今の段階となどは、われわれは第二案をもつて自分たちの案を練つて行き、そうして間接にはその案について非常に異義のある方面との話合いをつけるという以外に、行き方はないように私は観察をいたしております。
  16. 逢澤寛

    逢澤委員 栗山委員お話もつとものように思えるのでありますが、しかしながら、ちよつと違つた点があるのです。それは委員長におまかせいたすということは、公聽会かあるいは新聞社の方と座談会を開いて、そうしていま少し進んだ考え方を発見しよう、こういうことであつた。そこで今の段階では、委員長新聞社側交渉を重ねたという段階を出ていない。そこに折衝を重ねて、知識交換行つたり、あるいはこういうことをやればこういうような弊害ができるのだ、こういうことは新聞社方々もよくわかつていないと思う。その点が違うということが一つ。それからいま一つは、私どももその後、地方の数社に行つたところが、数社の人はこう言うのです、いやしくも日刊新聞を発行しておる以上は、それを制限するということは非常に困難た、こういう意見を持つておるのでありますが、新聞社方々とわれわれの委員会とが座談会を開いて、そごにまた新しい知識あるいは新聞社としての考え方が発見できるかもしれないと思いますから、一応そご話合いをして、そうして発見ができなければ、さらにまた他の方法考えるということにしてもおそくはないと思います。だから今これを飛躍的に折衝をせずに、委員長かただ一回——あるいは数回か知りませんが、新聞社の人に会うて、これはいかぬと言つて結論をつけるのは、私は少し早いと思います。新聞社の方からもここに打開の道があるとすれば、お互いに憂国の至情から打開の道を発見したらよいと思います。だからあえて飛躍せずに、もう一ぺん新聞社側話合いをして、そうしてその後にまたさらに委員会委員会としての考え方をめぐらすべきだと思うのであります。従つてこの委員会は一応休憩していただいて、適当の機会に、早い機会新聞社話合いをする機会をつくつていただく動議を私はさらに重ねて出したいと思います。
  17. 生田和平

    生田委員長 逢津君にお答えします。四日の委員会であつたかと思うのですが、特定候補者に対して議論をしないという範囲内で話がまとまるものならば、まとめよう、こういうふうな委員会の御決議であつたと私は了解しております。そこでただちに翌日でありましたか、新聞社側の方と交渉いたしたのですけれども、その点まとまりがつかないことは、先刻も申し上げた通りであります。それから座談会を開くということについては、当初から新聞協会の方は希望しておられた。ちようど国会の末期でありまして、非常に、ごたごたしておつたので、一応党の幹部にも話はしたのですけれども、私の方では今余地がない、臨時国会でも済めばまた何とかなるかもしれぬ、こういうことで、そのことは実はお流れになつておるのです。いろいろ御心配もありますが、私の考えとしては、今の段階では、もうはつきりしておるのです。言論の自由は絶対に讓歩しないというのが、新聞社側の方の建前であるし、また関係方面も、完全なる自由という表現を使われておりますので、私の力では実は及ばぬようになつておると思う。皆さんが御交渉になつて、またどういう変化があるか知りませんが、委員長としては、今のところではちよつと見込みがない、こういうふうに考えておるのです。
  18. 逢澤寛

    逢澤委員 この点、私は委員長の、この選挙法改正にあたつて熱意は、非常に感謝いたしております。しかし最後段階では、この重大なる交渉にあたりましては、私どもの希望としましても、これは委員長お一人じやいかぬということを、私は主張しておる。どうしても数人の人が帶同して、最後交渉はお願いいたしたい。こういうことを申し上げておつた。それを今までは遺憾ながら委員長が、いろいろ熱意のとしい、またわれわれがおりませんでした関係があるか知りませんが、常にお一人で御努力なさつておる。この点はこのまま往生するということではいかぬと思う。
  19. 生田和平

    生田委員長 その点は、六日の理事会でいろいろ御議論がありましたが、ちようど休会に入つて皆さんがお帰りになつたので、実はやろうとしても機会がなかつたのです。来る十三日に委員会を開けというお申合せになつておるので、今日委員会を開いたわけであります。
  20. 逢澤寛

