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1949-12-21 第7回国会 衆議院 水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十一日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 中西伊之助君    理事 早川  崇君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    玉置 信一君       冨永格五郎君    井之口政雄君       水野彦治郎君  出席政府委員         水産庁長官   飯山 太平君  委員外出席者         農林事務官  松任谷健太郎君         農林事務官   大澤  融君         農林事務官   奥田  孝君         農 林 技 官 曽根  徹君         農 林 技 官 高木  淳君         農 林 技 官 林  眞治君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君 十二月二十日  委員田渕光一君辞任につき、その補欠として松  野頼三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水産行政に関する件     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  本日の議題に入ります前に御報告申し上げます。去る十九日委員奧村又十郎君が委員を辞任され、その補欠として同日議長におきまして山崎岩男君が委員に選任されました。また昨二十日委員山崎岩男君及び田渕光一君が委員を辞任され、その補欠として同日議長において奧村又十郎君及び松野頼三君が委員に選任されました。  それではこれより昨日に引続き水産行政に関する件を議題といたしまして審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。井之口政雄君。
  3. 井之口政雄

    井之口委員 昨日の見返り資金からの二十四年度の融資関係でございますが、その点お調べになりましたでしようか。
  4. 飯山太平

    飯山政府委員 昨日漁港関係エード資金見返り資金漁港の方に出しておる、三億万円出しておる、こういうお話であつたのでありますが、私どもの調べた範囲では、実は見返り資金漁港には現在出ておりませんので、見返り資金として出ましたのは、二十四年度にわずかに北海道の魚田開発に一億万円出た。それからアメリカ式に一億万円ということを政府としてはきめましたが、これは司令部関係におきましてもいろいろ異論があつて、実際にはその支出が出ておりません。現在としてはそれまでであります。ただ二十三年度に農林漁業復興資金特別会計法ができまして、それで漁村の施設をするということに相なつたのであります。それから漁港修築として千八百二十六万円が漁港の方に出ておるのであります。それからかりに三億万円は別といたしまして、それについて管理監督はどうか、こういうお尋ねがあつたのであります。実は協同組合あるいは漁業会関係管理監督地方長官にあるわけであります。もちろん農林省といたしましても、これが正しく使われておるかどうかという点については、重大な関心と責任があるのでありまして、ただいまのところでは、それが昨日お話のようなほかに使われたという事実は見出しません。大体きのうの御質問の点はそれで盡きておると思います。
  5. 井之口政雄

    井之口委員 終戰後復興金庫から約二千億ぐらいというお話つたと思いますが、それ以外に漁港に対しまして何らの融資または補助金というものは出ていないのでございます。日本の重大な漁業問題に対して、政府からそうした金がたつた二千万円ぐらいのものしか出ていないといたしますれば、非常にこれは等閑に付されていると思うのでありますが、その点まとめて、戰後の状態を総括してお答え願いたいと思います。
  6. 飯山太平

    飯山政府委員 実は漁港に関しましては、政府からは、二十四年度におきまして大体五億八千万円だつたと思いますが、これは公共事業として出ております。しかし今の貸付金としては二千万円しか出ておりません。それで予算上におきましては、公共事業費として約六億に近いものが漁港修築のために支出されている。それから災害復旧として三億——詳しい数字は今漁港課長から報告いたさせますが、大体災害については三億八千万円かと記憶しておりますが、それが出ております。なお二十四年度において、デラ台風を初めとしていろいろ災害がありました。その際の短期の融資として、二十四億ぐらい出たようでありますが、全産業の復旧費でありまして、それは各地方長官がそれを水産幾ら農業幾ら、あるいは土木幾ら、こういうことになつておる分が二十二億ばかりあつたと思います。以上であります。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 なおその点はあとで詳しく調査して出していただきとうございます。それから今のお話では、二十四年度見返り資金から出たものはわずかなようなお話でございましたが、捕鯨の方に相当出てるんじやなかろうかと思いますが、どうでしようか。
  8. 飯山太平

    飯山政府委員 見返り資金からは出ておりませんです。あれは十一億の修理費と、それから二十八億の運転資金と申しますか、これは銀行関係から出ておりまして、別にエード資金からは出ておりません。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 一月ころまでにお出しになる予定である漁船法案は、まだ御説明がないので内容はよくわかりませんけれども、これは一本づりをやつてるような船まですべての船に適用されるものでございましようか。普通の大会社漁船にだけ適用されるようなものでしようか、どうでありましようか。
  10. 飯山太平

    飯山政府委員 今立案いたしております漁船法案は、大体長さ十五メートル以上ということになつております。それは現在水産庁許可あるいは管理しますものが十五メートル以上のものになつておりまして、十五メートル以下のものは地方長官許可ということに相なつております。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 この漁船法案は、おそらくさきの国会に出ました官庁の定員法みたいなものになるんじやなかろうかとも思われるのであります。かなりこれで制限されて、漁船の発展を阻害するようなことになるんじやなかろうかということを懸念するのでございますが、その点の考慮は沸われておるのでごさいましようか。
  12. 飯山太平

    飯山政府委員 この漁船法の精神は、実は現在運輸省の方に漁船建造許可というようなものの権限があるわけであります。そのために漁業の基盤である漁船管理上、農林省運輸省、こういうことに相なつておるために、相当漁業上に支障があります。また漁船検査は海上保安庁がやつておるがために、漁期その他とマツチしない。漁期になるけれども向うの事務の都合で漁期までに出られないというような、いろいろそういう実際上の面においての支障が少くないのであります。そういう点を農林省一本にして除こう。またもう一つは、造船法というものが第五国会に出ましたときに、実は本常任委員会におきましては非常なる御努力をされて、運輸委員会とも十分なる御連絡をされまして、それが提案の運びになりかけたものを、当委員会におきましてこれをとりやめたとい うようないきさつもあるわけであります。もし造船法の中に漁船が含まれるということになりますれば、先ほど申し上げたような、現在非常な不利不便を忍んでおることがそのまま続けられる。こういうことに相なつては非常に困る。これは一般水産漁業者要望も多年あるわけでありますが、漁船行政水産庁一本にしてほしいということは長年の、おそらく二十年来の問題だと思いますが、そういう意味でやりましたので、むしろ漁船発達助長にこれは必要である、役立つのである、こういう考え方であります。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 八月でしたか、政令によつて漁船無線電信のとりつけその他いろいろな設備規定がいろいろ出されているようであります。資金のないような中小以下の漁船にとりましては、これを設備するのに非常に困難を感じております。そういう関係で、もし今度の漁船法にそういうふうなものが詳しく規定されるようなことになりますると、相当実情に合わないような、過大な要求を漁船にするようなことになつて発達を阻害するような点が起るのじやなかろうか。その場合に何か補助金の裏づけとか何とかいうものがあれば、これはいい設備が行われるでございましようけれども、そういうふうなものが欠けるといたしますれば、中小漁業者の方々に非常な困難と負担の大きなものをかけて、おもしろくないことになりはせぬだろうかということを懸念するのでございますが、その点どうですか。
  14. 飯山太平

    飯山政府委員 今の五十トン以上に無線電信をつけるという問題は、御承知通り東支那海における漁区の関係から、実は関係方面のそういう要望もありまして、あの以西底びきの漁船の五十トン以上には必ずつくべしということに相なつたのであります。しかし今お話のように、これが資金というものに、それでなくても相当漁業者としては困難しているわけでありますので、その際われわれといたしましては、これを銀行方面から融資するということをあつせんいたしまして、日本銀行斡旋部からこの無線電信をすえつける場合の金融の道を講じたわけであります。今補助金というものは、御承知のようになかなか出すことは困難でありますので、そういうふうな金融をはかつて行くような考え方をもつておるわけでありますが、もちろん中小の、漁場の距離の近いものにまでつけるというようなことは、強制はどうかと思いますが、少くとも遠洋に出るものは、その遠洋漁業経営の上からも、また人命関係の上から見た遭難防止という点からも、これはどうしてもつけなければならないというように考えるわけであります。従つて今言う通り、そういう場合には、たとえば以西底びきとか、かつお、まぐろとか、こういうものの無線装置につきましては、私どもとしては設備資金というようなものは、ちやんと無線電信用としてわくをつくるというようなことにいたしたいと思うのでありますが、これは金融事情がそこまで許されないので、今はその都度日本銀行方面、あるいは中央農林金庫というような方面連絡をとつて、その支障のないように努めておるわけであります。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 何かそれにつきまして現に効果をあげた実例でもございますでしようか。そういう希望をただお持ちになつているだけでなくして……
  16. 飯山太平

    飯山政府委員 これは御承知通り無線をつけて漁業をやる、つまりいい漁場に船を動かすということの場合には、どうしてもこの無線がなければならぬのでありまして、これは現実につけた船とつけない船との業績というものは明らかになつております。数字的には今持つておりませんけれども、もう事実においてこれは立証されております。
  17. 松田鐵藏

