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1950-03-13 第7回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十三日(月曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 大内 一郎君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小金 義照君 理事 小平 久雄君    理事 仲内 憲治君 理事 前田榮之助君    理事 高田 富之君       江田斗米吉君    岡延右エ門君       奧村又十郎君    甲木  保君       川端 佳夫君    小玉 治行君       中村  清君    福田 昌子君       門司  亮君    金塚  孝君       森山 欽司君    井之口政雄君       田代 文久君    中村 寅太君       黒田 寿男君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局災害復         旧課長)    川名 進一君         建設事務官         (河川局防災課         長)      賀屋 茂一君     ————————————— 昭和二十四年十二月十三日  委員池田峯雄辞任につき、その補欠として田  代文久君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として甲  木保君が議長指名委員に選任された。 昭和二十五年二月三日  委員寺崎覺辞任につき、その補欠として中村  寅太君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長の選任に関する件  災害対策に関する件  委員派遣承認申請に関する件  連合審査会開会申入に関する件     —————————————
  2. 大内一郎

    大内委員長 これより会議を開きます。まず御報告いたします。特別委員会におきましては、去る二月十四日に理事会を開き、委員会調査方針について、理事各位と御協議いたしたのでありますが、その結果、今国会におきましては、昨年末の北関東地方震災復旧状況調査、及び前国会以来の災害防止国土保全法案起草に努力いたすことに決定いたしたのであります。なお今国会内閣提出を予想せられます災害復旧費全額国庫負担法案につきましても、本委員会といたしましては、重大なる関心を持ちまするので、同法案に関し、あらかじめ何らかの方法で調査いたすことを申し合せたのであります。     —————————————
  3. 大内一郎

    大内委員長 次に、小委員会の設置についてお諮りいたします。先刻御報告申し上げました通り理事会の決定に基き、災害防止国土保全法案起草小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大内一郎

    大内委員長 御異議なしと認めます。  小委員の数は十一名とし、小委員及び小委員長委員長において指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大内一郎

    大内委員長 御異議なしと認めます。それでは指名いたします。    青木  正君  飯塚 定輔君    岡延右エ門君  久野 忠治君    小金 義照君  小平 久雄君    仲内 憲治君  前田榮之助君    床次 徳二君  高田 富之君    中村寅太君  以上十一名の方を小委員指名いたします。  なお小委員長には小平久雄君を指名いたします。     —————————————
  6. 大内一郎

    大内委員長 本日政府側より、農林省農地局災害復旧課長川名進一君がおお見えになつておりますから、災害復旧の問題について御説明を承りたいと思います。川名進一君。
  7. 川名進一

    川名説明員 それでは私から、昨年度に起りました災害、並びにそれに対してとりました対策につきまして、概略御報告申し上げます。  昨年六月末のデラ台風以来、ヘスター、ジユデイス、キテイ、それからその後に起りましたアイオン台風等、非常な回数の台風がやつて参りまして、全国各地に甚大な被害を及ぼしたのであります。大体その数字を見ますと、農地におきまして約八万四千六百八十町歩程度被害を及ぼしております。公共施設につきましては、これは数字的に数量を申し上げるのもちよつとたいへんなくらい多いのでありまして、これを金額で見ますると、その復旧費か大体二百二十八億——これはその後に起りました栃木震災とか、そういう額を含んでおりません。それだけで二百二十八億。全部を入れますと、大体三百億以上の復旧費を要するであろうと思います。  それで昨年デラ台風以来緊急の措置といたしまして、これは建設省方面と一緒になりまして、短期の融資をそれぞれ早急に県の方へ割り当てまして、それを見返りとしてとりあえず仕事をやつていただく、そうしてその後の臨時国会追加予算をお願いいたしまして、耕地関係といたしましては、大体二十一億の補正予算を認められまして、それを第四・四半期に割り当てることによりまして、ただいまの二十四年度の復旧仕事をまかなつていただいたわけであります。そして二十五年度におきましては、当初もつと余分の二十四年度に起りました災害復旧費を計上いたしますようにお願いしたわけでありますが、何分にも過年度分災害の残りが、非常によけいになつておりまのすで、ともかくも十八年度以来の災害のうち、二十二年度までは大体二十五年度に終らせたい。それから二十三年度の非常に多い台風でございますが、これの約半分は二十五年度に終らせたい、こういうような点から見まして、二十四年度に起りました新規災害につきましては、割合に少くて、地元としてはお困りだろうと思つたのですが、大体二十四年度に起りました災害の約三分の一を二十五年度に計上する、こういつたようなことで、二十五年度におきましては、私ども関係農地局災害復旧施設費として、約七十二億をお認め願うようになつておるわけであります。  それから去年の十月までに起りました災害についてでありますが、その後十二月には栃木今市中心とする震災が勃発いたしまして、この農地関係被害が約一億五千万円程度であつたと思いますが、これをとりあえず私の方からも係員が行つて現地を踏査いたしたわけであります。これに対して県の方からこれが復旧事業費として出て来たのは、大体九千百万円程度であります。これは被害地に対して割合に少いのであります。おそらくこれを復旧するのに、河川道路、その他いろいろの関係を見まして、それの可能な復旧費を計上して来たものであろうと思います。それともう一つは、軽微ものと申しますか、災害復旧対策基準なつておるものを拾つたために、この程度復旧費になつたのだと思いますが、それで九千百万円の復旧費を申請して来られました。これに対して当局農地事務所から査定官が参りまして、大体八千万円程度復旧事業費査定して参つたわけであります。これは二十四年度越しの二十五年度分の復旧対策として、それに組み入れておるわけであります。大体ただいまのところではその程度のことであります。  ここでちよつと余分のことかもしれませんが申し上げておきたいのは、従来災害復旧事業費として取上げております基準度、そいうことにつきまして、割合農林省内部でも疑問があつたのでありますが、そのために特に農地復旧につきましては、相当基準が辛いと申しますか、この基準に当てはめると落ちるのが大分あるわけでありますが、現在そういつたような点につきまして、安本大蔵省方面とも交渉中であります。農林省としましては、できるだけこの基準につきまして合理的な、しかも実態に即したものをつくり上げたいと思いまして、現在研究中でありますで。  大体のあらましでありますが、気づきました点を申し上げました。
  8. 大内一郎

    大内委員長 それでは、井之口政雄君に質問を許します。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの報告において、あらましの点がわかりましたが、元来この今市中心とした栃木北部地方における災害対算は、もつと早くやらなければ、ほとんど委員としてこれを審査することができぬし、またわれわれとして、これに対する対策を決定することもできないというような状態なつておりますが、委員長は今日までこの委員会を開かれなかつたというのは、どういうわけですか、この点をひとつ委員長質問しておきたい。  さらに、次に課長さんに今のお話について御質問いたしますが、今市農地被害は約四百六十三反歩くらい出されております。これの復旧に一億五千万円見込まれて、約八千万円と査定された。二十五年度に入つておるということですが、実際これは今の課長さん自身の言明によつて、非常に辛い査定であるというようなことを言つておられます。事実どのくらいの意味で辛いものであるか、もしこれをほんとうに役に立つように、この災害復旧されることにすれば、どれくらいの貝込みにほぼ当るのか。また現にやられてしまつて、これは復旧されておるのか。二十五年度の予算でこれからやるということになれば、相当遅れてしまいますが、一体そういう時間的ずれはどうなつておるのか。そのくらいの費用は、県や市町村において、すでに分担して、工事は終つてしまつておるのかどうか。あるいはさらに農家でも、ただ農地だけでなくして、水路ども、約三百くらいの水路が破損しておるということを報告なつておりますが、この水路の面も現在どれくらいの復興状態なつておるか。去年の十二月以来今日までのことでありますから、早くやられないと、新しく稻を植えつけるのについても非常に困るだろうと思うのであります。その辺の報告を、もう少し詳しくお話していただきたいと思うのであります。
  10. 川名進一

