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夏堀委員 農林大臣にお伺いいたします。最近人事問題について二つのおもしろい問題がでつち上
つた。
一つは
中小企業の問題、それに加えて大蔵
大臣の放言、これが大きく社会に取上げられて政治問題となり、そうしてこの問題を
銀行等においても相当検討して、非常に活発に動いて来たということであります。もう
一つは、その反対に
水産庁長官の問題であります。これは前の
委員会において
農林大臣の御
意見もありましたし、
委員諸君の御
意見も
発表にな
つたのでありますけれ
ども、この結末は何が何だか結局責任をとらせたんだ、罷免させたんだということで、ぼやつと
なつちや
つて、結果において
水産庁は非常に沈滞して、
委員会でいかに質疑応答を重ねたところでどうにもならんと、私
どもは
考えております。これにどうして活気を入れるかということが問題にな
つておるのであります。
さしあたり農林大臣は、次の
水産庁長官を御任命になる、その御構想は何かおありでしようけれ
ども、その時期及びどのようなことをお
考えにな
つておるか。それで現在の沈滞した
水産庁の問題をどうお
考えにな
つておるか。最高責任者としての御
意見を承わりたい。
なお先ほど
金融問題で私いろいろ質疑をしましたが、
中小企業を大きく取上げられたけれ
ども、漁業
関係はま
つたく無規されておるというか軽視されておるというか、たとえば税金
関係でも、これはどうかと思いますけれ
ども、ある
地方では非常に生活に困
つて、不漁の結果どうにもならぬとした場合に、船舶、しかも零細漁民の小型船舶、漁具及びバッテリー、帆、そうしたようなものも差押処分を受けておるのであります。これは一体いいのか悪いのか、これは明らかに国税徴収法によ
つて、第十七條に職業に必要なる器具及びその材料は差押えしてはならぬということが明示してあるようであります。なお最近復金及び勧銀
方面から償還期がだんだん来ておりますので、非常に強いことにな
つております。これは当然なことでありますが、戰災において燒失した船舶、当時軍から徴用されたか、だれも好んでその徴用に応ずるものはないのであります。しかしそうした
事態によ
つて、やむを得ず徴用されて船舶は燒失し、それに対する保險金さえ満足に受取れない。かかる
金融関係においてどう
政府はあつせんするのか。現在の代船はある
程度建造されたのでありますけれ
ども、こうしたはめにな
つて、なお現在において、債権者として当然やるべきことではあるかもしれませんけれ
ども、これに対して強硬に処分、
処置をするということに対して、
政府はどのようなお
考えを持
つておられますか。
なおもう
一つ金融の
関係で、今
大臣がお見えになります前に、
金融対策に対していろいろ質疑をいたしましたが、私はこの際に大きく恒久
対策として、この問題を根本的に解決を
つけなければ割り切れないものである、こう
考えております。まず漁業法の改正だより、漁業権証券の交付は二箇年後になるわけであります。これは漁業権証券の交付によ
つて、その証券を現金化するということを、
日銀等の操作によ
つてやらなければ、どうにもならぬような状態にな
つておる。それによ
つて水産業の
金融は、根本的に解決がつくのではないだろうか。できろならばここに水産金庫の設置を要望したい。これに対して
水産庁長官は、ごもつともである、そういう線で進みたいものであるという
答弁に接しておるのであります。私はここに大蔵
大臣にきよう申し入れたいことがあるから、これはできるかどうかわからぬが大きな問題なので、漁業法改正によ
つて漁業権証券の交付は二箇年後になろのでありますが、目下の窮迫せる現状にかんがみまして、これに対してのつなぎ
資金として、
政府より何か仮支出の
方法を法的に研究して、ここに充当すべき
資金をも、見返り
資金の運用と相ま
つて、急速にこれが実現をはか
つて、水産金庫を設置するということによ
つての水産
金融の根本的な解決策を、ここに見出さなければいかぬではないか。私がこう申しましたところで、二箇年後の証券の交付を、今からそのようなことを
言つてもこれはむりである。こうお
考えになることは当然であります。私もむりなことは知
つております。けれ
ども日本の水産は、補給金の打切りによ
