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1950-04-20 第7回国会 衆議院 水産委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十日(木曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       玉置 信一君    冨永格五郎君       福田 喜東君    永田  節君       水野彦治郎君  委員外の出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁生産部         加工水産課長) 水野  榮君         農 林 技 官         (水産庁生産部         沿岸漁業課長) 志道 吉次君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 齋藤 一郎君 四月十七日  委員玉置信一君、永田節君及び松田鐵藏君辞任  につき、その補欠として水田三喜男君、田中萬  逸君及び井上知治君が議長の指名で委員に選任  された。 同月十八日  委員井上知治君、田中萬逸君及び水田三喜男君  辞任につき、その補欠として松田鐵藏君、永田  節君及び玉置信一君が議長の指名で委員に選任  された。 同月十九日  委員田渕光一君及び岡田春夫君辞任につき、そ  の補欠として牧野寛索君及び中原健次君が議長  の指名で委員に選任された。 同月二十日  委員牧野寛索君辞任につき、その補欠として田  淵光一君が議長の指名で委員に選任された。 同日  松田鐵藏君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 四月十七日  霞ヶ浦湖畔に淡水区水産研究所設置の請願(橋  本登美三郎君外二名紹介)(第二四八九号)  頓別漁港施設拡充に関する請願(佐々木秀世君  紹介)(第二五六〇号)  射撃演習による九十九里沿岸漁民等窮状打開  に関する請願(小高熹郎君紹介)(第二六一四  号) 同月十九日  須江漁港修築費国庫補助の請願(世耕弘一君紹  介)(第二六七八号)  波崎漁港修築費国庫補助の請願(橋本登美三郎  君外二名紹介)(第二六七九号)  九十九里浜沿岸漁業遠洋漁業転換資金融資に  関する請願(田中豊君外一名紹介)(第二六八  〇号)  漁船保險制度改善に関する請願(夏堀源三郎君  紹介)(第二六八一号)  同(高木松吉君紹介)(第二六八二号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長補欠選任に関する件  漁船並びに水産資材に関する件   請願  一 滞貨寒天買上げに関する請願(小川平二君    紹介)(第九号)  二 日本海区研究所の位置を兵庫県に変更の請    願(佐々木盛雄君紹介)(第一五号)  三 かれいの統制撤廃に関する請願(佐々木盛    雄君紹介)(第一六号)  四 対馬海域漁区拡張の請願(西村久之君外    六名紹介)(第二二号)  五 沖泊部落接收に伴い沖泊漁港修築に関する    請願(山本利壽君紹介)(第六七号)  六 伊勢湾内におけるばつち網使用禁止に関す    る請願外二十三件(石原圓吉君紹介)(第    一一二号)  七 魚族資源維持培養に関する請願(小高熹    郎君紹介)(第一八四号)  八 漁業用資材価格差補給金存続の請願(小    高熹郎君紹介)(第一八五号)  九 漁業金融に関する請願(小高熹郎君紹介)    (第一八六号) 一〇 漁船法並びに漁船船員法制定に関する請願    (小高熹郎君紹介)(第一八八号) 一一 旋網漁業許可方針確立に関する請願(小高    熹郎君紹介)(第一八九号) 一二 にしん、さばの公定価格改訂に関する請願    (田口長治郎君紹介)(第一九〇号) 一三 白糠漁港築設の請願(伊藤郷一君紹介)(    第一九二号) 一四 すけそうたら漁場慣行專用漁業権に関する    請願(風間啓吉君紹介)(第二一二号) 一五 沖端漁港施設拡充の請願(甲木保君外一名    紹介)(第二四七号) 一六 海部郡下の区画漁業権農業協同組合に下    付反対の請願(江崎真澄君紹介)(第二八    七号) 一七 江口漁港修築費国庫補助の請願(床次徳君    紹介)(第二九七号) 一八 無許可トロール船取締強化に関する請願    (井之口政雄君外一名紹介)(第三四五    号) 一九 初山別村豊岬に漁港築設の請願(玉置信一    君紹介)(第四四七号) 二〇 増毛漁港拡張工事促進の請願(玉置信一君    外一名紹介)(第四四九号) 二一 高浜漁港修築の請願(原田雪松君外一名紹    介)(第六四〇号) 二二 鮮魚の統制撤廃等に関する請願(小高熹郎    君紹介)(第七二六号) 二三 大江漁港築設の請願(原田雪松君外三名紹    介)(第八一八号) 二四 香深村に北方新魚田開発策源地としての諸    施設実現の請願(玉置信一君外一名紹介)    (第八三五号) 二五 底びき網漁業許可に関する請願(塩田賀四    郎君紹介)(第八七九号) 二六 日本海区水産研究所の位置を七尾市から兵    庫県に変更の請願(佐々木盛雄君紹介)(    第九三四号) 二七 北洋漁業再開に関する請願外一件(山口武    秀君外三名紹介)(第九八〇号) 二八 岩手県の水産用燃油割当量増加に関する請    願(鈴木善幸君紹介)(第九九一号) 二九 水産業協同組合法の一部改正に関する請願    (鈴木善幸君紹介)(第一一六九号) 三〇 漁業用燃油の増配に関する請願(鈴木善幸    君紹介)(第一一七〇号) 三一 尾札部漁港拡張工事施行の請願(川村善八    郎君紹介)(第一二〇〇号) 三二 伊浜船だまり築設工事費国庫補助の請願(    小松勇次君紹介)(第一二〇七号) 三三 為石に避難港築設の請願(岡延右エ門君外    五名紹介)(第一三二八号) 三四 大津漁港修築の請願(高倉定助君紹介)(    第一五二一号) 三五 北洋漁業再開に関する請願(井之口政雄君    紹介)(第一五六一号) 三六 釜石漁港修築工事促進の請願(鈴木善幸君    紹介)(第一六五七号) 三七 田老漁港修築の請願(鈴木善幸君紹介)(    第一六五八号) 三八 岩手県下の漁港災害復旧工事促進に関する    請願(鈴木善幸君紹    介)(第一六五九号) 三九 青森漁港修築工事促進の請願(山崎岩男君    紹介)(第一七四九号) 四〇 漁船保險制度改善に関する請願(坂本實君    紹介)(第一七九〇号) 四一 同(志田義信君紹介)(第一七九一号) 四二 垣生村漁港修築工事費国庫補助の請願(小    西英雄君外一名紹介)(第一七九三号) 四三 船泊漁港拡張工事施行の請願(玉置信一君    外一名紹介)(第一七九六号) 四四 大川河口帆之港修築の請願(石原登君外一    名紹介)(第一九三二号) 四五 漁船保險制度改善に関する請願(冨永格五    郎君外二名紹介)(第一九四二号) 四六 安宅新町附近漁場の旧海軍施設障害物除    去に関する請願(坂田英一君外一名紹介)    (第一九七〇号) 四七 高浜漁港に防波堤築設の請願(田口長治郎    君紹介)(第二〇一九号) 四八 久慈漁港修築促進に関する請願(塚原俊郎    君紹介)(第二〇二三号) 四九 漁船保險制度改善に関する請願(冨永格五    郎君外二名紹介)(第二〇四五号) 五〇 同(坂本實君紹介)(第二〇四六号) 五一 引揚者等新規漁業者に対する漁網資材配給    割当増加に関する請願(甲木保君外二名紹    介)(第二〇七二号) 五二 兒島湾淡水化に伴う漁業上の損失補償に関    する請願(橋本龍伍君外五名紹介)(第二    一一五号) 五三 九十九里浜太東岬に漁港築設の請願(田中    豊君紹介)(第二一三四号) 五四 漁船保險制度改善に関する請願(林讓治君    紹介)(第二二七八号) 五五 小伊津漁港修築の請願(大橋武夫君紹介)    (第二二九九号) 五六 椴法華村に避難港築設の請願(冨永格五郎    君外二名紹介)(第二三〇二号) 五七 漁船保險制度改善に関する請願(林好次君    紹介)(第二三一二号) 五八 磯浜海岸船だまり災害復旧工事施行の請願    (庄司一郎君紹介)(第二三五〇号) 五九 漁船保險制度改善に関する請願(内藤友明    君紹介)(第二四〇五号) 六〇 富岡漁港築設に関する請願(今泉貞雄君外    一名紹介)(第二四二四号) 六一 香川県下漁業者漁場転換対策に関する請    願(玉置實君紹介)(第二四六二号) 六二 霞ヶ浦湖畔に淡水区水産研究所設置の請願    (橋本登美三郎君外二名紹介)(第二四八    九号) 六三 頓別漁港施設拡充に関する請願(佐々木秀    世君紹介)(第二五六〇号) 六四 射撃演習による九十九里沿岸漁民等の窮状    打開に関する請願(小高熹郎君紹介)(第    二六一四号)   陳情書  一 有明海区に漁業調整事務局設置陳情書外    一件(    第五五号)  二 鮮魚並びに加工水産物出荷割当に関する    陳情書    (第七三号)  三 長崎県に対する漁業資材割当基準是正に関    する陳情書    (第七六号)  四 水産業協同組合法に関する陳情書    (第七七号)  五 紀伊水道における瀬戸内海境界線変更反対    の陳情書    (第一〇五号)  六 海そう工業振興に関する陳情書    (第二〇八号)  七 国立水産研究所を南九州に設置の陳情書    (第二一七号)  八 漁区拡張に関する陳情書    (第二二二号)  九 河川漁業に対する共同漁業権付與陳情書    (第二四一号) 一〇 水産金庫設置陳情書    (第二六一号) 一一 水産業協同組合法等改正陳情書    (第二六二    号) 一二 さばきん着網漁業の許可に関する陳情書    (第三六    六号) 一三 日本海区水産研究所を七尾市に設置の陳情    書(第三    八四号) 一四 漁船の機関士及び無線電話手養成機関設    置の陳情書    (第五二三号) 一五 さばきん着網漁業の許可に関する陳情書    (第五三一号) 一六 機船底びき網漁船に対し重油増配陳情書    (第五七八号) 一七 兒島湾の淡水化に伴う漁業対策に関する陳    情書    (第五八二号) 一八 漁村金融方策確立等に関する陳情書    (第五八五号) 一九 水産業協同組合法中改正の陳情書    (第五八六号) 二〇 二名村漁港改修に関する陳情書    (第五八七号) 二一 底びき漁業の整理復元と漁区の調整等に関    する陳情書    (第五八八    号) 二二 垣生村に船だまり設置の陳情書    (第六二五号) 二三 稚内市の漁港国営工事再開陳情書    (第六六二号) 二四 水産業協同組合法中改正の陳情書    (第六八〇    号) 二五 同    (第六八三号)     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  議題に入ります前に、委員長より一言申し上げます。專門員小安正三君が先般專門員を辞職せられ、その後任として杉浦保吉君が、去る八日付にて專門員に就任せられました。杉浦君を御紹介いたします。
  3. 杉浦保吉