    松田委員 今の無電に関しての井之口委員質問に対して、私の知つている事実をお話ししたいと思います。私ども昨年紋別で三十トン以上の船に二十二の無線電話をすえつけたのであります。無電をすえつける船は五十トン以上の遠洋漁船に対してということになつておるのでありまするが、私ども人命遭難防止及び漁船漁獲に対する科学的な操作、そうした観点から、自分らの自費をもつてその無線電話をつけたのでありまするが、これに対して今年において約四艘の船が遭難を防止されておるのであります。しかもそれは沖合に非常に突発的な台風が参りまして、その当時二艘の船が機関に故障を起して流れてしまつた。そのときにおいて、無線電話を持つたその隣りにおつた船が、無線電話でもつて連絡したために、十何艘船が出動いたしまして、その船二艘を救助したのであります。ところがことしの春、捕鯨船が、ミンク船で、わずかに二十五、六トンの船であつたのですが、これが無電をつけていなかつたばかりに、その行方が現在でもわからぬというような状態になつておるのであります。無電をつけるということは、わずかに一艘の船で三、四十万円の機械をつければいいのであつてあと無電局を持つておればそれで連絡ができるので、漁夫を十人なり二十人なり乗込まして、危險な沖合出漁するのには、これは政府補助または政府の援助というものよりも、みずからがその方法によつて従業者の安全をはからなければならないということが、最も重要なことでなかろうかと考えるのであります。また沖合から、きようの漁獲はどのくらい——朝の漁獲はどのくらいで、晝の漁獲はどのくらいであるということが、刻々時間をきめて報道されるので、その方面に対して船が集中して、いい漁場を探險して漁獲しておるというようなことで、私ども紋別港として、昨年の漁獲よりも三割方漁獲がふえておるのであります。かようなことで、一面においては生産の拡充になり、一面においては安心して出漁ができ得るということであり、また夜碇泊しておるときにおいては、ラジオを聞き、音楽を聞くというようなことで、非常に文化的な恩惠に浴することになつております。かようなことで五十トン以上——どもは三十トン以上の船につけておりまするが、五十トン以上の船にこうした娯楽の設備遭難防止設備、また増産をなすべき設備というものは、わずかの金額ででき得るのであるから、競うてこの方法をとつて行かなかつたならば——将来の日本水産というものに対して、こうした方法をとることが、非常にいいことであると、私はかように考えておりまして、井之口委員の御質問に対して共感でき得ないところがあるものでありますから、蛇足でありますが、申し上げる次第であります。
  18. 井之口政雄

    井之口委員 松田さんの御親切なお話で非常に事情がよくわかりますが、その三十万円の設備が、なかなか中小以下の人たちには、今日重税やいろいろなもののために悩んでおりまして、融資がないとその設備が早急に進まないだろうと思つております。そうしますると、自然とその船が停止しなければならぬ。その人たちが失業しなければならぬというふうな目にもあうと思うのです。その融資の点は、ひとつもつと徹底的に進めていただくような方針になつてもらうことを希望いたします。  次に、水産協同組合法の一部を改正される御意思があるということであります。その改正の中に、法人加入を認めるというふうなことを、昨日仰せになられたようであります。法人がもしこの水産協同組合法人として加盟するということになると、その法人によつて水産協同組合本質がかなり曲げられてしまいはしないか。協同組合として零細なる漁民が力を合わして、自治的に運営するという美点が、法人加盟によつてつたく反対のものになりやしないか、これが非常に懸念されるのであります。だからして、法人加盟をもし計画されておいでになるといたしますれば、どういう形で、またこれが協同組合にどのような発言権を持つものか。そうした点をひとつ説明していただきたいと思います。
  19. 曽根徹

    曽根説明員 協同組合課長であります。ただいま法人加入法律改正をいたしますことについての理由といたしまして、現在税制等関係から、個人企業よりも非常に小さい、一ぱいの船だけで十九万圓以下のような会社がたくさんございまして、その会社協同組合利用できないということと、協同組合といたしましても、せつかく協同組合漁獲物をあげるというような場合に、協合組合法律の中に員外利用制限がございますので、その員外法人漁獲物を扱う上に、協合組合の側でも非常に不便である。こういうことから、協同組合利用の上から、ある程度の制限をしまして、あまり大規模でない、そういう個人企業とそう違わないような法人は、協同組合組合員として加入の道を開くことが、協同組合としても、またそういう小さい利用者としても、非常に便利であるというふうに考えておるわけでありますが、その発言権につきましては、これは正組合員として加入せしめるのではなく、準組合員として加入せしめるというふうに規定をいたしたいと思います。従いまして準組合員としまして、発言権協同組合の中にはないわけでありまして、利用の面だけ組合員としての道を開きたい、そういうふうに考えております。
  20. 井之口政雄

    井之口委員 水産協同組合加盟者は、みな漁業をなさつている方という制限があるはずでございます。しかるに法人に加盟している人たちの中には、漁民でない方も法人には加盟しておられる。それが法人として漁業協同組合に加盟することになりますれば、何ら漁業に携わつていない人たちが実際の権利を協同組合の中で行使するようになる。たとい発言権はないといたしましても、それが参加加入いたしまして、資本的な関係によつて力を得ることになりましたならば、結局は協同組合本質というものを失つてしまうような結果に立ち至る。ここから協同組合協同組合でなくなつてしまうという突破口が開かれると私は解釈されるのですが、この点はどうでしようか。
  21. 曽根徹

    曽根説明員 個人としてではありませんで、漁業を営むもの、つまり法人としての利用でありまして、個人としては発言権はございませんし、それからその会社出資者である個人としてこれを利用するのではなく、法人として利用するわけであります。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 法人発言権はあるのですか。
  23. 曽根徹

    曽根説明員 法人発言権はございません。準組合員でございますから、法人発言権もございませんし、組合員となるのは法人として組合員になるのであります。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 法人においては漁業者以外の方は当然いろいろ入つております。たとい小さいものであろうとも、資本を持つてつておるのであります。そういう方が現に資本の力で法人を左右している。それを協同組合に加盟させたならば、この漁業をしていない方方が協同組合加入するということに事実上なつて来る。この点を御質問したわけであります。それは協同組合の本旨にそむくようになるのではないかというのであります。
  25. 曽根徹

    曽根説明員 最初に申し上げましたように、税制等関係から、個人漁業者とかわらない規模のものでありまして、もちろん御指摘のように、その中には一部の出資者としての分も入つておると思いますけれども、その経営形態というものは、ほとんど漁民であるものが実際上あるわけであります。そういう方面への利用の道を開こうというのでありまして、発言の面においては法人発言は封ぜられておりますし、それからその会社経営については、もちろん出資者としましては発言権を持つておると思いますが、協同組合利用の面につきましては、利用するだけでありまして、経営の面については発言権はないのであります。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、やはり私などは、これは改悪になりはしないかということを懸念するものであります。とりわけ今度の漁業法によつて、地元の漁民漁業権というものがかなり制限されて来た形になつてつて、そこへもつて来て、なお自由にできるような漁業法人協同組合までも支配して来るというようなことが、この改正の結果起つて来るように懸念されるのであります。そうして役員の任期二年を三年にしてみたり、総会も十分の一だけの人間で資格を持つというふうに改正してみたり、倉庫の使用を今まで制限されて、他の方面には使えなかつたものを使えるようにしてみたり、こういうことをしたならば、次第に水産協同組合本質が失われて来るような改正になつて来やしないかと思いますが、この点が非常に懸念されるのであります。この点について、これは決して改悪ではない、もつと民主主義的に、ほんとうの零細漁民の生活を守るためのものであるというふうな改正考慮はお考えになつていらつしやらないのでございますか。
  27. 飯山太平

    飯山政府委員 ただいまの協同組合改正内容が、むしろ組合員福利増進というのではなくして、それが阻害するというようなものにならぬかという御見解でありますが、私どもといたしましては、実際の漁村実情から見まして、かような改正を加えることが、より現在の漁村の実態に徴して零細漁民のためになるのだ、こういう見解改正を加えましたが、この点になりますれば、これは意見の相違ではないかと私は考えます。
  28. 井之口政雄

    井之口委員 それではそれは具体的に法案が出て参りましてから検討することにいたしまして、次にらつこ、おつとせいの繁殖保護をするためのいろいろな法案をお出しになるそうでありますが、らつこ、おつとせいは戰前保護しておりましたし、当然しなければならぬものだと思います。これは日本近海の島々におけるらつこ、おつとせいの場合だと思いますが、これを侵す場合の取締りとして、現在警戒が十分できるか。場合によつて外国海軍の力を借りるような結果に立至りはせぬだろうかということを懸念いたします。もしそういうことになれば、たとい講和條約が結ばれて講和が成立いたしましても、外国の軍艦が日本の沿岸を警戒するようなことにならぬとも限らない。この点を心配しますが、どうですか。
  29. 飯山太平

    飯山政府委員 らつこ、おつとせいの取締りにつきましては、戰前に四国の国際協約があつたわけであります。それを戰時中にこちらは脱退した。こういうことになつております。それで今取締りが自力だけでできなくて、他国海軍にでも依頼しなければならぬのじやないかというようなお考えのようでありますが、戰前取締り農林省でやつてつたわけであります。戰争によつてこれを放棄したというのでありますので、他国海軍力まで借りなければ取締りができないとは考えておりません。また従来通りできるものだという考え方でこの取締り法を出す。こういうことになつております。
  30. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと井之口君に御注意申します。長官が昨日七項目のことを申し上げたから七項目について全部質問をしなければならぬということは先例のないことでありまして、七項目でも十項目でも長官として説明することはするのであつて、そのうちの全部を質疑しなければならぬということはないのでありますから、一つずつでなく、全部一ぺんに質問してください。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 それでは簡單に申します。資源枯渇防止法をお出しになるそうでございますが、もうこの準備としていろいろな整理をやつておられるのじやございますまいか。たとえば船についていろいろな規定を設けて、船が出て行かれないようにしておいて、ぼちぼちと出漁制限しているというふうな点はなかろうか。現在のいろいろな政令がんじがらめにしておいて、事実をつくつておいて、最後に資源枯渇防止法が通過しやすいようにしてしまうのではなかろうか。むしろこれは積極的にいろいろな科学的な方法をとつて資源の枯渇しないように、魚族が繁栄するように、そういう積極的な方面からやつて行かれたらよかろうと思うのでありますが、そうなるだろうかということが一つ。  それからもう一つ水産庁設置法をお出しになるそうでありまして、これでいろいろ配置転換によつて、なるべく首切りはやらないというふうな方針のようでありましたが、これによつて何名ぐらい整理されるものでございましようか。そういう点、定員とかいろいろそうしたものをひとつ知らしていただきたいと思います。
  32. 飯山太平

