運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-05-02 第7回国会 衆議院 水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月二日(火曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 松田 鐵藏君 理事 早川  崇君    理事 林  好次君 理事 佐竹 新市君    理事 中西伊之助君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       玉置 信一君    冨永格五郎君       永田  節君    福田 喜東君       小松 勇次君    水野彦治郎君       井之口政雄君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豊君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (水産庁調査研         究部長)    藤永 元作君         電気通信事務官         (電波庁法規経         済部長代理)  松田 英一君         衆議院参事         (法制局第三部         長)      鮫島 眞男君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 齋藤 一郎君 五月一日  委員佐竹新市辞任につき、その補欠として松  尾トシ子君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員奧村又十郎君及び松尾トシ子辞任につき、  その補欠として保利茂君及び佐竹新市君が議長  の指名委員に選任された。 同日  佐竹新市君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律  案(参議院提出参法第五号)  水産行政に関する件  閉会中審査に関する件  荒廃漁場復旧に関する小委員長より報告聽取     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  日程を変更し水産行政に関する件を議題といたします。なお電波庁法規経済部長代理松田英一君が政府より出席であります。
  3. 川村善八郎

    川村委員 議事進行について一言申し上げたいと思います。今期国会水産常任委員会は、非常に好成績で、漁業の四大法案ともいわるべきところの漁業法並びに漁船法漁港法等三つ今期国会に制定を見たのであります。もちろん会期の長かつたという点もありましたが、各委員協力一致わが水産常任委員会の使命に邁進したために、この結果を得たものと思うのであります。この点は皆様とともに同慶にたえない次第であります。  ただ一点、最後に汚点を残した点は、紀伊水道中心漁業法の一部改正についてであります。申し上げるまでもなく、衆議院水産常任委員会におきましては、数度の調査団を派遣いたしまして、十分調査の上、これは是なりとして瀬戸内海から紀伊水道を切り離した特別海区を設定しようという改正内容であつたのであります。これらは衆議院共産党を除く野党各派賛成のもとに、首尾よく衆議院通過して、今から四十数日前に参議院に送付したのであります。ところが参議院におきましては、審議を延ばして、もうすでに会期も終らんとするときにおいて、ようやく調査団を派遣して、しかもその調査の結果は結論を得ずして、もう一年調査をした結果でなければ、その結論を出すことができないというようなことで、現在まだ時間はあるといえども、握りつぶされるというようなことが明らかに相なつたのであります。このことにつきましては、もちろん参議院参議院として独自の権限において審議することになつていますから、われわれがとやかく言うべきではありませんけれども、いやしくも衆議院が、先ほど申し上げたように、共産党を除く野党各派も同調いたしまして決定したものを、参議院が四十日以上も、これを審議しないで投げておつたという責任は、私は十分参議院にある、かように信ずるのであります。そこでこの参議院に対しまして、衆議院として一体どういう手を打つかということがまず一点、ところが聞くところによりますと参議院の握りつぶしにしたということは、ひとり参議院責任のみでなく、自由党内の党内事情によつて、握りつぶしをしなければならないことに相なつたということは、つい最近明らかとなつたのであります。これにつきましても、いろいろ党内紛糾した問題があつて田淵君が脱党したとか、あるいは党の幹部が、参議院に向つて紀伊水道の問題は握りつぶしをしてくれとか、その他幹部でなくとも、瀬戸内海関係を持つところの議員が、それぞれ手わけをして、参議院に握りつぶし工作をしたとかいうようなことで、かようになつたということが明らかになつたのであります。いやしくも政党政治である以上は、われわれはその道を十分ふんで、衆議院に可決させたのであります。すなわち委員会委員会として審議し、その結論を、あるいは審議すべきかどうかといつたようなことも、党の政調会その他役員会国会対策委員会等にかけまして、われわれは正当なる道をふんで提案をして、衆議院通過したのであります。従つて党内部から参議院の握りつぶし工作をしたということに相なりますると、これは政党として絶対に許すべきでない、私はかように信ずるものであります。従つて委員会といたしましては、自由党幹部に対して今後いかなる折衝、あるいは態度に出るべきか、これがまず一点。  それから昨日いよいよ握りつぶしということが明らかになりましたので、参議院から回付されました有明海の問題、これにからんだ漁業法の一部改正の問題が、本委員会に回付されて審議しておるのであります。この問題については、一応われわれは審議をしなければならない責任があるのでありますが、この紀伊水道とからんで非常な問題があるので、われわれもその結論を出すことができ得ない途上において、ああした参議院紀伊水道の問題の握りつぶしにからんだいろいろな問題ができて、われわれも非常に迷つておるようなわけでありますが、昨日委員会懇談会におきまして、この紀伊水道の問題は握りつぶされたのであるけれども、第八回臨時国会において、最善を盡してわれわれの責任を完遂するということになつて有明海漁業法の一部改正に関する問題は継続審議にしようという大体の意見がまとまつたのであります。私は決してそれが悪いとは申しません。謙譲の美を発揮することはまことにけつこうであります。法制上はもちろんそうしたようなことがとり得るでありましようけれども、はたしてわれわれが有明海の問題に中心を置いて、さらに握りつぶしをされましたところの紀伊水道の問題を改正内容に織り込むことができるかどうかということを、私は懸念するものであります。なぜなれば、昨日私はこのことについて法制部意見を聞いたのでありますが、われわれは有明海の問題を継続審議いたしましても、すでに参議院はこれを決議いたしまして、衆議院に送り込んで、しかも議会が違つた、すなわち第八回国会になりますと、すでに縁は切れておる、衆議院のみの責任になることに相なるのだそうであります。そうしますと、有明海の問題にプラスして紀伊水道の問題を織り込んで改正をした場合において、衆議院はかりに党内事情を緩和いたしまして通過するにいたしましても、またぞろ参議院において決議をしなければならぬのであるから、裏切者党内にできまして、参議院に送付した場合に、握りつぶし運動が私は必ず起きると思う。また衆議院におきましても、この問題を取上げましたならば、必ずや現在起つたような問題が起きると、かように考えるのであります。そうなりますと、せつかくわれわれは謙譲の美を発揮せんがために、有明海の問題を継続審議いたしましても、いわゆる紀伊水道の問題が織り込めないということになりますと、結局われわれが借金背負つたも同様になります。返済できる借金であれば当然しなければならぬけれども、今のところでは見通しがない。すなわち借金を返済する見通しがありません。従つて私は有明海の問題を継続審議にするといたしましたならば、今から参議院、あるいはわが自由党に対して、それぞれ責任のあるところの言葉とか、あるいは書類をとつて置くことが必要ではないか。これがない限りは、われわれはみずから借金を負つて立たなければならぬ、こういうことに相なるのであります。この点において委員長は、この委員会はいかなる態度に出るか、この三つであります。さきに漁船法中心といたしまして、運輸省関係造船法相当紛争を続けたのでありましたが、造船法はいち早くオーケーをとつて、そうして衆議院に上程をされた。その時分にわれわれがこれを阻止運動をした。ところが党内ではこれに非常に脅威を感じまして、党内事情を緩和いたしまして、委員長承知通り書類交換をして、そうしてめでたく衆議院を通した。参議院通つた従つて漁船法首尾よく党内事情も、関係方面事情も、運輸省関係事情も、みなそれぞれ円満に解決がついて、漁船法もめでたく通つた、こういう実例があるのであります。従いまして、私は有明海の問題にからんで漁業法の一部改正継続審議をするとなれば、本委員会は過去の造船法漁船法との関係にあつたように、それぞれ書類交換をするとか、あるいは話合いをつけてからでなければ、われわれとうてい継続審議するということは、私個人としてはできない、かように考えておるのであります。理由は先ほど申し上げた通りであります。もしそれができないとするならば、かえつてこの際われわれは潔く、つまり有明海の問題を中心とした漁業法の一部改正を、完全にきよう男らしくのんで、衆議院に上程して、そうしてしかるべくわれわれは、それぞれわれわれの襟度を見せてやる必要があるのではないかというようなことも考えますので、一応自分の意見を加えまして、この漁業法の一部改正にからんで、私は意見を伺いたいのであります。
  4. 小松勇次

    小松委員 ただいま川村君から御意見がありました、紀伊水道関係する問題によつて漁業法一部改正法律案は、衆議院を四十日以前に通過いたし、われわれは当然参議院においても、この法案衆議院の議決通り通過されることを期待しておつたのであります。しかるにかかわらず、ただいまお話のあつたごとき事情に置かれておるということは、実に遺憾しごくに存ずるのであります。その間の事情を承りますに、参議院態度に対して、われわれは幾多の疑問を存するのであります。過般のこの委員会におきましても、委員長からここでお話のあつたごとく、この問題は自由党内部においても、幾多の問題があるように伺つたのであります。従いまして、その問題を解決して、この法案通過を期するというお話があつて、われわれはそれを期待しておつたのであります。しかるに今やこの第七国会も終らんとする時間的に迫つたときにおいて、いまだこの問題が解決せられないということは、いよいよもつて私どもは不可解にたえないのであります。この問題がかような事情に置かれておるということは、参議院において、あるいは愼重を期するということはけつこうでありますけれども、愼重の名に隠れて、一部党派の策動により、これが低迷しておるということがあるならば、民主政治を破壊するものと言わねばなりません。(「ヒヤヒヤ」)かようなことは、われわれは断じて許されぬのであります。この問題に対し、委員長は今後いかなる態度をもつて進まれるか。川村君からもお話がありましたごとく、今や国会は終らんとしておるけれども、まだ一縷の望みなしとしないのであります。この際において、これを継続審議に移すか、あるいはまたそれがどうしても不可能である場合においては、来国会において、必ず再びこれを提案して、共産党を除く満場一致でもつてこれを通過せしむるところの努力を、委員長は拂う御意思があるか、われわれとしては、この問題をこのまま放任しておくことは絶対できないのであります。この際において、はなはだ失礼でありますけれども、自由党党内事情より、この問題がかように低迷しておるということは、はなはだ遺憾にたえませんので、もし自由党党内事情がどういう事情であつたか、そのことも一応お聞かせ願えるならば、将来の参考になるのでありますから、どうぞ委員長の御善処を私は希望いたします。
  5. 永田節

    永田委員 ただいま小松委員から、自由党党内事情に関していささか水を向けられたような感じがするので、私の所属は自由党でありまして、この紀伊水道のいわゆる漁業法一部改正の問題の解決につきまして、党内紛糾解決にいささか微力をいたしましたので、その過程における、ないしはその結末に至りました経過につきまして、若干私の会得いたしておりまする内容を御説明申し上げたいと思うのであります。  この法案は、本委員会におきましても、田淵委員提案に基くものでありまして、本会議に上程するその序幕において、わが党内において、若干明朗を欠いて紛糾がかもされておつたのであります。爾来参議院に回付になりまして、この法案がそのまま握りつぶされた形になつて参つたのでありますが、この間において多少水産常任委員としても、この経過の見送り、法案通過というものにつきまして、若干誠意を欠いた点があるということも、われわれは率直に認めざるを得ないのであります。さらに大きく申し上げまするならば、わが党の党内事情からして、野党各位にたいへん御迷惑をかけたということは、恐縮にたえないと考えておるのであります。すでに新聞紙上等によりまして、野党諸君も御承知のように、わが党の田淵委員は、この法案参議院の握りつぶしにあいまして、党内幹部態度にいささか疑惑の念を抱かれて、敢然として彼はわが党を脱党されたのであります。よりよりわれわれ同僚議員が集りまして、田淵君のかような心境かような境遇に追い込まれたということにつきまして、同僚議員といたしまして努力した結果、きのうようやくわが党の旧幹事長廣川弘禪君と、旧総務会長星島二郎君と、旧政務調査会長、現幹事長佐藤榮作君、不省永田節北海道出身松田鐵藏委員、それに当の田淵君を加えまして、いろいろと懇談をいたしました結果、現幹事長佐藤榮作君は、今日かような重大問題を引き起したこの責任を負つて幹事長辞職の旨を申出たのであります。さらに星島前総務会長廣川幹事長は、それぞれ事件をここまで紛糾させ、收拾がつかなかつた、さらに田淵君を脱党心境にまで追い込んだということは申訳がない、かような重大な結果になろうとは思わないで、うつかりしておつてまことに申訳なかつた、かようなことを率直に陳謝せられまして、さらに田淵君さえ御了承願えるならば、曲げて復党していただきまして、各役員は、来るべき臨時国会におきまして、この法案は、一切田淵君の御心労を煩わさないで、当時の三役それぞれの人が全力を上げて、この法案通過努力をするから、惡しからずという旨の言明があつたのであります。かようないきさつにおきまして、田淵君も一切が氷解できましたと見えまして、さらにわれわれの申入れも田淵君としてはお聞き入れくださいまして、ようやく党に帰るということを了承せられたような次第でございます。かような党内事情になつておりますことを、一応御説明申し上げておきます。
  6. 早川崇

    早川委員 この問題に関しまして、私は二、三の点について非常に憤慨にたえませんので、意見を申し述べて、善処願いたいと思うのであります。  第一は、参議院水産委員長がけしからぬという問題であります。そもそも四十八日の間、瀬戸内海紀伊水道へろくろく調査にも来ないし、専門員存をかわりにちよこちよこよこさせて、しかも四十八日の期間中、参議院委員長委員会を一体何べん開いたか。さらに私の憤慨にたえないのは、これは愼重を期さなければならないから、継続審議に持つて行くならば衆議院水産委員会としても納得できるのであります。しかるに昨日は委員会を開かず、握りつぶしの処置に出たと聞きまして、私は参議院水産委員長木下君が、向うの水産委員長として存続しおる以上、われわれ衆議院水産委員会は、参議院提出法案に対しては、一切審議を拒否すべきものである一さらにわれわれが水産委員会から出した案に対して否決するならばよろしい。自由党諸君あるいは国民民主党、その他の水産委員各位、あるいは党が一致すれば、衆議院参議院のかような不合理な議決に対しましても、三分の二の多数をもつて通過さすことができるのであります。かような観点に立つて、当委員会は重大な決意をもつて木下委員長に対して——今、事務当局に調べさした結果によりますと、たとい公報を出しておらなくても、きよう一日本会議を招集しておるわけでありますから、拡声器議長なりあるいは委員長水産委員会を開くという処置に出るならば、参議院においても、当然水産委員会は開き得るというようなお話であります。かような次第でありますから、ただちに参議院において水産委員会を開いてもらつて、せめて継続審議処置をとることを、衆議院水産委員会としてすみやかに要求すべきものである。これが第一点であります。  第二点は、政府漁政部長が来ておりますから、私は一言参議院水産委員会における政府代表のふらちな意見に対して、抗議を申し込むものであります。なぜなれば、参議院水産委員会において政府代表は、紀伊水道瀬戸内海のこの問題に対しては、一年間もたたなければ調査できない。何事であるか、そもそも瀬戸内海というものは地図からいえば、紀伊水道は入つておらない。地理の本を読んだらわかる。紀伊水道むりに瀬戸内海に入れるということであるから、資料がなくて、漁業法の原案において、紀伊水道瀬戸内海にほうり込んだのじやないか、資料がないとは何事だ。私は研究所長政府代表は当然責任をとるべきものであると考える。これが第二点である。  第三点は、先ほど小松委員が申されまして、もう言葉は書きておるのでございますけれども、これは単なる自由党内部だけの問題ではありません、われわれ野党としてこの案に賛成したものがおもちやにされておる。これは国会議員としてすら私は問題にすべきであるということを言う。星島君あたりがそういうことをやつておる。あるいは原君がやつておる。これは委員会決定を愚弄するものであつて、当然運営委員会あたりで、議員辞職とまではお気の毒でありますけれども、せめて懲罰委員会くらいにかけるべき性質のものである。私はこの機会に、われわれの委員会の権威と、さらに多数によつてきまつたことであれば、一部の選挙対策、一部の選挙の特殊の利益によつて公決定がくつがえされることのないように、断固たる党内粛正をやられるなり、それが満足にできないのであれば、野党としてこの問題は当然懲罰委員会くらいまで取上げる決意を持つておるということを、私は表明いたす次第であります。  最後に、この問題は、一年以上われわれはあらゆる苦心努力をし、譲るべきは譲り、公正妥当なる案を得たわけでありますが、すでにあときよう一日でありますから、この法案通過するということは、おそらく参議院の技術上できないでありましよう。できないけれども、これでわれわれがただ引込んでしまつたとすれば、それこそわれわれ水産委員会の面目はまるつぶれでありますから、どうしても臨時国会において、われわれこれに賛成した各党の水産委員が一致して、足並をそろえて必ず通す。参議院においてとにかく握りつぶした。ともかくも採決しなければならない次の本会議で、もし否決されましても、われわれは三分の二の多数をもつて、あくまでこのりつぱな修正案を通すという決意を、最後のこの委員会において確認されんことを、私は提唱するものであります。以上。
  7. 田渕光一