    川名説明員 ただいま私が申し上げました査定の点につきまして、ちよつと言葉が足りなかつたと思いますので、申し上げますが、被害高は大体一億五千万円でありますが、これにつきまして県の方から復旧事業費として申請して参つたのが九千百万円何がしであります。それに対しまして、査定しましたのが八千万円ということになつておりますが、この査定が辛いというのではなく、査定いたしますときの現在の農林省の持つております基準が辛いと申しますか、ある場合には実情と少し離れておりはせぬかというような点があるのであります。たとえば、一つの例を申し上げますと、現在二十四年度からやつております査定基準が、農地復旧に対しましては、一集団地が三町歩以上なければこれを災害補助対象にしない、こういうようなことになつております。しからばどうしてそういう基準をつくつたかという当時の話を聞きますと、これはもちろんその基準が理論的に正しいというのではなしに、むしろ予算とかその方面から制肘を受けて、やむを得ずこういうような基準をつくつたのだと聞いております。しかしながら、実際に当てはめてみますと、この一葉団町歩ないし五町歩の中に入つたものは救われるが、それのほかにあるものは救われないというような、非常な矛盾がありまして、この点につきましては、各方面からの御指摘もあり、何とか実情に即したものにしたいと思いまして、現在研究しておりますことは、先ほど申し上げた通りであります。査定官のやつたことが、辛いというのではなく、その査定のものさしが現在辛いのであります。その点は何とか早く訂正いたすように考えておるわけであります。  それからもう一点の御質問の、十二月に起つた災害をまだ二十五年度の予算に入らないから、まだほうつておかれるのかということでありますが、これは県の方におきましても、当然二十五年度の補助がもらえるという想定のもとに、現地の方は督励して設計とか計画、そういうものを立てて、すでに現地工事を開始しておるのもあると思います。これは、ほかの災害もそうでありますが、どうしても予算的のずれがありますので、やむを得ず翌年の植付までには間に合うようにやつてくれ、こういうことで現地の方では、すでに実際に指導しておると思います。その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 今市調査に、林厚生大臣が行かれたそうでありますが、そのときに、災害救助法による応急救助は、やる必要がないというようなことを、言明されたと聞き及んでおります。はたしてこれはそうであつたのでありますか。しかしそういうことは聞いていらつしやらないでしようが、もしそういうようなことを大臣が発言されたとすれば、当然県当局に対して大きな示唆を與えるものとなつて、その復旧を非常に遅らせる結果に立ち至ると思います。そのために、農民がいたずらに長い間、災害のままに放任せられなければならないという結果にも立ち至ると思います。今仰せられた一団地三町から五町歩のものでなければ救済しないというふうな規定がある、このために復旧実情に適しないということを言つておられます。これはまことにそういうことだろうと思います。いつでも、官吏のやる仕事が現実に適合しないために、農民が非常に困つておる。法律がありながら、実際その法を適用する場合には、いろいろな省令やその他のものに制限されてしまつて実情はちつとも救済にならないということがたまたま起つておる。これは今に始まつた例ではない。こういう点を急速に克服するために、何らかの法的な措置をとろうという意思が、農林省においてはないものでしようか、この点もひとつ承つてみたいと思います。できるならば、全面的にそういう被害を受けた人たちを救済するというふうな方針に持つて行つて、初めて適当な処置がとられるのじやないかと思います。  次に先ほどの御質問で、まだ返事を承つておらないのですが、水路なんかどうなつていますか。
  12. 川名進一

    川名説明員 ただいまお尋ねの、林厚生大臣のおつしやつたことにつきましては、まだ何にも聞いておりません。それから災害復旧基準につきまして、法的の処置を考えておるかとのお尋ねでございますが、従来農林省の方の災害復旧事業につきましては、実は法的の基礎がないのでありまして、災害復旧補助要綱というふうな省令に基いてやつてつたわけであります。しかしながら従来いろいろやつて参りますと、やはりどうしても法的の根拠が必要であるという結論に達しまして、今度の第七国会に間に合うかどうかわかりませんが、実は現在大蔵省安本方面と、事務的には折衝を開始しております。それは農林省としまして、災害復旧補助法とでも申しますか、従来やつてつたことと内容はかわらないのでありますが、ただそれに基準をどうするかという、従来政令できめておりましたことを法律の中に織り込みまして、いずれ提出されましたならば、皆さんの御協賛をお願いすることと思いまするが、現在まだ大蔵省の方と事務的の折衝の段階になつておるわけであります。御了承願います。  それから水路のことにつきましては、これも農地復旧と同様に、すでに現地では県の方から指導をしておると思います。これにつきましての補助は、遅れて二十五年度になると思いますが、現地の方は何とか作付に間に合せるようにやつておるはずでざいます。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 今のお話では、法的な処置がとられていなくても、やつておるのだというようなお話でしたが、それならば、それをもつと拡張して、一団地町歩未満のものに対してもやるような、緊急の対策をとられないものであるかどうか、その辺もひとつお尋ねしてみたいと思います。  それからなお、林道方面も非常にいたんでおるというような報告であります。荒廃地が約四百町歩にもわたつておるし、林道つて二万メートルから破損されたということですか、これの復旧状態はどうなつておるか、ひとつお聞きしたいのであります。
  14. 川名進一

    川名説明員 今お話ししたような基準を織り込みまして、従来の三町ないし五町というようなのから除かれるものを、できるだけ多く取入れられますように、今立案中であります。  それから林道につきてましては、私の方の管轄でございませんので、ここで申し上げられないのであります。御了承を願います。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 一番最初の問題はどうなんですか。
  16. 大内一郎

    大内委員長 急いで開くべきであつたのですが、いろいろの事情のために遅れたことを、おわびしておきます。
  17. 森山欽司

    森山委員 栃木県の今市地区中心とする震災は、これは地方に非常に重大な打撃を與えておるわけでありますが、かかる問題を一つ対象として、この種の委員会があるのじやないかと思います。その問題について、委員会対象にされなかつたことは、まことに遺憾にたえない次第でございますが、この際この災害復旧の現状について、今市地区に本委員会からあらためて一応調査をする必要があるのじやないかと考えます。ひとつお考え願いたいと思います。大分時間がたつておりますけれども、実際、農林省あるいは建設省等方面にわたつておりまして、災害の統一的な対策というふうな問題については、現地においてもいろいろ申し分があるのじやないかと考えますので、事後の経過と今後の機動的措置という点も考えまして、ぜひ調査団の御派遣をお願いします。
  18. 大内一郎

    大内委員長 承知いたしました。
  19. 飯塚定輔

    飯塚委員 ちよつと数字を伺いたいと思います。さつきお話の中に十八年度以降二十二年度までの分は、二十五年度においてこれを完了したいというお話がありましたが、さらに二十三年度の半分も二十五年度においてこれを完了したいというお話がありました。それは反別とか額においておわかりであつたならば御説明願いたいと思います。
  20. 川名進一

    川名説明員 その数字は、あとではいけませんか。
  21. 飯塚定輔

    飯塚委員 よろしゆうございます。それからあとでもいいのですけれども、なおそれについて災害の総額、さつき二十四年度のデラヘスター、その他の台風によつて、約三百億円以上に上つておる。現在までにおいて、そういうものが、すでに復旧しておるところもあるでしようし、やらなければならないものと、やり得るものと、それを後ほどわけてお示し願いたいと思います。
  22. 前田榮之助

    前田(榮)委員 ちよつと農林当局お尋ねしますが、農地災害復旧について、大体河川道路等についての災害は、全額国庫負担ということになつておるのは御承知通りでございますが、農地の方はそうはなつていないと思うのであります。しかし従来の補助率等では、他の公共事業全額国庫負担なつておる関係から言いますと、その均衡がとれないと思います。これは補助率が増額することになつておるかどうか、またしようという御意思があるかどうか、お尋ねいたします。
  23. 川名進一

    川名説明員 災害補助率についてでございますが、これは非常にむずかしい問題であると思います。と申しますのは、河川道路、そういうものも同様なこともあると思いますが、農地関係災害復旧事情が、非常に事業の分量が多いのでありまして、これを全額国庫負担とすることによりまして、全部の事業ができるようなことになれば、これは一番いいと思いますが、実際問題として全額負担なつたが、予算方面制肘を受けるといいますか、実際に必要なだけいただけない場合には、全額の中へ入つたものはいいか、入らないものは一文ももらえないということになりますし、かたがた、だんだん復旧事業が遅れるのではないかということを非常に心配されるわけであります。もちろん農林当局としては、できるだけ農民負担をかけないように、高率の、できれば全額補助ということを、その方面にはお願いもし、意見も出したわけでありますが、先ほど申し上げましたような事情で、まずこの農林関係復旧事業としては、まあ全額ということではなしに、できるだけ高率補助をもらつて使用して行きたい、こういつたようなところに意見がまとまつたのであります。それで当時、従来とつております補助率をできるだけ上げていただきたいということを、その方面にお願いしたのでありますが、まだそれが実現するような運びにはなつておりません。現在では、従来の補助率と、それからできれば特別の場合には、何とかもつと高率にしたいということを、先ほど申し上げました基準の方にも希望をいたしておるわけであります。ただいまのところは、そのような程度であります。
  24. 前田榮之助