    杉浦專門員 私がただいま委員長紹介を得ました杉浦であります。一向お役に立つかどうかわかりませんが、十分御指導をお願いしたいと存じます。簡単ながら一言御あいさつ申し上げます。
  4. 石原圓吉

    石原委員長 お諮りいたします。去る十七日に理事松田鐵藏君が委員辞任いたされましたので、理事が一名欠員となつております。この際その補欠選挙を行いたいと思いますが、投票の手続を省略し、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めます。それでは、去る十八日松田鐵藏君が再び委員選任されましたので、同君を理事に御指名いたします。  次に、去る十日に中原健次君、十二日に長谷川四郎君、十七日に玉置信一君、永田節君及び松田鐵藏君、また昨十九日に田渕光一君が委員辞任いたされましたが、おのおのすでに再び水産委員となられましたので、この際これらの方々をそれぞれ従来つかれていた小委員並びに小委員長補欠選任いいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めます。よつて水産金融並びに漁業災害補償に関する小委員田渕光一君、玉置信一君、松田鐵藏君、長谷川四郎君及び中原健次君を、漁業制度に関する小委員田渕光一君、玉置信一君、永田節君及び松田鐵藏君を、漁港に関する小委員田渕光一君、玉置信一君、松田鐵藏君及び中原健次君を、水産物集荷配給並びに水産貿易に関する小委員田渕光一君、玉置信一君、永田節君、松田鐵藏君及び長谷川四郎君を、漁船並びに水産資材に関する小委員田渕光一君、玉置信一君及び松田鐵藏君を、荒廃漁場復旧に関する小委員には田渕光一君、永田節君及び松田鐵藏君を、しかして漁船並びに水産資材に関する小委員長松田鐵蔵君を補欠選任いたすことに決します。     —————————————
  7. 石原圓吉