    田渕委員 先刻から川村委員小松委員永田委員早川委員の当委員会同僚から私の至らぬところに非常に御同情をいただきましてまことに感激にたえないのであります。一応弁明をいたす前に、私は議事進行上、本問題をかような意味に追い込んだところのわが党のボス幹部の排撃を、わが党の代議士会でやつたわけでありますが、ただちに事務当局をして、運輸政務次官原健三郎君、わが自由党塩田賀四郎君、それから参議院議長松嶋喜作君を当委員会に至急喚問されて、一応弁明を聞いた上で、ただちに懲罰委員会に付じて、これを懲罰委員会が継続してもらいたいと思うのであります。(「ヒヤヒヤ「賛成だ」と呼ぶ者あり)同時に一昨日の参議院水産委員会における水産庁水産試験場の何とか事務官、これはまことに行政官としてふらちきわまる態度をとつております。私は水産委員として兵庫県庁に参りまして、現地において徳島県の代表から、兵庫県の水産業会水産庁との長い間のスキヤンダルを聞いております。これをなるべく私は暴露したくなかつた。しかるに三浦という兵庫県の証人が、しかも一昨日の参議院水産委員会証人として喚問されて、宣誓しております。良心に従つて何事も隠さずというにもかかわらず、隠すだけ隠して、うそ偽り言つておる。しかも当水産委員会を侮辱し、冒涜したような発言をしておりますので、この水産委員会速記録によつては私は偽証罪で告発するつもりであります。けれども、あのとき水産庁水産試験場の技師の言つた言葉が、はたして行政官としてほんとうに国民大衆のための幸福であつたかどうか。一部の利益のために発言をしておらなかつたかどうかということも考えなければならぬ。水産庁の職員が証言を——宣誓をしたか、しないかはともかくとして、政府の答弁はなつちよらん。少くとも公平を欠いております。一年間も調査しなければわかりませんというようなことを、暗に與えて、すでにここに連なつておられる松任谷政府委員も、これはもう握りつぶしになることが第六感でわかつておるから、どんどんふろしきを包んでもう逃げ支度をしておる。政府水産庁兵庫県とのスキャンダルを、私は特別考査委員会にでも持ち込んで、はつきり調べて見ようと思つておる。長い間のスキャンダルであります。明治四十三年から続けられたスキャンダルであります。これらを剥奪せんがために、私は今回のこの水産委員会が取上げた紀伊水道をやつたのであります。少くとも私は選出が和歌山県でありますから、いろいろなことを申されたが、もし山形県とか北海道から選出しておつたならば、この問題は起らなかつたと思うのであります。私は一紀伊水道の問題を論ずるのではありませんが、少くとも今日国家再建途上において、政党が自粛し、国民の信頼を受けなければ、国民政党あるいは政治から去つた場合には、どうなるかということを案ずるのであります。ゆえにまずこの政界の粛正というものは、もし自由党スキャンダルがあるとするならば、自由党から粛正しなければならぬというのが私の信念であります。私は選挙当時にも選挙区において公約をいたしております。もし自由党炭管事件、あるいは昭電事件のごときにひつかかつて、まだそういうものがわが党の上層部に存在しておつて政治の明朗を欠くならば、私は佐倉宗吾となつて、当時の民主自由党粛正するでありましようということを公約して出て来ているのであります。かようなことを、過ぐる三月二十五日自由党代議士会で私は爆弾を投げた。そうしてごの党の首脳部スキャンダル代議士会に訴えた。しかし幹部が何ら反省するところがないから、二十九日の天皇の誕生日に私は脱党届を出したのであります。ところがこの脱党届を党の幹部が握つて処理しない。事務当局に議席を無所属に入れてくれ、私は自由の行動をとるからということを言つて総務会でそれを声明した。ところが総務会喧々轟々代議士会でも納りがつかぬ。この正論が党の粛正に幾分でも寄與することができれば、私はもつて瞑すべしであると思う。しかしながらこれで私はよしているのではありません。先ほど永田委員が言われたことく、今日地方税参議院にまわつて、否決かどうかというような、政府與見あげて非常に重大なときに、私ごとき一個人の問題を云々するときではないと思うから、両議員におまかせして、私の進退を決したのでありますけれども、これで終つたのではありません。少くともこのままで置くならば、ことごとく参議院に行つてひつかかり、これに向つて水産庁がだらしのないところの答弁をし、混乱をするような説明をするならば——少くともわが党の所管大臣である森農相は、紀伊水道は外洋であるということを言つておる。そうしてはしくれの木つ葉官吏が出て行つて、一年間も調査をしなければわからぬということでは、何のために月給をもらつておるのだ。国民が今日飲まず食わずで、この重税に甘んじて働いておる、その税金で食つておる諸君ではないか。諸君がりつぱな公僕の観念があるならば、なぜあのような発言をしたのかと言いたい。辞職する意思がありやいなや、もしなければ私は人事院に弾劾するつもりでおる。かような意味において、少くともただちに松嶋参議院議長、わが党の原議員、塩田議員を当委員会に喚問されて、その真相を確かめた上で、懲罰動議にかけたいと思います。
  8. 冨永格五郎

    ○冨永委員 本日の議題がまだ委員長からお示しにならないうちに、川村委員から議事進行に関する発言をされたのでありますが、これに対して議事進行に関する各位の発言がありました。事は紀伊水道の問題でありまして、私からさらにここで繰返して申し上げるまでもなく、各位の発言はことごとく賛成いたすのであります。ただ川村委員発言の中に、参議院から回付されておる案の処置に対して、御意見の発表があつたのであります。川村委員見通しに、私ももちろん同感するところでありますが、これは議題になつてから、さらに各委員からそれぞれ御意見の発表があろうと思うのでありますが、この場合関連して、私の意見を申し上げておきたいと思うのであります。紀伊水道の問題をこれに織り込むことを條件として、またそういう考え方で継続審議をすることは、私どももさらに一考を要するものであろうと思うのであります。ただ参議院から回付された有明海の問題を、この場合のむかのまぬかという問題につきしては、衆議院としては完全な調査をいまだいたしておりませんから、やはりこれを継続審議にして、正当なしかも妥当な結論を出すことにいたしたい。こう考えるものであります。その他紀伊水道問題に関する各位の議事進行に関する発育に付しては、全面的に賛成いたすものであります。従つて有明海の問題に関しては一応意見を申し述べ、また議題になつたときに各位の意見を聴取したいと思います。
  9. 川村善八郎

    川村委員 補足して……。先ほど私から三点について愼重なる答弁を願いたい旨のことを申し上げておきましたが、ただいま冨永委員から、有明海の問題について川村委員の言云々、こう言われておりますが、昨日冨永委員が御出席なつたかならないか私もよく記憶ありませんが、しかし懇談会においては、有明海の問題を中心とした漁業法の一部改正についてを、継続審議にするかいなやということの懇談会内容、あるいは継続審議にしておいて、第八臨時国会において、この問題に紀伊水道を織り込んで解決をつける。すべての紛糾した問題を解消しようじやないかという話合いになつたように、私は記憶いたしておりますので、この点について委員長は御答弁の際にはつきりしていただきたいのであります。
  10. 石原圓吉

    石原委員長 川村委員初め各委員諸君の御発言は、非常に重要な問題に対することでありまして、とりまとめて委員長の考えを申しますと、いかにしてもごの紀伊水道も、あるいは有明海も、両方ともぜひ実現したい。これが実現がこの際できなければ、次の最も近い機会に実現さしたいということを、絶えず苦心をいたしているわけであります。そのために、ただいま早川君より発言されました参議院の公報のいかんにかかわらず、常任委員会を開会できるかどうかというようなことについても、なお研究をしておるわけで、結論がまだ得られないのであります。なお鈴木小委員長も、これに対していろいろ現実に努力をしておつてくれておるわけであります。これは川村君等の御発言のうちには、自由党党内事情等もありますことは、私自身も非常に憤慨しておるのでありまして、かつてこの一つ前の委員会におきまして、場合によれば、田淵議員とわれわれ自由党所属委員は、同一歩調をとらなければならぬことになるかもしれないという発言を、私はしておる次第でありまして、その点は今も少しも心境はかわらないのであります。ただここに参議院の行動を非難攻撃するけれども、しからば衆議院の常任委員会より参議院常任委員会に対して、この問題に対する約束があるとか、約束を履行しないとかいう問題ではないのでありますから、そこにおいて非常に重大なここに努力と、考慮を要する次第であります、以上のような心境で、なおこの問題の最後的な御審議を願う段階に達しておりませんから、多分本日は夜中の十二時までかかると思うのでありますから、それまでの間に委員長は最善の努力をはかり、必要があれば祕密会等の御会合も願わなければならぬと考えるのであります。そうしてこのあと十一時間余りを最善の努力を続けたいと思います。以上をもつて私の所見といたします。(拍手)
  11. 松田鐵藏

    松田委員 先ほど田淵議員から発言のあつた参議院の副議長である松嶋氏と、自由党の原議員、塩田議員のこの委員会出席の動議があつたのであるが、これに対して委員長はどういうように処置されるか。この点を伺います。
  12. 石原圓吉

    石原委員長 これは研究の結果、衆議院の常任委員会へは直接招致するところの慣例もないし、そういうことは実現は困難のようであります。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 好意的に来てもらうことはいかぬか。
  14. 石原圓吉

    石原委員長 ここへ直接招致することは……。
  15. 田渕光一

    田渕委員 これは委員長から議長に手続をとつていただければできると思います。たとえば、私は今朝登院いたしまして、参議院の副議長松嶋喜作氏の部屋を見ております。兵庫県の人間が三十人くらい入つております。かような意味で、少くともこの水産委員会を侮辱し、この法案握りつぶしの策源は、松嶋参議院議長が、少くとも副議長の公職でなく、兵庫県の自分の選挙区の地盤のためにやつておることは事実であります。かようなことで、私は証人に二、三人連れて来ようと思つたけれども、わが党の有志に参議院の副議長室を見て来い。兵庫県の人間のみで策動しておるということをいつております。かような意味で、どうしても松嶋喜作氏とわが党の原健三郎君、同時に委員長にお願いしたいのは、この当水産委員会の鈴木委員もひとつ御列席願うように御善処願いたい。それは昨日の参議院自由党議員総会におきまして、鈴木委員がこの真相を訴えんとしたときに、松嶋喜作氏が、参議院自由党において君のことを聞くと、納得しなくちやならぬから言わぬ方がいい、こういうふうに発言を中止して、原健三郎氏、塩田氏に、水産委員会のことをことごとく誹謗したところの虚偽の発表をさして、そうしてそれをまとめておるのであります。この真相も鈴木委員から御発言を願つて速記録に残しておきたいのであります。ぜひひとつ鈴木委員をこの委員会に御出席願うように御善処願いたいと思うのであります。
  16. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいま承りますれば、衆議院の鈴木委員をここに喚問する。こういう問題は、自由党党内の問題であつて、われわれはあくまでもこの紀伊水道の問題に対しましては、日本共産としては、この問題は非常に不合理である。もしこういうことをやれば、瀬戸内海漁民の生活が破壊するということを徹底的に主張いたしまして、そのわれわれの主張がいかに正しいことであつたか、どんどんあらゆることにおいて明瞭になつて来ておる。自由党内部でさえもこれは混乱が起つておる。そういうことは参議院において、参議院のほんとうの審議を続けて、愼重審議するならばけつこうだと思う。われわれは呼ぶ必要はないと思う。
  17. 田渕光一

    田渕委員 共産党の井之口君はけしからぬことを言う。それは私は自由党であろうと、国民民主党であろうと、共産党であろうと、当委員会を侮辱するものは総理大臣といえどもひつぱり出して聞きたださなければならぬ。
  18. 井之口政雄

    ○井之口委員 それは決して侮辱でも何でもない。当然その人の主張をして、そうして日本の漁業制度というものを守ろうという精神からやるのには、決してわれわれが、それにいろいろな圧力を加えて、その人たちの言論をまげる必要はない。どんどん同じ権限において各人が自分の——水産委員なら水産委員として働けばいいので、こちらにおいては、もはやこの問題は参議院に送つてしまつて参議院において愼重審議されているんですから、やる必要はないと思います。
  19. 石原圓吉

    石原委員長 井之口君の御発言はただいまのこの問題とは違うのであります。これは向うの参議院の副議長をここへ招致するかしないか、できるかできぬかということを論じておるのであつて、いまさらこの法案の適、不適を論ずるというのではな、そういう意味での御発言は許しません。ちよつと速記をとめて。   〔速記中止〕
  20. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めてください。  お諮りいたします。本委員会におきましては、今会期の初めに、国政調査の承認を得まして、水産物の生産増強に関する事項、漁港及び漁船に関する事項、水産貿易に関する事項の三項に関連する諸問題につき、あらゆる角度より種々調査研究して参りました結果、漁船、漁港の二大法案を提出いたす等多大の成果を收めたのでありますが、なお水産市場機構整備に関する件、漁業経営並びに漁民経済状態向上に関する件、水産金融、荒廃漁場復旧に関する件、水産資源保護育成に関する件等につきましては、目下焦眉の急を要する問題が山積いたしております。よつて、これらの案件を閉会中も継続して審査をいたす必要があると思います。それには国会法第四十七條第二項の規定に基き議院の議決を要しますので、議長に申出書を提出いたさねばなりません。つきましては、その手続等に関しましては、すべて委員長に一任していただくこととし、閉会中審査を議長に申出るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認め、さようとりはからうことにいたします。  次に閉会中におきまして、ただいまの案件の審査のため、各地の荒廃漁場等の現地視察を行う必要があると考えられます。御承知のことぐ、委員派遣の承認申請は、さきに協議決定を願いました継続審査が院議で決定された後、その手続をいたすのでありますが、そのために特に委員会を開会し、御相談いたすことは事実上不可能と思われますので、本日あらかじめお諮りいたすことにいたします。すなわち閉会中に委員派遣を行うこととし、その期日、人選、その他手続等につきましては、委員長並びに理事に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  23. 石原圓吉

