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1950-03-25 第7回国会 衆議院 水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十五日(土曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 早川  崇君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       玉置 信一君    冨永格五郎君       福田 喜東君    小松 勇次君       岡田 勢一君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豊君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曽根  徹君         農 林 技 官 尾崎順三郎君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇七号)(予)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二〇号)     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  まず臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案内閣提出、第一〇七号を議題とし、前会に引続き質疑を行います。
  3. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部改正律法案は、海上猟獲の禁止または制限から、さらに製造加工販売所持の面にまで禁止または制限範囲を拡張いたしまして、そうして取締り徹底を期そうというのでありますが、所持問題等につきまして、その範囲等を明確にしなければ、この法案の十分な審議ができないわけであります。つきましては前回の委員会でも当局に対して要求いたしておるのでありますが、この法律施行規則を公布されると思うのでありますが、この施行規則案をこの際当局から御説明を願いたいと思うのであります。
  4. 山本豊

    山本(豊)政府委員 前会に鈴木委員から御注文があつたので、早急に昨日も係の方で案を練つてみたのでありまするが、まだ結論には達していないのであります。大体の考え方は、現在一応法令の建前としては、農林大臣許可を受けた者がとにかくとれるという建前なつておるのでありまして、これを絶対禁止のようなかつこうに持つて行くのも、将来のことを思いますといかがかと思いますので、やはり一応農林大臣許可を受けた者でなければ猟獲はできないという原則を堅持します。しかし当分の間は関係方面意向もありますので、実際問題としては大体許可をしないつもりで、許可を受けた者でなければできないというふうなことにしたいと思つております。  それから第二点は、このらつこ、おつとせいを猟獲し、あるいはまた收得した者は、住所地都道府県知事にその旨を届け出でさす。そして検印を受けなければならぬ。これは過去のものを言うのではありませんが、一応取締りを嚴重にするということになりますと、今後に対しましては、こういう義務づけをしなければ見境はつかなくなるのではないかというふうに考えるのであります。  それから第三点はらつこ、おつとせいの毛皮でありますとか、あるいはまた皮革製造あるいは加工業者、こういうものは、この検印のあるらつこまたはおつとせいでなければ、これを製造したり、加工の用に供することはできない。そうしてこういう業者は、各品目ごと住所地都道府県知事証明を受けなければこれを販売するとか、販売委託をするとか、あるいは搬送するということはできない。主として業者に対してやや厳重過ぎますけれども、取締りの必要上こういうふうなことにしたらどうだろうか。  それから第四点はらつこ、おつとせいの獸皮もしくはその製品販売業者が、先ほど申しましたような証明のあるものでなければ、これを販売するとか、あるいは販売委託だとか、あるいは搬送してはいかぬ、こういうふうにしたいと思うのであります。  それから第五点は、製造業者とか、加工業者とか、販売業者、いずれも業者でありまするが、こういう人は現在所持する獸皮とその製品につきまして、一定の期間を置きましてその期限までに住所地都道府県知事証明を受けなければならぬ。そうして合法化したいと思うのであります。都道府県知事にはその品目数量大臣に報告する義務を負わせる。  それから第六点は、所持の問題に関係して来るのでありますが、製造業者加工業者販売業者、こういうものは、知事証明のない獸皮とか、その製品所持することはできない。だから所持する以上はすべて先ほど申しましたような手順を経たものに限るというふうにいたしたいと思うのであります。  そこで最後に問題が一つ残るのでありますが、この規則施行以前に、たとえば私人が一、二枚着用しておるというふうなものをどうするか、これはできれば全部何らの義務も負わさないようにいたしたいと考えるのであります。ひとつの行き方としては、施行前に猟獲あるいは取得されたものについては言わなくして、施行後のものについて知事承認なきものは所持することができないというように考えてみたのでありますが、これは実際問題となりますと、施行以前にとられたものであるか、施行以後にとられたのであるか、なかなか判別も困難であると思うのであります。ひとつの行き方としては、あるいは日常の生活の用に供する――これは数量関係があると思いますが、そのようなものはこの限りでないという規定の仕方もあり得ると思うのであります。あるいはこれには全然触れなくして、先ほど申し上げましたのは、すべて業者についての規定でありますので、それきりにしておいたら、私人のたまたま持つおるようなものにつきましては、厳重な取締りとか何とかいう問題が起らないで済みはしないかその点まだ結論に達していないのであります。なおこの所持の点につきましては、関係方面にもいろいろ意見があるようでありますので、早急に関係方面と毎度話合いをいたしまして結論を得たい、こういうふうに考えておるわけであります。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今の要綱案の御説明で、当局のお考えが明確になつて参つたのであらます。ただいまの山本次長のお考え通りに、所持範囲を、この法律施行以前のものについては、個人に及ぼさないという大体の考え方で、関係方面の御了解を得たいという御趣旨に対しまして、われわれ同感の意を表するものであります。ぜひともこの点は関係方面の完全なる御了解を得まして、このことが刀剣類の届出のようた煩瑣なことにわたらないように、善処をされるように特に希望するものであります。  次にもう一点お伺いしたいのでありますが、それは昨日の委員会でも、私及び川村委員から意見の開陳がありましたようだ、北海道及び三陸、常磐、銚子沖に至ります沖合いにおきましては、春時分相当おつとせい群がやつて来まして、わが国沿岸水産資源である魚族相当荒しておるのであります。こういう見地からいたしまして、この法律が円満に実施され、取締り徹底も期せられるように相なりました際は、水産資源の面でわが国はこのために相当被害を受けておるわけでありますから、らつこ、おつとせい保護條約加盟後は、その捕獲と、その皮革の配分ということについて、日本国利益の均霑にあずかるようにいたすとともに、わが国沿岸魚族資源被害を、一方的な被害に終らせないように、政府当局において関係方面に対して十分御折衝されんことを強く要望いたしておきたいと思うのであります。この点につきましては、委員長におかれまして、本法案委員会で議決されます際に、適当な御措置をとられんことをあわせて御要望申し上げるものであります。
  6. 石原圓吉

    石原委員長 他に発言はありませんか。なければ本案に対する質疑次会に譲ります。     ―――――――――――――
  7. 石原圓吉

    石原委員長 次に水産業協組合法の一部を改正する法律案内閣提出第一二〇号を議題として、審議を進めます。本案につきましては、市会提出案理由説明を聽取いたしておりますので、本日はこれより質疑に入ります。なお政府よりは、坂本政務次官山本水産庁次長松任谷漁政部長協同組合課長曽根徹君、遠洋漁業課尾崎順三郎君が御出席であります。質疑は通告順によつてこれを許します。田口君。
  8. 田口長治郎