    石原委員長 この場合松田委員より発言を求められております。これを許します。松田鐵藏君。
  8. 松田鐵藏

    松田委員 漁船法案につきまして、この前の委員会にも報告いたしましたが、現在までの経過を申し上げてみたいと存じます。  前の委員会に申し述べたるがごとく、自由党幹事長佐藤榮作政務調査会長益谷大臣政調会会長橋本龍伍国会対策委員長周東英雄運輸常任委員長稻田直道、それから水産常任委員長である石原圓吉、この六名の会合によりまして、おのおの漁船法了解事項をきめたのであります。それは、第三條及び第八條は原案通りにすることとし、第二十七條は削除をすることにし、右の通り了解し、本法案については、火急に連合軍司令部了解を得ることに盡力するという覚書をとつて署名をしたのであります。  ところで昨日になりまして、国会対策委員会といたしまして、この法案に対する水産常任委員運輸委員との完全な打合会をしようということになりまして、昨日お集まりを願つたのでありまして、漁船法案決定事項昭和二十五年四月十九日午前十一時三十分、自由党国会対策委員会主催水産常任委員会運輸常任委員会合同協議会において、国会対策委員長周東英雄以下委員数名、水産常任委員長石原圓吉外理事数名、運輸常任委員長稻田直道外理事数名の出席の上で、漁船法は第二十七條を削除するほか、原案通りに、関係方面了解がつき次第水産常任委員会に議員提出することに意見が一致した、かようなことによりまして、国会対策委員会において、この問題は完全に妥結したものでありまして、この点を御報告申し上げたいと存じます。しかして今日になりまして、これを英訳いたしまして、各関係者署名をもらつておるのであります。明日幹事長及び政調会長水産常任委員会委員長外数名をもつて関係方面に参りまして、了解を願うことにしようと存ずるものでありまして、この点御報告申し上げておきます。     —————————————
  9. 石原圓吉

    石原委員長 これより本日の日程請願審査に入ります。政府より水産庁漁政部長松任谷健太郎君、沿岸漁業課長志道吉次君、加工水産課長水野榮君が出席であります。紹介議員の御都合がありますので、まず日程第二八ないし三〇及び三六ないし三八号を一括して議題に供します。紹介議員説明を求めます。鈴木善幸君。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 請願第九九一号、岩手県の水産用燃油割当量増加に関する請願につきまして、紹介議員として請願の趣旨を簡單に御説明申し上げます。本請願要旨は、今般農林省より、水産用石油製品の取引は、石油配給規則に基く割当公文書によるべきものであり、過去においてこの公文書によらず石油販売業者から前借りした数量は、今後の割当数量中からでき得る限りすみやかに返済するよう指示があつた。しかし業者がこれを実施することになれば、漁船は休業し、漁業経営生産に重大な影響を與えるから、寛大な措置燃油増加配給方を要望するというのであります。  次に請願第一一六九号、水産業協同組合法の一部改正に関する請願につきまして、請願要旨簡單に御説明申し上げます。本請願要旨は、水産業協同組合法第八十九條にはり、水産業協同組合全国連合会を結成することが許されないが、同協同組合の円滑な発展をはかるためには、より高次の連合組織を持つ必要がある。ついては、少くとも指導、教育、連絡、情報等事業内容とする全国連合会だけでも法的に許容せられるよう、関係法令改正等所要措置を講ぜられたいというのであります。  次に請願第一一七〇号、漁業用燃油増配に関する請願につきまして、請願要旨簡單に申し上げます。本請願要旨は、近年における漁船馬力総数増加と、漁業用燃油配給量とは不均衡を来している上に、沿岸漁業における漁況の著しい変化によつて、予想以上航走しなければならない場合が多く、ために漁業用燃料必要量に著しく不足を来している。かくては漁業経営を困難に陷らしめ、ひいては国民生活上唯一の動物性蛋白源である魚類確保に、重大な影響を来すことになる。ついては、漁業用燃油増配されたいというのであります。  次に請願一六五七号、釜石漁港修築工事促進請願につきまして、請願要旨簡單に御説明申し上げます。本請願要旨は、過般のアイオン台風により、釜石市の釜石漁港は、甚大な被害を受けたので、近年これが復旧工事を施行し、被害箇所十箇所中六箇所の復旧を見たが、漁民が要望する施設から見るとまつたく微々たるものであり、ために毎年周期的に来る台風や水害の都度、破船、沈没、漁具の流失等重大な損害をこうむつている。ついては天與の好漁場を有する同漁港重要性を考慮し、修築工事を施行されたいというのであります。  次に請願一六五八号、田老漁港修築請願につきまして、その請願要旨簡單に御説明申し上げます。本請願要旨は、岩手県下閉伊郡田老漁港は、明治二十九年と昭和八年の津波により、漁港原型が破壊されて以来、外来船の碇泊はもちろん、地元動力船も減少し、漁港として重大な危機に直面している。しかし同湾口を主要漁場とするまぐろ、するめいかつり漁業沿岸随一漁場であり、もし同港防波堤繋船場とを築設すれば、これら漁業同港を根拠地として、生産は幾倍加するは必定である。ついては、同漁港の築設工事を施行されたいというのであります。  次に請願一六五九号、岩手県下の漁港災害復旧工事促進に関する請願につきまして、請願要旨簡單に御説明申し上げます。本請願要旨は、積年の天災によつて、極度に脆弱化している、岩手下被害漁港は、その復旧に急を要する実情にかんがみ、この際特別にこの復旧工事費を全額計上し、昭和二十五年度において、工事を完了されたいというのであります。  以上六件の請願は、いずれも地元民の熱烈な総意に基くお願いでありまして、何とぞ事柄の重要性にかんがみまして、本委員会において採択の上、すみやかに適切なる措置を講ぜられんことをこの際お願いする次第であります。
  11. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま紹介議員鈴木善幸君より説明のありました各請願に対して、政府の所見を伺います。
  12. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 ただいまの順序に従いまして申し上げたいと思います。  第一番の岩手県の水産用燃油割当量増加に関する請願、それから三番目の全国漁業協同組合連合会会長田中さんからの漁業用燃油増配に関する請願の二件を一括いたしまして申し上げたいと思います。  水産用石油需要量に対します割当量が、戰前に比べまして非常に少いというようなために、全国各地漁業に、つきまして、絶対量におきまして不足を生じておるというような現状でもございますし、ために漁業経営並びに生産増強といつたような面からも、支障を来しておるということも見られますので、水産庁といたしましては、目下水産用燃油増配につきまして、連合軍司令部天然資源局並び関係機関に対しまして、その増配申請をいたしておるのでございまして、増配実現といつたようなことにつきまして、鋭意努力をいたしておる次第でございます。  それから第二番目の、協同組合連合会の結成上の制限撤廃に関する請願につきましては、現在の一般経済情勢から申しましても、漁業協同組合発達過程から申しましても、制限緩和をはかるという必要は認めておるのでございまして、その実現につきましては、諸般の情勢等を勘案いたしまして、善処して参りたいと存じておるのでございます。  それから第四番目の釜石漁港修築工事促進請願につきましては、釜石漁港三陸地方における重要な漁港であるのでございますが、それにつきまして、整備拡充をはかるということは、ぜひ必要であるというふうに存ずるのでございます。従いまして、県から具体的な計画を立てまして、補助申請があつた場合につきましては、愼重に検討の上、国庫財政の許す限り、昭和三十六年度以降におきまして実施できるように、考慮いたしたいと存じておるのでございます。  五番目の岩手田老漁港修築の件につきましては、国家といたしましても、水産業発展上、ぜひ必要であると認められますので、昭和二十五年度から実施することにすでに決定を見たのでございまして、昭和二十五年度は工事費四百三十万円というものに対しまして、国庫補助金百七十二万円の金額を交付する予定になつておるのでございます。  それから六番目の、岩手県下の漁港災害復旧工事促進に関する請願につきましては、漁港災害復旧工事に対する昭和二十五年度の国庫補助金は、国庫財政都合によりまして、昭和二十三年度災害残工事の五〇%、昭和二十四年度災害が二五%といつたような程度を復旧することになつておるのでございます。これはひとり岩手県のみならず、全国同様の情勢でございまして、残工事昭和二十六年度以降において復旧することになるのでございまするが、なるべく早く復旧が完了いたしまするよう、今後予算的措置を講ずるように努力して参りたいと存ずるのでございます。     —————————————
  13. 石原圓吉

