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1950-03-13 第7回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十三日(月曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長代理理事 青柳 一郎君    理事 大石 武一君 理事 橘  直治君    理事 中川 俊思君 理事 岡  良一君    理事 金塚  孝君 理事 苅田アサノ君       田中  元君    丸山 直友君       亘  四郎君    渡部 義通君  出席政府委員         厚生事務官         (保險局長)  安田  嚴君  委員外出席者         厚 生 技 官         (薬務局麻薬課         長)      里見 卓郎君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 三月十日  麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法  律案内閣提出第二二号)(参議院送付) 同月九日  妙高戸隠地帶国立公園に指定の請願(塚田十  一郎紹介)(第一二四三号)  医薬分業制度確立に関する請願中村寅太君紹  介)(第一二五五号)  同外一件(保利茂紹介)(第一二五六号)  旧海軍共済組合年金受給者年金増額に関する  請願土井直作紹介)(第一二六六号)  国立福島療養所の火災による災害者救済に関す  る請願圓谷光衞紹介)(第一二七一号)  皇居前広場に新憲法記念平和の鐘楼建立敷地借  用に関する請願水谷昇君外二名紹介)(第一  二七五号)  今庄村の国民健康保険直営病院建設費国庫補助  増額に関する請願福田一紹介)(第一二八  二号)  遺族援護対策確立に関する請願外二件(犬養  健君紹介)(第一二九五号)  看護婦資格既得権者国家試験特例設定に関  する請願岡良一君外四名紹介)(第一三三六  号)  單独美容師法制定反対請願大石ヨシエ君紹  介)(第一三三八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  薬事法一部改正に関する陳情書  (第五六九号)  同外一件  (第五九二  号)  遺族援護強化に関する陳情書外三件  (第五九三号)  大島らい療養所患者收容施設拡充に関する陳  情書(第五九七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長の選任に関する件  麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法  律案内閣提出第二二号)(参議院送付)  厚生年金保險法等の一部を改正する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第八六号)(予)     ―――――――――――――
  2. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それではこれより会議を開きます。  麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案を議題に供します。本法案はすでに提案理由説明は聴取しておりますので、これより質疑を通告順に許すことといたします。苅田委員
  3. 苅田アサノ

    苅田委員 これの提案理由にも書いてあるのですけれども麻薬取締りをする人の従来の身分関係府県知事に属しておつたために、監督取締りができなかつた、こういうことになつておりますが、具体的にどういう取締りができなかつたということになるのでありますか。御説明を願いたいと思います。
  4. 里見卓郎

    里見説明員 従来麻薬取締りをやつておりました吏員は、身分地方吏員でありまして、法律上におきまして、麻薬取締り指揮監督は、直接厚生大臣からの指揮監督を受けるようになつてつたのです。それでそういう点におきまして、必ずしも身分関係指揮命令関係が一致しなかつた点がありまして、たとえば麻薬取締りにつきましては非常に習熟した事務鍛練者、そういう特別な事情がありまして、普通の一般薬事行政の面と違いまして、警察系統のような仕事、あるいはまた専門的な知識がいる、そういうように専門的な技能経験を積まないと麻薬取締員としての相当の働きができなかつたわけであります。相当働きのできるような者が県の吏員であります関係で、いろいろ中のポストを動かすという場合に他に転職させるということがありまして、これから大いに取締りをやろうという場合にかわつたりする。そういうような点に多少の不便があります。それからまた県によりましては方針がまちまちでありまして、麻薬取締りにそう大して重きを置かなくてもいい、もつと重要なことがある、あるいは特に取締りを嚴重にやろう、そういうような県のまちまちの方針があるようにも見受けられます。私どもとしましては、指揮命令系統身分関係を一本にするために、このようなシステムをとり、一貫した方針によつて取締りを行おう、こういうのがねらいでありまして、このたび法律改正案を提出したわけでございます。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 今議会になりまして、特に一貫した取締りを強化しなければならないという、具体的な事情国内にあるとすれば、それにつきましての御説明を伺いたいと思います。
  6. 里見卓郎

    里見説明員 実は一貫して、こういうような取締り方針をもつて、国の管理で行わせるということにつきまして、一昨年以来考えておつたのでありますが、われわれもこういうこと理想ではあるということが考えられます。それは一九三一年の国際麻薬條約に、麻薬製造制限及び分配條約というのがありまして、この中に締約国麻薬取締りについて、特別な機関を設けるべしということが義務づけられております。こういう点から世界各国を見ますと、ほとんど国の機関によつて麻薬取締りを行つております。ブラジルにおきまして、中央政府地方委員会が責任を分担しておるという状態でありますが、そのほかは全部が国でもつてつております。わが国は今まで取締り知事中央政府と両方でやつてつたのでありますが、こういう点から見まして、今後日本世界の独立した一国としてやつて行く場合に、当然この條約を履行しなければならないし、また平和会議に臨むにしても、そういう体制を整えておくことが必要であろうと考えまして、この取締り法改正をこのたび提出したわけでございます。  なおこれにつきましては、関係方面から非常に強い要望がありまして、げひこの機会にこれを考えたらどうかということを申されております。一昨年からの要望であつたのでありますが、本年この法律改正するようにお願いしたわけであります。
  7. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいまの御説明の点で、もう一つ推してお伺いしたいのです。つまりそういう国際的な協定に基くことが、一方にあるのですけれども国内的に、特にそういつた関係方面から強い要望もあつて、この取締りを強化しなければならないというような、わが国内にそういつた状況があるかないかということをお伺いしたいと思うのです。
  8. 里見卓郎

    里見説明員 先ほど申し上げました吏員身分関係と、現在までの法律によりましての指揮命令関係が一致しなかつたために、麻薬取締りに多少不便を感じたということが、やはり関係方面からも指摘された一つ理由であります。その中には取締りに当つている者が、国の方針によつて相当習熟した取締員を、県の都合によつて身分がかわることは困るということが一つと、それから具体的にはそうありませんが、地方におきまして、吏員であります関係で、取締りにつきまして、いろいろな意見を述べられる政治的な力、圧迫も、多少加わるという事態もないではないというような関係もありまして、これがやはり向うから要望される一つ理由であつたわけであります。今後そういうことも、官吏にしてしまえばなくなるというふうに考えられる。そういう点もこの改正一つ理由になつていると思います。
  9. 苅田アサノ

    苅田委員 麻薬取締官司法警察員としての職務を行うということなのですが、具体的に言うとどういうことになるでしようか。
  10. 里見卓郎

    里見説明員 法律によりまして、司法警察員職務を行う権限を付與されておりまして、この関係は検察庁の県に対する一般の検察官と同じ関係にあります。でありますから逮捕令状あるいは家宅捜索令状を求めまして、その令状によつて職務を執行するという関係にあります。
  11. 苅田アサノ

    苅田委員 この取締官がとり行う職務というのは、麻薬のことに関係しているだけで、ほかの一般司法警察事務には、全然関係はないかどうかそういうことをやると、それに規定に反しているかどうかをお伺いしたい。
  12. 里見卓郎

    里見説明員 これは麻薬大麻関係してのみの仕事についての麻薬司法警察員ということになります。ほかの面に対しては権限がないと解しております。
  13. 苅田アサノ

    苅田委員 もしこの人たちが直接大麻麻薬関係する事件以外のことに動かされるということになれば、これに対して何か規定上の罰則とか何とかいうものはあるわけですか。
  14. 里見卓郎

    里見説明員 これは法律違反行為になると思います。法律にはそういう麻薬大麻以外にはできないように規定してありますので、それを侵してやれば、法律違反行為であろうと解釈します。
  15. 苅田アサノ

    苅田委員 この取締官小型武器を携帶することになつていますが、それはどういう種類ですか。
  16. 里見卓郎

    里見説明員 それは第五国会で麻薬取締法改正いたしまして、小型武器を携帶いたさせるということになつておりまして、実際に拳銃所持しております。この拳銃所持につきましては、厚生省所持規定をつくりまして、間違いのないように使わせる、携帶をさせておるというわけであります。
  17. 苅田アサノ