    田口委員 水産業協同組合法の一部を改正する法律案の内容につきまして、三点だけ御質問したいと存ずるのであります。  その第一は、法人加入の問題でありますが、御承知通り漁村に存在をしておるところの法人は、課税関係と金融の関係からいたしまして、個人経営あるいは同族経営と同じような経営のものが、大多数法人なつておるのでございます。この点から考えまして、せつかく法人協同組合加入ができるという道をお開きになつた必要と趣旨から申しまして私はこの程度法人は、漁村実態から考えて、当然正会員にされてしかるべきだという考えを持つている次第でございますが、この点に関しまして、農林省としてはいかなるお考えを持つておられるか、その点をお伺いいたします。  第二に、協同組合活動と実質的に競争関係に立つおそれのある事業に従事しておるものは、協同組合役員または主たる職員になることができない。これは協組合関係をいろいろ調べてみますと、農業協同組合にはこの規定が入つております。その根拠とするところは、おそらく極東委員会農業協同組合組織に関する十六原則によりまして、その精神を取入れるために規定してあると思います。また中小企業協同組合におきましては、こういうような規定がない。漁業協同組合には今日までその規定がなかつたものを、ここに新たに挿入しよう、こういうお考えのようでございますが、農業協同組合の場合は、この極東委員会の十六原則の問題もありますし、また業態組合員役員とが組合活動と実質的に競争関係にある種類のものはほとんどないのでございまして、十六原則から申しましても、あるいは実情から申しましても、何らさしつかえないと思うのでありますが、水産の場合におきましてはこれと著しく様子が違いまして、御承知通り漁村実態を見ますと、指導者として欠くべからざる人間が、協同組合事業と同じような仕事をやつておる者がある。しかも協同組合事業利益を自己の仕事の方にくつつける、こういう考えは微塵もない、そういう人がおつて初めて漁村指導ができるような立場にある人が相当ある。これは水産業業態からそういうことになつておると思うのでございますが、今日までこの規定がないのに、ことさらに十六原則にもないこの規定をここに挿入せられんとする真意がどこにあるかを、第二にお伺いいたします。  第三に、この協同組合事業を活発に推進して行きますためには、どうしても中央連合会を必要とするように私は思うのであります。農業協同組合においては、ただいまちようど法案提出中でございまして全信連、全購連、金版連、あるいは文化指導連というものを全国的の機関として設立をしよう、こういうふうに進んでおられるようでございますが、今回の漁業協同組合法改正によりまして、農林省がこの問題についてさらに触れておられない点から考えまして、今の漁業協同組合の真の活動が、どうしても全国連合会設立に待つものが非常に多いと私は考えておるのでございますが、農林省としては、この点についていかがお考えなつておりますか、所信を伺いたいのであります。  まず以上の三点について一応お尋ねをいたします。
  9. 山本豊

    山本(豊)政府委員 田口委員の御質問にお答えいたします。第一点の、せつかく法人加入を認めた以上、准会員というまわりくどい方法をとらずに、正会員としたらいいじやないかというお尋ねであります。この協同組合の本質的な建前から申しますると、どこまでも個人々々の漁業者結合体だということが一つの大きな原則なつておるわけであります。これを程度論ということで、法人等をだんだん入れて参りますことは、漁業協同組合純粋性の上から、またいろいろ多くの観点から、問題を起して来る可能性があると思うのであります。そこで水産庁といたしましては、一応この事業の面を利用させることにつきましては、組合の方にとつてもまた便利な場合もありましようし、特に希望して来る法人にとりましてはなおさら便利でありましようから、禁止制限いたしまして、その事業場の利用ができるような措置をとつたのでございます。しかし先ほども申し上げましたような協同組合純粋性という意味合いから、どこまでも議決権とか選挙権というものだけは與えない、準会員として考えて参つたのであります。将来この法人のいわゆる規模問題等につきましては、また時勢の変遷につれて考える場合も出て来ると思うのでありますが、建前はどこまでも、協同組合弱小個人の集まりであるということをやはり堅持して行かなければならないのではないか。特に法人等正会員と認めることになりますと、そういう法人が大中小いろいろ寄りまして、協同組合組織と別途に、これに対抗する性格のかわつた団体が出て来る可能性も出て来るので、現在の段階におきましては、この程度の行き方が最も妥当ではないかと私は考えるのであります。  第二の役員競合関係地位につくことの禁止規定であります。この点は田口さんのお話もありましたように、農業協同組合法には現在入つておるわけであります。われわれといたしましては、漁業関係におきましても、農業協同組合と、協同組合建前というものは少しもかわらない。ただ漁村と農村におきまする事情の違いは外少あろうかと思いますが、だといつて、これを融通無碍に自由自在に兼職を放任的に認めるということは、やはりいろいろな弊害を伴うのではないか。そうでなくても、とにかく一人の人があつちこつちの重役等を兼ねるということにつきましては、実際問題としまして、ただ名前だけの重役ということにもなりがちでありますので、専心やつてろう人仕事をしてもろうという観点からいたしましても、こういうように扱つておいた方が、組合のためではないかと思うのであります。  第三点の中央連合会お話でありますが、これは全国からの要望もあちこちにあるのであります。われわれも必ずしもその趣旨に反対でないのでありますが、ただ農業協同組合の場合と違いまして、漁業協同組合の方は発足まだ間もありませんので、下から盛り上つたというような形における連合会というものは、まだちよつと時期が尚早ではないか、やはり一、二年たちまして、單位の協同組合等が十分にその本質を発揮するような時代になりまして、それらが盛り上る力をもつて、自然発生的に連合会が生れるような機運になりますれば、そういう方向をとりたいと思うのであります。現在のところは下が稀弱なのに、むりをして、そういう連合会をつくりますと、上の方から強い圧力で、指導に名をかりまして、いろいろとまたさしでがましいことをするということがありますと、これは民主化の面にも反するわけになりますので、現在のところは、水産庁としてはまた少し時期が早いのじやないかと考えておるわけであります。
  10. 田口長治郎