    石原委員長 次に電波庁の法規経済部長代理松田英一君が御出席であります。御多用中きのうも御出席になつて、むなしくもどられたのでありまして、この電波法規関係につきまして御質疑を願いたいと思うのであります。それに先だちまして、一応松田説明員より現在の水産関係の電波に関する法規はどうなつておるか、ごく概略御説明を願います。
  24. 松田英一

    松田説明員 このたび電波関係の三法案として提出されましたのは、電波法案と放送法案と電波管理委員会設置法案になつておりますが、放送関係の方は直接水産と関係がないと思いますので、電波関係の電波法と、これを行つて行きます電波管理委員会設置法、これらが関連しておる法案と考えられる次第であります。  電波法は百四條に及びます大きな法案でございますので、これを詳細に説明しましてもたいへんだと思いますので水産関係関係のある概略を申し上げますと、水産関係漁業通信は、大体陸上にあります陸上無線と漁船の無線、こういうことになつております。両方ともおのおの無線局といたしましてそれぞれ出願がありました場合に、適当な審査を経てこれに許可を與えて行く、それから漁船の方の場合には、特別に漁船の操業区域の制限に関する政令がございまして、その第五條によしまして、漁船の無線電信局を持つていないと操業できないような規定もございますので、そういうものは、ほかの無線局は大体有効期間が五年以内になつておるのでありますが、これらは有効期間をつけないで、無期限として行くということに相なつておる次第でございます。なお漁船あるいは漁業陸上局の運用につきましては、いろいろ特別な事情もございますので、電波法の中におきましては、たとえば無線通信上等無線従事者の従事する場合におきまして、ある程度現状に即したような規定、たとえば各通信士なりの従事し得る範囲内等において、幾らか現状に即した緩和するような規定で、実情に即したものが従事できるというふうなこともやつておる次第でございます。それからこれは法案には出ておりませんけれども、漁業関係の手数料の問題でございますが、そういうものにつきましても、できるだけ漁業関係の便宜をはがつて、安い手数料で行くというふうなことも別途実行上考えておる次第でございます。大体関連のあるところはそういうことがおもなところでございます。
  25. 田口長治郎

    ○田口委員 今回電波法及び電波管理委員会設置法が成立いたしまして、これは電波の管理上はなはだ喜ぶべきだと存ずるのでありますが、この電波の管理をいかなる組織によつてやるかということは、結局委員会の運用によつて、この電波の管理をやるということになつております。従つてこの電波の管理上におきまして、委員会というものが非常に重大なる仕事をする。第一に「行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。」というように、すべてがこの委員会の運用によつて電波の監理ができるということになつておるのであります。従つてこの電波の監理委員がどこから出るかということが、非常に重大なる問題になるのでありまして、今日この法規及び監理委員会設置法に関連しておる用途別に考えてみますると、この水産関係が、陸上におきましても、海上におきましても、相当重要な位置を占めております。ことに水産関係の電波は一般電波と目的が多少違つております。真にこの電波によつて生命を委託し、また事業を電波によつて左右されるというように、非常に重大であり、また特殊な事情にあるのであります。従つて水産関係者といたしましては、この委員会に水産関係委員が幾人おるかということに大きな関心を持つのであります。われわれの常識からいたしますと、この委員の中には、当然水産関係者の委員が加わつておるものと想像するのでございますが、電波庁におきまして、委員を今任命されるに当つて、水産関係者を幾人入れてあるか承りたいのであります。少くとも四條、五條の関係委員につきましては、委員長のほかに委員が六名ということになつておりますが、従来水産関係で一人の委員しかおりませんために、すべての主張が葬られ、常に相反する指令をされたような声を聞くこと久しいのであります。従つてわれわれは一人でなしに、少くとも二人以上の委員を任命してもらいたいと考えるのでありますが、この点に関して、電波庁はいかなるお考えであるか、まずその点を伺いたいと思います。
  26. 松田英一

    松田説明員 委員の任命につきましては、大体昨日衆議院で同意は得られておるわけでございます。委員の任命手続については、電波庁としては関係をいたしませんで、法律の上では内閣総理大臣ということになつておりますが、実際の人選の上におきましても、内閣の方で人選を進めてやられましたので、私どもといたしましては、どういうふうにやつたかということは、申し上げられない立場になつておりますので、御了承を願います。
  27. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま委員の任命については、内閣で任命したというお話でございまするが、法律によりますと、実際に任命するのは総理大臣がやり、国会の同意を得るということにはなつておりますが、今までも総理大臣自体が任命することは、ほとんどないのでありまして、原局の意見でどうかということで、委員の任命がきまるのでございますが、特にこの委員だけ原局が知らないで、内閣だけでやつたということが、ちよつとわからぬのでありますが、明示していただきたいと思います。
  28. 松田英一

    松田説明員 電波庁といたしましては、委員の任命についての要望というか、そういうことはいろいろ考えられましたけれども、それをおきめになるのは、総理大臣なり、閣僚としての国務大臣なりが、内閣としておきめになりますので、どういう方針でやられたかということについては、私どもは何も言えない立場にありますので、御了承を願います。
  29. 田口長治郎

    ○田口委員 電波庁としては少くとも原案をつくられたに相違ないと思いますが、原案をつくられるについては、水産庁その他とも十分お打合せになつて、推薦さるべき人を問題にされて、内閣の方に出されたと思うのでございますが、この点に関して、水産庁と電波庁が御相談になつたかどうかその点を伺います。
  30. 松田英一

    松田説明員 電波庁といたしましては、原案というものもつくつていないわけであります。ただこういう要望があるというようなことは、御連絡をいたしておりますが、それをどういうふうにおきめになるかは、内閣でおやり願つたわけであります。
  31. 川村善八郎

    川村委員 今回電波法案及び電波監理委員会というものができましたことは、まことにけつこうなことでございます。ただその内容において、ただいま田口委員から言われておるように、委員漁業関係から出ていない。あなたは漁業関係は御存じないかもしれないけれども、幾多陸上に、海上に漁業に使用する電波は相当多いのであります。ぜひこの委員の問題も愼重にお取上げ願いたいと思います。  それからこの内容を見ますと、一般の漁業に関する放送等は、電波庁は禁止されておるようなかつこうになつておりますが、ぜひこの点も一般の漁業状況、言いかえるならば、漁獲状況とか、魚の回遊状況といつたことも放送することは、漁業生産向上のために必要なことでありますので、こういうこともぜひ織り込んでいただきたいと、お願いする次第であります。つきましては、私はこの際ぜひこれを実現していただきたいと思いますので、意見を申し述べておきます。時間がありませんので、朗読をいたします。   〔朗読〕  電波監理法及び電波委員会規則中無線局運用規則に対する意見   (意見)  一、国または地方公共団体の施設する漁業無線局は漁業の指導、取締りに関する通信の外一般漁船との間に漁業上の一切の通信を取扱い得ることといたしたい。また漁業専用局と漁船との通信は一切専用通信として認められたい。   (理由)  国または地方公共団体所属の水産事業指導用無線局は現在三十三局に及び現行の無線電信法第二條によつて施設を許可せられ、かつ目的外使用の許容範囲において一般漁船との漁撈通信を取扱い、水産業の発展に大なる貢献をいたしつつあるにもかかわらず、今般国会に上提中の電波法案に基く電波監理委員会規則案においては、あえてこれらの通信の利用を困難ならしめようとするがごとき点の見られることは、現在及び将来の水産施設に甚大な影響を與えることであり、水産政策土はなはだ遺憾である。  国または地方公共団体が施設しもしくは開設しようとする漁業用の無線局は、それが單なる行政上の必要のみによるものでなく、広く総ての漁船の利用をはかり、水産業の振興に資しようとする目的によるものであつて、水産団体の施設する水産事業用無線局と終局の目的を同じうするものであり、電波の特殊性を尊重し、これを最も有効かつ能率的に運営し、公共の福祉を増進しようとする電波法の本旨にも副うものである。   (意見)  二、第二、第四節漁業通信の項を規則より除外されたい。   (理由)  この規則は電波法に基く通信取扱に関する共通な事項を規定すべきであつて漁業通信は海上保安通信、気象通信、警察通信等と全く同様な專用通信として、法令の範囲内において常に自由に産業の要請に応じ、時宜を得た措置を講じ得るものでなければならない。従つて漁業通信のみをさらに特別な規則によつて拘束すべきものでないと考えるので、本規則より削除せられたい。  三、その他  (1)無線局の免許の有効期間の撤廃、申請手数料及び検査手数料の低廉化については、法に対する意見として申し出てあるので格段の配慮を得たい。  (2)なお、技術基準草案第十三に規定する周波数測定装置の備えつけについても、法に対する意見として御伝えしてあるが、船舶については少くとも出力二五〇ワット程度以上の送信装置を有するものとせられたい。  (3)無線従事者の免許の有効期間は十箇年程度に止め、一定の実歴を有するものに対しては、免許の更新に際し無試験検定による制とせられたい。  この程度であります。
  32. 田口長治郎

    ○田口委員 委員の任命につきまして内閣と折衝する必要がありますから、電波庁は候補者を推薦したことがあるかないか、この点をはつきりとしてもらいたいのであります。  それから水産庁は電波庁から委員候補について相談を受けられたかどうか、明確に御答弁願いたいと思います。
  33. 松田英一

    松田説明員 電波庁といたしましては、委員の候補者をこれこれにしてほしいという推薦をいたしたことはございません。
  34. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 電波法等の審議につきまして、いろいろと相談を受けました際に、電波監理委員会委員にはぜひ水産関係委員を入れてほしいという正式の申入れを行つてつたのでございまして、その点につきまして、電波庁よりは口頭をもちまして、考慮しましようという話合いがあつたわけでございます。
  35. 井之口政雄

    ○井之口委員 ちよつと電波庁にお聞きしますが、水産方面に対する電波の割当が狭きに失するきらいはありませんでしようか。これで十分ほかにまだ拡張する余裕がありますか。今後の見通しについてお知らせを願いたい。  それから水産庁にお伺いいたしますが、漁村の近海が底びき網によつて非常に侵されているのが瀬戸内海の状態であります。しかるに海上保安庁の取締りも、大きい船に対しては、速力が遅いとか、かなわぬとかいつて放任されておりますけれども、小さい船に対しては、苛酷な取締りをやつているというのが現在の保安庁の取締りの実情である。そこで、これは大きいものを発見した場合でも、そこの漁村に無電装置をちやんとこしらえておいて、無電でもつて一ぺんに連絡をつけて、これに対する取締りを強化するというようなことはできないものなのか、またそういうことを水産庁の方で計画しておいでになるかどうか。  さらにもう一つ、淡路近海の由良における底びき船の問題でありますが、これが地元からの報告によりますと、最近でも依然として大きな底びき網が近海を荒しているために、漁獲はどんどん減つて来ているということでありますが、水産庁の方においては、一向にこれに対して方針が決定していないで、跳梁跋扈にまかせている。小さな漁船をやつて漁民の生活を脅威させるというようなことでは、かえつてやり方があべこべである。こういうふうな水産庁のやり方でありますと、瀬戸内海方面の将来の漁業資源の枯渇は明らかである。現在においてさえも、すでにひどくなつておるのに、水産庁の方においては、会議々々で会議ばかり続けて、具体的な法案も出されずにおりますが、この点はいかがですか。以上の三点についてお伺いいたします。
  36. 松田英一

    松田説明員 漁業関係に対する周波数の割当の問題でございますが、これは現在の国際会議の結果によりまして、現在その方に向けられておるものよりは相当程度ふえるという結果になつております。これは周波数の割当が国際的にきまつておりますので、日本の国内でほかの方へ使うものを漁業関係に振り向けるというふうに、かつてに行かないのでありまして、おのおのの分野できまつているものでありまして、その分野といたしましてはふえることにはなつておりますが、同時に国際的に技術の進歩の上から、非常に嚴重な技術的な制限といいますか、現在よりももつと厳格な技術基準というようなものを守つて行かないと、せつかくふえた波がふえたことにならないで、波の間が非常に接近して割当てられることになりますので、お互いに混信し合つて、なかなか通信ができないということになりますので、今後その面で改良は十分はからねばなりませんが、そうした上での周波数をふやすということは、国際的に大体可能なようになつております。
  37. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 ただいまの底びき網取締りの問題でございますが、現在海上保安庁と県が主体になりまして、沿岸海上の漁業の取締りをやつておるのでございます。従いまして、水産庁といたしましては、海上保安庁並びに該当県に対しまして実情を報告し、その実情に基いた取締りを徹底的にやつてほしいということを要請しておる次第でございます。従いまして、お話のような無電による取締り関係というような装置の問題になつて参りますると、海上保安庁の方におきまして施設するという関係にございますので、水産庁といたしましては、さような計画をまだ立てておらないのでございます。  なお淡路島の由良の関係お話につきましては、ただいま申し上げましたような線に沿いまして、十分取締りの徹底を要請して参りたい、かように存ずるのであります。
  38. 井之口政雄

    ○井之口委員 もう一点だけ伺います。その沿岸を荒しているところの底びき漁業に対して、取締りを強化せよという指令は、いつごろお出しになつたのでありますか。第何号で、いつごろ、どういう内容のものをお出しになつたかという御説明を願いたい。それから例の兵庫県の淡路島の由良の漁業取締りに対しまして、ただそういうふうに努力するというのですが、半年以上もたつてまだそのままである。具体的に一体どういうふうに努力されたのか、どういう指令を出しておいでになるのか、その点が承りたいのと、また方針がきまつておるなら、水産庁ではこういう方針がきまつておるのだという、明確な御返事が願いたい。
  39. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 底びき網漁業につきましては、御承知のように、いろいろと正規の許可船並びに無許可船、あるいは類似船の問題等がございまして、水産庁といたしましては、全国の全体の立場からいたしまして、これらの底びき網漁業というものの整理をはからなければいかぬというような建前をもちまして、現にその基本対策というものを樹立しておるのでございます。
  40. 井之口政雄

    ○井之口委員 以西底びきと違うのですか。
  41. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 違います。以東の底びきにつきまして、無許可船は極力整理する。それから類似船につきましても——類似船と申しますのは、各県で許可をいたしておるえさ等をとるような底びきの類似船でございまするが、そういつた類似船に対しましては、農林大臣の許可しておりまする大型底びき船との関連を考え、また沿岸の漁村」の状態等も考えまして、極力正規の許可船に転換させまするとか、あるいはその沿岸漁業関係で無許可のものがないようにするというようなことで、具体的に各県と打合せをいたして、その計画を立てさせた上で実行に移させるというような措置を、ただいまとつて参りつつあるのでございます。従いまして、さような方針で底びき網漁業に対する対策を、今後徹底的にやつて参りたいということを考えておるのでありまするが、今お話の海上保安庁等との連絡につきまして、第何号の書類でこれを要請したかという点につきましては、至急調べまして御報告申し上げたいと思います。
  42. 小高熹郎