    逢澤委員 それで私は結論から申し上げますが、今の栗山一さんの提案は、それで行けるとすれば、その線は私もそれでいいと思う。腹はできておるのだから、私は栗山委員提案なさつた線で行けることならば、私はいいと思うから、そういうような腹のもとに新聞社方々とも話をしたら、あるいはまた知識が出て来るかもしれぬ、そういうような意味合いで交渉したいと思う。
  21. 池田正之輔

    池田(正)委員 これは結論的には、どこかで一線を画す。並木君の意見も、栗山君の意見も大体似ていると、ぼくは思う。それで一流の言論機関が、選挙というものを知らないで、いい加減な論説を書くようでは出るから、啓蒙する必要がある。私は、これはさつき言わなかつたけれども、そういう意味から言つても、今の動議に大賛成です。ぼくは今まで言論界諸君や、あるいはあちら側とこの委員会が十分に折衝がてきておる、そう思つてつたが、今聞いてみると、委員長一人でやつてつたということで、いささか驚いたのですが、私も言論界出身の人間としていやしくも私はこの委員会のメンバーの一人としている以上は、お互い言論界とこの委員会が誤解のままで過すということは、はなはだ遺憾だ思う。だからわれわれの意のあるところを十分に彼らに話して彼らの蒙を開く。われわれは何も考え直すことにやぶさかではない、十分話合いすることが私は必要だと思う。私は少くともさつき一私も実は論説をよく読んでいませんが、今の新聞界の諸君は、選挙というものをあまりよく知つていない。そういう意味でひざを交えて彼らと話合いをすることが必要だ。ところが話合いがつかぬということを言うなら、この弊害を聞かせれば、彼らだつてよくわかると思う。そういう意味で、委員長だけでなしに、私も出て行きますから、これはぜひ話合いをする労をとつてもらいたい。
  22. 栗山長次郎

    栗山委員 話合いをなさることに、私は賛成いたします。しかし話合いをするのには資料がなくてはならぬと思いますので、冒頭に申し上げましたことを、文案としてお持ちになる資料のために提供いたします。第百四十八——まだこれは要綱でありますから「條」の字がありませんが、「この法律に定めるところの選挙運動制限に関する規定は、新町において、選挙に関する事項を報道として掲載する自由しその次かに「及び選挙期日の告示の日前六箇月以来引続き五千部以上の有代紙を発行する日刊新聞において、選挙に関する評論を掲載する自由を妨げるものではない。」これによつて冒頭に申し上げましたように、六箇月前から日刊紙を引続き発行しておつて、しかも新聞の価値は部数によつてきまるのでありますから、押しつけの部数は何にもなりませんですから、講読料を拂つておる、業界で申す有代紙で五千部以上を発行しているという三つの條件をつけて、それ以上の日刊紙であるならば評論を掲載する自由を妨げるものではない。せめてこの程度の腹案をお持ちにならなければ、話合いがつかぬのではないか。私の感覚ではさように判断するものでありますから、これを資料の一部として提供いたします。
  23. 池田正之輔

    池田(正)委員 今の栗山君のお話ですが、これはやはりそうはつきりここで今きめないで、お互いの腹づもりぐらいで、大体そのくらいのところで一致しているのじやないかと思う。これはやはりはつきりきめちやつてからぶつかると、さつき栗山君が心配していたように、かえつてゆとりがなくなつてぼくはどうかと思うのです。  それからもう一つつけ加えて——さつき私が言いましたのは、大新聞諸君は、大新聞から育つて来ているので、地方のえげつない小新聞の実際を知らないと思う。私はいなか育ちでいなか新聞もやつたことがあるし、そういう意味でそれらの者の蒙を開きたい、こういう意味ですから……
  24. 野村專太郎

    ○野村委員 今池田さんのお話は私も同感でありまして先般の理事会の空気から見ましても、懇談会の機会を早く得て、そこに何らか困難ではありまするが、妥結点を見なければならぬと思います。特に日本再建のために最も適切な選挙法を得たい、こういう至情については、言論機関といい、われわれとしてもかわるところはない、こう思うのです。特に国会選挙並びに地方議員に至るまで、今度の公職選挙法はこれをもつて当てておるので、特に地方議員の選挙なんということに対しては、言論機関も、一流紙のみによつて十分その世評を盡し得ない面もあるので、單に発行部数なりいろいろな点で一線を画することは困難である。こういう点から、とにかく双方の立場から懇談をすれば、必ずしも決裂するとは言い得ない。しかし言論機関の立場も、憲法の精神からいつてこれはもつともですし、原則的には、どちらの立場もこれは納得できるのですから、事実問題として双方考えなければならぬという先般の理事会の空気もございますので、至急ひとつ会同して懇談をされることに、私は賛成いたします。
  25. 土橋一吉