    前田(榮)委員 できるだけ補助率を増額されるように——全額はもちろん事実上において困難なことだとは推察いたすことができるので、全額補助すべしという希望は持てませんが、できるだけ増額をして、この非常に困難な時期における農民負担を軽減してやるということに御努力を願いたいことを希望申し上げておきます。  それから前に井之口委員からも御質問がございましたが、三町歩以上の集団地の問題でございます。日本のような地勢から耕地関係等を考えますと、三町歩以上の集団地という災害地だけを取上げることは、非常に小規模な農民をたくさん持つておる日本としては、きわめて不公平になり、実際に適しないことは、すでに周知の事実でございます。これは今当局からは、是正してできるだけ均衡を保ち、農民負担を軽減するように、今関係者折衝中で、考慮中だということでありますが、農林当局としては、大体どのくらいまで引下げてやろうという御意思を現在持つておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  25. 川名進一

    川名説明員 この点につきましては、現在関係方面折衝中でありまして、はつきりしたことは申し上げられませんが、私の方としましては、前にやつておりましたように、町村單位に、一町村でどのくらいというようなことにいたしたいと考えております。それは御承知のように、日本の地形によりまして、特に山間方面におきましては、一集団地町歩はおろか、かりに一集団地として、一町歩をとるにいたしましても、落ちるものが相当あるように思われます。そこで一集団地というのではなくして、一町村耕地の何分の一とか、あるいは何町歩以上とか、そういうことにして、また一方集団的の意味も別に含めて、二本建、あるいは三本建くらいにして行つたらどうだろう、そのようなふうに考えております。かりに一町村耕地の一割ということにしますと、平坦部の、たとえば新潟県あたりならば、これは一町村に四千町歩ある場合は、四百町歩なければ取上げない、こういうようなことになりますので、一集団地幾らということと、それから、一町村の何割ということと二本建あるいは三本建で行きたいというふうに考えております。まだその辺の限界は、はつきりいたしておりません。
  26. 前田榮之助

    前田(榮)委員 基準をどの点に置くかということは、農民としては非常に重大な問題であります。もちろん全部を救済すべしということは望ましいことでありますが、なかなか事実上においては困難なこともあるのであります。たとえば集団地町歩という基準を求めて行く場合におきましても、それならば、五反歩のものはほうつておいていいかということになりますと、被害実情等を考えますと、実際の面積においては相当広いけれども、その割合被害工事の、つまり難易等を考えますと、そうでない実質を持つておる場合もあるので、一町歩は従来幾ら幾ら、それから五反歩に対しては、それの何パーセントというようなこと、それを三段構えくらいにしてできるだけ零細農家も救い得るような、実情に即したようなものにすべきではないかと私は思うのでございます。その点に関する当局の御意見をお伺いしたいと思います。
  27. 川名進一

    川名説明員 御趣旨まことにごもつともだと思います。私どももできるだけそういうような合理的な線に沿いたいと思いまして、いろいろと研究中であります。ただ農家事情が、考えれば考えるほど非常に複雑でありまして、その点なかなかむずかしいのでありますが、もしいいお知惠がございましたら、ぜひ拜聽いたしまして、できるだけいいものにしたいというふうに考えております。
  28. 青木正

    青木(正)委員 ちよつと農地関係のことを承りたいのですが、災害復旧ですから、復旧と言う以上、原状回復というとこになると思うのであります。そういう原状回復という見地から見まして、また二十五年度中に二十五年度の予算で二十三年度分は完了させる、こういうお話を承つたのでありますが、二十三年の利根の原道村の決壊したときの復旧の問題でありますけれども、あそこの耕地原状回復と申しましても、先般私現地行つてみたのですが、まだ土砂が六尺ぐらいもたまつておるところが相当あるのであります。こういう土地は、原状回復という意味で、再び耕地にするようなことを、はたして農林省の方でお考えになつているのかどうか。あるいはまた新しく造成された土地について、それに適するような他の農作の転換と申しましようか、そういうふうに指導されて行くのか、この点ひとつ承つておきます。
  29. 川名進一

    川名説明員 この点は非常にむずかしい問題でありますが、原状回復と申しましても、これは必ずしも原状そのままに回復するのではないのでございまして、場合によりましては、再び災害にあうということが予想されます場合には、幾分のこれにかわるべき施設を考えまして、これをもつて災害復旧事業とみなすというようなことに考えております。現在は大体その線に沿つてつておりますが、これははつきりした基礎は持つておりません。そこで今後その点につきましても、定義と申しますか、そのやり方につきまして、ある程度きめてみたいと考えております。  それからお話耕地復旧でございますが、災害のひどい場合には、非常に多量の土砂を堆積したり、あるいはそれを流出する場合があるのでありまして、これをしいて復旧することは、農家の経済の上からいつても、あるいは国家投資からいつても、とても合わないという場合は、別の方法で考えたいということで、あるいは作付の転換、その他のことにつきましても、必ずしも元の通りにすることを考えませんで、むしろ別の方に進むように指導もして行つておるわけであります。
  30. 青木正

    青木(正)委員 そういつた場合に、原状回復は困難というか、むしろそうすることが不適当であり、作付転換をさせた方が、大局から見て賢明だという場合に、作付転換に必要なる補助といいますか、そういうものを災害復旧費の方で補助ができるものかどうか。また、それと同じような意味でありますが、あのときの水害によつて、従来の水路が埋りまして、また土地の高低がかわつたために、湛水地帯でモーターで水をくみとつたわけですが、従来のモーターではだめになりまして、新たに水路を開盤せんければならぬ、こういうところが出ております。こういう新しく水路を開設するようなものも、大きな意味からいえば、やはり災害復旧になるわけでありますが、こういうのが災害復旧対象として取上げ得るものかどうか、この点をお尋ねいたします。
  31. 川名進一

    川名説明員 ただいまのお尋ねの中の、作付の転換につきましては、今のところ補助の道はないように思います。それから従来機械排水をやつてつたのが、災害のためにそれが用をなさなくなつた。従つて別に排水幹線とでも申しますか、そういうのを置かなければならないような場合は、これはある程度それがどうしても必要であるという場合には、いわゆる原状復旧でなく、用途の原状復旧という意味で、補助対象にしておる場合があります。ただそれがあまり多額の費用を要するという場合、むしろ改良に属するような場合は、別の方面補助をすることになると思います。     —————————————
  32. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 質問継続中でございますが、私ちよつと時間の都合がございますので、ひとつ緊急動議を提出したいと思います。と申しますのは、現在政府提出の特別鉱害臨時措置法案が通商産業委員会において審議されつつあるのでありますが、これはきわめて重大なる政治問題化しております。ところが、この問題について窮通打開の通を講ずるために、明日通産委員と建設委員との連合審査会を開くそうでありますが、あの問題はこの委員会も相当大きな関係があると思います。そこで全員とは申しませんが、委員長及び理事ぐらいはこれに参加されるように、委員長において特別なるおはからいを願いたい、こういう動議を提出いたします。
  33. 田代文久

    ○田代委員 今の動議に一言付加させていただきたい。今の動議は、ごく少数の委員が参加したいという趣旨でございますが、私もその趣旨には大賛成でありまして、これは少数ではなくて、全委員が連合審査会に参加できるよう、おとりはからい願いたいと思います。
  34. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 私は多少遠慮して、委員長理事だけでもと申したので、田代君の趣旨とまつたく同じでございまして、でき得れば格を引上げて、同じ立場において三つの連合審査会というようにしていただけば、なおけつこうであります。
  35. 大内一郎

    大内委員長 それではただいまの動議は、さよう決定いたしまして、交渉することにいたします。     —————————————
  36. 飯塚定輔

    飯塚委員 もう一つお伺いいたします。耕地復旧補助ですが、あれはどういうような状態なつておりますか。二十二年度の災害のあとは、耕地復旧に対しても補助かあつたと思いましたが、昨年度はそれが削られて、今年からまたそれが認められるという状態なつておると思いますが、その実情はいかがでありましようか。
  37. 川名進一

