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松田証人 一千何百万円という問題は、その内容をよく存じません。しかし
東京都
石炭協会の金を、百三十五万円だけは氏が何かにお使いにな
つておるという事実は、昨年の十二月に私が本人から聞いたわけであります。それも幾日でありましたか、局へ参りまして、ぜひひとつ私に助けてくれというお話が出たのであります。
何事かと聞いてみましたら、その百三十五万円の金を使
つた、使
つたについては横領
事件ができるので、
理事諸君との間に私と示談書をこしらえてもらいたいと思うから、まげてひとつ調印してくれぬかというお話が出たのであります。初めて聞いて、私は実はびつくりしたのであります。たまたま
次長もおりましたので、私がはつきり、それはできません。ことに大金でもありますし、私は
理事の一人として、あなたと示談書を締結するようなことは絶対できませんからということで、はつきりお断り申し上げました。何かその金の出し方をほかにお考え願
つて協会の横領
事件というようなものを片づけていただけるならば、たいへん仕合せだ。これは、その席上には私の方の
大槻次長もお
つたのでありますが、私からはつきりお断りいたしました。その百三十五万円の金がどうして使われたかということが、きわめて私にふしぎでありますので、その内容を聞いてみましたところが、はしけ船は、ああいういれものでありますので、一々積み上げた
石炭を看貫で受渡しするのでは、非常に非能率になるのでありまして、私が
協会に関係いたしましてから、
協会の得た金は公益的に使うべきであるがゆえに、
東京では根府川から手ごろの石を買い求めまして、これをはかりではか
つて、そのはしけ船に積み込んで、百トンなら百トンのところにマークを打つ、さらに九十トンマークを打つというようなことで
仕事をする。
東京も横浜も、私が
協会に関係してから、
協会の差益をも
つて、生計の一助にもと思
つて取引をお願いしたのであります。当時
東京港運が一手の会社でありましたから、
下請の業者にその
仕事をやらせました。しかし
東京港運といたしましても、その全額が拂えないから
協会と折半いたしましよう。その金が合計で二百七十万円になるそうであります。そうすると百三十五万円は
協会の負担であるわけであります。その
協会の負担である金が、すでに
東京港運が
下請のものに
拂つてありました関係上、その
東京港運の持つ債権に該当する百三十五万円を、服部氏がその
下請の会社からのブランクのレシートで領收書にいたしまして、
協会の方の経理操作は完了したわけであります。その百三十五万円というものの横領
事件がその筋で問題に
なつたから、私に、示談書に判を押してくれ、示談にしておいてくれ、こういう申入れを受けたのであります、服部氏の死をめぐりまして、ま
つたく死人にむちうつようで、はなはだ心苦しいのでありますが、しかし事実は事実として、ただいまのようなことがございますので、その事情を御承知願いたいと思います。