    田口委員 第一の質問であります法人正会員の問題でありますが、先ほどから申しますように、今日漁村にある法人は、大体におきましてごくわずかの大きな漁業会社の出張所、営業所を除きましたところの、本社を漁村に持つておる法人は、いずれの方面から見ましても個人経営規模と大体において同じでございます。ほかの理由から法人にしたたけである。しかのみならず、漁村ではいろいろな労資関係その他がありまして、ほんとうにみんなが一つに固まつて労資問題を解決する、あるいは団体協約を結ぶ、こういうような実情からいつて、必要な点もありますし、とにかく規模の状態から申しても、必要性から申しても、何ら甲と乙とを区別する、あるいは差別待遇をするという理由は、さらに発見しないのでございます。ただ法人協同組合をつくることができる、加入するということが、だんだん極端に行きますと、法人だけで協同組合をつくる、こういうようなことも観念的には一応考えられますけれども、実際はそういう必要もないし、またそういうようなことは何か法文によりまして制限もできる。こういう観念的の事柄で、そうして実際に差別の必要なし、まつたく同じだ。しかも一段段を下りまして、准会員にまでする、ここまで来られたものでございますから、もう一ぺんお考えになりまして、差別待遇を全然しない、こういうようなことが実際に至当でないかというふうに私考えるのでございます。この点について農林省の見解が多少違つているように考えます。なお私らの方でもよく研究をいたしますが、農林省としても、もう一段とその点を考えていただきたいのであります。  それから第二の競争関係にある関係、これは大体漁業農業と同じようなものであるというようなお話のようでありましたが、私らから見ますと、非常に実態が違う。農業関係におきましては、協同組合がやつているような仕事を、組合員がやつている場合はほとんどないのであります。漁業関係におきましては、特に今回漁業法改正によりまして、いろいろな自営漁業、こういうようなものができますれば、あるいは流通經済の問題にいたしましても、組合がやる仕事組合員がやる仕事と、解釈のしようによりましては、おそらくはとんど全部が競争関係になる、こういうようなことになるのではないか。そういう実態なつている関係から申しまして、漁業協同組合漁業協同組合とが同じ関係なつている、こういう観点からお考えになることは、間違いではないかと考えます。特にこの問題につきましては、農林省解釈は、ある程度これとこれとは競争関係にない、こういうような解釈をされても、公正取引委員会の方で、また独自の解釈をする。これはここで発表することはどうかと思いますけれども、機船底びき漁船の整理の問題について、水産庁諮問委員会をつくつた。この諮問委員会活動が、どうも事業者団体法に触れるのではないか、こういうような解釈公正取引委員会で取上げて、業者の方も、また農林省といたしましても、陳弁これ努めたのでありますけれども、結局今の問題になつて、諮問委員会全部が不信任になつている。この問題は、世相世相でありまして、いろいろ投書その他がありますれば、結局農林省解釈外に、独自の解釈公取などが活動する。こういうおそれもあるのでございますから、この規定がないことが最も望ましいのでございますけれども、どうしても規定する。こういうことになりますれば、解釈はつきりされまして、これとこれとは関係ない、こういう場合は関係ある、これを少くとも農林省としては公取承認させて――公取自体もまだまだ実は決定しない点もありまして、公取解釈がまたときに違つて来る場合もあるのでございますけれども、それから先の解釈を求めるということは少しむりと思いますから、少くとも公取とよく御相談になりまして、列挙式にこういうことは問題になる、このほかには問題はないのだ、こういうはつきりした指示か、あるいは文章にしたものがなければ、将来非常に漁業協同組合役員問題については、やつかいな問題が起ると思います。農林省としては、この條文を削除される意思でございますか、あるいは削除されないとするならば、そういうような解釈規定はつきりとされる考えでございますか、その点を重ねてお伺いしたいのであります。  第三の全国連合会の問題につきましては、時期尚早、こういうような解釈のようでございますが、要はこれは下から盛り上つた形においてできるか、あるいはその他の形でできるかという問題になると思います。上からつくるということは、これはいずれにしましても穏当でないところでありますから、もし将来ほんとうに必要を感じ、そうして單位組合から盛り上つて全国連合会ができる、こういうようなことになりますれば、その際は農林省としては、承認の形で推進されるのでありますかどうか、その点をお伺いいたします。以上三点について重ねてお伺いいたします。
  11. 山本豊

    山本(豊)政府委員 第一点の法人加入の点についてでございますが、これを正会員とするか、准会員とするかという問題でございますが、先ほど申しましたような理由で、現在といたしましては、准会員として愼重に扱つた方が、将来に禍根を残さないでいいのではないか。なお今回この准会員加入にいたしましても、初めての試みでもありますので、これを実施いたしましてその実情なり、またわれわれの方としても、理論の上におきましても、研究を重ねまして、さらに処置を考えて行きたいと思います。  第二点の競業関係役員になる問題でありますが、これはいろいろと具体的に申し上げると事例も多かろうと思います。また運用にあたりましても、実質的に競合する。実質的というふうな解釈広狭いかんによりましては、この條文相当に幅があるのではないかというふうにも考えるのであります。農業協同組合と特別に扱いをかえねばならぬ深い理由もないのでありまして、一応現在としましては、この條文を削除する意向はないのでございます。ただ御心配のように、実質的に競争関係に立つという点につきましては、よく各場合のケースを考究いたしまして、ことに上級、下級の関係にあるいわゆる協同組合連合会、あるいは協同組合協同組合組織員というふうな相互における問題は、これはもちろん実質的に競争関係に立たないと思うのであります。そのほかの事例におきましても、事業そのもの競争関係に立つかどうかということと、いわゆる当該組合役員あるいは会計主任が、ことにまた片方の競合する会社なり組合の、いわゆる重要な地位にあるかどうかというふうな点も、両点にわたりまして詳細に事例を検討いたしまして、さらにまた公取関係でいろいろと問題を起す可能性もありますから、これらとも十分打合せを遂げて、通牒でも出すような方向に持つて参りたいというふうに考えております。  第三の中央連合会の問題でありますが、これは御説の通りに、真に下から盛り上りて来るということでありますれば、われわれといたしましてもむしろ大いに賛成なのであります。ただその実態がまだ今日薄弱であるのに、法律か先にできてしまうという点につきましては、いろいろ誤解を招く向もありはしないかと存じますので、今回の改正案には入つておりませんが、全国の空気、情勢と相まちまして、水産庁としても積極的に今後考えて参りたいと思つております。
  12. 田口長治郎

    田口委員 第一の法人加入の問題につきまして、これを正会員にいたしますと、組合の純潔が保てない、これだけの意味に解釈してさしつかえありませんか。ほかに何かお困りになる点がありますか。
  13. 曽根徹