    川名説明員 これは御承知のように、従来耕地復旧補助はずつとありましたが、はからずも二十四年度におきましては、これを突然切られたわけでありましてこの点につきまして、補助があるという予想のもとに、復旧をやつておりました農民には、非常に迷惑をかけたわけでありますが、おかげさまで、ようやつと二十四年度の補正からこれを復活いたしまして、今後継続してやることになつたわけであります。従来の二十年度以降の耕地復旧事業で、残つておりますのが現在大体三万町歩程度だと思います。これはどうしても二十五年度以降に早く片づけませんと困りますので、その方面にできるだけの補助金をまわして行きたいと考えております。ただ数字的には三万町歩が残つておりますが、実を申しますと、そのうちのある極度は、農民の方で、協同組合その他の金を借りてやつておるのだと思います。
  38. 飯塚定輔

    飯塚委員 それを尋ねたいのです。過年度と言うか、でき過ぎと言いますか、それに対してどういう補助の方策をなさるか。できるならば、早くやつていただきたいという結論ですか、それを伺いたいと思います。
  39. 川名進一

    川名説明員 それは今申しましたように、二十二年度までは、大体二十五年度にやれると思います。二十三年度  の災害につきましても、もつと早急に行きたいのですが、やむを得ず大体半額ぐらいであろうと考えております。
  40. 飯塚定輔

    飯塚委員 わかりました。それは農家としては、ある意味において恐怖という程度まで行つておりますから、できるだけ早く安心させて、作付をさせるように、お願いしたいと思います。
  41. 井之口政雄

    井之口委員 もう一つちよつとお伺いしたいのですが、被害をこうむつた耕地関係の供出、並びにそれに対する税金の関係はどんなものでございましようか。あなたの方では、これに関係しないということを伺つたのですが、しかしそれについては、やはり災害事情をよく知つていられるあなた方の方から連絡をとつて、これをどうにかしなければならないのじやないかと考えますが、どうですか。
  42. 川名進一

    川名説明員 私どもが聞いております範囲では、税金の方も免税になつておるそうであります。農地災害を受けたものについては免税になつており、それから供出につきましては、災害の後に作報の方から実情をよく調査しまして、それで供出を免除しておる、こういうことに聞いております。
  43. 井之口政雄

    井之口委員 それからこれの復旧工事、たとえば土砂の排除という復旧工事をなさる場合に、その事業はだれが引受けておりますか。土建業というような鑑札を持つている者でなければ引受けられないという規定があるのじやなかろうかと思うのですが、そのために、もしも村並びに特別の協同組合なんかで責任を持つて工事をやつて、しかも国庫からの査定が来ないということにでもなつて来るならば、その責任問題も地方では起つて来ると思うのです、そういう点はどうなさいますか。
  44. 川名進一

    川名説明員 農地復旧は、大きなものは市町村ですが、大体のところ協同組合あたりが事業主体になつておると思います。それからこれを土建業者がやるというよりも、大部分は地元協同組合が事業主体で個々の農民は自分の自家労力でやつておるのが実情だと思います。公共施設につきましては、土建の方、あるいは一定の金額以上の登録をした業者がやるということもあると思いますが、個々の事業につきましては、大体自家労力でやつております。
  45. 井之口政雄

    井之口委員 それがあとで国家からの補助が削減されたり何かして足りない場合は、協同組合の損失になるのじやないですか。  それからもう一つは、公共事業に対しては、土建業者でなければやれないという何か規定があつて、実際市町村自身でやりたい場合でもやれない。そうして表面はどうしても土建業者を引受人として立てなければやれない。実際は市町村でやるという場合も、かえつて、土建業者の権利金ということでそれらの私腹を肥やすような形になつている所が非常に多いと思うのですが、そういう点はありませんか。
  46. 川名進一

    川名説明員 私が聞いております範囲では、公共事業だから、必ず土建業者がやるというふうには聞いておらないのです。特に農村の仕事は、土建業者の手にかけないでやつているのがたくさんあると思います。それで補助金が足らなくなつた場合ということは、どういうことを意味しますか、わかりませんが、先ほどの査定するということは、実際にいる金を減すのではなく、設計とかいう方面から、この程度が適当だというところが査定なつて現われるのだと思いますので、そのために補助金が減るということはないと思います。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと質問の点と違つてしまいましたが、二十五年度の予算査定される前に、協同組合その他の手によつて、もうすでに現地においては復旧されていると思うのです。それを見込んでやつているはずでありますが、それがぴたつと合わないで、かえつて費用が現地においてよけいかかつている場合に、国庫からあとでそれを満たしてやるだけの費用がない。予算をそれだけ組まなかつたということになりますると、それらの損失はどこかで、負担しなければならなくなり、そのために協同組合が破産してしまうということが起る。それは実際において農村においては起つておる。この点はないのですか、どうですか。
  48. 川名進一

    川名説明員 査定しますのは、どうしても工事にかかる前に査定しております。大体査定しまして、その査定の金額を示して、これで実施設計を立て、その実施設計によつて工事をすることになると思いますから、もし実施設計をして、どうしてもそれだけ必要だということになれば、それだけの補助は出すことになると思います。
  49. 井之口政雄

    井之口委員 まだ今はほつたらかしてあるわけですか、実際の被害地は……。
  50. 川名進一

    川名説明員 査定は、炎害の後、工事にかかる前に行きますから、現在は工事をもちろんやつておると思います。
  51. 井之口政雄

    井之口委員 しかし二十五年度はまだ出ないじやないですか。
  52. 川名進一

    川名説明員 金は結局あとから行くことになると思います。
  53. 門司亮

    ○門司委員 この機会にちよつとお聞きしたいと思うのは、建設省関係でありますが、今度の新しいシヤウプ勧告によつて災害に対しては全額国庫によつてこれを復旧するという形を一応打ち出しておりまするが、その場合政府の考えておりますことは、一箇所三十万円以上のものに対しては、現地の公共団体がこれを負担するということになつておると考えております。もしこうなりますると、一箇所三十万円であることのために、ごく貧弱な町村において数箇所もこういう場所が出て参りますると、とうていその負担に耐え切れないで、従つて正面だけは、災害復旧に対しては国庫が全額補助するという、きわめて都合のいい、りつぱなことになつておりますけれども、実際は市町村が別に、負担する。従来は十万円ぐらいというのでありましたが、こういう形で切り上げられて参りますと、実際は災害復旧は市町村では手に負えない結論になると思います。この点に関する建設省の御意見を一応承つておきたいと思うのであります。  それからもう一つの点は、河川法の関係でありまするが、災害を未然に防止するために、いろいろな施設が行われると思います。現在の河川法によりますと、大体災害を非常に大きく招くであろうという河川が、国庫河川として大体査定されておる。その場合にその国庫河川としての費用の分担関係が、一つ河川の中央あるいはそれ以上のところくらいまでは、大体国庫が負担する、国庫河川の取扱いを受ける。さらにその上流は府県河川として取扱いを受けている箇所があると私は思う。さらにその上の最も災害に密接不可分に関係があり、災害の原因と目されておりまする地域になりますると、これは市町村河川に相なることがあるのじやないかと思います。こうなつて参りますと、災害復旧とそれから災害を予防するために一番重要な部面だけが、地方公共団体にかけられておる。ところが地方公共団体は、資力も非常に乏しいので、十分な施設をやることは非常に困難であります。それに対しまして、県あるいは県関係以下くらいまでは、国の補助金がきわめて少いのであります。それらのほんとうの、拔本的な災害予防に対する施設というものは、現在の河川法によりましては、私はその効果を上げるにきわめて簿い感じがするのであります。それで将来の河川法の改正に対する御意思がおありかどうかということであります。  それから次は、災害予防の組合の方でありまするがこの組合は一体何をすればいいかということであります。私自身もこの水害予防の組合に関係を持つ者でありまするが、具体的に申し上げますると、国庫河川として改修を行つております神奈川県の鶴見川の問題であります。鶴見川は、御承知のように少し雨が降りましても、すぐ被害を及ぼして、しかも場合によりますれば鉄道の幹線でありまする東海通線の交通を遮断する危險性を持つておる河川であることは御承知通りであります。ところがここにもやはりその重要性を持つておりますことのために、水害予防組合を設置いたしまして、水害予防のいろいろな運動を続けて参つておるのであります。これの負担は純然たる一つの税金があるというような形の上において、おのおの受益者が負担いたしておるのであります。またこれの委員は、同法案に基いて普通の選挙法によつてこの選挙が行われておる。こういう形の上で存立いたしておりますが、しかしその運動するところの効果並びに運動の過程においては、きわめて効果のないものでありまして、鶴見川一つの問題をとつてみましても、すでにとつくに完成年度は来ておりますが、いまだ完成する証拠だに見ることができない。この問題の障害になつておりますものは、御承知のように東海道の鉄道であります。鶴見川のちようど鉄橋のかかつておりますところが、新しい設計によりますならば鉄橋の位置をかえなければならないことになつておる。しかもその場合において、平坦線だけでなく、上に操車場に参ります高架線が一つある。それらのことで工事はきわめて困難であると思いますが、実際の問題として、この問題が終らなければ鶴見川の災害の除去はできないのであります。にもかかわらず、依然としてこれだけができない、しかし政府は非常にたくさんの金を使いまして、鉄橋の上流並びに下流におきましては、大体堤防もほとんど完成に近いといつていいほどできておる。ただこの鉄道のところだけができていないために、依然として災害を除去することができない状態に相なつておるのであります。この点に対して、建設当局としてはいかにお考えになつておりますか。この三つの点に対する御答弁を煩わしたいと思うのであります。
  54. 賀屋茂一