    飯山政府委員 第一の資源枯渇防止法の件でありますが、すでに事実においては、いろいろこれをがんじがらめにしておるのではないかというようなお話でありますが、現在までの水産庁政令あるいは取締規則は、漁業を最も健全に発達させて行こう、業者もできるだけ安定してもらおうというような考えでやつておるのでありまして、決して漁業者漁業をできなくするというような見解でやつておるのではありません。それから同時に、この資源枯渇防止法は、資源保護ということから来ておるのでありますが、これは半面において、二十五年度の予算にも、研究調査の費用としては全体の予算の四分の一ないし三分の一近くの経費をあげておるのであります。枯渇防止法を実施すると同時に、並行的に科学的の研究調査を行つて行く。おそらく来年度の新予算といたしましては、その点が一番重点的に計上いたされております。これは内定でありますから、予算提出前に詳細を申し上げることはどうかと思いますけれども、大体水産庁の二十五年度の予算は、いずれあらためて委員長にも適当な機会に御報告申したい。こういうことを申し出ておるわけであります。さようなわけで、決してこの資源枯渇防止法は、そういう現実を先に行つて、そうしてあと法律を出すというようなことでないことは、ひとつ御了承願つておきたい。  それから設置法で人員の整理ということがありましたが、私昨日もしそういうことを申し上げておるならば、それは私の誤りでありますから、お取消しを願いたいのでありますが、私は設置法改正するということは、漁業法が制定になりまして、そうしてこれを実施して行くということになれば、御承知通りこれは行政といたしましては最も重大なことであります。従つて現在の人員をふやさなければならぬのであります。しかしこれは予算関係もありまして、ただちに定員の増加ということは非常に困難でありますが、将来私どももこれは増員したい。こう考えております。その増員のかなうまでは、現在の人員において、最も有機的に、能率的にして行くためには、部内の機構を改めて、そうして定員の配置がえをするということによつて善処するよりほかに道はないという考えで、首切りというようなことは、実は全然私ども考えておりません。
  33. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 水産金融の問題でお伺いします。過般の水産委員会で、ちようどそのときに政府委員の方々はお見えにならなかつたように考えておりますが、水産金融に関する件として決議をしております。この決議の内容は、政府の方に書面をもつて申し出るはずであります。これは御承知でございましよう。それでその詳細は省略いたしまして、大体六項目になつておりますが、日本水産界の現状は、結局根本的な金融の対策を確立しない限り、全面的の不振を打開することはできないのでありまして、ここに六項目にわけて、この金融対策を確立してもらいたいということなんであります。これに対して水産庁においては、どのような具体的な実施の方法をお考えになつておるか、もしありますならば、この機会にお伺いしたいと存じます。
  34. 飯山太平

    飯山政府委員 ただいまの夏堀委員金融の対策いかんということでありますが、その根本策はどうか、こういうことを第一点にあげられております。この点につきましては、二十四年度としましては、預金部資金エード資金から設備資金面のわくをつくつてもらつて設備資金に充てたいということで相当折衝をいたしたのでありますが、遺憾ながらわずかに二億程度がエイド資金から融資されるというようなことで、預金部は関係方面関係で、大蔵省も非常に御協力したのでありますが、実現できなかつた。二十四年度にはまつた設備資金というものは何でありまするが、しかし今なお実は二十四年度としてこの漁村の恒久設備、たとえば共同加工場であるとか、あるいは船だまりであるとか、こういうものについての資金の融通を現在も求めつつあるのであります。これについては、関係方面も御協力を願つておるのでありますが、何しろ期日もすでにあと三箇月しか残しておりませんので、これが実際に実現できるかということは、私どもでも心配しております。そういうことで、今のところ漁業手形によつて七月から実施したところの運転資金、つまり仕込資金、この面が現在約五億近くになつておるかと思いますが、はつきりした数字はまた印刷いたしまして配付いたしたいと思います。約五億近く融資されておる。これは漸次相当利用される。ことに北海道の方が遅れておつたのでありますが、最近の情報によりますると、北海道でも近く相当額の漁業手形の融資が行われるであろうというような見通しもあるようであります。運転資金の方は漁業手形、設備資金の方は今言う通り預金部もしくは援助資金、二十五年度におきましても、やはり現在計画を立てて、援助資金を主体性にして、恒久的な設備資金に充ててもらいたいという考えを持つておるのであります。しかし二十五年度において、産業資金が実は六十億も私どもとしてはあげておるのでありますけれども、これがはたして実現できるかどうかということについては、努力はいたしますけれども、確実にそれができるかどうかということについては見通しはありません。そこで私どもといたしましては、恒久の対策としては、どうしてもこの業者の自力による、いわゆる自立経済の線に沿うよりほかに、恒久的な資金の確立は困難であろうというふうに考えまして、実は協同組合も、すでに法律が成立いたしましてから一年たつておるのであります。各ブロツクごとに過般も係員が出まして、協同組合の出資の増強あるいは貯蓄の増加というようなことについて中央農林金庫方面とも連絡をとつて、実はブロツク会議を開きまして、その自己資金の増加に努めておるのであります。もちろん今金がいるのであつて、積む金があるならば借りることはないのだ、ないから借りるので、積むということは非常に実態に沿わないじやないかというような御意見も、ここには出ておるのであります。しかしながら御承知のように、やはり漁獲はあがつて行くのであります。年間概算から申しましても千五、六百億はあがる。ある人は二千億と言いますが、私どもの概算で、千五、六百億あがつて行くという事実から考えまして、相当金はまわるのであります。ただその金が、漁村におきましては、郵便貯金あるいは農業協同組合あるいは市中銀行というようなことに、非常に金のまわり方が分散しておるのであります。これを協同組合というような單位になるべく集中するというような策が実施できますれば、とにかく金がまわるのでありますから、その金をまとめてまわすようにすれば、流通力がそこに生れて来るのであります。私どもとしては、もつぱらそういう面を実現して行きたいということで今進めておるわけなのであります。  もう一つは、根本策として考えておりまするのは、漁業法の制定によりまして、補償金の支拂いということがあるのであります。これは大体概算百七十億、二十五年間に均等償還をする。百七十億の中百三十億が大体元の漁業会、今度の協同組合関係に償還される。あとは定置漁業とか、法人あるいは個人というようなものになるのでありますが、この百三十億の補償金というものは、これはまつた零細漁民の自分のものであります。私どもとしては、この農地改革のときに、あの代金というものは、五年間農地証券は担保にできないということを、大蔵省の主計局長通牒で日本銀行に出されているために、農地証券は利用できないのでありますが、しかし漁業法によるところの補償金は、零細漁民に対する補償金である。従つてこれはそういうように五年の間担保として融通することはできないというのではなしに、むしろこれは、できるだけ早くこれが担保に使えるというふうにすべきものである、こういう考えを持つているのでありまして、過般も日本銀行の政策委員会に参りまして、約二時間にわたつていろいろ御相談をいたしたのであります。その際にも、それは自立経済に沿う意味であるし、その考え方は大体において妥当であろう。しかもこれをどうして実現して行くかということになりますると、なかなか市中銀行を相手にして、担保としてこれを使用して行くというようなことは困難であろう。むしろそれを土台にして、特殊金融機関を設けてこれはやるべきことじやないか、実は私どもそういう考えを持つてつた。ところが專門家の意見も、大体そういうふうに行くのが妥当であろうということでありますので、私どもは今後の根本の金融政策は、これを土台にしてあるいは償還期限の短縮あるいは担保とする、あるいは漁業証券の買上げはこれこそエイド資金によつて——これは私の考えでありまするからそういうふうに御承知願いたいと思いますが、エイド資金の国債買上げと同じように、まつたく同性格でありますから、エイド資金をもつて漁業証券を買い上げてもらうということになりますれば、その資金は全額はもちろん小額でありますけれども、かりに三分の一にしましても四、五十億になるということでありますから、現在復金が水産方面に、中央農林金庫と合せて、設備資金としての融資が約五十億くらいがピークだと思うが、五十億の設備資金がまわるということになれば、大体水産固定資金融資ができる、今の仕込資金関係漁業手形あるいは市中銀行の融資によつて、その間に協同組合には今言うように集中的に沿岸漁民漁獲物が共同販売というようなことによつてこれがまわされて行くというようなことになれば、大体漁業金融問題は解決がつくじやないか、かような考えを持つて、またそういう線に沿つて、ただいませつかく努力しておるような次第であります。
  35. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいまの御説明によりまして、この前に申し伝えた漁業証券の金融面に対する構想は、長官委員会においては同一の御意見でたいへんに御賛成のようでありますが、政策委員会で検討されたことでありまして、いよいよ今後の水産金融に対する見通しを明るくしたことであつて、まことにありがたく考えております。しかしそれは今ただちに実現するというわけにはまだ行きませんので、今の窮状を打開する方法考えなければなりません。ただいま申し述べました決議案について、長官の御答弁でありますが、漁業手形の問題については、大体今ごろは七八十億円は出まわるじやないかという予想を持つていたのでありますが、ただいまの御答弁によつて五億円程度ということはあまりにも少額で、最初予想したよりも非常に下まわつておるということになるのでありまして、日本全体の金融面に対して五億ということは、一応発足したといつても大したことではない。ある県ではよく行つておりますが、またある県では全然問題にならぬということもありますので、これに対してこの前の委員会にも申し上げた通り、第一項目にうたつてある運用委員会連合会のようなものをつくつたらどうかということを、申し上げたはずであります。これに対しては水産庁長官も御同意の御意思を表明になつたはずであります。これに対するのが一つ。  それから加工面に対しては、水産物の集出荷配給並びに加工金融に関して、これも漁業手形と同様な基金制度の確立等の適切なる措置を講じて、この円滑化をはかることがどうであるかということなのであります。これも加工にはある期間やはり金融関係で行き詰まる。そうして出荷機関には金はまわらぬということが、漁業者にその資金がまわらぬということになつて来るので、こうした面も打開策として、漁業手形と同じような方法で、何かこれに対する措置を講ずる必要があるのではないかと考えております。  第三の見返り資金、いろいろ大きな問題でありますが、最近の新聞に伝うるところによりますと、何か十五億円かの見返り資金は、日本の五大会社に限つて、これは何か運用の方法というようなことに見えておりますが、何か冷蔵庫その他の魚類の処理、設備に対する資金であるのじやないだろうかと考えます。この内容が私どもにははつきりわかりませんので、一応この機会にその内容をお伺いしたいと思います。大体四、五は今長官から御答弁があつたと思います。  六の問題は、水産貿易金融に関する問題でありますが、こうしたことによつて自然解決がつくであろうとは考えますが、この点もあわせて御答弁を願いたいと存じます。以上ひとつお願いいたします。
  36. 飯山太平