    苅田委員 麻薬についての現状を伺いたいのです。つまり日本にある麻薬種類とか、それからどこでつくるか、そして製造についての何か規約があれば規約とか、そういうものをお知らせ願いたいのです。
  18. 里見卓郎

    里見説明員 現在日本におきます麻薬は、国内医療上の麻薬のみの製造を許可されております。これは終戰後司令部から、製造を禁止されておつたのでありますが、その後向うからの覚書によりまして、製造を許可されております。これは但し日本人医療用に使う最少限度麻薬であろうということをわれわれ考えております。現在つくつておりますのは武田製薬会社東京工場大阪工場東京におきまして三共製薬、それから大阪の大日本製薬、この四工場において製造しておりまして、主としてモルヒネ、コデイン、それからパピナール、阿片アルカロイド塩酸塩注射液、そういうものが大部分のものであります。これが平常の経路に流れまして医療用に使われております。  それから取締り対象になりますところの不正にある麻薬でありますが、これは終戰後軍に保有しておつた麻薬が一部不正に民間に出ましたもの、あるいは軍が疎開先に持つてつたものから出ましたもの、そういうものが相当横行したのでありますが、ただいまではそういうものがほとんどなくなりまして、現在やみ市場に出ているものに密輸品と思わたるものと、それから医師その他の医療関係者から若干出ているもの、それから盗難によつて得られた麻薬、そういうものが市場に出ているものと存じます。
  19. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいまつくつでいる四工場というのは、これは政府の方で何か一定の規約があつてこれを許可している、自由にこれはつくられるのでなしに、許可されるという形になつているものでしようか。どうでしようか。
  20. 里見卓郎

    里見説明員 麻薬製造につきましては、麻薬取締法規定しますところの免許を受けまして、麻薬製造業者というものになつておりまして、これによつて資格を得て麻薬製造しておるのであります。その量につきましては、大体一箇年間の日本で使います麻薬の量が実績によつてわかつております。それを総司令部に提出いたしまして、條約によつてきまつておりますところによつて国際連合に大体この報告が参ります。国際連合各国麻薬需要量を査定いたしまして、その査定量のわく内によつて日本がつくつておるわけです。それをまた一度にたくさんつくらないように三箇月ごとに許可をいたしまして、日本麻薬の消費と生産をコントロールして行く。ですからオーバー・プロダクトになるようなこともなし、あるいは非常に麻薬が足りなくて因るということのないように、十分統計上気をつけて見ております。なお製薬工場監督も、毎月係官を派遣して十分な監督のもとに製造さしておるわけであります。
  21. 苅田アサノ

    苅田委員 それではこれは今すぐ御答弁いただかなくともよろしゆうございますが、今の日本麻薬種類とか、それからその生産量、そういうものの資料をあとで出していただきたいと思います。
  22. 里見卓郎

    里見説明員 承知いたしました。
  23. 苅田アサノ

    苅田委員 それからただいま御答弁の中で伺つたのですが、密輸入品というお話があつたわけですが、現在日本にどういう密輸入品が入つておると払府の方でお考えになつておるか。それはどういう経路でどういう種類のものが入つておるか。そういうことについてできるだけ詳しい御説明を願いたい。
  24. 里見卓郎

    里見説明員 密輸入品と思われます麻薬でありますが、御承知通り麻薬は非常に少量のものでも、やみ値にしますと非常に高価になります。たとえばモルヒネが一グラム三千円したり、五千円にもなる。そういうような状況でありますので、これをわずかに持つて来ても非常に金目のものになると、つた関係で、密輸船の現場において麻薬を見つけるということは、非常に困雑な事情にあります。また私ども関係しております麻薬取締員、これもこの密輸船を直接に取締つて抑えるというようなこともないのでありまして、この点は海上保安庁とも緊密な連絡のもとでやつておりますが、昨年は密輸品として持つてつたものをあげたのはわずかに七名しかあがりません。でありますが、大体やみでもつてつかまえた犯人からだんだんにたぐつて行きますと、結局密輸品であつたというようなことがわかるような状態でありまして、密輸品品物は主としてモルヒネそれからヘロインであります。経路としましては大体香港経由のものが一つ、それから南北朝鮮から入つて来ると思われるものがあります。これは大体そういうようなものの品物を見まして、前にそういうものがあつたのと比べまして、たとえば結晶の形であるとか、色、そういうようなものから判断して、これは密輸命じやないかというようなことが考えられるのであります。特にヘロインにつきましては、現在日本においてはヘロインは絶対に所持すらできないように法律規定になつております。当然日本には成規ヘロインは存在しないはずのものでありますので、これも密輸品であるということが大体見当がつきます。そのヘロインなんかを見ますと、結晶形、あるいは色等によつて朝鮮のもの、あるいは支那から渡りましたものだろうというような判断がつくわけであります。大体そのほか、少量の阿片が入つて来るかと思いますが、阿片はそのままで使うということはあまりありませんので、主としてモルヒネヘロイン密輸入対象になつておるように思います。
  25. 苅田アサノ

    苅田委員 昨年は密輸に関しては七人ほどしか犯人がつかまらなかつたというお話ですが、日本に実際に入つておると思われる麻薬密輸入品というふうなものは、大体どれくらいあるかということがおわかりであれば知らせていただきたい。またそれが日本でできる国内品とどれくらいの関係にあるか。それからそういう密輸入に従事しておるのはどういう人たちか。こういう点もおわかりになれば伺いたい。
  26. 里見卓郎

    里見説明員 密輸入品がどれくらいあるかという判断は、まつたくつかないのでありますが、ただそういうものにどういう者が従事しておつたかということは、違反者を検挙した場合に職業別やなんかを調べましても、実に雑多なものでありまして、どういう者かという判定もつかないわけであります。違反者は、大体密輸入品を持つてつた者が九名ということになつておりますが、そのほかに麻薬を不正に所持しておつてあげられた者、これが昨年五百六人、それからヘロイン不正取引した者が九百四十三名でございます。こういう人数がありますので、この中にはおそらく密輸入をした者も含まれると考えられるわけでありまして、統計上から事件によつて分類しますと、一番多いのでヘロイン不正取引でありまして、これが九百四十三名、麻薬不正取引が三十九名、麻薬不正所持が五百六名、なおヘロイン不正所持しておつたのが二百五名、こういうような数字になつております。そのほか阿片を飲んだ者が昨年度ありませんが、一昨年三人になつております。こういうような中に一切包含されているのじやないかということが考えられますが、的確にごの中のだれだれが麻薬密輸入者である。どういう者がヘロイン密輸入者であるということが判断つかないわけであります。
  27. 苅田アサノ

    苅田委員 その入つて来ている麻薬種類を見ると、大体中国とかあるいは朝鮮から入つて来るものが多いというようなお話であつたのですが、そういう不正所持関係している人たちの中には、日本人以外に朝鮮人中国人というような人がいるわけですか。
  28. 里見卓郎

    里見説明員 台湾人朝鮮人中国人、そういうものが入つております。そうして台湾人中国人軍事裁判の方にまわります。朝鮮人だけが日本裁判の方にまわる。申し上げました数字の中には中国人台湾人は入つておりません。今まで向うのCIDと協力してやりました事件には、相当たくさんの人があるのでありますが、これは令部連合軍軍事裁判によつて処理されておりますので、私どもの持つている資料には入つておりません。
  29. 苅田アサノ

    苅田委員 そうすると軍事裁判所にまわされた台湾人中国人たちの数は今こちらではわからないのですね。
  30. 里見卓郎

    里見説明員 ただいま私の方に手持ちがありませんが、御必要でしたら調査の上お知らせ申し上げてもよろしゆうございます。
  31. 苅田アサノ

    苅田委員 その数字と、それからそうした不正所持をした朝鮮人、それから日本人別に、その数字一つお知らせ願いたいと思います。
  32. 里見卓郎

    里見説明員 承知しました。
  33. 苅田アサノ

    苅田委員 それはこの次にお知らせ願います。それから麻薬中毒患者は現在日本にどれだけの数があるか。またこういうものに対する対策についてお聞きしたい。
  34. 里見卓郎