    賀屋説明員 お答え申し上げます。災害復旧の一箇所三十万というお話でございますが、これは現場では、昭知二十四年に出しておりますものは七万五千円くらいで一箇所を押えております。改正法では多少一箇所の金額を上げてもよいともくろんでおられるようでありますが、この改正法の主眼は、二十五年度の特例でございまして、二十五年度にはたくさんな災害復旧のうち、二百数十億しか助成する金がございませんので、主として大きな工事に主体を置いて効果を上げようという趣旨で、二十五年度の全額負担については十五万くらいを最低標準に持つて行こうというような形にいたしまして、それ以下のものについて、今後災害復旧としては採択しないのであるという方針ではないのであります。まだ法律は決定いたしませんが、今折衝しておりますものはそういう考えで折衝いたしております。  それから河川法の関係でございますが、これは私としては、まだはつきり申し上げられませんけれども、御承知のように下流は直轄河川、中流は府県、上流は市町村、こういうふうになつておるわけであります。もちろん公共施設でございますので、全部国が管理して災害復旧なり改修なりをやることができれば理想でございますが、河川法の現在の建前は、御承知のように府県知事の地方行政庁を第一の管理者としておりますので、大臣が直轄改修されます場合でも、改修する工事だけを大臣がいたされますので、直轄の改修をする河川につきましても、管理権は府県知事にある。これは直接被害を受けるのは、その府県であり、地元であるという関係で、管理権は実は地方行政庁にあるということになつておるわけでございます。私ども河川法の改正ということにつきましても問題はございますので、研究はいたしておるのでございますが、この点を特に改正の中心に置くというような考えがあるかどうかということは、ちつよと申し上げかねるのでございますが、現在の河川法は相当改正しなければならぬだろうということは考えておりまして、実はいろいろ案を練つておるわけでございます。  それから第三番目の鶴見川の改修でございますが、これは実は私の所管でございませんのでよく存じませんのですが、御説のように東海道線が通つておるあの鉄橋のところの改築は、鉄道の交通をさしとめねばならぬという状況でありますので困難である。これは工費から申しましても、事実の実施から申しましても、非常に困難だということはお説の通りでございます。これはもちろん難関だと思うのであります。しかし鶴見川の改修は、あそこの改築——もちろん現在の橋梁の一部の位置がかわるのかもしれませんが、そこをやらなければ上流も救えないという状況でございますので、改修いたします限り、この鉄橋の改築はやらなければならぬと思いまするが、どういう事情で今まで延びておるか、実は私わかりませんので、この点よく局に帰つてお聞きしまして、またお答えいたします。
  55. 門司亮

    ○門司委員 大体わかりましたが、鶴見川の問題につきましては、次の機会にでも政府から詳細に御説明願いまするとともに、将来どういうことになるかということの具体的の考え方を、ひとつお示しを願いたいと思うのであります。  それから河川法の問題でありますが、今言えないというお話であり、さらに相当改革すべきであると考えておるというお話でございます。もちろん私ども現在の河川法によつてその施行に当る主管がいずこにあるかということは、よく存じておるのでありますが、現在の河川法をなお私どもが詳しく申し上げますならば、上流の災害の根本原因を除くことができないために、下流における、例の国庫河川あるいは準河川として取扱つておりまする部分における今日までの施行の状態は、依然として堤防のかさ上げ程度に終つておりまして、埋設されまする土砂に対しましては、ほとんどこれを予防するすべがないかのような形を示しておるのであります。従つて国庫河川として、あるいは準河川として非常にたくさんの費用を使つてつて参りましても、その効果はきわめて薄いのでありまして、私どもはほんとうに災害を予防するためには、現在の河川法に十分な改正を加えるべきだと考えておりますので、その点は特に留意を願いまして、善処していただきたとということを申し上げておくのであります。  それから第一番に申し上げました地方の公共団体の負担すべき災害に対する費用の問題でありますが、今のお話によりますると、大体十五万円程度であるというようなお話でありまするが、十五万円にいたしましても、お話のように従来の七万五千円との開きは倍になつて参りますので、これは先ほどから申し上げておるように、法律全額国庫負担というきわめて美名のもとに隠れて、地方公共団体に多額の出費をさせ、そうして復旧工事が非常に遅れるというような結果に相なると思いますので、これらにつきましても、なお一段と政府の努力を要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  56. 賀屋茂一

    賀屋説明員 今の災害復旧お話でありますが、これは一箇所の最低を十五万円に引上げるというわけではございませんので、二十五年度の全額国庫負担は、十五万以上のものについて取扱う、その他につきましては、今の折衝の範囲では、現行の規定は生きておるのでございますので、従来のように、政府が三分の一を助成をして出資をしよう、だから政府が採択しておる災害については、予算のある限り復旧の促進をし、現在採択をしておるものを府県の方へ委讓してしまおうということは考えておりません。
  57. 大内一郎

    大内委員長 それでは賀屋防災課長から、建設省の関係災害一般の状況経過について御報告願います。
  58. 賀屋茂一

    賀屋説明員 建設省が所管いたしております災害復旧は、御存じのように、公共土木施設のうち港湾関係のみが運輸省の関係なつており、その他は建設省でいたしておるわけであります。河川道路、橋梁、海岸というようなわけでございます。本年度の状況を申しますと、本年度に実施しております災害復旧は、大体二十三年の災害と二十三年及び二十四年の災害があるわけでございます。二十三年の災害は、査定の総額が、大体国庫補助といたしまして百九億くらいいる災害であつたのであります。それが本年度は、八十三億の国庫補助が議決によりましたので、そのうち二十億を二十二年の災害にまわしておるわけであります。  二十四年度末の状況を申しますと、大体全体の五割程度が完成するということになるわけでございます。二十三年度の災害は、総額が四百七十億程度でございまして、二十三年に国庫補助いたしましたものは、金額はちよつと覚えてませんが、大体全額の八分程度行つておるわけでございます。本年度は、その八十三億のうち、二十二年にまわしました残りの六十七億程度を二十三年の災害にまわしておるわけでありまして、二十三年の災害といたしましては、二十四年度未に、大体平均いたしまして二七%程度が竣工するという状況になつているのであります。  それから二十四年の災害は、まだはつきりした数字は出ませんけれども、大体四百四、五十億になるわけでございます。これに対しましては、さきの補正予算で、八十五億のうち四十二億二千万を建設省の公共土木事業復旧の方へまわしていただきましたので、工事量といたしましては、約六十四億程度が促進できたわけでございますので、全体の一割五分程度でございます。さらにこれを来年度、ただいま国会に提出してございます予算が議決になりましたならば、二十二年の災害につきましては、大体これは全部完了してしまう。工事量といたしましては、残りが約五十七億くらいございます。しかしこれは査定の金額でございまして、二十三年及び二十四年に連続したような災害——調査しておりますが、これがありましたならば、幾分二十二年の災害は減ると思います。その振りかえました金は二十三年、二十四年の災害の方にまわす予定でおります。二十三年の災害は、二十四年度末には、大体工事量といたしましては百二十億程度工事を実施しております。その残りは約三百五十億程度あるわけであります。これの進み方は、さきに申しましたように、全体の二七%くらいでございますが、これも来年度には、少くとも最低五〇%、半分は促進するくらいの配当ができるのではなかろうかと考えております。  それから二十四年の災害でありますが、これはさつき申しましたように、六十四億ばかり補正予算で出しておりますが、二十五年度はさらにこれに加えまして二十四年と二十五年の総計したものを出しますと、大体全体の災害の最低三〇%を占める、こういうふうに考ております。これがさきに申しましたように、二十二年の災害関係が少し軽くなつて来ますならば、二十三年も二十四年も促進の率がさらによくなるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  現在までの災害の状況、来年度の予想は以上のようでございます。
  59. 飯塚定輔