    曽根説明員 漁業協同組合事務をあずかります立場から御回答申し上げます。先ほど次長から答弁されましたことに盡るわけでありますが、人と人との組織であるところへ資本組織を入れますと、資本協同組合を支配する形になりやすいのであります。ことに表決権は一票でありましても、資本の支配するところが協同組合の中に及ぶということは、協同組合のいわゆる純神性を保てないと考えます。なおそのほかに御指摘のように、法人だけでできる協同組合は、観念的なものというふうには一応考えるのでありますが、やはり一方においては独禁法の制定がありますので、これをくぐると申しますか、そういう形で、單に観念的ではなく、そういう協同組合のできる可能性も十分あると思います。またそういう関係からして、そのような正会員として制定することにも困難があるのではないかと考える次第であります。
  14. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの組合課長の御説明によりますと、この程度法人加入が、正会員にいたしますと、資本が左右する、こういうことでありますけれども、先ほどから私申し上げておりますように、この程度規模のものでありますと、これは漁村における個人のやつている仕事資本的には何らかわりのないものであります。これが資本的に左右ずるということになりますと、あまた個人事業資本的に左右することになるのでございまして、漁村実態から申しまして、この法人資本的に組合を牛耳る、こういうことはおそらく想像できないことであります。いわんやこの法人正会員となりましても、議決権一つでございまして従業員と社員と役員、こういう組織からなつておるもので、従業員は議決権がある、社員はない、重役はない、こういう形になるのでございますが、これはいかにも不自然で、従業員にも議決権があり、会社の社員にも、あるいは重役を代表して会社にも議決権がある、こういう形にすることが、最も自然的でないかと考えるのでございます。先ほどお話になりましたこの法人資本的に組合を左右する、こういうことは、漁村実態から申しましてちよつと想像ができない次第でございます。  第二のこの法人だけで協同組合をつくるという問題につきましては、何か規定によりまして、そういうものをつくつてはいかぬというようなことが規定できると私考えるのでございます。実際の必要から申しましても、そういうものは全然つくれないのでございますけれども、もしその点が心配でありますれば、何か規定研究してみますと、それの制限ということができるのではないか。こういうふうに私考えるのでございます。
  15. 曽根徹