    里見説明員 現在日本におります麻薬吸飲患者は、大体五千人あまりおります。これは各府県からの報告を集計いたしましてわかつたものが約五千人でありまして、男女別はほぼ半々であります。その対策でありますが、麻薬取締法の中におきまして、麻薬中毒患者に対して麻薬の使用はできないことになつております。これは絶対に麻薬中毒をさらに高進させるということのないように、一切麻薬中毒患者に使わせないということになつております。そうしてこの監督は、各府県麻薬取締員がやつておるのでありますが、ただ法律第四條の中に、「何人も、左に掲げる行為をしてはならない。」、というのがありまして、その第四号に「麻薬中毒のため公安をみだし、又は麻薬中毒のため自制心を失うこと」こういう禁止條項がありまして、これによりまして懲役一年以下六月以上、あるいは一万円以下の罰金という罰則がありまして、これによつて麻薬中毒患者の絶滅を期すということになつております。その取締法に基いて、取締つて行こうというのが麻薬取締法のねらいであるわけであります。
  35. 苅田アサノ

    苅田委員 ついでにもう一つお聞きしたいのですが、密輸のことです。今度こういう麻薬監督官が、厚生省の一本の指令で動くような態勢になりますことには、密輸取締りというような意図がないと、たとえば麻薬密輸入ということが、非常にふえて来ておるという傾向があるかないか。その点も一つお聞きしたい。
  36. 里見卓郎

    里見説明員 麻薬密輸入につきましては、将来とも貿易関係が進みまするにつれて、ふえるということが考えられます。それにつきましては、海上保安庁の方と密接な連絡をとつて海上保安庁密輸取締りと併行してやつて行くように、こちらからもお願いしてありますし、なお主とし密輸入品の横行します所は横浜、神戸という所でありますので、そういう土地におきましては、取締員を増員して、十分な取締りを実施したいと考えております。
  37. 苅田アサノ

    苅田委員 明らかに密輸入によつて日本に入つて来たと思われる麻薬の数量というものを、厚生省でつかんでおられれば、その数字もただいまお願いした調査と一緒にいただきたいと思います。  次に大麻生産状況、そういうものも、もしもこれがタバコなんかと同じように割付でやつておるのかどうか。あるいは買入れの点、価格の点などについても御説明願います。
  38. 里見卓郎

    里見説明員 大麻取締りでありまするが、大麻は御承知通り麻の纎維の原料植物であります。これは当初日本におきましては、大麻麻薬原料植物であるということを考えておらなかつたのでありまするが、連合軍が進駐以来日本の麻を調べましたところ、これが取締り対象になるものである。そういうような解釈のもとで、先方よりメモランダムが出まして、これによつて大麻取締法を制定しまして取締ることになつたのであります。そうして今までわが国におきましては、大麻から麻薬をつくつてこれを悪用する、あるいはこれを使用する、そういうようなことが全然なかつたわけでありまして、現在もまたありませんのでございます。しかしながら原料植物である大麻を大量に使いますと、麻薬をとることもでき得るわけでありますので、一応これを取締る必要はあるわけでありす。それでわれわれの関係しております大麻取締り関係は、麻をとるまでの大麻、それと未熟の発芽し得べき種子、これが対象になつておりまして、その他については全部農林省管轄になつております。われわれの取締りするところは、刈取つてかわかして、これを麻にするまでの大麻、それからそれの種子、それの移動等を禁示して取締つておる。価格、できた纎維製品というものについては、一切取締外になつておりまして、かつこれは農林省管轄になつております。
  39. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいま私のいたしました質問に対しまして、農林省関係当局の方を呼んで、この次の委員会で御答弁願いたいと思います。
  40. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それではただいまの御要求の通りそういうふうにとりはからいます。
  41. 苅田アサノ

    苅田委員 それから予算の点で少しお聞きしたいと思うのですが、麻薬取締監督に必要な経費といたしまして、二十四年度と二十五年度とは、非常に予算の点が違つておるわけですね。つまり二十四年度は六百四十一万円ぐらいであつたのが、今度二十五年度になつて三千四百四十九万九千円というような、非常に尨大な計額に相なるわけです。それから人員の点も二十四年度の三十三人から三百四十五人になつているのですが、これは二十四年度には府県予算であり、人員もそこから出ておつたものが、二十五年度には厚生省一本になつたために、厚生省予算としてこれだけのものが出たのですか。
  42. 里見卓郎

    里見説明員 二十四年度におきましては予算総額二千八百万円で、来年度予算におきましては三千四百万円であります。二十四年度におきましては地方吏員麻薬取締員は、全額国庫補助の形式でもつて出しておりまして、今度それを厚生省の国の方の経費に組かえをいたすわけになつておりまして、従つて人員も三百二十二名が厚生省官吏として入つて来るわけであります。予算面におきましては組かえをするにすぎません。人員は今までの地方吏員官吏にする関係で三百二十二各が増員ということになるのであります。
  43. 苅田アサノ

    苅田委員 二十四年度の予算は、いただいた予算書を見ると、あなたのおつしやつたように二千八百万円となくて、六百四十一万円というふうにありますが……
  44. 里見卓郎

    里見説明員 六百四十一万円というのは本省費でありまして、そのほか地方補助がついております。それが全額国庫補助の形でついております。
  45. 苅田アサノ

    苅田委員 大麻栽培取締監督官に必要な経費も、やはり二十四年度と二十五年度と非常な開きがありますが、それもやはり麻薬取締りのときと同じように、国家予算として出して来たものが厚生省予算に組かえられた、こう理解してよろしいですね。ついで予算定員として三人とあげてあるが、これはどういうことですか。
  46. 里見卓郎

    里見説明員 その三名は本省におきます大麻取締官が三名であります。それから大麻の方はやはり全額国庫補助で、それは昨年補助金の形で地方に出しております。来年度は麻薬取締官によつて大麻監督をいたす関係で、実際としては大麻経費不用額になるものと考えております。
  47. 苅田アサノ

    苅田委員 そうすると麻薬取締官人数は、本年度は直接厚生省からの人員として三百二十二人ということになつておりますが、これは昨年度、府県に配属していた人の人数と比べますと、別に今年度ふえたということはないわけですか。それとも今年度は増員しておりますか。
  48. 里見卓郎

    里見説明員 昨年の通り人員を今度厚生省官吏として入れるわけであります。三百二十二名の中で本官者が二百十五名で、残りは雇員であります。
  49. 苅田アサノ

    苅田委員 私の質問は大体これまでですけれども、ただいま私の質問の中で調査をお願いしました件について、なおこの後の委員会で質問をさせていただきたいと思います。麻薬取締りのことに関しましても、大麻の主産状況価格、その他のことに関しましても、私の質疑がまだ残つておりますので、さらにその調査を出していただきまして、質問を続行したいと思います。
  50. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それでは一応苅田委員の御質問は本日は終つたようであります。農林当局は本日出られると思いますので、その際にまた御発言願いたいと思います。次に丸山委員
  51. 丸山直友

    ○丸山委員 ただいまのことは先ほどお話になりましたように、麻薬として考えておられるようでありますが、私はあまり麻薬としては考えておりませんけれども、法が出ておる以上は、その取締りを受けることになるのでありますが、第十九條に、厚生大臣大麻の栽培その他に関して必要な事項を命ずることができる、とありますが、この栽培の作付反別というようなものの制限と申しますか、許可と申しますか、そういうこともやはり厚生省所管なのですか。
  52. 里見卓郎

    里見説明員 ただいまの御質問の作付反別は、農林省と協議の上できめるようになつております。なお作付反別は実は司令部の方からのメモランダムによりまして、日本全国で五千町歩ということに押えられております。五千町歩の範囲内において、二十三県にこれを割当ててつくらしております。その作付反別につきましては、農林省と協議の上で、大体きめておるのであります。
  53. 丸山直友