    飯塚委員 最後二十四年度分の六十五億というのは工事量ですか——災害量ですか。
  60. 賀屋茂一

    賀屋説明員 工事量でございます。実は四十二億二千万が私どもの方にまわつて来ておりますが、これを事業量に直しますと約六十四億くらいになります。
  61. 飯塚定輔

    飯塚委員 四十二億二千万というのは、工事量に対する査定でしようか。
  62. 賀屋茂一

    賀屋説明員 大体二十四年の災害工事量は、約四百五十億くらいあります。国庫補助は三分の二という計算をいたしておりますが、本年度は補助で議決になつておりますので、四十二億二千万は三分の二の補償費であります。
  63. 高田富之

    高田(富)委員 災害復旧の金額国庫負担は、どういう構想ですか、ちよつとお話願いたいと思います。
  64. 賀屋茂一

    賀屋説明員 これはまだ折衝しておりますので、あまりはつきりしたことは私存じませんが、われわれが自治庁なり大蔵省なり安本等と折衝しておりますのは、二十五年度のみの特例の法建案のようであります。それと、かわりますことは、とりあえず二十五年度には、効果の大き、なものという意味で、一箇所十五万以上くらいのものに、全額負担の金を出そうというのであります。その他の取扱いといたしましては、現在建設省は、明治四十四年の法律に基いて、査定なり実施なりをいたしておりますが、この査定を採択する方針は大差ございません。大体従来のような行き方で行き得る、こういうように思つております。それから相手といたします対象は、自治法に言います普通公共団体を対象といたしておりますので、水利組合とか、あるいは土坊組合とかいうものは、全額負担対象から落ちるのではないか、落ちて従来のような補助という範囲に入るじやないか。今のところはそのくらいの相違でございます。
  65. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、市町村等に対しては、今の基準補助があるわけですね。それで二十五年度の予算は、特例によつて運用する。この災害復旧予算全額国庫負担法によつて、あの範囲内においてこの法律を実行するわけですね。
  66. 賀屋茂一

    賀屋説明員 今国会にその法律案が出て御議決をいただくならば、おそらく来年の四月から施行されるものだと思いますので、今年度議決をいただきますれば、その予算はその法律に基いて実施されるものだと思います。市町村のごときも、これは従来の通り全額国庫負担対象にいたしております。
  67. 小平久雄

    小平(久)委員 簡單なことを伺います。  二十五年度の予算を見ますると、災害の予備費として、百億から見てあるようであります。これは例年の例から見ますれば、もちろん本年も災害があると、まずまず予想しなければならぬと思うのでありますが、幸いにして災害が少くて済んだという際には、これを年度末等において従来の災害復旧に使えるような了解が、大蔵当局と何かありますかどうですか、この点を伺います。
  68. 賀屋茂一

    賀屋説明員 二十五年度に発生の災害ということになつておりますから、二十五年度に新しく起る災害というように考えているのでありますが、御説のように、二十五年度にも、少くともわれわれは災害が起きて来るだろうというふうに考えておるのでありましてもし起きなかつたときには、ほかのところに使つてくれということまで考えていないのでありますが、幸いにして起らなかつたならば、現在二十三年、二十四年の方は非常に惡いそうでありますから、気持といたしましてはまわしてもらいたいというふうに実は考えておるのであります。
  69. 小平久雄

    小平(久)委員 災害復旧工事現地について見ますと、どうも災害復旧ということにとらわれ過ぎて、いわゆる原状回復と申しますか、あまりに従来あつた形のままに復旧する、こういう主義が非常に強く出ておるために、もう少し改良改善を加えて設計するならば、新たに災害が起きても難を免れるのではないかというようなケースが、非常に多いような気がするのです。特に二十五年度から全額国庫負担ということに相なりますと、單なる災害復旧原状回復というのではなく、むしろ新たなる状況に即した改善ということに、もう少し方針をかえていただいたならば、よろしいのじやないかというふうに考えておるのでありますが、いかがですか。
  70. 賀屋茂一

    賀屋説明員 今度新しい法律ができまして、新しい法律に基いてどうなるかということは、ちよつと予測できないのでありますが、現行の災害の規定から申しますと、災害は原形復旧であるということになつております。しかし改良しなければ再び災害を起す、あるいは復旧の目的を達しないというものについては、改良工事を加えてもよろしいということになつておるわけであります。なつておりますけれども災害復旧でありますので、こわれないところまでも、しいてはやれないので、特に河川あたりについて考えてみますと、改良したいけれども、そこのみを改良したのでは何の価値もないというところがあるのであります。たとえば、堤防が非常に低いために、氾濫したり、こわれたというところがありますと、復旧はもちろんします、そこは一段高くしますが、上流、下流が低いので、復旧工事で前後をわずかばかり高く改良したのでは目的を達しないのであります。そういうことで、情ないのでありますが、原形復旧する、しかし溢流するだろうということは予測つきますので、溢流してもこわれぬ程度に石炭あるいはコンクリートで、しなければならぬ程度まではいたしておるのであります。災害復旧でありますので、少し改良的にと言われますけれども、改良しまして全体的な効果が上るということが、非常に少いのであります。それで実は復旧の策を立てるのに、苦心しておるのであります。これが全般的にずつとやられるものでありましたら、三倍でも五倍でも、相当金をかけてでも、復旧できるものならばやりたいのであります。しかしわずかばかり額を増加して原形復旧をやろうということは場所によつてはできぬものでありますから、実際考えておるのでありますが、実はやり得ないのであります。規定から申しますれば、復旧の目的を達しないものについては、復旧の目的を達するようにやつてよろしいということになつておりますが、国の予算関係もありますので、最小限しかやれないものでありますから、現在ほとんど原形復旧程度なつておる、金さえありますればそのことはやりたいのですが、予算関係で、あまり思い切つてやれないという状態なつております。
  71. 小平久雄

    小平(久)委員 もう一点簡單に伺いたいと思いますが、今度二十五年度においては、一件十五万円以上のものは全額を国庫で負担する、経費の負担からいうと、こういうことになるようでありますが、今度工事の監督の責任あるいは施行者と申しますか、それは従来通りおやりになるおつもりでありましようか。それと関連してお伺いいたしたいことは、災害のあとなどを視察いたしますと、特に工事の実施時期だとか、あるいは工事方法というようなことにつきまして、中央から地方に対する工事の監督とか、あるいは特に河川関係と橋梁関係との連繋と申しますか、多く橋が決壊するというような場合は、そのたもとの決壊が非常に多いのであります。こういう点でどうもわれわれしろうとから見ますと、橋をかけるというような場合には、橋の専門家が設計するのでありましようがその河川の状況について、あまりつまびらかにしておらないのじやないかという感じを受けることが非常に多いのであります。そういう点で、これは中央地方を通じて、道路関係河川関係というものは、もう少し密接に連繋をとつてつたならば、架橋も少しぐらいの災害では支障がないというふうにできるのではないかと思うのでありますが、そういう点について、何か今後ごくふうをなさるお考えがあれば、ひとつこの際伺つてみたいと思います。
  72. 賀屋茂一

    賀屋説明員 全額国庫負担になりましても、これは予算にも補助として載つておりますように、全額国庫補助というような気持で、実施あるいは監督というものは、従来通り府県知事で相かわらずやる、国の方では二次的に指導することにかわりないと思います。それから今の道路河川というふうな関連でありますが、実はこれは査定いたしますときには、道路道路の專門家が見る、河川河川の專門家が見るということが理想的なのでありますが、査定する箇所が多いのと、査定する人が足りませんので、そういうふうには行つておらぬのであります。特に必要なものにつきましては、災害河川でも、道路、砂防、河川というものは一緒になつ査定しておるわけであります。特に橋梁については、道路方面と橋梁技術者をあわせ用いて復旧させる。特に永久構造の橋をつくるようなものについては、実施にあたつては必ず認可を受けるというふうに、実はしておるわけであります。これはお説のように、今まで河川にかかつておる橋を見ますと、しろうとから見て、幅員から出ばつている橋がかかつておる、それが永久構造だということが間々あるのであります。これは河川が現在のような状態なつておれば、おそらくそんな橋はかけないであろうと思いますが、橋がかかつたあとに災害が起きた、川幅が狭いので少し拡げなくてはならぬというために少し拡げる。そのために橋のとりつけが突き出す結果となつて、その改良だけはあとまわしになるというような原因だろうと思います。別に新しい構想というものはありませんけれども、今後この災害復旧査定をやつて行くものの中には、河川のみではなくして、道路、橋梁の專門の技術官もわれわれの方に入つて来る、またそればかりでありませんで、従来通り道路、砂防というような方面に援助を頼むということも、相かわらずやつて行く。われわれの方にも係官を充実し、その專門家を入れて、われわれの方自体でやつて行くようにしたいと考えております。
  73. 井之口政雄

