○
飯山政府委員 夏堀
委員の
発言につきまして、関連して玉置
委員、
松田委員、中西
委員並びに田口
委員、皆様から御
発言があ
つたのであります。今第一点といたしまして、
水産庁の施策が、いわゆる
資本家を重点に
考えて擁護する。そうして
零細漁民を軽視するというような
見解ではないか。こういう御意見のようであります。この高度
利用が問題にな
つて出て来たのでありますが、これは
水産行政全般に関する御意見と私は拜聽してお答えしたいと思うのであります。
漁業法の
改正は申すまでもなく、これは民主化の基本線に沿うというのでありまして、
従つて資本家を擁護するというようなことがその線でないということは、これははつきりいたしております。私
どもとしましては、いかなる問題を論議する場合でも、少くもその問題が沿岸
零細漁民とどういう
関係を持つかということは、忘れてはならないのでありまして、私
どもはそれを常に論議いたしておるのであります。
従つて水産庁といたしましては、決して行政の重点を
資本家に置くのでないということは、私ここではつきり申し上げます。しからば五大
会社にのみこれをするのはどういうわけだ。こういうことになるかと思うのでありますが、実は高度
利用の問題は、
関係方面のたら、すけそう、特に北海道のすけそうの問題でありますが、これが昨年から本年、ことに夏にかけまして非常に増産された。それが肥料にな
つておる。こういう事態でアメリカから食糧を仰ぐということは許されないのではないか。これをできるだけ今の冷凍、もしくは仕入れというものにして活用すべし。その案として冷凍運搬船の建造、あるいは冷凍庫の設置というようなことを
考えろ。こういうことであ
つたのであります。その線に沿
つて私
どもが
考えるときに、五大
会社からそういう出願があ
つたのであります。しかし新聞に載
つておりますのは、五大
会社ときめたように載
つておるようでありまするが、先般も北海道の信連の会長が見えまして、少くも生産地においては五大
会社の必要はない。むしろ
協同組合でやるべきだということであ
つたのであります。私
どもも五大
会社の出願と同時に、
協同組合にこれをさせなければならぬという
考えは、論議の中に相当強く出ておるのであります。ただ今
協同組合が発足の途上にあるので、今
資金をただちにたとえば
エード資金を全額援助というわけではないので、
資金を持たなければならぬ、その自己
資金がない。それからその
規模が、北海道の連合会が絶えず遅れておるという
事情がありましたのですが、まだ五大
会社にきめてはおりません。それから五大
会社にやらす場合でも、今の民主化の線に沿
つた行き方をしなければならぬ。先ほど
松田委員からも指摘されましたが、生産
設備を五大
会社が将来持つであろう、五大
会社が北海道の生産にまで乘り出すであろうという御意見がありましたが、私
どもとしましては、将来かりに五大
会社をつく
つたといたしましても、その
漁村に実力を備えた場合には、それは
漁村に移すべきであるという
見解を私としては持
つておるのであります。
従つて今度五大
会社が公共性を持つという意味から申しましても、この利益がもしあがるというようなことがありますれば、これは当然還元させる
方法も條件としてつけるべきだと
考えております。しかしながらこの高度
利用の
設備が、ただちに相当の收益をあげることは、これはおそらく事実において困難だと
考えるのであります。
従つてその犠牲を拂う場合に、
組合においてその犠牲を国家が補償するというような道がありますれば別問題として、今ようやく発足しておるところの
協同組合に、目に見えた犠牲を拂わせるというような仕事をさせることが、はたして民主化に沿うゆえんであるかどうかという点については、これは経済的に問題があるのであります。
方針といたしましては、民主化としてこれらの事業は当然
協同組合にさせなければなりませんが、しかしその犠牲を拂
つてまで
協同組合にやらせることはどうかという問題もあるのであります。
従つて今度五大
会社とはきめておりませんので、北海道の信連におきましても計画を立てる。こういうことでありますので、北海道において計画が立つ場合には、まず優先的に、私
どもとしてはそのうちから
協同組合に実施させるという
方針をと
つて行きたい。かように
考えておるのであります。今後いろいろな
漁業に関しましても、これは公共性を持
つておる
漁業というものは、国際的あるいは天然
資源の
関係から見ましても、国民全体のものだという
考え方で行かなければならぬ。そういう
考えで私はおるのでありまして、要するに利益の独占になるかどうかということに、一番問題が具体的にあるのではないか。つまり犠牲を拂
つた場合に、その犠牲をその者の犠牲においてのみして、そうして單にその收益だけを与えるということはむずかしいことだ。私
どもは五大
会社がもし実施する場合においては、今の生産地元との
連絡、あるいはその利益の分配とかいうようなことについては、相当の
考えをまじえて行くべきだ。
水産庁としては
資本家、特にそういう巨大な少数の
資本家に、
日本の
水産業を移させて行くということは避けなければならぬ。またそういう
方針は絶対にと
つてはならない。今の
漁業法の精神に基いて、今後の
水産行政の
方針は進めなければならぬ、また進めるという
考えを私は持
つておるのでありまして、今の
資本家だけを助けるというのでなくして、この際実施した上で、もしそれが利益があがるようになるという場合には、その工場をやはりその地元と結びつけて、生産手段にまで
漁民の中に
資本が浸透して行くというような政策は、これは私
どもとしてはできるだけ防止しなければならぬ。いわんや
水産庁がそれを奬励するとか、そういう
方針を持
つておるということは許されない。かように
考えております。
それから
松田さんからいろいろ出ましたが、いろいろな重要問題を、
