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金森国会図書館長 今日御
審議をお願いしたいと
思つておりまする
国立国会図書館の、
明年度の
予算の
要求につきまして御
説明を申し上げます。
それに先だちまして一応おわびをしておかなければなりませんが、
予算につきまして
関係諸
部局と協議を始めましたのが本年の八月の終りごろでありまして、非常に急な場面でありましたことと、少し私の方が油断をしておりまして、その当面の
準備の方に没頭しておりました
関係から、
皆様方にあらかじめ御連絡を申し上げて、種々のお教えを願うということがなか
つたのでありまして、この点はまことに申訳ない次第と
考えております。今後時間と
準備のつきまする限り、できるだけ事前の手続きをとりたいと
考えております。
さてこの
本館の
管理運営に必要な
経費は、別の刷りものにありまするように、一億五百二十五万六千円でありまして、
本年度の
予算額の七千八百四十九万三千円に比較いたしますると、おおよそ三割四分、つまり二千六百七十六万三千円だけ
増加にな
つておるのであります。
次に
上野支部図書館の
管理、
運営に要しまする
経費は、二千五百八万一千円でありまして、本
年度予算額の一千九百七十八万二千円に比較いたしますると、二割七分、
金額にいたしまして五百二十九万九千円の
増額とな
つております。
次に
営繕事務費は
本年度と同額十四万円であります。また
営繕費は
書庫新
常費五百万円、
各所修繕費五百万円、
合計一千万円でありまして、
本年度の
合計が七百万円であるのに対しまして、三百万円の
増額とな
つております。
以上申し上げました通りで、
要求の総額は一億四千四十七万七千円でありまして、
本年度の
金額一億五百四十一万五千円に対しますると、三千五百六万二千円、すなわち三割三分強の
増加とな
つておるのであります。今申し上げましたのは、数字の表面につきまして、一応
本年度の
予算要求がどんなふうにな
つておるかという点を申し上げましたが、これを
事柄にわけて申し上げますと、まず人員の問題であります。これは
本館の方でわずかではございますけれ
ども、三十七名だけ
増加をいたしまして、
従つて本年度の
本館の
職員は三百六十九
谷土野支部図書館百二十二名、
合計四百九十一名でありますところに対して、
明年度は三十六名の
増加のために五百三十七名となるわけであります。
次の
予算年度に対しまして、新しい
事業として計点いたしておりますものは、あまりたくさんはございません。
五つばかりの
項目がこの中に現われるのであります。
第一に申し上げますのは、従来
国会図書館では、
法律または
法律に
関係しております
図書の
設備が非常に不十分でありまして、この重要な
立法調査機関及び
世間の人がそういう
資料を得ようとするときに、まことに不完全であ
つたのであります。
公立図書館を整備し、これを公開する趣旨をも
つて、漸次
計画を進めて行きたいのでありますが、これがためにさしあたり九名の人を
増加いたしまして、それに要します
人件費と必要な
図書を、特別に購入いたします
経費とを合せまして、二百万円計上をしておるのであります。
それから第二の
項目といたしまして
印刷カードの
作成について、ある
程度充実をしたいと
考えております。
印刷カードをこしらえまして、新しく
日本にできて来ます一切の
書物について、完全な
図書の
分類整理を記述いたしましたものをこしらえて、それを
印刷をいたしまして、一面においてはわれわれの
図書館において
利用いたしますとともに、他面は広くは
世間の
利用に供するということは、かねがね
アメリカ使節等からも勧告されてお
つたところであります。
経費の
都合上今まで遅れておりまして、本年の夏からこれを
実行はいたしておりますけれ
ども、
経費の不足のために、なかなかむりをしてや
つておるわけであります。それに対しまして
本年度は四百万円を計上して完璧を期しております。
第三に
憲政史料の
維持整備ということを
考えておりますが、明治以来
日本の
憲政の発達は、いろいろな
歴史的段階を経ております。それに必要な根本の
史料は、漸次
散逸する
傾きを持
つておりまして、今日古き
関係のある家には、若干保全せられてはおりますけれ
ども、これらのものの
散逸を防ぎまし
て、できるだけ
現物を
一つ所に集める、どうしても
現物の集まりませんものについては、そのあり所を
調査をいたしまして、完全な、いわば
文献目録のようなものを、まず最初に整備いたしまして、次にさような
憲政史自身が、今日は
実行はできませんけれ
ども、いつかはそれがうまくできて行くということの
準備をしたいと
考えておりまして、いろいろかような貴重な
資料を持
つておらるる方々と内
相談をしてみましたところが、各
方面の賛成を得たのでありますから、今回
関係部局とも
相談をいたしまして四百万円を計上いたしておるわけであります。
第四に
文献摘録の
作成に関する
経費を
要求しております。
文献摘録と
申しますのは、
学術に関する
文献につきまして、これをきわめて簡單に
摘録をして、
一般に広く
利用せしむるとともに、
外国との同様の
文献と並びまして、その
文献がお互いに流れ合うという
方法によ
つて、
一般の
学問の発言を進めるというのがねらいどころであります。但しかような
文献の
摘録をいたしますことは、
実質上の働きは、必ずしもわれわれの
図書館がこれをやることが適当であるとは
思つておりません。それは
学術会議その他
学問そのものについて深い
関係を持
つておらるるところが、技術的な
仕事を担任してだされなければならぬのでありますけれ
ども、それにいたしましても、
事務としてこれを
扱つて、これを整備し、かつ国外との交流をはかるということの任務を行
つて行きたいと思いまして、
委託費三十六万円を含めて、
合計百五十万円を計上いたしておるのであります。
第五の
項目といたしまして
労働科学研究所の
図書を維持
管理するという
事柄を
念頭に置いております。
労働科学研究所は、多年存費しておるものでありまして、そこには相当貴重な
文献が保存せられて、
労働科学の
研究に必要な
図書が、大よそ九万冊存在しております。これが種々なる
事情によ
つて、何とか適当に処置せられなければならぬということになりまして、今までの話の行き道では、これを
国立国会図書館において
管理するというような
方向に、
関係部局から方針を示されております。
従つてこの九万冊の
図書を引受けますと、これを
一般の
利用に供しまするためには、種々な
経費を要するわけでありまして、大体六名の
職員の
人件費を含めまして、
合計において六十八万四千円を計上しておるのであります。
かようなふうに
五つの
新規事業を含めまして、この
予算の額をいろいろに整備して款項によ
つて分類いたしますと、お手元に差上げましたような
書類になるのであります。
大体かような筋でありまして、それ以外のことは、さらにお尋ねを待
つてお答え申し上げたいと存じます。