○川端
委員 それでは先ほど荒廃漁場の問題についての実地
調査の承認の件についてお諮りもございましたので、遅ればせながら中間報告を申し上げます。
荒廃漁場復旧に関する小
委員会は四月十二日、四月二十六日と二回開きましたけれども、この間に
委員諸公は非常に熱心でございまして、そうして多大の
調査研究を積んだわけであります。主として水中障害物がいかに
漁業の面にさしさわりを起しているか、こういう面の
調査でありますが、大体四月二十日現在の調べによりますと、少くともそれまでに
調査し得た数字から申し上げましても、生産額において千三百万貫程度のものは減産をし、これを大体金額に直して、五億万円以上のものが減産にな
つて行くであろう、こういうふうな見込みがついたのであります。そうしてその生産の減退にあわせまして、水中障害物によ
つての地びき網、底びき細筆の綱の損害も参考に申し上げますと、すでに
調査のできた分でも七千箇統以上のものが損害を受けておる。
漁業家のこれによる被害の人員を申し上げますと、九万五千人、そうして漁家の戸数にいたしましても二万三千戸というものが、この水中障害物によ
つて被害を受けているのであります。この水中障害物と申しますのは、戦争中に敷設されました魚雷、機雷を初め、爆弾、兵器類の漁場に投下されたもの、これは同じく四月二十日現在の
調査で申し上げますが、八十九箇所に及んでおります。しかも軍艦その他大型船舶の沈没等によ
つて支障を来しておるところは百八十入箇所、その他流木の
関係も五十四箇所以上とな
つておるのであります。こういうものを全部ひつくるめまして、全国でどういうふうにな
つておるかと申し上げますと、こういう漁場に障害箇所があるという、中央への申請があ
つた件数だけでも五百五十三件、これは北は
北海道から南は鹿児島に至る間でありまして、この中で海に
関係のない県を除きまして、秋田、富山、山形は該当がないようでありますが、宮城、福島、新潟、三重の各県は、二十日現在に
調査が未了でありまして、その実態を知り得ない。このほかの県については、大体全部該当いたしているのであります。その中でも特にひどいのは千葉県、大分県、愛媛県、和歌山県、広島県、鹿児島県
あたりは、特に件数が多いとされているのであります。これをかりに引揚げ等である程度まで操業のできる程度に、現在の
資料によ
つて見積
つてみますと、その経費は三億三千万円以上かかるであろうというふうに推定されているのであります。今この掃海につきましては、終戦当初に一万名の人間が従事いたしまして、三百四十八隻でも
つてや
つておりましたが、現在は千六百名、六十八隻、これに一方連合国側から三百名と七隻という援助をしてもら
つておりますが、こういうふうな状態でや
つているのであります。特にこの掃海でむずかしいのは機雷の掃海でありますが、この機雷は特に海上保安庁等も、連合軍の方から特別の指令を受けておりまして、入念にやるようにというようなことで、
愼重を期しておるそうでありますが、この際ちよつと機雷の状況をつけ加えて特に申し上げておきますと、普通機雷と感応機雷というのにわかれておりますが、普通機雷が大体日本近海で五万五千箇、そのうち二千六百箇は大体において深海であるから、
漁業の操業にはそう支障はない、こういうふうに言われておりまして、そのうち一万箇というものはすでに取上げられましたから、大体普通機雷の分では四万箇というものが残
つておる。感応機雷の分では一万七百箇というものが日本近海に落されているが、その中から大体五千箇以上のものがすでに取上げられておりますので、残りは五千箇であろう、こういうふうに言われておるのであります。
従つて機雷
関係は四万五千箇くらいのものがある。しかもその六割以上のものが
瀬戸内海を
中心にして敷設されているのであります。
従つてこのことは容易な問題ではございません。
従つて今年度の掃海
関係の予算を見ますと、わずかに七億六午万円の費用でございますが、将来相当この面に予算を計上して参らなければならないのではないかというような話が、
委員会でも出て参
つているのであります。この本年度の七億六千万円の予算について、ちよつ
とつけ加えて申し上げますと、本年度の計画では、この七億六午万円のうち、大体三分の一程度のものは、すでに八月までの分として計画を立てているようでありますが、三分の二程度のものは、なお計画を
審議中であります。要するに計画さるべき箇所が非常に広汎にわた
つておる
関係上、どれを優先的にやるかという
審議を行
つているようであります。海上保安庁を
中心にしてこの
審議をやるようでありますが、これが五月の末にこの
審議を一応行うつもりである、そして爾後の計画を
決定するつもりであるというような話もございました。特に私は
水産庁にこの際報告にかねてつけ加えて申し上げておきたいのは、この荒廃漁場の面に、
水産庁の力の入れ方が非常乏しか
つた。今こうして終戰後五年にな
つて、この間にわずかに広島沖の走島が漁場としての機能を発揮するようにという意味で、要するに荒廃漁場の復旧という点で取上げられたにとどま
つているのであります。今後小
委員会としても、
十分調査研究を積みまして、一層この事業の促進をはかりたいというところに、
委員は
意見の一致を見ているわけであります。とりあえずこの程度において中間報告とさせていただきます。