    石原委員長 次に日程第四五、四九及び五六を一括議題に供します。紹介議員説明を求めます。冨永格五郎君。
  14. 冨永格五郎

    冨永委員 一九四二号と二〇四五号は、ともに漁船保險制度改善に関する請願でございまして、請願者は前の分は函館市元町一番地渡島漁船保險組合長原田英一氏であり、後者は北海道岩内岩内南後志漁船保險組合長谷川岩松氏であります。紹介議員は私と川村君、田中君でございますが、一応私から御説明申し上げておきます。この二件は内容はほとんど同一でありますから、一応一括して御説明申し上げたいと思います。  本請願要旨は、漁船保險法による漁船保險制度は全国的に普及いたしましたが、その実績は所期の成果を納めておらないのでありまして、漁船保險組合收支均衡を失つているから、同制度の新運営方法として、左記の施策を講ぜられたいというのであります。  まず第一に、漁船保險特別会計一般会計より繰入金を支出すること。第二は、政府漁船保險組合を通ずる漁業金融制度を確立して組合員に貸付の道を開くこと。第三は、漁船保險法漁船保險運営会の規定を設けること。第四は、漁船保險の附加再保險料廃止並びに漁船保險組合事務費国庫負担とすること。第五は、漁船遭難救助施設を充実すること等というのにあるのであります。水産委員会には、この漁船保險制度改善に関する請願は、非常に各地からたくさん出ておるのでありますが、一応私どもの方の二件を御説明申し上げた次第であります。  なお二三〇二号、椴法華村に避難港築設の請願でございますが、請願者は北海道亀田郡椴法華村長、松坂幹太郎氏外三十六名でありまして、これまた紹介議員川村君、田中君と私でありますが、一応私から御説明申し上げておきます。  本請願要旨は、概法華村は北海道渡島半島の東南に位しまして、わが国唯一の豊庫惠山漁場を控えておるのでございます。しかるに同港の船入澗は、昭和十五年の台風以後は利用価値ほとんどなく、一度荒天ともなれば、沖合漁船は函館あるいは室蘭港に避難しているありさまなのであります。ついては現在の同港の船入澗を復旧して、さらに延長百十四メートルの防波堤と、百三十メートルの防砂堤の増設並びに埋立地を実施されたいというのでありまして、椴法華村に避難港築設の請願はきわめて緊要なものとされているのでございます。  以上、紹介議員として説明をいたしましたが、当局の御意見をお願いいたします。
  15. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 第一番の請願一九四二号及び二〇四五号の漁船保險制度改善に関する件を一括して申し上げます。  請願の五項目にわたる事項につきまして、その順序に申し上げたいと思いますが、第一番の漁船保險特別会計一般会計より繰入金を支出されたいという点につきましては、水産庁といたしましても必要であると存じておるのでございます。現在漁船の大部分が小型でございまして、しかも地方に散在しておるといつたような関係から申しまして、企業的に採算困難な性質を持つておるのでございます。従いまして、現在のように保險制度につきまして、独立採算制というものをとりますると、漁業者に非常に過重の負担を與えるということになりまする関係で、どうしても一般会計から漁船保險特別会計に繰入金をするということが、必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。戰前、戰後を通じまして、いろいろと保險の取扱者の更迭でありまするとか、あるいはインフレの関係でありまするとかといつたようなこと、あるいは漁船の素質の低下といつたようなことのために、保險金の物価高になつてからの支拂いでありまするとか、あるいは事故の増大でありまするとかいうような原因が重なりまして、現在漁船保險特別会計の支拂い増加といつたような事態を来しまして、そのために五千万円程度の借入金をしておるのでございます。この五千万円の借入金を、今後保險加入者の負担に帰せしめるということは、保險加入者の負担の程度から考えまして、まことに過重の負担ではなかろうかというふうにも考えておる次第でございます。水産庁といたしましては、漁業経営の堅実を期する一面、漁船保險特別会計に対する一般会計からの繰入れということにつきまして、努力をして参りたい、かように存ずるのでございます。  第二点の漁船保險組合を通ずるところの金融制度の確立という問題でございまするが、これは漁船保險組合におきまして、漁業金融制度を確立して、貸付の道を開くというようなことにつきましては、漁船保險の普及発達上から申しまして、まことにけつこうな考え方であるのではありまするが、一面金融事業という関係になりますると、貸付資金の獲得の問題でありまするとか、あるいは貸付金の回收といつたような点で、いろいろと愼重に考えなければいけない事項がございますので、これがために漁船保險事業そのものに影響を及ぼすということのないように、今後研究を続けて参りたい、かように存ずるのでございます。  それから第三点の漁船保險法に、漁船保險運営委員会の規定を設けられたいということにつきましては、目下その規定を設けるやいなやというような点につきまして、研究をしておるのでございます。実際の問題におきましては、漁船保險法には規定がないのでございまするが、漁船保險業会というものを主体にいたしまして、漁船保險全体にわたつて調査研究をするために、漁船保險研究会というものをつくりまして、今後その研究会によつて、いろいろの調査研究をすることに進めておるのでございます。  それから第四番の漁船保險の附加再保險料廃止並びに漁船保險組合事務費国庫負担とするという問題につきましては、漁船保險の性質から申しまして、希望すべきことであろうと思うのでございます。従いまして、漁船保險事業の堅実化ということを今後努力して参る一面におきまして、かかる措置がとり得るように努力して参りたい、かように存ずるのでございます。  第五番目の漁船遭難救助施設を充実せられたいという事項につきましては、最も必要であると存ずるのであります。現在遭難救助船の補助といつたような、若干の方法が講ぜられておるのでありまするが、それもはなはだ不十分でありまして、この点の拡充強化というようなことにつきましては、研究の上、充実できますように努力して参りたい、かように存ずる次第でございます。  それから請願二三〇二号の、概法華村に避難港を修築施設請願につきましては、概法華村は北海道渡島半島の先端部にございまして、避難港を修築するには適当な地点と認められるのでございます。道庁から具体的な計画を立てられまして、補助申請があつた場合には、愼重検討の上、国庫財政の許す限りにおきまして、二十六年度以降におきまして考慮いたしたい、かように存じておるのでございます。     —————————————
  16. 石原圓吉

