○田口
委員 私も、この機会に二、三の点について
銀行局長の御
意見を承りたいと思うのであります。この
水産金融で特にお
考え願わなければならない問題は、農村問題と多少趣きを異にしておりまして、小から大まで階段がある、こういうことをまず念頭に置いていただきたいのであります。この小業者は、大体において
協同組合という形をつく
つて金融の道を講じておる。この
協同組合の
金融につきましても、いろいろな問題があるのでございますが、とにかく
組合金融によ
つて道を打開し
ようとしておる。大
企業者は、これは日水あるいは大洋のごとく、自己の
信用で
金融の道を講しておる。今
中小企業と同じ運命にある業態が、やはり
水産事業にもありまして、中
企業者の
金融が、ほとんど組織あるいは
信用という
ような面からも考慮されないで、やり方に非常は困るという問題が、一般の
中小企業の
金融と同じ状態において
水産界にもあるのであります。この
中小——
水産の場合は特に中でございますが、この中に対していかなる
金融をするかという問題につきましては、いろいろの点が
考えられると思うのでございますけれ
ども、やはり
一つの組織によ
つて、皆が集ま
つてそうしてその
信用のもとに金を貸す、その
信用のもとに金を借りる、こういう
ようなことよりほかに想像がつかないと思うのでありまして、この点から
考えて、この業者自体が寄り集ま
つて、保証金を積んでそうして金を借りる、いわゆる
漁業手形の制度というものは、非常にいい制度でありまして、これは
水産の方で実際に先鞭をつけたのでありますけれ
ども、今の一般の
中小企業者の
金融というものは、やはりこういう組織によ
つて進んで行かなければ方法がないのでないか、こういうふうに
考えるのでありまして、一般
中小企業に先鞭をつけた
漁業手形である、こういう
ような意味からいたしまして、ただいまの
漁業手形の状態は、必ずしも芳ばしくない部分もありますけれ
ども、これは
ほんとうに始めてからまた時期がない。私から言わせますと、内容について
改善すべき点が多々ある。そういう点を漸次
改善すれば、必ずりつぱな
金融の道が開けるのでないか、こういうことを
考えるのであります。
従つて、最近
漁業手形の問題についてとかくの
議論がありますけれ
ども、そういう意味におきまして、漸次内容を
改善することによ
つて、この制度、この組織を完全に育て上げなければならぬ、こういうことに
考えるのでありまして、この点についていろいろなうわさ、あるいはいろいろな
考えがありまし
ようけれ
ども、
銀行局長としては、ぜひこの制度を各
中小企業の模範の型として育てる、こういう意味でひとつ進んでいただきたい。これは
銀行局長に対する要望でございます。
第二に、短期
資金の問題について、金額が大きい場合におきましては、いろいろ
政府との折衝の結果、おちつくところは日銀のあつせん、こういうことにおちつく場合が非常に多いのであります。また日銀内にあつせん部を設置しておられる点も、そういう必要からと思うのでございますが、さてこの方法でわれわれが進みました際に、
政府としても、なるほど必要である、あるいは日銀におきましても、何とかしまし
よう、こういう
ような話になるのでありまするが、いよいよ第一線の金を貸す
地方銀行のところに持
つて行きますと、なかなかそれが徹底をしない。そのうちに三箇月、六箇月、一年と経過してしまう。しまいにはしりがぼけてしまう。こういう
ようなことで、日銀のあつせんによ
つて地方銀行がその
通りに
実行するということが、非常に少いのであります。いろいろな事情から
考えまして、日銀の
資金をひもつきにして
地方銀行にまわすという
ようなことは、むりとは思いますけれ
ども、今までの実例として、実を結ばなか
つたということから申しまして、必要なる
資金を何とかするという点から申しまして、ひもつきか何かで、
政府あるいは日銀でも
融資をやろうという、この意思を
実現する
ような方法はございませんか。その点を一点お伺いいたします。
それから第三に、
漁業協同組合の
金融が非常に逼迫しておる。これは各
委員から申されました
通りでございますが、その内容を一歩つつ込んで
考えてみますと、
長期資金でまかなうべきものを短期
資金でまかな
つておることが非常に多い。これはどうしても、組合の
資金計画ばかりでなしに、各事業の
資金計画か、
長期でまかなうべき
資金を短期にまか
なつた場合におきましては、何としても漸次じり貧にな
つて来る。目下の
協同組合の
金融難は、全般的な問題もありますけれ
ども、主として——あるいは重大なる幅におきまして、この
長期資金でまかなうものを短期
資金でまかな
つておる、こういう点にも非常に大きな原因があると思うのでございます。この点から申しまして、先ほどから
お話がありました
農林中央金庫の
増資、あるいは
見返り資金の
増資、あるいは
債券発行、この問題を何とかすみやかに解決してもらわなければ、なかなかこの
協同組合関係の
金融の緩和ということはできないと思いますが、この点をひとつ一層促進していただく
ような方法を、ぜひ
考えていただきたいのであります。
それから第四に、加工
資金の問題であります。最近貿易
関係は、通商協約が決定されて、それによ
つて物が動く、こういう状態のものが非常に多いのであります。この通商協定の問題は、いろいろな政治的の
関係からいたしまして、決定がとかく遅れがちである。ところが輸出すべき品物は、ことに
水産物におきましては、
漁期に
関係がありまして、一定の期間に製造をしなければならぬ。で、自由貿易時代におきましては、ちやんとあらかじめ製造をしておいて、そうして必要な時に送る。こういうことができたのでありますけれ
ども、現在の状態におきましては、どうしてもこの製造時期というものと、通商協定の締結というものがちぐはぐである。こういう状態におきまして、この輸出加工品の製造は、どうしても盲製造をしなければならない場合が非常に多いのであります。実際には貿易品でございますから、契約ができれば貿易
資金の方からまわるのでございますけれ
ども、その契約ができない間に、
漁期か来て製造をしなければならない。その時期に製造をしなければ、一年を通じて製造する機会がない。こういう
ような状態におきまして、盲加工、盲生産をや
つておるので、
資金関係で各業者は常に非常に困
つておるのであります。たとえば長崎でトマトのカン詰を製造して、盛んに輸出をするのでございますが、日英通商協定なんかの締結が遅れますために、結局貿易の
資金なしに製造をしなければならぬ状態です。しかも国家としては、外貨の獲得をぜひやる必要があるのだか、手元の
資金がない。こういう
ような状態におきまして、
資金の点で製造に困
つておる。これはひとりトマト・サージンの問題ばかりでなしに、いろいろな輸出商品というものの製造が、すべてこの協定の締結が遅れるということで非常に困る。こういう問題は国家的に
考えて非常に必要であります。しかもその時期に製造をしなければ、一年を通じて製造する時期がない。製造したものは必ず外貨獲得に貢献をする。こういう性質のものでございますか、これについて何らか
資金供給の方法はありませんか。その点について御
意見を承りたいと思うのであります。
それから
長期金融を必要とする業者に対しましては、不動産
銀行の設置もまた
一つの
金融の方法と思いますが、不動産
銀行の設置については、大蔵省は積極的にお
考えにな
つておるといううわさも聞くわけなんでございます。これに対して、新しい
舟山銀行局長はいかなるお
考えを持
つておりますか、御
意見を承りたい。はなはだ簡単でありますが、以上四点について御
意見を承りたいと思います。