    曽根説明員 ただいまの資本が支配するという言葉の御説明に不十分な点があつたと思いますので、さらに補足いたします。私意見として申しましたのは、法人そのものが協同組合資本的に支配するということよりも、法人の中へ資本として入つて、つまり株主という形で法人組織ができまして、そういう形で協同組合を支配して行く。その法人にのみ利益な方に利用が向けられて行く、法人そのものが協同組合を支配するということよりも、法人を通じて資本が支配して行くというふうに考えるのであります。  第二の点でございますが、後段に申添えましたように、一方においてこの独禁法の制定については相当やかましい実情がございますし、この点は説明が過ぎるかとも存じますが、最初のこの閣議決定案をGSの方に提出いたしましたときも、第七條の監督につきまして、第七條第一項は問題となつている例外を拡張しようとしておる。独禁法の適用を除外しておいて従業者の数を倍加することを認めるのは健全でないと思われる。従つてこの際は何ら改正をしないことを勧告すると言われ、そのほかこの線によつた独禁法の適用を、現在の協同組合の中においても、あのわずかな改正についても非常に強硬な意見を開陳せられて来ておるのでありまして、そういう点から考えましても、正式組合員として加入せしめることに困難性があるのではないかと考えるのであります。  なお法律の何らかの措置によつて、その点を具体的にいわゆる線を引いて、法人のみの協同組合のできないような措置ということは、また一方においては協同組合法人加入して、協同組合を運営する方法において非常に困難が生ずるのではないかと考えるのであります。
  16. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 改正法律案につきまして数点お伺いしたいのであります。まず第一は協同組合正会員の資格の問題でありますが、第十八條に「組合組合員たる資格を有する者は、組合の地区内に住所を有し」とこうあるのでありますが、この住所の下に「住所又は事業場を有し」という「事業場」を挿入すべきであると考えますが、この事業場を挿入することについて、当局はいかなる御見解を持つておりますか。あと引続き一問一答で行きますから……
  17. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 御質問の十八條の組合組合員の資格の問題でございまするが、お話のように実際の問題から申しますと、住所のみを資格にするというようなことでは不便であつて、むしろ生産の根拠地である事業所を主体にすべきであるという場合もあるのでございますが、この点は漁業協同組合の問題といたしましては、漁業権との関係もございまして、現在のところ住所地主義をとつておりますので、一応漁業法とのにらみ合せにおきまして、住所を根拠にすることにいたしているのであります。ただしかしながら実際の問題として、そういつた漁業法との関係なしに、組合事業を端的に利用するために便利であるというような意味合いから申しますると、むしろ住所といつたような字句の解釈を拡張いたしまして、実質上それらの方々の問題を救い上げて参るというふうな取扱いをいたして参りたい。かように存ずる次第でございます。
  18. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この事業所を一つの資格要件にするということについて、漁業法との関連において御説明があつたのでありますが、漁業法におきましても、漁業権の許可、認可の面から考えまして、やはり生産の真の根拠を有するということが免許、許可の要件である方が妥当である。おそらく事業所を持つております以上は、免許なり、あるいは漁業許可なりを取得したるがゆえに、そこにおいて事業所を設けて事業を営むのであります。そういう観点からいたしまして、これは協同組合法、漁業法ともに真の生産の基地、生産の根拠を有する事業場を資格要件にすることが妥当であると、私は考えるのであります。具体的な顯著な例をあげて御説明申し上げますと、ある漁業者が、Aという村にはただ單に生活をして配給たけ受けている。生活上の配給だけを受けておつて、隣の村に定置漁業権なり何なりを取得して、そうしてそこに番屋も置き、事務所も設け、実質上そこで漁業経営を行い、とつた漁獲物、資材の配給一切をその隣の村においてやつている。こういう場合は、その生活の根拠である住所の方においては、ただ生活上の配給を受けて生活をしているというだけでありまして、事業の根拠は隣村にあるのであります。そういう場合に正組合員として組合加入できないということは、これは非常に観念的な理論である。こう私は考えますがもこれに対してどういう御見解を持つておられるか。その点をお伺いしたいのであります。
  19. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話のような点があるとは思うのでございますが、御承知のように、協同組合は生産の共同体でありますとともに、生活協同体といつたような意味も含まれているのでございまして、いわゆる昔からの地縁、血縁関係といつたような地盤、精神的な地盤を土台にしまして、中小の零細な漁業者が協同して組合を盛り立てて参るということによりまして、お互いの福利を増進するというのが目的でございますので、法の建前といたしましては、そういつた精神からいたしまして、一応事業場といつたような、單に経済的な意味合いの根拠というものを中心とはせずに、佳所地主義をとつているのでございます。しかしながらこの住所地と申しましても、先ほど申しましたように生産の協同体であり、生活の協同体である協同組合といたしまして、組合員が單なる一つの根拠地しか持たぬというような狭苦しい解釈をとりませずに、従たる住所地といつたような意味合いにおきましても、それを資格要件に合致するものと認めまして、事実上取扱つているというようなことになつているのであります。
  20. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 従たる住所としてそれを解釈上正組合員にするというお話がありますと、やや納得が行くのであります。ただいま部長の御説明の中で、協同組合は生産の協同組合であると同時に、生活の協同体でなければならないとい御見解は、私もまつたく同感なのであります。また協同組合が血縁的なつながりはこれは別といたしまして、地縁的な団体、地域的な団体である協同体であるという見解もまつたく同様であります。この地域的な、地縁的な関係というような面からいたしまして長年そこを事業根拠地として、住民と劣らざる地縁関係を保有する者が多々あるのでありまして、そういうような見地から、先ほど部長がお話になりました妥当な解釈によりまして、運用の妙でその点を適正に措置されることをお願いするものであります。  それから生活協同体であるという御説明がありましたのに関連いたしましてさらに御質問申し上げたいのであります。私も漁業協同組合が、生活協同体で一面あるという面からいたしまして、地区内に住所を有するところの一般住民をも准組合員としてこれを加入せしめて、そうして生活協同組合としての真の組合の機能を発揮せしむることが必要だ、こう考えるのでありますが、一般住民まで准組合員として加入せしむる御意思がないかどうか。生活協同組合としての真の性格を表わすためにそうすることが必要ではないか、こう考えるのであります。と申しますのは、御説明申し上げるまでも幸く、漁村の中には非常に多く辺陬の地に漁村部落が構成されておりまして、生活協同体として別に消費組合とか、あるいは生活協同組合を別途に二重組織としてつくるということは、経済的にもその他の面からいつてもとらざるところであります。そこで部長のおつしやるように、漁業協同組合が生産協同組合であり、流通協同組合であり、かつ生産協同組合であるべき性格を持つものといたしますれば、住民全体を入れてさしつかえないと思うのでありますが、御当局の御見解はいかがでありますか。
  21. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話のような点につきましては、一つ考え方といたしまして、いろいろと問題になつて来るのでございますが、現在の建前といたしましては、とにかく漁業漁業農業農業というような一つの職種々々を通じまして、その資格において協同組合をつくり、その協同組合を通じまして、漁業といつたような職業のもとに相集まつて、お互いの利益を増進するというところに重点があるのでございまして、これを漠然と職業にとらわれずに、一般の消費者の立場まで考えまして、全部これを包含して組合を運営することになりますと、組合そのものの組織と申しますか、運営上の問題にいたしましても、非常に割切れない点が出て参ります。むしろ現在の建前におきましては、やはり水産業水産業といつたような職業を通じまして、一つ協同組合を結成いたしまして、極力その漁業、水量業の発展をばかるような方向で、組合を純化して参ることが、漁業の発展なり、あるいは組合員の社会的、經済的地位の向上がはかり得る態勢であると思われますので、そういう建前のもとに法制かできておりますし、われわれはこの法制のもとにおいて、お考えのような点も十分取入れまして、漁民の消費生活といつたものの向上をも、この組合を通じてはかつて参るというところに持つて参りたい、かように存ずる次第であります。
  22. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 どうも漁業協同組合漁村における生活協同体であるというぐあいに前進せしめることが、わが国漁村の環境からいたしまして妥当なる措置でありまして、これを准組合員として加入せしめることは、漁民以外の者の組合支配とは決してならない、こう私どもは解釈いたしておるものであります。それを漁業関係者だけの生活協同組合の面から行きますと、漁業関係者だけの生活協同組合ということでは、真の漁村の生活の協同化は十分でき得ないものであると私は考える。たとえば文化的な施設、あるいは医療厚生の施設、いろいろな社会施設の面からいたしまして、そういう文化的あるいは社会的、厚生的な施設というものは、漁民なるがゆえにどうとか、漁民以外の者はどうとかいうようなものではないのであります。漁村経済は漁村民全体の協同的な生活体である関係から、これは決して漁民以外の者の組合支配にはならないのでありますから、将来において、この点は、漁業協同組合漁村における生産の協同組合であり、流通協同組合であり、かつ生活の協同組合であるという姿に持つて行くべきものである、こう私は考えるものであります。これはただ私の意見だけを申し述べておく次第であります。  次に漁業生産組合及び漁業を営む漁業協同組合というようなものを、漁業協同組合の准組合員にするという改正でありますが、この点のお考えをお伺いしたいのであります。漁業を営む漁業協同組合を單位漁業組合組合員の資格を與えるという点について、これはどういう意味で挿入されたものであるか、この点をお伺いしたいのであります。
  23. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 御質問の御趣旨は、漁業協同組合が他の漁業協同組合組合員になるという形が具体的に必要であるかどうかという点にあると思うのでありますが、これは協同組合の性格といたしまして、加入、脱退ともに自由でありますし、設立も自由でありますので、いかなる大小の協同組合もできるわけでございます。従いまして、小さな部分の地域を主体としておる漁業協同組合が大地域の漁業協同組合組合員になりまして、その大きな地域の組合の施設を利用することも必要である場合が起ると同時に、さらに業種別あるいは地区別といつたような各種の漁業協同組合ができます関係上、それらの相互関係におきまして、お互いに組合員なつて、相互にその利益と申しますか、事業を利用するといつたような関係もございますので、建前といたしましては、組合員としての資格を與えておるわけでございます。
  24. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 そういう場合もあるかと思うのでありますが、そのためにこそ協同組合の連合組織というようなものがここに必要となつて来るのでありまして、これは私が申し述べるまでもなく、協同組合は地縁的な団体でありますから、団結の面、相互扶助、隣保共助の精神的な面からいいますと、なるたけ小さい方がいい、地域が狭い方がいいという精神からいいますと、そういう性格のものでありましよう。しかし経済的な面からいいますと、逆に組合員が非常にたくさんあつて、利用者が多い方がいい、こういう関係にあると思うのであります。協同組合はこの精神的な面と、経済的な相反撥する二つの性格が要請されておると思うのでありますが、それを調和するために連合組織かここに必要になつて来る。そこで連合組織を、一面この協同組合法はとつておるのでありますが、そういう連合組織をとりながら、こういう單位組合間でお互いに組合員になり合うということは、どうも協同組合法の建前から行つておかしな形になるというぐあいに解釈されるのでありますが、どういうお考えでありますか。また特に漁業を営む漁業協同組合ということで、漁業を営むものということに限定をしておるようであります。部長の御説明のようでありますれば、協同販売事業の面でも、あるいは協同購買事業の面でも、あるいは信用事業の面でも、幾多小さな協同組合が大きな協同組合の施設を利用したいというようなことがあるはずであるのに、漁業を営むものだけに限定しておるということはどういうお考えであるか。この点もあわせて御質問したいのであります
  25. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 先ほど私の説明が不十分でございましたが、お話通り組合員となり得る協同組合は、生産組合かあるいは自営をやつておる漁業協同組合という関係なつておるのでございます。なぜ日常組合組合員になり得るかということについては、いろいろの施設をやつております協同組合組合員なつて、そのあらゆる施設を利用して参るということが具体的に必要であろうというような意味もありますし、なお生産組合と自営組合といつたような一つの釣り合いから申しましても、生産組合が准組合員になり得るとすれば、漁業の自営をやつておる漁業協同組合は、同一のような協同経営体といつたような意味合いにおいて、他の協同組合組合員なつてそ施設を利用させるようにいたしたらどうかというような意味合いでございます。
  26. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 どうも特に漁業を営む漁業協同組合だけに限定する意味がわからないのであります。上の方に漁業生産組合を准組合員にするということであるから、漁業自営の協同組合と生産組合とは、大したかわりはないじやないかというような單なるお考えのようでありますが、真に大きな漁業協同組合の施設を、小さな協同組合が利用するという観点からいたしますならば、何も漁業を営む者に限らずに、販売事業でも、購買事業でも、信用事業でも、利用せしむるということであればある程度理解されるのであります。この点もう少し御当局でも御研究を願いたい、こう思うのであります。  次に連合会の問題でありますが、山本次長の御説明で、もう少し下から盛り上る気運が醸成されて来た場合に、初めて連合会規模制限撤廃の問題が具体的に取上げらるべきであるという御見解でありまして、問題は今そういう気運が醸成されておるかいなかという認定にあると思うのであります。これはもはやそういう段階に到達しておる、こういうぐあにわれわれは見ておるのでありまして、現に西日本においては、長崎、熊本、山口、島根、愛媛、香川、大阪府等の漁業組合連合会が、京阪神に対する水産物の共同販売をやるために何らかの組織を持たなければ、最近におけるところの魚価の低落、商業資本の進出に対抗することができないということで、西日本の漁連関係者が、大阪に共販機関をつくろう。こういう現実の気運が動いておるのでありまして、ただ協同組合法の中にそれを認められないために、やむを得ず株式会社組織をとらざるを得ない、こういうことであります。しかもこれは集中排除法なり何なりの適用の面からいたしまして、団体として出資ができないで、役員個人の名で出資をするとか、いろいろな不自然なことをしながら、悪條件を克服しながら、何とかして京阪神に対する共販機関を持ちたいという切実な要求に現在なつて来ておるのであります。これは明らかに山本次長のおつしやるところの、下から盛り上るところの漁協連合会制限規模の撤廃の胎動でありまして、当局の見るところとわれわれの体験いたしております点と大きな隔たりがあるのでありますが、この点について、次長はどういうぐあいにこれを見ておられるのか。これは決して下から盛り上る運動ではない、こういうようなぐあいに断定されて見ておられるかどうか。この点をお尋ねしたい。
  27. 山本豊