    石原委員長 次に日程第三一を議題といたします。紹介議員川村善八郎君。
  17. 川村善八郎

    川村委員 請願番号一二〇〇尾札部漁港拡張工事の施行の請願であります。紹介議員といたしまして、一応御説明申し上げます。  本漁港は概法華漁港と同様、北海道渡島半島の東南にありまする、最も利用をされるところの漁港であります。しかもその附近の魚田は、御承知の通り北海道で優秀な惠山魚田に面しておるところであります。最近惠山魚田を目指して、内地方面より来る数百隻の機船底びき網並びにいかつり漁業等は、その惠山魚田において操業し、しかもこの尾札部漁港を利用しておることが相当多くなつたのであります。従いまして、一応築設した当時の漁港としては、尾札部村は適当な漁港であつたのでありますけれども、最近におきましては、非常に狭隘を感じまして、地元漁民はほとんど利用ができないというような状態であります。内地方面から入りまするところの漁船は、小さくとも四、五十トン、大きければ百二、三十トンといつたような優秀な船ばかりでありますので、地元船はいつも、入り遅れますと、漁港が狭隘であるために入ることができない。また先に入つておりましても、大きな船があとから入つて来まして、衝突をして、実際にそこに入れば危險性がかえつて起きるといつたようなことで、非常に狭隘を感じておるのであります。従いまして、この漁港を拡張することによつて、ひとり地元の漁民ばかりでなく、内地の方面の漁船も惠まれるのでありますから、この際一日も早くこの尾札部港の拡張工事をせられたいというのがこの請願の趣旨であります。  この漁港につきましては、一昨年水産庁の林漁港課長が調査の上、拡張工事をしなければならぬという折紙をつけておるような状態でありますけれども、今日までその築設ができていないということに相なつております。先ほど冨永議員から、概法華漁港をやはり避難港として築設をしてもらいたいということでありましたが、その漁港の約八キロほど西にある漁港でありまして、概法華漁港とあわせて、相当有益に利用される所でありますから、どうか先ほど申し上げましたように、拡張工事の一日も早く実行せられんことをこの際お願いして、請願の趣旨の説明といたす次第であります。
  18. 石原圓吉

    石原委員長 川村紹介の本請願に対する政府の所見を伺います。
  19. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 尾札部漁港拡張につきましては、請願内容にございますように、その必要は十分認めておるのでございまして、具体的な計画につきまして愼重検討の上、国庫財政の許す限りにおきまして、昭和二十六年度以降におきまして実施きでますように、考慮いたしたいと存ずるのでございます。     —————————————
  20. 石原圓吉

    石原委員長 次に、日程第七ないし第一一、第二二、及び第六四を一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。小高熹郎君。
  21. 小高熹郎