水産庁独自の狭い
見解で実施するために、実際面において種々の
支障を来すという御忠言に対しては、私は心からこれは受けなければならぬと思
つております。御
承知のように重油の基本配給の制度の変化が、現在各地において非常に
支障を来しておるという事実も実はありますので、地方の調整
事務所の
水産課長を集めて、この打開策を講じようという方策を立てておるのでありますが、これも確かに指摘されるように、もし
漁民全般の代表である皆様のお知惠を十分に借りることかできたならば、こういう失態はなか
つたのではないかということを、私はその
通り了承いたすのであります。
それから玉置さんから、五大
会社というのでなくして、相当の資産を持
つておる者にこれをやらせる意思はないかどうか。こういうお尋ねであります。これは先ほど申し上げましたように、五大
会社というものは、たまたまそういう出願があ
つたので取上げたので、私は五大
会社に限るという意思で五大
会社だけを
考えたのでも何でもないのでありまして、問題は北海道の高度の
利用が主たる目的でありますから、その目的を達成する上において、今の民主化の線と織り合してこれを実施して行くという
考えのもとに、適当な施設あるいは自己
資金を特に備えているものであれば、適格者として
考えて行くべきだという
考えを持
つております。
中西さんの、
漁業協同組合の経済的裏づけが何もなくして二十四年度、二十五年度の計画が出たが、これは五大
会社中心で
考えているではないかという御指摘であります。来年度の六十億及び今年度の十九億は、これは五大
会社の高度
利用ばかりではないのでありまして、比較的零細な
漁民の仕事であるさんご
漁業を、
水産貿易の見地から復活させる
資金も含まれております。それから船だまりあるいは船引揚場というようなものまで、
協同組合で修理、新築して行くことは今日できかねますので、船だまり、船引揚場あるいは共同加工場というような、主として
協同組合員の
利用にまつような施設は
エード資金によ
つてまかな
つて行こう、こういうことももちろんしているのであります。なおこの六十億の計画については、皆さんに印刷したものを差上げたいと思うのでありますが、私
どもの計画は、この
エード資金を五大
会社のみに
考えているのではなくして、六十億の大半は、
協同組合関係を主体としたような事業にこれを向けて行きたいと
考えているわけであります。今の
エード資金の
利用を五大
会社だけに独占させるという
方針でないことは、ひ
とつ御了承を得たいのであります。
田口
委員の御意見についてちよつと触れたいことがあります。実は
漁業手形については、最初これを実施するかせんかという境に立
つたのであります。もし積立ての二倍程度の
融資であるならば、これは手形をしたところで大した効果が得られないではないか、むしろ私
どもは十倍ということを
要望してお
つたので、二倍ということなら、この制度を遅らしても十倍になるように持
つて行くべきだという意見もその際出たのでありますが、いろいろな
事情からしまして、それを十倍なり八倍にするというようなことをや
つておりまするならば、実施の時期が遅延して、ますます困難になるであろう、
日本銀行方面においても、この際まず試験としてこれをや
つてほしいということで二倍以上ということにな
つているので、二倍と限定されたのではなく、とにかくこの制度を実施するのに、これ以上の條件ではもうできない、こういう段階に達しましたので、私
どもはこれはいわゆる橋頭堡と申しますか、この制度を実施するためにはやむを得ない。しかし漸次御
要望のあ
つたように倍率をふやして行くことは、どうしてもやらなければならぬので、この点については今研究しているのであります。どの業種でも、向うに認められるものから倍率の変更をして行くというような
考えで、今努めておるわけであります。
預金部の
関係は、これは
関係方面が国債もしくは地方債以外に
融資を認めるということにさえなれば、大蔵当局も
水産については特に協力しようという熱意が強いわけであります。要は、使途の
制限を解くことさえできますならば、これは余剩も非常に多いというような
事情から見ましてもできるのでありますから、この
制限緩和については、ぜひ大蔵当局並びに
国会の有力なる御協力を仰いで、一日も早く使途
制限を撤廃してもらうように、お願いいたしたいと思うのであります。
それから中金の問題でありますが、実は中金は四億の
資本が八億になり、今の十倍が二十倍になるというように伺
つております。
水産方面はあそこに預金が少くて貸付が多い、たとえば一億の預金に対して十五億も貸
出しをしているというようなことを、いつでも中金に指摘されます。御
承知のように農業
協同組合に
水産の預金は相当入
つていると思いますが、これの数字は実はなかなかはつきりつかめないのであります。とにかく中金については、
水産預金をふやすようにしてほしいという
要望を、私
どもいつも受けるので、先ほ
ども申しましたように、何とか
漁村の預金を
協同組合に集中して、これが中金と結びつくようにすることができますならば、中金の
水産に対する
融資の増加ということは容易にできるのではないか。なお将来の問題としましては、今度の四億の増資に対して
水産方面も一億ぐらい持
つてほしい、そうして
水産の方の
金融力も拡大して行こう、こういうお
考えもありますので、われわれはこの増資についても、
水産方面が奮
つてこれを引受けるように願い、もしこれができない場合には貸してもらいたい。
漁村には金がないから、増資分の出資を
金融方面で
考えてほしいというようなことで、実は
理事長にも
要望しておるようなわけであります。田口
委員の御意見はま
つたくごもつともで、
金融問題の解決がかか
つて水産の実をあげるゆえでありますから、皆様の御協力を仰いで努力をいたしたい、かように
考えているわけであります。