    ○小高委員 電波を利用して生産の増強を期するということは、けだし今日の日本に與えられた産業開発面の大なる現われでなければならないと思います。電波に関するいろいろの法令が制定されたことは、まことにけつこうでありまするが、一例をとりますると、魚群探知機というようなものを購入するということになりますと、ただいま漁村が非常に疲弊いたしておりまして、これらの電気を利用したところの探知機等の器具によらずんば、漁獲ができないというにもかかわらず、それを買う金すらできない。かような苦しみがただいま全国漁民の声となつて現われておると、私は了承しておるのであります。そういうことを考えますると、この合理的、科学的の漁法としてなくてはならないところの、電波を用いての魚群探知については、政府がこれらの器具、機械を購入します補助を相当出さなければ、求めたくても求められない事情が、現実の問題としてまざまざ見せつけられておるのでございます。これは国の大なる生産増強の面として、考慮しなければならないと思うのでありまするが、これらに対して、水産庁はいかなる措置をお考えであるか。音響測探機、あるいは魚群探知機と申しますか、それらの器具を購入して、合理的に漁獲し、同時にまた最近やかましく問題となつておるところの繁殖保護と並行して行くことによつて、初めて漁業というものが成立するのではないか。これらの器具、機械購入について、政府は補助をする方針をお考えになつておるかどうか、伺いたいのであります。
  43. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話のように、漁業経営を極力合理化いたしまして、優秀なる性能を備えた装備を持つ漁船によりまして漁業をやつて参るということが、非常に望ましいのでございまして、その点は、各海域の水産資源の量とも関連いたしまして、そういう優秀な漁船が、適当な数において増強されるということが、最も理想的な漁業のあり方であろうというふうに、われわれは考えておるのでございますが、そういつた意味合いにおきまして、現在漁業法あるいは資源枯渇防止法というようなことで、体制がととのえられつつあるのでございまするが、政府といたしましては、さような経営の合理化の線に滑つた設備を漁業者の方が備える場合に、何とかしてそれを助成をしたいというような考え方は、とるべきであると思うのでございまするが、不幸にして二十五年度の予算の中には、かかる助成の予算の計上をまだ見ていないのでございます。従いまして、将来そういうふうな漁業経営の合理化の線に沿つた施設につきまして、資金の乏しい漁業者が、それをつけることを普及して参るというような場合におきまして、何らかの助成的な処置を考えるように努力いたしたい、かように存ずるのでございます。
  44. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま松任谷漁政部長からの答弁でございますが、どうか今の御答弁を一介の答弁としないで、実践できる方途に向つて、きわめて有力な力と方法を発揮していただきたいことを希望いたしまして、時間の関係等もありますので、これで終ります。
  45. 石原圓吉

    石原委員長 電波庁に対して、私から一、二問うことがあります。電波庁は、職員と申しますか、庁員と申しますか、人が非常に多過ぎる。しかもそが電波本庁に人が多過ぎて、第一線に人が少いために、非常に実情が本庁へ知れることが遅れて、従つて事務が進捗しない、こういううわさがあるのですが、これに対してどういう御見解でしようか。  それからもう一つは、電波が今度は相当割増しされる。割増しされた場合には、漁業関係へ相当それを割振りするというようなことを聞いておるのですが、これは事実どういうことになるのでしようか。またその電波がふえた場合に、漁業関係、水産へどういう割当になるようですか。その二点をひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  46. 松田英一

    松田説明員 第一の問題でございますが、これは私どもといたしましては、本庁に人が多過ぎて、地方に少いということは、決して考えておりません。もちろん現在の情勢でございますから、本庁も地方も非常にきゆうくつな人でやつておりますので、大いに勉強をしてやつておるということを、申すよりほかにないわけでございます。その間に連絡不十分というようなことは、私どもとしては万々ないことを期して、できるだけ努力をしてやつておる次第でございます。  第二の電波の割当の問題でございますが、これは全体一括して割当てられ、日本政府で、この中であつちこつち使えるというような問題ではございませんので、それぞれ使える分野が国際的にきまつて割当てられるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、漁業関係に使える波が、今度の国際会議の割当の結果ふえる。私ちよつとここにはつきりした数字を持つておりませんが、相当ふえる。そのふえましたものの技術的な刻み方、つまり周波数の割当の刻み方をこまかくして、世界的に割当てて来ておりますので、ふえますればそれの実行上には、技術的に相当苦心をしなければならぬ。苦心をすれば従来よりずつとふえるということになつておる次第でございます。
  47. 石原圓吉

    石原委員長 もう一口申し述べておきますが、御承知のように、漁区拡張を日本の漁民は非常に要望して、ぽつぽつ実現しつつあるのであります。この場合に、電波庁は太平洋の沖合いでやる漁業に対する電波も、あるいは海岸や陸上のものも、同じように見ておるようなきらいがあるように考えるのであります。これは大きな間違いであつて、太平洋に出れば、船の中にはたよりにするものは無電だけよりないのであります。それのいかんによつては、漁業者の励みが違つて、能率が非常に減退するのでありますから、その点は大いに考えてもらわなければならぬ。今どういう方針になつておるか、もう一つ承つておきたいのであります。
  48. 松田英一

    松田説明員 その点も、私どもはできるだけ漁業関係を勉強いたしまして、実情に沿うような割当て方をやつて行きたいと考えておる次第でございます。また現状でもそれを相当やつておるつもりでございます。と言いますのは、大体沿岸のところでは、おもに小型電話を使つてつておりますし、遠くに出て行きますものについては、これは当然電信でやらなければならぬので、電信をもつてもつぱら活用して行く。しかもその方には、できるだけ短波の範囲を割当てて、遠くの通信ができるということを考慮しておるわけでございます。
  49. 石原圓吉

    石原委員長 いわゆる漁業関係の電信局を増加するとか、強化するとか、その方面には非常に敏速な措置をとつてもらわなければ、一つの問題で二月も三月もかかるような事実を私は相当心得ておるのであります。そういうところから、本庁と地方との連絡とか、あるいは調査等が遅れるというような現実をよく認めておりますので、その点より特にここに希望を申し述べておきます。
  50. 田渕光一

    田渕委員 ちよつと松任谷部長にお伺いしますが、四月三十日の参議院水産委員会出席されました技師は、何というお名前ですかお伺いしたい。
  51. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 藤永調査究部長であります。
  52. 田渕光一

    田渕委員 その藤永調査究部長に、午後との委員会にぜひ御出席願いたいと思います。同時にもう一つ松任谷部長に率直にお伺いいたしますが、四月三十日のあの参議院水産委員会は、宣誓をした嚴粛なる証言をとつたものであります。その席上で先ほど言いました藤永技師の発言されたことは、あなたは水産庁漁政部長として、官吏は公の奉仕者であるという、この観念に基いた発言であつたとお感じになつたかどうか。私はあの散会後、廊下で、けしからぬことを言うと衆議院水産委員会に呼び出すと申しました。ところが部長はお手やわらかに願いたいというような話もありましたが、あなたのあのときの御感想では、ほんとうに公平であつたかどうかという場ことを、率直にお答え願いたい。
  53. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 技術者の立場からいたしますれば、純粋に科学的に検討いたしまして、現在の調査研究資料というものが、府県の試験場、その他の試験場の研究成果であつて、そういつた意味合いで、総合的な研究成果を、技術者の立場から主張としたのではなかろうかというふうに、われわれは見ておるのでございます。しかしながら行政面から考えますと、水産行政というものが、科学的な立場に立脚して実施せられなければならないということはもちろんのことでございまするが、水産関係は、何と申しましても、特に科学的な調査研究が常に百パーセントあることを前提とするというわけには参らないのでありまして、こういつたことは、われわれ行政の面から考えましても不可能だとは存ずるのでございます。従いまして、常にある程度の推定を前提といたしておるのでございます。われわれ行政に当りましては、既存のそういつた科学的な資料の上に立ちまして、合理的に判断してやつて参るというふうな立場をとつておるのでございます。
  54. 田渕光一

    田渕委員 私は松任谷部長の立場をとつておられこれを伺うのではありません。四月三十日のあの証言。宣誓した参議院水産委員会における発言を、少くともあなたは漁政部長として、はたに同席されておつて、どうも公平を欠いておつたというような御感想が出なかつたか。そのあなたのお感じを伺つておるのであります。というのは、結論において参議院水産委員長は結局あの藤永という技師の言われたことを根拠に、一年間くらいかかるそうだから、結局一年くらい調べた上にしようと言つておる。午後の委員会で、十分この点は藤永技師に伺いますけれども、少くとも事前に兵庫県の三浦君、その他と打合せをして、結論を前もつて出しておつて、これで握りつぶしに持つて行こうということの、少くとも共同謀議の責任があると見ておる。これは考査委員会じやないので、そこまでは行きませんが、少くとも結論が出ておるのでありますから、この点を伺うのであります。私はあなたのそのせつなの感じ、ちよつとこれは藤永は言い過ぎた。少くとも一年というような表現はすべきじやなかつたというようなことを、あなたはお感じにならなかつたか、あなたのお気持を率直にお伺いしておきたい。本日は最後委員会であるし、あなたの率直な気持を速記録に残しておきたいと思う。われわれはそれを見て休会中に善処したいと思うから伺いたい。
  55. 石原圓吉

    石原委員長 答弁なしと認めます。
  56. 石原圓吉

    石原委員長 荒廃漁場復旧に関して川端小委員長より中間報告を求めます。
  57. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは先ほど荒廃漁場の問題についての実地調査の承認の件についてお諮りもございましたので、遅ればせながら中間報告を申し上げます。  荒廃漁場復旧に関する小委員会は四月十二日、四月二十六日と二回開きましたけれども、この間に委員諸公は非常に熱心でございまして、そうして多大の調査研究を積んだわけであります。主として水中障害物がいかに漁業の面にさしさわりを起しているか、こういう面の調査でありますが、大体四月二十日現在の調べによりますと、少くともそれまでに調査し得た数字から申し上げましても、生産額において千三百万貫程度のものは減産をし、これを大体金額に直して、五億万円以上のものが減産になつて行くであろう、こういうふうな見込みがついたのであります。そうしてその生産の減退にあわせまして、水中障害物によつての地びき網、底びき細筆の綱の損害も参考に申し上げますと、すでに調査のできた分でも七千箇統以上のものが損害を受けておる。漁業家のこれによる被害の人員を申し上げますと、九万五千人、そうして漁家の戸数にいたしましても二万三千戸というものが、この水中障害物によつて被害を受けているのであります。この水中障害物と申しますのは、戦争中に敷設されました魚雷、機雷を初め、爆弾、兵器類の漁場に投下されたもの、これは同じく四月二十日現在の調査で申し上げますが、八十九箇所に及んでおります。しかも軍艦その他大型船舶の沈没等によつて支障を来しておるところは百八十入箇所、その他流木の関係も五十四箇所以上となつておるのであります。こういうものを全部ひつくるめまして、全国でどういうふうになつておるかと申し上げますと、こういう漁場に障害箇所があるという、中央への申請があつた件数だけでも五百五十三件、これは北は北海道から南は鹿児島に至る間でありまして、この中で海に関係のない県を除きまして、秋田、富山、山形は該当がないようでありますが、宮城、福島、新潟、三重の各県は、二十日現在に調査が未了でありまして、その実態を知り得ない。このほかの県については、大体全部該当いたしているのであります。その中でも特にひどいのは千葉県、大分県、愛媛県、和歌山県、広島県、鹿児島県あたりは、特に件数が多いとされているのであります。これをかりに引揚げ等である程度まで操業のできる程度に、現在の資料によつて見積つてみますと、その経費は三億三千万円以上かかるであろうというふうに推定されているのであります。今この掃海につきましては、終戦当初に一万名の人間が従事いたしまして、三百四十八隻でもつてつておりましたが、現在は千六百名、六十八隻、これに一方連合国側から三百名と七隻という援助をしてもらつておりますが、こういうふうな状態でやつているのであります。特にこの掃海でむずかしいのは機雷の掃海でありますが、この機雷は特に海上保安庁等も、連合軍の方から特別の指令を受けておりまして、入念にやるようにというようなことで、愼重を期しておるそうでありますが、この際ちよつと機雷の状況をつけ加えて特に申し上げておきますと、普通機雷と感応機雷というのにわかれておりますが、普通機雷が大体日本近海で五万五千箇、そのうち二千六百箇は大体において深海であるから、漁業の操業にはそう支障はない、こういうふうに言われておりまして、そのうち一万箇というものはすでに取上げられましたから、大体普通機雷の分では四万箇というものが残つておる。感応機雷の分では一万七百箇というものが日本近海に落されているが、その中から大体五千箇以上のものがすでに取上げられておりますので、残りは五千箇であろう、こういうふうに言われておるのであります。従つて機雷関係は四万五千箇くらいのものがある。しかもその六割以上のものが瀬戸内海中心にして敷設されているのであります。従つてこのことは容易な問題ではございません。従つて今年度の掃海関係の予算を見ますと、わずかに七億六午万円の費用でございますが、将来相当この面に予算を計上して参らなければならないのではないかというような話が、委員会でも出て参つているのであります。この本年度の七億六千万円の予算について、ちよつとつけ加えて申し上げますと、本年度の計画では、この七億六午万円のうち、大体三分の一程度のものは、すでに八月までの分として計画を立てているようでありますが、三分の二程度のものは、なお計画を審議中であります。要するに計画さるべき箇所が非常に広汎にわたつておる関係上、どれを優先的にやるかという審議を行つているようであります。海上保安庁を中心にしてこの審議をやるようでありますが、これが五月の末にこの審議を一応行うつもりである、そして爾後の計画を決定するつもりであるというような話もございました。特に私は水産庁にこの際報告にかねてつけ加えて申し上げておきたいのは、この荒廃漁場の面に、水産庁の力の入れ方が非常乏しかつた。今こうして終戰後五年になつて、この間にわずかに広島沖の走島が漁場としての機能を発揮するようにという意味で、要するに荒廃漁場の復旧という点で取上げられたにとどまつているのであります。今後小委員会としても、十分調査研究を積みまして、一層この事業の促進をはかりたいというところに、委員意見の一致を見ているわけであります。とりあえずこの程度において中間報告とさせていただきます。
  58. 川村善八郎

    川村委員 先般の委員会におきまして、過般漁業制度についてという出版物の記録の中に——久宗課長が主幹しておりまする、経済課が発行いたしました出版物、その中に国会等に対する不穏当な字句がありますので、これを近い委員会においてただすということを発言をしておつたのでありますが、本日でいよいよ第七回国会委員会も終りを告げますので、久宗課長をこの席に呼ぼうと、私は今日水産庁に参りましたところ、今北海道に出張中なそうであります。そこで久宗課長が不在のため、責任のある言葉をいただけないかもしれませんけれども、部長なり次長なり、その責任者をここに呼んでいただくということのおとりはからいを願いたいと思います。もしその責任者がおいでになることができない、いわゆる課長がるすであるから責任のある言葉を述べられない、かようになりますれば、第八回の臨時国会まで引き延ばしてもいいのでありますが、一応この際申入れをしておきます。
  59. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま川村委員より発言の、久宗氏に関する件でありますが、今久宗、松本の両氏は族行出張中だそうであります。松任谷部長より午後の委員会に御答弁をくださるか、あるいは適当の方の、一応今日までの経過の説明あるように御用意を要望しております。  これをもつて休憩します。    午後一時二十五分休憩   —————————————    午後二時五十九分開議
  60. 石原圓吉