    小高委員 請願第一八四号、魚族資源維持培養に関する請願。本請願要旨は、わが国の漁業不振と漁場の荒廃は、戰時戰後を通じての盲目的食糧増産により、その危機を招来したが、その復興再建の基本的要件として、漁民生活の確保をはかるとともに、海産資源の国費による徹底的調査、発表、及び魚族資源維持培養について、法的措置を講ぜられたいというのであります。  次に、請願第一八五、漁業用資材価格差補給金存続請願。本請願要旨は、水産物の価格を現在のまますえ置き、公定価格が維持されることを前提として、燃油、漁網、網糸等輸入資金の価格差補給金を廃止した場合、百パーセント輸入資材に依存している現在の漁業は成立しない。魚価の大幅値上げによつて收支均衡をはかれという説もあるが、消費者大衆にこれ以上の犠牲をしいることは、最近の購買力低下の実状を知る者には不可能なことは明らかであるから、特例をもつて同補給金を存続されたいというのであります。  次に、請願第一八六号、漁業金融に関する請願。本請願要旨は、本年七月八日農林省制定の漁業共済基金制度要綱並びに漁業手形つなぎ融資要綱につき、次の措置を議せられたいというのでありまして、一、この三段制による制度要綱の法制化をはかること、二、共済基金に免税措置を講ずること、三、事務手続の簡素化をはかること、四、漁業金融のための独立の金融機関または特定の金融機関の設置をはかり、漁民側の自主的行動を反映せしめるようにすること、こういうことであります。  次は、請願第一八八号、漁船法並びに漁船船員法制定に関する請願。本請願要旨は、漁船及び漁船乗務員に関する行政は、現行制度上多元的取扱いを受け、水産行政の総合性も全然無視されている現状にかんがみ、新漁業制度と併行し、漁船法並びに漁船船員法をそれぞれ單行法として制定されたいというのであります。  次は、請願第一八九号、旋網漁業許可方針確立に関する請願であります。本請願要旨は、動力つき及び無動力の各種あぐり、及びきんちやく網漁業等につき、次の事項を考慮し、すみやかに許可方針を確立されたいというのでありまして、一、総トン数十五トン以上の漁船を使用する場合は、農林大臣の許可とし、それ以下のものについては、都道府県知事の許可とすること、二、主務大臣の許可にあたつては、漁業調整上可能なる範囲において大海区による繰業区域を認めること、三、資源維持培養及び入会操業秩序の見地から、技術的または科学的検討を加え、海区ごとに許可制限を付すること、こういうことであります。  次に、請願第七二六号、鮮魚統制撤廃等に関する請願。これは、すでに四月一日以来統制が撤廃されたのでありまするが、この請願のうちの一項目として、さんま漁期の解禁期日を一箇月延長されたいという項目がありますので、この点を説明いたしておきます。  次に、請願第二六一四号、射撃演習による九十九里沿岸漁民等窮状打開に関する請願。千葉県九十九里沿岸において、いわしあぐり網漁業を專業とする業者並びに漁船乗組員一同は、ここ数年来打続く不漁により、その窮状は年とともに加わり、現在重大危機に直面いたしておるのであります。昨年以来倒産のうき目に彷徨しておる者、あるいは余儀なく転業する業者も続出する現状でございます。これが打開のために、あらゆる施策を講じつつあるのでありますが、かかる憂うべき状態にある九十九里沿岸業者には、これに加えて、一昨年以来米軍の射撃演習が実施せられ、通常毎月約十五日間は、主要漁撈地区の出漁は、事実上不可能に近い状態なのでございます。本県は他県と比較するとき、その特典性として、九十九里沿岸を初め県下沿岸一帯は、潮流の関係上周年操業いたしておつたのでありますが、以来稼働日数も半減して、業者はもちろん乗組員も、その收入において、完全に経営並びに家計の維持ば破壊されておるのであります。従いまして、このまま看過でき得ざる状況になりまして、昨年以来業者並びに乗組員は、相寄り鳩首協議を重ねたのでありますが、われわれ漁民独自の力によつては、その解決はとうてい不可能なのであります。願わくば、演習期間の短縮をしていただきたいのでありますが、もし都合上そのことができ得ざる場合は、演習による不稼働時間に対して、業者並びに乗組員に国家的補填をして、経営並びに生活の保障を講ぜられ、この窮状打開のため、可及的に当局の格別なる御配慮を願いたく、ここに総意を代表して請願いたしますというのでありまして、本請願は九十九里あぐり網代表者片貝町鈴木五平次君からの請願でございます。
  22. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま小高委員紹介された請願に対し、政府の所見を伺います。
  23. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 一八四号の魚族資源維持培養に関する請願につきましては、水産庁といたしましては、出発以来調査研究部を設けまして、水産資源に関する基礎的な研究の進行並びに資料の整備等につきまして、目下鋭意努力中でございます。一方魚族資源の保護に関しましては、水産資源枯渇防止に関する法律案というものを、国会におきまして御審議を煩わしておるのでございまして、調査研究の面と、資源保護の両方の面におきまして、請願の御趣旨に沿いたい、かように存じておるのであります。  それから請願一八六号の漁業金融に関する件でございますが、四項目にわかれておりますので、二項目ずつにつきまして申し上げたいと思います。  第一は、漁業共済基金、漁業手形、並びにつなぎ融資の三段制による、制度要綱の法制化の件であります。この点につきましては、漁業は地域別並びに業種別に、さらにまた同一業種内におきましても、規模別に危險率が異なつておるのでございます。従いまして、これら千差万別の業態に適応し得るような計数の算定というものが、現在ではできておりませんので、農業共済制度、あるいは漁船保險制度のような、制度化と申しまするか、法制化の問題は、目下のところただちには困難であると思われるのでございます。しかしながら、制度法制化の目的を持ちまして、あるいは定置漁業でありますとか、その他の漁業でありますとか、一つ一つ、いろいろと調査研究をいたしておりまして、それを将来総合いたしまして、法制化をはかつて参りたいというふうに考えておるのでございます。  第二番目の、共済基金に免税措置を講ずるという点でございますが、基金として積み立てました額を、所得税の対象から除外する問題と、基金の利息に対する免税問題という、二つの問題があると思うのでございます。所得税の対象から除外するという問題につきましては、基金が実際幾はくの損失を負担するか、まだ算定ができておりませんので、これを保險金のような損失経費とみなすことが困難であると思われるのでございます。従いまして、現行の税体系からも、免税処置をただちに実施するということはできなかろうと思うのでございます。後者、すなわち基金の利息に対する免税につきましても、免税の理由が明確に説明、確立できておりませんので、現在のところ、この基金に対する免税処置の問題は、数回折衝をいたしたのでございますが、むずかしいということになつておるのでございます。  それから第三番目の、事務手続の簡素化の問題でございまするが、本制度は実施されましてから半年足らずでございまして、実際の運用状況もつまびらかでない部分もございます。なお十分調査し、改善する余地もあり、また必要もあると思うのでございますから、御趣旨に沿いまして、簡素化に努力して参りたい、かように存ずるのでございます。  第四番目の、漁業金融のための独立の金融機関または特定の金融機関の設置をはかつて漁民側の自主的行動を反映せしむるようにするという問題でございまするが、この問題は、長期資金につきましては、他の一般産業を含めまして、興業銀行あるいは勧業銀行、農林並びに商工中央金庫といつたようなものの、見返り資金による増資の引受けでありますとか、あるいは債券発行限度の引上げによります資金の調達問題が、目下検討されつつあるのでございまして、これが具体化もあるいは間近にあると思われますので、水産金融につきましても、この問題の進展とともに考えて参りたい、かように存ずるのであります。なお水産金庫というような金融機関を新設するかどうかということになりますると、相当の準備期間と、相当の運営資金を必要とするという関係もございまして、水産関係だけで多額の資金源を見出たすということになりますると、現在の金融情勢のもとでは、今ただちに実現することが相当困難ではなかろうかと思われるのであります。従いまして、漁業手形の精神である自主性でありますとか、あるいは貯蓄性でありますとかというような線に沿いまして、下から漸次盛り上げて実現いたすというところに、水産金庫の設置の可能性が生じて参るというふうに考えておるのであります。それまで時期が相当かかると思うのでございますが、その間の処置といたしましては、既設金融機関に対する各種の資金処置によりまして、極力金融拘束を打解するよう努めて参りたい、かように存ずるのでございます。  請願一八九号の旋綱漁業許可方針確立に関する件でございますが、旋綱漁業を含む沿岸漁業は、それぞれ相互に密接不可分の関係にありまして、單なる個々の調整では、問題の解決は不可能であろうと思われるのでございます。従いまして、全面的の許可漁業制度改革、それから総合調整といつたような方途の線を通じまして、その一環としまして、旋綱漁業の問題を取上げて参りたい、かように存ずるのであります。これにつきましては、いろいろと愼重に研究をし、審議をいたしまして、時期を見て全面的方策を講じたいと思うのでございますが、とりあえずの処置といたしましては、問題の急激な発生を見つつあります旋網漁業に対しましては、全国的にその実態を統一的に把握いたしまして、一定方針のもとに事態の收拾、調整をはかることを考えておるのでございまして、暫定処理要綱というものを目下立案中でございます。この処理要綱の実施によりまして、とりあえずの処置を講じて参りたいというふうに考えておるのでございます。  請願七二六号の鮮魚統制撤廃等に関する件の中に、さんま適業の解禁日の決定の問題でございまするが、この点につきましては、現在さんまの回遊時期並びに回遊径路等がある程度明かなのでございます。北の地域の漁業者と南下接岸を待つている南の地域の漁業者との間に、漁場の遠近関係によりまする優劣の差もありますし、漁船の大型化によつて、ある程度技術上緩和はされておるというようなことが言える部面もありまするが、解禁日の決定につきましては、漁場の遠近、優劣の差の問題が大きな問題として論ぜられておるのであります。ことに戰後急増いたしました棒受網漁船によりまする資源への影響といつたようなことも、かたがた論ぜられておる場合でもございまするし、資源を保護し、あるいは大型船と小型船との條件の優劣の差を考え、北と南との地域による差を考えて、これをいかに調整して行くか、目下生物学的、社会科学的に、いろいろな見地から試験研究機関と協議の上、二十五年度におきまする漁期が参りまするまでに結論を得るように、鏡意努力をしているのでございます。  請願一八八号の漁船法及び漁船船員法と制定する件につきましては、一般の船舶並びに一般の船員と異りまして、水産業という生産関係に立つておる漁船なりあるいは乗組員を、いかに保護し、あるいは育成して参るかというようなことにつきましては、一般の法律とは違いました特別な法律を必要とするのではないかと考えておるのでございまして、漁船法につきましては、国会におきまして特別に御用意をされるように努力せられ、役所といたしましても、その線に沿つて御協力申し上げておる次第でございます。また漁船船員法の制定につきましては、請願の趣旨に沿つて考究をいたしておる状態でございます。  請願一八五号の価格差補給金存続の件につきましては、これは国家財政方針の関係から申しまして、昨年度末をもつて打切られたのでございます。打切り当時、漁業経営に及ぼす影響といつたようなことからいたしまして、何らかの形によりまして、存続ができまするように努力をいたしたのでございまするが、遺憾ながら打切りに終つたのでございます。従いまして、補給金の打切りによりまして、漁業経営に及ぼす影響というものが減少されますように、金融関係その他の方面につきまして考究いたしまして、何らかの対策を立て、実現に努力したい、かように存じておるのであります。
  24. 志道吉次