    飯山政府委員 ただいまの漁業手形の利用が非常に緩慢である。あるいは非常に少いという御指摘はその通りでありまして、私どももこの前の委員会におきまして、特に石原委員長からこれが普及徹底をするような対策を講ぜられたい、こういう注意、御要望も受けておるのであります。その後協同組合資金増加、増強というような会合を開いたときにも、やはりこの漁業手形に関する項目をあげて、相談をいたしておるのでありますが、実は連合会ができた県とできない県があつたりしまして、できるだけ連合会を全部つくつた上で、金融に都合のいいようなブロックをつくつて委員会を構成したい、かような考えで実はその後この問題は進めておるのでありますが、今日具体的にこの委員会の行動、組織あるいは内容というようなことを御報告ができないのは、まことに遺憾でありますが、これを実現するようにただいま進んでおるのであります。  それから第二の集出荷、配給並びに加工品——実はこの集出荷の方は、御承知のように統制に関連する点がありまして、統制がもしだんだん廃止をされるというようなことになりますれば、集出荷機関の整備ということはまた別な面から考えなければならぬと思うのであります。統制のときには特別の恩惠が与えられておつたのであります。それでこの方は非常にむずかしいと思いますが、加工関係の方は、ただいま御指摘がありましたように、私どもも加工手形という言葉は仮称でありますが、何かそういうふうな、製品手形と申しますか、加工手形というか、漁業手形に類したような制度をこれにつくりたいということを考えて、実は加工課におきましても、金融の方と連絡をとつて、これが具体的な考え方を練つておるわけであります。そういう方向にできるだけ早く進みたいと考えております。  その次に第三に該当します供給資金の問題でありますが、これは漁政部長から報告いたさせますから、御承知願います。
  37. 松任谷健太郎

    ○松任谷説明員 見返資金の活用につきまして、何とか水産金融の中長期資金の大きな打開策として、当初考えましていろいろ努力しておつたのでございますが、御承知のように二十四年度におきましては、先ほど長官からお話がございましたように、魚田開発の一億のわくが設定されたのみで、水産関係資金としては、いまだその他に及ぼし得ないというようなことでありますので、われわれといたしましては、その魚田開発以外に、何とかエイド・フアンドの資金の獲得につきまして、各方面連絡をしておつたのでございますが、たまたま関係方面のいろいろの御相談の際に、北海道を中心といたしまして、北海道附近の水産物の処理加工といつたようなところに重点を置いて、日本の食糧増産の一助にすることができれば、アメリカからいろいろと資材の輸入もあり、資金の援助もあるというような際に、負担の軽減というような方面にも資することができますし、かたがた日本自体におきまして、水産増産といつたような線を通じて、食糧の増産ができるというようなことで、非常にいいのではないかというヒントが与えられまして、至急に見返り資金の活用について考慮するという段取りになつたわけでございます。  そこで計画といたしましては、二十四年度の資金から、初め何とか融資ができますように計画を至急に立てたのでございまして、現在その計画といたしましては、大体北海道の魚田でありますとか、あるいは東北振興でありますとか、その他水産の五大会社といつたふうな事業主体を中心にいたしまして、北海道の加工処理、運搬施設というような、公共的な意味をもつて急速に整備できますように、それぞれ総合的な一つの計画をまとめつつあるわけでございます。大体の内容は、お話がございましたように、冷凍加工というものを中心にいたしまして、製氷冷蔵庫の設置でございますとか、あるいはフイレ、フイツシユ・ミールといつたような設備の設置でありますとか、あるいは運搬関係の施設でございますとか、そういうような内容をもちまして、この計画の具体的な案をつくりつつあるのでございます。大体事業量のわくは、今のところまとめてみますと、十五億程度になつておりまして、そのうち自己資金その他を考えますと、七割程度を援助資金に仰ぐという計画でやつておるのでございます。この二十四年度の見返り資金からこれが融資を仰ぐということにつきまして、現在まだいろいろ計画自体の不備もございますし、また取急いで、将来に禍根を残すようなことがあつてはならぬというような意味合いからいたしまして、極力各方面との連絡はつけておるのでございますが、二十四年度中には間に合わないであろう。大体来年度の見返り資金というのを当てにしまして、この計画が実現できますように考えて参りたいというふうに考えておるのでございます。
  38. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 第一の問題ですが、まだ委員会さえ設けられない府県があるということですから、それはいつ完了するかわかりませんので、さしあたり各府県のでき上つた委員会との合同委員会をつくることはよいと思うのであります。それから加工の面に対する手形の利用ということでありますが、これは長官のおつしやつたように、統制が撤廃になりつつある現在において、集出荷が非常に混乱しつつあると思います。従つてこれは水産金融に及ぼす影響が非常に大きいので、これを金融機関が非常に憂慮しております。さいわい今市場法が研究されつつあると思いますので、中央市場法と並行して地方の有力な、たとえばこれまでの農林省の指定集出荷機関というような有力な機関に対しては、何か中央市場法との関連、そして金融との関連において、適当にこの市場法の法律案にこれを織り込むような方法によつて、一方は法律によつてでき上り、そしてこれと並行して水産金融と結びつけたいということに、私は考えておりますので、そのようなおとりはからいを願いたいと存じます。五大会社に対する見返り資金の運用方法ということは、信用の上においてそう考えられる点もありますけれども、こうした情勢下において、ただ資本のみによつて云々ということは当らないじやないか。たとえば北海道の場合、私は聞くところによりますと、たらの生産地でありますので、これを目がけて行くということになれば、各組合もあることでありますし、中小企業もあることでありますから、間違いのない返済の方法がつくことであれば、組織の上においてこれを強化して、そして組合及び中小企業の振興のためには、この見返り資金の運用をはかるべきではないか。これがいわゆる現情勢下においての制度ではないかと私は考えております。どうも水産庁のこれまでおやりになつたことは、これは私のひがみであるかもしれませんけれども、大資本の方には深くいろいろな連繋があつて、案が立つて行くようであるけれども、しかしそれはだれも知らぬことであつて、だれも知らぬうちにずつと進んで行つて、新聞発表になつてあつと言うような状態で、ちようど今のような問題になるわけであります。今申し上げた理由によつて、五大会社のみに日本水産業を全部まかせなければならぬということはなかろうと私は考えております。そういうことで、今後の金融ということは、即水産に及ぼす影響が大きい。そして大衆生活に及ぼす影響が大きいのでありますから、特にこうした問題は特別に御考慮くださいまして、大きな政治面にこれを展開し、国民生活の安定をはかる上において、この見返り資金の運用をあやまたないようにやつてもらいたいということを、私はこの機会に申し上げたいのであります。これに対して、水産庁からもう一ぺんはつきりした御答弁を願いたい。
  39. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ちよつと関連して……夏堀委員から御質問になりました金融の問題、共同加工の問題に関連がありますので、これを先にお伺いいたして、御答弁の後に引続いて二項目ばかりお伺いしたいと思います。共同加工の問題については、ただいま根本的な問題を夏堀委員から御質問になりましたから、重複する点を省きましてお伺いいたしたいと思います。それは水産庁の五大会社に対しての計画をされた経過についての大要を仄聞いたしておりますので、現段階においては、ある程度五大会社を中心にされておるということも一応肯定するのであります。しかし今夏堀氏の申されましたように、北海道においては、資金の裏づけさえありますと、協同組合において施設ができる面もあるのであります。従つて私は北海道の全水揚地において検討を加えまして、そうした施設利用の可能の協同組合に対しては、何とか考慮を拂うべきではないか。次は協同組合以外においてこの五大会社と匹敵はできないまでも、相当な施設を持つておる会社、あるいは非公認組合的なものがあるわけであります。ちよつとこれに手を加え、資金の面で援助すれば、相当の加工ができるというものがあるわけであります。申すまでもなく、この加工の高度利用ということは、資源枯渇防止の面にも少からざる関連を持つておるわけでありまして、濫獲を防ぐということもとより大切であります。しかし今日までの漁獲の面は、御承知のごとく、北海道においては主として原始生産の域を脱していないわけであります。科学的な漁撈と言うにははなはだ幼稚でありまして、従つてつた魚を腐敗させておるという事実があり、またそれが非常に大きな数量に上つておるわけであります。とつたものを高度に加工利用して行くということが、すなわちこの資源の枯渇防止の一環として大きな役割をなすことは私がここに喋々するまでもないことであります。従つて高度の加工利用ということは今後相当大幅にやるべきであるという点から考えまして、そうした個人的の組合であるとかあるいは会社にして五大会社とそう大した差のない実績のあるものに対しては、これを計画の中に織り込むべきであると思うのであります。また水産庁におかれましても、こうした五大会社一点張りでやろうというお考えでないということも、ほのかに承つておるのでありますが、さらにこの機会に明確にしていただきたいと思うのであります。
  40. 松田鐵藏