    石原委員長 再開いたします。  昨一日理事佐竹新市君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員となつております。この際その補欠選任を行うこととし、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 石原圓吉

    石原委員長 異議なしと認め、本二日佐竹新市君は再び委員に選任されましたので、同君を理事指名いたします。  これより漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。鈴木君。
  62. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 参議院回付にかかります、ただいま議題に相なりました漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、漁業制度に関する小委員会におきましては、さきに本院を通過いたしまして参議院に回付されました漁業法の一部を改正する法律案、すなわち瀬戸内海紀伊水道瀬戸内海に分離する法律案を、参議院諸君が真に関係漁民諸君の要望にこたえて、これを成立せしめることを深く期待いたしまして、また本委員会としては参議院回付の有明海に関する改正案をも可決いたしまして、この有明海及び紀伊水道の二つの懸案を同時に解決することを念願いたしまして、それに向つて愼重なる審議と最善の努力を拂つてつたものであります。しかして小委員会におきましてはその線に沿いまして、参議院回付の法律案を、両案を総合統一したるところの修正案の成案を得まして、関係方面にアプルーバルを要請いたしておつたのでありますが、本日そのオーケーに接したわけであります。このようにわが小委員会としては、最後まで両案の成立を期待し、かつ最善の努力を拂つてつたものであります。右御報告申し上げておきます。
  63. 石原圓吉

    石原委員長 それでは本案の取扱いについてお諮りいたします。本案は現地調査愼重審議を行う必要があると考えられますので、閉会中も審議を行うこととし、先ほど決定いたしました案件と同様に、議長にその旨を申出ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なければさよう決します。
  65. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 水産常任委員会は、石原委員長が第五、第六、第七国会の三期を通じて、委員長をお勤めになつたのであります。本日をもつて第七国会は終了いたすのであります。委員長は各委員長とも今度交代するということを承つております。石原委員長は、これまで三期にわたつて非常に御奮闘なされた方であります。特に議員提出として漁港法案漁船法案、こうした重要法案を提出して、これを通過さしたのでありまして、ここにわが国の水産は非常に強固なものとなつて、遂に水産省として適当な機会に設置されるだろう、こうした大きな問題を処理する上において、ここに基礎的な問題が処理されたのであります。私は石原委員長のこれまでお盡しになられました功績に対して、この機会に水産常任委員代表いたしまして、その御労苦に対して感謝の意を表したいと思うのであります。どうぞ今後ともにわが国水産のために、この水産常任委員会を通じて一層の御盡力をお願いして、私は感謝の意を表するものであります。(拍手)
  66. 石原圓吉

    石原委員長 私は一言お礼のごあいさつをいたします。私が委員長に選任されて以来、委員諸君は、私のために絶大なる御協力をくだされまして、大過なくここに任務を果すことができたことは、ひとえに委員諸君の絶大なる御協力、御同情のたまものであると深く感銘をいたしておる次第であります。  ただいま夏堀君よりお述べになつたように、大体わが国の水産行政として必要なものの大部分は、今期国会において法制化されたのであります。もとより今後多くのものが残されておりますけれども、今期国会において法制化されたものを基礎として、これを充実することにおいて完成されると思うのでありまするが、まず土台はできたことでありますから、今後何人が委員長となられましても、わが日本の国のため水産業を強化拡充する上には、感情を捨てて、虚心坦懐に御協力を願つて、そうして今日までお互いに努力した事柄に花を咲かせ、実を結ぶようにすることを念願する次第であります。どうかその意味におきまして、今後わが国の水産業の発達のために、一層委員諸君の御努力をごいねがう次第であります。この機会に一言お礼の言葉を申し上げる次第であります。(拍手) 御発言かありますか——それでは暫時休憩します。    午後三時十二分休憩   —————————————    午後五時三十一分開議
  67. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を再開いたします。  田淵君より発言を求められております。これを許します。田淵君。
  68. 田渕光一

    田渕委員 午前中の委員会に私が要求しておりました藤永説明員が見えておりますので、一応伺いたいのであります。四月二十八日の参議院水産委員会は宣誓さした証人の証言をとつたのであります。その最後におきまして、結局この紀伊水道の問題はどういうぐあいにするかという、この委員会決定をする最も重大な資料なつたものが藤永説明員の御発言であつたと思うのであります。そのときに、水産庁の試験の結果、少くとも試験をするとすれば一年かかるという御発言があつたのであります。私は本国会は今日で終り、委員会もはやとじんとする時間の切迫したときでありますから、つとめて省略いたしまして結論から出しますが、帰するところ藤永説明員の御発言後、一年調査を要するということを参議院木下水産委員長最後にとつているのであります。藤永説明員から、一年間調査を要するから、一年間この法案を待つてもらいたいという結論が出たのであります。ところかふしぎなことには、その木下水産委員長いわく、どうも陳情が多くて困る、自宅にまでも陳情がありまして困りましたというお話であります。私は陳情は少くとも衆議院の事務局を通じ、あるいは公人として公の場所へ受取るのに、自宅までも兵庫県の陳情が行つているということが、一つの不可解な点であります。ことにこの水産委員長が、一年かかるという藤永説明員の結論をとつて、結局今日衆議院を通じましたものを一年かかるという結論に持つてつたことに対しまして、非常に疑惑を持つものであります。藤永説明員のお宅にまで兵庫県の陳情が行つたかどうかというようなことを言うのは失礼なことと思いますが、私はなかろうと思いますけれども、少くとも木下水産委員長が、陳情が多くて困る、私の家まで来られて困つておりますということを発言しております以上は、これは許すへからざることであります。そこで私の伺いたいのは、四月二十八日の水産委員会の証言を宣誓させたこの委員会前に、藤永説明員が兵庫県の三浦君、あるいはその他岡山県の水産関係者とお会いになつたことがあるかどうか。もう一つは、これはわが党のことでありまするので、まことに恥かしいのでありますが、この法案は、田淵がうるさいから衆議院だけは通しておけ、参議院と行つたらもみつぶしてしまえという二途あるところのわが党の、幹部のお答えに対して私は反省を求めたのだが、私の脱党問題まで起きたのであります。かような結論と結びつけるはめ追い込まれた結果、藤永説明員の一年間要するということを第一の條件として、木下委員長が断つているのであります。まことに不可解な言葉であります。そこで私の伺いたい第一点は、事前に、この四月二十八日の水産委員会のいわゆる神聖なる証言をとる委員会以前に、三浦あるいは岡山の陳情団とどこかでお会いになつたことがあるかどうか、打合せをやられたことがあるかどうかということが一点。  第二点は、くとも今日水産庁水産試験場ともあろうものが、これほど重大な、半世紀にわたるといわれる和歌山県、徳島県を兵庫県の暴政下に置いて、その水流あるいは海流の調査ができておらなかつたかどうか、水産庁は何をしておつたかということを聞き、たい。  第三点は、少くとも今日官吏の最も愼まなければならぬ、守らなければならぬことは、官吏はすべからく国家大衆の官吏でなければならぬ。ことに公平無私でなければならぬということは、官吏服務規定にあるのであります。しかるにこの重大な問題を、水産試験場の技官として專門的な、いわゆる十分なるエンジニア精神からして、ほんとうに何ら偏するところなく、良心に従つて、藤永説明員がほんとうにこれを一年かかるというようなことを良心的に言われたかどうか、どうもわが党の関係あるいはその他の関係からいつて、まことに重大なこの問題を解決しなくてはならぬときに、どういう関係から一年かかるというような論拠が出て来たかどうかということが第三点。  また海上を調査するのに春夏秋冬を通じてやるというようなことは、どろぼうをつかまえてなりをなうということは聞いておりますけれども、まつたくあの日の答弁などは、どろぼうをつかまえてなわをなうどころじやない、わらを結ぶごとき答弁であつた水産庁水産試験場は、今日まで何をしておつたかということも第四点に伺いたい。  この四点に対して明確なる御答弁を願つて、ほんとうに率直に速記録ができ、われわれが納得するならば、私はこの質問で打切りたいと思いますけれども、御答弁のいかんによつては、今晩十一時五十九分まで私はやつてみたいと思う。
  69. 藤永元作

    ○藤永説明員 まず一番からお答え申し上げます。香川県や兵庫県の証人に会つたかどうかということでありますが、私は絶対に会つたことはございません。あの席上に呼ばれましたときに初めて顔だけ見ただけでありまして、絶対にございません。これは腑仰天地に恥じないものであります。  二番は、あの重要な海区において、今までなぜ調査ができていなかつたか、こういう御尋ねであつたと思います。二番につきましては相当資料がございます。しかしながら、あそこを一年を通じて徹底的にやつたという調査は、私の調べた範囲ではないのであります。しかしながら断片的に、あるいは神戸海洋気象台等において相当調べておるのであります。それによりますと、あそこは内洋性のむしろ非常に強い所である。むろん外洋性もありますが、相当内洋性の強い所である。こういう結論を下さざるを得ないのであります。  三番には、官吏は公平無私でなければならない。私は誓つて公平無私の立場から、あの参議院において説明をしたつもりでございます。なぜ一年かからなくちやならないかとおつしやいましたが、あそこは一年を通じて徹底的にやつたことはございません。それはなぜ一年かかるかと申しますと、あの紀伊水道は、御承知のように黒潮の影響を相当受けます、黒潮は春と秋は沿岸へよるが、夏と冬は相当沖合いに出ます。従つてその影響がやはり紀伊水道に現われまして、春と秋は比較的に海洋性が強くなり、夏と冬は比較的内湾性が強くなる。そういうように現在までのところでは結論をくださざるを得ないのでありますが、それではどのくらいの内湾性か、どのくらいの海洋性かと申しますと、今のところでは十分な記録はないのであります。従つて一年と申し上げたのは、非常に長いようではございますが、私ども海に関する研究をやつておる者にとりましては、どうしても一年ぐらいかかつてはつきりした結論を出したいと思つて従つて一年かかると申し上げたのであります。以上で大体おわかりと思います。
  70. 松田鐵藏

    松田委員 たまたま聞く話でありますが、漁業法の改訂にあたつて紀伊水道を特別区域にすることが非常にいけないことであるということを、水産庁の役人が言うておる、こういうことを盛んに宣伝されておるのでありますが、そういう事実が水産庁内にありましたかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  71. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 われわれといたしましては、そういうふうな実際のうわさがあるということを聞いていないのであります。この議院の提案になりましたものに対して、とやかく批判がましいことは一切避けておるのでございます。
  72. 松田鐵藏

    松田委員 重ねてお伺いしますが、水産庁として行政の部面をつかさどる者が、法律審議するわれわれの審議権に対して、さようなことを申し上げたことがないということは、常識から言つてまたもつともな話だと私は考えておるものでありますが、今残念ながら、自由党瀬戸内海に関連する議員は、水産庁においてさような意見があるのだ、水産庁でさえこういうことを言つておるのだということを、盛んに一つの理由としておるのでありまして、水産庁の立場において、かようなことはないということをただいま次長が言明されたので、私はそうあるべきはずだと考えておりますが、もし万一さような言葉責任ある者が話されたということであつたならば、どのような責任を負われますか一この点をお伺いしておきたいと思います。
  73. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 今の問題でありますが、われわれもそういう意味合いにおきまして、この議院の提案になりましてからは、科学的に見てその内海的な性質が濃厚であるという程度のことは、今藤永君から申し上げましたような意味合いで申しているのであります。しかしこれを今の調整委員会を二つつくるとか、つくらぬとか、またこの問題につきましては、その内容いかんにもよると思うのでありまして、簡單にそう批判はできないと思い、私としましても愼んでいるわけでありますが、もし部内で責任ある者がそういうことをいたしました場合には、十分訓戒したいと考えております。
  74. 松田鐵藏

    松田委員 非常に重要な点になるのでありますが、法案審議されているうちに、もし水産庁の役人として、か、かる言動をした場合におけるその影響は、非常に重大な役割をなすことだろうと私は考えます。なぜならば、われわれが実地を調査し、しかして公平無私に、しかも利害関係のない北海道議員がおもに現地の調査に当つたのでありまして、しかもわれわれは実際にろをとり、網をさし、漁業を営んで今日になつたものであり、海洋と内海と、またプランクトンの生存等、こうした漁業の原則を学んで、実地にこれを業としてやつて来たものであり、しかして、われわれの考え方か君つて、内海のために、またあの特別な海区のために、両方に非常なる幸福をもたらすことであると考えており、現在のあの状況は、密漁者の反対をすることが根本の理由になつているのだという考え方をも、現地を調査してはつきりわかつたのであります。その密漁者というのは水産庁の、また地方庁の漁業に関する取締りの不備といおうか、道義の頽廃といおうか、今日密漁の機船底びき網あり、違法の打瀬網あり、そうしたことによつてあの海区が荒されている現状も、私どもこの目ではつきりと確認して参つたのであります。しかして一部の人々の利益よりも、あの特別海区におられる漁民、内海に漁業を営んでいる多数の漁民のために、公平無私にこの問題を解決せんと、真に努力をもつてつたのに対して、ただいままでのあの水産試験場に出されている机上の資料によつて漁業関係のない、たとえば国会議員に対する一つの資料にしかすぎないものを、学者の資料であるからといつて、これを尊重しているのが現在の日本の、まことになげかわしいならわしである。このならわしを打破して、真に大衆の漁民に対して利益を與えなければならないという考え方から、われわれは公平無私の立場において、現地の調査をしたのである。そのところに持つて来て、水産庁の役人がもしかかる言動をもつてしたというのでありますと、この学者の資料を一つの武器とし、また水産庁の役人の言葉を第二の武器として、この問題で大衆漁民の不利益を来すような場合があつたならば、また法案審議に対して、非常な悪影響を来すような場合があつたならば、その役人の責任というものは実に重大なものであると、私は考えるのでありまして、もしそうした場合においては、だれがどのようなことを言うたということもわかつて来るのでありまして、さような場合における水産庁次長の心構えを、あやふやな意味合いでなく、はつきりとわれわれに明示あらんことを、重ねて要望するものであります。
  75. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 われわれといたしましては、先ほど来るる申しておりますような態度で臨んでおるのでありまするが、しかしながら数多い職員の中には、あるいはそういう不心得者が絶対にないとも言い切れないかと思うのであります。十分に注意いたしまして、絶対にそういうことのないようにいたしたいと考える次第でございます。なお故意に目的的にそういうことを宣伝してまわるというようなことがある場合には、私といたしましても、適当な処置をとらなければならぬと考えております。
  76. 田渕光一

    田渕委員 宣誓した証人の三浦君はこういつております。しかもそれは考えて言つたのではありません。一瞬くらいの罫紙に綴りました書面に書いておりますから、その日に書いたものでないということは明らかであります。おそらく兵庫県で書いて持つて来たものと思いますが、その記録を読みながら曰く、水産庁にも異なつ意見がありますということをはつきり述べている。これは参議院水産委員会速記録を求めますればわかりますが、水産庁にも異なる意見がありますと言つて、つまり衆議院水産委員会が唐突としてこういうものを出したようなことを言つておるのであります。三浦証人が、水産庁に何ら聞かずして、かつてにかようなことを言つたとすれば、僞証であります。僞証として告発しなければならぬのであります。しかしこの点については少くとも水産庁で言うてなければならぬと思いますが、これは証拠がありませんけれども、三浦証人を偽証罪で告訴した後に現われて来るでありましようから、この点については、今の松田委員の言われるように、そのときには政府責任をとつてもらいたいと思う。  もう一点は、藤永説明員がいつ水産試験場へお入りになつたかということを伺いたいのであります。
  77. 藤永元作