    志道説明員 請願二六一四号につきまして御答弁申し上げたいと思うのであります。九十九里地方におきまする射撃演習によります漁民窮状打開ということにつきましては、水産庁といたしましては、まことにむりからぬことと十分了承しておるのでありまして、さきに県御当局からもこの陳情を受けたのであります。それからこれに関連いたしまして、ひとり千葉県のみならず、全国に郷土防衞の趣旨をもちまして、各所に演習地を設けられておることがきわめて多いのであります。これらの地区におきましても、やはり同様な犠牲をその地区における一般漁民が受けておるのであります。その点は私たちの立場からいたしましても、これらの沿岸漁民窮状を、ただその地区たけの沿岸漁民に負わせるということは、まことに矛盾もはなはだしいと思うのでありまして、沿岸漁民のこれらの窮状打開する方策につきましては、むろん司令部にも、その窮状を私たちも漁民にかわつて訴えておるのであります。従つて最近におきまする司令部の考えも、これらに対する十分な資料の提出をしてくれ。これによりましてわれわれとしても十分軍政部の方面にもよくこの窮状を訴えよう、こういうような実情に実は相なつておるのであります。先ほどの請願によりますところの九十九里の問題につきましては、むろん県御当局から必要な万般の資料を出していただきますとともに、私たちの方といたしましても、これに応じて十分なる措置を講じたいというふうな用意も持つておるのであります。なおこれに関連いたしまして、同様の状態にありますところの全国十二、三箇所の地区からも、同じような資料を提出いたしまして、あわせてもつて一つの大きな要望といたしまして、これに対する措置をとりたい、かように存じておりますので、その点は御了承願いたいと思います。
  25. 石原圓吉

    石原委員長 次に日程第一二、三三、四七を議題といたします。紹介議員説明を求めます。田口長治郎君。
  26. 田口長治郎

    ○田口委員 請願一九〇号は、すでに四月一日の統制撤廃によりまして、問題が解決いたしましたから省略いたしまして、請願一三二八為石に避難設置請願の問題でございますが、この為石は熊本県、長崎県、鹿児島県、各県の漁船の非常に輻湊する所でございまして、港湾が非常に惡いために、ときどき遭難船を出すことで県下でも有名でございます。避難港といたしましては、為石から、五、六里離れました脇岬というのがありますけれども、その間距離がありますために、非常に遭難事故をしばしば起しておるような状態でございます。それで好漁場にも惠まれておりますし、それから各県の漁船も輻湊するような場所に、すみやかに避難港を設置して、さようなことがないようにする必要がある。こういう意味におきまして、これが設置の要望を請願しておる次第でございます。  それから請願第二〇一九号、これは長崎県の対馬の東海岸の中央にあります鶏知町に現在防波堤がないために、せつかく非常に優秀な漁場を目の前に控え、各府県の漁船が蝟集しながら、十分な生産を上げることができない、こういうような実情にあるのであります。辺陬な地でもありますし、ぜひ防波堤設置して、前に広がつておる好漁場を遺憾なく利用し、土地の発展を期するとともに、各府県の漁船のために貢献する。こういう意味におきまして、すみやかに防波堤の築造をお願いする、こういうような請願でございます。為石の避難港といい、この鶏知町の漁港設置といい、長崎県の漁場の状態から申しまして、非常に開発を急ぐ問題と思いますから、何とぞこの請願の趣旨を御採択くださいまして、しかるべく御処置くださいますように、紹介議員としてお願いする次第でございます。
  27. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま田口紹介議員説明による各件に対する、政府の所見を伺います。
  28. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 請願一三二八号の為石に避難港築設の件につきましては、為石に漁船避難港を築設するという必要性につきましては、十分認められますので、県から具体的な計画を立てまして、補助申請があつた場合におきましては、愼重検討の上、国庫財政の許す限り、昭和二十六年度以降におきまして実施するように努力いたしたいと思います。  それから請願二〇一九号の高浜漁港防波堤築設の件につきましては、対馬における漁港といたしまして、国庫補助のもとに目下工事実施中の、同島南端にある豆酸漁港昭和二十五年度から着工することに予定しておりますが、北部に一重漁港があるのでありますが、高浜漁港はほぼ中央部に位しておるのでございまして、漁業上から見まして漁港設備の必要性は十分認められるのでございますので、県から具体的な計画を立てまして、補助申請があつた場合には、愼重検討の上、国庫財政の許す限りにおきまして、昭和二十六年度以降において考慮いたしたい、かように存じておるのであります。     —————————————
  29. 石原圓吉