    松田委員 現在の政府は、資本主義国家を標榜しておる民主自由党の内閣であります。しかし資本主義を基調としておるわが党の政策といえども日本水産においても、ひとり大資本家のみをもつてその政策に相一致せしむるものでないということは、われわれの常に発言し、またその線に持つてつておるのでありまして、つまり資本主義国家であつても、戰争以前の資本主義とは非常に今日異なつた行き方になつております。われわれはまた北海道においても、なおそのことを強く政策に織り込んで行かなければならないかように常に考えておるのであります。わが党の政務調査会においても、常にこの点を論議され、わが党の政策を遂行せんとしておるものであります。水産行政に対しても、あらゆる点に対しても、その線を強く主張しておるのであります。また水産関係に対しても、前の委員会においては、井之口委員から民自党の政策の責任であるということを指摘されておるのでありますが、この点に対してわれわれは責任ある与党として、常にその襟度を持ち、また責任を持つておるものであります。だが五大会社に対するあの新聞の報道というものに対しては、非常に疑義を持つているのであつて、この点に対してわれわれは、今日本の国の最も中心をなすものは中小漁業者である、かように考えておるものであります。この中小漁業者が、もし内地における五大会社によつて北海道を支配されるようなことがあつた場合においては、どのような結果をもたらすか、この点をも強くわれわれは考えて行かなければならないのではなかろうか。われわれ民主自民党の政務調査会に論議されておるその政策と、水産庁がこの新聞に発表されておる五大会社というものにおいては、政策の点に非常に差があるように考えられるのであります。今北海道の水産関係の者が上京して、水産庁に陳情を申し上げております。この陳情の内容においても三つの問題がありまするが、そのうちの一つ、つまり小手操の整理案であります。この小手操の整理案に対しても、小手操がかりに水産庁考え方によつてその数が決定するといえども、これが五大会社のねらいであるとわれわれは考えざるを得ないことも出て来るのであります。なぜならば、おそらく漁業に基盤を持たない水産施設などというものは、意味をなさぬものである。その工場施設が漁獲物の基盤を持たない場合には、何ら意味をなさないものである。どんな大きな冷蔵庫ができても、その冷蔵庫に收容する漁獲物がそこに入らないということになつたならば、ほとんどその施設というものは意味をなさぬものであると私は考えるのであります。そうした場合においては、五大会社がこれに進出して行つて、大きな施設をかりに持つたとしたならば、ただちにその原料を仰がなければならない。仰ぐときにおいては、どのような手段を講ずるかということである。もしその工場が成立たぬ場合においては、必ずや戰争以前のあの資本主義と同様な工策をもつて、この点に対して手を打つことは明らかだと思う。かようなことにして行つたならば、戰争以前の資本家のやつたことと何らかわらない問題をここに惹起するのではなかろうか、この点も憂慮されるのであります。またこうした点から行きまして、北海道は北海道に独自のいろいろの考え方はあることと私は考えておるのであります。これをいたずらにあの新聞の報道のように、またただいまの部長の説明のように、五大会社によつて、これを高度な加工をなさしめるということは、最もいいことには聞えますが、それならば北海道の水産界がこれに同調するかどうかということであります。この点に対して私は申し上げたい。それは昨日の委員会にも私申し上げましたが、今年の予算の獲得に対し、港湾課長のまじめな努力、われわれに対して予算はこれこれである、何とか努力を願いたい。それに対してわれわれは、港湾課長を中心として、議会は非常に努力をしたつもりでおります。六億の予算が七億五千万円になつたのも、実に港湾課長が議会を尊重して、水産庁、議会が相マツチしてやつたればこそ、あれだけの予算がとれたのであると、私は堅く信じて喜んでおるのであります。しかるに、この五大会社の施設という問題に対しても、その主眼が北海道にあることは、ただいま部長の御説明もありましたが、これに対して、われわれは一向にその構想なるものも聞いておらぬ。夏堀委員の今日の質問に対して、初めてその概要を知ることができた。かような状態になつております。また昨日も問題になりましたが、北海道の重油の基本配給の問題であります。この点においても、今日このように長文の電報を各委員に寄せられております。これらも何ら議会に対して協力を求めたわけでもなく、事前に相談したわけではないのであります。水産庁水産庁独自の立場によつてこれをやつておられるのであります。かようなことで、しでかしてから議会において質問をされて、苦しい答弁をして、是正しようと言つたところで、これはなかなか容易ならざることだと私は考えるのであります。長官がすべての仕事に目を通してやられるものではないと思う。やはりその点に対しては、課長が自分の受持を忠実に研究されてやられることだと思うが、この点に対して、議会というものをより以上尊重してやつてつたならば、明年度の漁港予算の獲得のごとく、効果あることだと私は考えているのであります。これからあらゆる資材であらうが、港湾の問題であろうが、また漁船の問題であろうが、組合の問題であろうが、いろいろ重要な問題が論議されるのであります。この点に対して、今までの官庁のやり方を、もしいいことであつたならばどうかこれを推進していただいて、ある程度まではわれわれもそれを受入れる受入れ態勢を整えておるのであります。五つの小委員会をつくつてつて、その受入れ態勢というものを整えておるのであります。この点に対して、もし今までのやり方であつてはいけないという考えをお持ちになつたならば、われわれを活用を願いたい。またわれわれはそれを要求するのであります。そうして行政とわれわれの議会というものが一致してやつて行けばこそ、初めて水産というものが大いに発展して行くことだろうと私は考えておるのでありまして、今後における水産庁に対する希望であり、また要求であることを一言申し上げておきます。
  41. 中西伊之助

    ○中西委員 最近協同組合法の構想が法制化され、民主化はされたけれども、これに経済の裏づけがないから、こんなものは空文になるという意見が漁民の中に、ことに勤労漁民の中に非常に強いのであります。われわれは、この協同組合の将来は確かにそうであつて、ただ法制化されても、経済的な基礎がなければ何にもならない。ところが今長官の御説明によりますと、そうした協同組合の経済的基礎をつくるために、いろいろやりくりしておるというようなお話でありまするが、そういうやりくりをする前に、これは十二月、十一月の新聞や通信の記事でありまするが、大体において二十四年度には十九億からの——ただいま夏堀委員あるいは松田委員質問されましたが、十九億二千百万円、それから二十五年度には六十三億からの融資を五大会社にするということで、目下農林、安本、大蔵各省で交渉中だというようなことでありまするが、日本漁業を民主化するならば、なぜまず金融をそういう方面になさらないのか。ただ少数の巨大なる漁業資本家に、こうしてやすやすと二十四年度も出しているし、二十五年もそういう計画をしているというようなことは、協同組合ができても、政府はこれに対して民主化する誠意がないと思うのであります。と同時に、そうした巨大資本に対して、極力そういう金融をしていることは、とんでもない話だと私は思う。むろん前の松田委員でありましたか言われたように、今は資本主義の基盤に立つておる生産だということから言えば、あるいはそうかもわからない。しかしそういうことでは、こんな漁業法をいくらこしらえてみても何にもならぬ。ことに農林当局、水産庁長官なんかが、そういう五大資本家に金融をすることに努力しているということは、不都合千万だと思う。五大会社に対してどういう内容で貸し付けるのか。ことに貴重なるところの税金をどんどんと——これは見返り資金の中からでありまするが、みな同じことである。国民の膏血である。それを少数のそうした方に持つてつて、全国の数百万の漁民には、ほとんどそういうふうな経済的な裏づけをしてやらないということは、われわれはどうしても理解が行かぬのであります。この点他の同僚諸君とともに、この問題をあくまでも、われわれは当局に対して質問し、さらに糾彈したいと思うのであります。
  42. 田口長治郎