    山本(豊)政府委員 鈴木委員の御質問にお答えいたします。下から盛り上る空気といいますか、気配と、下から盛り上るそういうものにつきましては、われわれもよく了承しているのであります。ただこれが單なる掛声というだけでは、その事業は運営できないのでありまして、実際の各個々の組合なり、それらの事業が名実ともに充実して、その充実した事業を根底としての全国の連合でなければ、せつかくつくりましても有名無実に終るのじやないかというふうに考えるのであります。ことに最近この事業面におきましても、あるいは信用保証事業とか指導事業とか購買販売事業とかいろいろあるわけでありますが、指導面についてのいろいろな要求が相当に濃いと思うのであります。各種の事業面におきましては、これはいろいろ利害得失もありまして、よく研究しなければならぬ点もあるかと思うのであります。水産庁におきましても指導面についての全国の要望というものはよく了解しておりまして、関係方面にも当初案としてはいろいろ主張いたしたのであります。しかしその方面でまだ今日実現をする時期でないというような意味で、お認めならないのでありまして、この点につきましては、われわれといたしましてもこれで打切るつもりではありませんので、今後こういう民間の輿望と相並行いたしまして、関係方面とも今後折衝は継続して参りたい、さらに努力は拂いたいと考えているわけであります。
  28. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 政治にいたしましても、行政にいたしましても、諸般の情勢を見通しまして、それに対処するところの立法なり行政措置なりを講ずることが、これが政治の要諦であり、行政のあり方であると、われわれは考えるのであります。来るべき四月一日からは、水産物の全面的統制の撤廃もあります。また資材その他の面におきましても、漸次統制が撤廃されているのでありまして、今日綿製品及び燃油を除いては、ほとんど漁業用資材も統制をはずしており、自由經済に突入しようといたしておるのであります。この間における商業資本の進出は非常に目ざましいものがあるのでありまして、今後再び漁村に対して商業資本の根をおろすことを、われわれは非常に警戒いたしておるのであります。かつて昭和七、八年当時に、いかに新しく生まれた当時の漁業協同組合が、漁村における仕込み資本あるいは商業資本の支配から脱却するために血みどろの苦悩をし、闘いを続けたかは、われわれはよく当時を想起いたしまして思いをいたすのでありますが、まさに漁村はその前夜にあるのでります。われわれ政治家なりあるいは行政をつかさどる当局におきましては、その客観情勢を直視されまして、そのような事態が漁村における資本の支配、極端なる商業資本の支配なり、収奪などが行われないように、今から立法措置を講ずべきであるとわれわれは考えるのでありまして、そういう事態が起つてから、おそまきにそういう組織を法的に認めるというようなことでは、真に沿岸漁民の安定と発展をはかることは期せられない、こうわれわれは考えるのであります。立法したからというて、上からこれを指導するというものではないのでありまして、そういう事態はまさに来ようとしておるのでありますから、いつでもそういう商業資本などの進出に対しては、連合組織をもつて、強力に漁村民は經済的防衛の措置がとれるという道を、この際開いておくべきではないか、われわれはこう考えるものであります。  次にこの協同組合法の一部改正と関連いたしまして、水産業団体の整理等に関する法律の面で、水産業協同組合法第十條第二項に規定する漁民であつて、当該漁業会地区内に住所を有するもの、今度組合員の資格がかわつて参りました関係から、この整理等に関する法律の面でも、若干の改正をしなければならぬわけであります。この組合員の資格か三十日から九十日までの間で、今度は九十日、九十日以内、九十日以上ということになるわけであります。これがこの整理等に関する法律の場合の資格という点に響いて来るのでありますが、この点をどういうぐあいにお考えなつておりますか。この点をお尋ねしたいのであります。
  29. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 協同組合法の組合員の資格でございますが、政府提出案といたしましては、現在の三十日から九十日までという点を修正するという点には触れておりませんので、この点につきましてはなお整理法との関係等につきましては、よく研究いたしてお答えいたしたいと思います。
  30. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ちよつと錯覚を起しておつたのでありますが、この点は後日当委員会等において考えております点と関連して参りますから、私の質問はこの程度で終りたいと思います。
  31. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 私おそく来ましたもので、先ほど田口君の御質疑に対しての御答弁の内容をちよつと受取りませんでしたが、法人正会員に入れないという理由を、もう一ぺんお聞かせ願いたいと存じます。
  32. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 先ほど説明申し上げました通り法人加入、ことに正組合員として取扱われない理由といたしましては、法人そのものから見ますれば、御質問通り、何ら個人実態を異にしないというような小規模のものではあるのでございますが、これを組合組織法上の関係から見ますと、協同組合先ほどいろいろお話がございました通り個人建前である。その個人の協同の利益を中心にして、組合事業が営まれるというようなことになつておりますので、法人といつたような形を正組合員として認めますと、形式的に申しますと、法人だけの組合ができるということと、さらにまた実質的には、現在具体的に正組合員として個人と同等の法人を入れる道を開くことになりますと、それと同質のものが入るというようなことになりますれば、さしつかえないのでございますが、御承知のように、法人組織と申しましても、いろいろと性質の異なつ組織がございまして、中には資本的な連絡関係法人もありますし、あるいは経営的に見て、企業的なと申しますか、個人とはまつたく違つたような経営内容を持つておる法人もございますし、そういう一つの道を開くことによりまして、異質的な法人が同時に入り込むということによりまして、協同組合の本質がゆるがせになるおそれがあると困りますので、一応そういつた弊害を来さたいように、法人加入につきましては、准組合員として取扱いまして、議決権選挙権といつたようなものに対して制限を設けることが、現在のところ必要であろうというふうに考えておるのでございます。
  33. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 どうもくどいので私よくわかりませんが、法人資本の力によつて弱い漁民の組織に対して参加することは、何か事業面に対して圧迫をするというような事態は起きはせぬでしようか。そういう意味が入つておりませんか。
  34. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 法人を正組合員に認めまして、選挙権議決権を認めることになりますと、お話のような点が起る場合が生じ得るということを予想いたしまして、制限をしておるのでございます。
  35. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 それで理由はつきりわかりました。正会員には入れない、准会員でがまんせよということであれば、特に一例をかつお・まぐろ組合にとりますと、現在のかつお・まぐろ組合は、一人で四そうも正そうも船を持つておる人があります。また会社としても、せいぜい二そうくらい、あるいは三そうくらいしか持つていない会社もあるのであつて、ここに問題が残されておるのではないか。私の考えとしては弱小組合組合の力によつて、いわゆる組合に参加することによつて恩恵を受ける。ただ組合の力によつて、恩恵によつて、何かしら便宜あるいは利益を得る点を見出したいものであるというところにあるのではないか、こう考えます。もしそうであるならば、准組合員であつて選挙権及びいろいろなそうした面にあずかることができないのですから、希望の点において、たとえば従業者三百人、トン数三百トンとありますが、これにあまり制限を加える必要はないではないだろうか。特にお伺いしたいことは、従業者三百人ということと、トン数三百トンということの基準がどこから現われたか、その根拠をお伺いしたいのであります。
  36. 曽根徹