つてまた
統制撤廃、
魚価の暴落、加えてこの金詰まりによ
つて、もう二進も三進もできないのだ、いわゆる壊滅状態に瀕しつつあるのだ、そうして
政府及び国民は、これはいわゆる政治的な面が足らぬということは、われわれにもこの責任はあるではありましようけれ
ども、これに対して顧みるものがないといたしますならば、三百万漁民の名によ
つてわれわれは
政府に対して何かしら要求せざるを得ない
段階に到達するおそれが多分にあると思いますので、これに対する根本策を講じてもらはなければならぬ。きようはきようのお願い、あしたはあしたのお願い。こう
委員会で毎日騒いでお
つたところで、その効果まことに乏しい。それでこれに対する根本
対策は、こうした大きな問題によ
つて解決点を見出す以外にはないではないだろうか。しかしそれは非常に困難なことである。非常に困難なことであるから、これを一拳に打建てるということはむずかしいというのであるならば、政治という力によ
つて国民を救済することは、これはいやだというように解釈してよろしいか。私がただいま申し上げましたように、税金のために生活必需品及び生活資材さえも差押処分を受けねばならぬ漁民の窮状を訴えて、世界一の産業である水産を、伸ばせば伸びる力を持
つているにもかかわらず、政治力の乏しいために、そのまま無視、軽視されるということに対して遺憾の意を表するのであります。先ほ
ども申し上げましたように、現状のままでは水産は壊滅状態になるおそれが多分にある。ゆえにここに大きな政治力によ
つて、救済し得る
対策を
農林大臣はお持ちにな
つておるかどうか。これは今はこの
程度でありますけれ
ども、おそらく次の秋漁期には資材を購入する場合に、二倍、二倍半に上るためにそれの購入ができず、
魚価の安いために経営が成り立たないということになろおそれが多分にあることを私は心配して、今この問題を取上げたのでありますけれ
ども、これ以上零細漁民はどうにも生計が成り立たず、一村落全部その日の生活ができないということがざらにあるのではないだろうか。これの
対策はどういう
方法を持
つて行けばいいのだろうか、これをお伺いしたいのであります。
そしてなおあと
質問者もあるでしようから簡單にしますが、私は
西村政務次官の先ほどおつしや
つた自由
経済論に対して、いささか
意見を異にしておるものであります。なるほど自由
経済は力のあるものが金を持
つて行つて安いものを買
つて来ることは一向さしつかえない。どこへ持
つて行こうと一向さしつかえない。それはその
通りであります。力の弱いものは整理され、力の強いものは伸びるということは自由
経済の建前でありますけれ
ども、現
段階の
中小企業を基盤として日本の
経済を再建するという立場をとるのは、何ら現在もかわりはないと思うがしかるに見返り
資金等の運用についても、一般の
中小企業及び零細漁民に直接わたるような形にはな
つておらず、大資本企業体にのみ
融資されておる現状である。これを
組合の組織によ
つて弱い
中小企業を救済することがいわゆる政治であり、自由企業においてなお一層それを強化したければならぬという
考えを持つことは、当然であると私は
考えております。
にしん漁業においても金のないものは
銀行の
融通を受けることができませんために、動くことができないで困る。そのために一般消費者も困る。こうしたことを自由主義
経済の極端なあり方によ
つて放置するならば、需給
関係は
混乱し、生活は脅かされ、生産は停頓する。それで政治が成り立つかということを、私は言わざるを得ないのであります。そうした
意味において、政務次官の言
つたことは私は違
つた意見を持
つているものであります。極端な資本主義のあり方に対しては、私は遺憾の意を表するものであります。
経済力の乏しい
中小企業農漁村の大衆に対して、
政府かどこまでも救いの手を伸ばさなければ、私は自由党としても今後において非常に困難な
段階に入ることをおそれるのであります。おそらくこれは政治家として、どなたも
考えざるを得ないことであり、自由
経済に対する極端な資本主義的なあり方に対しては、私は過渡期において相当大きな政治的な手を伸ばさなければならぬと思います。以上
農林大臣と、先ほど
西村政務次官のおつしや
つたことに対し、私の
意見を加えまして、御
答弁を煩わす次第であります。