    ○田口委員 漁業の短期資金につきましては、先ほどからお話がありましたように、漁業手形が非常な期待をもつて創始されたのでありますが、実施の結果は、先ほど夏堀委員からもお話がありましたように、多少消極的になつておる。このことに関しまして、長官は大いに今から普及宣伝し、徹底させるのだ、こういうお話でございます。私らもまた普及、宣伝は、現状におきましては非常に必要であることを是認するものでございます。漁業手形で最も大きながんになつておりますことは、保証積立金が五〇%である。この一点が非常に大きながんをなしております。実際に金を借りんとする人が、自分の金を五〇%積み立てなければ一〇〇%借りられないということは、金を借りる立場からいたしますと、非常にそこに矛盾といいますか、苦しい点があるのでございまして、何としてもこの漁業手形を普及させるためには、この保証積立金を少くし、貸出金の率を高くする、この問題が最も重大であるように考えるのであります。幸い先日金融の小委員会で、日銀及び中央農林金庫その他がおいでになりまして、この話についていろいろ懇談いたしました結果、漁業の種類あるいは加入団体の数、こういう点を考慮して、ある程度率を上げてもいい、こういうようなお話もありました際でございますから、その点をお含みになりまして、水産庁とされましては、ひとつこの率を上げる問題について一段の御努力を願いたいと考えるのであります。  次に水産関係で最も困つておる問題は、長期資金の問題であります。いろいろ先ほどから長官は非常に遠大な御理想も述べられたようでございまして、はなはだけつこうだと考えるのでありますが、さしあたりこの問題をどうするかということを、われわれとしては真劍に考えてみなければならない。この問題の解決は、これは私一個の私見でありますけれども、やはり預金部資金の問題と、それから中央農林金庫の債券発行のわくが今度拡大された、あの問題にからんでおる。この二つの点において、よくわれわれ研究してみなければならないと考えます。先ほど、預金部資金につきましても研究してみたけれども、どうもうまく行かないというようなお話もありましたが、預金部資金をいろいろ研究してみると、今年度におきまして大体百九十五億残るようであります。それから二十五年度になりますと、今年の残余金及び地方債のわくが縮小される、あるいは預金が自然に増加する、こういうような問題を研究してみますと、二十五年度におきましては、約七十億の金が使いようがないという実情にあるように考えるのであります。長期資金において非常に困つておる産業があり、そうして半国家資金が、しかも長期に貸せるような金が七十億もあつて使いようがない。今年度において百九十五億が残つておる、こういうような実情から考えますと、国会政府と一緒になつて研究したら、何かこの問題について、ある程度解決の道があるのじやないかと考えるのでございます。いろいろ研究してみますと、預金部自体におきましても、今の制限された貸出し使途ばかりではなかなか消化ができないから、かたがたその資金源が農村あるいは漁村中小企業家、こういう方面からできておる金であるから、その方面に貸し出すような規定の変更をひとつ考えてみようか、こういうような気持もあるようでございます。この点国会及び政府一緒になつて、真劍に考えてみたらどうかと思うのでございますが、ひとつお含みを願いたいと思います。  第二に、農林中央金庫のわくが二十億から百四十億に拡大された。このうちには水産ばかりの問題ではありませんけれども水産の長期資金についても、この際わくの拡張によつて、ある程度獲得しなければならぬと思います。すでに行使しておられるかどうか知りませんが、これも水産の長期資金解決の方途といたしましては、ぜひ真劍に研究していただかなければならぬ問題だと考えるのでございます。いろいろ折衝しておられるかと存じますけれども、別に御答弁もいりませんが、以上の二点について、そうして短期資金につきましては率の引上げ、この問題についてぜひ御研究願いたいと思います。
  43. 飯山太平

    飯山政府委員 夏堀委員発言につきまして、関連して玉置委員松田委員、中西委員並びに田口委員、皆様から御発言があつたのであります。今第一点といたしまして、水産庁の施策が、いわゆる資本家を重点に考えて擁護する。そうして零細漁民を軽視するというような見解ではないか。こういう御意見のようであります。この高度利用が問題になつて出て来たのでありますが、これは水産行政全般に関する御意見と私は拜聽してお答えしたいと思うのであります。漁業法改正は申すまでもなく、これは民主化の基本線に沿うというのでありまして、従つて資本家を擁護するというようなことがその線でないということは、これははつきりいたしております。私どもとしましては、いかなる問題を論議する場合でも、少くもその問題が沿岸零細漁民とどういう関係を持つかということは、忘れてはならないのでありまして、私どもはそれを常に論議いたしておるのであります。従つて水産庁といたしましては、決して行政の重点を資本家に置くのでないということは、私ここではつきり申し上げます。しからば五大会社にのみこれをするのはどういうわけだ。こういうことになるかと思うのでありますが、実は高度利用の問題は、関係方面のたら、すけそう、特に北海道のすけそうの問題でありますが、これが昨年から本年、ことに夏にかけまして非常に増産された。それが肥料になつておる。こういう事態でアメリカから食糧を仰ぐということは許されないのではないか。これをできるだけ今の冷凍、もしくは仕入れというものにして活用すべし。その案として冷凍運搬船の建造、あるいは冷凍庫の設置というようなことを考えろ。こういうことであつたのであります。その線に沿つてども考えるときに、五大会社からそういう出願があつたのであります。しかし新聞に載つておりますのは、五大会社ときめたように載つておるようでありまするが、先般も北海道の信連の会長が見えまして、少くも生産地においては五大会社の必要はない。むしろ協同組合でやるべきだということであつたのであります。私どもも五大会社の出願と同時に、協同組合にこれをさせなければならぬという考えは、論議の中に相当強く出ておるのであります。ただ今協同組合が発足の途上にあるので、今資金をただちにたとえばエード資金を全額援助というわけではないので、資金を持たなければならぬ、その自己資金がない。それからその規模が、北海道の連合会が絶えず遅れておるという事情がありましたのですが、まだ五大会社にきめてはおりません。それから五大会社にやらす場合でも、今の民主化の線に沿つた行き方をしなければならぬ。先ほど松田委員からも指摘されましたが、生産設備を五大会社が将来持つであろう、五大会社が北海道の生産にまで乘り出すであろうという御意見がありましたが、私どもとしましては、将来かりに五大会社をつくつたといたしましても、その漁村に実力を備えた場合には、それは漁村に移すべきであるという見解を私としては持つておるのであります。従つて今度五大会社が公共性を持つという意味から申しましても、この利益がもしあがるというようなことがありますれば、これは当然還元させる方法も條件としてつけるべきだと考えております。しかしながらこの高度利用設備が、ただちに相当の收益をあげることは、これはおそらく事実において困難だと考えるのであります。従つてその犠牲を拂う場合に、組合においてその犠牲を国家が補償するというような道がありますれば別問題として、今ようやく発足しておるところの協同組合に、目に見えた犠牲を拂わせるというような仕事をさせることが、はたして民主化に沿うゆえんであるかどうかという点については、これは経済的に問題があるのであります。方針といたしましては、民主化としてこれらの事業は当然協同組合にさせなければなりませんが、しかしその犠牲を拂つてまで協同組合にやらせることはどうかという問題もあるのであります。従つて今度五大会社とはきめておりませんので、北海道の信連におきましても計画を立てる。こういうことでありますので、北海道において計画が立つ場合には、まず優先的に、私どもとしてはそのうちから協同組合に実施させるという方針をとつて行きたい。かように考えておるのであります。今後いろいろな漁業に関しましても、これは公共性を持つておる漁業というものは、国際的あるいは天然資源関係から見ましても、国民全体のものだという考え方で行かなければならぬ。そういう考えで私はおるのでありまして、要するに利益の独占になるかどうかということに、一番問題が具体的にあるのではないか。つまり犠牲を拂つた場合に、その犠牲をその者の犠牲においてのみして、そうして單にその收益だけを与えるということはむずかしいことだ。私どもは五大会社がもし実施する場合においては、今の生産地元との連絡、あるいはその利益の分配とかいうようなことについては、相当の考えをまじえて行くべきだ。水産庁としては資本家、特にそういう巨大な少数の資本家に、日本水産業を移させて行くということは避けなければならぬ。またそういう方針は絶対にとつてはならない。今の漁業法の精神に基いて、今後の水産行政方針は進めなければならぬ、また進めるという考えを私は持つておるのでありまして、今の資本家だけを助けるというのでなくして、この際実施した上で、もしそれが利益があがるようになるという場合には、その工場をやはりその地元と結びつけて、生産手段にまで漁民の中に資本が浸透して行くというような政策は、これは私どもとしてはできるだけ防止しなければならぬ。いわんや水産庁がそれを奬励するとか、そういう方針を持つておるということは許されない。かように考えております。  それから松田さんからいろいろ出ましたが、いろいろな重要問題を、水産庁独自の狭い見解で実施するために、実際面において種々の支障を来すという御忠言に対しては、私は心からこれは受けなければならぬと思つております。御承知のように重油の基本配給の制度の変化が、現在各地において非常に支障を来しておるという事実も実はありますので、地方の調整事務所の水産課長を集めて、この打開策を講じようという方策を立てておるのでありますが、これも確かに指摘されるように、もし漁民全般の代表である皆様のお知惠を十分に借りることかできたならば、こういう失態はなかつたのではないかということを、私はその通り了承いたすのであります。  それから玉置さんから、五大会社というのでなくして、相当の資産を持つておる者にこれをやらせる意思はないかどうか。こういうお尋ねであります。これは先ほど申し上げましたように、五大会社というものは、たまたまそういう出願があつたので取上げたので、私は五大会社に限るという意思で五大会社だけを考えたのでも何でもないのでありまして、問題は北海道の高度の利用が主たる目的でありますから、その目的を達成する上において、今の民主化の線と織り合してこれを実施して行くという考えのもとに、適当な施設あるいは自己資金を特に備えているものであれば、適格者として考えて行くべきだという考えを持つております。  中西さんの、漁業協同組合の経済的裏づけが何もなくして二十四年度、二十五年度の計画が出たが、これは五大会社中心で考えているではないかという御指摘であります。来年度の六十億及び今年度の十九億は、これは五大会社の高度利用ばかりではないのでありまして、比較的零細な漁民の仕事であるさんご漁業を、水産貿易の見地から復活させる資金も含まれております。それから船だまりあるいは船引揚場というようなものまで、協同組合で修理、新築して行くことは今日できかねますので、船だまり、船引揚場あるいは共同加工場というような、主として協同組合員の利用にまつような施設はエード資金によつてまかなつて行こう、こういうことももちろんしているのであります。なおこの六十億の計画については、皆さんに印刷したものを差上げたいと思うのでありますが、私どもの計画は、このエード資金を五大会社のみに考えているのではなくして、六十億の大半は、協同組合関係を主体としたような事業にこれを向けて行きたいと考えているわけであります。今のエード資金利用を五大会社だけに独占させるという方針でないことは、ひとつ御了承を得たいのであります。  田口委員の御意見についてちよつと触れたいことがあります。実は漁業手形については、最初これを実施するかせんかという境に立つたのであります。もし積立ての二倍程度の融資であるならば、これは手形をしたところで大した効果が得られないではないか、むしろ私どもは十倍ということを要望しておつたので、二倍ということなら、この制度を遅らしても十倍になるように持つて行くべきだという意見もその際出たのでありますが、いろいろな事情からしまして、それを十倍なり八倍にするというようなことをやつておりまするならば、実施の時期が遅延して、ますます困難になるであろう、日本銀行方面においても、この際まず試験としてこれをやつてほしいということで二倍以上ということになつているので、二倍と限定されたのではなく、とにかくこの制度を実施するのに、これ以上の條件ではもうできない、こういう段階に達しましたので、私どもはこれはいわゆる橋頭堡と申しますか、この制度を実施するためにはやむを得ない。しかし漸次御要望のあつたように倍率をふやして行くことは、どうしてもやらなければならぬので、この点については今研究しているのであります。どの業種でも、向うに認められるものから倍率の変更をして行くというような考えで、今努めておるわけであります。  預金部の関係は、これは関係方面が国債もしくは地方債以外に融資を認めるということにさえなれば、大蔵当局も水産については特に協力しようという熱意が強いわけであります。要は、使途の制限を解くことさえできますならば、これは余剩も非常に多いというような事情から見ましてもできるのでありますから、この制限緩和については、ぜひ大蔵当局並びに国会の有力なる御協力を仰いで、一日も早く使途制限を撤廃してもらうように、お願いいたしたいと思うのであります。  それから中金の問題でありますが、実は中金は四億の資本が八億になり、今の十倍が二十倍になるというように伺つております。水産方面はあそこに預金が少くて貸付が多い、たとえば一億の預金に対して十五億も貸出しをしているというようなことを、いつでも中金に指摘されます。御承知のように農業協同組合水産の預金は相当入つていると思いますが、これの数字は実はなかなかはつきりつかめないのであります。とにかく中金については、水産預金をふやすようにしてほしいという要望を、私どもいつも受けるので、先ほども申しましたように、何とか漁村の預金を協同組合に集中して、これが中金と結びつくようにすることができますならば、中金の水産に対する融資の増加ということは容易にできるのではないか。なお将来の問題としましては、今度の四億の増資に対して水産方面も一億ぐらい持つてほしい、そうして水産の方の金融力も拡大して行こう、こういうお考えもありますので、われわれはこの増資についても、水産方面が奮つてこれを引受けるように願い、もしこれができない場合には貸してもらいたい。漁村には金がないから、増資分の出資を金融方面考えてほしいというようなことで、実は理事長にも要望しておるようなわけであります。田口委員の御意見はまつたくごもつともで、金融問題の解決がかかつて水産の実をあげるゆえでありますから、皆様の御協力を仰いで努力をいたしたい、かように考えているわけであります。
  44. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は今の資金の問題、これに関連する統制、市場法、漁業権の四つについて、時間も差迫つておりますので、ごく簡單に長官にお伺いいたしたいと思います。  統制廃止の問題につきまして、水産以外の、鉄であるとかあるいはセメントその他相当大幅なものが今回さらに撤廃されると言う関係筋の指示があつたように承つているのであります。従いまして水産の面も、私が申し上げるまでもなく、現状から見て当然撤廃される時期に当面しているのではないかと考えます。そこでこの統制撤廃の見通しについて、長官のお考えを伺いたいと思います。にしんにしてもいわしにしても、すでに統制をはずして、従来の統制のわくがなくても集出荷、分荷配給に支障がないとの業者一般の声を承つているので、特にこの点をお伺いしたいのであります。そこで統制が撤廃されることを前提といたしての市場法というものを計画立案しつつあるようにも思うのでありまするが、東京都内の荷受機関がこれに関連いたしまして、将来五つないし八つに縮小されるというように聞いておりますが、これを前提といたしまして、今回問屋、仲買制度の復活を目当てに、すでに仲買業者が仲買協同組合を組織して、統制撤廃に備えて活動しようということで、東京都にその協同組合許可の申請をし、運動を続けておるということを聞いておるのでありますが、現在の時代において統制が撤廃されました際における問屋、市場という行為が、生産者の面にどういう影響を及ぼすかということは、これまた私がくどくど申し上げるまでもないことでございまして、問屋行為、仲買行為の善悪につきましては、消費者並びに生産者が直接影響する観点から、取引面においても自然的に信用を元として、整理されるものは整理され、残るものは残るという結果を生むことになりましよう。従いまして堅実な問屋、仲買というものが残ることになるのではありましようが、しかしこれが最初から二本建になつた場合に、消費者と生産者にどういうふうな影響を与えるかということも相当考慮される点もありますが、市場法の立案の構想について、できればこの機会に説明を願いたいと思うのであります。  それから漁業保險制度の問題でありますが、これは今日の漁業金融不円滑の点から見まして、どうしてもこの制度を設けて、漁業災害を受けた場合にこの保險制度によつてカバーをしてやるということに行かなければ、漁業の振興はとうてい見られないことも、これまた私が申し上げるまでもないことでありまして、今日の情勢から見まして、当然信用制度、保險制度というものを確立しなければならぬと思います。これに対して長官はいかように考えておられますか。先にこの点をお伺いして、最後に信連関係を伺いたいと思います。
  45. 飯山太平