    ○丸山委員 そういたしますと、それは従来の取扱いがそうだつたのでありますか。
  54. 里見卓郎

    里見説明員 さようであります。
  55. 丸山直友

    ○丸山委員 今後はそれに何か変更が起りましようか。
  56. 里見卓郎

    里見説明員 変更はないと思います。
  57. 丸山直友

    ○丸山委員 現在の日本の麻の需要はこの五千町歩でまかなえるかどうか。増してもらうような必要があるのではないか。どういうふうになつておりますか。
  58. 里見卓郎

    里見説明員 当初定めました五千町歩でありますが、これは大体初めに大麻生産が認可されましたのは、連合軍司令部に懇請いたしまして、麻の資源のためにぜひつくらしてもらいたいということを懇請いたしました関係で、われわれの方で大体実績を調べたわけであります。そうしてそれによつて大体五千町歩ということが認められまして、五千町歩の範囲内で栽培を許されております。実際には五千町歩を下まわつておりまして、一昨年は三千八百町歩、昨年は四千町歩から四千五百町歩の間くらいで、いまだ五千町歩に達していないような状況であります。各府県からの希望もとりまして、それも勘案して、各府県の作付反別かきめておるわゆであります。
  59. 丸山直友

    ○丸山委員 実は農家などでは、自分の需要に供するために麻をつくりたいという希望を持つておるのが非常に多いのでございます。そういうものは、もちろん零細な栽培なのでありますが、そういうものは今まで許可になつておらない現状なのであります。栽培の許可というようなことに対して、今までと機構がかわつて、責任のあり場所がかわるようなことになりますが、この前は都道府県知事にもあつたのでありますが、今度はなくなります。そういうことのために割当等に非常に手間取るというようなことで、栽培が北常に困難になるというようなことを生ずる危険はないのですか。
  60. 里見卓郎

    里見説明員 ただいまご質問がありましたような点に対しては、別に御心配になるようなことはないと思うのでございます。それは今まで通り府県に駐在しますところの麻薬取締官を通じまして、厚生省に希望数字を提出してもらいまして、それによりましてこちらで作付反別をきめて許可をする、こういうことになりますので、これも期日が毎年きまつております。でありますから手続上遅れるというようなことはまずないと考えております。
  61. 丸山直友

    ○丸山委員 今度、麻薬もそうでありますが、厚生大臣が直接にやるといこことになりますと、取締官は全部新しい人間が任命されて行くことになるのですか。
  62. 里見卓郎

    里見説明員 今まで各都道府県におりますところの麻薬取締員の中から任命することにしておりまして、実は今月末をもつて発令する予定にしておりまして、大部分が今までやつておる熟練した麻薬取締員をそのまま取締官に任命することにいたしております。
  63. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それでは次に岡委員
  64. 岡良一

    ○岡(良)委員 麻薬取締法ですが、結局麻薬中毒患者を防止するということが大きな目的だと思いますが、現在日本の国にモルヒネ、コカイン、ヘロイン中毒患者はどれくらいあると見ておりますか。
  65. 里見卓郎

    里見説明員 先ほどお話したように約五千人あまりの患者があります。それは薬品別にしますと、大体モルヒネ、パピナール、コカイン、そういうような種類のものであります。
  66. 岡良一

    ○岡(良)委員 それでそういうふうな患者、中毒になりそうな患者に対しては、どういうふうな取締りが適用されておりますか。
  67. 里見卓郎

    里見説明員 取締りにつきましては、麻薬中毒患者が犯罪を犯した場合には、麻薬取締法第四條の第四項によつて取締るわけでありますが、ただ病気その他の関係で自動的に、と申しますか、医療麻薬をどうしても使わなければならぬという関係で中毒になつたものもあります。そういうものにつきましては、本人を勧奨しまして、麻薬の中毒をなおすようにせしめておるわけであります。なお麻薬中毒患者であつて犯罪者でないというような者に対しましては、つとめてこれを勧めまして、精神病院その他に入院さして、麻薬中毒をなおすというような方針をとつておるわけであります。
  68. 岡良一

    ○岡(良)委員 たとえばそういう場合、麻薬中毒患者というものは、御存じでしようが、麻薬を手に入れることについては非常に機敏であり、大胆であり、かつまた実に巧妙なうそを言う性格的な変質を来しておる者が非常に多いのですが、そういうような点について、やはり麻薬中毒患者を防止する意味において、何か具体的に対策のようなことでもおありになりますか。精神病院に希望した者は入院させるとしても、広く散らばつておる患者に対する対策、特に夫婦は伝染する場合が非常に多いのですが、そういうような点について何か具体的な対策厚生省として用意しなければならなぬのじやないかと思いますが、お考えがありましようか。
  69. 里見卓郎

    里見説明員 麻薬取締りの根本になりますのは、不正麻薬で、その最後の消費者は麻薬中毒患者であるわけであります。一般医療用麻薬については、取締法に従つてすべて監督のもとにつくられ、そうして最後の末端までの使用を取締られ、かつ麻薬の受拂い、あるいは移動について明確な責任をおのおの持つておるわけでありますが、麻薬中毒患者の使います麻薬が、結局麻薬取締り対象になつておるわけであります。でありますから、われわれといたしましては、麻薬中毒患者をまず一番初めにマークいたしまして、これから犯罪をたぐつて行くということに努力をいたしておるわけであります。それで麻薬中毒患者が、麻薬を得るためには、どんな危険も冒し、また非常な変質者もあり、公安を乱す、そういうような点は十分わかつておりまして、これの監視をゆるめたならば、麻薬中妻患者をつくり、またそのために害毒を相当流すことがありますので、もつぱら麻薬取締りについては、麻薬中毒患者を中心にして取締をしなければならぬというので、取締り対象としては麻薬中毒患者と、それをめぐる麻薬に重点を置いているわけであります。それで大体麻薬中毒患者対象とする麻薬のブローカー、それからさらにまたブローカーの買出す元を持つている密輸入者、そういうようなものが、すべて麻薬中毒患者に最後に連繋しておるのでありますから、こういうものをなくす。あるいは中毒患者をなくすということができれば、この麻薬取締の必要がなくなるということであります。中毒患者イコール犯罪者でないというので、ただいま申し上げました病院その他に勧奨して入れるというのは、犯罪者ではないところの麻薬中毒患者であります。それから麻薬中毒患者が一度でも麻薬所持した場合は、麻薬取締法違反者であつて、犯罪者でありますので、こういうものは取締法規定によつて処罰するという方針をとるのが当然であろうと思います。もつばら対象となりますのは麻薬中毒患者でありて、かつ犯罪を犯す者、これを取締り対象として麻薬取締りによつて絶滅を期すということをやつているわけであります。ただ一般麻薬中毒の人を強制的に収容するということは、基本的人権にも関係しておりますので、そういうことができません。それで勧奨して、本人の意思によつてこれを入院さしてなおすという方法をとつているわけであります。
  70. 岡良一

    ○岡(良)委員 基本的人権の干渉となるかもしれませんが、しかし刑法上もやはり心身病弱者というような程度に取扱われる例が非常に多いわけであります。従つてそういうような中毒患者は当然なおしてやるように、強制的にでも、し向けることが、基本的人権の尊重になるわけですが、そういう形式論議ではありません。御承知のように麻薬中毒患者というものは、一度精神病院を訪れますと、ほとんど繰返し繰返し来るものであります。入院さして一時よくなつても、うちへ帰れば意思が弱くなつておりますから、すぐ再発して来るというようなことで、結局その当人なり、家族なりも負担に耐えられないというような状況になりまして、とうとう中毒患者が野放しになるというような実例は、非常に多いことだと私どもは想像しておるのでありますが、何か国の方で、やはり中毒患者に対しては、かりに少量を用いておる者ならば、多少の禁断症状はあつても、思い切つてこれをやめさしてしまい、また相当大量に用いておる者ならば、禁断症状も考慮しつつ、とにかく麻薬と縁を切らせる。そうして三月なり、半年なり、とにかく大体これならば再発をしないだろうという安心の行くところまで、療養さして、そうして社会に送り出してやるというくらいの対策もあわせて行わないと、ただ麻薬の行方ばかりを追いかけておるということだけでは、実際問題として麻薬中毒患者の絶滅もできないということになつて、せつかくの法律も空転する危険が非常に多いと思うのです。そういう点はどうですか。麻薬課長あたりも具体的なお考えはありませんか。
  71. 里見卓郎

