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内海安吉君 厚生省御当局が療術の科学的調査に着手せられまして、いろいろと御配慮を煩わしておられる点に対しましては、
組合員一同が心から感謝の意を表しておるような次第なのでございます。私はこの問題につきまして、第一回国会以来絶えず療術がわが
国民の治療保健上、その
福祉増進に寄與しつつあることを認めまして、その
保護助長を主張して来ましたが、御当局においては主として療術に対する科学性が究明されておらぬことを理由に、この問題を拒否されて来たのでありますが、幸にもわれわれの主張を入れられて、昨年の四月に五十万円の調査費を支出くださいまして、全国五箇所、北大医学部、東大医学部、東京医大、横浜医大、九州医大(別府温熱研究所及び
国立亀川病院)において、一流の学者陣を動員し、療術師を試験台に乗せて、その科学的研究に着手せられたことは、当局の療術に対する御理解と誠意ある態度に対しましては深く感謝の意を表するものであります。
まず第一に承りたいことは、各療術調査所におけるその後の結果がどう
なつておるか、すなわち療術(手技療法、電気療法、温熱刺戟療法、光線療法)が無害にして有効であるか。そしてその科学的証明が裏づけられたかという点について、この際久下次長さんより、中間
報告なり御
説明なりを承われればまことにけつこうでございます。
第二は療術の施術効果が科学的に立証された場合、この療術師法制定に関する
請願に対し、いかなる御措置をとられるお考えであるか、この点に対して御
答弁を願いたいと思うのでございます。申すまでもなく、
政府が今回とりつつある療術は、われわれがか
つて厚生
委員として、本
委員会において、
国民の治療保健上有益なものは、一日も早く
法律第二一七号第十九條を
改正してその禁止を解き、彼らの身分を
保護し、その業を助長すべきであることを絶えず主張して参
つたのであります。
その結果療術調査に着手されたことと確信しておるものでありまするが、この際療術に科学的な医学理論が裏づけされたときには、当局として彼ら療術師の身分を
保護し、その業を助長させて、
国民の保健
福祉の増進をはかられるお考えがあるかどうか、これが第二点であります。
第三点は、療術師法の制定を要望するのであります。
政府は財政緊縮の苦しい予算の中から、特に本年度に五十万円をさいて療術調査にとりかかられた熱意と誠意には、重ねて感謝するものでありますが、この際特に
政府御当局の御同情を得たいことは、全国療術業者の団体である全国療術協同
組合においては、地方
組合の療術師を動員し、この療術調査の衝に当らしめておるが、その数四十余名に上り、これらの人々の
生活費をも全療協
組合みずからが支出負担しておるような次第でありまして、その費用は厚生省
補助金の五倍にも達しておるような実情であるのであります。この点からもすみやかに本問題を処置されまするならば、まことに望外の幸いとするところなのであります。
第四に、実力ある者を救済せられたいというのであります。われわれがこの療術師法の制定をさつきゆうに要求するいま
一つの理由のあることを、この機会に
政府当局に申し述べておきたいのであります。第一は営業中失格した者の救済である。これは
昭和二十三年十二月二十日公布の
法律第二一七号によ
つて現在の療術業者がその営業権を認められたのでありますが、しかしその適格者を査定するにあたり、
政府は
昭和二十二年九月二十日まで開業したる者とここに一線を画したために、九月二十日以後、この
法律公布の日まで開業していた者は看板をはずさなければならなく
なつたという不幸な業者は、全国に二千六百余名あるという事実なのであります。
第二は、当時は戰後幾ばくも経なか
つたので、業者は都心空爆を避けるために僻地に疎開営業しておりました者が、新
法律を知らなか
つたがために、
昭和二十二年三月末日までの届出をしなか
つた業者であります。これが全国で約三百余者あります。
第三は、実力あ
つて届出ぜざる者の失格者であります。これは北海道、秋田、福島等の地方庁においてその試験を受け、それに合格したが、
法律の制限を受けて失格した者、及び実力は十分あるが、助手をしていたために失格した者、合せて千二百余名あります。
第四は、外地すなわち朝鮮、台湾、満洲等において営業し、
引揚者として帰国した者及び戰時中召集され、その復員が届出に間に合わず、失業しておる者の数は約千七百名以上、全部で五千八百余者に達しておるでのあります。これらに対して何とか救済の道を講じてもらいたいというのであります。
なお全療協
組合に、所属しておる業者は、議員会館で治療しておりますから、御
承知のこととは思いますが、決して新興宗教を名乗
つてインチキ治療をし、社会の人々をまどわすような業者ではなく、ここ三年間にわたり地方衞生部及び保健所と緊密な連絡のもとに、学問的に、技術的に、長期間の講習を開き、引続き療術研究所を全国五十四箇所に開設して、まじめに修業しております。そして療術の立法化を裏切らぬようにと涙ぐましい
努力を拂
つております。しかるに多数の業者中には、将来新
法律が公布された場合には、当然その恩典に浴するものとうぬぼれて、この修業機関に参加せぬ者があります。これは
昭和二十二年第一国会の厚生
委員会の席上、東
政府委員が業者みずから修業するように努め、また指導したいと申されましたから、この見地からこれら怠慢な業者に対してはこのまま看過せずに、地方衞生部を通じ、各保健所等から、それぞれ戒告して、自発的に修業しつつある全寮協
組合の傘下に集められるよう特に御考慮お願いしたいのであります。
以上は私の
請願書に対する
説明であり、また久下次長に対する御
質問の要点なのでございます。どうぞよろしくお願いいたします。