    飯山政府委員 第一の統制の問題でありますが、問題が非常に重要であることは申すまでもないのであります。すでにこの論議も盡されていると思うのでございますが——委員長、ちよつと速記をとめていただきます。
  46. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと速記をとめて……     〔速記中止〕
  47. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めてください。
  48. 飯山太平

    飯山政府委員 それから第二の中央卸売市場、これは食品卸売市場というような仮称もありますけれども、中央市場の問題でありますが、お話のように自由な市場になつた場合に、これは生産、消費両面に非常な混乱を起すということは重大な結果になるのであります。これを円滑に運ぶために、やはり中央卸売市場というものが、現状に即した、あるいは将来を見通した案で、この混乱を起さないようにしなければならぬという建前で、中央市場の設置をしなければならぬということになるわけです。その場合に荷受機関並びに仲買の問題でありますが、今の荷受機関が五つになるとか、六つになるとかいうことは、まだ私どもとしては考えておりません。それから荷受機関の許可地方長官にあるわけであります。ただいずれにいたしましても、生産者並びに消費者から見て最も適切な市場にならなければならぬ。従来はたとえば問屋が横暴であつた、あるいは仲買が非常に正しくなかつたとか、いろいろな問題を生んでおるわけであります。この際は幸い白紙にかえるのでありますから、この際に生産者方面の意向、並びに消費者方面の意向、こういうものを十分ただして、どうしてその中間にあるところの問屋、あるいは仲買業者のあり方はどうあるべきかということを、むしろ生産、消費の面からこれを考えて行く、こういう考え方で、今生産者団体、あるいは今具体的に消費者の団体というものはありませんが、主婦連盟というようなものが、消費者としては団体になつております。そういう面の意向をただしておるわけであります。今仲買制度をどうするかということについては、今までの私どもの検討した範囲におきましては、大体せり売りというものが最も公正だ、こういう考え方になつておる。生産者の方も、今までのところでは、やはり公正な取引というものはせりによる。せりによるということになりますれば、今の仲買制度の問題にまで自然に触れて来る、こういうことになるのでありまして、ただ今までのところは、東京だけがこの仲買制度に対してはむしろ反対であつて、その他は仲買制度はやはり置くべきであるというような見解が多いのでありますが、水産庁としましては、今そういうことで、問屋制度と仲買制度をどうするという事態には、まだ到達いたしておりません。しかしこれについては、昨日当委員会におきましても重大関係があるので、小委員会もお設けになつておりますから、ひとつ今後は先ほど松田委員の御注意もありましたように、重大問題ばかりでなく、その関係の問題についてはできるだけ、私はもちろん、担当課長もひとつ連絡をとらしていただいて、そうして善処して行きたい、かように考えております。  それから漁業保險制度でありますが、これは今農業災害補償制度というものがありますが、大体関係方面としましては、保險業というものはこれは民間でやるべきだという見解があるようであります。農業保險というものが、農業災害補償制度というものにかわつておりますが、実は二十五年度の予算を私ども計上して、この糸口をつくりたいというような考え予算出したのでありますが、遺憾ながらこの予算は通らなかつたのであります。それで現在は業者の方々と研究会をつくつて、そうして私どもも一緒にこの研究を続ける、こういう程度になつておるのでありますが、その必要性については、これは漁業の安定並びに金融をはかるという上において、これが非常に重要であるという考えは持つておりますので、できるだけこの制度の確立を期してはおるのでありますが、今のところこれを法律化して提案するというような運びにはなりかねておるわけであります。さよう御了承願います。
  49. 石原圓吉

    石原委員長 お諮りいたします。もう一時になりますが、実は本日は午前中で終りたい予定でありましたが、当局からは長官を初め、漁政部長、漁業権課長、協同組合課長漁船課長、漁港課長、統制課長等、ほとんど大部分の方々が御出席でありまして、そのうちまだ漁業権課長、漁船課長、漁港課長等には何ら質疑もないのでありますが、これを午後も続行いたしますか。実は私の意見でありますが、二十五年度の予算も近く年内に政府が提案するようでありますが、一応水産庁予算をわれわれは内示を受けて、説明を聞いておきたいと思うのでありまして、皆さんに御異議がなければ、本日はこの程度にとどめて、明日引続き委員会を開いて、あわせて予算の内示も受けたい。本日質疑できなかつた各課長の御出席も求めたいと考えるのでありますが、明日にいかがでしよう。   [「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり]
  50. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ちよつと一分——先ほどの水産庁長官の御説明によつて、極端な資本主義に堕するというような見解のもとに憂慮された私の質問内容に対して、そうじやなく、あのりつぱな漁業法が通つたのですから、これと並行して、いわゆる民主主義的に特に協同組合の強化をはかつて、こうした漁業面の運営の上にも考えるということで、私は長官の御答弁に対しては非常に敬意を表するのであります。そこでこの決議案に対して、大体御答弁にはあずかりましたが、一、二の項目も即急にこれを実施するということに了承してさしつかえはございませんか。その点をお伺いいたします。
  51. 飯山太平