    井之口委員 建設省関係で、四箇所ぐらいの復旧状態を聞いてみたいと思うのであります。先ほども質問いたしました栃木県の今市方面復旧状態は、現在どうなつておるか、建物、道路河川、水道等が相当の被害があつたように承つております。それは今日までどれくらいの復興になつておるかということを、お聞きいたします。  それからもう一つは、この間和歌山県を視察した、その和歌山県の漁港が前の震災によつて非常にやられておる。河底が隆起しておるところがあるし、陷沒しておるところがある。しかるにそれの復旧事業というものは、復旧費によらないで、新しい建設工事としてやれというふうなことで、補助金が出ていないそうですが、その方面はどういうふうな見地からそうなつたものであるか。  もう一つは、兵庫県の西播に行きますと、鹿谷村というところがある。この鹿谷村は、水害で農家が全部流されてしまつて道路が破壊されておりましたが、その復旧はどうなつておるか。  それからもう一つ、九州の鹿児島へ行きますと、鹿児島に川内川という川があつて、その川内川が毎年々々水害をこうむつて市が毎年々々水浸しになつておる。これはごくわずかな金で復旧できるのであります。それに対する災害復旧がどのくらいの程度に現に行われているか。  とりわけ栃木県の今市中心としたものは、十二月に起つたなまなましいものであります。それが今日どういうふうになつておるのか。二十五年度の予算でやるとすれば、現在農民や県民の方々は、非常に困つていると思うのでありますが、その復旧状態をひとつお語いただきたい。
  74. 賀屋茂一

    賀屋説明員 栃木県の今市附近の震災でありますが、この震災は非常に被害が大きかつた反面に公共土木施設の被害は、幸いに比較的軽微なんであります。私の方は、震災の翌々日には技術官及び事務官を派遣しまして、県と一緒になつてこの実査をしたわけであります。そうしてその後復旧設計ができましたので、さらに復旧設計の検査に行つたわけであります。行つた結果が、市町村工事までも入れまして六千八百万円程度復旧工事でございます。実はこれにつきまして、補正予算のときに入れればよかつたのでありますが、時期おそかつたために、この震災について特に補正予算復旧賢を出すことが、実は多少遅れたのであります。それで先般七千万かと思いますが、資金の融通をすることにきまつたと思います。これはもちろん公共土木施設のみではございません。いろいろたくさんあると思いますが、その中に一緒に入れまして、府県に総括して仕事をしてもらうというように考えております。それで補助といたしましては、二十五年度に補助いたしますその金を、災害土木施設としては持つて行く以外にないのであります。今、一箇所ずつの復旧箇所の状況は、実は私の方にわかつていないのでありますが、また県といたしますれば、年度内に少くとも三、四割の工事をやるという方針でかかるということのみ報告を受けておりますので、一箇所ずつの箇所がどのくらいに進んでおるかということは、ちよつとわかりませんが、これはお調べいたしまして、また御報告いたすことにいたします。  それから和歌山県の漁港の関係農林省だと思います。  三番目の兵庫県の鹿谷村というのは、実は私もこれはどのあたりかよくわからないのでございますが、帰りまして調べますればわかります。  鹿児島の川内川も、これは実は直轄の方で仕事をしておりますので、災害でありますが、直轄災害でやつておると思います。これもまたお調べいたしまして詳しくお知らせいたします。
  75. 高田富之

    高田(富)委員 これはやはり部分的ではありますけれども、利根川は全国で一番重要だと思うのです。毎年々々非常に熱心な関係五県ぐらいの実情等を、いつでも陳情されまして、よく御承知と思うのですが、あの利根川の方の災害復旧及び全般的な治水の計画は、当初五箇年計画をお立てになつて着手されたということも聞いておりますが、その後まつたくこれは白紙になつたような実情にあるので、今年度は何とかして拔本的にやらないと、被害が問題にならないほど非常に大きい。御承知のように群馬県のごときは全部これで破産してしまつておるのですから、こういうふうな状態に対して、今年は何とか相当程度の総合性を持つた計画にのつとつた工事に、ぜひ着手していただきたいということを皆考えておるわけですが、御当局の方は今年度どの程度の計画でおやりになることになつておりますか、概要でも結構でありますから、御報告願いたいと思います。
  76. 賀屋茂一

    賀屋説明員 利根川でございますが、これは下流の方は直轄の治水工事でやつておられますので、私これを存じませんから、あとにしていただきたいと思います。  群馬県の利根川関係のは、これはおそらく災害復旧であろうと思うのでありますが、群馬県の災害は、御承知のように二十二年に二十五億、二十三年が三十数億、二十四年が二十三億、こういうふうな災害が連続しておるわけであります。これは利根川本川としては、比較的少い——少いというと誤弊がありますけれども、その他の方が多いのであります。それで、御承知のように利根川筋の坂東川筋が、非常に大きいのでありますが、これあたりは一応二十四年度でとめております。二十四年度の出水のときも、すでに災害を受けておらぬので、確信を持つているのであります。その他大きなものは、御承知のように広瀬川、粕川、荒砥川こういうふうな災害でありますが、広瀬川につきましては、相当の助成費まで入れまして改良工事をいたしております。荒砥川、粕川につきましても、災害を受けたところは改良的復旧をいたしております。実はそれが全川にわたつてはできませんので、下流の一部が何ら被害を受けないところができておりまして、これは未復旧で残るのでありますが、今後あるいは復旧工事ができれば、そういうふうなもの、あるいはそれができなかつたら、防災工事というふうなもので、つじつまと言いますか、治水の完璧をはかつて行こうと考えているのであります。災害といたしましては、これは大災害県でありますので、相当重点を置いて復旧促進をいたしております。昨年の状況も、災害補助といたしまして、二十四年度も十億の補助が出ております。工事としまして大体十五億の工事ができるような状況でございますので、なお残つたところはたくさんございますけれども、二十三年の災害のごときは、大事なところについての手は、まず打てるのではないか、二十五年度に実施すれば打てる。それから二十四年の災害でありますが、二十三年と箇所がかわつておりますので、これも三〇%——これは最低でありますので、三、四十パーセント程度つて行けば、出水期までに完成するといたしますれば、相当大きなところについての手は打てるのではないか、こういうふうな考えを持つているのでありますが、一般県から比べてみますと、大災害県でありますので、助成、それから全額負担についても、重点を持つて行くというふうな考えで、出水期までに大事なところの手を打とうという方針で、実は進んでおります。
  77. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまお述べになりました災害の未復旧の金額、昭和二十三年度の分が、四百七十億のうち三百五十億が今年度に繰越されるというお話ですが、これは全額国庫負担関係もあつてお尋ねしておきたいか、この三百五十億が府県において、あるいは市町村において、全然手をつけずにそのままに放置されているわけではないので、何らかの方法で工事は進められて  いる。その関係を承りたいのですが、府県市町村でこの三百五十億のうち、どの程度工事が進められておるか。結局国庫からあとから穴埋めをするということになるのか、それがどの程度であるかということを承りたい。それから全額国庫負担の場合、それがどういうふうに穴埋めされることになりますか。これは大ざつぱな話でありますが、これを伺いたい。
  78. 賀屋茂一

    賀屋説明員 二十三年の災害全額が大体四百七十億、それから二十五年度以降に持ち越されるものが、三百五十億くらいあるわけであります。それで、実は昨年十二年末のいわゆる国庫補助以上に超過したものを調べておりますが、大体八十億余りあります。これは府県及び市町村工事を通じまして、国庫補助を行つた以上に仕事ができておる、いわゆる三百五十億の方に食い込んで行つておる仕事が八十億余りあるわけであります。これは来年度の全額負担は、国庫補助をどこで線を引くかということになりますれば、今まで政府で国庫補助をしておつたそのところで線を引かなければなりません。この府県や市町村が苦労して仕事をしておられる、でき過ぎた工事も、少くとも十五万以上のものにつきましては、全額負担対象にしてもらおうというような折衝を、実はしておるわけであります。これはできるだろうと思つております。
  79. 奧村又十郎