    石原委員長 次に日程第五七を議題にいたします。紹介議員説明を求めます。林好次君。
  30. 林好次

    ○林(好)委員 これは北海道の北見の漁船保險組合理事佐藤銀治郎氏の請願でございます。これは先ほど他の組合からもこの問題が出ておりまして、冨永紹介議員の御説明になりました内容と同じでございますから、保險組合の発展のために、この要望事項をすみやかに実現いたしますようにお願いいたします。答弁は必要ございません。     —————————————
  31. 石原圓吉

    石原委員長 次にお諮りいたします。静岡県の燒津漁港請願につきまして、同町町長初め多数の方々が参つておられます。燒津港はかなり長い間、遅々として振わないような工事の程度でありまして、われわれもこれに対して認識を深め、また水産庁当局も認識を深めていただいて、最善の方法を講ずべきであると思うのであります。この際一応休憩して、直接燒津町町長等の陳情を聞きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 石原圓吉

    石原委員長 それでは休憩いたします。     午後四時二十二分休憩      ————◇—————     午後四時三十五分開議
  33. 石原圓吉

    石原委員長 休憩前に引続き開会いたします。  休憩中静岡県燒津町長清水庄一郎君より、燒津港の急速竣工を希望する意味において熱烈なる発言があつたのであります。それに対して鈴木議員、田口議員、松田鐵藏議員より、これまた熱意ある賛成の意見が発表されたのであります。これに対し、すなわち燒津港に関し政府当局よりその対策について所見を伺いたいと思います。
  34. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 燒津港につきましては、お話にございました通り、現在並びに将来にわたりまして、わが国有数な漁業根拠地であるにもかかわらず、各委員の方々のお話にもありましたような状態にありますので、政府といたしましても、修築工事が一日も早く完成するということを望んでおるのでございまして、本二十五年度においては、工事費三千万円に対しまして千二百万円を補助するという予定をいたしておるのであります。これと併行いたしまして、お話にもございました見返り資金を公共事業費に使うということが、目下経済安定本部を中心にして検討されておりますので、一般港湾と同じような意味におきまして、さらに漁港を全国にわたり約十箇所ほどを取上げまして、その見返り資金により地方費の負担と合せて、全面的に実施ができるような態勢を考究しておるわけであります。その計画が実施に移る場合におきましては、燒津港のごとき漁港につきましては、第一クラスとして取上げて参りたい、かように存じておるのでございます。目下その線に沿いまして、協議折衝を続けておる次第であります。
  35. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま松任谷水産庁漁政部長の御説明は、まことにわれわれの意を得たるものであります。どうかこれが実行について特に、勇敢に御処置あらんことを切に希望いたしておきます。     —————————————
  36. 石原圓吉

    石原委員長 次に日程第六号を議題といたします。本請願は私が紹介いたしたものでありますので、この席よりお許しを得てこれより御説明いたします。伊勢湾内におけるばつち網使用禁止に関する請願外二十三件、文書表番号第一一二号であります。請願要旨は、伊勢湾は魚類の産卵場であり、天然の養殖場と言つてよろしいと思うのであります。同湾内で禁止されている二艘びき底びき網と同様の漁具漁法を行うようなばつち網を使用したため、湾内魚族は減少し、近年著しい不漁となつている。ついては、このような濫獲の漁具は、即時禁止されるようとりはかられたいとい今のが趣旨であります。以上に対して、政府の所見を伺います。
  37. 志道吉次

    志道説明員 この問題につきましては、伊勢湾のみならず、各地にこの漁業が非常に最近頻繁に行われるに至つたのでありまして、ばつち網を使う漁法というのが、資源的にいつて、繁殖の上からまことに考えねばならないというふうに、私たちも考えておるのであります。この問題につきましては、むろんいろいろな方法を講ずる用意を持つておりまするが、当然これは改正漁業法の実施に伴いまする漁業計画の一環といたしまして取上げまして、地方の実情に応じまして取締りを行うのが妥当ではなかろうか、かように存じておるのであります。伊勢湾その他の愛知県下におきますところのばつち網の操業につきまして、いろいろ聞きただしましたところ、いろいろ條件、制限を無視いたしまして操業されておるような状態でありまするので、これにつきましては、もとより操業違反、いわゆる許可漁業権の違反として、一面においては取締りを実施することによつて、この問題も解決し得る一つの道が開ける、かように思つておるのであります。むろんこの点につきましては、県当局並びに海上保安庁、こうした方面の海上の取締りに当りまする関係筋と、緊密な連絡をとつて、この問題の処置に当りたい。かように存じて、過般海上保安庁の方面にも連絡をとつておるのであります。むろん関係府県におきましては、ひとり伊勢湾のみならず、ほかの海区におきますところの県当局に対しましても、同様、同種の制限——あるいは漁具、あるいは漁法につきましての、いろいろ法的な制限について、十分これを顧慮するように、一応訓戒を與えておるような状態でありますので、この点は当局といたしましても十分顧慮いたしまして、制度改正の上に相まつてこの問題を解決したい、かように存じておるわけであります。
  38. 石原圓吉

    石原委員長 これをもちまして紹介議員出席請願は、全部終了いたしたのでありますが、審査の愼重を期するため、その取扱いの決定につきましては、これを次回に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 石原圓吉

    石原委員長 御異議ないようですから、さようとりはからいます。  なお他の各請願及び陳情書は、いずれもこれを延期することにいたしたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なければ、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会