    ○藤永説明員 私は昨年の二月四日付で水産庁の研究部長に任命されたのであります。
  78. 田渕光一

    田渕委員 その以前はどちらに奉職されておりましたか。
  79. 藤永元作

    ○藤永説明員 それ以前は日本水産株式会社の研究所長をやつておりました。
  80. 田渕光一

    田渕委員 私その前職までも追究するものではありません。先ほどの第四点に対して、率直なる御答弁をいただきましたので、藤永さんの御人格はわかりました。ただ世の中は、正しい、人がいいから必ず善人とはいえないのであります。不正を黙認する者もやはり罪悪人と見なければなりません。お人がいいからあなたの言うことは万事けつこうだとはいえないのであります。藤永説明員が科学者として非常にあつさりしていらつしやるところへ、三浦君がそれに連れ込んだのではないかと思いますが、あなたの御人格ははつきりいたしましたので、これ以上追究いたしません。また伺いません。ただ参議院水産委員会において宣誓した証人が、水産庁にも違つた意見があります。水産庁意見と異なるものを、衆議院水産委員会が唐突に出したということを記録を読んで言つておりますが、これは後日の問題にいたします。ただこの問題について、一年間かかるということを、あのときによく考えて言つていただかなければならぬ問題を、あの結論を出すのにそこへ持つて来ている。藤永説明員の御人格の円満の、お人のいいところへもつてつて、三浦証人はずつと引きずり込んでいるのであります。藤永さんに聞けば一年かかるだろうという予測のもとに、引きずり込んだのは事実であります。実際一年かかるということは、科学者あるいは研究者としてやむを得ませんが、一年これから調べなくても以前にわかつておらなければならないのでありますが、昨年の二月にお入りになつて、一年そこそこであるから、あるいはそうした資料の検討ができなかつたかもしれませんが、このときに一年かかると言えば、この紀伊水道に対する問題は一年延ばすというようなことは、これは科学者としてお人がいい方だから、われわれがあらゆる角度から研究するほど、御心境がそのときにややこしくなかつたかわかりませんけれども、一年かかりますぞということを、これ幸いに木下委員長が一年持つて行くということにお気づきにならなかつたかどうか、この御心境を伺つて私は質問を打切りたいと思います。
  81. 藤永元作

    ○藤永説明員 私は、私の説明においてここに至ろうとは全然予期しませんでした。
  82. 早川崇

    早川委員 二、三政府の方に御質問申し上げます。私は政府委員の方々をいじめるというようなつもりで言うのではありません。第一点、先ほど松田委員から御質問がありました件に関連して、水産庁長官代理としての次長にお伺いしたいのであります。すなわち次長は、数多い水産庁の中の者においては、さような下心得者があるかもしれないというお話でありますが、もつと率直に言いますと、それは責任者、ここにおられませんが、名前は言いません。司令部へ行つてこの衆議院案に対して否定的な言動を弄しております。  さらにもう一点、きわめて重要な問題は、水産庁責任者が、この漁業法案の調査に参つた場合におきまして、兵庫県ばかりに行きまして、和歌山県、福島県の側から再三再四現地を見ていただきたいと、その責任者に懇願いたしたのであります。しかるに彼は一度も現地に来られないで、兵庫県の一流料亭の中で、酒食を共にすることをたびたびされたというこの事実であります。私は名誉のために名前は申し上げませんけれども、かかることがわれわれが糾弾しなければならない点でありまして、しかもこの衆議院案がかくも難航を来しました一半の理由になつているじやないかと私は思う。かかる点において、断固たる水曜長官代理としての善処の御意見をまず承りたいと存じます。
  83. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 私といたしましては、この問題が衆議院に出ましてからは、いろいろ影響するところを考えまして、少くとも部下にこの問題の調査を命じて出張させた覚えはないのであります。しかしほかの用件で行つたついでに、ただいまお述べになつたようなことも、これはあつたかも知れないと思うのでありますが、そういうことがありますれば、嚴重訓戒をしなければならぬと思います。
  84. 早川崇

    早川委員 第二に、藤永説明員にお尋ね申し上げたいと存じます。藤永説明員は紀伊水道は外洋性のみにあらず、内海性のみにあらず、両者の性質をあわせ持つたボーダー・ライン・ケースであると言われたことは、私は同感である。私は現地をつぶさに見まして、たとえば伊勢えびとか、あわびとか、いろいろ外洋性でなければならないものが多数ある。と同時に、内洋的性格があることもまた事実であります。さればこそわれわれ水産常任委員会は、ここに一つのさようなボーダー・ライン・ケースを扱うべき特別海区を設置することにきめたのであります。私は、藤永説明員がかような見地からながめまして、当然この特別海区の衆議院案に内心では御賛成のことと存ずるのでありますが、その点もしさしつかえなければ、藤永さん個人としての御意見を伺いたいと思います。——これはお困りのようでありますから、その点はひとつ取消しましよう。  第二にもう一つお尋ねしておきたいと思いますが、田淵委員からすでにお尋ねがありましたから、簡單に申し上げますけれども、私はけさ声を大きくして水産庁責任を追究したのでありますけれども、いやしくも地理において瀬戸内海でないあの紀伊水道を、瀬戸内海に含めて法案を出す以上は、今藤永さんの言われたようなあやふやな資料よりないということで、ああいう重要区画をされたことは、まことに遺憾だと私は思うのであります。従つてもし一年間調査をとなければその結論が出ないということになりますと、これは大きな責任問題である。さような次第でございますから、この問題に対して、今後また継続審議になろうかと思うのでありますが、よほど愼重な御発言を願わなければ、変な問題になるという警告を一言申し述べて私の質問を終ります。
  85. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと早川委員に希望を申し述べますが、先刻水産庁の役人のことがお言葉に出て、名を祕するということでありましたが、私はこういう重大な問題を時間を費してやるときでありますから、はつきりと名前の発表のあることを特に希望をいたします。
  86. 早川崇

    早川委員 武士の情として、そこまで言うことは差控えたいのでありますけれども、それは漁業法の主務課長であります。それだけを申し上げます。
  87. 川村善八郎

    川村委員 私の承らんとしたことは早川君が申しておりますが、簡單に藤永調査究部長に質問をいたします。先ほどもお答えしておりますが、外洋性と内洋性を持つておるということは、これははつきり申しておるので、それに間違いないでしよう。しかし大体あなたの御想像で、これは一年研究すればはつきりわかることでしようが、現在の御心境から行きますと、あるいはお考えから行きますと、どの程度のパーセンテージにおいて外洋性と内洋性があるかということを、まずお伺いいたしまして、さらに継続したいと思います。
  88. 藤永元作

    ○藤永説明員 今までの資料によりまして、東京湾で比較いたしますと、富津より南で太平洋に面して、東京湾の海図にある東京湾中部、それよりももつと内湾性の強い——といつても、東京湾の羽田とか、東京湾の奥というものの内湾性ではありません。大体富津よりも南の方の海によく似ておる程度のものであろうと思います。それからもう一つ申し述べさせていただきますが、大体今までの資料を見ますと、内湾でもなし、ほんとうの外洋でもないということはよくわかつておるのです。さらにそれよりもつと詳しいことはないか、こう言われましたので、私はそれでは今までの資料が不足なら、もう一年やらなければならぬ、こう申し上げたのであります。今までの資料でも、ここに水産庁から参議院委員長に出しました書面がございますが、これでもなお不足だ、もつと資料を出せとお言いになれば、われわれとしてはもう一年やつてみなければならない、こういうわけでございます。
  89. 川村善八郎

    川村委員 私は資料から考えたのではなくて、あなたが就任して以来、おそらく無関心でおられたとは考えません。従つてあなたの考え通りで、一体何パーセーントの外洋性を持つておるか、何パーセントの内洋性を持つておるか。それからもう一つは、あなたが外洋にも内洋にも双方にまたがるものであるとはつきりおつしやつておりますから、外洋性の魚族が、紀伊水道に大体何パーセントくらい回遊するかという二つの問題をお伺いいたします。想像でいいのです。
  90. 藤永元作

    ○藤永説明員 想像をもつて何パーセントということは、私の立場としては言い得ないと思います。
  91. 川村善八郎

    川村委員 それではさらにかえてお尋ねしますが、一年調査をしますと、はつきりあなたが確信の持てる、どなたにも発表し得る資料と現実が現われて来るかどうかという問題であります。そこで実際の漁業からいつて、その調査と実際とが違つた場合に、あなたはいかに責任をとられるかどうかということが第一点。それからもう一つは、一年調査するということになりますと、今は五月の二日であります。ただちにかかつても来年の五月一日までにやらなければなりませんが、そうしますと、臨時国会にも結論を出すことができないし、もちろん通常国会にも結論を出すことができないということになりますので、事実上二年なければ、あるいは三年なければ、問題となつ紀伊水道にからんで、漁業法改正をどうするかという結論が出ないのであるが、こうしたようなことも考えてみるときに、あなたは一年と簡單におつしやられるけれども、その一年は調査の期間だけであつて、さらに法案として取上げる場合においては、二年も三年もかかるということになりますと重大な問題になるのであります。そこで私はあなたに御注意を申し上げます。すでに資料が出ておるので、その資料が実際と当てはまつておるかどうか、それが当てはまつておらないかどうかという結論だけ早く出すのには、どのくらいかかるかということをお伺いします。
  92. 藤永元作

    ○藤永説明員 現在の資料をもちましても相当なことはわかります。私は一年やればもつとわかる——完全にわかるとは申しません。ただ今までの資料よりもより正確なものができるだろう、こう申し上げただけであります。これは紀伊水道を百年調査いたしましても、これが完全だという数字は、おそらく私は出ないと思います。
  93. 川村善八郎

    川村委員 そこで最後言葉じりをとらまえて言うのではありませんけれども、百年かかつてもできないものを、一年くらいやつて何ができるか。ねぼけたことをあなたはおつしやるな。百年かかつてもできないというなら、一年かかつてできるという結論が出ますか。侮辱するもはなはだしい。(発言する者あり)ちよつと待つてください。そんな調査研究部なら置かなくてもよろしいということになる。百年かかつてできないといつたようなことをこの席上で言うということは、あなたは簡單に考えていますか。一年あれば大体できるということでもけつこうです。しかし完全にするというと百年かかつてもできないというなら、一年かかつて何ができるかという、裏を考えればそういうことが言える。であるから結局はあなた方にたよつたのでは調査ができないといつて、私が結論つけてもよろしい、従つてわれわれ議員としては、われわれ議員の判断によつて、ただちにこれを臨時国会にでも取上げなければならぬということを考えるのであります。これで藤永調査究部長に対する質問を打切りますが、あなたは立場上、そういう責任のない言葉を言つたのでは、最後にわれわれは水産庁の機構改革について強い発言をするということも、われわれはあえてこの際惜しまないつもりでありますから、その点御了承願います。
  94. 石原圓吉