    里見説明員 実は麻薬中毒患者の収容につきましては、この法律を制定いたしますときに、私どもはまず考えたのでありますが、麻薬中毒患者を強制的に収容しようということを法律の條項に入れる考えでおつたのであります。そうして最低六箇月は中毒患者を収容しようという考えは持つておりましたので、その案をもつて実は関係当局と折衝したわけでありますが、関係当局麻薬中毒患者に対する方針と、われわれの方針とが一致しませんので、そのかわりにというとおかしいのですが、麻薬中毒患者イコール犯罪者、療養によつてやむを得ずできた麻薬中毒患者を除いたすべての者は、麻薬患者イコール犯罪者であるというような考えでもつて、第四條第四項によつて取締りをしようということになりまして、その強制収容ということを法律案の中に入れることは実はやめたわけであります。現在は結局、この麻薬中毒によつて公安を乱したり、麻薬中毒のために自制心を失つた者を犯罪者としてあげて、中毒患者の絶滅をはからなければならないというような状況になつておるわけであります。さように御承知を願います。
  72. 岡良一

    ○岡(良)委員 先ほど御説明にもあつたように、麻薬取締り、特にアジアにおける麻薬中毒については、国際連盟時代にも非常に関心が拂われて、国際協定がつくられておるくらいであります。これはやはり麻薬課長あたりの政治的折衝の迫力が足らぬものだから、麻薬取締りの徹底が期せられないのではないと思うので、どうせ改正するならば、麻薬中毒患者をできるだけ国の責任において療養せしめ、一人前の社会人に復帰せしめるくらいの措置をとるような法の改正を、ぜひとも関係当局と御折衝の上していただきたいと私は希望するのです。  それから麻薬の取扱上に不正があつたために、麻薬を取扱うことを禁止されている医師があるということを仮定いたしまして、その医師が控訴しているというような場合、その期間麻薬の使用を禁止されている医師として、外科医師であるにせよ、内科医師であるにせよ、麻薬の取扱いを禁止されるということは、医業を営めないような致命的な立場に置かれるのであります。そういう場合に第一審で禁止されておるとしても、その医師がなお控訴しているというような場合は、やはり第二審の判決が下るまでは、麻薬の使用を認めていいのではないかと思うのであります。実はこれは私の聞き違いかもしれませんが、先般長野県であるお医者さんの団体に会いましたところが、そういう事例を話しておりましたので、そういうふうでありましたならば、きわめてお気の毒だと思いましたが、こういうお取扱いはどういうふうになつておりますか。
  73. 里見卓郎

    里見説明員 麻薬取締法違反によつて行政処分を受けて、麻薬の使用を停止されておる者につきましては、刑が確定しないと、それをさらに復活させることができない事情にあります。そうしで実際問題としましては、前にそういう処罰を受けて禁止になつても、さらに出願しまして、厚生大臣が適当と認めた者に対しましては、さらに免許をするというような状況であります。実際の一つ一つについて、前の違反行為が非常に悪質のものであるかどうかという点を十分調べた上で、それほどでない者に対しましては、さらに免許を與えるということを現にしております。
  74. 苅田アサノ

    苅田委員 関連して質問をさしていただきます。今麻薬中毒患者のことでいろいろ御質問が出たのですが、五千人というのは日本人だけの数ですか。それとも在日朝鮮人の数が入つておりますかどうか。入つておるとすれば、その割合はどういうふうになつておりますか、お聞きしたいと思います。
  75. 里見卓郎

    里見説明員 朝鮮人の数が入つておりますが、ここにその内訳を持つておりませんから、調べまして、わかりましたら申し上げます。
  76. 苅田アサノ

    苅田委員 それと、ついでにお願いした調査も一緒にお答え願います。
  77. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それでは次に大石委員
  78. 大石武一

    大石(武)委員 先ほど丸山委員が言われた大麻栽培に関する件につきまして、補足的に希望を申し述べたいと思うのであります。  先ほどの御答弁では、日本に栽培を許可されている大麻は五千町歩であるが、その生産はそれよりはるかに下まわつて栽培されており、三千何百町歩である。しかしこれは実際取締的には何ら不都合はなく、十分日本の国情に1合つているというお話でありましたが、はたしてそのやり方に手落ちがないかどうかということは、さらに検討する必要があると思うのであります。われわれの郷里におきましても、調べたところによりますと、大麻の栽培は非常に採算がとれるいい仕事のようであります。農家の副業としてもよい仕事のようでありますが、そうして日本の現状においても、麻がいかに不足しておるかということは、ここに数字をあげなくてもおわかりのことと思います。しかるに今の何倍か何十倍かの麻の、需要を必要とする場合におきまして、わずかに許可された栽培面積よりも下まわる現状というものは、取締りか何かに手落ちがあつて、そういう事情であるということを考えなければならぬと思うのであります。先ほどのお話では、日本においては、麻によつて麻薬をつくつておる者はないというお話でありますが、そういう状態であればなおのこと、大麻の栽培ということをもつと推奬するように努力せられるのがほんとうであろうと思うのであります。従つて五千町歩という許可の面積に満足しないで、日本においてはいかに麻の栽培が必要であり、かつ麻薬取締り上害がないということを大いに強調せられ、また農民に対しても、これが楽に栽培できるように、十分取締りあるいは監督に留意せられて、これを推奨されるように、極力希望するのであります。
  79. 里見卓郎

    里見説明員 ただいまの大麻の栽培面積でありますが、これは私どもは、各府県からの希望の数字をまとめまして、それによつて許可をしておるのでありますから、もし府県においてこれ以上の希望がありましたならば、出していただいて、それが五千町歩以上に達したならば、私どもはできるだけ関係方面と折衝いたしまして、あるいはオーバーすることも可能かと考えます。またほかの県で希望のない県がありましたならば、その作付反別を他にまわして、そちらの県をふやすということも可能であります。ただ今まで私どもつておりましたのは、各府県からの希望数をまとめて、五千町歩に達しないので、そのまま許可をしておつたという実情でありましたが、実際にたくさん希望者があるとすれば、五千町歩以上になつもて栽培できるように、関係方面と折衝することは、できるだけ十分にいたすつもりであります。
  80. 大石武一

    大石(武)委員 そのお考え方が、こう言うては失礼かもしれませんが、まことに官僚的な考え方じやなかろうかと思います。五年町歩に達しないから、それでよろしいというのは、現状に即さない言葉だろうと思うのです。これはおそらく希望がないのではなくて、希望のできないような條件のもとにあるから、希望がないのだろうと思うのであります。日本の国の現状が、麻を非常に必要としておることは、私がここで喋々する必要もない。日本の農民が麻を栽培すれば、採算が立ち、ある程度輸入を押えることができる現状にあるということは、私が今ここで説明する必要はないと思います。従つて今農民が現状に甘んじているのは、希望がないのだというような考えでは、ほんとうに日本の麻の栽培の発展はできないと思うのであります。ここに見方の間違いがあると思うのであります。それは、希望させないような監督なり取締りに原因があると思う。そういうことを十分に考えられて、希望しないからこれでよいのだというように、現状に満足されないで、これを希望しない原因は、ほんとうにこれをつくりたくないのか、それともつくり得ない現状にあるのかということを察してやつて、その障害を取除かれるのが政治であるから、その意味で進まれんことを希望いたします。
  81. 里見卓郎

