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田川参考人 永井先生の
人物と
著書によ
つて民衆に戰争を唾棄するということ、平和を愛好し平和にあこがれるということ、それからことに
永井先生の
著書には、みんな
最後にはりつぱな希望が輝いております。その希望を與えるということ、この辺がたいへん特徴になるだろうと思います。そこでこの
著書を日本の人がたくさん読んでいるでしようが、私の
知つておる範囲においては、この書物をある工場に貸してや
つた。たとえば「この子を残して」を二週間た
つてもらいに行
つたところが、ぼろぼろにな
つていた。新しいのをや
つたところが、また一週間のうちにほとんどぼろぼろにな
つて帰つ来る。貸した人は非常にうれしくてたまらなか
つたということでありました。小田原におりましたときには、小田原のある病院の院長さんが、これも錚々たるお医者さんなんですが、あの書物を読んで大いにカトリックを
研究して、カトリックの洗礼を受けた。その友達のお医者さんがやはりそれをただいま
研究中である。これはやはり何か
苦しみ、
悩みのあるような人がこれを読みまして、そこに何とも言えない慰めと希望を持つということが一般の結果だろうと思います。ことにこれを日
本人だけでなく、外人が読みまして非常に感激して、そのために
永井先生を通じて外国人が日本に対する好感、同情を持つようにな
つていると私は見ます。外人の書きましたいろいろの雑誌に、あるいは外国から参りましたところの新聞に、やはりそれが出ておりまして、これを読むところの外
人たちは、
永井先生を通じて
ほんとうに日本を愛し、日本に同情するようにな
つて来たと私は思います。そのために日本から、たとえば親善の使節を何十名出すよりも、むしろこうした
永井先生の書物を読みますることによ
つて、外国人が日本に対して同情を持ち、理解を持つというふうな結果を招来しているということを見まして、私は非常に
感じているのですが、不幸にしてその新聞、雑誌のそれをたくさん持
つていませんが、私のところにあるもので、フランスから参りましたものと、それからこちらにお
つてドイツ人が英語で世界の宣教師たちに書いてや
つていますこの小さな雑誌というふうなものの中に、このことをりつぱに書いてありますし、
永井先生がいかに外人に対していい影響を及ぼしておるかということを証明しております。そのために
永井先生の
著書を読んで、これを私が受けつけましたのは、南米のポルトガル語とスペイン語に訳したいから翻訳権をもら
つてくれというので、私はもらいまして向うに送
つてあげました。それからアメリカのナナ通信では、
永井先生の
著書を訳したいから翻訳権をくれと言
つていますし、それからドイツ語の方はチューリッヒのハイツ・ブレッシュという人がドイツ語でこれを訳すことにな
つております。それからベトレヘムという宣教師会の会長さんも、ドイツ語に訳していろいろなものに載せたいということを願
つて来ておるというような次第であります。こういうようなことで、この
永井先生の
著書——日
本人の書いた
著書で、私の
知つておる範囲においては、日本にはいい
著書がないじやないかとい
つてけなされることがたびたびありましたが、初めて
永井先生の
著書が外人に読まれ、愛読されて、これを訳したいから翻訳する権利をもら
つてくれ、そのことを
永井先生に話してくれとい
つたような申出があるのは、私ほかに日本の
著書でそういうものがあるかどうかしりませんけれども、この
方面において外国に対する響きは非常によいと思います。それもなぜ外人はこれを非常に愛読するかと申しますと、私の
考えでは、そこには世界共通の平和へのあこがれがある。それから戰争を唾棄して人類の幸福のために盡す、その根本精神がここに盛られておる。それはクリスチャンの
思想であり、カトリックの
思想であり、世界に通ずる
思想であ
つて、これほどまじめに
考え、そうして熱烈に言い表わしておるものがあるのかということで、向うの人が感激して訳したいと言
つておるのだろうと私は想像いたします。