    曽根説明員 後半の御質問の三百トン、三百人のことについての御説明をいたします。規模制限をする必要があると考えるのでありますが、その際に多種多様な漁業を、簡單に規模制限することに非常な困難を感じたのであります。しかしながらそれぞれにつきまして克明に制限することは、とうてい法律として煩にたえないわけでありますので、主として以西底びき、かつお、まぐろ以東底びき等の現状から、大体包括的にその線を求めたのであります。以西底びきにおきましては、一隻、二隻を所有しておる会社が全体の四七%を占めておる。一隻、二隻の個人のものが全体の七八%を占めておる。個人と同等のものというのが大体一隻、二隻の所有の規模であると考えたわけであります。かつお、まぐろにおきましても八百二十一個人のうち、七百九十二個人が一隻、二隻の船主でありまして、九七%を占めております。会社の方も六十六会社のうち三十九が一隻、二隻でございまして、これも五二%であります。大体一隻、二隻のものが個人と同等なものであり、それで会社の半数近くがそれに匹敵しておる。以東底びきにおきましても、八八%が一隻、二隻の会社のものであります。こういうことから大体二隻ということを考えに入れまして、かつお、まぐろ等の一隻を大体百トンというふうに見てとつたのであります。さらにそれに多角経営のものを含めまして、全体として三百トンあれば、大体個人経営規模に匹敵する程度の小さい法人は含まれるものと考えたわけであります。なおトン数だけで制限いたしますと、非常に大きな会社経営しておつて、たまたま一隻、二隻の漁船を持つておるという場合に、その会社はまるごと法人加入ができるということになりますので、これまた従業員の制限をする必要があるのであります。従業員は漁業経営におきまして、必要以上のものを雇用するということはないのでありまして、かつお、まぐろにおいて一番たくさん従業者を雇用すると考えます。三百トンで三百人程度という非常にラフな線でございますけれども、全体の多種多様な漁業を簡單に制限する方法として、以上のような考え方を基礎にしましてそのほかいろいろ考えた結果、三百人、三百トンという簡單な線を導いたわけであります。
  37. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいまの御説明によりますと、かつお、まぐろ以西、底びきを例にとつて、トン数と人員をきめたということですが、かつお、まぐろの例をとつて、今八十トン内外のお話もありました。八十トンでもよろしい。まぐろの場合三隻を持つておる人で二百四十トン、これでせいぜい六、七十人の乗組員で足りると思つております。かつおの場合はどうか、これは人数が倍になる。それでかりに一隻五十人としても百五十人で足りることになると思います。そうすると三百トンに対して三百人という従業者の割振りの算定方法が当らないと私は考えます。なお現在三崎あたりでは、大体百三十トン、二百トン型が多いようでありますので、八十トンというのはほんの近海の方の漁業なつております。そうなつて来ますと、三隻持つておりますのが、三百五、六十トンないし四百トンのトン数になるのであります。そしてこの乗組員は大体まぐろになりますると七十五名くらいじやないでしようか。ここにもトン数と従業者との割合がちぐはぐになつて、この算定の基準に対してちよつと疑わしい点が見出せるのであります。これを各業種別に見て、沿岸漁業、遠洋漁業全部を総合して、トン数と従業者の人員をきめることが非常にむずかしいと思う。しかもこれは私見でありまするけれども、この七條に、各業種別にわかれて、経営規模ということも明記してありまするが、このように各業種別によつてトン数と従業員をきめたらばどうか、そうするとはつきりいたします。かつおの場合、あるいはその他まぐろの場合、ここにすこぶるはつきりして来るだろうと思いまするので私は弱小会社組合に参加し、その恩恵と利益にあずかることによつてつて行こうということであるならば、または法律がその利益を與えようという目的であるならば、正会員でなく准会員であるので、ここに会員としての強さはないのでありまするから、ただそれだけの目的であるならば、今申したように三隻程度を持つている弱小会社に対して、このトン数を五百トン程度にしてもいいじやないだろうか、三隻持つても四百トン、四百五十トンになるのでありますから、これを五百トン程度にしてもいいではないか、それでもなお三百人という人員はむしろ多過ぎることになろうと思いますので、本質的にこれを研究して、今申し上げたように、各業種別にそのトン数と従業者の人員を定むべきものではないだろうかと考えますが、これに対する御意見を伺いたい。
  38. 曽根徹