    里見説明員 大麻の栽培の状況から見ますと、大体取締りの面から行きまして、現在つくつておるのは、集団的にまとまつて栽培しておるのでありまして、何坪ずつというような少しずつの栽培は、実際にないような状態であります。そういうものを全部希望をいれますと、もちろん相当の数字になるかと思いますが、それではなかなか取締りがつきません。御承知のように、栽培している所は、都会から離れた山のような所にたくさんありまして、これがばらばらに栽培されおりますと、取締りが相当困難を来すということもありまして、大体集団的にまとまつておる所に許可をしております。しかしただいまお言葉のありました通り取締りが嚴重に過ぎて栽培ができないとか、あるいはまた報告を出すとかいう点でやつかいであるから栽培しないというような方もあるかと思います。しかしながらできるだけそういう面を越えまして、希望される方には、栽培できるように、私どもも努力するつもりでおります。どうぞひとつ栽培県におかれましても、そういうような事態がありましたならば、御指導を願つて、あるいは私どもも、県の取締りの係員等にも、この点を十分伝えておきます。将来の取締りについては、十分御意思に沿うような考慮をいたすつもりでおります。
  82. 丸山直友

    ○丸山委員 私ども、それを実は心配しておるのであります。農家は自分の收入をはかるということでなく、私どもの方はやはり栽哉地ですが、零細な栽培をしておりまして、それは自分のうちの子供のげたの緒をつくるとか、自分で消費したいために、小量の栽培をしておる者が非常に多いのであります。それが非常に手続が多いために、許可を得ておらぬのが現状であります。そういう作付反別があるならば、零細な栽培者も、ただ取締りがめんどうだからというのでなく、もう少し広く、ゆつくりとつくらすような方向に進んでもらいたいということを、特にお願いしておきます。
  83. 大石武一

    大石(武)委員 私は東北ですが、丸山委員その他が言われたように、私の地方では、大麻をつくつて、げたの緒どころじやない。衣料を買えない農家が衣料にしておるのが非常に多い。これは地方にとつてはぜひ必要なものであつて、この作付を制限したり、監督を嚴重にしたりすることによつて地方におけるそういう実情を無税し、あるいは農家の自己消費を非常に困難ならしめるというようなことがあつてはならない。もちろん農家は、余裕があるならば、そういう需要は他の方法によつて満たすことができるはずであるけれども、現在の農家は事実上、経費関係からそういうことは不可能になつておる。それほどに零細化され、貧困化されておる農家が、衣料の点で、最後の線としてそういうことを要求しており、それが古来の習俗にさえもなつておる際に、これを法制的に禁止するというやり方は、われわれ反対しなければならぬと思うのです。聞くところによれば、あなたも言われたように、メモランダムが来たからということであるが、われわれはメモランダムによつて政治を行うべきではなくて、日本の実情に即して、また日本の大部分の人々の要望に即した政治を行わなければならぬのであつて、われわれは、やはり正しいことは堂々と、メモランダムいかんにかかわらず、国会の権威においてこれを決定して行くという習慣をつけなければいかぬと思うのです。そういう実情にあるときに、法制のきめ方、たとえば、技術的には私よく知りませんが、收穫をしてその大麻を、麻薬になる部分だけについてどうするとか、こういうふうな制限を付するというようなやり方で、作付については自由にするとか、地方状況に応じた形をとるというような方法はとり得るはずだと思はれるので、そういう点も考えられてはどうか。御意見を聞きます。
  84. 里見卓郎

    里見説明員 作付の反別は先ほど申し上げましたように、地方の実際の要望によりましてやつておるのであります。ただその要望が、先ほどありましたように、全部の全部が希望しているか。取扱いがめんどうとか、そういうような点から遠慮されて、出されない方も多少はあつたろうと思いますが、実際は私どものところでは、各府県からの希望数字をまとめましてやつております。  それから大麻取締法を制定したことでありますが、これは先ほど申し上げましたように、日本においては、終戰前までは大麻について何らの取締規則もなかつたのでありますが、メモランダムが出まして、この大麻取締りを行うことになりまして、もともと麻薬をとります大麻インド大麻というようなものは、国際的に麻薬ときまつておりまして、これは取締りをしなければならない義務を持つております。ただ日本にありました大麻がそれに該当するかしないかということが、これまでわからなかつたわけであります。それがたまたま調査の結果、これが当然該当するということになつた関係で、これは麻薬の原料、薬物として取締りを行わなければならない国際條件の関係もあり、それを履行する義務を日本が負つております関係で、これは将来とも取締るべきものと考えられます。世界各国を見ますと、やはり大麻をそのまま禁止している国も多くあります。フイリツピンあるいは南鮮、日本等は纎維関係によりまして、大麻の栽培を許可されておるわけであります。もちろん、われわれとしましても、十分にこの大麻が纎維資源として重要であることはわかつておりますので、総司令部の方に懇請いたしまして、麻の資源として必要であります関係で、この生産を認めてもらうことになりまして、現在五千町歩の範囲内で、かつ人員も三万人と押えられておるのであります。実際問題としましては、三万人以上でありますが、それは何人か一かたまりでもつて一人の代表者を出して、そうして栽培させておるというとうな実情でやつておるわけであります。
  85. 苅田アサノ

    苅田委員 前に質問しました質問の中で落ちておる條項がありますのでお尋ねいたします。それは麻薬取締法の五十三條のことなんですけれども、ここに「麻薬取締員は、麻薬に関する違反の捜索にあたり、厚生大臣の許可を受けてこの法律規定に拘らず何人からも麻薬を譲り受けることができる。」という條項がありますが、「この法律規定に拘らず何人からも」ということは、どういうことなんですか。それから「譲り受けることができる」というのは、有償ですか、無償ですか。そういう点をもう一つお伺いいたします。
  86. 里見卓郎

    里見説明員 この五十三條の讓り受けは、有償無償を問わず、とにかく讓り受けるのであります。これは犯罪捜査の上におきまして、証拠物件として麻薬を得なければならぬという必要がある場合があります。そういう場合のためにこういう規定を設けております。しかしながらこの條項の運用いかんによつては、逆に犯罪を誘致するようなおそれがありますので、実際に犯罪捜査を行うという見通しがついたものにのみ、厚生大臣の許可を受けまして、麻薬を讓り受けさせる。そういうようなことにしているわけです。たとえば密売者、ブローカー等を捜索する場合に、麻薬取締員が買手になりまして、そうして買つたものを犯罪の証拠物件とする。そういうような必要のときに、この條項の規定によつて麻薬を讓り受ける。そういうことに使うわけです。
  87. 苅田アサノ

    苅田委員 今おつしやつた例はわかるのですけれども、そうすると有償の場合もあり、無償の場合もありというのは、どういう場合が有償で、どういう場合が無償かという明確な規定がありますか。
  88. 里見卓郎

    里見説明員 これは買う相手方の意思によつてきまるのでありまして、向うで十万円なら十万円、五万円なら五万円で買おうという約束ができた場合に、それを買つたならば、有償であります。ただそれをもらう場合もありましたので、これはそのときの取締り関係によつて、有償、無償がきまることだろうと思います。これは相手が、何人からも買おうという「何人」というのは、主として麻薬違反者から買うので、犯罪の捜査のためにこの條項をつくつたわけでありまして、大体それが対象になつているわけであります。
  89. 丸山直友

    ○丸山委員 麻薬取締官麻薬を讓り受けるとか、いろいろなことがあるのでありますが、麻薬取締官麻薬に関する密売買をやつたとか、その他の犯罪を犯したという問題が実際に起つておるのであります。そういうような場合に、これを取締るのに、何か特別な罰則がございますか。
  90. 里見卓郎

    里見説明員 これは当然麻薬取締法の適用を受けるのであります。  この五十三條によりまして、特別に厚生大臣から許可を得ない限りは、この麻薬取締法の適用を受けて、一般人と同じ立場にあると解釈されます。普通の罰則を令部適用されます。この五十三條につきましては、厚生大臣の特別の許可を受けてこの法律規定にかかわらず、たれからも買える、讓り受けることができるわけでありますが、これは実際問題としては、この取締員から厚生大臣に許可の申請書が参ります。そうしてその許可の申請書にどういう事情であるということを述べておりまして、それを十二分に審議した上で許可を與えて、それによつて買うわけでありまして、それ以外に麻薬を譲り受けた場合は、一般人と同じような取締りを受けるのであります。
  91. 丸山直友