    石原委員長 玉置君。
  95. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は国会の末期の本日の委員会におきまして、はしなくもこの漁業法中一部改正に関する問題が相当やかましくなりましたので、この機会に、かねて心にかけておりましたわれわれ水産常任委員会の立場、それから政府側の水産庁の立場、この両者が非常に世間から誤解を受ける重大な事柄が、水産経済新聞に載つておることをここに御披露申し上げて、一つは責任のある山本長官代理なり、一つは委員長並びに鈴木小委員長、それから田淵委員等よりも御意見を発表しておくことが、将来のためになるのではないかと考えられる点があります。ので、一応申し上げて御意見を聞きたいと思います。非常に重大なことが載つております。これは三月十五日付でありますが、「衆院見通し誤る」という見出しで、原文を一応読んでみます。「瀬戸内を二分する漁業法一部改正法案は、瀬戸内三十万漁民の反対を押切つて強引に衆院水産委員会通過したが、その後内海関係六県の反対決議をつきつけられて、本会議上程足踏み状態を呈している。本法案通過にあたつては、和歌山県の田淵代議士が音頭をとり、それに鈴木(善)氏、石原氏が中心となつて行われたらしいが、」(発言する者あり)ちよつと静かに願います。「各方面の観測を総合すると、今次の紛糾は、水産委のメンバーが紀伊水道二十足らずの底びき業者の見解を瀬戸内全体の総意と誤認したところによるらしい。三月初旬行われた瀬戸内大県の漁民大会の反対決議をつきつけられて、衆院運営委では改めて事態の困難性を認識し、本会議上程を押えたというのが真相のようだ。」 次の見出しで「強い政治臭」として、「また法案上程にあたつて水産庁では何ら事前相談を受けておらず、この点まず漁業法成立にあたつて水産庁にいためつけられた衆院水産委の連中のしつペい返し的意図も察知される。この裏には多分に政治臭と国会対お役所の闘争的なにおいが強いのではないかと一部から見られている」。こういう記事があるのであります。この新聞は相当業界に配付されておる新聞でありますので、業者の間には、相当誤解を生じておるのじやないかと思うのでありまして、ここに特に私が発言するものは、私がかつて瀬戸内海調査班の一人として派遣を命ぜられた当時、私不省ながら班長を命ぜられまして、この派遣委員は各派がこれに参加いたしておるのであります。すなわちわが自由党、当時の民自党、それから民主党、共産党の砂間君も同行したのであります。従いまして、その現地視察の際において、私どもはこうした特定の底びき網業者によつてこうしてくれというような依頼を受けたことも、陳情を受けたこともないのであります。神戸の、県の議事堂におきまして、多数の御参加を願いまして、公聽会的に意見を徴し、あるいは各県の行政の面に携わつておりまする水産課長、その他の方々の意見を聽取したのでありまして、その調査と、さらにその前に、私さらにかの地に視察して参りまして、またその中間におきましても、他の御一行が——おそらくこれは石原水産常任委員長、鈴木小委員長の一行がいられると思う。こうして三回にわたつて現地を視察された結論がここに来たと、私は今日確信をいたしておるのでありまして、特定の者に頼まれて、政治的なにおいのもとに、こうしたことをやつたというような考えもなければ、水産庁もまたおそらくこうした行政官庁とこの国会の対立した感情によつて云々というようなことも、私はながつたであろうと思うのでありまするが、こうした事柄をこの機会に明確にいたしておかないと、どちらのためにもならぬと思うのであります。人間のやることでありますから、神のやることでないから、あるいは多少間違いがあるかもしれませんが、しかしながら、われわれ水産常任委員調査いたしたことは、大所高所か、私心を去つて、公平無私な調査をいたしたつもりであります。しかるにかかわらず、かくのごとき新聞の報道があるということは、非常に私は業者に対して疑惑の感を與えたのではないかと思うのであります。この機会にこの疑惑を一掃するために、それぞれの立場から御意見を発表されることが、きわめて必要でないかと思うのであります。もとより新聞の報道されることは、ニユース・マンの感覚によつてやることでありますから、その点については私は容喙をするものではありませんが、しかしひよつとしたら、妙な話であるが、こういうようなことがどつかから材料が出たのではないかという疑いを持つのでありますが、それは後日に讓りまして、まずこの点を明確にする必要があると思います。
  96. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいま鈴木小委員長の名前が出ましたので、私の立場を発表いたしておきたいと思います。漁業制度に関する小委員会は、本委員会の御指名によりまして、漁業制度に関する小委員会が正式に設置され、かつ委員長の御指名によつて、私が小委員長の職務を取つてつたものであります。この漁業制度に関する小委員会は、わが国の国権の最高機関である国会の、正式に設置いたしましたところの小委員会でありまして、もとより公の機関であり、私物ではないことは明らかであります。本小委員会は、委員会の付託によりまして、田淵議員外二十名提出にかかる法律案審議に当つたわけであります。その際私は委員長と同道いたしまして、現地をつぶさに調査いたし、さらに玉置班長その他の現地調査の結果をも聽取いたしまして、その他あとう限りの資料を牧集いたしまして、しかして結論を出したものであります。その成規の手続による国政調査の結果は、本委員会に正式に御報告申し上げ、各委員愼重なる御検討を経て、結論を得たものであります。従いまして、私どもの決定は最も公平に、国会の権威の上に立つてその裁断を下したものであります。新聞その他の言論機関が、いかように報道いたしますとも、この嚴正にしてしかも愼重なる本委員会の審査は、断じて曲げることができないものと、私は確信いたすのであります。  なおこれに関連いたしまして、一言御当局の所見をただしたいことは、参議院委員会におきまして、藤永水産庁調査研究部長の御証言が、参議院審議の重大なる参考資料なつたということを、速記録によつて私ども承知いたしております。本衆議院委員会は、あらゆる調査研究の結果、紀伊水道は内海にあらず、外海にあらざる中間的性格を持つものであるという認定を下したのでありますが、もしも藤永部長が、今後一箇年間によつて調査いたしましたその結論が、私どもが認定したところの、内海にあらず外海にあらざる中間的特殊の海区の性格を持つものとの、科学的結論が出た場合には、藤永部長はいかなる責任を取られる所存であるかどうか。藤永部長の御発言が、本法案の採否の運命を決定いたしたところの重大なる証言である。もしも私どもの断定と同じ結果が一年後に生れましたならば、本法案の正しき成立を一箇年遅らせましたならば、その際における藤永部長の責任はきわめて重大であると考えるのであるが、当局はいかなる責任を取る所存であるかどうか。また来るべき臨時国会において、私どもは調査の中間報告を徴する責任があると思うのであります。臨時国会は七月ないしは九月には開会される予定であるが、その臨時国会までに、当局は責任ある中間報告をする用意があるかどうか。その予算的措置が講ぜられておるかどうか。何らの用意なくして、一年後にその結論を出すというかごとき放言をいたすならば、ゆゆしき問題であります。当局の所信を伺いたいと思います。
  97. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 藤永君の発言が非常に問題を起しまして、まことに私といたしましても責任を感じておるのであります。ただあの際は、もちろん藤永君も役人でありますから、純科学的見地から、一応自分の承知している資料によつて結論を申したのであろうと思うのであります。これによりまして、どういうふうにこれを行政的に処置をするかという問題は、もちろんそういう科学的資料も一つの要素ではありますけれども、いろいろと実際の問題も考慮した上で、総合的に判断をしなければならぬと思うのであります。藤永君の考えは、その総合的ということでなくて、純科学的な立場で話したのではないかと考えるのであります。それらにつきましては、私としましても十分責任を感じておるのでありますが、物の見方は、科学的論議がすべてではないのでありまして、この扱いにつきましては、やはり諸般の事情を十分考慮して判断を下すのが穏当であると考えております。
  98. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私が当局にお尋ねいたしておりますことは、本委員会紀伊水道は外海にもあらず、またまつたくの内海にもあらず、中間的性格を持つものと、私どもは調査とあらゆる資料によつて認定いたしたのであります。その認定を参議院は、藤永部長の有力なる証言によつて、一箇年後の調査にまたなければ、この断定は下し得ないという結論に達している。藤永部長の証言は、本院を通過したるところの法案の採否を決定するきわめて重要な証言になつておるのであります。そこでもしも一年後の調査の結果、私どもが認定したるところの紀伊水道は、外海にあらず、またまつたくの内海にあらざるところの、特殊な性格を有する海区であるという結論に達したといたしましたならば、私どもが一年前に断定したることを、いたずらに科学的調査に籍口して、一年間その正しき法律の制定を妨げたという結果に相なるわけであります。その点について、当局はいかなる責任を負われる所存であるか、この点をお尋ねいたしておるのであります。また来るべき臨時国会において、当然この法案は、本院委員会の重大なる議題に相なるのであります。それまでの間に、当局は一箇年の調査計画のうち、中間報告をする義務があるど思うのであるが、その調査の用意と、臨時国会において中間報告をなされる用意があるかどうかをお尋ねいたしておるのであります。
  99. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 この科学的調査が、内海にあらず、外海にあらずという一つの見方と、あるいはこれは内海に近いという見方とか、いろいろと仮定はできると思うのでありますが、ただいま鈴木委員からおつしやられましたように、もし一年後において結論が同じになるということになりますれば、もちろん重大な責任を感ずる次第でありまして、その際には適当な処置はしなければならぬと思うのでありまするが、しかし事は重大でありますので、簡單にそういう仮定のもとにしかじか言うことはいかがかと考えるのであります。  それからこの調査の予算があるかという御質問でありますが、実は各水産研究所等には、いろいろと全体の調査のための一応の予算はあるわけでありまするが、この問題についての予算は、特別に計上はしていないのであります。しかしこういうふうに相なりました関係もありますので、水産庁としましても、一年と言わず、できるだけ急ぎまして、現在までの資料等もできるだけ活用して、早く結論を出すように努力しなければならぬと考える次第であります。
  100. 川村善八郎

    川村委員 私の言わんとするところも鈴木委員言つておりますが、ただ一点、山本次長に長官代理として責任のある御答弁を願いたいことは、先ほど藤永調査究部長が、わずか紀伊水道だけの問題を調査する時分に、百年たつても完全に調査ができないと、放言もはなはだしい放言をしておる。すなりち、もう百年たつてもできないんだと、こう断定を下して答弁をしておる。しからば日本全国戰争でせばめられたといえど、何千倍といういわゆる海域を持つております。これらの調査は一千年たつたつてもできるものではないといういわゆる藤永部長の答弁から行くと、そう結論づけられるのであります。一体そうした室想もある場合には描くこともけつこうだけれども、空想以上に実際に描かれないところの、そうした調査部を水産庁に置く必要はないと私は考えるのであります。もし置く必要があつたといたしましても、藤永調査究部長のように、わずかの海域を百年たつて調査できないという部長を置くということは、ほんとうに調査研究の実質をつかむことができるかどうかということを、私は疑うのであります。そこで人事の問題については、今時間がありませんのであえて申し上げませんが、この百年の放言から端を発して、おそらく水産庁の機構の問題、人事の問題について、われわれは相当検討してみなければならぬと思いますので、一応この場合次長はどうした考えを持つているか、長官代理として御答弁願いたいのであります。
  101. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 ただいま藤永君が百年と申しましたのは、これはおそらく実際に科学者としまして、非常に愼重な考え方から申したのでありまして、この点は私から厚くお詑びする次第であります。おそらく御本人も、これは程度論を言つたのでありまして、その点はよく注意いたします。
  102. 玉置信一

    ○玉置委員 さつき質問したのに答弁がありませんから……。
  103. 石原圓吉

    石原委員長 それでは玉置委員の質問に対する答弁を求めます。
  104. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 衆議院水産委員の方々とは、水産庁としましては非常に密接に連絡を行つておると思うのであります。その証拠に、今国会におきましても、非常に難件の漁船法、漁港法を初めといたしまして、六つの法律が無事に通過したということを見ましても、間然するところがなかつたというふうに、私は考えるのであります。もしそういう記事が記者の思惑で書かれたのであれば、やむを得ないのでありまするが、しかしかりに水産庁のだれかがじようだんにしましても、そういうことを口走るというふうなことがありますれば、これは非常に重天な問題でありますので、今後はそういう問題について、十分注意もいたしたいと考えます。
  105. 松田鐵藏

    松田委員 私が先ほど質問したことに関連いたしまして、ただいま藤永放言——百年放言といい、またその後に早川委員から述べられた久宗課長のとつた行動といい、私どもはまことに遺憾と考えるものであります。われわれが国会の承認を得て国政調査として参り、先ほど申し上げたように、その漁民大衆の利益のために何ものをも考えずに、誠心誠意、このりつぱな法案をつくるべくわれわれの結論を出したのに、水産庁の有力なる、漁業法を扱つておる課長が、かような事柄に対する言動をしておつたということは、玉置君から話されておる新聞記事を——われわれは水産庁水産行政のために、この国会を通じて次長のただいま答弁されておるごとく、あらゆる法案に対し、徹夜に及んでこの法案通過を、一身同体となつて努力したものであります。ところがこうした逆なる行為を新聞記事に出されるような事柄を、つまり衆議院水産委員会水産庁と確執のあるように、新聞記事に出されておる事柄は、早川委員の説明によつて、初めて久宗課長のとられた事柄であることが今日判明したのであります。水産庁においては、こうした流れがただいまの藤永百年放言と同様に流れていることを、われわれははつきりとここに見出すことができ得たのでありまして、水産常任委員会を侮辱する、またこれを冒涜する、行政の立場におられる、重要な位置に立つておる役人に対して、われわれは警告もしなければならないが、当局の山本水産次長はどのようにお考えになられておるか。ただいきなりの答弁だけでは、問題がなかなか解決するところに至らないことを、われわれははつきりとここに確信を得たのでありまして、この点に対する長官代理としての責任ある御答弁をお伺いしまして、われわれ常任委員会態度も、ここにきめなければならないはめに陷つたことを私は申し上げまして、責任ある御答弁をお伺いしたいと存ずるものであります。
  106. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 藤永君の言葉が少しきつ過ぎました点につきましては、ただいまおわびしておるわけであります。何と申しますか、こういうところで答弁するのに、非常にふなれな点もございますので、その点はどうか御了承願いたいと思います。久宗君の問題につきましては、われわれは例の先般の本の問題もありまして、非常に私としては注意を與えておるのであります。不用意な誤解を招くようなことはできるだけしないように、この上とも嚴重に訓戒をいたして行きたいと思つておるのであります。兵庫県に出張したということがありましたが、その点、私、実は特にこの問題について出張したとは思わないのでありますが、何かの機会にそういうふうなことがあつたかと思うのでありますが、この点は十分に当人にも事情を聞いてみたい、その点で実情いかんによつては、適当な措置を講じなければいかぬと考えております。
  107. 松田鐵藏

    松田委員 重ねて申し上げますが、久宗課長がかような重大な事柄を話しておるということを、さきに私も聞いておつてつたのであります。しかも先日われわれが頂戴いたしましたあの漁業法の解説の字句に対しても、久宗課長の水産庁代表した意見として、非常な激烈な意見を書いておるものであります。非常に温厚な紳士のように思われるが、その内面において、まことにわれわれが考えることもでき得ざるような思想と、またその構想を持つておる、かような事柄がはつきりとことにわかつて来て、あらゆる点に対して、今後この問題を解決していただかなかつたならば、水産庁とわれわれの水産常任委員会というものは、どのようなことなるか、われわれは決して水産庁に対して小さな考え方を持つて行くものではありません。日本の水産という問題に対して、献身的な努力を将来ともにして行くのが、われわれの義務であり、またして行くことを惜しまないのでありますが、人聞はややもすれば感情にとらわれるものであります。もしわずかな問題で感情にとらわれて、将来水産行政に対して、また審議に対して、支障のあつたとすることを考えるときにおいて、私どもはまことにとんでもないことだと考えるのでありまして、十分に、この問題を軽視せずに、次長は善処あらんことを私は申し上げ、また警告を申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  108. 川村善八郎

    川村委員 今、松田君から久宗君のことについて一考を要するのじやないかという意味の言葉を述べられたが、私も同様であります。久宗君はもちろん若いのであるから、功名を急いでのことであつて、あの「漁業制度改革について」という出版物に対しても、国会を冒涜した、侮辱するといつたような字句があるのであります。私は過去にこういう例があります。実は第何回の国会つたか忘れましたが、坂村君が統制課長時代に、あまりに横暴なことを言うので、本委員会において、私、ははつきり農林大臣に坂村君をどこかにやつて勉強させなければ、かえつて本人のためにもならぬし、もちろん日本の水産業界のためにもならぬから、人事に対してはあんまり干渉がましいことを言いたくないけれども、本人のためにも水産業界のためにも、かれを外に出して勉強させた方がいいのじやないかという進言をしたことがあります。坂村氏は現在は非常に重宝がられておる。かれは水産庁を去る時分に私に皮肉を言つた。ですから私は坂村君に、君は本庁にばかりいて世間を見ておらない。井戸の中のかわずである。少し地方に出て勉強して来れば、君の頭であるなら、りつぱな人になるんだから、君は外に出て勉強して、再び水産庁に帰つて来なさい。こう言つたら、坂村君はそうだなと言つたのですが、彼は今非常に重要な地位につかれて、地方の住民の期待に沿うように仕事をしておる、こういうことを聞いております。久宗君もお若いから、さつき言つた、功名を急いでおるような弱みはいくらもありますので、本人を傷つけるということはまことに忍びないのでありますが、どうか長官代理は、すへからく彼を将来人にならしめるためには、地方に出して勉強させた方がいい。またここにおられる藤永調査究部長も、百年たてばきつとあなたの孫の時代になると思います。そうした気長では日本は再建ができません。従つてこの部長もほかに行つてもう少し勉強されて、再び水産庁に早く帰つて、百年のものは三十年くらいで研究が十分積めますれば、あなたの時代にできることになりまするから、どうかその点も、長官代理の次長がよくお考えになつて、今後の機構改革と人事をおやりになつた方がいいと思いますので、松田君の御意見に対して、私も一言附言しておきます。
  109. 田渕光一