    曽根説明員 ただいまかつおの経営規模について御指摘がございました。私ども弱小といえども、法人規模考えました場合、経営のための事務員の数等をも、非常にラフでありますが、勘案いたしまして、乗組員より多少多い数を考えて、しかもそういう数が一番時期的多いものはかつお漁業ではないかということで、かつお漁業で最大の従業員を大体勘案したわけでございます。なおそれは乗組員のほかにも事務員をも勘案したということであります。  それから第七條によるようた業種別的な規模制限する方法はなかつたかという御質問でございますが、当初そういうことをも考えたのでございますが、御承知のごとく第七條は業種別組合についての規模制限をしておるわけでありまして、法人漁業経営する場合には、業種別ではなく、多角経営をする場合もあり得るのでありまして、これを業種別に規定したのでは法人として非常に不便になるのではないかということを考えたのでありまして、勢いそういうふうな業種別的なきめ方は非常に困難であるという考え方から、一般的に三百トン、三百人というふうにしたわけであります。なお隻数についての御意見もございましたが、これもいろいろ経営規模がございますので、隻数等でいたしますことは、たとえば定置あるいはきんちやくあぐり等の小舟等をたくさん使用する漁業等も含めますと、勢いこういうふうな大まかだきめ方が一番便利ではないかと考えて、こういうふうにきめた次第でございます。
  39. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいまの説明で、何か内容はよくわかりませんが、私の申し上げたことに対して、非常に複雑になり、それがかえつて不利になるのではないだろうか、こういうような御答弁でしたけれども、私の質問しておることは、この弱小会社のために利便を與えることが法律の目的であるならば、この法律の目的を生かすために、今私の申し上げたような具体的な人員とトン数の割振り、これが業種別に区分すれば非常に考えやすいし、やりやすいのだ、こういうことで申し上げてあるのであつて、もしこれが法律上そういうことはできないという何かあれば、これはやむを得ないですけれども、そういうことは実際に弱小会社に対しての利便を與えることであるということになつたならば、もう一ぺんこの内容に対して検討してみたいものである。これは今日全部これを決定するわけではないのですから、この問題はまた各委員とも諮つて、適当な機会にまた意見を発表したいと考えております。  それからこれはまことに簡單なことですが、「組合の地区内に住所又は事業場を有する漁業を営む法人」ということは、たとえば東京に本社があつて、各地区に事業場を持つておるという場合に、この地区の事業場に対するトン数、漁業者の人員を考えたことであるか、会社全体の規模のその上において、これは考えたことであるか、これをお伺いいたします。
  40. 曽根徹

    曽根説明員 これは会社全体について考えたことであります。
  41. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 わかりました。それではもう一ぺんお伺いしたいことがあります。先ほど田口さんからも御質問なつておりましたが、第三十六條の二に「組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業を営み又はこれに従事する者は、当該組合理事、監事、参事又は会計主任になることができない。」と明記してあることは、非常に大きな問題となるだろうと思います。ただいまの説明によつて、ある程度は納得が行きましたけれども、実際の事業の運営というところへ行つて、御説明なさつたその通りであるかどうか。事業の運営上円満に行くかどうか。この点については私は非常な疑惑を持たざるを得ないのであります。たとえばかつお、まぐろの場合をとつても、一人で三そう四そう持つておる人方もあります。そうしてその人方が現在理事なつておるでしよう。もしこのかつお、まぐろ協同組合が、組合で自営するという段階に入つたときに、その業者の人方は、この理事、監事になることができないということになつたならば、この組合の運営は、全然業者にあらざる人方が役員に入つて、これを運営することになる。そういう場合に、これまでの業者との間に何か摩擦が起きないかどうか。そしてまた「競争関係」とありますけれども、これまでの私どもの知つておる限りにおいては、業者なればこそ組合のめんどうをみて、円満にこの運営をはかつて行くというところに持つて来たのではないだろうか。それを今業者は排除して、業者にあらざる人に全部の事業をまかしてやるという場合に、はたして組合は円満な運営ができるかどうか。こうした点は実際問題として非常に疑惑を生ずるのではないだろうかと思うのでありますが、この点に対してどういうお考えであるかお伺いいたします。
  42. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 お話のような点は十分あると思いますので、私の方といたしましては、この法律施行されます場合におきましては、その範囲を明確にいたしまして、これは先ほど田口委員からもいろいろ御意見もあつたのでございますが、公正取引委員会その他と十分打合せをいたしまして、明確な通牒を出したいと存じておるのでございます。なおただいまお話がございました業種別組合の日常といつたような点は、法規上できないような建前なつておりますので、具体的にはそういう事例が起らないとは思うのでございますが、地区組合漁業自営といつたようなものと、役職員である漁業者漁業といつたような、具体的な事実問題につきましては、事実上競合関係が起らないという解釈のものに進めておるのでございます。
  43. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 しかし法律はつきりこうしたようなことを明記いたしたあとで、何かしら時の事情によつて考えるという程度のことでは、非常に弱いではないか。もしそういうようなことをお考えなつておるのであつたならば、この法人に対してもう少しゆとりのある文章を挿入したならばどうかと考えるのでありますが、これもあとの問題として保留しておいて、適当な機会に委員諸君に諮つて委員会としての考え方をとりまとめてみたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  44. 石原圓吉

    石原委員長 他に御質問はありませんか。――本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  45. 石原圓吉

    石原委員長 なおこの際お諮りいたします。地方行政委員会において審議中の地方税法案につきましては、先日より慎重に検討を重ねて参りました漁業に対する附加価値税、漁業権税等、内容的に当水産委員会とも重要な関連がありますので、早急に地方行政委員会と連合審査会を開くこととして、その旨当該委員会に申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 石原圓吉

    石原委員長 異議なしと認め、さよう決します。なお開会日時、場所等は、地方行政委員会にてこの申入れを受入れた後、両委員長において協議の上、お知らせいたすことといたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時四十一分散会