    ○丸山委員 麻薬取締官の地位を利用して麻薬に関する犯罪をやるのですから、特別な罰則があつてもしかるべきではないかと私どもは思います。そう考えになりませんか。
  92. 里見卓郎

    里見説明員 これは一般人の麻薬取締り違反のほかに、業務上に関しで違反があれば、刑法上の問題が加わるのだと思います。
  93. 苅田アサノ

    苅田委員 先ほどの私の質問に対する御答弁で、私はどうも法律のことはよくわからないせいですか、はつきりしないのですが、つまりそのときの契約によつて、そのときの約束の仕方によつて無償になつたり有償になつたりするような、そういう法律の犯し方というものはあるのですか。そういう点が私は不確かなんですが。
  94. 里見卓郎

    里見説明員 この五十三條の麻薬の譲り受けは、金銭問題には一切関係なしに実はつくたわけであります。これは犯罪捜査のためにつくつた規定でありまして、一般麻薬の讓り受け讓り渡しの場合と違うわけであります。犯罪捜査の上にこれを証拠品とする必要があつた場合に、これを入手する必要上こういう規定をつくつたわけでありまして、これが有償であろうと、あるいは無償であろうと、そういうことに関係なしにこの規定をつくつたのであります。
  95. 苅田アサノ

    苅田委員 そうすると、つまりそういう犯罪の疑いがある場合に、この人が買手に化けて買うわけですね。そのときに実際にその人がお金を拂えばそのお金はやはり相手方に渡る。そうでなくてただ口約束だけで、犯罪が暴露すれば、それはそのままでもつて、もうお金を渡さないと、そういうことなんですか。それとしてはまことにおかしいと思うのですが。
  96. 里見卓郎

    里見説明員 その通りであります。幾ら幾らで買うということになつて、相手方にその金を渡せば、それを渡してしまうわけであります。何千円でも何万円でも買うという約束によつて向うに渡せば、その金で買つたことになるわけでありまして、渡すわけであります。それからあるいはもらうこともあるわけであります。たとえば見本としてもらうことがあるのです。こういう大量の阿片を持つておる。それでこの次に持つて来るから、これだけ先に見本として渡してゆくそういう場合はもらえるわけです。それからあるいはこの次に一万円持つて来いと言われたとき、一万円で買い受けて、それを相手が持つておるのを、この麻薬取締法によつてこれを検挙するということも当然あるわけであります。
  97. 苅田アサノ

    苅田委員 どうも私は常識としてそういうことは何ともおかしいと思うのです。というのは、どうせ相手はそういう犯罪を犯した人なんですから、だからそういう場合には、有償ということは必要ないのではないのですか。有償無償とか、そういうことが法律に書いてあれば、適用はもつと別な場合にあるのじやないかと思うのですけれども、さつきの場合のようであれば、いずれ犯罪なんですから、有償でしようが、無償でしようが、普通の刑法によつて処罰できるのだから、問題にならないと思うのですが、もつと別なことをこれは言うのじやないでしようか。
  98. 里見卓郎

    里見説明員 この麻薬の犯罪捜査は、非常に困難がありまして、そういうようなこともやつて、ようやく見つけ得るというようなこともありますので、特にこういう規定を——実はこの規定はアメリカでやつておりますので、それを手本としてやつたような関係でありますが、今までこういうことはやつたことはないのですけれども、なかなか麻薬の犯罪というものの検挙はむずかしいものですから、そういうようなブローカーやなんか主としてやつておるものですから、それを相手として麻薬違反を検挙するというために、この麻薬の譲り受けをここで規定したわけであります。でありますから、やはりそこで金銭問題も出て来るわけです。有償であるということと無償であるということが、その事態によつていろいろまたかわつて来るわけでありまして、ただその麻薬をもらいたいからというのでは、なかなか見つからない。それから実際にこの犯罪が行われるということの見通しをつけたものでなかつたならば、こういう許可をいたしませんので、そういうものは、しかしながら証拠品として得る必要がどうしてもある場合に、こういうような規定によつて麻薬を譲り受ける、そういうことになつたわけであります。
  99. 苅田アサノ

    苅田委員 私はこれはただいまの御説明のようですと、どうも法律の條文としてはおかしいと思うのですが、ここでは私もはつきりわかりませんので、なおこの点ほ私の方でも研究して参りまして、この次にまた資料を出していただいて質疑が残つておるわけですから、そのときに重ねて質問させていただきます。
  100. 青柳一郎

    青柳委員長代理 申し上げます。先ほど苅田委員から御要求のありました農林当局は、本日は出席しかねるということであります。御承知おき願います。  この法案に関する質疑は本日はこの程度にしていただきたいと存じます。     —————————————
  101. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に小委員及び小委員長選任に関する件を議題といたします。前会、大石委員より、医療制度に関する小委員会設置についての動議が提出されまして、小委員会を設置することと相なりました。小委員の選任は委員長に御一任願つだのでありまするが、この際医療制度に関する小委員及び小委員長を私から指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議なしと認めます。御指名いたします。       今泉 貞雄君    大石 武一君       高橋  等君    田中  元君       松永 佛骨君    丸山 直友君       岡  良一君    金塚  孝君       渡部 義通君    金子與重郎君  を医療制度に関する小委員に、小委員長には大石武一君を指名いたします。     〔青柳委員長代理退席大石委員長代理着席〕     —————————————
  103. 大石武一

    大石委員長代理 次に厚生年金保險法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。青柳君。
  104. 青柳一郎

    青柳委員 簡單に三点ほど承りたいと思います。その後の厚生年金の積立金の積立状況並びにその利子の現状についてお尋ねいたしたいと存じます。
  105. 安田嚴

    ○安田政府委員 第一点の積立金の仲況でございますが、一月末で百八十一億でございます。大体三月末になりまして百九十三、四億になるかと思つております。なお利子は昨年の十月から従来三分五厘でございましたのが四分になつて来ております。
  106. 青柳一郎

    青柳委員 厚生年金の積立金の利用に関しましては、第五国会におきまして、厚生年金法の一部改正の際に、本委員会におきまして強い希望條件を付しまして、この積立金の利用に関しましては、この金が勤労者から集つたものでありまするから、この金を出したところのこの保険料を支拂つておる勤労者の福祉施設のために、従前使われておりましたような状況に返すべきである、しかも利子が非常に低い、これも上ぐべきであるという希望條件を付したのであります。その後、これらの問題につき、政府御当局もいろいろ関係方面と御折衝相なつたと思いまするが、その状況をお知らせ願いたいと存じます。
  107. 安田嚴

    ○安田政府委員 御説の通りでございまして、衆議院の方の御意向も十分私ども了承いたしておるのでございます。その後いろいろ折衝いたしておりますけれども、いまだに解決がつかないという状況でございます。しかしながら当時の状況から考えますと、いろいろな点でだんだんと條件がよくなつて来ておりますので、私どもは早急にこれを解決するように現在努力いたしておりますが、あるいはうまく行くのではないかというような状況になつております。しかしかかつて一に関係方面の意向にあるわけであります。  それから利子の点につきましても、これは非常に安いのでございまして、三分五厘を昨年十月から四分にいたしていただきましたが、来年度からは四分五厘で予算も組んでおりますから、四分五厘になります。
  108. 青柳一郎

    青柳委員 ただいま局長の御発言の中に、その後條件かよくなつたというお話があつたのですか、ちよつと耳寄りだと思うので、どういう点がよくなつたかにつきまして、お話を願いたいと思います。
  109. 安田嚴

    ○安田政府委員 国内的にもいろいろ資金の問題、あるいは大蔵省との関係につきまして難点があつたのでございますが、そういうような点が大体解消いたした。こういうことでございます。
  110. 青柳一郎