    土橋委員 私は初めて当委員会に出ましたので、詳しいことは存じませんが、今野村委員からお話になりまするような内容については、私も賛成の意を表するものであります。ただ栗山委員からお話になつておりまするような、新聞に対する部数制限とか、その他の制限をお出しになつております基本的な態度については、私は若干の疑問を持つておるのです。従いまして、私は栗山委員から今そういうものを含んでの懇談会ということについて、どういう根拠でただいまのような内容をお出しになつておるかを、もう一度お聞きしてみたいと思います。
  26. 生田和平

    生田委員長 大体皆さん新聞協会委員会側との懇談会を開くという御意見のようでありますから、さよう決してよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 生田和平

    生田委員長 それでは最近のうちに、新聞協会と協議をいたしまして、御相談します。  なお代表されて行くお方の人数は、どのくらいがいいですか。     〔「大勢の方がいい」「希望者全部」と呼ぶ者あり〕
  28. 生田和平

    生田委員長 それでは委員長手元でしかるべく選考いたしてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 生田和平

    生田委員長 それではそういうことにいたします。
  30. 松本一郎

    松本(一)委員 新聞協会との懇談会ですが、これはこちらから出向くのですか、向うから来てもらうのですか。
  31. 生田和平

    生田委員長 それは向うと交渉して……
  32. 松本一郎

    松本(一)委員 なるべくならば来ていただくことに……
  33. 生田和平

    生田委員長 そういうふうに交渉してみます。
  34. 松本一郎

    松本(一)委員 新聞協会との懇談はけつこうですが、最後の仕上げまでに、もう一度、都合によつては二度ぐらい、その筋と委員長初め委員方々とともに御折衝を願つて最後の帰着点を見出していただくことにしたらどうかと思います。
  35. 生田和平

    生田委員長 一度新聞協会と協議をいたしまして、その結果によつてお諮りいたします。
  36. 土橋一吉

    土橋委員 先ほど私が栗山委員に質問したことを、もし委員長が御承知ならば、簡單にお町かせ願いたい。
  37. 生田和平

    生田委員長 私栗山君の内容について、まだ伺つておりません。部数は三千部以上であつて、六箇月以上の期間を持つたもの、そうして日刊新聞、これだけは記憶しています。
  38. 土橋一吉

    土橋委員 それについて栗山委員がどういう意味制限を付しておりますか、この内容をお聞きしたい。
  39. 栗山長次郎

    栗山委員 ごたごたやつておるより、申し上げた方が早いと思いますから、申し上げますが、今までの経過がわからなければ、そういう資料の出て来ることに思い当らないと存じます。問題は特定候補者支持もしくは排撃する評論、これの自由を認めるかどうかということであります。一部出しておつて新聞新聞であります。そうして選挙の前日にできても新聞新聞であります。その新聞特定候補者支持もしくは排撃する評論の自由を持つということになれば、選挙新聞というものは、雨後のたけのこのごとく出る。そのような選挙新聞が出れば、この法案要綱において文書の制限をいたすとか、選挙の公正を期するとふ、金権候補を好ましからざるものと考えつつ立案した法案などというものは、これはもうほごになる。そこで新聞言論報道の自由を尊重はするが、その公器を悪用するがごとき候補者なきにしもあらずでありますから、そういう悪用される機会を除くためには、かような事柄によつて線を引く以外に方法はなかろうというのが、私の考えました理由であります。
  40. 土橋一吉

    土橋委員 わかりました。     —————————————
  41. 生田和平

    生田委員長 この際ちよつとお諮りいたします。理事である谷口善太郎君が本日委員を辞任せられましたので、理事補欠選挙を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略いたしまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 生田和平

    生田委員長 御異議ないと認めます。よつて土橋一吉君を理事に指名いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十一分散会