    飯山政府委員 ただいまの夏堀委員の当委員会の権威に関する決議案の六項を、ただちに実施するかどうか、こういうお尋ねだと思いますが、先ほど申し上げましたように、私どもは実施すべく努力はいたしておりますが、この実施にあたりましては、ひとり水産庁だけの問題ではないのであります。従いまして、大蔵省あるいは安本、日本銀行、こういういろいろな関係がありますので、この決議の趣意に私ども従つて、これをできるだけ早く実現するよう努力するということ以上に、これをただちに実施するという御返事は、遺憾ながらできかねるのであります。
  52. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 水産庁だけではできないのはわかつておりますので、関係方面とも十分な連絡をとつて、あらゆる機会に懇談会を開いて、これを政治的にとりまとめをするということをひとつ考えを願いたい、こういうことであります。それで私の質問を打切ります。
  53. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 金融問題で私も結びをつけたいと思いましたが、夏堀委員からただいま先を越されて、私の言おうとするところを半分盡しておりますから、角度をかえまして、私は長官に質疑をし、要望をして質問を打切りたいと思います。  先ほど田口委員からも申されましたが、中金のわくが二十億から百四十億に拡大されるということ、預金部の資金関係において、二十五年度においては約七十億が使い道がないだろうということについて、私も実は中金、預金部関係その他の人から一緒に承つたのであります。またこれとは別に、金融機関として不動産銀行をさらに復活して、近くこの法案出して、金融の円滑を期するということを考え、わが党としても、政府としても、そういう考えを持つておられるように私は見受けるのであります。従いまして、この金融の格付におきましては、先ほど田口委員から申されたことに敷衍して私が申すのですが、この国会も近く休会に入りまして、相当期間休むことになりますので、私はその間におきまして、水産庁におかれましては、関係方面と折衝いたしまして、どうか中金の面、預金部の面から、水産の面に金融的何らかの措置を講じてもらいたい。またそうした方法が講ぜられるのではないかというように考えるのでございます。今日の日本漁民がたよりとするところは水産庁であり、水産庁長官であることは申すまでもないことであります。残念ながら農林省の外局として、長官が閣議に列席できない立場に置かれておるということのために、いろいろとせつかく長官が努力されたことも、これが水泡に帰しておるという実情であるのであります。私どもは政治の面はともあれ、そうした水産行政の面に対する三百万漁民の絶対信頼を受けておる長官に対して、私は政治の面からは昨日来お話もありましたように、決して協力を惜しまないものでありますがゆえに、水産庁と本委員会が一体となりまして、この漁業金融確立にひとつ努力をしてみたい、かように考えておるわけであります。これに対する長官の御方針を承つておきたいと思うのであります。
  54. 飯山太平

    飯山政府委員 ただいま玉置委員からのきわめて御懇篤な御発言について、実は私非常に恐縮いたしますが、もちろん私どもは非常な重責をになつておるのであります。できる能力のある限りにおいて、私どもはこの金融問題の解決に努力したい。今の具体的の中金の長期資金の貸出しについて努力しようということになつておりまするが、休会中の折衝の結果は、いずれ休会明けに御報告申し上げたいと思います。できるだけ努力を拂うということをお答えしておきます。
  55. 井之口政雄

    井之口委員 この長期資金の問題について、先ほどから松田委員やら夏堀委員が、大資本家の辯護になりはせぬかという御懸念を持つておられるのはごもつともであります。そこでとりわけこの見返り資金でありますが、これの二十四年度の融資先、それから二十五年度の融資先については、私たち新聞の資料によるだけで、確実なる資料を持たない。これは御承知通り自主性が日本にない。しかもこの見返り資金が五社の大きな大資本家の方にずつと融資されて来ることになりますと、これは当然外国への負債になる性質のものでありますから、将来の日本水産界というものは、実に憂うべき状態になるということをわれわれは懸念するわけであります。先日長官お話を承つてみても、これは設備のあるもの、決して大資本家援助のためではないものとはおつしやるものの、結局はやはり五社の方に大部分が融資されるだろうと思います。そこでこの明確に決定されたもの、またはもし決定できないといたしますれば、水産庁におきまして、こういうようにしたならばどうだろうという案でもよろしいのですが、確実なる一つの案の報告を出していただけるか、どうでございましようか、これが一つ。  それから中金の千葉と横浜が閉鎖になつておりますが、こういうことで、手形のいろいろな処置に対して支障を来しはしないか、どういう理由でそうなつておるか、ちよつとお伺いいたします。
  56. 飯山太平

    飯山政府委員 第一の援助資金の問題でありますが、これはまだ決定案でもないのでありますが、現在司令部の方に交渉をしておる案なのであります。しかしその案がどういうものかということは、いずれは吟味すべき義務かありますので、ひとつその案を差上げたいと思います。しかし今申しましたように、北海道においては、信連においてこれが計画を立てようということは非常にけつこうだから、ぜひ計画を立ててほしい。そうして大体としては生産地には組合の施設——集荷するためなどの大きい場所の設備、あるいは集荷的な方面は、北海道の信連方面の意見としては、これはまたそういうふうな従来の経営者にやつてもらうとしても共同で行くべきである。協力で行かなければ十分機能が発揮できぬじやないかという意見もあるのでありますので、その具体案を求めておるわけであります。それらの案が出た場合に、これを勘案して行くという考えを持つておりますが、今それ以上それではどういう案を持つておるかということに対しましては、現在信用組合に対しましては、北海道の案が立つのでなければ、私どもとしては、それに基いて案を立てたい、こう考えております。その間の折衝はおそらく非常に困難だと思います。しかしわれわれとしては、できるだけこの際水産方面資金を活用するということはどうしてもやらなければならぬ、その場合に問題はこういうことになると思うのであります。つまり今まで援助資金三十二件ぐらい日本銀行に出ておるそうでありますが、わずかに許可になつたのは二件、非常に嚴重な審査を加えられ、それが回收は最も正確なものでなければならない、こういう一つの規制があるわけであります。そういつた点についてわれわれは非常にここに困難を持つのでありますが、しかしその困難性を、いわゆる民主化というような線でこれをカバーしなければならぬという考え方で、私どもは折衝をいたしたわけであります。ただ審査が非常に嚴格である、われわれが計画しても、それがかりに関係部署においては認めても、実際にこれが取扱われるかどうかという点について、相当問題があるのでありますが、いずれ国会の案については、資料を提供することにいたします。
  57. 川村善八郎

    ○川村委員 ごく簡單に一言お伺いいたします。この十五億のエード資金内容については、各委員から質問がありましたから省略いたしますが、ただ一言長官にお伺いいたしたいのは、先ほどから見返り資金に限つては、絶対に大資本家ばかりを擁護するのではない、特に北海道の信連からも要望があり、北海道として相当の施設があるならば、これに対して長期の資金を与えて、高度の加工品を加工するということを聞いて、まことに安心したのであります。そこでその北海道の案に対しまして、実は昨日私はこの厖大な十三億という、すなわち長期に準ずるもの、そのうち大体見返り資金に充当し得るものは約九億の内容になつております。これは北海道の信連の資料を基礎にして、北海道庁がつくつたものであります。もちろん内容につきましては、水産庁並びにわれわれも大いに検討をしなければならぬし、先ほども長官が言われましたように、償還計画等については、十分われわれも考慮考慮を拂つて、皆さんに御迷惑をかけないようしなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、北海道では案が立ちまして、それぞれ事務的には水産庁と折衝をし、これから本格的に私が中心となつて折衝をし、さらに金融機関とも折衝をする段取りになつておりますので、長官のお言葉に甘えて私は引受けたのでありますから、何とかよろしくお願いいたします。  それからさらに統制の問題や漁業権の問題、あるいは小型の整理の問題、漁船の問題、漁港の問題、協同組合法の改正の問題、いろいろありますけれども、きようはもう時間がありませんし、明日も本委員会を開くということになつておるそうでありますから、私はただ一点だけ伺いまして、あとは明日に伺います。
  58. 飯山太平

    飯山政府委員 先ほど井之口委員の御発言に対して拔けておつた点がありますので、お答えいたします。今の千葉方面の中金の出張所の廃止であります。これは実は私ども水産関係から申しますと、現在でもその出張所なり駐在員というものが非常に少いのであります。一昨日も中金で実はブロツク会議の報告会を催した際にも、その点に触れたのであります。むしろ水産方面としては、今後この網を広めてもらわなければならぬ。少くとも漁村というものは沿岸にずつと分散しておりまして、出張所、支店は困難であつても、駐在員と申しますか、そういうものをできるだけ多くしてほしい。ところが向うの説明では、経営上経済的理由から廃止することになつたのだ。これは聞くところによりますと、漁業団体方面で中金の経営について異論が出ている。そしてそれがそういう結果になつたように伺つているのでありますが、中金の考えとしては、引合わないから、そういう人を置くわけには行かない、こういう話であつたのであります。われわれとしてはそこをひとつこの際助成の意味において、何とか増員して、地方に分散してくれという要望を実は強くしたような次第であります。
  59. 石原圓吉

    石原委員長 それでは本日はこの程度にとどめたいと思いますが、明日はこの五大会社と沿岸漁業との関係については、なおよく御質疑応答を願いたいと思うのでありまして、それには沿岸漁業課長並びに生産部長等も御出席を求めます。  明日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時四分散会