    青柳委員 この厚生年金の積立金は、すでに預金部を通じまして公共団体に渡りまして、そちらの方面でおもに使われておると思いまするが、御当局の御見通しでは、この積立金を今後勤労者の福祉施設のために使うということがきまりました際には、ただちにどの程度のものがこの福祉施設に利用せられるものであるか。その程度といいますか、その量の見通しについてお尋ねいたしたいと思います。
  111. 安田嚴

    ○安田政府委員 まだはつきりそこまできまつておりませんけれども、大体積立金の一割程度、従いまして、まあ二十億をマキシマムといたしまして、十億ないし二十億くらいを勤労者の方の施設にまわしたい、こういうように考えて、今せつかく努力いたしております。
  112. 青柳一郎

    青柳委員 他にもこういう積立金の制度がございますが、他の制度も厚生年金の積立金と、同時であつたかどうか存じませんが、関係方面の指示によりまして、この利用方法がかわつたと思うのでありますが、一連の他の積立金のその後の運命について、御承知おきであるならば、それをお聞きいたしたいと思います。
  113. 安田嚴

    ○安田政府委員 ほかの方は郵便年金と、それから簡易保険の関係の積立金でございます。これはちよつと違いますけれども、大体似たようなことで、やはり積立金も預金でございます。これにつきましては、衆議院、参議院の決議によりまして、これを早く環元貸付するようにという決議もございまして、その決議に従いまして内閣まで持つて行き、閣議できまりました事項として、いろいろ折衝されているのでありますが、いまだ解決いたしていないのであります。
  114. 青柳一郎

    青柳委員 私は先ほども申し上げましたが、第五国会におきまして、当委員会の強い意向といたしまして、御当局にも意見をまとめて申し出たのでありまして、当委員会としても今後この積立金の勤労者への復元に関し、またその利子の値上げについて、いろいろな方法をとるべきである。こう存じますので、私の意見を申し上げておきます。
  115. 大石武一

    大石委員長代理 次は渡部委員
  116. 渡部義通

    ○渡部委員 今度の改正によりますと、十年以上掛金をした者については、仕事をやめても、希望者は掛金をすることによつて権利を続行できる。その利用率を千分の二十六ときあるということになつておりますが、この千分の二十六は、全部本人の負担になるのでありますか。またこういうふうな該当者は何人くらいあるか。お伺いしたいと思います。
  117. 安田嚴

    ○安田政府委員 前段につきまし、ては、本人の全額負担になります。あとの方の数字は、まだわかつておりませんが、来年度あたりからぼつぼつあるのではないかということでございます。
  118. 渡部義通

    ○渡部委員 今、御承知通り、非常に窮乏の中から積立てているわけですが、これは相当積立てておつた人が失業するような場合、そういう人が非常に多いわけですが、そういう場合、ほとんどこれらの人たちは、この年金の積立てをするということが不可能になつて来るのじやないか。こういうような場合には、その取扱いはどういうことになるのか、お聞きしたいのです。
  119. 安田嚴

    ○安田政府委員 失業いたしましても、またあとで復活いたしまして、どこかに勤めるということになりますと、期間の通算がございます。それからなお通算いたしませんで、五年以上経過いたしております者は、脱退手当金をもらうこともできます。
  120. 渡部義通

    ○渡部委員 脱退手当金と言われておりますが、それは一定の率になつて返還されるのか。あるいは全額渡されるのか。その点を伺います。
  121. 安田嚴

    ○安田政府委員 日額の十五日以上五百十日まで、年限によりまして幅があるわけであります。
  122. 渡部義通

    ○渡部委員 ただいま失業者は復職した後に、希望によつてまたその権利を復活することができるというようなお話でありましたが、しかし今日失業者は、ほとんど大部分が再就職というようなことが、困難な事情になつて来ておつて、しかもそういう人がますますふえて来るという段階にあるわけですが、こういう場合、実際上の問題として、権利を放棄しなければならないというような関係になりますし、それから今このような状態の中で、十年後のことを考えて積立てを非常に貧困の中から続行するというようなことは、不可能であるばかりでなく、おそらく希望することも少いのじやないかというふうに考えられます。そういう場合に、むしろわれわれの考えでは、そういう人たちが失業するとか、あるいは退職するような場合には、これを退職手当あるいは退職金ということにして渡すべきではないか。その方が積立者にとつて、直接に役立つことであり、また積立者が将来それを基礎にして、何か再生の方法、更生の方法を講ずるような場合に、むしろ必要とされているのじやないかというように考えられますが、この点どうですか。
  123. 安田嚴

    ○安田政府委員 一度失業いたしましたら、再び就職の機会がないというお話でございますが、この点につきましては、いろいろあると思います。必ずしもそうばかりではないのじやないかという気もいたしております。大体、五年以上勤めましたならば、脱退手当金をもらう。すべての者に勤めただけの期間を計算いたしまして、脱退手退金を出すということになりますと、これまた保險の方の経済としては成立たない。こういう関係になつておるのでありまして、現在のところでは、今の制度のようなことよりしようがないのじやないかと思つております。
  124. 渡部義通

    ○渡部委員 それでは今私が質問しました中で、該当者が、現在この法律ができることによつて継続するかどうかというふうな地位に置かれておる人たちがどのくらいあつて、それからその人たちの積立金がどのくらいあるのか、そういう点をよく調査して知らしていただきたいと思います。このことは、この現在の改正法案が改正さるべきかどうかということに関連して、非常に重大な問題だと思いますから、この点をひとつ頼んでおきます。  それから今政府委員から、積立金の一割を勤労者のために使いたいというようなお話があつたわけですが、実際具体的には、どういう方面に使われるような予定になつておりますか。
  125. 安田嚴

    ○安田政府委員 福祉施設でございますからして、大体住宅でありますとか、あるいは医療でありますとか、そういうような施設になると思います。
  126. 渡部義通

    ○渡部委員 今そういう点について、現に使われているわけですか。
  127. 安田嚴

    ○安田政府委員 この制度が始まりましてから終戰になる年まで、大体千五百万円ばかり使われております。いずれもそういつたような住宅でありますとか、医療施設、そういうところに主として使つております。
  128. 渡部義通

    ○渡部委員 今後の計画についてはどうなつておりますか。というのは、今後この法律が実施されることによつて、解消状態になるような人が非常に多いと考えられるわけですが、そうなるとこういう福祉施設というようなものにこれが具体的に用いられる場合に、その方向ということが非常に重要になりますから、その点もひとつ見通しとしてお聞きいたしたいと思います。
  129. 安田嚴

    ○安田政府委員 御質問の中の、この法律が施行されるようになりますと解消状態になる人がふえるという意味が、ちよつとわかりかねるのでありますが、どういうようなことでございますか。
  130. 渡部義通

    ○渡部委員 つまり失業等によつて失業者が非常に多くなる。先ほど申し上げたように、もはやその人たちが掛金をかけることができなくなるというような場合には、この契約から拔けなければならぬ人が非常に多くなるということを言つているわけですが……
  131. 安田嚴

    ○安田政府委員 この法律で二点改正されるところがあるのでございます。第一段の方は、この法律が施行されましたから特にかわるというのではなくて任意継続をいたしますのは、十年以上の資格期間がないとできないのであります。ところがちようど施行されましてから今度で、鉱山なんかの加算を入れますと十年間たちますものですから、十年目にこの法律を放つておきますと、高い料率でかけられる。その料率を安くしようというのが第一段でございますから、そういう一般身分関係には、今度の法案においては変更はないのであります。その点多少誤解があるのではないかと思うのでちよつと申し上げます。
  132. 渡部義通

    ○渡部委員 それでは私の質問は、もう少し調べまして、次の機会に続行します。
  133. 大石武一

    大石委員長代理 御質疑もないようでありますから、本日はこの程度にいたして散会いたします。  次会は明日午前十時より開会の予定にいたしておます。     午後三時五十四分散会