    田渕委員 私は、先ほど藤永部長より第四点までの御答弁を率直にいただきましたので、そういうふうに解釈したくないのであります。松田委員川村委員も、とりようによつてはそうなるのであります。いつか運営委員会のことで問題になりましたときに、浪花節で言うと奈良丸と虎造の表現の違いということがありました。百年河清を待つという言葉もありますが、科学者としてほんとうに完全な研究をすれば百年経つてもできないので、純真な立場から言われたのだと思います。われわれが物事を研究する場合、完全なものは一生を通じてもできないのであります。芸術家にしましても、これ以上、これ以上と求めれば、百年経つてもできない、こういう心境でおつしやられたものととりたいのでありますから、同僚議員もさようなぐあいに御解釈を願いたいのであります。その意味において、むしろ率直におつしやつていただいてよかつたと、逆にこれをとりたいと思うのであります。ただ一言、先ほど玉置委員から、新聞記事で、衆議院の運営委員会で足踏みをしているというような言葉がありましたが、私議院運営委員の一員として申し上げたいのであります。実はこの問題は、運営委員で足踏みをしたのではありません。自由党国会対策委員会で、本日の本会議にこの問題を取上げるというときに、わが党の川西議員が参りまして、ぜひとも本日の本会議上程は延ばしてもらいたい。本会議の日程に上つているものをどうして延ばすのかと言いますと、本日はこの問題について、兵庫県から傍聽者が非常に来ている。この傍聽者の前でこれを出されては、われわれは会わす顔がない、手を食わせて拜むから待つてくれと言うのであります。そうしてこれに続く者は佐々木盛雄代議士、塩田賀四郎代議士、首藤新八代議士で、本日だけは延ばしてもらいたいというのです。それで翌日に延ばしたら、きようも残つているので、もう一日待つてくれればどんなにしてもよいというわけで、実は運営委員会で延ばしたので、決して足踏みしたものでないことを、運営委員の一員として申し上げて置きます。  それから四月二十八日の証言の中に、岡山県の証人がこういうことを言つております。瀬戸内海は内海の海汐であつて、冬になると水が非常につめたくなり、そのつめたい水が鳴戸海峡を経て温かい紀伊水道の方へ出ると証言しております。はたしてしからば、つめたい水の岡山、広島、山口の海流に魚がいないとすれば、紀伊水道に流れて来る水もつめたいのでありますから、魚がいないはずであります。しかるにわが党の川西代議士、それから今日いろいろうわさに出おります自由党参議院議員岡崎氏が、われわれは水産のことは何らわからぬが、とりあえず反対だというのであります。どういうわけで反対かというと、紀伊水道に魚の卵がたくさんできる。そこを和歌山県や徳島県にとられてしまうから反対だというのであります。藤永部長は決して悪い人でないということがわかつた。というのは、参議院木下議員らが、何とか端緒を見つけ出したくて、純真な科学者の百年経つても成果を得られない、一年くらいかかるのでしようと、いう言葉を何よりの証言として、一年かかるということになつたのであります。かようなことで、運営委員会は決して足踏みをしたわけではありません。公明正大にやつていることを天地神明に誓つて申し上げて置きます。
  110. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私は、本国会最後水産委員会におきまして、一つの提案をいたしまして、各同僚委員諸君の御賛成を得たいと思うのであります。  申すまでもなく、今日わが国の漁業は重大な経営難に逢着いたしております。魚価は暴落し、金融は梗塞し、資材は非常な値上りをいたし、また税の面では、相当重い負担に苦しんでおるのであります。このような状態に放置いたしますならば、近いうちにわが国の全漁業は壊滅の状態に陥ることを、私ども心から憂慮いたしておるのであります。そこで本委員会は、来るべき臨時国会におきまして、わが国のこの危機に瀕しておる漁業を、いかにして建直すかという問題を重点的に取上げて、徹底的にこれが対策を考究する必要に迫られておると思うのであります。まず臨時国会において対策を立てます一つの資料といたしまして、本委員会と当局とが一体となりまして、漁業白書とも称すべき——今日危機に瀕しておるわが国の漁業の実態を、あらゆる面から調査研究をいたし、その資料を具備いたしまして、緊急にこれが匡救の対策を確立いたしたいと思うのであります。この意味におきまして、本委員会は、すみやかに各種漁業の経営調査を行い、当局もまたこれに対して與う限りの資料を提出するよう、委員長からとりはからわれんことを提案するものであります。
  111. 石原圓吉

    石原委員長 この場合、委員長より発言をお許し願います。  ただいまの鈴木委員の御発言はしごくごもつともであると思いますが、それをお諮りする前に、玉置委員の新聞記事朗読のうち、私に関する件について申し上げます。  私は瀬戸内海紀伊水道両方よりほとんど無数の陳情を受けております。けれども紀伊水道のあの法案は、天地神明に誓つて、あれ以上に正しいきめ方はないと考えておるのであります。将来もあれはかわらない。いわゆる内海と外海との中間であるということを根拠にして、保護繁殖、取締りの方法を徹底するということにおいて、大阪湾も瀬戸内海も、紀伊水道の外海も非常な増殖、繁殖によるところの利益を受けるものであると、断じて確信するものであります。これを励行して保護繁殖をはかる取締りの徹底をするのは、いわゆる水産庁の重大なる任務であります。しかるに先刻早川君の発言による久宗君の言動、また漁業法案の要綱書類に対する久宗君のあの書類の面より見て、いかなる悪気流が水産庁の中に流れておるかは、察するにあまりがあるのであります。私は藤永君の発言もそれに影響されておる点があるのではないかということを疑うものであります。またもう一つ極端に感ずる場合は、水産庁次長は松本、久宗両人の旅行をしいてさしたのではないかという疑いを持つものであります。これらのものを総合しますと、鈴木君の発言によるところの水産対策を確立する前に、水産庁の悪気流をまず一掃する必要があると思うのであります。で水産庁次長は、来る臨時国会までに自粛自戒をして、その悪気流をみずから一掃するところの決意と覚悟ありやいかん。まずこの問題をお尋ねしておきたいのであります。
  112. 山本豊

    ○山本(豊)政府委員 いろいろと水産庁内部のことにつきまして御批判があつたわけであります。私としましても責任がある立場におります関係で、非常に申訳ないと思うのであります。この処置の問題につきましては、今はつきりしたことは申し上げられませんけれども、私が責任を持つてよく事情を検討しまた訓戒して正し得るものならできるだけそういう手を盡して善処して参りたいと考えております。
  113. 石原圓吉

    石原委員長 お諮りします。鈴木君の御発言の要旨並びに私の申しましたところの水産庁粛正、これを同時にやるということを、満場一致の御決議を願つておきたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 石原圓吉

    石原委員長 それでは満場一致の決議があつたものと認めます。
  115. 川村善八郎

    川村委員 紀伊水道中心とした漁業法の一部改正について、院の内外水産庁その他あらゆる関係部面におきまして、一大汚点を残したことは、まことに遺憾と存ずるのであります。大体皆さんの御意見で、もうすべてが盡きておるようでありますが、この紀伊水道の問題で本日まだ時間があるといえども、すでに参議院は握りつぶしになつたと言つてよいくらいになつております。この問題を挑戰的にやつたかどうかはわかりませんけれども、結局有明海の問題を参議院が議決いたしまして、本院に回付しておるのであります。この問題について法的に私が鮫島法制部長にお伺いしたいのでありますが、昨日も大体伺いましたが、なおこの席で詳細に御説明願いたいことは、われわれはこれをもし継続審議にするということに相成りました場合に、こちらがそれを決議した場合、いわゆるのんだ場合にはそれは問題はないでしようけれども、継続審議することに相なつて、第八回の臨時国会にこれを延ばしたということになつて衆議院が原案のまま決定された時分に、それは法制的にいわゆる法律として定まることができるかどうかということが一つ。  それからもし継続審議にいたしまして、これにプラスとして瀬戸内海の問題いわゆる紀伊水道の問題を取上げて修正をした。つまり紀伊水道及び有明海というふうに法律改正した場合に、これがいかなる法的に効力があるか。いわゆる参議院との関係であります。
  116. 鮫島眞男

    ○鮫島法制局第三部長 ただいまの川村委員の御質問に対してお答えいたします。  第一号は、本委員会におきまして、ただいま議題になつております漁業法及び水産庁設置法改正案につきまして、継続審査した場合に、次の国会においてどうなるかということでございますが、これは次の国会におきましては、歴史的に申しますと参議院提出であるというその事実そのものは間違いないのでございますが、ただ法律的な効果から申し上げますと、参議院の今国会における意思は次の国会までは継続しないということに相なりますので、次の国会におきましては、あたかも参議院におきましてそういう法律案提案されたのと同じ取扱いを受けることになる、そういうふうに考えております。従いまして、その法律案をそのまま可決される、あるいは修正される、そのいずれの場合におきましても、あたかも衆議院提出の法律案と同様に取扱いますので、それをさらに参議院に送付して、参議院審議してもらう、こういうことになろうかと思います。  それから第二の点につきましては、これはただいまおつしやいました通りになるのでありまして、それにいかなる御修正をお加えになりましても、本委員会の自由でございまして、その点につきましては法律上は何らの障害になるようなことは全然ございません。
  117. 川村善八郎

    川村委員 それでは結局衆議院通過した場合も参議院通過しなければ法律としては制定、改正ができない、こういう結論に考えていいのであるかどうか。
  118. 鮫島眞男

    ○鮫島法制局第三部長 ただいまお尋ねの通りでございまして、先ほど申しましたように、衆議院において提案されたのと同じ取扱いを受けますので、衆議院が来国会におきましてそれがそのまま可決なり、あるいは修正いたしますと、それをもう一ぺん参議院に送付しまして、参議院はそれを議題にいたしましてそれをやる。結局今川村委員のおつしやつた通りでございます。
  119. 川村善八郎

    川村委員 ただいま紀伊水道の問題と有明海の問題について、今後の衆議院としての取扱い、法的根拠に関する問題は、鮫島部長からよく説明されてわかつたのであります。そこで有明海の問題を申し上げますが、私は午前中の委員会におきまして、参議院から回付になつ有明海中心としての漁業法の一部改正に対しては、のむか、否決するかというこの二点でなければならない。われわれはこれを継続審議にして、借金を背負うということはできないという、私の個人の意見を申し上げておつたのでありまするが、私がここに出席しないうちに、すでに本委員会では継続審議にするということに決定したそうでありますから、いかんとも私はいたし方ないのでありますが、そこで委員長に申し上げますが、委員長は昨日の懇談会においても、自分はこれを否決するんだという決意を持つてつたにもかかわらず、本日どういう風まわしか、継続審議することになつたか、もちろん委員会にはかつて決定したことであるから、委員会は多数決できめたことと存じますが、そこで問題となることは、今鮫島法制局第三部長がお説明されたことによると、われわれだけの今度は責任になります。やはり衆議院水産常任委員会責任と相なるのであります。昨日の懇談会において、有明海の問題とプラスして、瀬戸内海紀伊水道の問題を取上げて、ぜひ第八臨時国会においてわれわれの所信を通すという意気込みがあつたのでありまするが、もしこれを有明海の問題にプラスして紀伊水道の問題を織り込んで漁業法を一部改正した場合に、本委員会はむろん通るでしはう。あるいは衆議院も通るでしよう。がしかし、また尊び参議院に回付した場合において、参議院がこれを握りつぶすとか、否決をした場合に、三分の二以上の議決がなければ、やはり否決になつたものと同様に相なるのであります。もしそうなるというと、いわゆるわれわれの借金になるのであります。私は借金を負いたくありません。でありますから、私だけの意見を申しますと、継続審議するということは不賛成であります。明らかに自分の意思を表示しておきます。そこで委員長に注文があります。この借金をみずから委員長は背負つてつております。委員長はきようだけの命ともがなで、もうおやめにならなければなりません。委員長はたびたび責任を忌避したようなことがあつたのであります。そこで委員長は、午前中にも私は速記をとらないで、あなたにきよう一日であるから、りつぱに責任を取つてもらいたいと苦言を呈しておきました。どうか委員長は、この問題は責任を持つて委員長——どなたがなられるか発表はまだないのでありますが、新委員長に必ずこの問題を、われわれの借金を済まさせるように、責任を負つてもらわれんことを、委員長から特にお約束をしていただきたいのでございます。そこでどうか本会議が始まるというとはつきりわかりますから、よく御相談をしてその結果を私に御返答願いたいのであります。そこで責任を負わないという委員長であるならば、私はこの際断固として商うつもりであります。第八回の臨時国会には闘う。つまり委員会借金背負つたのである。私は不賛成であつたけれども、委員会の多数の議決において決定をした以上は、いまさらとやかく言いませんけれども、責任を持つて現在の石原委員長解決をつけるという固い所信を持つて決定したことと私は思いますから、あなたの時代に背負つた借金は、必ずあなたが次の委員長責任を負わして、借金をめでたく返済して、田淵君の問題も、党内問題も、衆議院水産常任委員会とさらに水産庁のこうしたようないろいろないきさつも、めでたく一掃するように御努力あらんことを、お願いいたすと同時に、どうか相談をしてその責任を取るかどうかということを、私に御返答願いたいのであります。
  120. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと川村君の御発言は私のふに落ちぬ点があるのでありますが、昨晩懇談的に話したときは、私はやはり継続審議するという意見であつたので、決してそのときに否決する意見は申しておりません。断じており、ません。
  121. 川村善八郎

    川村委員 そうれ見ろ責任のがれだ。
  122. 石原圓吉

    石原委員長 断じて責任のがれではありません。
  123. 川村善八郎

    川村委員 あなたがあくまで責任をのがれるなら追究してやる。
  124. 松田鐵藏

    松田委員 川村委員発言に対して、委員長のただいまの御発言がありましたが、それは委員長一人のみならず、私も懇談会のとき申し上げたが、この田淵君の除名問題にからんで、不省私も永田議員も行動をともにするという確約によつて、われわれはその決心を持つておりますと同時に、この問題も必ずや成果がわれわれは上るものと確信しておるものでありまして、責任委員長のみならず、私どもも、この問題に対する責任は当然取つて、円満に川村委員の言われるように、それこそめでたく解決することは、確信を持つておるものでありまして、その意味合いが私も聞いておつてわからないのでありますが、その点もう少し詳しく承りたいと思います。
  125. 川村善八郎

    川村委員 もちろん懇談会におきましては、最後松田君からの発言があつて委員長の意思が翻つたのであります。だが初めは不届きであるという言辞を弄して発言をして、これを握りつぶすと、こういうことをあなたがおつしやられた。ところが松田君が発言をして、私はそれとは違う。われわれは田淵君の問題については、党の内外にいろいろな了解を得て大体承してくれた。であるから田淵君を生かすも殺すもわれわれの責任なることである。というのは、この問題をぜひ継続審議にして、この問題は第八回臨時国会において、初めて円満に解決がつくのであるから、われわれはどこまでも継続審議にしたいということに多数の意見があつたのであつて、初めはあなたは握りつぶしをするということであつたことは事実であります。あなたはお年寄りであるから忘れたかもしれんけれども、発言のときにはそうであつた。それに松田君が反対の意思の表示をして、皆さんがまとまつた。そこできようも多数の意見でまとまつたのであるから、それは私はいい。何もそれを責めるのではありません。ただ委員長は新委員長に向つて、このことをぜひ実現をする。いかなる方策をとつて党内もまとめ、参議院党内もまとめ、水産庁とわれわれとの間もまとめて、これを円満に解決することこそ、これが台風一過で、皆さんがお喜びになるのではなかろうか。こういう点から、どうか旧委員長——あなたはもうすでにきよう一日でありますから、新委員長にそれを引継ぎ、ぜひ責任を持つてもらうように、あなたがどこまでも努力せられたい。その結果よいとか悪いとかいうことを、少くも私に御返答を願いたいというのであります。私はどこまでも反対の意思は表示しておるけれども、こいねがわくば、正々堂々と問題を解決して、皆さんが笑い顔で、仲よくなつて、手をつないでいただきたい。私はそういうことを申し上げておるのでありまして、決して反対せんがために反対しておるのではありませんから、御了承願いたい。
  126. 石原圓吉

    石原委員長 よくわかりました。後任委員長に十分この決議の趣旨を申し伝え、そうしてその実現を期すべく希望を述べますから、さよう御承知を願います。  それでは休憩いたします。    午後七時二十二分休憩   —————————————    〔休憩後は開会に至らなかつた。〕