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松任谷説明員 一八四号の
魚族資源の
維持培養に関する
請願につきましては、
水産庁といたしましては、出発以来調査研究部を設けまして、水産資源に関する基礎的な研究の進行並びに資料の整備等につきまして、目下鋭意努力中でございます。一方
魚族資源の保護に関しましては、水産資源枯渇防止に関する法律案というものを、国会におきまして御審議を煩わしておるのでございまして、調査研究の面と、資源保護の両方の面におきまして、
請願の御趣旨に沿いたい、かように存じておるのであります。
それから
請願一八六号の
漁業金融に関する件でございますが、四項目にわかれておりますので、二項目ずつにつきまして申し上げたいと思います。
第一は、
漁業共済基金、
漁業手形、並びにつなぎ融資の三段制による、
制度要綱の法制化の件であります。この点につきましては、
漁業は地域別並びに業種別に、さらにまた同一業種内におきましても、規模別に危險率が異な
つておるのでございます。従いまして、これら千差万別の業態に適応し得るような計数の算定というものが、現在ではできておりませんので、農業共済
制度、あるいは
漁船保險制度のような、
制度化と申しまするか、法制化の問題は、目下のところただちには困難であると思われるのでございます。しかしながら、
制度法制化の目的を持ちまして、あるいは定置
漁業でありますとか、その他の
漁業でありますとか、一つ一つ、いろいろと調査研究をいたしておりまして、それを将来総合いたしまして、法制化をはか
つて参りたいというふうに考えておるのでございます。
第二番目の、共済基金に免税
措置を講ずるという点でございますが、基金として積み立てました額を、所得税の対象から除外する問題と、基金の利息に対する免税問題という、二つの問題があると思うのでございます。所得税の対象から除外するという問題につきましては、基金が実際幾はくの損失を負担するか、まだ算定ができておりませんので、これを保險金のような損失経費とみなすことが困難であると思われるのでございます。従いまして、現行の税体系からも、免税処置をただちに実施するということはできなかろうと思うのでございます。後者、すなわち基金の利息に対する免税につきましても、免税の理由が明確に
説明、確立できておりませんので、現在のところ、この基金に対する免税処置の問題は、数回折衝をいたしたのでございますが、むずかしいということにな
つておるのでございます。
それから第三番目の、事務手続の簡素化の問題でございまするが、本
制度は実施されましてから半年足らずでございまして、実際の運用状況もつまびらかでない部分もございます。なお十分調査し、改善する余地もあり、また必要もあると思うのでございますから、御趣旨に沿いまして、簡素化に努力して参りたい、かように存ずるのでございます。
第四番目の、
漁業金融のための独立の金融機関または特定の金融機関の
設置をはか
つて、
漁民側の自主的行動を反映せしむるようにするという問題でございまするが、この問題は、長期資金につきましては、他の一般産業を含めまして、興業銀行あるいは勧業銀行、農林並びに商工中央金庫といつたようなものの、見返り資金による増資の引受けでありますとか、あるいは債券発行限度の引上げによります資金の調達問題が、目下検討されつつあるのでございまして、これが具体化もあるいは間近にあると思われますので、水産金融につきましても、この問題の進展とともに考えて参りたい、かように存ずるのであります。なお水産金庫というような金融機関を新設するかどうかということになりますると、相当の準備期間と、相当の運営資金を必要とするという関係もございまして、水産関係だけで多額の資金源を見出たすということになりますると、現在の金融
情勢のもとでは、今ただちに
実現することが相当困難ではなかろうかと思われるのであります。従いまして、
漁業手形の精神である自主性でありますとか、あるいは貯蓄性でありますとかというような線に沿いまして、下から漸次盛り上げて
実現いたすというところに、水産金庫の
設置の可能性が生じて参るというふうに考えておるのであります。それまで時期が相当かかると思うのでございますが、その間の処置といたしましては、既設金融機関に対する各種の資金処置によりまして、極力金融拘束を打解するよう努めて参りたい、かように存ずるのでございます。
請願一八九号の旋綱
漁業許可方針確立に関する件でございますが、旋綱
漁業を含む
沿岸漁業は、それぞれ相互に密接不可分の関係にありまして、單なる個々の調整では、問題の解決は不可能であろうと思われるのでございます。従いまして、全面的の
許可漁業制度改革、それから総合調整といつたような方途の線を通じまして、その一環としまして、旋綱
漁業の問題を取上げて参りたい、かように存ずるのであります。これにつきましては、いろいろと愼重に研究をし、審議をいたしまして、時期を見て全面的方策を講じたいと思うのでございますが、とりあえずの処置といたしましては、問題の急激な発生を見つつあります旋網
漁業に対しましては、全国的にその実態を統一的に把握いたしまして、一定方針のもとに事態の收拾、調整をはかることを考えておるのでございまして、暫定処理要綱というものを目下立案中でございます。この処理要綱の実施によりまして、とりあえずの処置を講じて参りたいというふうに考えておるのでございます。
請願七二六号の
鮮魚の
統制撤廃等に関する件の中に、さんま適業の解禁日の
決定の問題でございまするが、この点につきましては、現在さんまの回遊時期並びに回遊径路等がある程度明かなのでございます。北の地域の
漁業者と南下接岸を待
つている南の地域の
漁業者との間に、
漁場の遠近関係によりまする優劣の差もありますし、
漁船の大型化によ
つて、ある程度技術上緩和はされておるというようなことが言える部面もありまするが、解禁日の
決定につきましては、
漁場の遠近、優劣の差の問題が大きな問題として論ぜられておるのであります。ことに戰後急増いたしました棒受
網漁船によりまする資源への
影響といつたようなことも、かたがた論ぜられておる場合でもございまするし、資源を保護し、あるいは大型船と小型船との條件の優劣の差を考え、北と南との地域による差を考えて、これをいかに調整して行くか、目下生物学的、社会科学的に、いろいろな見地から試験研究機関と協議の上、二十五年度におきまする漁期が参りまするまでに結論を得るように、鏡意努力をしているのでございます。
請願一八八号の
漁船法及び
漁船船員法と制定する件につきましては、一般の船舶並びに一般の船員と異りまして、
水産業という
生産関係に立
つておる
漁船なりあるいは乗組員を、いかに保護し、あるいは育成して参るかというようなことにつきましては、一般の法律とは違いました特別な法律を必要とするのではないかと考えておるのでございまして、
漁船法につきましては、国会におきまして特別に御用意をされるように努力せられ、役所といたしましても、その線に沿
つて御協力申し上げておる次第でございます。また
漁船船員法の制定につきましては、
請願の趣旨に沿
つて考究をいたしておる状態でございます。
請願一八五号の
価格差補給金存続の件につきましては、これは国家財政方針の関係から申しまして、昨年度末をも
つて打切られたのでございます。打切り当時、
漁業経営に及ぼす
影響といつたようなことからいたしまして、何らかの形によりまして、存続ができまするように努力をいたしたのでございまするが、遺憾ながら打切りに終つたのでございます。従いまして、補給金の打切りによりまして、
漁業経営に及ぼす
影響というものが減少されますように、金融関係その他の方面につきまして考究いたしまして、何らかの対策を立て、
実現に努力したい、かように存じておるのであります。