    ○奧村委員 御説明によりますと、三百五十億のうち、八十億は市町村あるいは府県ででき過ぎておる。そうなると、今のお言葉によりますと、大体その程度の分は国庫からあとから埋めることになる、これか全額になる、こういうふうに承知いたすわけでありますが、あとの二百七十億というものは、全然事業に手をつけないのでありますか。その手をつけてないかどうかというのは、どうも私は、二十三年の災害が全然放置されておるというふうには考えられないのです。その点は一ぺん数字にわたつてお伺いしたい。今日はそこまで準備もなかろうと思いますので、場合によつては防災課まで出てお伺いいたしたいと思いますが、さような資料がありますかどうか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  80. 賀屋茂一

    賀屋説明員 実は二十三年の災害につきまして、十二月末の状況は、工程を実はとつたわけでありますが、箇所によつてははつきりしません。それというのは、全箇所で今八十億余り超過しておるというのではなく、仕事は全部完了した場所ばかりでありません、あるいは五割程度完了とか、全部完了とか、いろいろあるわけであります。それで県の方で手をつけて仕事の促進をはかつておるという箇所が、非常に多いだろうと思つております。だから実際支拂金が生じて、仕事としては完了しておるというものの額を見積りますと、八十億余りあるわけであります。そうしてそれ以上の二百七十億は、十二月末の状況では全然残つておると思つておるのであります。
  81. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは今の御答弁によりまして、二百七十億も全然手をつけずに残つておるのではないかと想像されるのですが、それはおそらく防災課と申しますか、国の方のある程度の了解を得て仕事を始めておるはずと思うのでありますが、その点はどうなつておりましようか。かつてに府県や市町村でやつておるはずはない、一応防災課で査定いたしますとすれば、了解を得て仕事をしておる、こういうふうに想像されるのです。そうでなければ、全額国庫負担もやるわけに行かねと思いますが、その点はどういう関係ですか。
  82. 賀屋茂一

    賀屋説明員 二百七十億の災害復旧の箇所は、査定全額の決定も、すべて検査を経て来ておるわけでありますが一々の着工になりますと、一々認可を受けて着工しなければならぬものもあるわけでありますが——重要なもの、特殊な設計なり、変更のあるものは認可を受けますが、その他は、府県知事が重要なものから着工するのであつて、すべてが了解の上でやつておるのだ、いわゆる着工の指令をもらつてつておるというものばかりではないのであります。しからばかつてにやつておるのかというと、すでに検査をして、設計も示したりしてあるのでありますから、金さえあれば早く復旧するのが望ましいわけでありまして、やつておるわけでありますから、一々の箇所の着工その他で認可を出しておるというわけのものではありません。重要なものはもちろんやれるわけでありまして、着工しておる超過の仕事の中でも、必要な着工認可を受けておるというものばかりではありませんことを御了解願います。
  83. 高田富之

    高田(富)委員 提防は、大体利根川の支流の江戸川などの場合に見ますと、堤防を補強して行くのに、われわれ常識的に考えて、あの程度の川に厖大な提防というのは、似つかわしくないと思いますが、あの程度の川でしたならば、堤防の幅はどのくらいのものが必要なのでありますか。
  84. 賀屋茂一

    賀屋説明員 実はこれは私技術家でありませんので、よくわからぬのでありますが、水量とかいうものを検討して、できておるものだと思います。これはひとつ直轄の技術官を仕向けまして御答弁をいたしたいと思います。
  85. 高田富之

    高田(富)委員 それでは堤防の上に相当大規模な道路をつくるという計画があるということは、御存じありませんか。
  86. 賀屋茂一

    賀屋説明員 今のは江戸川の話でありますか——それはよく存じておりません。
  87. 高田富之

    高田(富)委員 その他の箇所はどうですか。
  88. 賀屋茂一

    賀屋説明員 これは災害復旧あたりでもそうでありますが、堤防を復旧しまして、たとえば堤防でも既定路線に接近しなければならぬという場合に、道路の附近まで指定する。その場合道路と堤防とを兼ねて敷地を買收してやることが困難な場合がありまして、堤防の上を道路を兼用するという場合もございます。また淀川のように、現在国道が堤防の上を走つておるところもありますが、維持上おもしろくないというので、道路だけを下に下げて、別のところに通そうという計画もあるようであります。災害復旧あたりでも、中小河川あたりでは、河川敷でも広めるというときは、耕地をむりにつぶすのもどうかというので、堤防の上に道路を兼用するということも実施いたしております。     —————————————
  89. 大内一郎

    大内委員長 それではこの際お諮りいたしますが、先ほど森山君より、今市震災復旧状況について、本委員会より委員派遣して調査したいとの動議が提出されたのでありますが、委員派遣すべきかどうか、意見がありますれば、この際お伺いしたいと思います。
  90. 小金義照

    小金委員 その問題は、明日理事会を開いて、理事会で一応御相談なすつた上でおとりはからい願つたらどうですか、あらためて動議を提出いたします。
  91. 大内一郎

    大内委員長 それでは森山さん、理事会におまかせいただいて、理事会において協議して、適当に処理することにいたしたいと思いますが……。
  92. 森山欽司

    森山委員 私、先ほど委員長に申し上げたのは、動議としてではなく、今市震災について、本委員会として、委員会の開催もなく、またこれについての何らの討議措置等についても動きがなかつたということについて、御非難があつたのであります。私といたしましては、この今市震災について、本委員会としても、何らかの形において活動すべきであるというふうに考えます。従つてそれを、先ほどの委員長に対する御非難めいた言葉と関係することを好みませんでしたので、委員長の御発議においてこのことをおきめになられたならば穏当であろうと思つて、先ほど申し出た次第であります。それで少くとも、今市震災は、台風その他の時期以後においては、最大の災害つたと思うのであります。従つて委員会において、何らかの措置ないし対策等を考える必要があると思いますし、災害自体はすでに昨年末以来、県並びに関係当局等の絶大なる御努力で、これに対する応急措置は着々進んでおることと思います。その措置の実施以後の状況並びに現地のなまなましい要望等は、本委員会にできるだけすみやかに反映して、本委員会円としてもできるだけの対策をとることか、委員会の存在の上からいつても、必要ではなかろうか、そういう観点から、この調査団派遣を私は必要ではないかと考えるわけであります。ただいまこれを理事会に付議しておきめになるというお話でありましたが、理事会に付議するほどの問題でもない、当然の措置であるというふうに考えますので、でき得るならば、本委員会の席上におきめになられることを希望いたします。
  93. 大内一郎

    大内委員長 ちよつと速記をやめて……。     〔速記中止〕
  94. 大内一郎

    大内委員長 では速記を始めて…。  それではあらためて委員長から調査委員派遣を提議いたします。どうぞ御賛成を願います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 大内一郎

    大内委員長 御異議なければ派遣することに決定いたします。
  96. 森山欽司

    森山委員 調査団派遣について、一言希望を申し述べたいと思うのであります。災害は昨年の末に起つたのでありますけれども、この対策並びに措置という問題は、現在も進行中であり、今後も相当長く続くと思うのであります。従つでこの間の措置の問題は、きわめて多方面にわたると思うのでありますが、特に本地方対策については、まず税金の減免あるいは復興金の金利並びに融資の促進、また農地用排水、農道復興の国庫負担の問題、あるいは昭和二十五年度の事前割当の問題、あるいはまた地元の要望によれば電気料金の値下げの問題等もありますので、これらの具体的な問題について、ひとり県庁のみならず、中央官庁のそれぞれの担当の方々も、本調査団とその行をともにせられ、またこの調査は、單に県庁側の意見聽取のみにとどまらず、地元民の要望もこれをお取入れになつて、調査団調査を運用されるようにお願いしたいと思います。
  97. 大内一郎

    大内委員長 御希望のあるところはわかりましたが、本委員会としては本委員会から委員派遣するという点だけを御決定いただきたいと思います。それで委員派遣の日時、委員の氏名その他の手続に関しては、委員長に御一任を願いまして、委員派遣申請書を議長に提出することにしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 大内一郎

    大内委員長 御異議なしと認めてさようとりはからいます。
  99. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと事務的な希望ですが、もし行かれるとすれば、なるべく早くやつてもらいたいということと、それから政府の方で今まで進行して来た状態を、一目わかるように、大体の調査を出しておいてもらいたい。そうすればわれわれいきなりすぐわかるわけであります。
  100. 大内一郎

    大内委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時六分散会